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五條市新町町並み調査

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Academic year: 2021

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五條市新町町並み調査

はじめに 平成16年度において建造物研究室では、奈良 県五條市より「五條市新町町並み調査」を受託し、調査 研究をおこなった。五條・新町の2地区には近世を通じ て栄えた伝統的町並みが残され、吉野川の水辺景観とと もにこの町並みの存在は早くから知られ、昭和50年度  (1975)に当研究所が伝統的建造物群保存対策調査を実

施し、五條・新町の町家の特質とその重要性を報告した

 (「五條一町並調査の記録−」奈良国立文化財研究所学報30冊、

1977年)。平成10年度に至り、五條市では旧建設省の「街 並み環境整備事業」の導入を図り、これを契機に伝統的

町並みを活かしたまちづくりの機運が高まった。このた め本調査では伝統的建造物群保存制度の導入に向けた基 礎資料を整えるため、見直し調査を実施し、現況の町並 みが抱える課題について検討することを目的とした。

五條・新町め町並み 五條・新町の町並みは吉野川北岸 を通る紀州街道に沿って広がる。新町は近世初頭に成立 した二見五條藩の城下町に起源する町並みで、奥行を揃 えて整然と区画された宅地割を残す。五條は中世に起源 をもつ御霊神社御旅所を中核とした町並みで、奥行が不 揃いで大規模な宅地割を残し、新町と異なる空間構成を 見出せる。町並みには、国の重要文化財・栗山家住宅を はじめとする江戸時代の伝統的町家建築が多数残され、

重厚に軒裏を塗り込めた切妻造平入の町家が建ち並ぶ。

耐火性と耐久性に優れた町並みが形成されたことを読み 取れ、これら伝統的町家建築に加えて伝統的寺社建築、

近代建築も残され、多様な建築類型が認められる。一

20 奈文研紀要 2005

方、吉野川沿いに玉石や切石の石積が姿を留め、度重な る水害を克服するため築かれた護岸景観が、伝統的町並 み景観にさらなる厚みを加えている。こうした歴史的、

空間的、景観的固有性を備えた町並みとして五條・新町 の町並みはなおも評価することができる。

町並みの課題 近年、五條・新町の町並みでは建物の老 朽化による取り壊しや建て替え等により町並みを特徴づ ける町家が失われている。さらに取り壊し後の空地やそ の駐車場への使用により町並みの連続性の寸断化か進み つつある。これに対し五條市は街並み環境整備事業を導 入し、道路や河川等の公有空間の整備に努め、町並みの 修理・修景を進め、町並みの基盤を徐々に整備してい る。ただし、事業では新築建物のセットバックや道に面 して門を設けるなどに対する規制はなく、伝統的町並み の空間の継承には課題がある。また、伝統的建造物とそ れ以外の区別なく修景を進めざるをえない点、景観を構 成する水路や石積に対する保存の考え方が含まれていな い点など、町並み景観の特質を継承する上では事業の計

画の枠組み自体に課題がある。

今後について こうした街並み環境整備事業はあくまで も時限的なもので、この事業において五條・新町の伝統 的な町並みを今後、保存継承していこうとする将来像は 描きにくい。このため、事業終了後も変わらず町並みの 保存を続けていくことを目標に五條市は伝統的建造物群 保存地区制度の導入を図ることを検討している。今後は 街並み環境整備事業での課題を乗り越えるべく、町並み 景観の保存とその特質の継承を図る考え方を広く住民に 示し、町並み景観を形成する約束づくりとそのルールを 的確に運用できる基準づくりが必要となる。(清永洋平)

図30 五條・新町 建築年代別分布図 1 : 6500

参照

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