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牧尾ダム堤体の地震時振動特性

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Academic year: 2021

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(1)

牧 尾 ダ ム 堤 体 の 地 震 時 振 動 特 性

正 木 和 明

飯 田 汲 事

S

e

i

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m

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c

C

h

a

r

a

c

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Makio Dam

K

a

z

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MASAKI and Kumizi IIDA

1

9

7

6

1

0

l

l

8

4

4

2

秒に長野県王滝村西部に発生した地震による牧尾ダム堤体の長動を測 定し,速度および変位波形を求め,堤体の振動モードを研究した.またこれらの波形を高速フーリ エ変換し,パワースペクトルを求めた.

1

.

はじめに

1

9

7

6

8

1

3

日以来p 牧尾ゲムの北西部,王滝村西部 に群発地震が発生し始め,

8

1

9

日には有感地震の回数 は最高の

2

5

回 を 記 録 し に その後,地震発生数は減少 し, 10月には有感地震回数は一日当り 0~2 回程度にな った.しかしF 地震計による記録回数は依然多く,一日 当り 20~30 同であった そとで著者らはこの機会を利用 し9牧尾ダム本体の地震日時辰動特性を求めることにし た.堤体上に

6

台の地震計を設置し,

9

月初日から

1

0

2

日まで

3

日間地震観測を行なった.測定期間中

2

3

伺の 地震記録を得ることができたが,そのうち

1

9

7

6

1

0

1

1

8

4

分立秒に発生した地震の記録を解析したので報 告する.この地震の震源およびマグニチュードは不明で あるが,規模は比較的小さく,有感地震ではなかった.

2

.

牧尾ダム概要 牧尾ダムの基礎地盤を図1!乙示す.タムの基礎地盤は 古生国を主として粘板岩,砂岩,チャー卜およびこれら の中に貫入した輝緑岩である.これらの地層の走向は, N500E~N800E で傾斜は N300NN700,即ち,斜め下流 lこ向かつて傾斜している.川の中央部には大きな断層が あり,これ:a境にして,左岸は下部からチャー卜,粘板 岩,砂岩の11民で分布し,中腹部には数条の平行断層がみ られる.また右岸は下部から粘板岩,輝緑岩,チャー卜 の順で分布し,中腹部に一条の断層がみられる. 牧尾タムの標準断面を図

2

!こ示す.牧尾ダムは中心コ ア型ロックフィルダムで,堤高は河床上

81m

,基礎岩盤 上

1

0

6

血,堤頂長は

264m

,提体震は

2

6

51

.0

0

0

r

r

i

である. のり面は上流側

1:

3

,下流側

1:

2

.

2

5

の勾配をもって いる.

1

0

l

日におけるダム平均水位は

E

L.

874m

であ った. *カインニcm/sec

3

.

観測方法 地震計は図

2

に示すように,ダム天ぱ下流側端(a点、), 下流側中腹(b点)および下流[則河床上(c点)の

3

点に, 夕、ム軸直交水平動成分と上下動成分をそれぞれ設置し た a点は整地された比較的堅固な地面であるが, b点は ロックゾーンを構成するひとつの石塊上の点、で、あり, c 点は砂地盤上の点である.各地震計は同軸ケーブルによ って天ばに設置された増巾器およびデータレコーダーに 接続された. 使用じた地震計は反動技研製

MTKV-l

Cおよび

MT

KH-ICで,固有周期l秒の動コイル型速度計である. 増巾器は同社製

TA403

を用い,データレコーダーを用 いて磁気テ プに記録を収録した.磁気テープにはパル ス発振器から発振された

l

秒間隔パルスも同時に収録 し,時間目盛とした.

J

J

Y

も同時に収録し,地震発生時 刻を決めた. ダム左岸の岩盤上 iζ名古屋大学理学部が設置した地震 計があり,その記録と比較すろことにより,得られた振 動記録が地震によるものであることを確認した.

4

波形記録 a, b, cの

3

点において得られたダム軸直交水平動成 分および上下動成分の波形記録を図

3

ζ示す.! S波の立 ち上がりは明瞭であり.PS遅延時間は

2

.

5

秒である.従 って,この地震は牧尾ダム北西に発生している群発地震 のひとつであると考えられる.各地点の各成分とも最大 速度振巾は

4

~6 ミリカイン*程度であるが, a地点の 氷平動成分の振巾がやや大きいことが注目される. 速度波形をカーフリーダーを用いて読みとり,一度デ ィジタルイじした後,高速フーリエ積分を実行し変位波形 を求めた.この際,読みとり時間間隔は

0

.

0

1

秒とした. 得られたa,b, c3点のダム軸直交水平動成分および

(2)

2

1

0

正 木 和 明 上下動成分の変位波形を図

4

iこ示す,各波形とも

1

0

秒な いし

2

0

秒の長い周期の波がみられるがp これはディジタ ル化する際のゼロ点のとり方 lζ起因するもので1 堤体自 身の振動ではないと考えられるー速度波形と比較してみ ると5 変位波形においては匁周期成分に比べ長周期成分 が卓越してくる傾向があることがわかるo bおよひεc点の 水平動成分は最大変位振i(jがlミクロン程度であるのに 比べてPヨ点の水平動成分は

5

ミクロンにもなっている

置し自。

1

飯 田 汲 事 ことが注目される.即ちp 堤頂部において振動が約

5

倍 に増巾されていることがわかる.この傾向は上下動成分 についてもみられ,堤頂部において約3倍増巾されてい ることがわかる. 5 パワースベクトル 得られた速度成形および変位波形を高速フ←リエ変換 しp パワースペクトルを求めた.波形の読みとり間隔を

200

300

m

i

牧 尾 タ ム の 基 盤 地 質 図 S 1 :粘板岩 S 砂岩 C チャート D:輝緑岩 GS:砂,様 Alt:粘板岩p 砂岩互屑

(3)

みられる

1

0

H

z

より短い周期の波も存在するがp 特に 卓越した波はみられない.

b

点のスペクトル

1

こは

5Hz

1

3

H

z

,更に

2

0

H

z

iこピークがみられる.a点のスペクト ルにも

5Hz

付近にピークがみられるが弱い.a点の水平 成分のスペクトルには

2

.

2

H

z

に鋭いピークが存在するこ

0

.

0

1

秒にとり,解析時間は

P

波初動立ち上がりから

1

0

秒 間とした。 a, b, c

3

点の上下動成分およびダム軸直交水平動成 分の速度波形について得られたパワースペクトルを図

5

l

こ示す.c点のスペクトJレには

6

ないし

7Hz

にピークが _g,三里旦

嘉戸

菌 国

m J F r 4 m -m

一 一

£ 尺 m w -E 館 “ w ム 百与 向 二 o -牧足タム標準断面図.a, b, cは地震計設置点 図

2

aH cbH ccH U lsec w

Klne卜一一一一一一一一一「

(

1

)

j

t

(2)Jr~……叫榊山川特曲折一、

(

3

)

j

?

caV (4)

d

4 (5)j 戸4 (6)2 -2 ( bV a, b, c点における速度波形.日;タム軸直交水平動成分J V;上下動成分 (cV 図

3

r

bV P ‘ 、 切 e P q ︼ 三 一 u 1 一 J ハ υ ﹁ f ; r ト tEFrrbtz ト trttFlitttbtftF ト t + ト t m202202202202202202 H

-一

-F ν ﹄ 1 、 , , 、 B , 、 . , 、 ー , 、 , , 川 U 2 3 4 5 6 r ( ( ( ( ( ( {cV a, b, c点における変位波形 H;ダム軸直交水平動成分, V;上下動成分 図

4

(4)

2

1

2

正 木 和 明 とがわかる. 変位波形について得られたパワースペクトルを図611: 示す.スペクトルのピークの位置は速度波形について得 られたピークの位置と大体一致しているが,スペクトル 全体に短周期成分が減少し,長周期成分が卓越してく る.こ乙でも,

a

点、の水平動成分のスペクトJレに

2

.

2

H

z

の鋭いピークが存在することが注目される.

6

.

振動モード 得られた変位波形から堤体の振動の様子を描いたのが 図

7

である.図はc点、に対する a点, b点、の水平相対変 位を求めて描いてある. 即ち, a点の水平変位から c点、の水平変位を差し百│い

mkine.sec

x

l

0

-1

a-V

旬 百 20

mkine.sec

x

l

O

-

1

10 飯 田 汲 事 た値を堤頂部の水平変位とし ,b点の水平変位からc点 の水平変位を差し引いた値を堤体中間点の水平変伎とし てある.ダムの高さおよび変位は図を見易すくする為に 拡大しである.図はS波による振動の第一波について, 即ち

P

波の立ち上がり後の

2

.

6

0

秒から

3

.

0

8

秒の聞の振動 について,

0

.

0

1

秒 Cとに描いてある. 図7をみるとふたつの振動モードが存在することがわ かる.a点と b点が同じ方向に変位を生ずるモードと, a点とb点が逆の方向に変位を生ずるモードとである. ただし,後者において堤体が折れ曲る位置についてはも っと上かもしれないが,測定点が中間部にひとつしかな いのではっきりしない.またa点はb点に比べて,極端 に大きな変位を生じており,いわゆる「むち打ち現象」

b-V

15 20

mkine.sec

x

l

0

-2

c-V

10 15

F

r

e

q

u

e

n

c

y

Hz

F

r

e

q

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n

c

y

Hz

F

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y

H

z

mkine.sec

xjo

1

Q-H

b-H

11

π

3

1

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i

n

-

e

l

-

s

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c

x

20 0 10

10 15 20 開 15

F

r

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,ト

z

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F

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c

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H

z

F

r

e

q

u

e

n

c

y

H

z

5

a, b, c点における速度のパワースペクトノレ 上;上下動成分 下;ダム軸直交水平動成分

(5)

がみられる. 更に詳しい振動の様子をみるためには9上下方向変位 も考慮する必要があるが今回は省略した.

7

.

討 論 今回地震計を設置した地点のうちc地点、はダム下流側 の堤体から

10m

程離れた地点でありB やや軟弱な地盤で はあるが,タム基礎地盤と一体をなして振動する地点で あると考えられる.

c

地点のパワースペクトルは

6Hz

付 近にピークを持つことから,基礎地盤での卓越周期p 即 ち,堤底面へ入射する地震波の卓越周期は

6Hz

程度で あったと考えられる. 上下動成分についてはs 更に,

1

3

H

z

および

17Hz

付近にも卓越周期があったと考えられ

μsec

>

:

:

1

0

-1

'

-

1

lJ.sec x

s

0

1

.

.

S 官J 6 20 Frequ告ncy,Hl

a-H

u.sec

x

l

O

-1

}J'S号

C

1

0

-

'

b

V

b

H

る。堤体中間地点である b地点においてはp やはり

6Hz

付近にスペクトルのピークがあらわれ,入力地震波の卓 越周期がそのまま堤体の卓越周期になったことがわか る巴上下動成分においては,

6Hz

のピークは先鋭化し,

1

3

H

z

および

1

7

H

z

のピークもやや鋭くなっている。水平 動成分においては

1

3

H

z

のピークが明瞭になってきて いる。 上下動s水平動両成分とも

20Hz

付近に新たなピ ークがあらわれているが,これは,地震計をひとつの岩 塊上に設置したために,この岩塊の振動を測定したとも 考えられる。堤頂部である a地点の

2

つのスペクトルは 対照的である図上下動成分のスぺク卜Jレには

5Hz

付 近の弱いピークを除けばB ほとんどピークはみられない のに対し,水平動成分のスペクトル

l

こは

2

.

2

H

z

に鋭いピ

μ

.

5

e

x

1

0

-

1 )J.sec

)

(

1

0

-'

c

-

v

盟 Freq阻 むy.トセ

c

白 H

10 15 10 15 20

F

requency, Hl Frequency,トセ Frequency. Hz 図

6

a, b, c点における変位のパワースペクトル 上:上下動成分 下:ダム軸直交水平動域分

(6)

2

1

4

正 木 明 和 飯 田 汲 事

1

J

.

!

(7)

牧尼ダム堤体の地震時振動特件ー

Z/H

0.0

0.5

1

.

0

0

Z/H

0.0

0.5

1

.

0

1

.

0

1

.

0

8

せん断ばり理論による堤体の一次, 二次振動モード ークがみられる. ζのピークは堤体が共振現象を生じた 為にあらわれたものと思われる.図

3

および図

4

に示し た波形をみると 2.2Hz程度の周期の波が 3~5 倍程度に 増巾されており,この事からも堤体が共振現象を生じた ことがわかる. せん断ばり理論によれば堤体の悶有振動周期は 2πH Ti

=正;モ

s (1) 乙れに対する振動形は 世i(z)= Jo

(千)

(2) となる.ここに z 堤頂より下方方向にとった摩擦 H:堤高 C,せん断波伝播速度

(

=

v

l

)

である ZiはJ0 (z)を

O

ならしめる zの値であり Z1 = 2.4048 Z2 = 5.5201 Za = 8.6537 Z4 =1

1

.

7915 である.添字はそれぞれ振動モードを表わしている. 堤体内のせん断波伝播速度を

2

0

0

7

s

と仮定して(1)式に 代入すると T1 -1.10sec T2 0.48sec T3 = 0.31sec となる.即ち一次,二次および三次の固有振動数はそれ そ、れ0.91Hz,2.09Hz, 3.28Hzとなる. 凶5および図6で示したように,スペクトJレには 2.2 Hz付近に鋭いピ{クがみられるが, 乙れは上で述べた 二次の固有振動数に対応していると考えられる.また, 同図には1Hzおよび3Hz 付近にもわずかながらピーク が存在するが,乙れが一次および三次の固有振動数に対 応するかどうかは明らかでない. また (2)式より求めた一次,二次の振動モードを図

8

~C:: 示す.図7と図8を比較する乙とによって堤体の振動モ ードが明らかになる.両図からは,堤体が一次ないし二 次モードで振動していることがわかるが,二次モードが やや卓越している傾向がみられる.振動測定点が

3

点で あるために,三次より高次の振動モードについては明ら かでない.

8

.

ま と め ダムの堤体下端l乙入力してきた地震波は

6

Hzないし 13Hz に卓越周期をもっていたと考えられる. ζの入力 地震により堤体は一次あるいは二次モードの共振現象を 生じ,速度振巾,変位振巾は 3~5 倍 K 増巾された.こ の時の振動数は2.2Hzであり,せん断ばり理論から求め た二次モード振動数2.1Hzとよく対応する.堤体が二次 モード振動をしていることは,

3

測定地点、の波形から得 られた浸体の変形の様子からも推測される. 今回は測定地点、が

3

ケ所であったために,より高次の 振動モード,あるいは詳細な堤体の変形の様子はわから なかった.今後,多点、同時測定等,より詳しい測定をす ることが期待される. 終りにのぞみ,多大な御助言をいただいた本学土木工 学科大根義男教授に深く感謝の意を表する.また測定に あたっては所長をはじめとして水資源開発公団愛知用水 総合管理所牧尾管理所の諸氏,日本技研株式会社の磯貝 洋尚氏,橋本勝弘氏,本学大学院生村瀬裕司氏~c::御援助 いただいた. 計算にあたっては本学大学院生坪井利弘 氏,学部学生井上敏晴,門坂俊男君l乙援助していただい た.乙乙に合わせて感謝の意を表する. 計算には本学計算機センターのYHP21MXを用いた. 参 考 文 献 1) 牧尾ダム;水資源開発公団愛知用水総合管理所牧尾 管理所

2

)

岡本舜三;耐震工学,オーム社(1

9

71) 3) 地震応答解析と実例;土木学会編(1973)

図 7 堤体の振動モード.左上から右下にかけて 0 . 0 1 秒ごとに示しである.

参照

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