土木学会中部支部研究発表会 (2015.3)
1-033
実 大 タ ン ク の ス ロ ッ シ ン グ 波 高 抑 制 ! こ 対 し て 効 果 的 な フ ィ ル 歩 ー の 設 置 形 態 に 関 す る 研 究
0
黒 田 亮
鈴 木 森 品
櫛 田 真 志
学生会員
正会員
学生会員
愛知工業大学
愛知工業大学
愛知工業大学
我が菌では2'-""'5秒のやや長周期地震動によるスロッシング現象
の被害が数多く報告されている.特に,
2
0
1
1
年に発生した東北地
方太平洋沖地震
(
M
9
.
0
)
では,水道施設で使用される
SUS
製および
ほP製の矩形型貯水槽(以下,実大タンク)に破損が多く発生した.
本学においては,実大タンクにプラスチック識維をフィルター
として設置し,ブイノレターの設置箇所および位置を変化させてス
ロッシング現象の抑制の手法を検討してきたり, 2)
本研究では,実大タンクを使用し,筆者らの実験で大きなスロ
ッシング波高持制効果が得られた2つの手法を組み合わせた手法
を採用する 3) そして,スロッシング波高をより効果的に低減で
きるような手法を示すことを目的とする.
実験計画
供試体概要
写真ー
1
の よ う に 幅
L=2000mm
,奥行き
D=2
∞ 伽
u
n
,
ht
=2000mm
の FRP製ノ〈ネノレタンクを使用し,フィノレターを設置し
ない状態(以下,非制振)と,フィノレターを設置した状態について
加振実験を行い,スロッシング波高抑制効果を検討する.本研究
で使用するフィノレターは,園調
1
fこ示すように厚さ
3
街路n,栢
300mm
,
長さ
5
0
Omm,空隙率
90%
程度の(株)吉原化工製の「もやいドレー
ンマット」である.
2
.
2
実験方法
実験は写真・1のように屋外大型振動台に実大タンクを載せ,水
深
H=1400mm(
常用水深)に設定し,振幅土
4mm
で正弦波加援を行
った.次に,兵庫県南部地震における神戸海洋気象台で観測され
た JMA神戸
NS
方向(以下,神戸
N
S
)
を入力した.そして,最大波
高LlHおよび減衰定数hを算出する.
2
.
3
実験条件
表」に実験パラメータを示すE 加振角度。は 0。で行う.正弦波
の振動数はスロッシングの
1
次モード
(
0
.5
9
5
Hz付近),
2
次モード
(l.
0
6
0
H
z
)
およ
m
中戸
NS
の
3
ケースで加援する.また,本研究で
は図-2(b)に示すように,筆者らの研究において大きな波高抑制効
果が得られた2種類のフィルター設置手法を組み合わせた実験を
行う. 1つ目はフィルターを水面に対して水平の向きにし,内壁
面に取り付けた手法(内壁水平型), 2つ目はフィノレターを水面に対
して鉛直の向きにし,中間位置に取り付けた手法(中間鉛直型)で
ある.なお,水面を
Omm
とした場合,内壁水平型はフィルターの
聞藤智
Enl~I
実大タンク
写真一1
はじめに
(a)全体
2
.
もやいドレーンマットの概要
実験パラメータ
加援方向角(' )
。
入力振動数仔幼 由
LG.5
百95付近(l次モード}
O付近ロ次モード)
入力地震波 }MA神戸NS方向
非 制 緩
フィルターの設産形態 (.t噌盟国】
内雪量水平型,中間鉛直型
(__500,1500a田)
合計 6ケ ー ス
表-1
図-1
高さ
2
.
1
留
-
2
L
(a)非制譲
(b)波高抑制手法(制掻)
フィルターの設置手法の概要
EE
。 。 。 円
a
i
柑
軍
一
-65
-35
土木学会中部支部研究発表会 (2015.3)
0.620
350
300 ~
5250
L
- l
ど
竺
竺
:
一
一
一 …
高
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者 20一 一 一 一 ォ ー ← 一
。
1.020
0.610
(a)
1
次モード
0.590 0.600
入力振動数(出)
0.580
2
1-033
下部を 30mmまで沈ませ,
3
.
実験結果
3
.
1
正弦波を入力した場合の波高抑制効果の検討
図-3において,スロッシングの 1次および 2次モードにおける
非制振および 2撞類のフィノレター設置手法を組み合わせた場合
(以下,制振)の最大波高を示す.縦軸には最大波高LlHを,横軸
には入力振動数を示す.
図・3(a)より, 1次モードでは非制振と比較して,制振はおよそ
20%以下に波高を抵減することができた.また,図・3(b)より,
次モードでは非制振と比較して,およそ 30%以下に波高を低減
することができた.
中間鉛直型は 500mmまで沈ませた
1.師。
1.030 1.040 1.050
入力皇室動数(Hz)
正弦波を入力した場合の減衰効果の検討
図4において,各モードにおける非制振および、常j振の減衰定数
を示す.縦軸
i
こは減衰定数 hを,横軸にはフィノレター設置の有無
3.2
(b) 2次モード
最大波高と入力振動数の関係
0.06 一 一 一 一 一 一 一 一 }
令0.056
0.05
0.040
嘉 州 一 一 一 一 + 一
連
0.03
主主0.02
令0.013 ..2次 モ ー ド
窃i次 モ ー ド
r
e
:0.003
非制緩 帯ul霊
正弦渡を入力した際の誠衰定数
I恥(A神戸NS方向変位(%)
地震渡を入力した擦の最大波高
296
0.01c..一一
0.00
国一3
国
-
4
35自
3【似M阻日
E
お
寄
2ω
担壁芝 1珂司5
誕
+<100
者
50
9
を示す.
図4より, 1次モードにおいて,非制振では h=0.003に対し,制
援では h=O.040であった.また, 2次モードでは,制振 h=O.013に
対し,苦手j援の場合は h=O.056となった.
3
.
3
地震波入力した場合の波高抑制効果の検討
図・5において,神戸 NSを入力した場合の非制振および、制援の
最大波高を示す.縦軸には最大波高LlHを,横軸には,
ー設置の有無を示す.
図-5より,神戸 NSの変位を 30%および 50%に設定した地震波
を入力した際,非制振と比べて制振は半分以下に波高を低減する
ことができた.
フイ/レタ
以上のことから,本研究で採用した波高抑制手法は1次および
2次モードにおいて,非制振と比べておよそ 30%以下に波高を抵
減でき,地震波を入力した場合は,半分以下に波高を低減できた.
よって,効果的なスロッシング波高抑制手法であると考える.
4
.
結論
実大タンクにおいて,スロッシングの l次および 2次モードに関わらず,本研究で採用した波高抑制手
法は非常j振の場合と比較しておよそ 30%以下にスロッシング波高を低減することができた.特に, 1次
モードでは減衰効果が顕著に見られた.
神戸 NSの変位を 30%および 50%にした地震波を入力した際において,本研究で採用した波高抑制手法
は非制振の場合と比較して半分以下に波高を低減することができた,
参考文献
1) 日比野広之,鈴木森晶,奥村哲夫:実物大貯水槽のスロッシング現象と波高抑制手法に関する研究,土
木学会第 68田年次学術講演会, I-025, pp.49・50,2013ゑ
2) 黒田亮,鈴木森晶,日比野広之:フィルターの設置位置による矩形型貯水槽のスロツシング波高抑制効
果の検討,土木学会第 69回年次学術講演会, 1・154,pp.307・308,2014.9.
3)櫛田真志,鈴木森晶,黒田亮:実大タンクのスロッシング波高抑制を目的としたフィノレターの最適設置
形態の検討,平成 26年度土木学会中部支部研究発表会, 2015.3.
図
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5
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