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現代中国の経済発展と土地承包の流転・移転に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

現代中国の経済発展と土地承包の流転・移転に関する研究(

内容の要旨(Summary) )

Author(s)

王, 峰

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(農学) 甲第447号

Issue Date

2007-03-13

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/21379

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

名(本個)籍)

の 種 類

記 番 号

学位授与年月

学位授与の要件

研究科及び専攻

研究指導を受けた大学

学 位

論 文 題 目

査 委

(中華人民共和国)

博士(農学)

農博甲第447号

平成19年3月13日

学位規則第3条第1項該当

連合農学研究科

生物生産科学専攻

信州大学

現代中国の経済発展と土地承包の流転・移転に関する

研究 主査

信州大学

副査

信州大学

副査

岐阜大学

授 授 授

副査

静岡大学

教 副査

信州大学

授 授

藤々部

口 小 野

一隆

文 の

の 要 旨 「改革開放」政策に伴う急速な経済発展は、その一方で都市・農村間に隔絶した経済格 差を発生させた。農村における農業収益性の低下は、農民の農地に対する経済的意識の希 薄化を促し、非農業部門へ就業する農民の増加や農民土地使用権の「流転・移転」を招来 した。しかし、かかる農民土地使用権の「流転・移転」の進展は、その権利・義務関係の 不明瞭や制度運用における諸問題、それに伴う大きな矛盾を噴出させている。 本論文は、農民土地使用権の流転・移転状況等に関する具体的な調査・分析を行い、政 治的変動を招来させかねない「所有権」「請負権」「使用権」等をめぐる農村基層社会の 諸閉居について検討した。 以下、本論文の論点は次の点である。 第一に、計画経済時代の平等主義に伴う弊害を打破すべく、改革開放政策では平等より も効率を優先させる政策展開(=「先富論」)を推進したが、20年に及ぶ改革開放政策は 中国経済の高成長の一方で所得格差の増大をもたらした。第1章では、現代中国の経済発 展および農業・農村の現状を、統計データを用いて整理し、その発展の方向性を概観して いる。 第二に、農村部における支配・統治の徹底において、中国共産党は建国後も旧来の共同 体を中心とした宗族を利用し、農村幹部に「家族権力」を担保させた。人民公社の解体を 契機に基層(=村)組織の合法性が喪失したにもかかわらず、農村幹部=家族権力は依然 として蔓延し、農村・農民を支配している。これが農村幹部と村民の間に矛盾をもたらし、 農民による上訪(陳情)やデモ等を引き起こしている。第2章では、この農村幹部=家族

(3)

権力による家族政治におけるさまざまな問題及び実態を、鄭州市G村の事例をもとに明ら かにした。 第三に、土地承包に関する研究は、中国においても盛んであるが、土地と村、村民小組、 農民をめぐる諸関係は充分に解明されているとは言い難い。第3章では、村・土地・農民 をめぐる諸関係に関して、①村及び村民小組の歴史的間穎、②農村戸籍の持つ意味、③農 村土地承包の成立過程、④農地流転方式、の4点を中心に検討した。 第四に、197各年の生産承包責任制への移行後、中国農村での土地所有権は国家ではな く集体(=村)に属し、農業・農村政策はそこでの土地承包(請負)の安定化を主目標と して展開した。これら承包地(請負地)は農民の「生活保障」(生存権)的側面が強く、 生活の基盤を支えるものとして存在した。それゆえに、承包地の流動化は、打工等による

安定した農外収入の実現なくして進展しない。また、家族成員の増減等農家構成員数の変

化に応じた承包地の調整(分配)が行われない場合、生計の維持が困#となるため、村レ ベルではこの調整を重要視している。第4章では、土地承包経営(権)及び土地調整を『農 村土地承包法』と関連して農民がどのように観念・認識しているか、その実態を河南省に おける2つの村民小組の調査結果をもとに明らかにした。 第五に、中国では、経済発展=工業化・都市化の進展に伴って、必要とされる工業用地 ・住宅用地の大部分が農地の収用・転用によってまかなわれる(「土地不足」)。「土地股 扮合作」は、このような状況の中で中国沿岸部、とりわけ広東省、漸江省、江蘇省等で成 立した土地使用形態であり、農地の都市的利用へ転用をおこなった場合、国家所有とせず、 集体所有のまま農民戸籍の農民に分配するシステムである。第5章では、社会主義中国に おいて最も資本主義的な典型である土地(農地)の股扮化・資本化・証券化を導入するこ との意味を、具体的な調査をもとに明らかにした。 本論文のオリジナリティは次の点である。 第1に、具体的な村民委員会、村民小組(日本の自然村)段階の農家・農民悉皆調査を 実施して論点を提示している点である。中国においても、こうした村民小組段階の農家の 悉皆調査を実施して研究したものは管見の限りではない。調査が困難な中で、これを実施 したことそれ自体も高く評価される。 第2に、農村基層社会をめぐる共産党支部と村民委員会、および農民との関係、具体的 には統治システムに関する問題を、農民の上訪(陳情)等に関する一次資料の収集、およ

びそれに関するフォローアップ繭査を行い、党と村民委員会、農民の関係を明らかにした。

具体的には共産党は農村支配のために旧来の慣行的な宗族支配システムを利用しているこ とを明らかにした。それは土地承包そして土地調整という土地問題に関わってより発現す ることを明らかにした。 第3に、土地承包経営(権)および土地調整に対する農家悉皆調査をすることにより、 「30年不変」の原則のもと、承包権の第三者への移転・譲渡等を可能にする『農村土地 承包法』が、基層の農村および農民には十分行き届いていないことを明らかにした。

果 の 要 旨

「改革開放」政策に伴う急速な経済発展は、その一方で都市■農村間に隔絶した経済

格差を発生させた。農村における農業収益性の低下は、農民の農地に対する経済的意識

の希薄化を促し、非農業部門へ就業する農民の増加や農民土地使用権の「流転・移転」

(4)

を招来した。しかし、かかる農民土地使用権の「流転・移転」の進展は、その権利・義

務関係の不明瞭や制度連用における諸問題、それに伴う大きな矛盾を噴出させている。

本論文は、農民土地使用権の流転・移転状況等に関する具体的な調査・分析を行い、

政治的変動を招来させかねない「所有権」「請負権」「使用権」等をめぐる農村基層社

会の諸問題について検討した。

以下、本論文の論点は次の点である。

第1に、農村部における支配・統治の徹底において、中国共産党は建国後も旧来の共

同体を中心とした宗族を利用し、農村幹部に「家族権力」を担保させた。人民公社の解

体を契機に基層(=村)組織の合法性が喪失したにもかかわらず、農村幹部=家族権力

は依然として蔓延し、農村・農民を支配している。(秦2章)。

第2に、土地と村、村民小組、農民をめぐる諸関係は充分に解明されていないので、

いるがで①村及び村民小組の歴史的問題、②農村戸籍の持つ意味、③農村土地承包の成

立過程、④農地流転方式、の4点を中心に検討した(第3章)。

第3に、1978年の生産承包辞任制への移行後の土地承包(請負)は農民の「生活保障」

(生存権)的側面が強く、生活の基盤を支えるものとして存在した。それゆえに、承包

地の流動化は、打工等による安定した塵外収入の実現なくして進展しない。また、家族

成員の増減等農家構成員数の変化に応じた承包地の調整(分配)が行われない場合、生

計の維持が困難となるため、村レベルではこの調整を重要視している(第4章)

第4に、「土地股扮合作」は、中国ぬ岸部、とりわけ広東省、漸江省、江蘇省等で成

立した土地使用形態であり、農地の都市的利用へ転用をおこなった場合、国家所有とせ

ず、集体所有のまま戯民戸籍の腰民に分配するシステムである(第5章)。

本論文のオリジナリティは次の点である。

第1に、具体的な村民委員会、村民小組(日本の自然村)段階の農家・農民悉皆調査

を実施して論点を提示している点である。中国においても、こうした村民小組段階の農

家の悉皆調査を実施して研究したものは管見の限りではない。調査が困難な中で、これ

を実施したことそれ自体も高く評価される。

第2に、農村基層社会をめぐる共産党支部と村民委員会、および鹿民との関係、具体

的には統治システムに関する問題を、戯民の上訪(陳情)等に関する一次資料の収集、

およびそれに関するフォローアップ調査を行い、党と村民委員会、農民の関係を明らか

にし、共産党は靡村支配のために旧来の慣行的な宗族支配システムを利用していること

を明らかにした。

第3に、土地承包経営(権)および土地調整に対する農家悉皆調査をすることにより、

「30年不変」の原則のもと、承包権の第三者への移転・譲渡等を可能にする『農村土地

承包法』が、基層の農村および農民には十分行き届いていないことを明らかにした。

以上について、審査員一同、本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の学位論文と

して十分価値あるものと認めた。

【基礎となる学術論文】

1.主峰・加藤光一・中川洋介・楊暁波・「土地調整と農村土地承包経営(権)一中

国・江南省における2つの村民小組を例に-」『農業・食料経済研究』第53巻1

(5)

号予定、(受理)

2.主峰・加藤光一・中川洋介「家族政治と村一江南省鄭州市G村における村共産

党支部と村民委員会-」『村落社会研究』第14巻1号予定、(受理)

参照

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