198 氏名(生年月日)
本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(86) ハ タ ノ ミチ ヤス波多野道康(昭和
博士(医学) 乙第1250号平成4年2月21日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
腎障害時の尿細管におけるcreatinine分泌に関する臨床的検討
(主査)教授 杉野 信博 (副査)教授 太田 和夫,野本 照子論 文 内 容 の 要 旨
目的 従来,内因性creatinine clearance(Ccr)は腎機能 の低下に伴い,inulinや放射性核種により測定された 糸球体濾過値(GFR)を上回ることが指摘されている,この原因である腎機能低下時の尿細管からの
creatinine分泌動態を検討するため,腎疾患患者を対 象としてCcrとinuhn clearance(Cin)の同時測定を 行った. 対象及び方法 当科入院の慢性腎疾患患者81例と健常者12例の計93 例を対象とし,Cin値によりgroup I(Cin>80ml/min, n=15),group II(80m1/min≧Cin≧40ml/min, n= 41),group III(Cin<40ml/min, n=37)に分類し, Ccr・Cin較差より尿細管からのcreatinine分泌量 (Tcr)を求めた.また上記症例のうち慢性腎炎患者15 例に対し,cimetidine 5mg/kg BWを投与しその前後 でCcr/Cinを測定した. 結果 Cinが低下するにつれCcr/Cin比率は増加し, Cin が同等の症例間でのCcr/Cin比率の較差も拡大した. Tcrはgroup l, II, IIIにおいてそれぞれ0.07±0.173 mg/min(mean±SD),0.205±0.136mg/min,0.333± 0.139mg/minとなり,高度腎機能低下群において最も 高値となった. cimetidine投与によりCcr/Cinは, group ll(n=6) では1.51±0.23から1.18±0.13,group lII(n=9)で は2.00±0.44から1.55±0.25にまで低下し,高度腎機 能低下例においても尿細管からのcreatinine分泌が cimetidineにより抑制されたことが明らかであった. 考察 以上のようにGFRが中等度から高度に低下した段 階においても尿細管からのcreatinine分泌能は保た れ,排泄量は増加しCcrとCinの解離を生んでいる. またその解離の程度は症例により異なるため,Ccrが 正常域にあっても必ずしも真の腎機能低下を否定でき ない. 尿細管でのcreatinine分泌はcimetidineにより抑 制された事:から,creatinineはorganic baseの経路か らも分泌され,またその分泌経路はGFRが40m∀min 以下の腎機能高度障害例においても作動していると考 えられる. 結論 GFR低下に伴い尿細管からのcreatinine分泌量は 増大し,CcrとCinの解離を生む原因となっている,ま た正常Ccrは必ずしも正常糸球体機能を意味しない. 一802一199