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低採算貸出の増加と金融脆弱性―金融システムレポートの分析から―

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Academic year: 2021

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(1)地方銀行の経営戦略. 低採算貸出の増加と金融脆弱性. ―金融システムレポートの分析から― 川 本 卓 司 目 1.はじめに 2.企業部門の変貌:無借金企業の増加 3.「低採算貸出」の増加. 次 4.金融システムの潜在的な脆弱性 5.地方銀行の課題. 無借金企業の増加や低金利の長期化を背景に、地方銀行の厳しい収益環境が続いている。多くの地方銀行は、 ミドルリスク企業向け貸出を中心にリスクテイクを積極化させているが、金利競争の激化を主因に採算が悪化し ており、収益力低下に歯止めがかかっていない。こうしたもとで、自己資本の増加がリスクアセットの拡大に必 ずしも追いついておらず、自己資本比率は緩やかな低下傾向にある。地方銀行は、将来の景気悪化リスクも念頭 に、ストレス耐性の強化を図る必要がある。. げた分析を行っているのが、地方銀行による「低. 1.はじめに. 採算貸出」の問題である。地方銀行の基礎的収益. 日本銀行は、年2回公表する金融システムレポ. 力は、地域経済の構造的な成長力低下や低金利環. ート(Financial System Report:以下、FSR)に. 境の長期化を背景に、低下傾向にある。こうした. おいて、わが国金融システムの安定性を分析・評. もとで、地方銀行が、収益確保を図るべく近年注. 価している。具体的には、金融循環や金融機関の. 力しているのが、ミドルリスク企業向け貸出の積. ストレス耐性について定期的に点検するととも. 極化による信用面でのリスクテイクである。もっ. に、金融システムに内在する潜在的な脆弱性につ. とも、ミドルリスク企業向け貸出は、銀行間の金. いてマクロプルーデンスの視点から分析を行って. 利競争が激化するもとで、信用リスクに見合った. いる(注1)。. 利鞘の確保が難しく、銀行にとって低採算となる. こうした金融システムの潜在的な脆弱性につな がる、ひとつの要因として、最近のFSRで掘り下. 事例が増えてきている。 そこで、本稿では、こうした地方銀行の「低採. 川本 卓司(かわもと たくじ) 日本銀行金融機構局金融システム調査課長。1996年東京大学経済学部卒業後、日本銀行 入行。2004年ミシガン大学経済学部大学院博士課程修了 (Ph.D.取得) 。金融市場局企画役、 企画局企画役、調査統計局企画役を経て、17年7月より現職。. 28. 証券アナリストジャーナル 2019. 2.

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