地方自治体の橋梁維持管理の実情と
ICT活用の可能性
東京大学 生産技術研究所
都市基盤安全工学国際研究センター
准教授 長井宏平
[email protected]‐tokyo.ac.jp 注意:この資料は許可なく転載等しないでください今日のおはなし
1.インフラの劣化に関係する全般的な話
2.市町村の状況の話
3.新潟県市町村での実態調査
4.合理的な維持管理に役立つツール?
5.新潟県の点検データ分析
6.今後への示唆
様々な角度で,ICTとの融合の
可能性が感じられる。
内閣府HPより引用 革新的燃焼技術 次世代パワーエレクトロニクス 革新的構造材料 エネルギーキャリア 次世代海洋資源調査技術 自動走行システム インフラ維持管理・更新・マネジメント技術 レジリエントな防災・減災機能の強化 次世代農林水産業創造技術 革新的設計生産技術 点検・モニタリング・診断 技術の研究開発 構造材料・劣化機構・補修 ・補強技術の研究開発 情報・通信技術の 研究開発 ロボット技術の 研究開発 アセットマネジメント 技術の研究開発 道路インフラマネジメント サイクルの展開と国内外 への実装を目指した統括 的研究(代表:前川宏一) (1) (2) (3) (4) (5) ・・・・・・ ・・・・・・SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)
H26開始の内閣府の科学技術政策のひとつ. 社会的に不可欠で,日本の経済・産業競争力 にとって重要な10課題を選定. (H26予算:500億円) 17インフラ維持管理・更新・マネジメント技術
東京大学が主担当インフラの点検が義務化される時代に
(笹子トンネルの事故は大きな契機)
課題は
技術者育成
と
市町村支援策
新しい橋梁の点検方法
5年に1回
近接目視
部材ごと
(市町村でも義務化)
(各地でスタート) (これから整備が急務)
データが蓄積
される時代に
研究背景
“America in Ruins”
Minnesota department of transportation • 46 killed • 9 injuredSilver Bridge (1967)
• 90,000 of traffic/day • 3 killed • 5 injuredMianus River Bridge (1983)
• 13 killed • 145 injured
Minneapolis I‐35W bridge (2007)
6
荒廃するアメリカ
Silver bridge Mianus bridge
Minneapolis I‐35W bridge
荒廃する日本?
日本はアメリカの30年遅れて橋梁建設ラッシュ
日本でも落橋が?? 維持管理の時代へ
老朽化の進む日本の橋
15m以上の橋 約15万橋急速な老朽化
半分以上の橋が50歳以上になる時代に
道路橋人口の高齢化(+人口減)と
インフラの老朽化が
同時に来る時代
課題解決先進国に
橋の劣化の主な要因
・ 鉄の腐食(さび)
・ 疲労(長期使用により損傷)
さらにコンクリートは
・ 乾燥収縮(コンクリートの水分が抜ける)
・ アルカリ骨材反応(骨材が膨張)
・ 凍結融解(内部水分が凍って膨張)
・ クリープ(時間依存変形)
鉄筋の腐食状況
表面全体が激しく腐食 孔食が見られる腐食 ほぼ健全な鉄筋(φ19程度) 断面減少率 約52% 断面減少率 約48% φ19の円 土木研究所土木研究所資料
このまま通していて、大丈夫か?
土木研究所資料 国 7% 都道府県 15% 高速1%市町村
77%
70万橋橋梁管理者割合
出典:道路統計年報2011ほとんどの橋は
市町村管理
近年,一斉点検
=これまで未点検!?
地方自治体も橋梁の 長寿命化修繕計画を 急速に立案(補助金の為)立案・実行は各自治体 ← 適切なシステムになっているか不明
点検データが飛躍的に増えるが,予測等への活用がないのが現状
データベースを核としたコンクリート 構造物の品質確保に関するシンポ ジウム資料 http://michimori.net/old_fil es/photo20090612b.JPG 長崎県 道守 県民の協力・技術者育成 香川県 優先度に応じた維持管理 山口県 チェックシートによる 施工不良防止 岐阜県 ME 福島県 輪番制での堆積土砂の撤去 三重県 用途別維持管理 青森県 アセットマネジメントの導入地方自治体での様々な取組
市町村の橋梁維持管理対策
17オートマチックな管理で問題解決!・・? 情報に使われる時代に?
17
国 7% 都道府 県 15% 高速 1%市町村
77%
70万橋管理者割合
0人
0人
27 190 216 8 84 317 0% 20% 40% 60% 80% 100%村
町
市
0人 1‐5人 6‐10人 11‐30人 30人以上橋梁維持管理担当技術者数
解決策:橋梁長寿命化修繕計画
2012年7月時点 出典:国交省HP日本の橋梁の77%を管理する市町村では
技術職員不足・不十分な管理
アウトソーシングにより管理可能に
点検率は16%(H20)から95%(H25)まで上昇!!
出典:道路統計 年報20110人,70%
点検
点検業者
重要度による
管理区分設定
システム
補修優先
順位決定
システム
具体的な
補修内容
補修業者
補修
対策
市町村の橋梁維持管理の問題点
1818
点検
点検業者
管理区分
設定
システム
優先順位
決定
システム
補修内容
補修業者
対策
管理
者判断
管理
者判断
管理
者判断
管理
者判断
技術者の少ない市町村で判断可能??不明確な責任の所在
非合理的な管理で必要な対策が不十分に
長寿命化修繕計画の運用確認には管理者判断の検証が必要
新潟県を事例に調査・検証
管理者判断なく、アウトソーシングで実行可能なシステム
出典 南魚沼市HP(左) 新潟市HP(右)一律に同じ点検
合理的??
災害による孤立
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/download/1/doboku _hisaigaiyou02.pdf日々の生活に
必要な道
重要な道: 都会と田舎は違う
分散した橋の配置
横にバイパスができ
利用度がない橋梁
新潟県での調査
20新潟県 30市町村(合併後)
112市町村(2000年)
30市町村(現在)
7
市町村橋梁を取り巻く社会的状況
22人口減少
低下するインフラの需要。縮小が合理的か?
管理者のポテンシャル調査の流れ
23
データ取得
[新潟県建設技術センターより]6千橋超分の基本管理データ
①アンケート調査
[29市町村]管理体制・維持管理状況を把握
②ヒアリング調査
[5市町村]判断プロセスとその度合の詳細調査
③電話調査
[23市町村]判断の度合いを全体で再調査
新潟県内市町村を対象とした調査
30市町村
人口 230万人
アンケート調査
回答率97%
ヒアリング調査
電話調査
④判断度の指標化と分析
[28市町村]人口などの指標と比較
判断度の
指標化と分析
アンケート結果
24アンケート概要
期間:2013年11 月末~2014年1月末
回答:胎内市を除く29市町村(回答率97%)
質問内容 ① 橋梁維持管理業務 ・維持管理担当者数(事務・技術者数) ・橋梁維持管理に携わる時間割合 ・過去三年間の補修補強橋梁数 ・過去の修繕限界要因 ・職員が橋梁を見る目的 ・日常的な劣化予防対策の有無 ・長寿命化修繕計画以外の独自の取り組み ① 関係する外部団体 ・点検結果から損傷の程度を検討する際に意見を求める団体 ・補修を実施するかどうかを検討する際に意見を求める団体 ・補修方法や内容の詳細を検討する際に意見を求める団体 ① 長寿命化修繕計画 ・管理区分変更の際に考慮したこと ・最終的な優先順位決定時に考慮したこと ・計画の各年度の修繕限界要因 ・計画の見直し予定 ① 将来のインフラ 維持管理 ・人口減少による交通規制検討橋梁の有無 ・橋梁維持管理の懸念事項 ・インフラ維持管理全般の懸念事項アンケート<職員数>
0 5 10 15 20 25 30 35 新潟市 長岡市 上越市 三条 市 新発 田 市 柏崎 市 燕市 村上市 南魚 沼 市 佐渡 市 十日町市 五泉 市 糸魚 川 市 阿賀 野 市 見附市 魚沼市 小千 谷市 妙高市 加茂市 聖籠 町 阿賀 町 田上 町 津南 町 湯沢 町 弥彦 村 関川 村 刈羽 村 出雲 崎町 粟島浦村 事務職員数 技術職員数 橋梁維持管理職員数 新潟市 6割 十日町市 1割 阿賀町 1割 長岡市 2割 五泉市 1割 田上町 0.5割 上越市 2割 糸魚川市 2割 津南町 0.1割 三条市 2割 阿賀野市 1割 弥彦村 1割 新発田市 0.5割 見附市 1割 湯沢町 1割 柏崎市 10割 魚沼市 2割 関川村 1割 燕市 1割 小千谷市 2割 刈羽村 2割 村上市 2割 妙高市 3割 出雲崎町 1割 南魚沼市 3割 加茂市 1割 粟島浦村 1割 佐渡市 1~2割 聖籠町 1割 橋梁維持管理に携わる時間割合 0 1 2 3 4 5 6 新潟市 長岡市 上越市 三条 市 新発 田 市 柏崎 市 燕市 村上市 南魚 沼 市 佐渡 市 十日町市 五泉 市 糸魚 川 市 阿賀 野 市 見附市 魚沼市 小千 谷市 妙高市 加茂市 聖籠 町 阿賀 町 田上 町 津南 町 湯沢 町 弥彦 村 関川 村 刈羽 村 出雲 崎町 粟島浦村 18.6職員数×時間割合
アンケート<職員数>
他の業務との兼職で橋梁にさける時間は少ない
(道路維持管理、道路拡幅のための用地買収、住民対応など)
担当者が橋梁を見るとき
アンケート<管理者の取り組み>
0 5 10 15 20 25 30 e. その他 d. 見に行くことはない c. 損傷の報告や連絡を受けたとき b. 補修の判断をするとき a. 定期点検 0 10 20 30 b. 行っていない a. 行っている橋梁の清掃
0 10 20 30 b. 行っていない a. 行っている独自の取り組み
点検はアウトソーシングが多い。
清掃がまだあまり導入されていない。取り組みは長寿命化修繕計画がメイ
ン。
アンケート<管理者の取り組み>
0 10 20 30 i. その他 h. 特に意見を求めることはない g. 国土技術総合研究所・土木研究所 f. 大学などの研究機関 e. 北陸地方整備局 d. 建設会社 c. コンサルタント会社(補修設計を行う会社) b. コンサルタント会社(点検を行った会社) a. 建設技術センター橋梁の点検結果から損傷の程度を検討する際に意見を求める団体
点検結果から補修を実施するかどうかを検討する際に意見を求める団体
補修方法や内容の詳細を検討する際に意見を求める団体
国の機関にきくという回答なし。ローカルなネットワークに情報が集約
①アンケート調査 (29市町村回答:回答率97%)
30
新潟県建設技術センター
(計画策定)
学識者
地元コンサル
(補修設計)新潟県
国交省
地元コンサル
(点検)建設会社
地方整備局
国総研・土木研究所
点検結果から補修を実施する
かどうかを検討する際に意見
を求める団体(複数回答可)
22
10
16
3
2
0
0
市町村
国レベルの技術サポートは
活用されず
ローカルなネットワークに頼った技術判断
ローカルなネットワークに
情報集約
赤字:回答市町村数体制の構築 ・他のインフラと調整する部署が必要 ・施設台帳の整理・補修履歴の管理 財政不足 ・維持管理費用の集中 ・新設よりも補修優先の必要性 ・老朽化に対し予算が間に合わない ・長期的な財源確保 ・財政難によるネットワークへの影響 補助金に対する懸念 ・事後処理に対する補助金 ・交付金の継続性 ・事務負担増加対策となる交付金 ・裏負担の起債充当基準の緩和 人員不足 ・委託に頼らざるを得ない ・専門担当者不在 ・知識や技術力の向上が必要 ・人員不足による不十分な維持管理 ・簡易点検が必要 ・補修に追われて点検まで回らない ・修繕対応で手いっぱい その他 ・低コストかつ長期的安全確保の技術・維持管理レベルの基準
アンケート<将来のインフラ維持管理>
現在または将来のインフラ維持管理の懸念事項
担当者が橋梁を見るとき
0 5 10 15 20 25 30 e. その他 d. 見に行くことはない c. 損傷の報告や連絡を受けたとき b. 補修の判断をするとき a. 定期点検 新潟 京都 0 5 10 15 e. その他 d. 必要な修繕は全て行った c. 対応する人員の限界 b. 補助金・交付金の限界 a. 市町村の財政の限界 新潟 京都修繕の限界要因
アンケート 京都府との比較
新潟
京都
建設技術センター/京都府土木事務所
16
9
コンサルタント会社(点検を行った会社)
22
20
コンサルタント会社(補修設計を行う会社)
10
12
建設会社
3
0
地方整備局
0
0
大学などの研究機関
2
4
国土技術総合研究所・土木研究所
0
0
特に意見を求めることはない
0
1
その他
0
2
点検結果から,補修を実施するかどうかを検討
する際に意見を求める団体(複数回答可)
京都府のアンケートでも類似の傾向がみられる
アンケート 京都府との比較
判断度による評価
34電話調査 (ヒアリング未実施の23市町村)
35各段階で判断が行われたかを質問
35
点検
点検業者
管理区分
設定
システム
優先順位
決定
システム
補修内容
補修業者
対策
損傷状況
の
判
断
重要
度
の
判
断
補修順番の
判
断
補修内容の
判
断
損傷状況
の判断
重要度の
判断
補修順番
の判断
補修内容
の判断
A市
○
○
○
○
B市
×
○
○
△
C町
×
△
×
×
D村
×
×
×
×
無責任な管理
責任ある管理
④総合的な結果の比較(28市町村)
36「
判断度
」による指標化(8点満点)
判断度の合計は「責任を伴う判断」が行われた割合を示す
判断度と市町村のポテンシャル(人口)の関係を確認
36
判断度
A
損傷状況の
判断
B
重要度の
判断
C
補修順番の
判断
D
補修内容の
判断
○
2
点検結果照査
+職員による点
検・パトロール
判断基準追加
重要度で
点検変更
地域間の調整
技術面、将来
性の判断
内容を吟味
職員で設計
△
1
or職員による点
点検結果照査
検・パトロール
システム内の
基準の強化
確認している
予算のみと
調整
コンサルタント
の提案通り
(努力あり)
×
0
ない・見るだけ
点検結果を見
システムによる
管理区分通り
システムによ
る順番通り
コンサルタント
の提案通り
(努力なし)
AA市 BB市 CC市 EE市 DD市 HH市 GG市 FF市 0 1 2 3 4 5 6 7 8 0 5 10 15 20 25 30