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事後の支出(生物学的変化に関連するコスト)の取扱いについて

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Academic year: 2021

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それまで一部の例外1を除いて,固定資産除去時に費用計上されていた。これ

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点整理や公開草案においても議論が決着しないまま,基準の公表に至っている。 また,このようないくつかの議論について決着を見ないまま,資産除去債務を 皮切りに統一的な基準化を目指した IASB の「非金融負債(non financial liability)」(IAS37 の改定議論)は,その後,保険契約や訴訟に関する負債など を切り離すことで,ようやく 2018 年 3 月に公表された概念フレームワークが 提示する負債の要件を足掛かりに,本格的議論を再開し,終結に向け動き出し たところである。 これらは,本稿で取り上げる生物資産の事後の支出とは,類似していない点 もある。たとえば,今回の論点は,測定ではなく,支出に関する会計処理の明 確化であるため,全く同様の手法により比較及び検討はできない点には注意が 必要である。 2001 年 2 月に国際会計基準委員会(IASC)により公表された IAS 第 41 号「農 業(Agriculture)」(以下,「IAS41」という。)は,生きている動物や植物を生 物資産(biological asset)と定義し , その成長,変性,生産及び生殖のプロセ ス か ら な る 質 的 又 は 量 的 変 化 を 生 じ さ せ る 生 物 学 的 変 化(biological transformation)を踏まえた上で,統一的な認識及び測定に関する会計基準を 定めた4 その後 IAS41 は大きな改定を行わず経過していたが,IASB により 2014 年 6 月に公表された「農業:果実生成型生物資産(bearer biological assets)」(以下、 「IAS 第 16 号及び第 41 号の修正」という。)が定められたことにより茶畑,ぶ

どうの木及びゴムの木などの特定植物が、IAS16 の基に置かれることとなった。 本稿では,2019 年 6 月に IFRS 解釈指針委員会(以下,「IFRS IC」という) 会議において議論された,生物資産への生物学的変化に関連するコスト(以下, 本稿では「事後の支出」(subsequent expenditure)といい,同義に取扱う。)に 関する検討を行うものとする。さらには,これまでの IAS41 に関する議論を 総括し,IAS41 の今後について考察を行うものとする。

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において,売却コスト後の公正価値9で測定しなければならない。ただし,公

正価値が信頼性をもって測定できない場合を除く。」(IAS41,para12)と規定さ れている10。また,生物資産に対して,当初認識時以降,各報告期間において,

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どのコストを費用として認識すべきか,資産化すべきか難しい場合もあると指 摘している。この点においては,他の会計基準も同様に結論付けており,整合 性を有する13 いずれにしても,今回は事後の支出時の会計処理が論点と考えれば,明確に わかる範囲内で,その支出を明示すべきではないかという意図であれば,検討 に値することがわかる。

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.IFRS IC への問題提起及び検討

IFRS ICへの問題提起によれば,IAS41 において生物資産の測定に関連した 取扱いが明確であるのに対し,生物資産の農業活動期間(当初認識と収穫時期) の事後の支出については,不明瞭であるという。そこで最初に IAS41 におい ては,生物資産についてどのように会計処理することを求めているのか確認す る。 (1)IAS41IE の検討 まず,IAS41IE の検討として設例 1・設例 2 を取り上げる。 設例 1 は,IAS41 の開示要求をどのように酪農企業に適用し得るかを例示し ている。具体的には,まず財政状態計算書上で,生物資産(酪農用家畜)を未 成熟・成熟に分けた上で表示し,次に注記において事業となる主な活動を示し, 生物資産について会計期間における原因別の増減状況を示している。

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さらに,この利得等の金額の算定を詳細に示したものが,設例 2 である(記 載は省略)。 設例 2 においては,それぞれの時点における年齢別の売却コスト控除後の公 正価値が示され,上記(b)のそれぞれの金額がどのように算出されたかがわ かるような設例が示されている。 一方で,設例 2 の前提文章において「売却コスト控除後の公正価値の変化を, 物理的変化に属する部分と価格変動に属する部分に分離することは,本基準に おいて奨励されるが,要求されていないものである。」とある。このような原 因別分析は,生物資産ごとの生物学的変化の違いから考えると,要求でなく奨 励にとどめるのが妥当であろうことが示されている。 いずれにせよ,IAS41IE の設例 1・設例 2 における財政状態計算書・注記な どから,事後の支出の影響額について伺い知れる箇所はなかった。つまり, IAS41IE においては,注記も含め,支出時にどのような会計処理を行ったかは 明確にされていないことが判明した。 (2)問題提起の趣旨の検討 次に,問題提起の趣旨の検討を行う。問題提起者が明確化すべきと考えるの は生物資産の事後の支出について,次の三つの処理のいずれを行うかである。 一つ目は,事後の支出は,発生時に費用処理する。これにより財務諸表の利 用者は生物資産の成長に伴い発生した事後の支出と区別して FVLCS(fair value less costs to sell)の変動を把握できる。

二つ目は,事後の支出は,その都度資産化する。このアプローチによれば, FVLCSの変動は,生物資産の自然な成長に起因する結果として示される。

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があり信頼性がある情報を提供できる会計方針を判断する。つまり,三つ目は, 一つ目又は二つ目を選択することを指す。 そこで,要望書において示された事例を示すことにする。 事例 問題提起者が示した事後の支出の影響額 (前提 1)企業は売却コスト後の公正価値(FVLCS)で測定される生物資産(大 麻)を有しており,2017 年 12 月 31 日の FVLCS は CU200 である。 (前提 2)2018 年の最初の四半期に,成長のために CU300 のコストを要し, 2018 年 3 月 31 日時点の FVLCS は CU600 であった。 見解 1:発生時に費用処理 見解 2:都度資産化 生物資産の残高 損益計算書への 影響 生物資産の残高 損益計算書への 影響 売却コスト後の公正価値 (FVLCS)2017 年 12 月 31 日 CU200 CU200 資産化の額 CU300 費用計上額 CU300 生 物 資 産 の 成 長 に 伴 う FVLCSの変動

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パソコン農業簿記の普及を中心に 」松田藤四郎・稲本志良編著『農業会計の新 展開』農林統計協会 111 129 頁 黒川保美(1994)『総解説・国際会計基準』日本経済新聞社 佐藤信彦(2007)「資産除去債務の会計を巡る諸問題」『企業会計』第 59 巻第 9 号 31 頁 田中建二(2010)「IFRS における負債の認識と測定」『企業会計』第 62 巻第 9 号 18 24 頁 戸田龍介(2014)『農業発展に向けた簿記の役割 農業者のモデル別分析と提言 』中 央経済社 松田恭子(2012)「今から始める大麻栽培 無毒大麻を産業に活かす」『農業経営者』 農業技術通信社 19 28 頁 松田藤四郎・稲本志良(2000)『農業会計の新展開』農業統計協会 松本徹(2014)『IFRS における資産会計の総合的検討』菊谷正人編著,税務経理協会  163 167 頁 松本徹(2015)「IAS41 の我が国への導入に関する考察」『会計論叢』第 10 号 91 102 頁 松本徹(2017)「生物資産評価における残余法の考察」『會計』第 192 巻第 5 号 66 78 頁 松本徹(2018)「農業に関する会計基準をめぐる国際的動向と問題点の考察」『商学論集』 第 106 号 149 158 頁 姚小佳(2013)「IAS 第 41 号における生物資産の会計処理をめぐる動向 IASB 公開草 案『農業:果実生成型植物』の公表を中心として 『商経学叢』経営学部開設 10 周年記念論文集 573 585 頁

IASB(2001a) IAS16 Property, Plant and Equipment (国際会計基準委員会財団(編) (2019)『 IFRS 基準<注釈付き> 2019』中央経済社)

IASB(2001b) IAS41 Agriculture (国際会計基準委員会財団(編)(2019)『 IFRS 基 準<注釈付き> 2019』中央経済社)

IASB(2011) IFRS13 Fair Value Measurement (国際会計基準委員会財団(編)(2019) 『 IFRS 基準<注釈付き> 2019』中央経済社)

厚生労働省ホームページ(2020 年 1 月 9 日閲覧)

参照

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