複二倍体作物とその両親作物との3者相互間の正逆交配により生ずる蒴および種子の形質ならびに交雑和合性とこれらを支配する原因-香川大学学術情報リポジトリ

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第12巻第?号(1960) 127

複二倍体作物とその両親件物との3者相互間の

正道交配により生ずる頻および種子の形質なら

びに交雑和合性とこれらを支配する原因

桑 田

Studies or)the characters of pods and seedsand the crosscompatibility

in the reciprocalcrosses among an amphidiploid crop andits two

parents,aS Wellas the causes controlling them

Hikaru KuwADA

I 緒 染色体数を異にする種,属間の交配に/おいては,交配組合せの方向に.より,者嫡あるいは着粗歩合を著しく異に する場合が多く,また,たとえ萌が得られても,覇中の種子数を著しく異にし,またFl種子が得られても,その 発芽能力に著しい差異を示す場合がある‖ これらの問題に.関しては,小麦,燕麦および煙草などで多くの研究(¢†2さ・ (25−2机0・28一弘9・27・17・¢・7・2・3)が行われた.その間,Fl種子の発育経過などに.ついての研究も行われた.しかして,現在 迄の研究結果より,交配成功歩合が,染色休数の多い種を母親にした場合に良い鶴来の得られる例として7吊抽伽勒 加加雨靴吼G扉叫紳ざ,Aβg抽♪sおよび』ぴβ乃αのある種間の交配などがあり,これに反してニ,該歩合が染色体 数の少ない種を母親こした場合に良い結果の得られる例として,Cα桝♪α乃鋸Jα,肋Jよ−α殆どゐ〟.S,〟わ〃′≠α乃α および d勃和昭 のある種間の交配などが見られ,また該歩合が両親の染色体数の多少に無関係の例として,Aβg肋タぶ, βγ〃.S.S∠cαおよびⅣよわf古α乃αのある種間の交配などがあげられている. 叫・方,人為的に育成された同質倍数体の原種に対する交雑和合性については,諸種の材料について研究が行われ, 植物の種叛に.よって,4種の型に大別されることが認められた(18).しかし人為的に.育成された俊二僧体作物の両親 作物に対する交椎和合性についての研究は比較的少なく,点α♪ゐα〝0・∂γα∫・Sよ七α および γγgfよcαJβ と各々の両親と の間の組合せなどに.みられるに過ぎない. 聾者はさきに.,オクラとトロロアオイとの間の正逆交雑,育成された枚二倍休作物糊麻とその両親作物との問の 正逆雑種における交雑和合性,ならびに々れら雉種の諸形質および還元分裂について報告(18・14)した.本報では, これら3作物の間に行った6種の正逆交配により生ずる報および種子の形質ならびに交雑和合性に関する問題につ き,従来の研究結果を考慮にいれて握めた結果を報告する. Ⅱ 実験材料および方法 供試材料は前2報(13・14)において報告した研究に用いたものと同一・で,本報で取り扱った項目は着生した萌およ び種子の大きさ,着商歩合,種子稔性,Fl種子の発芽歩合および交配成功歩合である.それぞれの調査に使用の花 数,辣数および啓子数は実験結果の所で示す. 基礎材料であるオクラとトロロアオイとの体細胞における染色体数はそれぞれ124およぴ68である..この両種の ゲノム構成は不明であるが,すでに報告(13)した如く,両種の間の正逆交雑におけるFlの還元分裂では,最高14個 迄の相同染色体が認められ,残りの染色体は非相同である.したがって,正逆雑種に.含まれる 2乃=96の多数の染 色体数に比ぶれば,相同染色体数は著しく少ないまたさきの報告(14)の如く,糊廉とオクラとの間の止逆雑種およ

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び糊麻×トロロアオイのFlの還元分裂ではそれぞれ最高131および75の相同染色体が認められた“したがって両 種の雑種に含まれるそれぞれ2タZ=158および2タZ=130においては,前者の雑種の方が後者より相同染色体数は多 い。.本報では,オクラの配偶子の染色体の組をA,トロロアオイのそれをBと仮定すると,両種の間の正逆交雑の Flは体細胞でAB,糊麻とオクラとの圃の正逆雑種は同じく AAB,糊麻×トロロアオイのFlほ同じくABBの 染色体構成となる。しかしてこれら3種の雉掛とぉいては,相同染色体数はAABが最も多く,次はABBで,最 後はABであることを示す Ⅱ 実験結果および考察 1‖ 着色した嶺の大きさ 滴の大きさ,とくにその長さはカクラがトロロアオイより著しく勝り,糊麻は両者のほぼ中間であるが,厚さお よび周囲長は,糊麻はオクラと殆んど同じで,ともにトロロアオイに梢々勝る..これら3作物間の6種の交配組合 せに.より生じた朔の大きさは第1衷に示す如くである小 生じた朔の大きさは,オクラ×トロロアオイにおいて,そ の長さ,厚さおよび周囲長がカクラの自殖の場合より梢々小さかった以外は,いずれの交配組合せにおいても,母 親の白殖の場合と大差なかった…オクラ×トロロアオイにおける新の大きさについての上述の事実はさきの報告(12) において述べた所である 第1表 オクラ,トロロアオイおよび糊麻相互間の韮逆交配により着生した訴の大きさ 交

配 組 合 せ 1調 査 朔 数

イ ラ ラ麻イ麻 オ ク 麻 ク麻 ロ 糊・ざ糊 ト ロ 2.Fl種子の大きさ 種子の大きさはオクラがトロロアオイより大きく,糊麻は両者の略々中間である.これら3作物間の6種の交配 組合せのFl種子の大きさは第2衷に示す如くである.交配組合せによっては,Fl種子の大きさが母親の自殖の場 合と殆んど同じであり,またより大きくなり,あるいはより小さくなる 種子の大きさを異こする種,罷聞か雉昏および塩二倍体の種子・の大きさについては種々の研究がある..BtJXTON &NEWTON(4)によると,か∠gよfαJ∠sの種間のFl種子の大きさは両親の中間である.寺沢(21−22)はβγ・α一S.S査■cαCゐ査一乃β乃・ ざよぶと見頃沌の叩.SSαf査び捉Sとの復二億体であるβ㌢・α√SS査c〃・㌢・αタカα乃〝Sでは,種子の大きさは両親の中間であると報 第2表 オクラ,トロロアオイおよび糊麻相互間の正逆交配により着生した種子の大きさ 交

配 組 合 せ1調査種子数l種子一品戸さ1種左ぷ幅l種子蕊賢さ

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第12巻第2号(1960) 129 じている小 しかしSEARS(19)に.よると,フサ幻滋旭川=およびAβg言わ♪.ざにおいて復二倍体の種子は両親のいずれより も大である..KosTOFF(11)はⅣよわ才ど〃乃α において,種の染色体数が増加すると,種子は大きくなるが,複二倍体 にhおいては,両親の種子の大きさに著しい差異のない時は,両親のいずれよりも大であり,著しい差異のある時は, それらの平均値より大であると報じている 本実験において,トロロアかイ×オクラおよびトロロアオイ×糊麻では,Fl種子の大きさが母親の自殖種子と 同じである.この場合はいずれも,トロロアオイが母親であるが,これは既に報告(18)した如く,トロロアオ・イは phenospermyの現象を呈する故,交配に用いた花粉親の種類に拘らず,Fl種子は目殖種子と同様の大きさになる ものと思われる..オクラ×糊麻では,Fl種子は母親の自殖種子より大きくなる..オクラ×トロロアイ,糊麻×オク ラおよび糊麻×トロロアオイでは,Fl種子ほ母親の自殖種子より小さい. 従来,小麦および燕麦の種間の交雑にぃおける Fl種子の発芽力には 堆核のゲノムの数 チ=E,および 極核のゲノムの数 が関係すると言われている(10)い Fl種子の発芽力に.は種子内容の充実度,ひいてはその大きさに.も関係すると思わ れるい 本実験において,ゲノムの代りに.AおよびBを用いて諸種の交配組合せに.おけるEおよびPの値を示すと第 3衷の如くである.トロロアオ・イはphenospermyの現象を呈する故,これが母親である交配組合せを除くと.,E 第3衷 オクラ,トロロアオイおよび糊麻相互間の交配組合せと染色体構成の差異 慧讐警芸1諾色体霊

堆核の染色体の組の数 頗該の染色藤の組の数

交 配 組 合 せ オクラ×トロロアオイ トロロアオイ×オクラ 糊 麻 × オ ク ラ カ・ク ラ × 糊 麻 糊 麻×トロロアオイ トロロアオイ×糊 麻 1 2 1 2 1 4 =1 1 多 × 少 少× 多 多 × 少 少× 多 多 × 少 少× 多 0′}14 AABB AB 124∼131 AABB 4 A I AA 2 B 1 オ ク ラ 自 殖 トロ ロアオイ 自殖 糊 麻 自 殖 2n=124 2n= 68 2n===192 BB 2 AB l AABB 2 およぴPの値は,カクラ×糊麻では夫々2および1,糊麻×オクラおよび糊麻×トロロアオイではともにそれぞれ 室およぴ÷,オクラ×トロロアオイではそれぞれ1およびすとなる‖ またオクラ,トロロアオイおよび糊麻は自殖 では常に・E=1,P=卓である.そこでFl種子の発芽力に関与する上記のEおよびPの考えを,F.睦子の大き さに適用して考察すると次の如ぐである.母親の白殖より Fl種子が大きくなるオクラ×糊麻では,EおよびPの 倦は母親の白殖より大きく,同じく小さくなる糊麻×オクラおよび糊麻×トロロアオイでは,EおよぴPの値は母 親の白根より小さい 本実験において,糊麻×オクラおよび糊麻×トロロアオイのFl種子がオクラ×トロロアオイのそれと同様,そ れぞれの母親の自殖種子より小さいことおよび糊麻×オクラの Fl種子が母親の自殖種子より小さく,逆交配での それが母親の白描種子より大きいことは,両親の間の相同染色体数の多少がFl種子の大きさには無関俸と言えよ う 交雑における受精後の胚の発育と種子の大きさとの関係を,種子の完然期に近い授粉後30日目において比較する と第4表に示す如ぐである.すなわち母親の白熊種子より Fl種子が大きくなるオクラ×糊麻では,胚の長さ,幅 および幼板の太さはいずれも母親の自殖種子と変らない,母親の自殖種子より Fl種子が小さくなるオクラ×トロ ロアオイ,糊麻×オクラおよび糊麻×トロロアオイのうち,糊麻×オクラでは,旺の長さ,幅および幼根の太さは

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第4衷 オクラ,トロロアオイおよび糊麻相互間の正道交配に.おける授粉後30日自の胚 および種子の大きさ(調査種子数は約50粒)

胚 の 大 き さ (mm)

大きさ(mm) 交 配 組 合 せ 長 さ‡ 幅 l幼根の太さ 2一2 ハ。﹂ 4 4 5 3 29 5 ■4 5 ︵0・4 A▲ 9 9 0 7 7 7 オクラ×トロロアオイ トロロアオイ×泳クラ 糊 麻 × オ ク ラ オ ク ラ × 糊 麻 糊 麻×トロロアオイ トロロアオイ×糊 麻 1 6 8 3 3 1山 1 1 1 7 6 0 オ ク ラ 自 殖 ト ロ ロアカ イ 自殖 糊 麻 自 殖 いずれも母親の自殖種子と殆んど変らないが,他の2つの交配組合せでは,これらの大きさはいずれも母親の自殖 種子より小さく,かつ糊麻×トロロアオイの方がオクラ×トロロアオイより胚および種子の小さくなる割合は著し かった,母親の自殖種子と Fl種子の大きさが変らないトロロアオイ×オクラおよびトロロアオイ×糊麻について は,胚の大きさを測定することは出来なかった… 以上の鵜果よりすれば,胚が小さくなったために種子も小さくなったと思われる交配組合せもあるが,胚の大き さが母親の自殖の場合と殆んど同じでありながら,種子の小さくあるいは大きくなった交配粗合せおよび胚の無い にも拘らず,種子の大きさのみは正常な交配組合せのあることは,胚の有無,大小が必ぜしも種子の大小を決定し ないことを示すものと思われる, 3 着萌歩合 オクラと糊麻との自殖ではいずれも90ないし100%の着薪歩合を示すが,トロロアオイの自殖のそれは0から80% で,著しい変異を示す..これはトロロアオイには植物体の生育段階および環境にもとづく落所があるためである(1の 上記3作物間の6種の交配組合せに.おける着所歩合は第5表に示す如くである。なお前報(13)にも報告した如く, トロロアオイが母親の場合には,著 朔に細胞質が関与する故,本実験で も,トロロアオ・イが母親の場合は例 外として考える必要がある.糊麻× オクラ,逆交配および糊麻×トロロ アオイがオクラ×トロロアオイより 着滴歩合の高いこ とは,明らかた. AABおよびABBの場合の方がAB の場合より著南が良好であることを 示す… またオクラ×トロロアすイ, 糊麻×オクラおよび糊麻×トロロア オイがそれぞれの逆交配より高い着 荷歩合を示すことは,トロロアオイ 第5表 オクラ,トロロアかイおよび糊麻相互間の 正道交配における着薪歩合 交配組合せ】交配花数l者新数 =首萌歩合 3 0 1 2 6 0 2 3 2 2 1 3 1 1 1 1 1 1 0 9 9 0 4 7 8 5 0 0 0 7 1 1 1 〇.4 1 0 7 2 5 5 0 2 9 9 6 4 9 ︵0 00 5 オクラ×トロロアオイ トロロアオイ×オクラ 糊 麻 × オ ク ラ オ ク ラ ×糊 麻 糊 麻×トロロアオイ トロロアオイ×糊 麻 オ ク ラ 自 殖 トロロケォィ自殖 糊 麻 白 殖 90∼100 0′} 80 90.、′100 J が母親の場合は例外として取り扱う としても,染色体数の多い種を母親とした方がその逆の場合より着滴は良好であることを示す。. 染色体数を異にする種,罵間の交雑における着新歩合については次の3つの場合がある。.(i)染色体数の多い種 を母親と.した方が着沸歩合の大きい例として,Ⅳ∠−“庖■〃乃αの種間の交配(5),βγa.SS査■c〃と凡ゆ払槻Sの属問の交配(8) など.(ii)これに反して,染色体数の少ない種を母親とした方が該歩合の大きい例として,〃i’c〃f∠α乃αの種間の交 配(1)‥眺粛㈹地肌の種間の交配く24)など.(iii)また該歩合が両親の染色体数の多少に無関係の例として,βγα.S.S∼c〃

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第12巻第2号(1960) 131 と点〃♪カα乃〟∫の属間の交配(20)など.本実験は(i)の場合に属すると言えよう 4 種子稔性 オクラおよびトロロアオイの一滴中の種子数ほ100嫡の平均で,それぞれ75“6粒および53.9粒であるが,糊麻の それは両親よりも少なく,24・6粒である‖かくの如く3作物の白殖における一滴中の種子数に著しい差異がある故, 母親の自殖時の一滴申の種子数に対する交配して得た璃の種子数の割合をもって,種子稔性を比較すると第6表に 示す如くである… また胚珠数に対す−る種子数の割合をもって,種子稔性を比較すると,オクラおよびトロロアオイ 第6衆 力クラ,トロロアオイおよび糊麻相互間の正道交配における種子稔性 * 母親の白殖時の種子数に対する交配して得た嫡の種子数の割合 ※ 胚珠数に対する種子数の割合 ()内は偽種子(本文参照)を除き,生育し得る種子のみの実数また は割合 交配組合せ l調査頭数l種子数 卜術中の平均種子 種子稔性(%)*l種子稔性(%)♯ オクラ×トロロアオイ トロロアオイ×オクラ 糊 麻 × オ ク ラ オ ク ラ ×糊 麻 糊 麻×トロロアオイ トロロアオイ ×糊麻 ラ 自 殖 アオイ 自殖 オ ト糊 ロ ク 麻 白 殖 のそれはいずれも約50%で大差は認められないが,糊淋のそれは両親の約半分である‖ これにより両親および諸種 の交配組合せの種子稔性を比轍すると,同じく第6表に示す如くである‖ トロロアカイが母親である2種の交配組合せでは,トロロアオイがphenospermyの現象を呈する故,外観上は 完全な種子の如く見えて:も,内容が空虚な種子が大部分である.かかる種子を偽種子(Pseudo・Seed)と.して,正常 な生活力ある種子と区別すると,正常な種子はトロロアカイ×オクラで2粒得られたが,トロロアオイ×糊麻では 1粒も得られなかった.故にかかる交配組合せの種子稔性は一応考慮外とする一 種子稔性がオクラ×糊麻では他の交配組合せより梢々著しく高いのはAABであり,かつ母親の種子稔性も高い ためであろう。.オクラ×糊麻,トロロアオイ×糊麻およびトロロアオイ×糊麻の種子稔性がそれぞれの逆交配より

高いのほ,相同染色体数は同じであるが,母親の種子稔性が高いためであろう.また糊麻×オクラが糊麻×トロロ

アかイより,オクラ×糊麻がトロロアオイ×糊麻より,いずれも種子稔性が高いのは,AABの方がABBより種 子稔性に.大きく影響するものと思われる. なお種子稔性には胚,内胚乳および子房組織内における染色体構成またはゲノムの種類と.数との関係が著しく影 響する,すなわち,THOMPSON(2$)および若衆く25)によれば,r㌢∠最c〝偶において,内胚乳のゲノムが3.ガの状態の 時に腰子の発育は正常であり,1ガ,2.芳の状態のゲノムが多く存在する程,種子の発達は悪く,その発芽力も弱ま る.M缶NTZING(16)によれば,GαJβ坤Sまざで,雑種々子の発達ほ胚,内胚乳および子房組織内のゲノム数が正常比 である2:3:2から遠ざかるにしたがって,種子の発育が阻害される.WATKINS(28)によれば,r7・∠■わ■cα研で,胚 および内胚乳のゲノム数の比が正常比(2:3)に遠ざかるにしたがって,種子の発育が不慮となる本実験の諸種 の交配組合せにおける胚,内胚乳および子房組織内の染色体の組の比を・みると第7衣に示す如くである.オクラ× トロロアかイおよび逆交配では,該\比が2二3:2の正常比でありながら,種子稔性の比較的低いのは,Aあるいは B単位についての該比がいずれも1:2:2あるいは1ニ10であるためであろう.またオクラX糊麻およびトロ ロアオイ×糊麻の種子稔性がそれぞれの逆交配より高いのは,AあるいはB単位についての該比がいずれも2:3: 2でありながらも,全体の該比が 2こ3二2 により近いためといえよう,.さらに】.糊麻×オクラは糊麻×トロロア オイより,オクラ×糊麻はトロロアオイ×糊麻より柾子稔性が共に高いのは,該比が前者では同じく 3二5ニ4 で

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第7表 オクラ,トロロアオイおよび糊麻相互間の交配組合せと胚,内胚乳および 子房組織における染色体構成 胚の染色体

内胚乳の染色体 卜子湧組織l染色体の粗の比

交 配 組 合 せ 数 l 組 lの染色体l胚:内胚乳:子房

数l 組

AAB ABB AAABB AAAB AABBB ABBB B nロ B B B B B B A A A A A A A A 2 2 3 3 3 3 3 3 5.4 5 ■4 オクラ×トロロアオイ トロロアオイ×オクラ 糊 麻 × オ ク ラ オ ク ラ × 糊 麻 糊 麻×トロロアオイ トロロアオイ×糊 麻

AAA BBB AAABBB

2 2 4 3 3 6 2 2 4 オ Lト糊 ロ イ 白殖 白 殖 あり,後者では同じく 3:4:2 であるにも拘らず,前者では糊麻×オクラがAについて該比が 2:3:2,糊麻× トロロアオイがBについて該比が 2:3:2 でありながら,後者ではオクラ×糊麻はAについて該比が 2:3:2, トロロアオイ×糊麻はBについて該比が 2:3:2 であるためであろう.これは同じく糊麻との交配においても, AABの方がABBよりも相同染色体数が多いためといえ.よう,. 5 Fl種子の発芽歩合 オクラ,トロロアプトイおよび糊麻の種子の発芽歩合はいずれも90%あるいはそれ以上の値を示す‖ これら3作物 間の6種の交配組合せのFl種子の発芽歩合は第8衷に示す如くである‖トロロアオイ×オクラのFl種子の発芽 歩合が著しく低く,トロロアオイ×糊麻の 第8衆 力クラ,トロロアオイおよび麻糊相互間の 正道交配に.よるFl種子の発芽歩合 それは1粗も発芽しなかったのは,やはり トロロアオ∴イにはphenosperImyに.よる偽 種子が多いためであるい したがってこの2 種の交配のFl啓子の発芽歩合は考慮外とす るい 他の4種の交配組合せのFl種子の発 芽歩合は,オクラ×糊麻はオクラ×トロロ アオイより,糊麻×オクラは糊麻×トロロ アオイより,いずれも高い..これほAAB の場合はABBおよびABの場合より,Fl 種子の発芽歩合の高いことを示す… また糊 麻とオクラとの正道交配のFl種子では同 じくAA王トであるに.も拘らず,オクラ×糊 麻のFl種子が逆交配のそれより発芽歩合 交配組合せl播種粒数l発芽数1発芽歩合(%)

2 2 2 0 00 5 9 4 2 9 1 2 1 2 1 1 1 1

48.. 4 1.ア 61い5 78.. 4 43 2 0い0 3 .4 5 9 1⊥ 0 9 7 ■4 5 1 オクラ×トロロアオイ トロロアオ・イ×オクラ 糊 麻 × オ ク ラ オ ク ラ ×糊 麻 糊 麻×トロロアオ・イ トロロアオイ×糊 麻 90.)100 90′∼100 オ ク ラ 白 殖 アオイ 自殖 ト糊 ロ ‘ 90′}100 麻 自 殖 の高いのは前述のEおよびPが関与しているためであろうい すなわちEおよびPの借は常にオクラ×糊麻の方が逆 交配より高い。.なおEおよびPの値を他の交配組合せについてみると,オクラ×糊麻のEおよぴPの偲ば訊こオク ラ×トロロアオイより大であり,ためにそのFl稜子の発芽歩合も高いものであろう 8 交配成功歩合 以上述べた着禰歩合,称子稔性およびFl樺子発芽歩合の3名の鎖をもって交配成功歩合とすると,3作物間¢) 6種の交配組合せの交配成功歩合は第9表に.示す如くである.すなわちトロリアオイを母親とする2種の交配組合 せは該歩合が著しく低いので考慮外とする‖ 交配成功歩合は籾麻とオクラとの止逆交配が他の2つの交配組合せよ り高いことはAABがABBおよびABの場合よりも該歩合の良好であることを示す トロロアオイを母親とする2種の交配組合せを除き,交配成功歩合に.は,着務歩合,種子稔性および発芽歩合に 関与したところの相同染色体数の多少,両親の染色体数の多少が影響することは当然であるが,母親の種子稔性,

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133 欝12巻欝2号(1960) 第9表 オクラ,トロロアオイおよび糊麻相互間の正逆交酉己における交配成功歩合 *,※は第6表に同じ **,※璧は夫々*,葬を・用いた時の交配成功歩合 交配成功歩合(%) 種 子 稔性(%) 著萌歩合 交 配 組 合 せ

*彗 ♯※

* l ※

9 2 2 2 6 0 0 0 2 8 5 0 1 3 4 1 4 7 5 4 2 0 8 1 1 8 3 ・U 4 6 7 .4 8 3 1 9 2 6 4 7 8 4 0 5 3 2 5 7 4 4 9 3 5 1 0 2 1 1 1 .4 1 2 1 5 4 0 7 5 0 4 1 0 7 2 5 5 0 2 9 9 6 4 9 0U 8 5 カクラ×トロロアオイ トロロアオイ×オクラ 糊 麻 × オ・ク ラ オ ク ラ ×糊 麻 糊 麻×トロロアカイ トロロアオイ×糊 麻 EおよびPの借の大きさが特に大きく関与するようである.すなわち母親の種子稔性が高く,EおよびPの騰が大 きい程,交配成功歩合は高い Ⅵ 摘 要 (1)橡二倍休作物糊麻とその両親作物であるオクラおよびトロロアオイとの3者の間に正逆交配を行い,生ずる 滴および種子の大きさ,着満歩合,種子稔性,発芽歩合ならびに.交配成功歩合に、つき研究を行った巾 (2)諸種の交配組合せに.より生ずる礪の大きさはオクラ×トロロアオイに.おいて,オクラの自殖の礪よりやゝ小 さかった以外は,いずれの交配組合せにおいても母親の白殖の新と大差なかった (3)種子の大きさはオクラが最も大きく,トロロアオイが最も小さく,糊麻はほゞその中間であるい諸種の交配 E= 組合せに.おける Fl種子の大きさは,両親の間の相同染色体数の多少には無関係で, 雄核の染色体の組の教

の偲の大きさにより決定された‖特に自殖では,E=1,P=‡であるが,

およぴ P= 極核の染色体の組の数 諸繹の交配粗食剥こおけるFl藤子の大きさはEおよびPの値がそれぞれ1および与より大い時は自殖種子より 大きく,1およびより小さい時は自殖腰子より小さくなったい (4)諸種の交配組合せにおける着碗歩合ほ交配に用いた両親の間の相同染色体数の多少に関係を有し,その数の 多い方が少ない方よりも該歩合は高い‖ かつ染色体数の多い種を母顛にした方が逆の場合より該歩合は高かった. 伍)種子稔性は著覇歩合と同様,相同染色体数の多少に関係を有し,その数の多い方が少ないカよりも該歩合は 高い”かつ自鵜の時に種子稔性の高い種を母親にした方が逆の場合より該歩合は高かった.. (6)Fl種子の発芽歩合は相同染色体数の多少に関係を有し,その数の多い方が少ない方よりも該歩合は高い, かつEおよびPの値が大きい程該歩合は高かったり (7)交配成功歩合は着朔歩合,種子稔性およびFl種子の発芽歩合に関与したところの相同染色体数の多少,両 親の染色体数の多少が関係するが,母親の種子稔性,EおよびPの値も該歩合に大きく影響した… (8)トロロアオイがphenospermyの現象を呈し,Pseudo・Seedの出来ること,トロロアオイの着礪には植物体 の生育段階および欝境に基ずく落嫡があり,かつトロロアオイが母親の場合には細胞質が着瀬に関与することなど より,Fl種子の大きさ,着朔歩合,種子稔性,Fl種子の発芽歩合および交配成功歩合については,トロロアオイ が母親の場合の交配は例外と認めざるを得ないい Ⅴ 引 用 文 献

(1)B即EGER,F一,:t5ber die Vermehrung der (2)BRINK,RA&CoopER,D.C:Theantipodals

Chromosomenzahlbeidem Bastar・d Nicoiiana inrelationto abnormalendospermbehaviorin

tabacum L.×凡Rusb.yi−BRITT.,Zeit。fi’nduk一 βbrdeumjubatumxSecale cereGlehybrid seed, A∂・Sf.、一肌−1存rβγ・∂〝乃gざJり4ち(1928).. Gの髄幻c.s,29,(1944a),

(8)

(3)−,−−−・& AusHERMAN,L E.:A hybrid between Hordeum jubatum and Scale cereale,

J月セγβdい,さ5,(1944b)巾

(4)BuxTON,B.H.&NEWTON.W.C.F。:Hybrids Of Digirtalis ambigua and D小少urPurea,their

fertility and cytology,Jour.Genetい,19,(1928) 6)CHRISTOFF,M.:Cytological studiesin the

genusⅣZc∂才去■α乃α,Gβ乃βfグe5り1:‡,(1928).

(6)CoopER,D.C小&BRINK,R.A、:Somatoplastic Sterility as a cause of seed fai1ure following interspeci免c hybridization,Genetics,25,(1940) (7)−&−:Collapse of the seed fo1lowing

thematingOfHoydeumjubatumxSecalecey・βale, Gの㍑烏ぐざ,29,(1944)

(8)FuKUSHIMA,E.: Preliminar・y repOrt On 劫αSSグcα・点α少ゐα乃S hybr・ids,Pγ・〝い 劇坤.』cαd, 5,(1929)

(9)KATAYAMA,Y”:CrIOSSing experiments in Certaincerealswithspecialreferencetodifferent COmpatibility between the reclprOCal crosses, 肋∽0オ㌢5 ∂./■〃ね C∂JJ♂gβ〃ノ4㌢.考γ0ま∂血♪

Unib。,No∴27,(GeneticalSeries No。2),(1933) 明仁 K柑ARA,且&NIS11IYAMA.Ⅰ:DifEerent com・

patibilityin reciprocalcrosses of Avena,With SpeCialreference to tetr・aploid hybr・ids between hexaploid and diploid species[The genetics and CytOlogy of certain cer・eals.ⅠⅠⅠ],ノおP。Jour・. β0≠り6(2),(1932)

抑 KASLTOFF,D.: Studies on polyploid plants XXICytogenetic behavior of the a1lopolyploid hybrids Ⅳよ■α雨α乃α gJα〟C・α G点A且 × 凡

Lang sdoY.靡iWEINN,and theirIeVOlutionary Sigmi丘cance,.Jour・.Genei…,37,(1938). 囲 桑田晃;オクラ×トロロアフヒに於て両親の品種 を異にする場合の交雑成功率に就いて(予報),香 川農専研究報告,1(3),(1950) ㈹ 一−・;オクラ及びトロロアフヒの正逆交配におけ る交配可能皮並びにFlの形質及び還元分裂,育種 学雑誌,7(2),(1957a). 紬−・;育成役二倍体作物とその両親作物との間の 正逆交雑における交雑和合性並びに生じた雑種の形 質及び還元分裂,育種学推誌,7(2),(1957b) ㈲ 一ニトロロアオイの開花結実に.関する研究(未 発表)

㈹ MtfNrZING,A∴ t5ber Chr・OmOSOmenVer− mehrungin Galeobsis−Kreu2;ungen undihre PhylogenetischeBedeutung,励redi’tas.14,(1930) の ∼・:Hybridincompatibility and the origin

Ofpolyploidy,HerediPtas,18,(1933) ㈹ 西山市三,柄沢博美:人為的倍数植物の研究(18 報),トウガラシに於ける三倍性交雑不和合につい て,育種学雑誌,$(4),(195け O.9)SEARS,ER:Amphidiploidin seven・Chromo− SOme r㌢よわ■d■乃αβ,び殆ど仇 〟査ss〃〝γ才,Agγ去■.g∬β 5紬.点β.S.β鋸〃−,$86,(1941) 榊 TERASAWA,Y.&SHIMOTOMAr,N∴ Bastar.−

dierungsversuche beiBrassica und RaPhanus,

Sci.ReP… Tohoku ZmP.Uni’v。,Ser..4,Biol.3,

(1928).

酌 寺沢保房;休業と大根との交配により育成したる テトラプロイド雑種,退伝学雑誌,7,(1932)

囲 −−:ブラシコラフアナスの形態に就いて,日作 紀,6,(1934)

㈹ THOMPSON,W。P∴ Shrivelled endospermin

species crossesinwheat,its cytologicalcauses

andgeneticale鯉ects,Geneiics,15,(1930) 糾 WAGNER,S:ArtkreuzungeninderGattung 月βJ査α乃fゐ鋸.S,Zβ査’≠.メ:査■別海如.A∂√ざ才.・〝..・1句γβ㌢・∂− 〟乃gSJ.,¢1,(1932) 困 苦桑健一郎:小麦種間交雑に.於ける着粒歩合と発 芽能力との関係,遺伝学雑誌,6(2)(1930) 囲 −−:小麦種問相反交雑に於ける胚及び胚乳発育 の差異,退伝学雑誌8,(1933) 囲 WAXAKUWA,Sh.= Embryologicalstudies on

the difEerent seed development in reclprOCal

interspeci丘ccrossesin wheat,.hlP.Jour.Botい,7, (1934)

㈹ WATKINS,AE。:Hybrid sterilityandincom・

patibility,JouY・.Genet”25,(1932)

Rるsumる

(1)CrIOSS pOllinations were r・eCiprocallymade amongA.esculentus,A,肋nihot and“Nori−Asa’’

(glutinous−hemp)whichistheamphidiploidbetweentheml・inorderItOmakestudythesizeofpodsand seedsobtained,Set%ofpods,Seedfertility,thegermination%of FISeedsandthesuccess%ofcrosses

(9)

第12巻第2号(1960) 135

the selfed mother・,the si2:e Of podsobtained wasalmost the same as that of the selfed mother (31The size of seeds was thelargestin esculentus,mediumin”Nori一旦Sa”andthesmallestin

ManihotThe size of FISeeds obtained by crossing was found to be determined by the valuesof

E=ヱ蝮_竺些竺j至

SetS Of

chr・OmOSOmeSin male nucleus The number of sets of chromosomes in female nucleus

The number of sets of chrIOmOSOmeSin male nucleus and タ

number of sets of chromosomesin polar nuclei’

notwith standing the number.of homologous chromomes between two parents used‖ Especiallyif the values of E and P werelarger or smaller・than those of the selfed mother、the si2;e OfFISeeds was

larIger Or Sma11er corIreSpOndingly than the seeds of selfed mother,Showing the values of Eand P were alwaysland 合一reSpeCtively

(4)Theset%of pods was effected by the existanceof homologous chromosomes.The more the number of homoIogous chromosome waslarge,the higher was the set%The same was effectedl)y

the direction of crosses,1arger set%being shownin the cross higher chr・OmOSOme numberxlower number thanin the reclprOCal

伍)TheseedfeI■tilitywas efEected by the existance of homologOuS Chromosomes as we11asinthe set

%of pods。The same was efEected by the direction of crosses,higher seed fertility beingShownin the cross higher seed fertilityxlower seed fertilityinpods of the selfed mother thanin the reciprocal

(6)The germination%of FISeeds was effected by the existance of homologous chromosomesas We11asin the set%of pods and the seed董ertilit.yり The same was effected by the valuesof E and P The mor・e the values oiEand P werelar・ge,the higher wasthe germination%of FISeeds.

(7)The success%of crosses has certain relation with the existanCe Of homologous chromosomes and the chromosome numberin the parents which were efEective to the set%of pods,the seed fer− tilityand the germination%of FISeeds.Especially the seedfertilityin mother plantand the values o董E and P were more efEective

(8)In the crosses where Mdnihoiwas the mother plant,the pseudo−Seeds were piOduced owing to phenospermyり Cytoplasmmighthave certain effectwith the set o王POds.This plant shows pod・falling by the stage of plant growth and environment,.Accordingly the manifestation of above charIaCterSin the crosse$Where肋nihot was mother・plant wer・e eXCePtional.

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