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不連続双対定理

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Academic year: 2021

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不連続双対定理

ON A

DISCONTINUOUS DUALITY THEOREM

吉野太郎 YOSHINO TARO (東京大学大学院数理科学研究科)

ABSTRACT. For a subset $L$ in a Lie group $G$, the set of all the

subsets$H$in$G$with theproperty$L$rh$H$is saidtobe‘discontinuous

dual of $L’$. It is already known that the discontinuous dual of $L$

determines theoriginal set $L$ up to the equivalence relation $‘\sim$’ if

the Lie group $G$ is reductive type. Our main result is that the

sameproposition holds fora general Liegroup $G$.

1. INTRODUCTION AND MAIN RESULT

小林は [3] において, (非コンパクトな) りー面の等質空間への作用が 固有(定義2) となる条件を「りー面内の二つの部分集合の関係」として 定式化し直した. そして, 同論文の中で一つの双対性定理 ([3], Theorem 56) を証明している. この双対性は元々, 主定理を証明する為の補題と して示されたが, それ単体としても, とても面白い結果である. 実際こ の結果は, 行列の摂動に関する固有値の

=

様評価と見ることもでき

,

解 析の分野へも応用された. 今回の主結果はこの双対性定理の一般化である. 定理1(主結果). リー群 $G$ とその部分集合 $L_{1},$$L_{2}$ に対して次が成り 立つ. (1) $L_{1}\sim L_{2}$ in $G\Leftrightarrow$ 由 $(L_{1} : G)=$$(L_{2} : G)$. $G$が簡約リー群の場合には (1) は既に証明されている [3]. また, 定理1 は [4] の問題$A’’$ を肯定的に解決したことになる. ここで, 記号 $\sim$ は相似(定義 $3-(1)$) を, 由は不連続双対 (定義 $3-(2)$) を 表している. 即ち定理1は, 不連続双対が元の集合の情報を ($mod \sim$ で) 完全に持っている, と主張している. 2. BACKGROUND 離散群$\Gamma$が多様体$M$ に固有不連続に作用しているとき, 商空間$\Gamma\backslash M$ はHausdorffになり, 自然に多様体に「近い」構造, すなわち (佐武の)V を 多様体あるいは (Thurston の)Orbifold の構造を持つ. さらにこの作用 が固定点自由であれば, 商空間 $\Gamma\backslash M$ には多様体の構造が自然に入る. 固有不連続は, 離散群の作用の性質であるが, $Palais[5]$ は固有不連続の 概念を=般のリー群にまで拡張し, 固有という概念を定義した

.

定義2(Palais [5]). リー群 $L$ が多様体$M$ に作用しているとする. 写像

$\Phi$ : $L\cross Marrow M\cross M$, $(l, x)-\neq(lx, x)$

表現論シンポジウム講演集, 2004 pp.23-27

(2)

がproper mapであるとき, この作用を固有 (proper) と言う. リー群 $L$ が多様体 $M$ に固有に作用しているとき, 商空間 $L\backslash M$ は

Hausdorff

となり, 自然に多様体に 「近い」構造を持ち, さらにこの作 用が固定点自由であれば, 商空間$\Gamma\backslash M$ には多様体の構造が自然に入る. また $L$ が特に離散群であれば$L$ が固有であることと $L$ が固有不連続で あることは同値である. すなわち, 固有は固有不連続の自然な拡張と なっている. また, コンパクト群の作用は常に固有であり, 非コンパクト群の作用 が固有ならば, コンパクト群の作用に近い「良い」振る舞いをすること が知られている. しかし, 与えられた作用が固有であるか否かを判定す ることは=般には難しい. この判定条件を与えるために,小林[3] は, 固有を 「リー群内における 二つの部分集合の関係」 と捉え直し, これにより80年代から90年掛の この分野の発展をもたらした. 定義3(小林 [3]). $L,$$H,$$L_{1},$$L_{2}$ を位相群$G$ の部分集合とする.

(i) $G$ のコンパクト集合$S$ が存在して $L_{1}\subset SL_{2}S^{-1}$ かつ $L_{2}\subset SL_{1}S^{-1}$

とできるとき, $L_{1},$$L_{2}$ は $G$ 内で相似と言い, 記号 $L_{1}\sim L_{2}$ in $G$ で表す. (ii) $G$ の任意のコンパクト集合$S$ に対して$L\cap SHS^{-1}$ が相対コンパク トであるとき, $L,$$H$ は $G$ 内で固有と言い, 記号 $LrhH$ in $G$ で表す. (iii) $G$の部分集合からなる集合

{

$H\subset G|LrhH$ in $G$

}

を $L$ の $G$ にお ける不連続双対と言い, 記号 $rh(L:G)$ で表す. このとき次の命題が成り立つ. 命題4. $L,$$H$ をリー群$G$ の閉部分群としたとき次の4 条件は全て同値. (i) $L$ の$G/H$への作用は固有. (ii) $H$ の $G/L$への作用は固有. (iii) $LrhH$ in $G$. (iv) $HrhL$ in $G$. 即ち, Palais の定義した作用の固有性は, 関係由に帰着される. また 相似$\sim$ の有用性は次の命題から分かる. 命題5. 位相群$G$の部分集合$L_{1},$ $L_{2},$$H$ に対して,

(2) $L_{1}\sim L_{2}\Rightarrow(L_{1}\{\dagger 1H\Leftrightarrow L_{2}rhH)$

(3)

即ち $\sim$ の意義は思考の節約であり, 関係

rh

を考える上では$mod \sim$で 考えれば十分となる. このとき, 次のような固有性の判定条件が成り立つ

.

定理

6(

簡約リー群における固有性の判定条件

,

小林 [3]). $G$ を簡約り $-$ 群とし

1

をそのカルタン部分代数

,

$\mu$ : $Garrow a$ をカルタン射影とする. このとき $G$ の部分集合$L,$$H$ に関して次が成り立つ. $LrhH$ in $G\Leftrightarrow\mu(L)rh\mu(H)$ in

a.

$L\sim H$ in $G\Leftrightarrow\mu(L)\sim\mu(H)$ in

a.

線形空間 $a$ は可換群であるため $\alpha$内での固有性の判定は容易である

.

従って定理6は簡約$|$) ー群における固有性の判定条件を与えていると $-\overline{\square }$ える. また, $L$が$G$ の部分群であっても $\mu(L)$ が $\alpha$の部分群になるとは 限らないので,

固有の概念を部分集合にまで拡張したことの有効性が

,

ここに見てとれる. 定理1 の元となった命題は,

元々定理

6 を証明する為の補題として

証明された. しかしそれだけでなく, 定理1は式 (2) の逆と見ることも でき, 単独でも面白い結果である. 何より, このようなきれいな関係は,

相似や固有といった概念の導入が正しい方向に進んでいる事を暗示し

ているのかもしれない.

3.

PROOF OF MAIN

RESULT

以下, 定理 1 を証明する. 話を見通しよくするために, 次のような定 義を導入する. 定義7. $G$ を位相群とし, $L,$$H$ を $G$ の部分集合とする. $G$ のコンパク ト集合$S$ が存在して, $L\subset SHS^{-1}$ とできるとき, $L\prec H$ in $G$ と書く.

これによって相似条件を二つの条件に分解することができる

.

即ち, 次は明らかである. 命題8. 位相群$G$ の部分集合$L,$$H$ に対して

$L\prec H$ かつ $H\prec L\Leftrightarrow L\sim H$.

従って,

次のような補題を証明すれば定理

1

が言えた事になる

.

補題9. $G$ を局所コンパクトかつ $\sigma$ コンパクトな位相群とする. $G$ の部

分集合$L,$$H$ に対して,

$L\prec H$ $\Leftrightarrow$

rh

$(L : G)\supset$ 由 $(H : G)$

となる.

(4)

補題10. $X$ を局所コンパクトかつ $\sigma$ コンパクトな位相空間としたとき

,

次の $(a),(b)$ を満たすコンパクト集合の列 $\{S_{i}\}$ が存在する.

(a) $S_{i}\subset S_{i+1}$

(b) $X$ の任意のコンパクト集合 $S$ に対して, 自然数 $k$ が存在して

$S\subset S_{k}$ とできる.

Proof.

$X$ は $\sigma$ コンパクトなので, $X= \bigcup_{i\in N}T_{i}$ となるコンパクト集合

の列 $\{T_{i}\}$ がとれる. さらに $X$ は局所コンパクトなので各$i$ に対して$T_{i}$

を配点に含むコンパクト集合$T_{i}’$ がとれる. そこで

$S_{j}:=i\leq j\cup T_{i}’$

とおく. このとき (a) は自明である. あとは (b) を示す. $S$ を $G$ の任意 のコンパクト集合とする. $\{T_{i}\}$ の定め方から, $S$の点dこ対して自然数 $i_{s}$ がとれて, $s\in T_{i_{s}}$ とできる. このとき, $s\in\dot{T}_{i_{s}}’$ となるので, $\bigcup_{s\in s^{\dot{T}_{i_{s}}’}}$

は $S$ の開被覆となる. $S$ のコンパクト性からこの中の有限個の開集合

$T_{i_{1}}’,$$T_{i_{2}}’,$

$\ldots,$ $T_{i_{p}}’$ で $S$ を覆うことができる. $k:= \max\{i_{1}, i_{2}, \ldots, i_{p}\}$ とお

けば$S\subset S_{k}$ となり, (b) が言えた. $\blacksquare$

最後に, この結果を使って補題9を証明する.

Proof.

$\Rightarrow$ は明らかなので省略する. $\Leftarrow$ の対偶つまり,

$L\# H\Rightarrow rh(L : G)\not\supset$ 山 $(H : G)$ を示す. 補題10の条件$(a),(b)$ を満たすコンパクト集合の列 $\{S_{n}\}$ をと る. 仮定より $L\not\subset S_{n}HS_{n}^{-1}$ であるから, $G$ の点列 $\{a_{n}\}$ を $a_{n}\in L\backslash S_{n}HS_{n}^{-1}$ となるように選べる. そこで$A:=\{a_{n}|n\in N\}$ として次の2 つを示せば 補題9の証明は完結する. (1) $A\in rh(H:G)$ (2) $A\not\in r\Uparrow(L : G)$ (1) を示す. $S$ を $G$ のコンパクト集合とする. $A\cap SHS^{-1}$ が相対コンパ クトであることを言えばよい. 補題10 の (b) より, 適当な自然数$k$ で $S\subset S_{k}$ とできる. さらに (a) より, $S\subset S_{n}$ $(^{\forall}n\geq k)$ となる. =方$a_{n}$ の選び方から $a_{n}\not\in S_{n}HS_{n}^{-1}$ であるから $a_{n}\not\in SHS^{-1}$ $(^{\forall}n\geq k)$ となる. すなわち, $A\cap SHS^{-1}\subset\{a_{n}|n<k\}$ である. 右辺はコンパクト集合であるから (1) が言えた.

(5)

(2) を示す. $A\subset L$ であるので, $A$ が相対コンパクトでないことを言 えば十分である. そこで$A$が相対コンパクトであるとして矛盾を導く. $A$ を相対コンパクトとすると補題10の条件 (b) より $\overline{A}\subset S_{k_{1}}$ となる自然数$k_{1}$ がとれる. さて, -方$H$ の適当な元 $h$ をとる. -点か らなる集合 $\{h\}$ はコンパクトなので $\{h\}\subset S_{k_{2}}$ となる自然数$k_{2}$ がとれる. そこで$m:= \max\{k_{1}, k_{2}\}$ とおけば, $a_{m}\in\overline{A}\subset S_{m}$ となるが, =方で

$a_{m}\not\in S_{m}HS_{m}^{-1}\supset S_{m}\cdot h\cdot h^{-1}=S_{m}$

となる. つまり,

$S_{m}\ni a_{m}\not\in S_{m}$

となり矛盾が示された. これより (2) が言えた. $\blacksquare$

REFERENCES

1] Y. BENOIST, Proper actions on reductive homogeneous spaces, Ann. of Math.

144 (1996), 315-347.

2] T. KOBAYASHI,Proper actionon a homogeneousspace

of

reductive type, Math.

Ann. 285 (1989), 249-263.

3] T. KOBAYASHI, Criterion

of

proper actions onhomogeneous spaces

of

reductive

groups, J. Lie Theory, 6 (1996), 147-163.

4] T. KOBAYASHI, Discontinuous groups

for

non-Riemannian homogeneous

spaces, Mathematics Unlimited-2001 and Beyond, ($eds$. B. Engquist and W.

Schmid), SpringerVerlag (2001), 723-747; 邦訳 “非リーマン等質空間の不連続

群論” 『数学の最前線21世紀への挑戦』 第1 巻, (2002), 18-73.

[5] $R.S$. PALAIS, On the existence

of

slices

for

actions

of

noncompactLie groups,

Ann. of Math 73 (1961), 295-323.

[6] T. YOSHINO, カルタン運動群と作用の固有性の判定条件, 日本数学会幾何学分

参照

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