カザフスタンの新しい国際私法
著者名(日)
笠原 俊宏
雑誌名
東洋法学
巻
46
号
2
ページ
97-123
発行年
2003-03-01
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00000185/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja︻資 料︼
カザフスタンの新しい国際私法
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原
俊
宏
東洋法学
解 説 一九六三年一二月二八日のカザフスタン・ソビエト社会主義共和国民法典︵一九六四年七月一日施行︶および 一九六九年八月六日のカザフスタン共和国婚姻および家族法典︵一九七〇年一月一日施行、一九九三年一〇月二二 日改正︶については、すでに紹介されているところである︵拙稿﹁中央アジア諸国の国際私法立法に関する研究 ノートーカザフスタン及びウズベキスタンを中心としてー﹂東洋法学四五巻一号七七頁以下︶。それらの旧法はいず れもソビエト連邦法に倣ったものである。近時、ウズベキスタンを始めとする中央アジア諸国、さらには、ロシ アやその他の独立国家共同体諸国における国際私法の改正が相次ぐ中にあって、カザフスタン国際私法もその改 正の近いことが予想されていたが、今般、一九九八年一二月一七日のカザフスタン共和国家族法典︵一九九八年 97カザフスタンの新しい国際私法 二一月二四日施行︶、並びに、それに続くカザフスタン共和国民法典特別編︵一九九九年七月一日施行︶およびカ ザフスタン共和国民事訴訟法典︵一九九九年七月一日施行︶の三つの法典中に新しい国際私法規定ないし国際民 事訴訟法規定が定められるに至った︵︾●妻霧富唇戸Z窪8丙○一一邑o霧−仁且目8ヨ呂8巴8鰻色冥oNoω曽9拝営αR 勾8呂一騨囚錺8富富P艶嚢蹄魯。う﹄ミ鴨ミ§§ミ§、蕊ミヤ§織ささミ§簑象ミ鳥。。ド9器R︶。ここにおいては、そ れらの中、国際私法規定について極く簡略に紹介することとしたい。 まず、それらの諸規定が形式的にも内容的にも独立国家共同体汎加盟国議会立法委員会が提示した﹁法律モデ ル﹂に依拠していることは明らかである。従って、先行した一九九七年のウズベキスタン共和国民法典︵拙稿・前 掲一〇三頁以下︶や、このカザフスタン共和国民法典と同年のベラルーシ共和国民法典︵拙稿﹁外国国際私法立法に 関する研究ノート︵m︶ーベラルーシ民法典中の国際私法規定︵一九九九年︶1﹂大阪国際大学国際研究論叢一四巻四 号六五頁以下︶、さらに、二〇〇一年のロシア連邦民法典第三部︵拙稿﹁ロシア連邦民法典第三部中の国際私法規定に ついて﹂東洋法学四六巻一号六九頁以下︶に見られる諸規定と極く類似したものの数は相当に多い。しかし、仔細に 亘って見れば、﹁民法典モデル﹂を殆ど修正することなく採用したウズベキスタン共和国民法典に比して、カザフ スタン法としての独自性が散見される。 カザフスタンの新しい立法の特徴について言及するならば、次のようないくつかの点を指摘することができる であろう。まず、形式的に見れば、総則規定および財産法関係規定が民法典中にまとめられており、家族法典は 相続を除いて家族法事項に関する各論規定のみを置いている。この点は旧法および右モデルと同様である。しか 98
し、内容的に見れば、旧法が属地主義に則った一方的抵触規定を多く置くことにより、カザフスタン法の適用を 優先していたのに対して、新法においては、婚姻の実質的成立要件、親子関係の確認、養子縁組に関する諸規定 に見られるように、一部には国籍主義をも取り入れた双方的抵触法の形態が整えられており、また、相続の準拠 法の選定における当事者自治が制限的に認められている。その意味からいえば、今日的な国際私法立法の内容が 導入されるに至っているが、右モデルに従ったものにほかならない。また、規定の対象の範囲から欠けている事 項が多かった旧法に比して、婚姻の身分的効果および財産的効果に関する規定等、新たに置かれるに至った規定 も少なくない。さらに、また、外国人によるカザフスタン人たる子の養子縁組が許されるようになったことに象 徴されるように、そこにおいて採られている立場からは、全体として、渉外私法関係について開かれた立場へと 転換されたことが感知される︵薯①一ω富唇叶る壷。ρψ9’︶。国際私法の歴史に見る発達段階としては、このカザ フスタン法の方がわが国のそれよりも進化しているといえるかもしれない。
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二 邦 訳 次に掲げるのは、︵一︶カザフスタン民法典中の国際私法規定、および、︵二︶カザフスタン家族法典中の国際私 法規定の仮訳である。邦訳に当たっては㌔Σ藝蹄魯のミ妹ミ§蕊ご§ミ§、嵐ミ㍗§駄ささミ§駿ミミω8。鉾ψ韻R に掲載されている独語訳に拠った。 99カザフスタンの新しい国際私法 資料一・カザフスタン民法典中の国際私法規定 カ ザ フ ス タ ン 共 和 国 民 法 典 特
2 別
九 編 九 九 年 七 月 日 施 行 二〇〇〇年四月八日改正︶ 100 第七章 国際私法 第六一節 総則規定 第一〇八四条 民事法関係へ適用すべき法および渉外的要素を含む法の決定 一 外国国民または外国法人が関与する民事法関係へ適用される法、または、さらに他の渉外的要素を含む法は、 本法典、他の立法、カザフスタン共和国によって批准された国際条約、または、承認された国際慣習に従い決 定されるものとする。 二 本条第一項に従い、適用すべき法を決定することができないときは、渉外的要素を含む民事法関係と最も密 接に関連している法が適用される。東洋法学
三 裁判所によって適用されるべき法の確定に関する本章の諸規則は、根拠となっている法に関する間題を決定 するための権能を授与されている他の機関によっても同様に適用される。 第一〇八五条 法律概念の性質決定︵法的性質決定︶ 一 裁判所による法律概念の性質決定︵法的性質決定︶は、国際的合意が別段に定めていない限り、裁判所所在 地国の法と一致するその解釈に基づいて行なわれるものとする。 二 法律概念が、裁判所所在地国の法に知られていないか、または、他の意味、若しくは、他の内容をもって知 られており、かつ、裁判所所在地国の法に従った解釈の方法によって確定されることができないときは、法律 概念の性質決定︵法的性質決定︶の際には、外国の法律もまた適用されることができる。 第一〇八六条外国法規定の内容の確定 ︸ 外国法の適用に際して、裁判所は、それぞれの外国におけるその公的解釈、適用の実務および学説に従い、 それに関する規定の内容を確定するものとする。 二 外国法規定の内容の確定のため、裁判所は、それについて定められた手続きにおいて、カザフスタン共和国 法務省、並ぴに、外国におけるものを含め、カザフスタン共和国の他の所轄機関および官庁に援助および説明 を依頼するか、または、鑑定人を召喚することができる。 三 事件の当事者は、それらの者がその請求または抗弁の立証において援用する外国法規定の内容を確証する文 書を提出するか、または、それらの規定の内容の確定において他の方法で裁判所を支援する権利を有するもの 101カザフスタンの新しい国際私法 とする。 四 本条に従って執られた手段に拘わらず、外国法規定の内容が相当の期間内に確定されないときは、カザフス タン共和国の法が適用されるものとする。 第一〇八七条反致および第三国法への送致︵転致︶ 一 本章の規則に従った外国法へのいかなる送致も、本条において定められた場合を除き、当該国の抵触法への 送致ではなく、その実質法への送致として見倣さなければならない。 ニ カザフスタン共和国法への反致、および、第三国法への送致︵転致︶は、本法典第一〇九四条、第一〇九五 条第二項、第三項、第五項および第一〇九七条の範囲における外国法の適用規則に従って行なわれるものとす る。 第一〇八八条法律回避の効果 本法典において規定され、かつ、それによって規律されている法律関係の当事者の合意および他の行為は、法 の適用に関する本章の規則の回避のもとに当該法律関係を他の法に服せしめるものは無効とする。その場合にお いては、本章に従って援用される法が適用されるものとする。
第一〇八九条相互性
一 裁判所は、外国法によれば同様の事実関係にカザフスタン共和国法が適用されるか否かに拘わらず、当該外 国法を適用するものとする。外国法の適用がカザフスタン共和国の立法において相互性の留保のもとに存在す 102東洋法学
る場合は、それから除かれるものとする。 二 外国法の適用が相互性に依拠するときは、別に証明されない限り、それが存在することが推定されるものと する。 第剛〇九〇条 公の秩序︵公序︶に対する侵害 一 外国法はその適用がカザフスタン共和国の法秩序上の基本的原則︵カザフスタン共和国の公序︶に反するこ とになるときは適用されないものとする。その場合においては、カザフスタン法が適用されるものとする。 二 外国法の適用の拒否は、単に当該外国の異なる政治的または経済的制度およびカザフスタン共和国の政治的 または経済的制度に基づかれてはならない。 第一〇九[条強行法規の適用 一 本章の諸規定は、カザフスタン共和国の強行規定自体における指定に従うか、または、国内に在る関係者の 権利の保障および法律上の利益の保護に対するその特別な配慮の考慮において、適用すべき法に拘わらず規律 するその強行法規の効力に関わらない。 二 本章の諸規則に従い、ある国の法を適用するに際し、基礎となっている法律関係と密接な関連性を有する他 のいずれかの国の法によれば、適用すべき法に拘わらず、その強行規定が当該関係を規律すべきときは、裁判 所は、その他の国の法律上のその強行規定を適用することができる。その場合においては、裁判所は、かよう な規定の意義および性格、並びに、その適用の結果をも考慮しなければならない。 103カザフスタンの新しい国際私法 第一〇九二条多数法国の法の適用 異なる領域的または他の法制度が行なわれる国の法が適用されるべきときは、当該国の法に従って適用が行な われるものとする。 第一〇九三条 報復 カザフスタン共和国の国民および法人の権利の特別な制限が存在する国の国民および法人の権利に関し、カザ フスタン共和国により、相応する制限︵報復︶が設定されることができる。 104 第六二節 抵触規定 第一款自然人および法人 第一〇九四条 自然人の属人法 一 自然人の属人法として、その者が国籍を有する国の法が行なわれるものとする。二個またはそれ以上の国籍 が存在するときは、その者が最も密接に関係している国の法が属人法として行なわれるものとする。 二 無国籍者の属人法として、その者が常に居住する国の法が行なわれるものとする。 三 避難民の属人法として、その者に避難を庇護した国の法が行なわれるものとする。 第一〇九五条 自然人の権利能力および行為能力 一 外国国民および無国籍者はカザフスタン共和国においてカザフスタンの国民と同一の民事上の権利能力を享
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受するものとする。カザフスタンの立法によるか、または、国際条約において定められた場合は除かれるもの とする。 二 自然人の行為能力は、その者の属人法に従って規律されるものとする。 三 取引および損害の惹起から発生する債務に関する自然人の民事上の行為能力は、法律行為が締結されたか、 または、損害の惹起に因る債務が発生している国の法に従って規律されるものとする。 四 自然人の個人企業家であるための能力、並びに、それと関連する権利および義務を有するための能力は、自 然人が個人企業家としてのその資格において登録されている国の法に従って規律されるものとする。当該登録 がない場合には、個人企業活動が行なわれる国の法が適用されるものとする。 五 自然人の行為無能力または制限的行為能力の宣告は、当該裁判所がその本拠を有する国の法に服するものと する。 第一〇九六条自然人の失踪宣告および死亡宣告 自然人の行方不明または死亡の宣告は、裁判所がその本拠を有する国の法に従うものとする。 第一〇九七条 自然人の氏名権 自然人の氏名権並びに氏名の使用および保護は、本法典第一五条第五項および第七項並びに第一一〇三条およ び第一一二〇条に含まれている規則から別段にない限り、属人法に従って規律されるものとする。 第一〇九八条 外国におけるカザフスタン国民の民事上の身分行為の登録 105カザフスタンの新しい国際私法 カザフスタン共和国の領域外に居住するカザフスタンの国民の民事上の身分行為の登録は、カザフスタン共和 国の領事館において、かつ、カザフスタンの立法に従って行なわれるものとする。 第一〇九九条外国の身分証書の承認 カザフスタン共和国の領域外において、民事上の身分行為の文書による証明について権限を有する外国官庁に より、その国の立法に従い、カザフスタン国民、外国国民および無国籍者に関して交付される証書は、カザフス タン共和国においてその認証に従って承認されるものとする。 第一一〇〇条法人の属人法 法人の属人法として、法人が設立された国の法が行なわれるものとする。 第一一〇一条法人の権利能カ 一 法人の民事上の権利能力は、法人の属人法に従って規律されるものとする。 二 法律行為の締結に際しては、外国法人は、その機関または代理人の代理権の制限が外国法人の機関または代 理人が行為を行なった国の法に知られていない限り、それを援用することはできない。 三 外国法によれば法人と見倣されるべきでない外国の団体の民事上の権利能力は、その団体が設立された国の 法に従って規律される。その団体の活動に対してカザフスタン共和国の法が適用されるべきである場合には、 カザフスタンの立法または責任の性質が別段に定めない限り、営利団体として活動している法人の活動を規律 する本法典上の諸規定が適用される。 106
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第[国O二条 渉外的要素を有する民事法関係への国家の関与 国家の関与のもとにおける渉外的要素を有する民事法関係については、カザフスタンの立法によって別段に定 められていない限り、本章の諸規定が全体として適用されるものとする。 第二款 私有の無体財産権 第一一〇三条私有の無体財産権の保護 私有の無体財産権については、その権利の保護の請求権の理由となる行為が行なわれるか、または、他の情況 が発生する国の法が適用されるものとする。 第三款 法律行為、代理、出訴期限 第一口〇四条法律行為の方式 一 法律行為の方式は締結地が所在する国の法に服するものとする。但し、外国において締結された法律行為は、 カザフスタン共和国法上の要件が充たされているときは、方式上の無効として見倣されてはならない。 ニ カザフスタン共和国の法人または国民が関与している渉外的経済取引は、締結地に拘わらず、書面による方 式において合意されなければならない。 三 不動産に関する法律行為の方式は、その不動産が所在する国の法に服する。不動産がカザフスタン共和国の 官公庁の登記簿に登記されているときは、カザフスタン法が適用されるものとする。 第一一〇五条 代理権 107カザフスタンの新しい国際私法 代理権の方式および有効期間は、代理権が授与された国の法に従って規律されるものとする。代理権は、それ がカザフスタン共和国法上の要件を全体として充たすときは、方式に欠けることに基づいて無効として見倣され てはならない。
第一一〇六条出訴期限
一 出訴期限は当該法律関係に適用されるべきである国の法に従うものとする。 二 出訴期限に服さない請求権は、カザフスタン国民またはカザフスタン共和国法人が当該法律関係に関与して いるときは、カザフスタン共和国の法に従って規律されるものとする。 第四款 物権 第[ロ〇七条物権法関係の準拠法に関する一般規定 一 不動産および動産に対する所有権および他の物権は、カザフスタン共和国の立法によって別段に定められて いない限り、その財産が所在する国の法に従って規律されるものとする。 二 不動産または動産への帰属、および、当該財産の他の法的性質は、財産が所在する国の法に従って規律され るものとする。 第一一〇八条 物権の成立および消滅 一 資産に対する物権の成立および消滅は、カザフスタン共和国の立法によって別段に定められていない限り、 物権の成立または消滅の原因となる行為または他の情況が生じた当時、その財産が所在する国の法に従って決 108東洋法学
定されるものとする。 二 法律行為の対象である財産に対する物権の成立および消滅は、法律行為の当事者が別段に何らかの合意をし ていない限り、その法律行為が締結される国の法に従って決定されるものとする。 三 取得時効に基づく所有権の成立は、取得時効期間の満了の当時、財産が所在する国の法に従って規律される ものとする。 第一一〇九条 輸送手段および国家登記簿へ服する他の財産に対する物権 輸送手段および国家登記簿へ服する他の財産に対する物権については、その輸送手段または他の財産が登記さ れている国の法が適用されるものとする。 第一一︻O条 運送中の動産に対する物権 法律行為に基づいて運送中である動産に対する所有権および他の物権は、法律行為の当事者の別の合意がない ときは、発送地国の法に従って規律されるものとする。第二一一条 物権の保護
一 所有権および他の物権の保護には、所有者の選択に従い、財産が所在する国の法律、または、係争裁判所が その本拠を有する国の法律が適用されるものとする。 二 不動産に対する所有権および他の物権の保護には、その財産が所在する国の法が適用されるものとする。カ ザフスタン共和国において国家登記簿へ登記されている財産に関しては、カザフスタン法が適用されるものと 109カザフスタンの新しい国際私法 する。 第五款 契約債務 第一一一二条契約当事者による一致した法選択 一 カザフスタンの立法が別段に定めない限り、契約については、契約当事者によって一致して選択された法が 適用されるものとする。 二 準拠法の選択に関する契約当事者の合意は明示されるか、または、契約の条件、および、基礎となる情況に よる全体的考察の方法によって明らかに生じなければならない。 三 契約当事者は、契約全体につき、または、個々の部分について準拠法を選択することができる。 四 準拠法の選択は、契約当事者により、契約締結時においてばかりか、その後においても、随時、行なわれる ことができる。契約当事者はまたいつでも契約の準拠法の変更に関して合意することができる。 第一一=二条法選択のない場合における契約の準拠法 一 契約の準拠法の一致した選択がない場合においては、︵次に掲げる者の︶設立地または住所または主たる活動 地が所在する国の法が適用されるものとする。 ω 売買契約における売り主 ⑭ 贈与契約における贈与者 ⑥ 資産に関する賃貸借契約における家屋または土地の賃貸人 110
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財産の無償使用に関する契約における貸し主 製造請負契約における製造請負人 運送契約における運送人 運送取扱契約における取扱人 貸付または他の融資契約における貸付人 委任契約における代理人 代理店契約における代理店 寄託契約における受託者 保険契約における保険者 担保設定契約における保証人 質権設定契約における質権設定者 独占的権利の使用に関するライセンス契約における許可者 三 準拠法に関する契約当事者の合意がない場合には、本条第一項に拘わらず、次に掲げる国の法が適用される 二 不動産を内容に有する契約による権利および義務、並びに、財産管理の委任に関する契約に対しては、その σ 励 G の σ の q ⑳ O D α ① ︵ 9 ︵ 8 ︵ 7 ︵ 6 ︵ 5 ラ ︵ 4 ラ 財産が所在する国の法が適用される。カザフスタン共和国において国家登録簿に登記されている財産に関して は、カザフスタン法が適用されるものとする。 111カザフスタンの新しい国際私法 も のとする。 ω 共同活動︵協力﹀および建築に関する契約については、当該活動が行なわれているか、または、契約によ って定められた結果が生じる国の法 ω 競争︵入札、競売︶の結果としてか、または、証券取引所において締結された契約については、競争行為 が行なわれたか、または、証券取引所が所在する国の法 四 当事者の適用に服する法律に関する合意がない場合において、本条第一項ないし第三項に挙げられていない 契約については、当該契約の内容として主要な履行を遂行する契約履行当事者が設立されたか、または、その 住所若しくはその主たる活動地を有する国の法が適用されるものとする。契約の内容として主要な意義を有す る履行行為を確定することができないときは、契約が最も密接な関連性を示す国の法が適用されるものとする。 五 契約に従った履行の引受けに関しては、契約当事者が別段に合意していない限り、その履行の引受け地の法 が考慮されるものとする。 六 契約において国際商品取引用語が使用される場合において、契約に別の指示がないときは、契約当事者がそ れらの者の契約関係に対して当該取引用語に関して存在する商慣習が適用されることについて一致しているも のと見倣される。 第一一一四条 外国人当事者との法人の設立に関する契約の準拠法 嗣 外国人当事者との法人の設立に関する契約については、法人が設立されるか、または、設立された国の法が 112
適用されるものとする。 二 本条において規律された法律関係は、法人の設立および解散、法人に対する社員権の譲渡、並びに、法人と 社員の相互の権利および義務に︵それによる効果の合意にも︶関連する限り、法人の社員間のその他の関係を 含むものとする。 三 本条の規則は、その他の設立証書による外国人当事者を有する法人の社員の相互の権利および義務の確定の 際にも適用される。 第一旧一五条 準拠法の適用範囲 [ 本款︵第五款︶の規則に従う契約の準拠法は、特に次に掲げる事項を含むものとする。
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契約の解釈
契約当事者の権利および義務契約の履行
契約の不履行または不完全な履行の効果契約の終了
無効な契約の成立および効果 契約による債権の譲渡および債務の引受け 二 契約の履行の方法および手続き、並びに、不充分な契約の履行の場合において執られるべき措置については、 2 1 ( 3 ︵ 4 ︵ 5 ︵ 6 ︵ 7 ︵ 113カザフスタンの新しい国際私法 それに適用されるべき法のほか、契約の履行が行なわれる国の法も考慮されるべきものとする。 第六款 契約外債務
第二=ハ条単独行為による債務
単独行為︵懸賞広告、委任のない業務執行、その他︶による債務については、法律行為が遂行される国の法が 適用される。単独行為の際の遂行地はカザフスタン共和国の法に従って決定される。第二一七条損害の惹起に因る債務
一 損害の惹起に因る債務からの権利および義務は、損害賠償の請求の原由となった当該行為または他の情況が 生じた国の法に従って規律されるものとする。 二 外国における損害の惹起に因る債務からの権利および義務の当事者が同一国家の国民または法人であるとき は、当該国家の法が適用されるものとする。 三 損害賠償の請求の原由となる行為または他の情況がカザフスタンの立法によれば違法でないときは、外国法 は適用されないものとする。第二一八条消費者の損害に対する責任
商品の購入またはサービスの提供に関連して消費者に惹起している損害の賠償請求権については、消費者の選 択に従い、次に掲げる国の法が適用されるものとする。 ω 消費者の住所が所在する国の法 114東洋法学
㈲ 生産者またはサービスを提供する者の住所または居所地が所在する国の法 ⑥ 消費者が商品を取得したか、または、サービスがその者に提供された国の法第一一一九条不当利得
一 不当な利得の結果として生じる債務については、利得が生じている国の法が適用されるものとする。 二 不当な利得が、財産が取得されたか、または、費消された原因の消滅から生じるときは、準拠法秩序はその 原因が服された国の法とする。 三 不当な利得の概念はカザフスタン共和国の法に従って規律されるものとする。 第七款 知的財産 第︻=一〇条知的財産権 ロ 知的財産に対する権利は、その権利の保護が要求される国の法に従って規律されるものとする。 二 知的財産に対する権利を契約の対象として有する契約は、契約債務に関する本章の規定に従って適用される べき法によって規律されるものとする。 第八款 相続法 第一一二一条相続法関係 相続は、終意処分において遺言者によってその者が国民である国の法が選択されないときは、本法典第一一二 二条および第一一二一二条において別段に定められていない限り、遺言者がその最後の住所を有した国の法に従っ 115カザフスタンの新しい国際私法 て規律されるものとする。 第ニニニ条 人の遺言作成能力および変更能力、遺言および撤回の方式 人の遺言作成能力および変更能力並びに遺言およびその撤回の方式は、遺言者が国民である国の法がその終意 処分においてその者によって選択されていない限り、遺言者がその最後の平常の住所を有した国の法律に従って 規律されるものとする。但し、遺言およびその撤回は、方式が作成地またはカザフスタン法上の要件を満たすと きは、方式に欠けることを理由として無効と見倣されてはならない。 第一一二三条 不動産および国家登記簿へ登記されている財産の相続 不動産の相続はその財産が所在する国の法に従い、また、カザフスタン共和国において国家登記簿に登記され ている財産の相続はカザフスタン法に従って規律されるものとする。かような財産に関して終意処分がなされる ときは、同一の法に従い、人の遺書を作成または撤回する能力並びにその方式も規律される。 第ニニ四条 後見および保佐 一 未成年者、および、行為能力を欠くか、または、行為能力を制限された成年者に関する後見および保佐は、 その者に関して後見または保佐が命じられるか、または、解除される者の属人法に従って命じられるか、また は、解除されるものとする。 二 後見︵保佐︶を引受ける後見人︵保佐人︶の義務は、後見人︵保佐人︶に決定された者の属人法に従って規 律されるものとする。 116
三 後見人︵保佐人︶と後見︵保佐︶のもとに在る者の間の法律関係は、後見人︵保佐人︶を指名した官庁が帰 属する国の法に従って決定されるものとする。但し、後見︵保佐︶のもとに在る者がカザフスタン共和国に居 住するときは、カザフスタン法がその者にとってより有利である限り、それが適用されなければならない。 四 カザフスタン共和国の領域外に居住しているカザフスタン国民のために命じられた後見︵保佐︶は、後見︵保 佐︶の命令またはその承認に対し、権限を有するカザフスタン領事館の側から法的異議が申立てられないとき は、カザフスタン共和国において有効と認められるものとする。 資料二・カザフスタン家族法典中の国際私法規定
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カザフスタン共和国家族法典︵一九九八年一二月一七日︶ ︵一九九八年一二月二四日施行︶ 第七章 外国人および無国籍者への婚姻および家族に関する法規の適用 第二〇〇条 カザフスタン共和国の領域における婚姻挙行 一 カザフスタン共和国の領域における婚姻挙行の方式および手続きは、カザフスタンの立法に従って規律され 117カザフスタンの新しい国際私法 る。 ニ カザフスタン共和国の領域における婚姻挙行の要件は、国際条約が別段に定めない限り、それぞれの婚姻当 事者につき、その者が婚姻挙行の当時帰属する国家の立法に従って規律される。これとともに、婚姻障害に関 し、本法典第九条ないし第一一条において定められた要件が考慮されなければならない。 三 カザフスタン共和国の領域における無国籍者による婚姻挙行の要件は、その者がその平常の住所を有する国 家の立法に従って規律される。 第二〇一条在外カザフスタン共和国大使館または領事館における婚姻挙行 一 カザフスタンの領域外に居住するカザフスタン共和国国民の間の婚姻は、在外カザフスタン共和国大使館ま たは領事館において挙行されるものとする。 ニ カザフスタン共和国の領域において外国大使館または領事館において挙行される外国人の間の婚姻は、当事 者が婚姻挙行の当時カザフスタン共和国における大使または領事を任命した外国の国民であるときは、相互主 義のもとにカザフスタン共和国において承認される。 第二〇二条カザフスタン共和国の領域外において行なわれている婚姻挙行の承認 一 カザフスタン共和国の領域外において婚姻が挙行された領域が帰属する国家の立法の遵守のもとに行なわれ ているカザフスタン共和国国民の間の婚姻挙行、および、カザフスタン共和国国民と外国人または無国籍者の 間の婚姻は、本法典第二条において定められた場合の一が存在しない限り、カザフスタン共和国において有 118
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効と認められる。 ニ カザフスタン共和国の領域外において婚姻が行なわれる国家の立法の遵守のもとに締結された外国人の間の 婚姻は、カザフスタンにおいても有効とする。 第二〇三条 カザフスタン共和国の領域内または領域外において締結された婚姻の無効 カザフスタン共和国の領域または領域外において締結された婚姻の無効は、本法典第二〇〇条および第二〇二 条に従い、婚姻について適用される立法に従って規律される。 第二〇四条 婚姻解消 一 カザフスタン共和国国民と外国人または無国籍者の間、並びに、外国人の間において締結された婚姻の解消 は、カザフスタン共和国の領域においてはカザフスタンの立法に従って行なわれる。 ニ カザフスタン共和国の領域外に平常的に居住しているカザフスタン国民は、カザフスタン共和国の領域外に 居住するその配偶者の国籍に拘わらず、カザフスタンの裁判所により、その者との婚姻の解消させることがで きる。その場合において、カザフスタンの立法に従い、身分登録所における婚姻の解消が許されているときは、 婚姻はまたカザフスタン共和国の大使館または領事館において解消されることができる。 三 カザフスタン共和国の領域外において、当該外国の立法の遵守のもとに行なわれているカザフスタン共和国 国民と外国人または無国籍者の間の婚姻の解消は、カザフスタン共和国において有効と認められる。 四 カザフスタン共和国の領域外において、当該外国の立法の遵守のもとに行なわれている外国人の間の婚姻の 119カザフスタンの新しい国際私法 解消は、カザフスタン共和国において有効と認められる。 第二〇五条 夫婦の身分的および財産的な権利および義務 夫婦の身分的および財産的権利義務は、それらの者がその共通の平常の住所を有する領域が帰属する国家の立 法に従い、また、共通の平常の住所がないときは、それらの者がその最後の共通の平常の住所を有した領域が帰 属する国家の立法に従って規律される。以前にも共通の平常の住所を有しなかった夫婦の身分的および財産的権 利義務は、カザフスタン共和国の領域においてはカザフスタンの立法に従って規律される。 第二〇六条 父子関係︵母子関係︶の確定および否認 一 父子関係︵母子関係︶の確定および否認は、子がその出生の当時帰属する国家の立法に従って規律される。 ニ カザフスタン共和国の領域における父子関係︵母子関係︶の確定および否認の手続きはカザフスタンの立法 に従って規律される。カザフスタンの立法に従い、身分登録所における父子関係︵母子関係︶の確定が許され ている場合には、カザフスタン共和国の領域外に居住している子の両親は、少なくともそれらの者の中の一方 がカザフスタンの国民であるときは、カザフスタン共和国の大使館または領事館に父子関係︵母子関係︶の確 定についての当該申立てをなす権利を有する。 第二〇七条 親子の権利および義務 両親と子の権利および義務は、両親の子に対する扶養義務を含め、それらの者がその共通の平常の住所を有す る領域が帰属する国家の立法に従って規律される。両親と子の共通の平常の住所がないときは、両親と子の権利 120
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および義務は、子が帰属する国家の立法に従って規律される。両親と子の間の訴えによる扶養請求および他の法 律関係については、原告が要求するときは、子が平常的に居住する領域が帰属する国家の立法が適用されること もできる。 第二〇八条 成年者たる子および他の家族構成員の扶養義務 成年者たる子のその両親に対する扶養義務、並びに、他の家族構成員の扶養義務は、それらの者がその共通の 平常の住所を有する領域が帰属する国家の立法に従って規律される。それがないときは、その義務は扶養権利者 が帰属する国の立法に従って規律される。第二〇九条養子縁組
一 外国人によるカザフスタン国籍を保有する子の養子縁組は、カザフスタン共和国の領域においては、本法典 第七六条ないし第七八条、第八二条ないし第八四条および第九六条において定められた要件の遵守のもとにカ ザフスタンの立法に従って規律される。 ニ カザフスタン国民によるカザフスタン共和国の領域における外国人たる子の養子縁組には、子の法定代理人、 および、子が帰属する国家の権限を有する国家機関の同意が得られなければならない。当該国家の立法に従い、 養子の同意が得られなければならないときは、同様に行なわれる。 三 カザフスタン国民であり、かつ、カザフスタン共和国の領域外において居住する子の養子縁組であって、養 親が帰属する外国の権限を有する機関によるものは、子またはその両親または両親の一方がカザフスタン共和 121カザフスタンの新しい国際私法 国からの出発前まで居住していた地における権限を有する官庁の同意があらかじめ得られたときは、カザフス タン共和国において有効と認められる。 四 養子縁組により、カザフスタン共和国の立法およびその国際条約において定められている子の権利が侵害さ れる場合には、養子縁組の言渡しは再び裁判所の手続きにおいて破棄されることができる。 五 カザフスタン共和国の国民である子の引渡しの手続きは、外国人による養子縁組には、カザフスタン共和国 の規律によって確定される。 六 外国人による養子縁組から解放された子の管理は、カザフスタン共和国の大使館または領事館によって行な われる。 第二一〇条 カザフスタンの領域外に居住するカザフスタン共和国国民の身分行為の登録 一 カザフスタンの領域外に居住するカザフスタン共和国の国民の身分行為の登録は、カザフスタン共和国の大 使館または領事館において行なわれる。 ニ カザフスタン共和国の大使館または領事館における身分行為の登録に際しては、申立人がカザフスタン国民 であるときは、カザフスタンの立法が適用される。 第二一一条 外国身分証書の承認 外国の権限を有する機関によって交付され、かつ、カザフスタン共和国の領域外において行なわれている身分 行為を含む証書は、それが、カザフスタン共和国の国民、外国人または無国籍者に関し、当該国家の立法に従っ 122
て交付されている限り、カザフスタン共和国において合法な領事認証に従って承認される。 第二一二条 婚姻および家族に関する外国法のカザフスタン共和国における適用 外国の婚姻および家族立法は、それがカザフスタン共和国の立法に反するときは適用されない。その場合には、 カザフスタン法が適用される。 第二=二条 国際条約 カザフスタン共和国によって批准された国際条約に基づき、婚姻および家族に関するカザフスタン共和国の立 法において定められているものとは別の法規定が行なわれるときは、国際条約の規定が適用される。