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山田香菜子論文内容の要旨

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Academic year: 2022

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山田香菜子論文内容の要旨

主 論 文

Effect of inverted internal limiting membrane flap technique on small-medium size macular holes

通常円孔径の黄斑円孔に対する内境界膜翻転法の効果 (山田 香菜子 大石 明生 草野 真央 木下 博文 築城 英子 北岡 隆)

scientific reports・2022 12:731.

doi: 10.1038/s41598-021-04739-x.

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻

(主任指導教員:北岡 隆 教授)

緒 言

黄斑円孔 (macular hole: MH)は網膜の黄斑部に円孔が生じ、視力低下や歪視の原 因となる。1991 年に Kelly らが黄斑円孔に対する硝子体切除術を報告して以来、標準 的な治療方法となっている。内境界膜剥離 (internal limiting membrane peeling:

以下 peeling)法を併用することで円孔閉鎖率は改善しているものの、円孔径の大きい MH は閉鎖率が低下する。2010 年に Michalewska らが大型の MH に対し剥離した内境界 膜のフラップで円孔を覆う、内境界膜翻転 (inverted ILM flap:以下 flap)法を報告 し、従来の peeling 法に比べて有意に閉鎖率が改善したと報告した。

以来、大型や近視性の MH、黄斑円孔網膜剥離等、難治性とされる MH に対する手術 方法として普及してきているが、通常円孔径の黄斑円孔に対する内境界膜翻転法の報 告は少なく有用性は確立されていない。

対象と方法

2014 年 7 月から 2017 年 10 月に、当科において硝子体手術を行なった最小円孔径 400μm 以下の特発性 MH で高度近視、黄斑円孔網膜剥離を除外した、68 例 69 眼を対 象とした。peeling 群と flap 群に区分し、年齢、最小円孔径、円孔底径、眼軸長、stage、

推定発症後期間、術前視力について傾向スコアマッチングを行ない、術後経過を比較

(2)

した。なお、術後視力の改善と関連するとされている網膜外層の外境界膜 (external limiting membrane: ELM)、ellipsoid zone (EZ)の回復については、光干渉断層計 (Optical Coherence Tomography: OCT)を用いて中心窩から 2mm の範囲で欠損:0、不 明瞭:1、連続:2 のスコアで評価した。

また、flap 法においては、flap を円孔に覆う cover 法と flap を円孔内に充填する fill 法についてサブグループ解析を行った。

結 果

flap群 21 眼に対し peeling 群 21 眼がマッチングされ、2 群間の背景因子の標準化 差は眼軸長(0.178)を除き 0.1 未満となり概ね良好に調整された。

初回閉鎖率は flap 群 19 眼 (90.5%)、peeling 群 21 眼(100%)(P=0.49)で、平均視力 は術後 1,3,6,12 か月ともに両群間で有意差は認めなかった。網膜外層の形態では、

術後 3 か月の ELM、術後 3 か月、6 か月の EZ において peeling 群でスコアが高かった。

(それぞれ P=0.02、P=0.03、P=0.04)

さらに、flap 群の方が網膜外層の回復が遅れる理由を調べるために、flap 群の invert 方法別にサブグループ解析を行った (cover 群 5 眼、fill 群 16 眼)。

初回閉鎖率は cover 群 4 眼 (80%)、fill 群 15 眼 (93.8%)で有意差は認めなかった (P=0.43)。視力の変化量では術後 3 か月、6 か月で cover 群の方が有意に改善を認め た(いずれも P=0.047)。網膜外層の形態では ELM、EZ ともに術後 3 か月において cover 群でスコアが高かった (それぞれ P=0.01、P=0.004)。

考 察

今回 flap 群と peeling 群において円孔閉鎖率に有意差は認めなかった。これは、

通常円孔径の MH においては従来の peeling 法でも高い閉鎖率が得られるためと考え た。術後の視力は両群間で有意差は認めなかったが、術後 1 か月では peeling 群の方 がより視力改善を認め、flap 群で視力改善が遅れる傾向であった。網膜外層の回復も 同様に flap 群で遅れる傾向であった。flap 法における円孔閉鎖の機序は、翻転した ILM がミュラー細胞の増殖や遊走の足場となり、活性化したミュラー細胞によってグ リア過形成が起こるためと考えられている。今回の結果から、円孔内に flap を充填 する fill 法ではグリア過形成が ELM や EZ の伸展を阻害している可能性が考えられる。

flap 法は大型の MH や黄斑円孔網膜剥離には有用な手技ではあるが、通常円孔径の MH では必ずしもそうでないことを留意し、それぞれの症例に適した術式を選択するべき であると考えられた。

参照

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