Title
キノコの抗腫瘍活性物質に関する研究( 内容の要旨 )
Author(s)
庄, 邨
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(農学) 甲第076号
Issue Date
1996-03-14
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/2417
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(国籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及 び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 貞 庄 榔 (中華人民共和国) 博士(農学) 農博甲第76号 平成8年3月14日 学位規則第4粂第1項該当 連合農学研究科 生物資源科学専攻 静岡大学 キノコの抗腫瘍活性物質に関する研究 主査 静 岡 大 学 教 授 堆 副査 静 岡 大 学 助教授 河 副査 岐 阜 大 学 教 授 加 副査 信 州 大 学 教 授 細 副査 静 岡 大 学 教 授 杉 市 和 治 義 男 奉 拝 宏 明 公 氷 岸 藤 野 山 論 文 の 内 容 の 要 旨 キノコは古くから中国に伝わる漢方薬でその効能については様々に伝承されてきている。 漢方薬としてはマンネンタケ,シ口車クラゲ.セミタケ.冬虫夏草などが有名である。近 年伝統医学が再認識されるとともに.制癌剤としてのキノコ頬の研究をはしめとした生理 機能物質に関する研究が注目されてきている。本研究では.主に液体培養マイクケ (針ノル/∂力・β〟わ∫∂)菌糸体からの抗腫痕活性多糖体を分離し,得られた原多糖を化学修飾 することで.より活性の向上をはかることを目的としたものである0 既に.マイタケ子実 体から抗腫瘍活性多糖が分離され,その活性と構造との関係が論ぜられている0 ここでは 容易に生産可能な液体培養マイタケ菌糸体からの活性多糖との比較にも注目し研究を行っ た。本研究の内容は次のように要約される。 近年.一定条件下で,培養液を循環させる液体培養法が開発された。この開発によりマ イタケ子実体が連続生産されるとともに.同時に多圭の菌糸体が得られる。この液体培養 マイタケ菌糸体から水溶性多糖画分と水不溶性画分に分画したところ.両画分にマウス Sarcoma180固型癌実験に対する抗腫瘍活性.並びにマウスのマクロファージによる覇者な C3補体放出の上昇活性を有することを認めている。これらの構造分析(核磁気共鳴法,赤 外吸収法.糖組成分析など)の結果から.いずれもヘテログリカン或いはそれらの蛋白複合 体であることを示している。 このように調製した抗腫瘍活性多糖を化学修飾し.その構造変化に伴う活性の変化を検討
-116-した。常法に従って.S爪ith分解.蟻酸分解を行った化学修飾多糖は抗腫瘍活性と共に著 しいC3補体放出活性の増大が認められた○ このことは多糖の微細構造変化,活性の関係を さらに進展させる上で興味ある知見である0 また上記多糖画分が補体C3放出活性を強く出 現することは,本活性多糖がBRMの一種としてマクロフツージに刺激を与え.その活性化を 促し.活性化されたマクロフツージの機能として補体C3産生を促進することとなり・担癌 マウスの防御系の強化を通して.抗腫瘍活性を示すものと考案している○ 従来.マイタケ子実休の抗腫瘍活性多糖の主成分はβ一(1→8)或いはβ-(1→3)結合より なるグルカン及びそれらの蛋白複合体であることが知られている。今臥 液体培養マイタ ケ菌糸体から得られた抗腫瘍活性多糖画分はいずれもヘテログリカン或いはそれらの蛋白 複合体であることを示している。このことは子実体と液体培養菌糸体の活性本体の化学構 造が異なることを示しており,今後さらなる.活性多糖高分子画分の詳細な化学構造の解 明が期待される。 次に.上記と同様な抽出スキームに基づいて.ビン栽培鳳尾茸(′/錯ノ・朗用∫J甘力げ-r∂ノ〝 (Fr.)Sings)子実体から顕著な抗腫瘍活性を有する水溶性多糖画分と水不溶性画分を得てい る。これら多糖の構造分析を行ったところ.キシランt グルコキシラン或いはヰシログル カン及びそれらの蛋白複合体であることを明かにしている0 以上の結果から.液体培養マイタケ菌糸休から分画した多糖を主体とした高分子及びこ れらを化学修飾した多糖高分子.また鳳尾茸子実体から分画した多糖高分子にも抗腫瘍活 性を有することを明らかにしている。この場合.原多糖を化学修飾することにより.修飾 多糖はより活性の向上が認められる傾向にあることを示している。抗腫瘍活性発現の様式 は.活性多糖高分子自身がBRM物質の一種として担癌マウスの防御系の賦活を通して,腫瘍を 抑制或いは治癒の効果が顕れることが推定できる○ 審 査 結 果 の 要 旨 平成8年1月31日.静岡大学農学部において.審査員全員出席のも とに約40分間に亘る発表と約20分間の質疑応答が行われた。各巻査 負からの質問に対し.適格に対応できており,発表態度も良好であ っ た。 本研究はJ主に量産可能な液体培養マイタケ菌糸休とビン栽培鳳 尾茸子実体から抗腫瘍活性多糖の分離法を確立とともに.得られた 原多糖を化学修飾することで.より活性の向上をはかることを目的 としたものである。本研究は下記の学術雑誌に掲載され.その内容 は次のよ う に要約される。
ー117-第一報(日本食品工業学会誌.掲載済み) 液体培養マイ タケ菌糸体から抗腫瘍活性(マウ スSarcoma180)多糖. 頬を分離.分画する系統的な方法を確立した。これらはいずれもヘ テ ロ グリ カ ン或いはヘテ ログリ カ ン蛋白複合体であった。動物実験 結果よ り,活性多糖はBRMの一種と して担癌マウ スの防御系の賦活を 通して.腫瘍の増殖を抑制或いは縮/トさせると考察した。 第二報(日本食品工業学会誌,掲載済み) 液体培養マイクケ菌糸体多糖をポリ アルデヒド化.ポリ アルコー ル化.ホル ミ ル化し.修飾多糖を調製した。原多糖は抗腫瘍活性が 認められなかったが.化学修飾多糖にはその活性の発現が認められ た。この中から比較的高い抗腫瘍活性を示した修飾多糖には.C3補 体の放出活性が認められた。 第三報(Biosci.Biotech.BiocheTh.(日本).掲載済み) 鳳尾葺から分離.分画した抗腫瘍活性多糖類は蛋白をいずれも含 み、多糖部分はキシログルカ ン,マンノ ガラクタ ン.キシラ ン.グル コ キ シ ラ ンであ った。 これらのう ち.蛋白含有キ シラ ン.キ シロ グ ルカ ンに比較的強い抗腫瘍活性が示された。 以上について.審査委貞全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合 農学研究科の学位論文と して十分価値のあるものと認めた。