雑誌にみる組織研究の地域性 : 書誌計量的アプロ
ーチによる研究成果を中心として
著者
幸田 浩文
著者別名
Koda Hirofumi
雑誌名
経営論集
巻
51
ページ
297-318
発行年
2000-03-15
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00005580/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja北アメリカならびにヨーロッパの代表的学術雑誌にみる組織研究の地域性
−書誌計量的アプローチによる研究成果を中心として− 幸 田 浩 文 はじめに Ⅰ.北アメリカならびにヨーロッパの組織社会学 Ⅱ.1960∼70年代の組織研究の地域性調査 Ⅲ.1980年代の組織研究の地域性調査 Ⅳ.1990年代の組織研究の地域性調査 Ⅴ.組織研究の地域性と方向性(分岐あるいは収斂) おわりに はじめに 組織研究本来の目的が、各国に共通して存在する基本的問題を解決することにあるとはいえ、ア メリカ、イギリス、フランス、ドイツといった国ごとあるいは北アメリカ、ヨーロッパ、アジアと いった地域ごとにその特徴や特異性を理解すること自体は有意義なことであろう。1970年代頃より、 アメリカならびにヨーロッパの代表的な組織研究(organization studies)に関する学術専門雑誌に 掲載された論文あるいはそこに所収の参考文献リストを、書誌計量法(bibliometric technique)と 呼ばれる技法を用いて、その国・地域における組織研究の特徴や特異性を解明しようとする研究が みられるようになった。この書誌計量法は、1つの学問分野内の理論的基盤や現在の研究活動に関 する情報を入手しようとする技法である1) 。こうした研究では、北アメリカやヨーロッパの研究雑 誌に掲載された論文を対象に、組織研究の内容、対象、強調点、方法論、価値観、方向性などが比 較考量された。具体的には、書誌事項を簡単に統計分析し、たとえば引用された著者をその頻度順 にランクづけ、当時の代表的文献の影響度を明らかにしたり、両地域の文献(著書あるいは論文な ど)から共通して引用された文献や、一方にしか引用されなかった文献などを通じて、その特色や 国あるいは地域の特徴や特異性を強調したり、様々な研究が行われている。ちなみに、調査対象と して取り上げられた組織研究の専門雑誌には、例えば、北アメリカを代表するものとして、 Administrative Science Quarterly(A.S.Q.)、Academy of Management Journal(A.M.J.)、Academy of Management Review( A.M.R. )、 そ し て イ ギ リ ス を 含 む ヨ ー ロ ッ パ を 代 表 す る も の と し て 、 Organization Studies(O.S.)や Journal of Management Studies(J.M.S.)がある。そこで本稿では、1970年代から90年代にかけて行われた書誌計量的アプローチを用いた組織研究 の成果を考察することにより、北アメリカと(イギリスを含む)ヨーロッパの組織研究の内容、対 象、強調点、方法論、価値観、方向性などの地域的特性を明らかにする。 Ⅰ.北アメリカならびにヨーロッパの組織社会学 組織社会学(Organizational Sociology )は、あらゆる組織に関する社会科学的研究成果をその基 盤においている。そうした意味で、組織社会学は、全体として組織に焦点を合わせる一般組織論と 同義であり、視点を変えれば組織論の一部とみることもできる。北アメリカでは組織論ならびに組 織社会学が独立した分野として制度化されている。しかし、ヨーロッパではかならずしも、組織研 究が組織論として組織社会学から分離しているとはいえない。したがって、ここでは、北アメリカ ならびにヨーロッパで学問分野として確立している組織社会学を取り上げ、その潮流から組織研究 の地域性を概観する2)。 1.北アメリカの組織社会学
第二次大戦後、メイヨー(Mayo, E.)ならびに人間関係学派(Human Relations school)から学問 的系譜を受け継いだアメリカ産業社会学が登場する。この分野は、次第にその研究範囲を広げ、や がて組織社会学と結びついた。アメリカの組織社会学は、1950年代に、官僚制ならびに寡頭政治に 関する事例研究から発展したものである。当時の代表的な研究者には、グルドナー (Gouldner, A.W., 1954)、ブラウ (Blau, P.M., 1955)、リプセット=トロウ=コールマン(Lipset, S.M.,Trow, M.A., & Coleman, J.S., 1956)、シルズ(Sills, E.A., 1957)、ハリソン(Harrison, J.E., 1959)、そして セルズニック(Selznick, P., 1966)らがいる。彼らは、ドイツのウェーバー(Weber, M.)やミヘル ス(Michele, R.)さらにはマートン(Merton, R.K.)の影響を受けていた。
60年代に入ると、アメリカやカナダにおいて、ブラウ=スコット(Blau,P.M., & Sccott,W.R., 1962)やエツィオーニ(Etzioni, A.,1961)らによる比較組織社会学研究が行われた。
70年代後半には、組織の集合それ自体を研究対象とし、生態学的な視点から組織を考察する個体 生態学(population ecology )(Hannan,M.T., & Freeman,J.H.,1977)が登場した。やがてこの社会・文
化的システム・モデルに基づく社会学的分析はアメリカにおいて主流となる3)。
80年代に入ると、行動主義、ネオ・マルクス主義、民族社会学的方法論あるいは象徴主義といっ た代替モデル開発への努力がみられた。また、ローレンス=ローシュ(Lawrence, P.R., & Lorsch, J.W.)やガルブレイス(Galbraith, J.R.)らのコンティンジェンシー理論、ミンツバーグ(Mintzberg, H.)の管理者役割論、オーウチ(Ouchi,W.G.)の比較文化論、そしてプフェファー(Pfeffer, J.)の
経営戦略論のような実践面に役立つ研究がなされた。 2.イギリスの組織社会学 第二次大戦後、イギリスの組織社会学には、組織のシステム的側面を強調する潮流と、パー ティー・モデル(party model)に準拠した潮流の2つの基本的な方向性がみられた。この組織機能 と環境とを結びつけた一般システム理論やオープン・システム・アプローチは学際的な組織論すな わち組織行動論に影響を与えた。組織行動論は、組織の構造と機能、そして組織内の集団と個人に 関する研究分野で、社会学をはじめとして心理学、経済学、政治学、社会人類学、そして生産工学 といった学問に依拠する学際的かつ準独立的な科学である4) 。また社会的要素と技術的要素から成 り立つ全体としての組織が生存・成長するためには、その環境と効果的に関連しなければならない とする社会・技術システム論(Socio-technical Systems)も関心を集めた。そして50年代には技術と いう状況要因と組織構造の体系的関連の実証研究がウッドワード(Woodward, J.,1958)によって行 われた。次いで、バーンズ=ストーカー(Burns,T., & Stalker,G.M.,1961)によって市場環境の性質 による適切な組織のあり方の変化が研究された。いわゆるコンティンジェンシー理論( contingency theory)の登場である。しかしこれに対して、70年代後半にはチャイルド(Child,J.,1977)によって 批判が加えられた。 イギリスにおいても、アメリカ同様に、社会・文化システム・モデルに準拠した社会学的研究の 潮流が出現したが、アメリカのように長続きせず、短期間のうちに消えてしまった。イギリスでは、 数多くの組織に関する社会学的研究は労働社会学ならびに産業社会学分野で行われてきた。しかし、 イギリスの組織社会学は、アメリカのような独立した学問分野にはならなかった。
70年代には、ヒクソン (Hickson, D.J.)、ヒニングス(Hinings, B.)、シルバーマン(Silverman, D.)、サンドマン(Sandman)、トンプソン(Thompson, J.D.) そしてアベッツ(Abets)らが、組織 調査に取り組んだ。
しかし、結局、イギリスでは、行動主義(Silverman, D., 1970)、批判的研究やラディカル組織論
(Burell, G., & Morgan, G.; Dunkerley, D.)、そして組織象徴主義(Turner, B.A.,1986)に基づく研究 が主流となった。このように、イギリスと北アメリカでは、組織社会学の展望や歴史が異なってい る。
3.フランスの組織社会学
フランスの組織社会学は、一つの社会学的な理論研究の学派を形成している。すなわち、クロ ジェ学派である。クロジェ(Crozier, M.)は、名著『官僚制的現象』(Le Phénomène bureaucratique,
Paris: Éditions du Seuil, 1962.)を執筆後、パリの組織社会学センターの理事になり、彼は、数多く の研究者(Ackermann, Bane, Friedberg, Sainsaulieu, Thoenig, Worms)らの指導にあたった。その後、 クロジェは、フランスの官僚制の特質やその相互関係、民間企業などの組織研究を行った。彼らは、 組織の戦略分析を通じて、行為者である利害関係者集団、その目標や資源、パワーの維持・強化の 方法、そしてこのパワーゲームのルールを明らかにしようとした。 システム思考のアメリカやイギリスの社会科学者たちは、柔軟かつ有機的なタイプの官僚制組織 の長所を評価していたが、フランスの研究者たちは、古典的かつ機械的タイプのフランス官僚制組 織の欠陥を指摘することに腐心した。こうしたフランスでの官僚制組織に対する悲観的見解の中に あって、クロジェらは広く管理改革を提唱した5) 。 イギリス同様、フランスにおいても、第二次大戦後、組織の社会学的分析が行われたが、つねに 労働社会学的な色彩が強かった。フランスでは、組織社会学は、通常、労働社会学(Sociologie du Travail)の下位領域とみなされていた。フリードマン(Friedmann, G.)は、第二次大戦後、産業開 発に関する史的研究によってこの分野を発展させた。彼は、トゥレーヌ(Touraine, A.)、レイノー (Reynaud, J.-D.)、そしてクロジェを手元におき教育した。後に彼らは、自らの研究センターや サークルを設立する際の後援者になった。しかし、彼らの研究成果は、ほとんど発表されなかった し、英訳されなかったため、アメリカやイギリスの組織社会学への影響は限られたものとなった。 概して、フランスの労働社会学者は、イギリスの研究者ほど、組織を社会システムとして組織を みなすことに魅力を感じなかったようである。70年代末頃の彼らの著作には、一般の資本主義の発 展ならびにとくにフランスの産業や社会の発展に対して、批判的かつ左翼的な態度がはっきりと現 われていた。とはいえ最近では、改革主義的な方向性もみられるようになった。 4.ドイツの組織社会学 ドイツの組織社会学は、一般的な組織理論と融合し、独立した学問分野としての地位を確立して きた。ドイツの組織社会学が、社会システム的アプローチで組織を分析したマインツ(Mayntz , R., 1963)と公式組織の機能と重要性について先駆的な論文を発表したルーマン(Luhmann, N., 1964) によって始まったのは60年代のことであった。しかし、ドイツでは組織社会学を専門とする研究機 関や学会もできず、それに関する学術雑誌なども発刊されなかった。わずかに70年代から80年代に かけて、簡単な組織社会学分野についての入門書(Pfeffer, 1976; Turk, 1978; Endruweit, 1981)や、 コンティンジェンシー・アプローチやアストン研究に関する著作が出版されたに過ぎなかった (Kieser, A., & Kubichekm, H.,1977)。
パーティー・アプローチ、行動理論、あるいはネオ・マルクス主義のような見解がまったくみられ ないのが特徴である。とはいっても、北アメリカ、イギリス、フランスにみられるような、組織に ついての批判的見解や、パワーやコンフリクトに対する関心がまったくないというわけでもなかっ た。しかし、80年代から90年代にかけて、ドイツの組織社会学は、労働社会学や産業社会学とはっ きりと見解が異なってきた。例えば、産業社会学は、フランスやイギリス同様、パーティー・アプ ローチやネオ・マルクス主義的なモデルを好んで用いるようになった (例えば Schumm-Garling, 1972; Littek, 1973; Littek, Rammert, & Wachtler, 1982)。一般に、ドイツの労働ならびに産業の社会学 は、経験的研究から膨大な成果を生み出してきたし、生みつづけている。
ウェーバーの祖国であるドイツでは、官僚制についての研究は、労働社会学、産業社会学あるい は組織社会学以外の分野でも関心の的であった。官僚制組織(Bürokratische Organisation)に関し ては、マインツを始めとして数多くの研究者 (例えば、Bahrdt 、Bosetzky 、Lehman、Mayntz な ど)が論文を発表している。またキーザー=クビチェック(Kisser, A., & Kubichek, H., 1983)は、 官僚制理論を概説・体系化している。グルノー=ヘグナー(Grunow & Hegner, 1977)は、官僚制の 批判研究や官僚制組織のネットワーク分析などに取り組んでいる。 概して、ドイツの官僚制ならびに組織研究者は、フランスのクロジェ同様、たんに官僚制の欠点 を指摘するだけでなく、機械的な官僚制組織と有機的なそれとを比較分析することに主眼を置いて いるようである。たぶんにドイツでは、どこよりも古典的な官僚制組織の欠陥を認めているが、そ れ以上にその長所を評価しているように見受けられる。 5.オランダの組織社会学 オランダでは、組織社会学が比較的早く登場した。代表的な研究者としては、ヴァン ・ドーン (Van Doorn,1956)が挙げられる。彼は、産業組織ではなく、軍隊組織の歴史に焦点を絞り、組織 化の過程について言及した。彼もドイツのマインツ同様学派をつくらなかった。 1960年代には、アメリカとイギリスで開発されたシステム・アプローチ(systems approach)が オランダの組織社会学での支配的な思考様式となった。ヴァン・ディジック(Van Dijck,1970)に よれば、初期の組織社会学分野では、専門の多様化、おもに英語の文献への傾斜、システム・モデ ルへの指向性、有機的制度に対する同情と機械的制度に対する反感がみられたという。また彼は、 科学的な研究結果や見解に基づき、実践に適用・利用できる研究の重要性と、学際的アプローチの 必要性を指摘した。この傾向はこんにちのオランダ組織社会学に依然としてみられる。とくに、オ ランダの社会学的研究では、他の国々同様、しだいに、一元的なものが少なくなり、だんだん、多 元的あるいは代替的な観点からの研究が多くなってきた。
その他、オランダでは組織社会学以外でも、労働社会学や産業社会学が、組織とその相関関係に ついて多くの研究成果を生み出している。この分野では、伝統的にドイツやフランスの文献を参考 にしてきた。したがって、ラマーズによれば、オランダの組織社会学的研究は、北大西洋社会と大 陸ヨーロッパ社会の中間という、その地理的な地位を反映している。 Ⅱ.1960∼70年代の組織研究の地域性調査 1960年代は、組織論が独立学問分野としての地位を確立した時代であった。この時期、アメリカ 企業の成功によって、アメリカのビジネス教育と研究のための組織モデルがヨーロッパ各地で模倣 されるようになり、組織研究において実証主義的アプローチが浸透していく。組織研究は、北アメ リカではミクロ・レベルの研究、ヨーロッパではマクロ・レベルの研究へと分岐していく。 1970年代に入ると、北アメリカとヨーロッパでは、多元主義的な組織概念、ならびにオープン・ システム観やコンティンジェンシー理論への統合が試みられるようになる。すなわち組織論研究は 一定のパラダイムへと収斂していく。イギリスから展開したコンティンジェンシー理論がアメリカ のデータに基づく組織のマクロ的側面に関する比較研究に拍車をかけた。またイギリスを中心に ヨーロッパでみられるようになった組織や組織研究に対する批判的見解が、従来のパラダイムに対 する反動として、その勢力を次第に増していった。そうした批判的研究は象徴的・解釈的な観点と 結びつき、組織文化への関心が高まり、やがて組織文化論はポストモダン的な思考へとつながって いく。北アメリカでも、コンティンジェンシー的な観点が出現し、やがて組織行動論から組織論が 分離すると、組織分析分野は、より社会学的な方向にむかって進展していった。そのことが、生態 学的あるいは制度主義的モデルへと結びつき、1970年代後半には、個体群生態学(population ecology)、資源依存パースペクティブ (resource dependence perspective)、取引費用 (transactions cost)、さらには制度理論(institutional theory)といった研究分野が登場する。
1.カッセンの研究
参考文献の引用数(citation counts)や相互の引用関係(co-citation analyses)を分析する研究は、 1976年にすでにカッセン(Kassem, M. S., 1976)が試みている。彼は、ヨーロッパの組織研究を分 析し、アメリカとの違いを次のように整理している6)。 ①アメリカの組織論は、ミクロ的視点に立っているに対して、ヨーロッパの組織論は、組織構造、 技術的影響、組織環境といったマクロ視点に焦点が絞られている。 ②アメリカの組織論は、唯一最善の方向に、ヨーロッパの組織論は、コンティンジェンシー的な見 方に基盤をおいている。
③アメリカの研究者は、仮説操作性ならびに問題・技術志向が強く実践的であるのに対して、ヨー ロッパの研究者の関心は、説明や理論構築に向いている。
このようなアメリカとヨーロッパの組織論の次元が異なるという見解は、現在でも支持されてい る7)。
2.ロケットの研究
イギリスの代表的な経営学研究雑誌 Journal of Management Studies の編集者であるロケット (Lockett,G.)は、1964年から1975年の12年間に同誌に発表されたすべての論文(238篇)を、テー マの分野、論文の種類、著者の出身地、著者の職業ごとに時系列的に整理した。調査期間中、同誌 には幅広い分野から238篇の論文が発表された。論文の数が比較的多く、調査期間中一貫して掲載 されていたのが、行動科学を主題とした論文であった。論文の種類としては、Applied research が もっとも多く、平均40%の掲載率であった。著者の出身地だが、創刊時は全員イギリス人研究者で あったが、次第にアメリカ人の論文が多くなっていった。60年代後半に実務家からの論文が14%か ら26%の割合で掲載されたが、次第に減っていった。平均して87%が研究者の論文であった。とく にイギリスの学術研究雑誌であるので、同国からの投稿者が多いは当然としても、アメリカを除く とヨーロッパやその他の国からの論文は極端に少ない。それは、英語による執筆という言語上の問 題に起因しており、ヨーロッパやその他の国からの論文も、伝統的に英語を公用語としている国や イギリス連邦に所属している国からのものであることからも分かる8)。 3.レッジの研究 ロケットの研究(1977年5月号)から5ヵ月後(同年10月号)、同じく、Journal of Management Studiesの編集者であるレッジ(Legge, K.,1977)は、(ロケットよりも1年長い)1964年から76年ま で同誌に掲載された論文を取り上げ、その特徴を分析した9) 。同誌では、行動科学(レッジは組織 行動と呼んでいる)分野の論文が多く、その内容は経営者支配、管理システム、資源配分、意思決 定、実践的・行動志向的な会計手続き、企業組織の計画モデルとその実践、さらにはマーケティン グ戦略の展開に関するものに集中していた。とりわけ同誌では管理者の役割と組織変革といった テーマ分野に関心が払われていた。 まず管理者の役割だが、それに関する初期の論文は、それがどのような活動から成り立っている のかをたんに考察するものであった。データの収集には、管理者の1日の行動を観察し、出来事の 内 容 と 所 要 時 間 を 日 記 に つ け る と い う 手 法 が 用 い ら れ た 。 こ う し た 研 究 は 、 ミ ン ツ バ ー グ (Mintzberg, H.,1971)いうところの職務活動学派(work activities school)として発展していった。
この管理者活動研究への関心が高まった背景には、1960年代末期にみられたマネジメント教育の成 長がある。すなわち管理者訓練のために管理活動の性質の調査が必要となったのである10)。 レッジによれば、管理者の役割分野には、他の分野に比べて、当時の流行が端的に現れていると いう11)。例えば、1960年代半ばには評価方法に対する批判、60年代から70年代初期にかけては目標 管理、70年代初期にはマネジリアル・グリッド訓練や感受性訓練、さらには組織開発に関する論文 が集中して掲載されている。このことは、管理者の役割が個人的な人間関係技術レベルでは解決で きなくなってきたことを意味している。言い換えれば、論者たちが、管理者の有効性や成績は、関 係する組織や環境の状況と切り離して考えられないという認識を深めたということである。 また、組織的変化の性質、特定の変化の影響、そして変化を促進し、変化の悪影響を処理するた めの戦略に関する論文が多く発表された。 Ⅲ.1980年代の組織研究の地域性調査 1980年代には、組織の分析モデルに多様性がみられるようになり、学問の方向性に地域差が反映 するようになる。ウィルモット(Willmot,1990)によれば、1980年代の組織研究の主たる方向は、 コンティンジェンシー理論、民族社会学(ethnomethodolgy )、ネオ・マルクス主義的な展望に向い ていた12)。さらに90年代にかけて組織研究には、さまざまな理論的な展望や研究の方向性がみられ るようになる。研究内容もこれまでより多元主義的になり、パラダイムの対立が生じた。また、マ ネジメント研究は全般的に北アメリカが優勢であり、国や地域による差異は、労使関係論や組織行 動論のような分野で認められた13 )。北アメリカでは、組織理論は独立した学問分野としての地位 を占めていたが、ヨーロッパでは、社会学の一分野として組織分析が行われており、その中から代 替的なパラダイムや批判的な理論が生まれてきた14) 。 1.オルドリッチの研究
オルドリッチ(Aldrich, H.)は、1978年から1986年にかけて、アメリカの Administration Science Quarterly、Academy of Management Journal、Review と、イギリスやヨーロッパの Organization Studies、Journal of Management Studies を対象に、そこに掲載されたベンソン(Benson)、バレル= モーガン(Burell, G., & Morgan, G.)、クレッグ=ダンカーリー(Clegg, S., & Dunkerley, D.)、モー ガン、そしてシルバーマンの引用数を分析した。ただし、その目的は、ヨーロッパ人とアメリカ人 の違いを探すことではなく、彼らの影響力を調査することにあった。その結果、主たる組織理論に 対する批判的研究の影響が、アメリカ以外の応用社会科学雑誌の論文に一部認められるものの、ア
2.ラマーズの研究
ラマーズは、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、そしてオランダの組織社会学のテキスト 53(論文と書籍)から代表的な5つ、すなわちスコット( Scott, W,R,1981)、チャイルド(Child, J.,1984)、キーザー=クビチェック(Kisser, A., & Kubichek, 1983)、ベルノー(Bernoux, P.,1985)、 そしてラマーズ(Lammers, C.J., 1983)を選び出し、そこに掲載されている合計2,248の参考文献の 出典国を調査した16)。53のうち25が北アメリカ(アメリカかカナダのいずれか)の著者によるもの であった。残りの28の内訳は、イギリス13、ドイツ5、フランス3、オランダ6、そしてオースト ラリア1であった。 表1は、「組織社会学テキストにみる参考文献の出典国比率」を示したものである。そこからは、 次のような特徴点を挙げることができる。 ①アメリカでは9割以上が自国の文献を参考にしている。 ②アメリカ以外の国では、アメリカの参考文献が平均40%以上を占めている。 ③対照的に、フランスは自国の文献が半分以上で、アメリカのものは4分の1である。 ④イギリスとオランダは自国の文献よりアメリカのものを多く参考にしている。 ⑤フランス以外の国では、ドイツやフランスの文献よりイギリスのものを参考にする傾向がある17)。 表1 組織社会学テキストにみる参考文献の出典国比率 6 出典国 アメリカ1 イギリス2 ドイツ3 フランス4 オランダ5 北アメリカ 90.8 54.5 43.3 26 44.5 イギリス 4.9 36.5 8.8 9.4 13.1 ドイツ 2 0.4 43.9 11.5 6.7 フランス 1 1.3 0.8 51 5.8 オランダ 0.7 1.3 0.4 0 28.2 その他 0.6 3.9 0.9 1 1.7 不明 0 2.1 1.9 1 0 ――― ――― ――― ――― ――― 合計 100% 100% 100% 100% 100% N= 606 233 742 96 571
1.Scott (1981)、2.Child(1984)、3.Kisser and Kubicek (1983 )、4.Bernoux (1985)、5. Lammers
(1983)。6.「出典国」は、発表の時点で引用された著者が研究していた国を指す。イギリスで最初研究し
ていたが、その後、カナダやオーストラリアに移動した何人かのイギリスの著者の場合、彼らの研究成果は、 「その他」ではなくイギリスとしてコード化されている。
資料出所:Lammers,C.J., ‘Sociology of Organizations around the Globe. Simillarities and Differences between American, British, French, German and Dutch Brands,' Organization Studies, vol.11, no.2, 1990, p.188.
総じて、アメリカの文献への依存度は5カ国とも高いが、それを除けば自国の文献に集中してい る。とくにアメリカの著者はなぜ他の国の文献を1割程度しか参考にしていないのだろうか。彼ら は、アメリカという局地的な事象を分析することが国際的な視野に立つことと考えているのだろう か。カナダのチャンラット(Chanlat,J.-F.,1994.)によれば、とくにフランスの研究者は、1980年代 まで、言語上の理由だけでなく社会文化的な理由により、英語による文献にほとんど関心を示さな かったようである18)。しかし、フランスはともかく、他の国に対しては、いわゆる民族中心主義と か地方根性といった解釈はあたらないだろう。多分、自国の読者を対象としたテキストという性格 から、自国の状況を分析するためのデータ・事例・理論などを取り込む必要があったのであろう。 では、同じ英語圏でありながら、アメリカでのイギリスの文献に対する低い依存度はどう解釈し たらよいのだろうか。フランスのように言語や文化の違いが英語の文献を用いる障害となっている という理由は、この場合当てはまらない。それは、見方を変えれば、イギリスでのアメリカ文献へ の高い依存度にあらわれているとはいえないだろうか。上述したように、ヨーロッパの中でもとく にイギリスでは、いまだ組織論が社会学から分離していない。したがって、イギリス(アメリカ) ではそれだけアメリカ(イギリス)の社会学の優位性が過大(過小)評価されているのだろうか、 あるいはアメリカという国家ブランドが権威の象徴として好まれているのだろうか。それともパー ソンズ(Parsons, T.)、セルズニック(Selznick, P.)、ブラウ(Blau, P.M.)、ベンディクス(Bendix, R.)、グルドナー(Gouldner, A.W.)、エツィオーニ(Etzioni, A.)、スティンチクーム(Stinchcombe, A.L.)、ヘイグ(Hage, J.)、ホール(Hall, R.H.)、ローレンシュ=ローシュ(Lawrence, P.R., & Lorsch, J.W.)、ウーディー(Udy, S.H.,Jr.)といった代表的な組織社会学者にアメリカ人が多いので、 結果としてアメリカの文献を使わざるを得なくなったのだろうか19)。 イギリスの組織研究は、アメリカと比較して目立たない存在とはいえ、組織研究全体に与えた影 響は大きい。例えば、技術という状況要因と組織構造の体系的関連の実証を行ったウッドワード (Woodward, J.,1965)20)、市場環境の性質による適切な組織のあり方の変化を解明したバーンズ= ストーカー(Burns,T.,& Stalker,G.M.,1961)21、コンティンジェンシー理論を批判したチャイルド
(Child, J.,1977)22)、組織行動の比較分析で有名なアストン・グループ(Aston Group )のピュー=
ヒクソン(Pugh, D.S.,& Hickon,D.J.,1976)23)、そして組織は社会的要素と技術的要素からなる全体
であり、この全体が生存・成長するためには、その環境と効果的に関連しなければならないと主張 する社会・技術システム学派(Socio-technical systems school)といったイギリスの組織研究の成果 は、一般組織論に多大の貢献をしている。
ラマーズによれば、英語以外の言語で書かれたもので、世界中の組織社会学(産業社会学)に影 響を及ぼしたのは、唯一フランスのクロジェの Le Phénomène bureaucratique(Paris: Éditions du
Seuil, 1962.)だけであるという。ドイツでは、ウェーバー(Weber, M.)とミヘルス (Michele, R.)の思想及び知覚の洞察についての基本的なカテゴリーは、いまでも組織社会学の中核的存在で ある。1930年代に社会学分野において、アメリカはドイツからそのリーダーとしての地位を引き継 いで現在に至っている。それは組織社会学の分野でも同じことである。したがって、当該分野では、 数多くのアメリカの研究者と、およそ1ダースのイギリス人、そして1人のフランス人が中心人物 となっている。 こうした点から、ラマーズは、国によってたしかに社会学的な思考法や研究方法に違いがみられ るが、それはおもに研究の種類や方法、その基本的な方向性などがどこまで普及しているかの程度 の違いからきているという。組織研究は代表的な研究成果に収斂していく傾向があり、国家間の違 いよりも、国の内部での違いの方が大きいと結論づけている。 Ⅳ.1990年代の組織研究の地域性調査 90年代に入ると、北アメリカとヨーロッパの組織研究は、また新しい方向に分岐しようとする。 すなわち、コンティンジェンシー・アプローチ以降の組織理論は、組織の戦略行動を認知的レベル から解明する組織認識論(epistemology )や、環境との関係で組織間関係の生成・維持・展開を解 明する組織間関係論といった方向に分岐していく。一方、ヨーロッパではより哲学的な志向が強ま り、イギリスを中心に批判的アプローチへの関心が高まっていく。こうしたパラダイムの多様性の 方向すなわち分岐の傾向に対して、統合あるいは収斂しようとする動きもみられた。 1.ウスディケン=パサデオスの書誌計量的アプローチ研究
次にウスディケン=パサデオス(Üsdiken, B., & Pasadeos, Y.)の研究だが、彼らは、1990年から 1992年にかけて、3回にわたって代表的な組織論専門誌である A.S.Q.と O.S.に掲載された論文を、 書誌計量法を用いて分析した。具体的には、組織分析におけるパラダイムの多様性がどの程度まで 国の違いによるものなのか、とくにアメリカとヨーロッパの地域性を中心に検証した24)。 まず彼らは、A.S.Q.と O.S.に掲載されたアメリカ人とヨーロッパ人の著者がもっとも引用した北 アメリカ人とヨーロッパ人の文献を調査した25)。次いで、彼らは、A.S.Q.と O.S.に掲載されたアメ リカ人とヨーロッパ人の著者が引用した著者の頻度数をランクづけし(表2、3を参照のこと)。 その結果、次のようなことが分かった。 ①それぞれ計2,103、1,285の文献が引用されていたが、そのうちの大部分(1,823-86.7%、1,093-85.7%)はたった一度しか引用されていなかった。 ②両誌ではまったく引用文献の種類もタイプも異なっている。
表2 ASQとOSおける地域別引用文献の頻度数 ASQに掲載された アメリカの著者 OSに掲載された ヨーロッパの著者 アメリカの著者が最も引用した文献 Thompson (1967)
Pfeffer and Salancik (1978)
DiMaggio and Powell (1983) Hannan and Freeman (1977) Hannan and Freeman (1989) Aldrich (1979)
Barnett and Carroll (1987)
Cyert and March (1963)
Hannan and Freeman (1984) Lawrence and Lorsch (1967) Delacroix,Swaminathan,Solt (1989) Fama (1980)
Freeman,Carroll,Hannan (1983) Granovetter (1985)
March and Simon (1958)
Meyer and Rowan (1977) Nelson and Winter (1982) Stinchcombe (1965) Tuma and Hannan (1984)
ヨーロッパの著者が最も引用した文献
Morgan (1986) Weber (1968)
Peters and Waterman (1982) Smircich (1983)
Burrell and Morgan (1979) Burns and Stalker (1961) Chandler (1962) Clegg (1989)
Cyert and March (1963)
Hofstede (1980) Kanter (1977) Silverman (1970)
Berger and Luckmann (1966) Chandler (1977)
Child (1972)
Clegg and Dunkerley (1980)
March and Simon (1958)
Pettigrew (1979)
Pfeffer and Salancik (1978)
Porter (1980) Weick (1979) Williamson (1975) Williamson (1985) 15 13 10 10 9 8 7 7 7 7 6 6 6 6 6 6 6 6 6 − 3 4 1 − − 4 − 7 1 2 1 4 4 2 − 6 1 13 5 3 4 3 4 5 3 2 1 4 − 6 1 3 − − 1 2 5 2 2 1 1 10 10 9 8 7 6 6 6 6 6 6 6 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5
資料出所:Usdiken,B.,& Pasadeos,Y., ‘Organizational Analysis in North America and Europe : A Comparison of Co-citation Networks,’Organization Studies,vol.16,no.3,1995,p.512.
表3 ASQとOSにおける地域別引用文献にみる著者クレジット順位 ASQに掲載された アメリカの著者 OSに掲載された ヨーロッパの著者 ASQに掲載されたアメリカの著者の論文にみる Pfeffer Carroll Hannan Freeman Salancik Williamson March Scott Thompson Zucker Aldrich Jensen Powell Tushman Granovetter Burt DiMaggio Simon Stinchcombe Barnett OSに掲載されたアメリカの著者の論文にみる Morgan Mintzberg Pettigrew Pfeffer Weber Clegg Foucault Jung Burrell Chandler Smircich Williamson Child Giddens March Cooper Porter Ouchi Kanter Peters 32.49 29.14 28.81 26.48 21.66 19.50 17.16 15.16 15.00 15.00 14.50 12.91 11.83 11.82 11.00 10.50 10.00 10.00 10.00 9.65 1.25 4.50 3.00 32.49 5.00 8.00 1.00 19.50 3.50 2.00 17.16 6.00 3.50 9.00 4.50 15.00 3.83 2.83 2.33 3.00 11.00 9.83 3.00 4.00 2.00 5.42 2.00 1.50 3.00 1.00 1.50 6.50 3.00 -21.08 20.83 19.00 15.00 14.00 13.67 13.00 13.00 12.00 11.00 11.00 11.00 10.17 10.00 9.83 9.00 9.00 8.50 8.00 8.00 資料出所:Ibid.,p.514.
③北アメリカでは実証的・分析的なアプローチが主流であるが、ヨーロッパでは学究的なコミュニ ケーション媒体として論文よりも書籍が重視されている。 ④北アメリカでは組織研究において個体群生態学的モデルを中心に、制度理論、資源依存パースペ クティブ、組織への経済学的アプローチ、さらにはコンティンジェンシー理論がいまなお引用さ れている26)。 ⑤ヨーロッパでは個体群生態学や制度論的アプローチの影響がほとんどない。 ⑥ヨーロッパでは外部統制に関する伝統理論、取引費用理論、コンティンジェンシー理論に関連す る研究がみられる。 ⑦ヨーロッパでは研究テーマやアプローチが多岐にわたっているが、強いていえば、戦略、戦略的 意思決定、戦略変革(strategic change)、パワー、組織文化への関心がみられる。 ⑧ヨーロッパ、とくにイギリスではポストモダン的な思考からの影響を受けた論文が見受けられる。 さらに、ウスディケンらは、両誌それぞれに掲載の論文と論文の間に、共通した引用関係がみら れるかどうか分析した。図1と図2は、こうした相互引用ネットワーク(Co-citation Networks)を 図示したものである。 まず、A.S.Q.における相互引用ネットワークから、北アメリカの組織分析の傾向をみてみよう。 この図から、北アメリカの組織研究は、3つの関連した研究群から成り立っていることがわかる。 第1は、社会学者のハナン=フリーマン(Hannan, M.T., & Freeman, J., 1977,1984,1989)の個体群 生態学モデルが1つの核となり、バーネット=キャロル(Barnett & Carroll, G.R.,1987)の組織の生 態学モデルと結びつく研究群である。
第2は、オープン・システム観にもとづく組織と環境の関係の新しい説明枠組みとして資源依存 パースペクティブを展開するプフェファー=サランシック(Pfeffer,J., & Salancik, G.R.,1978)、不確
実な課業環境と組織構造のあり方を体系的に関連づけたトンプソン(Thompson, J.D.,1967)、そし
て制度理論のディマジオ=パウエル(DiMaggio, P.J., & Powell, W.W.,1983)が結びつく研究群であ る。 第3は、トンプソンを中心に、組織における意思決定パターンの解明に新しい概念的枠組みを提 供したサイヤート=マーチ(1963 )、近代組織論のマーチ=サイモン(1958)、ローレンス=ロー シュ(1967)などコンティンジェンシー理論に結びつく研究群である。 次に、O.S.における相互引用ネットワークから、ヨーロッパの組織分析の傾向をみてみよう。こ の図から、ヨーロッパの組織研究は、4つの関連した研究群から成り立っていることがわかる。 第1は、反組織的・ネオ・マルクス主義的なラディカルな構造論を展開するバレル=モーガン
図1 ASQの相互引用ネットワーク 資料出所:Ibid.,p.516. 図2 OSの相互引用ネットワーク 資料出所:Ibid.,p.518. (1979)に、シルバーマン(Silverman, D.,1970)やブレーバーマン(Braverman, H. 1974)のイギ リスを中心とした批判的研究、さらにはコンティンジェンシー理論の先駆者的存在であるバーンズ
=ストーカー(1961)やその批判論者であるチャイルド(1972)が結びついた組織に関する理論化 の性質と展望に取り組む研究群である。
第2は、モーガン(1986)やピータース=ウォーターマン(Peters, T., & Waterman, R.,Jr.,1982) といった組織文化や文化的な視点から組織にアプローチする研究群である。この組織文化論はイギ リスをはじめ至るところに影響を与えている。
第3は、ワイク(Weick, K.E., 1979)、フーコー(Foucault, M. 1980)、ペチグルー(Pettigrew,A., 1985)、バレル(1988)、クレッグ(Clegg, S., 1989)らのポストモダン主義的(post-modernist)な 討議を展開する研究群である。これはとくにイギリスで高い関心を集めている。 第4は、チャンドラー(Chandler,A., Jr., 1962)やマーチ=サイモン(1958)を中心とした経営戦 略や組織形態に関連する研究群である。これはとくにヨーロッパ大陸の国々での関心が高い。 2.ヒクソンの研究 第3に、ヒクソン研究だが、彼は大きく分けて2つの調査を行った27 )。1つは、彼がピュー
(Pugh, D.)やヒニングス(Hinings, B.)と著した Writers on Organization(邦訳書名『組織とは何 か』)28)の各版(1964、1971、1983、1989、1996年)に掲載された代表的な論者の業績を跡づけ、 当時の組織論研究の中心的概念を時系列的に概説したものである(表4を参照のこと)。 いま1つは、1956年から1996年までに、A.S.Q.と O.S.両誌に掲載された論文を比較し、その特徴 について論評を加えたものである。その結果、次のようなことが明らかになった。 ①北アメリカとイギリスを含むヨーロッパの国や地域において、組織論研究はその発展過程におい ていくつかの差異が認められる。 ②アメリカの研究者は同胞の研究成果を参考・引用するが、他国の研究者のそれをほとんど用いよ うともしない。彼らは驚くほど排他的である。 ③地域的に研究者と研究方法の流れをみてみると、西から東ならびに北から南への動きがみられる 反面、データは逆方向に流れている。 ④研究の方向は、一方向に向かっているのではなく、多岐にわたっている。 ⑤O.S.はヨーロッパに基盤をおく英文雑誌である。したがって、英語が第1言語でない研究者には この点が障害になっている。 ⑥北アメリカからヨーロッパにアイデアが流れているようにみえるが、見方をかえると、北アメリ カはヨーロッパの研究から隔離されているともいえる。問題は、アメリカ人とヨーロッパ人の違 いではなく、アイデア、データ、研究方法などの流れが不均衡なことにある。 ⑦ヨーロッパでは、組織理論がほとんど社会学から分離していない。
表4 ピュー・ヒクソン・ヒニングス著『組織とは何か』1∼5版に掲載された代表的著者一覧 全掲載者 新しい掲載者のみ 全掲載者 1964年(1版) 1971年(2版) 1983年(3版) 1989年(4版) 1996年(5版) 1996年(5版) アージリス(Argyris) ベック(Bakke) バーナード(Barnard) ボールディング(Boulding) W・ブラウン(Brown,W.) バーナム(Burnham) バーンズ(Barns) ドラッカー(Drucker) ファヨール(Fayol) フォレット(Follett) グルドナー(Gouldner) ジャックス(Jaques) リッカート&マグレガー (Likert & McGregor) メイヨー(Mayo) サイモン(Simon) テイラー(Taylor) アーウィック&ブレック (Urwick & Breck) ウェーバー(Weber) ホワイト(Whyte,W.H.) ウッドワード(Woodward) (20)
ブレイク&ムートン (Blake & Mouton) サイヤート&マーチ (Cyert & March) エツィオーニ(Etzioni) ガルブレス(Galbraith) ハーズバーグ(Herzberg) パーキンソン(Parkinson) ピーター(Peter) スローン(Sloan) トリスト(Trist) 組織形態と構造: (Form & Structure) チャンドラー(Chandler) ローレンス&ローシュ (Lawrence & Lorsch) ピュー&アストン・グルー プ
(Pugh & Aston Group) シューマッハ(Schumacher) タンネンバウム(Tannenbaum) ウイリアムソン(Williamson)
意思決定とパワー: (Decision Making & Power) クロジェ(Crozier) リンドブロム(Lindblom) ミヘルス(Michels) 管理者の仕事: (Managerial Work) ミンツバーグ(Mintzberg) ヴィッカーズ(Vichers) 批判的研究: (Critical) シルバーマン(Silverman) リーダーシップ&動機づけ (Leadership & Motivation) フィードラー(Fiedler) ロウラー(Lawler) ヴルーム(Vroom) 生き残り戦略: (Survival Strategy) マイルズ&スノー (Miles & Snow) ピータース&ウォーターマン (Peters & Waterman) プフェッファー&サランシッ ク(Pfeffer & Salancik)また トンプソン(Thompson)
個体群生態学: (Population & Ecology) ハナン&フリーマン (Hannan& Freeman) 比較文化論: (Cross-Cultural) ホフステッド(Hofstede) オーウチ(Ouchi) 組織変革と性差: (Change & Gender) カンター(Kanter)
批判的研究: (Critical)
ブレイバーマン(Braverman)
リ ー ダ ー シ ッ プ & 動 機 づ け : (Leadership & Motivation) シャイン(Schein)
制度学派: (Institutionalism) ディマジオ&パウエル (DiMaggio & Powell) ペチグルー (Pettigrew)
多国籍企業: (MNEs)
バートレット&ゴサール (Bartlett & Ghoshal)
組織文化と組織学習: (Culture & Learning) ハンディ(Handy) センジ(Senge) “認知主義”: (Perceptionism) モーガン(Morgan) ワイク(Weick) アージリス(Argyris) バートレット& ゴサール (Bartlett & Ghoshal) ブレイバーマン (Braverman) バーンズ(Burns) チャンドラー (Chandler) クロジェ(Crozier) ディマジオ&パウエル (DiMaggio & Powell) ファヨール(Fayol) ハンディ&フリーマン (Handy & Freeman) ハーズバーグ (Herzberg) ホフステッド (Hofstede) カンター(Kanter) ローレンス&ローシュ (Lawrence & Lorsch) リッカート&マグレガー (Likert & McGregor) マーチ(March) メイヨー(Mayo) マイルズ&スノー (Miles & Snow) ミンツバーグ(Mintzberg) モーガン(Morgan) ピ ー タ ー ス & ウ ォ ー タ ー マ ン (Peters & Waterman) ペチグルー (Pettigrew) プフェファー& サランシック (Pfeffer & Salancik)
ピュー&アストン・ グループと チャイルド&ヒクソン (Pugh & Aston Group with Child & Hickson) シャイン(Schein) センジ(Senge) サイモン(Simon) テイラー(Taylor) トンプソン(Tompson) トリスト(Trist) ヴルーム(Vroom) ウェーバー(Weber) ワイク(Weick) ウィリアムソン (Williamson) (34)
*『組織とは何か』(Writers on Organization)の1∼5版(Pugh, Hickson, & Hinings, 1964, 1971, 1983; Pugh and Hickson, 1989, 1996)の1つ以上に著作概要が選ばれた著者名。
内の著者はすべての版に掲載。
⑧ヨーロッパの研究者はアメリカ人以外の文献を参考にするが、半分は北アメリカのものである。 しかし、アメリカ人研究者は同胞の文献以外のものを参考にしていない。 Ⅴ.組織研究の地域性と方向性 (分岐あるいは収斂) 1970年代から続く書誌計量的アプローチの主たる共通目的は、組織研究における地域性の原因と、 その方向性の分析にあった。しかし各種調査からは、ヒニングスのように、組織研究に対するアメ リカとヨーロッパのアプローチに顕著な違いが認められるという、共通した結果が得られたわけで はない。オルドリッチは、複数のパラダイムの存在と対立を認めるが、パラダイムの多様性に地域 差はそれほど関係ないという。また、ラマーズは、研究の地域性を認めるものの、その原因が主に 当該国・地域における研究の種類・方法・方向性などの普及の程度にあるという。国によっては同 一あるいは類似した組織研究が見出せることから、国ごとの違い以上に国の中での違いの方が大き いともいう。 次に組織研究の方向性についてだが、オルドリッチのように研究の方向性に地域差はほんどとな いという見解もある一方で、ラマーズのように、北アメリカとヨーロッパの社会学的な組織研究が、 社会・文化システム・アプローチ(socio-cultural system approach)とパーティー・モデル(parties model) といった2つの基本的な概念枠組に収斂するという見解もある。また、ウスディケン=パ サデオスのように、北アメリカでは①個体群生態学、②制度理論、③コンティンジェンシー理論、 ヨーロッパでは①組織に関する理論化の性質と展望、とくにイギリスでは批判的研究、②組織文化 的アプローチ、③ポストモダン主義的アプローチ、④経営戦略・組織形態といった中核的な研究群 に、研究の方向性が向いているという見解もある。 また、ジェパーソン(Jepperson, R.L.,1991)のように、90年代の北アメリカとヨーロッパの組織 研究の違いを、おもに分析レベルの違いに求めるものもいる。彼はこの点を、個人主義的アプロー チか構造主義的アプローチならびに興味の事象に対する社会的構造化の程度、といった2つの次元 で説明しようとする29)。例えば、北アメリカで人気がある個体群生態学は構造化の程度は低く、制 度理論は構造化の程度が高い。また同じヨーロッパでも、イギリスと大陸ヨーロッパの研究では構 造化の程度が異なっている。イギリスでは個人主義的で構造化の程度が高く、大陸ヨーロッパでは 組織文化論研究への関心が高いわりに、個人主義的で構造化の程度が低いのが特徴である。この点 から、大陸ヨーロッパと北アメリカの研究は、イギリスと北アメリカの研究よりも多くの類似点が あるということになる30)。こうしたジェパーソンの見解は、70年代のカッセンのたんに北アメリカ とヨーロッパには地域差が認められているという研究結果とは違っている。 ここでイギリスの組織研究について若干触れておこう。イギリスにおける組織研究は、第二次大
戦後、アメリカにみられる組織論のような独立分野として成立せず、社会学の一分野である組織社 会学で行われていた。しかも、数多くの組織に関する研究は、どちらかというと労働社会学ならび に産業社会学分野のテーマであった。そうした中にあって労働社会学の一部が学際的な組織論とし ての組織行動論へとつながっていく。また、イギリスにおいても、北アメリカの社会学的研究の主 たる潮流に成長する社会・文化的なシステム論もみられたが、長続きしなかった。結局、イギリス では、上述したように、社会行動主義、批判的研究やラディカル組織論、そして組織象徴主義的な 研究が主流となった。この批判的研究は、イギリスの組織研究に対して想像以上に多くの影響を及 ぼしており、ドナルドソン(Donaldson, L., 1988)によれば、それが実証的・分析的研究の妨げに なっているという31) 。 新しい組織研究の方向をみてみると、北アメリカの研究はヨーロッパを起源とする研究から隔離 されている。ウスディケン=パサデオスの研究成果にみられるように、北アメリカの研究者はヨー ロッパの文献を引用しない。たとえば、北アメリカの A.S.Q.の論文で最も引用されている文献の 中に、ヨーロッパの論文がほとんどみられない32)。一方、O.S.の論文をみてみると、北アメリカの 論文はヨーロッパでは引用されている。しかし、問題は、北アメリカの研究が、ヨーロッパの研究 にほとんど影響を与えていないことである。さらにヨーロッパでの研究では、フランス以外にもイ ギリスも自らのパラダイムへの固執がみられる。 おわりに 本稿では、1970年代から1990年代中頃までに発表された書誌計量的研究の成果を取り上げ、北ア メリカとヨーロッパにおける組織研究の内容、対象、強調点、方法論、価値観、あるいは方向性な どの違いを考察した。各研究とも、北アメリカならびにイギリスを含むヨーロッパの代表的な組織 研究雑誌に掲載された論文ならびにそこに所収の引用文献から、国や地域の特異性あるいは類似性 を探ろうとしている。結論的には、組織研究には国や地域性が認められるというのが一般的な見解 であった。文化・社会が異なる国・地域において、パラダイムや方法論が異なると考える方が自然 かもしれない。 しかし一口に組織研究といっても、アメリカとヨーロッパではその研究分野が異なっている。す なわち、アメリカでは、組織論が社会学から分離・独立し、1つの学問分野あるいは講義科目とし て確立・制度化されている。一方、ヨーロッパ各国では、組織研究は組織社会学といった社会学分 野の1つの分野で取り上げられている場合が多い。したがって、組織社会学は経営組織論とアプ ローチは異なるものの、全体として組織を対象としていることには違いがないこと、また各国の状 況を考慮し、ここでは同一のものとして扱った。このように組織研究は、まず研究分野としてアメ
リカとヨーロッパで異なっていることが指摘できよう。さら同じヨーロッパでも、イギリスでは社 会学から組織論が分離しておらず、さらに組織研究は組織社会学よりも労働・産業社会学の方で活 発である。フランスでは組織社会学が理論研究の主流であり、労働社会学的な色彩が強いのが特徴 である。ドイツの組織社会学は、一般組織論と融合し、独立した学問分野を確立している。オラン ダの組織社会学は、かなり早い時期に登場している。北大西洋社会と大陸ヨーロッパ社会の中間と いう地理的条件から、他の国からの組織研究の成果や方法に触れる機会が多いためか、組織研究は 多様化している。 次に研究方法であるが、新しいアプローチの誕生により一定のパラダイムに収斂したり、多様化 したりと、収斂と分岐を繰り返している。組織研究は、北アメリカでは、すでに述べたように3つ の研究群に、そしてヨーロッパでは4つの研究群に収斂あるいは統合の方向に進むとともに新しい パラダイムを生み出そうとする方向性もみられる。まさに書誌計量的研究では、組織研究上のパラ ダイムを国や地域間でどのように参考にし、自らの研究方法に取り込んでいるかを、文献の引用数 と引用関係の中から探ろうとする。アメリカは当然のこととして、ヨーロッパでは自国のものより、 あるいは少なくともその次にアメリカの文献を参考にしている場合がほとんどである。イギリスと オランダは自国の文献よりもアメリカのものをより多く参考にしているほどである。これに対して、 フランスは自国の次にアメリカの文献を参考にするが、半分以上が自国のものを参考にしている。 また、同じ英語圏でありながら、イギリスの文献は大陸ヨーロッパではそれほど参考にされない。 イギリスは従来のパラタイムへの反動として批判的・あるいはラディカルな組織論を展開し、独自 の方向性を示している。このことが他の国でイギリスの文献が参考にされない原因の1つであろう。 この書誌計量的アプローチは、学術論文雑誌という制限されたデータに基づいている。問題にな るのは、対象となった雑誌での使用言語が英語ということである。当然のこととして、英語圏から の著者が多く、他の言語圏から投稿・寄稿する者にとって言語が障害となっていることは否めない 事実であろう。かつてあるわが国の経営学者が、わが国においてアメリカ以外にドイツの経営(経 済)学を研究する者が多いのも、ひとえに第2外国語がドイツ語であることに起因しているといっ たことが想起される。上述したように、ラマーズはフランスでの英語文献への依存度の低さとして、 言語上の障害を上げている。それでも彼は、組織研究の違いは国よりも国の内部での違いの方が顕 著であり、研究の方法や種類の浸透の程度差が、地域差があるようにみせているだけであるという。 こうした国・地域別に組織研究の特徴を比較研究することが、当該研究本来の目的ではないにして も、そのパラダイムの内容と位置、さらにはその方向性を知ることは、組織研究はもとより経営学 研究発展の一助となりえよう。
注
1)Sharplin, A.D., & Mabry, R.H., ‘The Relative Importance of Journals used in Management Research: An Alternative Ranking,’ Human Relations, vol.38, 1985, pp.139-149. Pasadeos,Y., & Renfro, B., ‘A Bibliometric Analysis of Public Relations Research,’ Journal of Public Relations Research, vol.4, no.3, 1992, pp.167-187. 2)各国の組織社会学の特徴は、主にオランダの社会学者ラマーズ(Lammers,C.J. )の文献を中心に取りまと
めた。Lammers, C.J., ‘Sociology of Organizations around the Globe: Similarities and Differences between American, British, French, German and Dutch Brands,’ Organization Studies, vol.11, no.2, 1990, pp.179-205.
3)Hannan,M.T., & Freeman,J.H., ‘The Population Ecology of Organizations,’American Journal of Sociology, vol.82,
1977. 個体群生態学の論点については次の文献が詳しい。「①組織にとって成功とは存続することである。
②個々の組織は共通の組織形態を基礎にいくつかの個体群に分類され、③個体群ごとにそのメンバーと ニッチ、環境や組織の長期的存続との間のダイナミックな関係が決まる。④組織および個体群の進化は、 個体群と環境の接点における淘汰のプロセス、およびメカニズムによって決まる。」土屋守章・二村敏子 『現代経営学説の系譜』有斐閣、1989年、299頁。
4)Pugh,D.S., Mansfield,D.J.,& Warner,M., Research in Organizational Behaviour, London, Heinemann, 1975, p.1. 5)Rose, M., Servants of Post-Industrial Power? Sociologie du Travail in Modern France, London:Macmillan, 1979:
Chap.8.
6)Kassem, M. S., ‘Introduction: European versus American Organization Theories,’ in European Contributions to Organization Theory, G. Hofstede and M. S. Kassem (eds.), Amsterdam: Van Gorham, 1976, pp.1-17.
7)Boyacigiller, N., & Adler, N.J.,‘The Parochial Dinosaur: Organizational Science in a Global Context’, Academy of Management Review, vol.16, 1991, pp.262-290.
8)Lockett,G., ‘The Journal of Management Studies - A Review of Past Publications, 1964-1975: An Editorial Note,’ Journal of Management Studies, vol.14, no.2, 1977, pp.123-130.
9)Legge, K., ‘The Journal of Management Studies – A Review of Past Publications, 1964-76: An Editorial Comment,’ Journal of Management Studies, vol.14, no.3, 1977, pp.221-230.
10)職務活動学派については大平浩ニ・幸田浩文・早坂明彦『現代経営学説の探究』中央経済社,1988年の第 2部に詳しい。
11)Legge, op.cit., p.223.
12)Willmot, H., ‘Beyond Paradigmatic Closure in Organizatonal Enquiry,’ in The Theory and Philosophy of Organizatons, J.Hassard & D.Pym(eds.), pp.44-60, London:Routledge, 1990.
13)Whitley, R., ‘The Fragmented State of Management Studies: Reasons and Consequences,’ Journal of management Studies, vol.21, 1984, pp.331-348.
14)Hinings, B., ‘Defending Organization Theory: A British View from North America,’ Organization Studies, vol.9, no.1, 1988, pp.2-7.
15)Aldrich, H., ‘Paradigm Warriors: Donaldson versus the Critics of Organization Theory,’ Organization Studies, vol.9, no.1, 1988, pp.19-25.
16)Lammers, op.cit., pp.179-205.
17)表をみる限り、ドイツは、アメリカのものよりも自国のものを多く参考にしているが、ラマーズはこれを 無視している。ちなみに、ラマーズは、同様の調査を3回行い、他のテキストでも同様の結果が得られた
という。Ibid., p.188.
18)彼は、英語の研究成果がフランスで知られていない、あるいは無視されてきた理由として次のようなもの 挙げている。①言葉上の怠惰、②図書館建設のための大学の資金不足、③組織研究の一部に見られる強い 社会科学的基礎環境の欠如、④フランス社会科学の強い勢力、⑤知識様式を形作る際のパリの知識階級と 出版界が担う中心的役割(Hamon, H., & Rotman, P.,1981 )、⑥思考における知性の相違 Chanlat,J.-F.,’Francophone Organization Analysis (1950-1990): An Overview,’ Organization Studies, vol.15, no.1, 1994, pp.47-80.
19)Lammers, op.cit.,p.190.
20)Woodward,J.,‘Managing and Technology,’Problems of Progress in Industry, no.3, London: H.M.S.O.,1958.;1985; Industrial Organization: Theory and Practice, London:Oxford University Press, 1965.(矢島欽次・中村壽雄訳『新
しい企業組織』日本能率協会、1970年。)
21)Burns, T.,& Stalker, G.M.,The Management of Innovation, London: Tavistock Publications, 1961.(加護野忠男『経
営組織の環境適応』白桃書房、1980年。)
22)Child, J., ‘ Organizational Design and Performance: Contingency Theory and Beyond, ’Organization and Administrative Sceince, vol.8, no.2 and 3, 1977.
23)Pugh,D.S., & Hickson,D.J., Organizational Structure in its Context, Saxon House,1976.
24)Üsdiken, B., & Pasadeos, Y., ‘Organizational Analysis in North America and Europe: A Comparison of Co-citation Networks,’ Organization Studies, vol.16, no.3, 1995, pp.503-526.
25)Ibid., p.512. 26)Ibid., pp.513-514.
27)Hickson, D. J.,‘The ASQ Years Then and Now through the Eyes of a Euro-Brit,’Administration Science Quarterly, vol.41, no.2, 1996, pp.217-228。
28)Pugh, D., Hickson, D.J., & Hinings, B., 1964, 1971, 1983; Pugh, D & Hinings, B.,1989, 1996.(北野利信訳『組織
とは何か−諸学説へのアプローチ』評論社、1983年。)
29 ) Jepperson, R.L., ‘Institutions, Institutional Effects, and Institutionalism,’ in The New Institutionalism in Organizational Analysis, W. W. Powell & P. J. DiMaggio(eds), Chicago: University of Chicago Press ,1991, pp.143-163.
30)Üsdiken, et al., op. cit., p.520.
31)Donaldson, L., ‘In Successful Defense of Organization Theory: A Routing of the Critics,’ Organization Studies, vol.9, no.1, 1988, pp.28-32.
32)実際、Weber, M., Economy and Society: An Outline of Interpretive Sociology, 2 vols, G. Roth, & C. Wittch (eds.), Berkeley, CA: University of California Press, 1968. だけが、3つ以上引用されている。
謝辞 本研究は、平成11年度東洋大学井上円了記念研究助成によるものである。