研究機関 私が現在研究を行っている機関は、アメリカのイリノイ大 学シカゴ校(UIC)です。シカゴは摩天楼が有名なアメリカ中 西部の大都市で(最近ではオリンピック誘致失敗で有名で しょうか?)、人口は約 283 万人、経済・工業・交通の要所 です。UIC はそのシカゴの中心部ダウンタウンのすぐ西に位 置しています。2001 年より、私は UIC 大学院哲学科博士 課程に属しており、2009 年 7 月末から 2010 年 8 月の間、 再びシカゴに滞在し、当大学院の博士論文を執筆していま す。 研究内容 私の専門は哲学であり、その中でも、英米圏の認識論が 現在の主な研究分野です。「認識論」とは、簡単に言えば、 知識や信念に関する哲学です。具体的には、「私たちは何 を知ることができるのか?」、「知識はどのように獲得されるの か?」、「ある事柄について、それが正しいと信じてよいのは どのような場合か?」などの問題を扱います。 私の博士論文のテーマは「知覚的権原 (perceptual entitlement) の理論」です。私たちは知覚を通じて世界に 関する様々な信念を獲得します。例えば、私たちは視覚を 通じて「あのトマトは赤い」ことを信じたりします。でも、このよ うな知覚による信念を正しいものと見なしてよいという保証 はどこにあるのでしょうか?例えば、錯覚や幻覚の可能性を 考えれば、現時点で「正しい」と思っている事柄でも、後に なって間違いだったことが発覚するかもしれません。そこで、 信念を真なるものとして受け入れても構わないという保証は 何によって与えられるのかという問題が、認識論において問 われて来ました。「権原」とは、このような認識的保証の一種 です。伝統的には、認識的保証は、信念の主体がその信念 を正しいと考えてもよい「理由」を有している場合にのみ与 えられると考えられてきました。このような立場を「内在主義」 と言います(また、内在主義的な認識的保証概念は(狭い 意味での)「正当化」と呼ばれます)。それに対して、20 世紀 後半から、認識的保証を主体の心の「内」にある理由にで はなく、信念とその信念が表す対象との関係に求める立場 が登場してきました。この関係は主体に理解されている必 要はなく、言わば主体の心の「外」にあります。ここから、この 立場は「外在主義」と呼ばれます。権原は外在主義におけ る認識的保証概念であり、その理論は 1990 年代以降本 格的に発展してきました。知覚的権原の理論とは、知性、他 人の証言、記憶など様々な 信念獲得ソースの内、知 覚によって獲得された信念 に関して権原のメカニズム を与える理論です。 知覚的権原の理論を展 開している代表的哲学者 は、Tyler Burge, Fred Dretske, Christopher Peacocke の三人です。こ れらの哲学者は別の仕方 で理論を展開しています が、それぞれに問題点が あります。私 は、この 内 Burge の理論が最も見込 みがあると考えているので、彼の理論に幾つかの修正を施 すことによって、知覚による信念に対する認識的保証につい ての十全な理論を提出することを試みています。 以上の博士論文を、私は David Hilbert 教授の指導下 で執筆しています。Hilbert 教授は知覚(特に色の知覚)に 関する哲学の専門家であり、毎週博士論文の一部を書い て提出し、それについて批評してもらうという形で研究を進 めています。哲学的議論については言うまでもなく、学生の 指導方法についても学ぶべき点が多々あり、忙しいながらも 充実した研究生活を送っています。 14 15 「将来、国際協力をするためには英語が必要だ!」と思い 立った私は、部活を引退して4回生になったときに留年覚悟 で2セメスター留学をしました。しかしTOEFLの点数も低い ままミシガンに着いたときに直面した言語の壁は想像以上で した。初めの1、2ヶ月間は聞き取れない、話せないという悔し さから、情けない自分に対して泣いてしまうことも多々ありま した。けれどもこの悔しい気持ちが、私の向上心に火をつけ 大きなエネルギーとなり、留学生活をより濃いものへとさせま した。ここでは、私が思う留学を充実させるために必要な力 を2つ紹介します。それは、努力と行動力です。 留学中に最も必要なのは努力です。英語のスキルが他 の留学生より劣っていた私は、毎日夕食後は19時から24時 まで図書館で勉強をしました。毎日山のようにある課題も、要 領が悪くて時間がかかりながらもきっちりこなしていきました。 また大学ではライティングの力を重視されるので、毎日のよう にライティングセンターという場所でアメリカ人の学生にレ ポート課題の文書を添削してもらいました。そこではさまざま な表現や文法、引用の方法などを教えてもらい、積極的に 質問もして一生懸命取り組みました。 もう1つ必要な力は、どんなことにも挑戦する行動力です。 私は語学クラスやアカデミッククラスの先生に、授業でわから ないことや、どうしたら英語が上達するかという相談を何度 もしにいきました。そうするうちにいろんな先生ととても仲良く なって、お昼ご飯を一緒に食べに行くこともありました。それ から、友達を増やすために大学ソフトボールのクラブチーム に入部しました。アメリカ人の女の子のなかで、アジア人は私 だけ。そんな状況のなかに勇気を出して飛び込んだおかげ で、スポーツを通して英語の力はグンと伸びました。週4回の 練習のほかに、部員の皆と車で5時間かけてオハイオ州に 遠征して試合をしたり、遊園地で遊んだりして、いつも大盛り 上がりで楽しんでいました。さらに、大学で知り合ったアメリ カ人の友達の家に冬休みの間だけホームスティしに行くな ど、チャンスがあればそれをガッチリつかんでいきました。そ れが留学生活を無駄に終わらせないためのポイントです。 図書館で勉強することも確かに大切ですが、遊びの中での 方が早く、実践的に英語を覚えられます。分からないことは すぐに聞けばいいですし、そこで知った表現をどんどん使っ ていけば会話が楽しくて仕方がないものになっていきます。 以上のように、今後留学を考えている方は、留学中は努 力を怠らないこと、そして遊びでも何でも積極的に行動して いくことを心がけておくと、自分自身をひとまわりもふたまわりも 向上させることができます。つらいと感じるときはありますが、 限られた時間しかないと思えば想像以上の力が出せるとき もありますよ。 そうして切磋琢磨して私が得られたものはたくさんありま すが、中でも「何事にも動じない心」「自信」を得られたことを 深く実感しています。 留学当初は、学費の払い方がわからない、授業がわから ない、など問題が次々に生じて、どうにもならなくて焦ってしま いまた泣いてしまう、そんな自分でした。けれどもそうして失 敗を何度も繰り返し、英語の力も付いたおかげで、「何か問 題が生じてもしかるべき答えは必ず出る。なんとかなる。」と、 おおらかに構えられるようになりました。何事にも動じないと いう強い精神力を得られたのです。そして自分に対して自 信もつきました。「これだけ勉強したんだ!こんなにも英語が 話せるようになったんだ!」という自信。そして英語だけでなく 精神的にも強くなった自分に自信がつきました。 これほどまでに自分を成長させる機会を与えてくださった 多くの方々に大変感謝し、この貴重な経験を糧にしてさらに 邁進していこうと思います。
留学体験記「留学に必要な力とそこで得られるもの」
1
0
0
全文
関連したドキュメント
究機関で関係者の予想を遙かに上回るスピー ドで各大学で評価が行われ,それなりの成果
大学は職能人の育成と知の創成を責務とし ている。即ち,教育と研究が大学の両輪であ
仏像に対する知識は、これまでの学校教育では必
それは,教育工学センターはこれで打切りで ございますけれども,名前を代えて,「○○開
大学教員養成プログラム(PFFP)に関する動向として、名古屋大学では、高等教育研究センターの
経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を
特に(1)又は(3)の要件で応募する研究代表者は、応募時に必ず e-Rad に「博士の学位取得
わな等により捕獲した個体は、学術研究、展示、教育、その他公益上の必要があると認められ