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居住空間における空気質に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

居住空間における空気質に関する研究( 内容の要旨

(Summary) )

Author(s)

樋田, 淳平

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(農学) 甲第477号

Issue Date

2008-03-13

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/23484

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏 名(本(国)籍)

の 種 類 学

記 番 号

学位授与年月

学位授与の要件

研究科及び専攻

研究指導を受けた大学

論 文 題 目

査 委 員 会 樋 田 淳 平 (三重県)

博士(農学)

農博甲第477号

平成20年3月13日

学位規則第3条第1項該当

連合農学研究科

生物資源科学専攻

静岡大学

居住空間における空気質に関する研究

主査

静岡大学

教 授 滝 副査 静岡大学 准教授 渡 副査

岐阜大学

教 授 篠 副査

信州大学

教 授

蓮 田 本 二 拡 彦 彦 欽 善 守

文 の 内

の 要 旨 本研究では、室内空気質に関する基礎データを収集することを目的として、新築住宅の 室内空気質の実態調査、美住宅における3年間のVOC放散挙動の測定、小形チャンバー 法による微量トルエン含有接着剤からのトルエン放散試験、カップ法による拡散係数の測 定を行った。 (1)新築住宅の室内空気質の実態調査 2001∼2002年に新築された木質系住宅52棟、及び改正建築基準法施行以降の2004年 に新築された木質系住宅19棟の室内空気質を調査した結果、ホルムアルデヒド気中濃度 は2004年で約20、%となり、年々減少傾向を示しているが、アセトアルデヒド気中濃度は 2004年の測定で約89%の部屋で指針値を超過し、低減化が進んでいないことがわかった。 また、アセトアルデヒドは、ムク材を使用することで気中濃度が低くなることが示唆され た。トルエン、スチレンは両者とも一般仕様住宅の方が天然仕様住宅より高濃度であり、 スチレンはワックス等の表面仕上げ材が放散源の可能性がある。天然材料を多用している 住宅ではテルペン類が放散の多くを占め、テルペン類以外の物質については加工材料を多 用している住宅で放散が多く、天然材料からは放散が少ないことが示唆されたQ (2)美住宅における3年間のVOC放散挙動の測定 内装仕様の異なる美住宅の室内空気質の実態調査を約3年間に渡って行なった結果、ホ ルムアルデヒド及びアセトアルデヒド気中濃度は、全ての住宅において温度依存性及び湿 度依存性が示唆され、竣工から1年以内の夏場に最も気中濃度が高くなった。天然材料か らのアセトアルデヒド放散は少ないと考えられる。木材由来成分であるテルペン類は、天 然材料を多用している住宅で100恥g′m3以上の高い値を示したが、3年経過後には細0

〃g/m8以下となった。天然材料を使用していない住宅ではテルペン類の放散はほとんど見

(3)

られなかった。TVOC気中濃度は、天然材料を多用している住宅の方が天然材料を使用し ていない住宅よりも気中濃度が高い傾向を示した。これは、天然材料由来成分の影響と考 えられる。また、換気によってTVOC濃度が高い外気を室内に取り入れ、室内の・気中濃度 が高くなる場合があることが示唆された。 (3)微量トルエンを含有した各種接着剤からのトルエン放散試験 MSDS に記載されない微量のトルエンを含む接着剤からのトルエン放散を小形チャン バー法により測定し、放散への影響を検討した結果、微量トルエン含有エポキシ樹脂系接 着剤では、気中濃度が高くなる-のは施工から7日程度であることが示唆された。したがっ て、トノ}エン含有量が1%未満であっても、7日程度は顕著にトルエンが放散し、気中濃度 に影響を与えることが明らかとなった。そのため、新築住宅では引渡しまでに養生期間を とり、トルエンの放散量を十分に低下させる必要がある。 また、接着剤及び被着材を変え、放散にどのように影響するかを調べるためトルエン放

散試験を行った結界、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤は溶剤形スチレン.ブタジエン

ゴム系接着剤の1/3程度の値であった。貼り合わせる被着材にカラマツ合板+ナラ材を使用

した床試験体Bでは、カラマツのみの床試験体Aよりも長期に渡って放散する可能性が示 唆された。ケイ酸カルシウム板試験体では、7日目には全ての接着剤でほぼ0になり、放 散の持続性は認められなかった。したがって、接着剤や被着材の性質によって放散量およ び放散挙動が異なることが明らかとなった。よって接着剤からのVOC放散を評価する際 には、被着材の差異を考慮する必要がある。 (4)カップ法による拡散係数の測定 基材の化学物質放散傾向を把握することを目的とし、カップ法を用いて各種木質材料及 びケイ酸カルシウム板の拡散係数測定を行った。 拡散係数は、有機物質のトルエン、n・へブタン、メタノールではケイ酸カルシウム板が 最も大きく、次いでベイツガ材、ナラ材、カラマツ合板の順であった。蒸留水ではベイツ ガ材が最も大きく、次いでケイ酸カルシウム板、ナラ材、カラマツ合板の順であった。拡 散係数の差異の最も大きな原因としては、材料の内孔などの内部構造や成分によると思わ れるが、拡散する物質及び材料の化学的性質も影響する可能性が示唆された。 以上の結果より、本研究で得られた知見をまとめると以下のようになる。 1)新築住宅のホルムアルデヒド気中濃度は年々減少傾向を示しているが、アセトアルデ ヒド気中濃度は低減化が進んでいない。 2)住宅におけるホルムアルデヒド、アセトアルデヒド気中濃度はともに温度依存性及び 湿度依存性が認められ、竣工から1年以内の夏場に最も高い気中濃度となった。 3)天然材料を多用した住宅では、テルペン類など天然材料由来物質の放散が多くを占め、 一般仕様の住宅ではテルペン類以外の物質が放散の多くを占めていた。 4)接着剤中に含有するトルエンは、MSDSに記載義務のない1wt%未満の含有量であっ ても放散に影響し、その放散量及び放散挙動は接着剤及び被着材の性質に大きく影響され ることが示唆された。そのため、接着剤からのVOC放散を評価する際には、これらの差 異を考慮する必要がある。 5)材料の化学物質拡散係数は、材料の内部構造などの他に、拡散する物質及び材料の化 学的性質が影響する可能性が示唆された。

(4)

果 の 要 旨

本研究では、室内空気質に関する基礎データを収集することを目的として、新築

住宅の室内空気質の実態調査、美住宅における3年間のVOC放散挙動の測定、小形

チャンバー法による微量トルエン含有接着剤からのトルエン放散試験、カップ法によ

る拡散係数の測定を行った。

まず、2001∼2002年に新築された木質系住宅52棟、及び改正建築基準法施行以

降の2004年に新築された木質系住宅19棟の室内空気質を調査した結果、ホルムア

ルデヒド気中濃度は2004年で約20%となり、年々減少傾向を示しているが、アセト

アルデヒド気中濃度は2004年の測定で約89%の部屋で指針値を超過し、低減化が進

んでいないことがわかった。また、アセトアルデヒドは、ムク材を使用することで気

中濃度が低くなることが示唆された。トルエン、スチレンは両者とも一般仕様住宅の

方が天然仕様住宅より高濃度であり、スチレンはワックス等の表面仕上げ材が放散源

の可能性がある。天然材料を多用している住宅ではテルペン類が放散の多くを占め、

テルペン類以外の物質については加工材料を多用している住宅で放散が多く、天然材

料からは少ないことを示唆した。

次に、内装仕様の異なる美住宅の室内空気質の実態調査を約3年間に渡って行な

った結果、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒド気中濃度は、全ての住宅において

温度依存性及び湿度依存性が示唆され、竣工から1年以内の夏場に最も気中濃度が

高くなった。天然材料からのアセトアルデヒド放散は少ないと考えられる。木材由来

成分であるテルペン類は、天然材料を多用している住宅で1000〃g/m3以上の高い値

を示したが、3年経過後には300〃g/m3以下となった。TVOC気中濃度は、天然材

料を多用している住宅の方が天然材料を使用していない住宅よりも気中濃度が高い

傾向を示した。また、換気によってTVOC濃度が高い外気を室内に取り入れ、室内

の気中濃度が高くなる場合があることが示唆された。

さらに、MSDSに記載されない微量のトルエンを含む接着剤からのトルエン放散

を小形チャンバー法により測定し、放散への影響を検討した結果、微量トルエン含有

エポキシ樹脂系接着剤では、気中濃度が高くなるのは施工から7

日程度であること

が示唆された。したがって、トルエン含有量が1%未満であっても、7日程度は顕著

にトルエンが放散し、気中濃度に影響を与えることが明らかとなった。そのため、新

築住宅では引渡しまでに養生期間をとり、トルエンの放散量を十分に低下させる必要

がある。

また、接着剤及び被着材を変え、放散にどのように影響するかを調べるためトルエ

ン放散帯験を行った結果、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤は溶剤形スチレン・ブ

タジエンゴム系接着剤の1/3程度の値であった。貼り合わせる被着材にカラマツ合板

+ナラ材を使用した床試験体Bでは、カラマツのみの床試験体Aよりも長期に渡って

放散する可能性が示唆された。ケイ酸カルシウム板試験体では、7日目には全ての接

着剤でほぼ0になり、放敵の持続性は認められなかった。

基材の化学物質放散傾向を把握するために、カップ法を用いて各種木質材料及びケ

イ酸カルシウム板の拡散係数測定を行った。拡散係数は、有機物質のトルエン、n-へプタン、メタノールではケイ酸カルシウム板が最も大きく、次いでベイツガ材、ナ

(5)

ラ材、カラマツ合板の順であった。拡散係数の差異の最も大きな原因としては、材料

の内孔などの内部構造や成分によると思われるが、拡散する物質及び材料の化学的性

質も影響する可能性が示唆された。

以上について,審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の

学位論文として十分価値あるものと認めた。

「学位論文の基礎となる学術論文」

1)樋田淳平,田中裕也,山田雅章,滝欽二,吉田弥明(2006).2001∼2002年に新築され

た木質系住宅のカルポニル化合物気中濃度の実態調査.木材学会誌52(4),215∼220

2)樋田淳平,高塚早紀,山田雅章,滝欽二,吉田弥明,山田誠(2007).改正建築基準法に対応

した新築住宅における室内空気質の実態調査(第1報)カルポニル化合物気中濃度の実

態.木材学会誌53(1),34∼39

3)樋田淳平,高塚早紀,山田雅章,滝欽二,吉田弥明,山田誠(2007).改正建築基準法に対応

した新築住宅における室内空気質の実態調査(第2報)VOC気中濃度の実態.木材学会誌

53(1),40∼45

参照

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