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海岸地すべりが大滑動に至るまでの地形変化 Morphological change before the occurrence of landsliding in a coastal landslide

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Academic year: 2021

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海岸地すべりが大滑動に至るまでの地形変化

Morphological change before the occurrence of landsliding in a coastal landslide

〇渡邊達也・三浦竜・山崎新太郎・松浦純生

〇Tatsuya WATANABE, Ryu MIURA, Shintaro YAMASAKI, Sumio MATSUURA

We applied multiple high-precision positioning to observe the process of landslide deformation in a coastal landslide in eastern Hokkaido. Two large sliding events occurred in 2019, with a maximum displacement of ca. 9 m at the terminal of center axis. The monitoring system detected the initiation of small deformation (a few centimeters per month) one to three months before the occurrence of the large sliding. Small deformation started from the center of terminal part after strong wave erosion and spread upward. However, the right side of terminal part was almost stagnant until just before the large sliding. In addition, the direction of landsliding was not uniformly straight, but rotated clockwise as a whole. These results imply that the slip surface is uneven, causing complicated landslide behavior. (126 words)

1.はじめに 地すべり移動体の複雑な挙動を捉えるためには、 観測機器を高密度に配置することが望ましいが、 従来の地すべり観測事例では実現されてこなかっ た。本研究では、北海道浜中町の後静地すべりを 対象に、低コストの小型 GNSS モジュールを利用し た観測システムで地すべりの同時多点連続観測を 実現した。 2.方法 小型 GNSS モジュールを利用した観測ステーシ ョンを作製し、それらを地すべり変動域の 50m× 35m の範囲内に 10 地点(移動局)、および不動域 の 1 地点(基準局)に配置した。2018 年 10 月 6 日から観測を開始し、末端侵食の進行で転倒・落 下の恐れがある場合は、適宜移動局を再配置した。 また、1~2 ヶ月おきに UAV による空撮を実施し、 SfM ソフトフェアに取り込んだ画像から地形表面 モデルを作成し、差分処理で各期間の地すべり末 端侵食量を算出した。 3.観測結果・考察 観測開始以降 2019 年末までに、2 度の大滑動イ ベント(2019 年 2 月 23 日、8 月 10 日)が観測さ れた。2 度のイベントは、共に継続時間が 5~6 時 間で、変位量は末端部中央で最大(約 9m)、末端 部右岸側で最小になる傾向がある。また、変位方 向は、移動体上部ではすべり面傾斜方向の南南東 を向くが、末端部では南向き寄りにシフトしてい き、全体的に時計回りに変動する傾向がみられた。 各観測地点では、大滑動イベント発生の 1~3 ヶ月前から微小変動が発生し、徐々に加速する傾 向が捉えられた。微小変動が開始、加速する時期 は、地すべり末端侵食量が大きい時期と整合する。 侵食量は、太平洋沖を台風や発達した低気圧が通 過した時期に大きくなりやすく、特に南東方向か らのうねりに影響を受けやすいようである。よっ て、波浪による末端侵食を発端として徐々に斜面 の不安定化が進行・波及していくことが伺える。 微小変動の変位方向には、観測地点毎に違いが みられた。地すべり移動体の中軸は、大滑動イベ ント時と同様に、上部は南南東方向へ、末端部は 南方向へ変位する。一方、移動体左岸側の観測地 点は、南南西方向へ変位した後、南~南南東方向 へ向きを変えており、変位量の大きい中軸方向へ 引きずり込まれるような傾向がある。 微小変動の速度は数 cm/month のオーダーであ り、移動体中軸の末端部から変位が開始する。一 旦微小な変動が始まると、徐々に加速、さらに移 動体上部へ変動が波及していき、やがて大滑動に 至る。しかし、末端部右岸側の観測地点だけは、 大滑動イベントの直前までの累積変位量が 1~ 3cm 程度であり、他地点に比べ非常に小さい。こ のことから、地すべり移動体の右岸側末端部のす べり面形状は平滑でなく、それが地すべりの挙動 をより複雑なものにしていると考えられる。

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