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日本糖尿病学会誌第58巻第1号

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Academic year: 2021

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地方会記録

第 52 回日本糖尿病学会

中国四国地方会

会期:2014 年 10 月 24 日(金),25 日(土)

会場:リーガロイヤルホテル広島

会長:山根 公則

(NTT 西日本中国健康管理センタ所長) YIA-01 NAFLD における耐糖能異常の成因の解析―肝組 織所見を用いた検討 高知大学医学部内分泌代謝・腎臓内科学1 高知大学医学部消化器内科2 近江訓子1 小野正文2 船越生吾1 平野世紀1 次田 誠1 高田浩史1 森 俊輔1 寺田典生1 西原利治2 藤本新平1 【方法】当院で肝生検を受けた NAFLD 患者 135 名に経口 ブドウ糖負荷試験を実施し,病理学的所見と耐糖能異常の 関連を解析した.インスリン分泌指標として Insulinogenic index(IGI),インスリン感受性指標として QUICKI を用い た.組織所見として NAS score,fibrosis を評価した.【結果】 耐糖能障害を生じる予測因子は,IGI(β =−0.350),QUICKI (β =−0.229),年齢(β =0.232)で IGI が最も重要な予測因 子であった(R2=0.234). QUICKI では BMI(β =−0.411), fibrosis(β =−0.302),脂肪化程度(β =−0.154)が予想因 子であった(R2=0.319).【結論】NAFLD 組織所見は BMI と独立してインスリン抵抗性に関与し特に fibrosis が重要 な因子であった. YIA-02 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に対するモ サプリドクエン酸塩投与効果の検討 広島大学大学院医歯薬保健学研究院医化学1 広島大学大学院医歯薬保健学研究院分子内科学2 東京大学医学部付属病院糖尿病代謝内科3 朝日生命成人病研究所付属医院糖尿病代謝内科4 大久保博史1 米田真康2 迫田秀之3 櫛山暁史4 藤城 緑3 中津祐介1 福嶋俊明1 松永泰花1 鎌田英明1 浅野知一郎1 【目的】NASH 発症における腸内細菌の関与が示唆されている.そこで,腸管運動促進薬 であるモサプリドクエン酸塩(MC)を投与し,NASH 発症への影響を検討した.【方法】 C57BL6 を通常食群,NASH 誘導食群,MC 混合 NASH 誘導食群の 3 群に分類し,6 週間 後に検討した.【結果】MC 投与群では,NASH 誘導食群と比較し,組織学的に,肝臓に おける大きな脂肪滴の蓄積,炎症細胞浸潤,肝細胞風船様腫大の抑制を認め,血清 ALT 上昇の抑制,肝臓 TNF-α mRNA 量の低下,血中 LPS 濃度の低下,血漿 GLP-1 濃度の上 昇を認めた.さらに,MC 投与群では,組織学的および RT-PCR の結果から肝線維化の 抑制も認めた.興味深いことに,MC 投与群では,腸内細菌叢における乳酸菌の増加,腸 管 NFkBp65 陽性細胞数の減少を認めた.【結論】MC 投与により,NASH 発症抑制を認め た.MC 投与は NASH 発症抑制に有効な治療法となる可能性が示唆された. 和脂肪酸摂取量と関連する【東温スタディ】 愛媛大学大学院医学系研究科糖尿病内科学1 愛媛大学大学院医学系研究科統合医科学2 愛媛大学大学院医学系研究科健康科学・基礎看護学3 順天堂大学大学院医学研究科公衆衛生学講座4 能美幸信1 川村良一1 丸山広達2 斉藤 功3 高田康徳1 大沼 裕1 谷川 武4 大澤春彦1 【背景】レジスチンは,マウスにおいて,インスリン抵抗性を惹起するサイトカイ ンである.ヒトでは,主に単球やマクロファージに発現し,炎症や動脈硬化とも関 連する.一方,n-3 系多価不飽和脂肪酸(n-3 PUFA)は,TNF-α や IL-6 等の種々 の炎症性サイトカインを抑制する事が報告されている.【目的】血中レジスチンと n-3 及び n-6 PUFA 摂取量との関連について解析する.【対象】観察型疫学研究の東 温スタディを受診した一般住民約 2,000 人.【結果】血中レジスチン値は,n-3 PUFA 摂取量と有意な負の関連を示したが,n-6 PUFA とは有意な関連はなかった.これ らの関連は,総摂取エネルギー調整後も変わらなかった.さらに,n-3 PUFA につ いては,多変量調整後も有意な関連を認めた.【結論】ヒトにおいて,血中レジスチ ンは,摂取する脂肪酸の種類,量の影響をうける可能性が示唆された. YIA-04 hs-CRP 値と CVD 死亡の関連について ―耐糖 能別・男女別検討― 広島原爆障害対策協議会健康・増進センター 秋山朋子 吉良さくらこ 卜部景子 福島徳子 藤原佐枝子 【目的】糖尿病者および非糖尿病者において hs-CRP と CVD 死亡との関連を検討した.【方法】2003 年 10 月∼2004 年 3 月の検診受診者 13389 名(糖尿病 1409 名,非糖尿病 11980 名)を対象に hs-CRP を測定し, 3 分位法を用いて Low(L), Middle(M),High(H)の 3 群に分け,2013 年 9 月までそ の予後の追跡調査を行った.【結果】1)生存率の検討では,男 性で DM,非 DM ともに L-M-H の順で有意に低下した(P< 0.001).女性では有意な差は見られなかった.2)CVD 死亡 に対する hs-CRP 高値の相対危険度を COX 比例ハザードモ デルを用いて検討した.年齢,血圧,HbA1c,BMI,non-HDL-C で調整後の H 群の L 群に対するハザード比は男性 DM 者で 2.44(P<0.001),非 DM 者で 1.69(P<0.001)であっ た.女性では差は認めなかった.【結論】男性では DM,非 DM ともに hs-CRP と CVD 死亡との関連が示唆された. YIA-05 早期糖尿病性腎症におけるバイオマーカーとし て尿中 TFF(Trefoil factor)の検討 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科腎・免疫・内分泌代謝内科 学 寺見直人 小川大輔 畑中崇志 山成俊夫 杉山 斉 四方賢一 槇野博史 和田 淳 【背景】TFF 蛋白は腎障害において尿中への排泄が増加することが 報告されている.本研究では,糖尿病性腎症の進行に伴う尿中 TFF の関連について検討した.【方法】平成 21 年 5 月より 2 型糖尿病患 者 143 名(男性 79 人,女性 64 人)を対象とした.今回の研究では 5 年間の観察データを分析した.評価項目は一般血液生化学検査, 尿検査,TFF1-3 の他,尿中 NGAL,M-CSF,8-OhdG,L-FABP, α 1-MG, β 2-MG, NAG を測定し尿中 TFF との関連を検討した. 【結果】尿中 TFF3 はアルブミン尿陽性患者において高値であり相 関関係も認められた.また,尿中 TFF は尿細管傷害を示唆する尿 中 L-FABP,α 1-MG,β 2-MG,NAG に強い相関を認めた.【結語】早 期糖尿病性腎症において尿中 TFF3 が上昇することが示唆された がバイオマーカーとしての可能性は更なる検討が必要である.

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YIA-06 褐色細胞腫の術前管理としてのドキサゾシン導 入は,糖代謝指標を改善させる 鳥取大学医学部地域医療学講座1 鳥取大学医学部病態情報内科学2 松澤和彦1 庄司恭子2 中西理沙2 藤岡洋平2 村脇あゆみ2 伊澤正一郎2 大倉 毅2 大倉裕子1 山本一博2 谷口晋一1 [背景・目的]褐色細胞腫(PHEO)はカテコールアミン(CA)過剰分 泌に伴う糖尿病の原因として重要で,術前にα 遮断薬のドキサゾシン (DX)を導入すると CA の影響緩和が期待される.しかし実臨床で糖代 謝指標への影響に関する報告は少なく,術前症例の血糖管理への影響 をもとに検証した.[方法]対象は 2009 年以降に PHEO 摘出術を施行 した 22 例.診断時と DX 導入後の治療,HbA1c,空腹時血糖(FPG) 等を比較した.[結果]診断時の平均 HbA1c 7.0±1.1 %,FPG 126±22 mg!dl,インスリン療法実施 5 例の平均使用量は 21 単位!日であった. DX を 11±3.1 mg!日導入したところ,平均 HbA1c 6.6±0.1 %,FPG 107±21 mg!dl,平均インスリン使用量 12 単位!日へそれぞれ有意に (p<0.005)改善した.[考察]PHEO の術前血糖管理は,α 遮断薬導入 で糖代謝指標が改善することを念頭に行うことが重要である.

YIA-07 高脂肪食負荷による肝臓の AMPK と Akt のリン 酸化障害の経時的変化 広島大学大学院医歯薬保健学研究科分子内科学 黒田麻実 小武家和博 長野 学 門前裕子 岸本瑠衣 大久保博史 前田修作 大野晴也 沖 健司 米田真康 【背景】インスリン抵抗性には Akt と AMPK のリン酸化障害が 関連する.【目的】高脂肪食(HFD)によるインスリン抵抗性の発 生過程で,肝臓での両蛋白のリン酸化障害を経時的に調べ,食事 の是正で,可逆的に改善するかを明らかにする.【方法】ddY マウ スに HFD を 28 日間投与,あるいは 14 日間 HFD 負荷後,通常 食(SD)に変更し,肝臓での AMPK と Akt のリン酸化を West-ern blot で経時的に比較した.【結果】HFD 負荷 3 日で,肥満,肝 臓内脂肪蓄積を認め,AMPK のリン酸化が低下した.HFD 負荷 14 日で Akt のリン酸化が低下し,全身のインスリン抵抗性が生 じた.SD に変更 3 日で AMPK と Akt のリン酸化障害と全身の インスリン抵抗性が改善し,14 日で肥満と肝臓内脂肪蓄積が改 善した.【結語】AMPK 活性は全身のインスリン抵抗性が顕在化 する前の,HFD 負荷早期から低下していることが判明した. YIA-08 膵β 細胞における小胞体ストレスに対するアド レノメデュリンの生理作用の検討 山口大学大学院医学系研究科病態制御内科学1 総合病院山口赤十字病院2 末冨吏佐1 秋山 優1 太田康晴1 近藤 学2 田部勝也1 谷澤幸生1 【背景】アドレノメデュリン(以下 AM)は cAMP 増加を介してストレス に対する臓器保護作用を示す.我々は小胞体ストレス下の膵β 細胞にお ける AM の生理作用について検討した.【結果】Wfs1 欠損マウスの膵ラ氏 島で AM の mRNA 発現は野生型の 4.0 倍,AM 受容体発現は 1.9 倍に増 加し,thapsigargin(以下 Tg)処理 MIN6 細胞では AM はコントロールの 9.8 倍,AM 受容体は 2.5 倍に増加した.遺伝子導入により AM を過剰発現 した MIN6 細胞では,Tg 誘導 cleaved caspase3 がコントロールに比べ 50 %,DNA ラダー量は 25 %減少した.同条件下で MIN6 細胞内 cAMP 濃度は Tg 処理にて低下するが,AM 過剰発現群で部分的に回復した.【結 論】強い小胞体ストレス下では膵β 細胞は AM の誘導にも関わらす cAMP 減少・細胞死に至るが,AM 過剰発現により部分的に回避される. cAMP を介した AM による生理的膵β 細胞保護の可能性が示唆された. 1-A-01 インスリンを使用せずインスリン非依存状態を 維持している GAD 抗体強陽性高齢者糖尿病の 1 例 岡山大学病院腎臓・糖尿病・内分泌内科 野島一郎 江口 潤 堀口千景 四方賢一 和田 淳 【症例】85 歳女性【主訴】高血糖【現病歴】2004 年に近医で 2 型糖尿病と診断.ナデグリニドの内服治療で HbA1c6 %台 であった.2007 年に GAD 抗体 13000 U!ml と異常高値を認 めたため当科紹介となった.【経過】当科初診時,IRI25μ U!ml とインスリン分泌能は保たれており,IA-2 抗体とインスリン 抗体は陰性であった.インスリン治療を希望されなかったた め内服治療で経過観察することとした.初診時から現在まで の 7 年間,GAD 抗体は強陽性のままインスリン分泌能は保 たれており,DPP-4 阻害薬の内服のみで HbA1c7 %前後でコ ントロールできている.【考察】GAD 抗体陽性症例では,β 細胞保護を目的としてインスリン導入が推奨されるが,本症 例はインスリン導入すること無く,長期にインスリン分泌能 が保たれている症例である. 文献的考察を加えて報告する. 1-A-02 非 常 に 経 過 の 長 い 緩 徐 進 行 1 型 糖 尿 病 (SPIDDM)と考えられる 1 例 日本鋼管福山病院内科 箱田知美 【症 例】現 在 65 歳 男 性.身 長 158 cm,体 重 48.5 kg(BMI 19.4).既往歴 35∼45 歳甲状腺機能亢進症.家族歴 特記事 項なし.【現病歴】33 歳時の検診で尿糖(±)を認め 75 g ブドウ糖負荷試験(以下 GTT と略す)を受け糖尿病境界型, インスリン低反応と診断.その後 7 年続けて GTT を行うも 進展なし.56 歳時再び GTT を施行.結果は以前とほぼ変化 なし.その際に GAD 抗体を測定したところ 40.5 U!ml と陽 性であり,SPIDDM と考えられた.その後毎年 GTT を行な い,65 歳でやっと糖尿病型となった.【考察】当初の耐糖能異 常は,甲状腺ホルモンによる影響も考慮する必要があるが, 32 年の経過で糖尿病との診断に至った.現在もインスリン を使用しておらず,α -GI の服用で血糖コントロールは良好 である.比較的稀な本例について,検診の GTT 結果と臨床 経過を紹介するとともに,検査結果なども含め報告する. 1-A-03 DR15 陽性 1 型糖尿病の 1 例 倉敷中央病院糖尿病内科 木村友香 鈴木貴博 高橋健二 合田 悟 和田美輝 中井志保 和田侑子 志伊真和 藤原大介 武川 郷 松岡 孝 症 例 は 46 歳 女 性,2004 年 に 近 医 で HbA1c14.3 %,PG 493 mg!dl を指摘され当科を受診した.HbA1c13.4 %,抗 GAD 抗体 32.5 IU!ml であり 1 型糖尿病と診断し,2005 年から強化インスリン治療を開始 した.しかし食事療法,治療のコンプライアンス不良で HbA1c12 % 台が続いていた.今回,2013 年に抜歯前後の血糖管理目的に当科に入 院しインスリン調節を行い退院した.本例は 2 型糖尿病の濃厚な家 族歴を有し,過食・肥満歴があり血清 C-peptide 値は低値を示した が,発症後 10 年を経てグルカゴン負荷に対するインスリン分泌は維 持 さ れ,HLA 型 は 日 本 人 1 型 糖 尿 病 に 疾 患 抵 抗 性 haplotype の DRB1*15:01-DQB106:02 と DRB115:02-DQB106:01 を 有 し ていた.本例が 1 型糖尿病疾患抵抗性にも関わらず 1 型糖尿病を発 症した背景因子として,過食・食習慣の乱れ・肥満・2 型糖尿病の家 族歴の存在が関与した可能性があり文献的考察を加え報告する.

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1-A-04 複数の膵島関連自己抗体が陽性であった劇症 1 型糖尿病の 1 例 広島赤十字・原爆病院内分泌・代謝内科 宮原弥恵 長野千尋 中西修平 澤野文夫 【症例】61 歳,女性【主訴】口渇,倦怠感【現病歴】2013 年 2 月健診で異常なし.同年 8 月 18 日口渇,全身倦怠感が 急激に出現,19 日近医で血糖 529 mg!dl,HbA1c7.4 %,膵 外分泌酵素上昇を認め,21 日当科を紹介された.ケトアシ ドーシスを来しており,空腹時血清 CPR 0.13 ng!ml,尿 CPR<3.4μ g!日,HLA DRB1*04:05-DQB104:01 で 劇 症 1 型糖尿病(FT1DM)と診断したが,GAD 抗体,IA-2 抗体,IAA ともに陽性であった.【考察】FT1DM では膵島 関連自己抗体は原則陰性,稀に陽性でも 1 種類であること が多い.1 型糖尿病近親者の発症リスクは自己抗体単独陽 性例は重複陽性例に比し低い.FT1DM における抗体の意 義は確定できないが,3 種類の膵島自己抗体が陽性である 本例は,自己免疫機序関与の可能性を示唆する稀有な症例 と考える. 1-A-05 緩徐進行 1 型糖尿病と診断後アログリプチン中 止し,良好なコントロール維持が危惧される 1 例 広島赤十字・原爆病院内分泌・代謝内科 近藤拓馬 玉本聖佳 長野千尋 中西修平 宮原弥恵 澤野文夫 症例は 74 歳,女性.55 歳頃に肝硬変で通院していた近医で 2 型糖尿病と 診断され HbA1c 11.0 %に悪化したため H26.6 当科に紹介入院した.24 hU-CPR 5.6μ g!日と内因性インスリン分泌は枯渇しており HLA DR4, DR9,DNA タイピング DRB1*090102,040301 と 1 型糖尿病に適合する 遺伝子を有し,過去の肥満歴(BMI 27.0 kg!m2)とも合わせ緩徐進行 1 型糖尿病と診断した.診断前のインスリン強化療法導入時には近医処方 のアログリプチン 25 mg,ボグリボース 0.9 mg を併用していたが診断後 は適応症に 1 型糖尿病がないためアログリプチンは中止した.インスリ ン用量調整でコントロールは維持できたが,その後の食後血糖上昇傾向 から今後の悪化が危惧される.DPP-4 阻害薬はインスリン分泌促進ばか りでなく,グルカゴン分泌抑制作用も併せ持つため,2 型糖尿病のみなら ず 1 型糖尿病にも効能が期待でき,今後の適応症の拡大が望まれる. 1-A-06 6 カ月間の治療中断下でケトアシドーシスに至 らなかったインスリン抗体陽性 1 型糖尿病の 1 例 独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 林 恭加 岡田早未 森本栄作 寺見隆宏 梶谷展生 伊勢田泉 肥田和之 【症例】62 歳女性【現病歴】13 歳時に 1 型糖尿病と診断.2014 年 1 月からインスリン自己中断,4 月頃から体重減少と全身倦怠感が 出現し 7 月に当院受診.HbA1c16.0 %,血糖 782 mg!dl と著明な高 血糖である一方,尿ケトン体(−),アシドーシスは認めなかった. 【経過】グルカゴン負荷試験Δ CPR0.1 ng!ml,尿中 CPR18.9 μ g! day(2009 年 4.7μ g!day)と内因性インスリン分泌能は著明な低下 を認めていた.またインスリン抗体 28.6 U!ml(結合率 32.0 %)を 認めた.【考察】インスリン療法を 6 カ月間中断したにも関わらず, 重度のるいそうを認めるも生存し得た要因として,高結合能 (Scatchard 解析)のインスリン抗体を有していることで血中イン スリン濃度が一定期間保持された可能性かつ僅かな内因性インス リン分泌能の残存が病態に寄与している可能性が示唆された. 1-A-07 インスリン抗体が血糖コントロール悪化と不安 定化の原因と考えられた 1 型糖尿病の 1 例 社会医療法人川島会川島病院糖尿病内科1 同 内科2 小松まち子1 宮 恵子2 野間喜彦1 島 健二1 症例は 58 歳女性.2008 年 4 月初診,食後 3 時間血糖 719 mg!dl, HbA1c 18.6 %,GAD 抗体 8.1 U!ml,尿 CPR14.2μ g!日で 1 型糖 尿病と診断,インスリンアスパルト(A)+グラルギン(G)に よるインスリン(I)治療開始.半年後 HbA1c 6.7 %に改善(A 5,5,7 単位,G8 単位).2011 年頃より徐々に I 投与量が増加. 2014 年 5 月 HbA1c 10.1 %(A9,22,22 単位+G15 単位),尿 CPR 0.3μ g!gCr,SMBG では夜間から朝に低血糖が多く日中は高血 糖を呈し,高力価の I 抗体(濃度>5000 nU!ml,結合率 64.1 %) を認めた.A をリスプロ(L)に,G をデグルデク(D)に変更 して I 投与量は著減し(L7,5,3 単位+D8 単位),持続血糖モニ ターによる血糖値も安定.インスリン抗体は Scatchard 解析で 低親和性・高結合能であり,インスリン自己免疫症候群様のイ ンスリン抗体が血糖コントロール悪化と不安定化に関与し,イ ンスリン変更により改善した興味ある症例と考え報告する. 1-A-08 1 型糖尿病患者における SGLT2 阻害薬の短期的 有効性・安全性に関する検討 淀川キリスト教病院 柚山賀彦 阿部泰尚 原田万祐子 前田ゆき 梶川道子 柱本 満 [背景]SGLT2 阻害薬は,その作用機序より,1 型糖尿病患 者においても血糖降下作用が期待できる.[目的]SGLT2 阻害薬を服用した 1 型糖尿病患者において,血糖値の日内 変動や,短期の安全性を観察する.[対象・方法]CSII 使用 中の男性 1 型糖尿病患者(24 歳)に,Ipragliflozin(ipra)50 mg!日を服用させ,服用前後で CGM を施行した.[結果] MAGE 値は,ipra 使用前値 50.0 から使用後 1 週間で 21.4 まで改善.総低血糖時間は有意に減少し,有意な副作用を認 めなかった.[結論]1 型糖尿病患者における SGLT2 阻害薬 の有効性が示唆された.長期投与時の有効性・安全性につ いて,更なる検討が必要である. 1-A-09 運動失調を呈した劇症 1 型糖尿病の 1 例 済生会松山病院内科1 済生会松山病院神経内科2 青野通子1 中口博允1 有友佳奈子1 北畑翔吾1 白石佳奈1 砂金光太郎1 宮本裕也1 稲田 暢1 堀 和子1 梅岡二美1 村上英広1 沖田俊司1 宮岡弘明1 辻井智明2 矢部勇人2 【症例】54 歳,女性.【主訴】ふらつき【現病歴】受診 18 日前に感冒 症状出現,受診 5 日前から構音障害,複視,ふらつき出現,受診前 日から口渇,多飲多尿出現.当院神経内科受診し,精査加療目的で 入院した.【身体所見】JCS1.複視,構音障害あり.四肢・体幹共に 運動失調あり.【検査所見】尿糖(4+),ケトン体(3+),血液所見 WBC 20900!μ l,Hb 13.4 g!dl,Na 126.2 mEq!l,K 6.70 mEq!l,BUN 51.1 mg!dl,Cr 1.56 mg!dl,随時血糖 1067 mg!dl,HbA1c 6.6 %, ケトン体 6.4 mmol!l,抗 GAD 抗体 1.6 U!ml【画像所見】頭部 MRI 異常なし.【経過】劇症 1 型糖尿病と診断,輸液,インスリン持続投 与施行.血糖改善し,神経症状もすみやかに改善.その後インスリ ン強化療法開始,血糖値安定後は運動失調はみられなかった.【考 察】受診時,運動失調を呈していたが,血糖の改善に伴い症状は軽 快,消失した.経過から高血糖が誘因となったと考えた.

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1-A-10 Basedow 病の病態悪化によりインスリン必要量 が著増した 1 型糖尿病の 1 例 高知大学医学部附属病院卒後臨床研修センター1 高知大学医学部内分泌代謝・腎臓内科学2 周藤麻由1 平野世紀2 松本竜季2 近江訓子2 森 俊輔2 船越生吾2 高田浩史2 寺田典生2 西山 充2 藤本新平2 46 歳女性.2001 年に甲状腺腫を自覚し,Basedow 病と診断さ れ,チアマゾールが開始された.2011 年 2 月にケトアシドーシ スにて緊急入院,GAD 抗体 1900 U!ml,随時 CPR 1.28 ng!ml で 1 型糖尿病・インスリン非依存状態と診断され,強化インス リン療法が開始された.2013 年 8 月 13 日の随時血糖 108 mg! dl,甲状腺機能は正常であったが,8 月 19 日にケトアシドーシ スにて緊急入院となった.入院時 TSH0.017μ IU!ml,f-T3 5.9 pg!ml と甲状腺機能亢進を認め,頸部 CT では高度甲状腺腫大 を認めた.チアマゾールとインスリンを増量し,ケトアシドー シスは改善したが,f-T3 高値は継続し,インスリン必要量は入 院前の 27 単位!日から 60 単位!日まで増加した.甲状腺機能コ ントロール不良のため,131-I アイソトープ治療を行った. 1-A-11 清涼飲料水ケトーシスの経過で受診したがバセ ドウ病の併存から 1 型糖尿病の診断に至った 1 例 鳥取大学医学部病態情報内科学1 鳥取大学地域医療学講座2 鳥取県立厚生病院内科3 村脇あゆみ1 伊澤正一郎1 庄司恭子1 中西理沙1 藤岡洋平1 松澤和彦1 大倉裕子2 角 啓佑3 佐藤 徹3 秋藤洋一3 大倉 毅1 谷口晋一2 加藤雅彦1 山本一博1 症例は 26 歳男性.8 月の健康診断で HbA1c 7.7 %を指摘されたが放置して いた.清涼飲料水を 2000 ml!日以上摂取していたところ,全身倦怠感,体重 減少 5 kg!月を認め 12 月末に近医受診.糖尿病性ケトーシスにて紹介となっ た.来院時 HbA1c 12.8 %,空腹時血糖 245 mg!dl,尿ケトン体陽性であった が,2 型糖尿病の家族歴があり,清涼飲料水ケトーシスを発症したと考え入院 加療とした.一方で,来院時に TSH<0.01μ IU!ml,FT4 3.07 ng!dl,TRAb 60.4 %よりバセドウ病を認めたことから,抗 GAD 抗体を検査したところ, 1634.2 U!ml であり,CPR 0.7 ng!ml と低下していたことから 1 型糖尿病と診 断した.一見,清涼飲料水ケトーシスを思わせる臨床経過においても,常に 1 型糖尿病の可能性を念頭において診療することが必要である. 1-A-12 リウマチ性多発筋痛症を合併した緩徐進行型 1 型糖尿病の 1 症例 香川大学医学部附属病院卒後臨床研修センター1 香川大学医学部附属病院内分泌代謝内科2 香川大学医学部附属病院先端医療臨床検査医学3 香川大学医学部附属病院血液免疫呼吸器内科4 香川大学医学部附属病院整形外科5 國正 靖1 吉本卓生2 小林俊博2 井端智裕2 福長健作2 永田宙生3 菊池 史2 井町仁美3 西内崇将3 尾崎洋基4 小松原悟史5 山本哲司5 村尾孝児3 【症例】76 歳男性【主訴】下肢を中心とした関節痛【現病歴】2000 年より糖尿病で内服加療中. 2014 年に脊柱管狭窄症の診断を受け椎弓切除術前の血糖管理目的にて受診.身長 164 cm 体重 61.4 kg,CRP8.93 mg!dl・WBC5680 !μ l・HbA1c8.5 %・FBS118 mg!dl・空腹時 CPR1.15 ng! ml・空腹時インスリン 3.9μ IU!ml・尿中 CPR72.8 μ g!日・抗 GAD 抗体 7.1 U!ml・各種抗核 抗体陰性・プロカルシトニン 0.04 ng!ml,CT にて下肢の関節液貯留認め,関節炎を疑い骨シ ンチ,FDG-PET にて疼痛部位に一致して集積認めた.SPIDDM とリウマチ性多発筋痛症 (PMR)と診断し,インスリン強化療法と PSL+MTX 投与にて CRP の改善を認め,血糖値も 安定した.【考察】SPIDDM と PMR の合併例については報告が少なく,非感染性の炎症所見と 関節痛を呈していた場合 PMR も念頭に置く必要があると思われる. 1-A-13 悪性貧血の加療経過中に多腺性自己免疫症候群 3 型と診断された 1 型糖尿病の 1 例 心臓病センター榊原病院 岡 美江 石川恵理 清水一紀 福田哲也 岡 悟 症例は 77 歳女性.平成 18 年より抗内因子抗体および抗胃壁 抗体陽性の悪性貧血にて近医加療中であった.平成 24 年 5 月より糖尿病を指摘され,投薬なしで経過をみていたが,同年 7 月頃より口渇・多飲・多尿・体重減少をきたし,血糖 417 mg!dl,HbA1c14.8 %と血糖コントロール不良のため同年 7 月当科紹介入院となる.初診時 BMI28.9 と肥満があったが, 抗 GAD 抗 体 が 78000 U!ml と 強 陽 性 で,尿 中 CPR が 27.7μ g!日と低下しており,1 型糖尿病と診断した.また TSH 69.63μ U!ml,FT4 0.72 ng!dl,マイクロゾームテスト強陽性 で,慢性甲状腺炎も合併していた.本症例は 1 型糖尿病に慢性 甲状腺炎,悪性貧血を合併した多腺性自己免疫症候群(APS) III 型であると考えられた.肥満を伴った高齢発症の糖尿病で あっても自己免疫疾患を合併している場合には各種抗体を測 定し 1 型糖尿病, APS を疑う必要があると思われ報告する. 1-A-14 シェーグレン症候群の経過中に,DKA と急性膵 炎で発症した 1 型糖尿病の 1 例 香川県立中央病院糖尿病内科 吉田 淳 吉川理津子 中村圭吾 症例は 65 歳女.BMI 18.1,2012 年 4 月よりシェーグレン症 候群.2013 年 12 月より突然,口渇,多飲あり,清涼飲料水 を摂取.さらに全身倦怠感もあり 2014 年 1 月当院口腔外科 に紹介.SS-A 抗体 500 U!ml,SS-B 抗体陰性,唾液シンチ で機能低下あり.4 日後に意識障害で救急搬送.HbA1c 13.5 %,血糖 1550 mg!dl,動脈血ガス pH 7.240,HCO312.6, B.E. −13.6,血中ケトン(3+)で DKA と診断し入院.翌日, 膵酵素上昇と造影 CT で grade1 の膵腫大あり,急性膵炎を 併発.Peak 時の AMY 1355,リパーゼ 569 IU!ml.治療後 に GAD 抗体 153,IA2-抗体 138 U!ml,食事負荷 CPR 0.33 →0.96 ng!ml と低下しており,1 型糖尿病と診断.若干の文 献的考察を加え報告する. 1-A-15 膵腫瘍に対する膵全摘後の 3 症例と 1 型糖尿病 症例の比較 松山赤十字病院内科(糖尿病・代謝内分泌) 近藤しおり 源本真由 羽立登志美 宇都宮大輔 岡田貴典 膵 全 摘 症 例(TP)1,2,3 は 各 々 82 歳 女,80 歳 女,79 歳女.<症例 1 経過>62 歳時糖尿病発症,77 歳時 intraduc-tal papillary-mucinous neoplasm(IPMN)で膵全摘.術後は 強化インスリン療法で HbA1c 8 %台と比較的血糖値安 定.<TP と 1 型糖尿病症例(T1DM)の比較>TP 1,2, 3 の BMI は各々 24.1,19.5,25.4,インスリン投与量(Ins) は各々 0.50,0.50,0.51 単位!kg.T1DM 3 例 a 87 歳女,b 77 歳女,c 73 歳男の BMI は各々 20.4,23.0,22.3,Ins は各々 0.55,0.67,0.65 単位!kg.<総括>内因性インスリン枯渇と いう点で同じ T1DM と比較すると,TP では Ins が少ない 傾向.膵グルカゴンや膵外分泌の有無の関与が推測された.

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1-A-16 自己免疫性甲状腺疾患の経過中に急性発症した 糖尿病の 2 例 徳島赤十字病院代謝・内分泌科1 同 消化器外科2 同 病理部3 村上尚嗣1 井上広基1 中内佳奈子1 岩崎 優1 金崎淑子1 新谷保実1 富林敦司2 山下理子3 【症例 1】65 歳,男性.2 年前に軽度の甲状腺中毒症・前頚部痛で受診し, 慢性甲状腺炎の急性増悪と診断.短期のステロイド・補充療法にて改 善.2 週間前より口渇・体重減少をきたし再診.尿ケトン陽性,血糖 319 mg!dl,HbA1c 9.7 %,GAD 抗体 4.4 U!ml より慢性甲状腺炎経過中の 1 型糖尿病発症と診断.強化インスリン療法にて血糖コントロールは改 善.【症例 2】66 歳,男性.46 歳よりバセドウ病を指摘され Methimazole を服用中.10 日前より高度の口渇,体重減少が出現し,著明な高血糖 (PPG516 mg!dl,HbA1c 8.1 %)を指摘.強化インスリン療法を開始も, 膵島関連自己抗体は全て陰性で,造影 CT にて膵体部癌が見出された. 術後は内服治療に移行.【考察】自己免疫性甲状腺疾患の経過中に急性発 症した糖尿病 2 例を報告した.多腺性自己免疫性症候群を疑う状況でも 常に悪性腫瘍・膵疾患等の可能性を考慮する必要がある. 1-A-17 胃癌の精査中に発見された AIMAH によるサブク リニカルクッシング症候群を示す糖尿病の 1 例 山口大学医学部附属病院第三内科 竹田孔明 野見山隆太 秋山 優 谷澤幸生 【症例】76 歳男性【現病歴】近医にて貧血を契機に胃癌と診断. 術前 CT 検査にて両側副腎の多発結節を指摘され,また,随 時血糖 227 mg!dl,HbA1c8.3 %と未治療の糖尿病を認めたた め,精査加療目的に当科紹介となった.クッシング徴候は認 めず,1 mg・8 mg デキサメサゾン抑制試験でコルチゾール は抑制されなかった.131I―アドステロールシンチでは両側副 腎に集積を認め,サブクリニカルクッシング症候群を呈する AIMAH と診断した.糖尿病については,尿中 CPR182.2μ g! 日とインスリン抵抗性が示唆され,術前血糖コントロールと して強化インスリン療法を行った.その後,左副腎腫瘤摘出 術と幽門側胃切除術が施行され,副腎腫瘤の病理所見は AI-MAH であった.血糖コントロールについては,術後インスリ ン治療は不要となった.片側の副腎摘出が血糖コントロール に有用であった AIMAH 症例を経験したので報告する. 1-A-18 GH,ACTH 産生腫瘍を認めた糖尿病の 1 例 高知大学医学部附属病院卒後臨床研修センター1 高知大学医学部内分泌代謝・腎臓内科学2 杉浦健太1 高田浩史2 島村芳子2 近江訓子2 森 俊輔2 船越生吾2 平野世紀2 西山 充2 寺田典生2 藤本新平2 症例は 69 歳女性,35 歳頃より顔貌の変化,手足のサイズの 変化を認めていた.55 歳頃に高血糖を指摘され 62 歳より 内服加療を開始した.2013 年 8 月に前医にて顔貌や手足の 肥大,GH 43.1 ng!ml,IGF-1 508 ng!ml より先端巨大症を疑 い 2014 年 6 月に当科紹介となった.精査の結果にて下垂体 腺腫と GH 及び ACTH の過剰産生の所見があり,7 月に経 蝶形骨洞的下垂体腫瘍摘出術にて下垂体腺腫の部分摘除を おこなった.術前と手術 1 ヶ月後の比較では GH,ACTH 分泌の大きな変化は認めず,インスリン自己分泌は不変 (CPR index 0.44→0.44)であったが,インスリン抵抗性の改 善(HOMA-R 0.66→0.10)を認めた.GH・ACTH 同時産生 腫瘍は非常に稀であり,その後の ACTH,GH および耐糖能 の変化も含め報告する. 1-A-19 オクトレオチド LAR で長期間良好な血糖管理を 行えている糖尿病合併先端巨大症の 1 例 松江赤十字病院糖尿病・内分泌内科 永澤篤司 山本公美 垣羽寿昭 佐藤利昭 67 歳女性.先端巨大症を指摘されていたが治療せず.2009 年 4 月に血糖値 813 mg!dl,HbA1c13.3 %と糖尿病のため当科初 診.先端巨大症に伴う糖尿病と診断し強化インスリン療法で血 糖コントロール後 5 月に手術を施行.術後,右内頚動脈周囲海 面静脈洞に残存腫瘍があり GH:5.25 ng!ml,IGF-1:461 ng! ml と高く,糖尿病に対しては強化インスリン療法を継続し先 端巨大症に対してカベルゴリンを開始したが,GH,IGF-1 の十 分な改善がなく 2010 年 9 月にオクトレオチド(OCT)を開始. OCT 開始後 GH,IGF-1 は低下.血糖コントロールも改善し 2011 年 11 月にはインスリン療法からグリクラジドに変更,4 月には内服も中止しその後も長期にわたって良好な血糖コン トロールを維持.75 gOGTT では血中 CPR は OCT 投与後低 下しているが血糖変動は改善しており,OCT 投与によるイン スリン抵抗性の改善が糖代謝に影響したと考えられた. 1-B-01 当院における糖尿病患者データベース化とその 現状について 国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター内分泌・糖尿 病内科1 国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター内科2 国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター統括診療部3 小早川真未1 小川知子1 松田守弘2 川本俊治3 亀井 望1 2012 年に糖尿病透析予防指導管理料が算定可能となり,当院でも透析予防外 来を立ち上げると同時に,医療チーム内の情報共有のため,糖尿病患者のデー タベース化を開始した.当院通院中の全患者から,過去 6 ヶ月間に HbA1c ≧6.5 %,または糖尿病治療薬処方歴のある患者を抽出したところ,全体 2063 名,当科 717 名で,平均 HbA1c は全体 7.24 %,当科 7.70 %であった.6 ヶ月 以内の尿中アルブミン測定率は当科 80 %,小児科 75 %であったが,全体では 41 %にとどまった.また,栄養指導や眼科受診状況,使用薬剤などについても 比較検討した.当院のある広島県呉市は,高齢化率 31.4 %と人口 15 万人以上 の都市における高齢化率が全国で最も高く,当院の現状が高齢化の進む本邦 の近い将来を反映している可能性があると考え,データベースより得られた 当院の糖尿病治療の現状と問題点,それに対する取り組みについて報告する. 1-B-02 糖尿病患者の死因と感染症 倉敷中央病院糖尿病内科 和田侑子 松岡 孝 和田美輝 合田 悟 木村友香 中井志保 志伊真和 藤原大介 武川 郷 鈴木貴博 高橋健二 【目的】糖尿病治療の最終目標は QOL を確保した上での健康 者と変わらない寿命である.今回,糖尿病患者の死因と感染症 について検討した.【対象と方法】2001 年から 2010 年の 10 年 間の当院の入院カルテ上,糖尿病の診断名のある患者を対象と して,死因と感染症について調査を行った.【成績】①死因:平 均死亡年齢は男性 70.4 歳,女性 72.9 歳,死因は 993 人中,悪性 新生物 44 %(肺癌 19 %,白血病 18 %,膵癌 16 %,肝癌 16 %), 大血管障害 23 %(心不全 32 %,冠動脈疾患 29 %,脳出血 14 %,脳梗塞 12 %),感染症 18 %(肺炎 75 %)の順であった. ②感染症:糖尿病患者が入院の契機となった主な感染症は 4838 人中,肺炎 39 %,肝膿瘍・胆嚢炎・胆管炎 25 %,蜂窩織 炎・壊疽 12 %であり,致死的感染症としては肺炎 54 %,敗血 症 22 %の順であった.【結論】文献的考察を加え報告する.

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1-B-03 アンケート調査における三豊総合病院の糖尿病 の死因―2006∼2010 年の 5 年間,466 名での 検討― 三豊総合病院 堀口正樹 鎮守さやか 吉田泰成 藤川達也 井上謙太郎 糸川友紀子 吉田沙弥香 米井泰治 【背景】日本糖尿病学会において全国を対象に糖尿病患者の死因調査が 行われている.【目的】当院と全国での結果を比較することで当院にお ける糖尿病患者の死因の特徴をとらえる.【対象】三豊総合病院で 2006∼2010 年の 5 年の入院での死亡例の中で糖尿病を病名にもつ 1626 名を抽出し,電子カルテで確認し,正しく糖尿病と診断された 466 名の死因を分析した.【結果】第 1 位は悪性新生物の 198 名(42.5 %), 第 2 位は感染症の 91 名(19.5 %),第 3 位は血管障害の 89 名(19.3 %) だった.全国の結果と比較すると,当院では悪性新生物と感染症の比率 が高かった.【考察】悪性新生物や感染症では血糖が上昇することが多 い.また,病気が増えると糖尿病の割合が増える.当院の患者層が全国 に比し高齢であること,悪性新生物,感染症が多いことが,影響を与え た.【結論】三豊総合病院では,悪性新生物と感染症の比率が高かった. 1-B-04 耐 糖 能 異 常 と が ん 死 亡 に 関 す る 検 討 ―第 1 報― 広島原爆障害対策協議会健康管理・増進センター1

Grand Tower Medical Court2

吉良さくらこ1 秋山朋子1 福島徳子1 藤原佐枝子1 伊藤千賀子2 【目的】耐糖能異常とがん死亡の関連について検討した.【対象・方 法】1996 年から 2012 年に OGTT を受診した男性 6972 例,女性 8200 例を対象に 2013 年 8 月までその転帰を追跡した.【成績】1)Normal 6953 例,Border 6043 例,DM 2176 例のうち,がん死亡例は各々 192 例,276 例,135 例であった.2)がん死亡率は各々 3.0,4.6,5.6!千人 年であった.3)性,年齢,BMI,喫煙,アルコール摂取状況を adjust したがん死亡の相対危険度(ハザード比)は Normal を 1.0 とすると Border は 1.4,DM は 1.7 となった.4)5 年以内でのがん死亡に関連す る因子をロジスティック解析で検討した.性,年齢,BMI,喫煙,アル コールに血糖,インスリン値等を各々追加したモデルの ROC 曲線下 面積を比較すると FIRI を加えたモデルが大であった.【結論】耐糖能低 下にともないがん死亡は増加し,インスリンとの関連が示唆された. 1-B-05 高齢者における代謝異常の有無と糖尿病発症と の関連 放射線影響研究所臨床研究部1 広島大学大学院医歯薬保健学研究院分子内科学2 立川佳美1 山田美智子1 大石和佳1 米田真康2 【目的】代謝異常の有無と糖尿病発症リスクとの関連を肥満 や脂肪肝を考慮して検討する.【方法】対象は,原爆被爆者と その対照からなる広島成人健康調査を 1997-99 年に受診し た非糖尿病の 1,998 名(平均年齢 67.2 歳)である.メタボリッ クシンドローム基準で,腹部肥満以外の構成因子を 2 個以上 有する場合に「代謝異常あり」とした.肥満や代謝異常の有 無により 4 群に分類し,代謝異常がない非肥満群に対する糖 尿病発症リスクを検討した.【結果】2011 年までに 285 名が 糖尿病を発症した.性,年齢,喫煙・飲酒歴,放射線量で調 整後,肥満の有無に関わらず,代謝異常を有する群で糖尿病 の有意な発症増加を認めた.この関係は脂肪肝の有無を追加 調整後も認められた.【結論】肥満や脂肪肝の有無にかかわら ず,代謝異常は糖尿病発症の有意なリスク因子である. 1-B-06 インスリン離脱を見据えたインスリン導入法(第 2 報) 坂出市立病院内科1 坂出市立病院薬剤部2 大工原裕之1 村岡都美江1 前田智世2 【目的】新規未治療 2 型糖尿病に DPP-4 阻害薬+期間限定の インスリン併用療法の有効性,安全性を明らかにする.【方法】 HbA1c8.5 %以上の新規未治療 2 型糖尿病 42 例が対象.シタ グリプチン(S)50 mg!日内服にグルリジン(G)5∼6 単位× 3 回!日投与開始.食後 2 時間血糖値 160 mg!dl 未満を目指し て G 投与量を調整.16 週後には G 投与を中止し,S 内服は継 続.必要に応じ少量 SU 薬もしくはグリニド薬併用開始.【結 果】HbA1c は 9.3±0.7 %から 24 週後に 6.3±0.5 %に低下(p< 0.001)し た が,G 中 止 16 週 後 も 6.4±0.6 %を 維 持 し た.1 人あたり G 最大投与量は 31.6±5.0 単位!日.体重は 2.3±0.6 kg 増加.低血糖は 22 例にみられたが,G 中止に至る重篤例な し.【考察】16 週間の超速効型インスリン 1 日 3 回投与+DPP-4 阻害薬は確実な糖毒性解除に有効な組み合わせと考えら れ,期間限定したインスリン治療は受け入れが容易であった.

1-B-07 インス リ ン 混 合 製 剤 か ら Basal Supported Oral Therapy への変更

医療法人あかね会土谷総合病院薬剤部1

同 リハビリテーション室2 同 内分泌科3

井上智博1 田中 優2 渡邉 浩3

【目的】混合製剤は注射回数が多く患者への負担が大きい. Basal Supported Oral Therapy(BOT)は注射回数が 1 回で あるため患者の負担が軽減する.混合製剤から BOT への 変更による血糖コントロール,QOL の改善効果を検討し た.【対象・方法】混合製剤をグラルギンに変更し内服薬を 適宜追加した.QOL の改善効果は DTSQ スコアで評価し た.【結果】6 ヶ月観察した 17 症例中 HbA1c 悪化は 2 例. DTSQ スコアは 18.01 から 24.53 点へ改善し,特に現在の治 療への満足度と継続度が顕著な改善を認めた.【結語】混合 製剤は注射回数が 2 回以上で混和の手間もあり,患者満足 度が低いと考えられた.BOT では注射回数は 1 回で混和の 手間もなくシンプルな治療であるため患者満足度も全項目 において顕著な改善が認められたと考えられる. 1-B-08 50Mix3 回法で血糖コントロール不良な患者にお ける Basal 2Bolus の長期有用性,安全性の検討 広島共立病院糖尿病内科 森下尚明 【目的】アスパルト 50Mix(50Mix)3 回法で血糖コントロール 不良な糖尿病患者に対して,Basal 2 Bolus(B2B)に変更し, 長期の有用性と安全性について検討する.【対象】50Mix3 回法 を行っているが,コントロール不良な糖尿病患者 28 例【方法】 50Mix を 8 週以上継続している患者のうち,HbA1c が 7.0 % 以上 10.0 %未満の者に対し B2B への変更を行った.グラルギ ンの用量は HbA1c8 %以上では混合製剤の基礎インスリン割 合の 1 日総量と同単位,8 %未満では 80 %の単位で切り替え を行った.グルリジンの用量は混合製剤の超速効インスリン割 合と同単位で切り替えを行った.【結果】50Mix から B2B への 変更を行う事で HbA1c8.27±0.23 %から 12 か月後には 7.93± 0.24 %と改善傾向を示した.総インスリン量も 31.6±2.6 単位 から 30.4±3.7 単位と減少傾向であった.血糖コントロールの 推移とインスリン量,体重,QOL への影響を検討する.

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1-B-09 皮下硬結による著しいインスリン吸収障害を合 併した緩徐進行 1 型糖尿病の 1 例 山口大学医学部附属病院第三内科 秋山 優 野見山隆太 竹田孔明 奥屋 茂 谷澤幸生 症例は 70 歳女性.糖尿病の診断で 44 歳時よりインスリン が導入された.その後,GAD 抗体陽性などから緩徐進行 1 型であることが判明した.インスリン必要量は徐々に増加, 最近はアスパルト毎食前 16 単位,デグルデク 30 単位と大 量のインスリン投与が行われたが,HbA1c 9 %前後と血糖 コントロールは不良で,当科入院となった.入院時の身体診 察にてインスリン注射部位に一致した腹部の皮下硬結を触 知した.CT では同部位に高輝度領域を認めた.病理所見で は lipohypertrophy はなく,膠原線維の増生が認められた. インスリン注射部位を変更したところ,インスリン必要量 は著明に減少し最終的にはアスパルト毎食直前 4 単位,デ グルデク 6 単位にて良好な血糖コントロールが得られた. 今回,皮下硬結による著しいインスリン吸収不良症を来し た 1 例を経験し,改めて腹部診察の重要性を再認識した. 1-B-10 インスリン自己注射手技の見直しにより血糖コ ントロールが劇的に改善した 1 例 高知大学医学部附属病院看護部1 高知大学医学部内分泌代謝・腎臓内科学2 濵田三紀1 高田浩史2 小原祐子1 中平真夕子1 竹田香須美1 近江訓子2 森 俊輔2 船越生吾2 平野世紀2 藤本新平2 【症例】58 歳女性.【経過】32 歳時に近医にて糖尿病と診断.以後はインス リン療法にて HbA1c 5.0∼7.5 %程度で血糖コントロールされていた. 2012 年 12 月頃より急激に血糖コントロールが悪化,外来にてインスリン を 1 日 170 単位まで増量したが血糖コントロールは改善しなかった.その 後,HbA1c 13∼17 %程度となったため精査加療目的で 2013 年 6 月に当 院へ紹介入院となった.入院後インスリン自己注射手技を確認したとこ ろ,薬液の注入が不十分でほとんど皮下に入っていなかった.改めて看護 師指導のもとインスリン投与したところ,1 日 20 単位で血糖コントロー ルは良好となった.そのため血糖コントロール悪化の原因は患者の注射手 技にあると考えられた.【考察】血糖コントロールが不良な場合,インスリ ン注射手技の確認が必要であることを再認識した症例であり報告する. 1-B-11 持続皮下インスリン注入療法(CSII)導入により QOL 向上を認めた 1 型糖尿病の 1 例 香川大学医学部付属病院内分泌代謝内科 永田宙生 菊池 史 井端智裕 小林俊博 福長健作 吉本卓生 西内崇将 井町仁美 村尾孝児 <症例>34 才男性.昨年 12 月に劇症 1 型糖尿病を発症し強化イン スリン療法開始となった.暁現象を認めており,退院後の外来にて 食生活の変化により体重は減少傾向であったが,早朝空腹時の高血 糖を認め,一方で日中の症候性低血糖が散見された.HbA1c は 8-10 %で推移した.持続血糖モニタリング(CGM)下に CSII を導入 し,夜間血糖の著明な改善と日中の血糖安定が得られ退院となっ た.CSII 導入後,血糖コントロールの改善とともに QOL も改善を認 め,これについて DTR-QOL を用いて客観的に評価した.<考察> CSII 導入により血糖コントロールの改善,長期的には合併症の進行 抑制が期待されるとともに QOL 向上も見込まれるため,近年 1 型 糖尿病への CSII の使用が拡大してきている.今回,CGM 下での CSII 導入により暁現象の改善とともに QOL 向上が得られた 1 型糖 尿病の 1 例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する. 1-B-12 インスリンポンプ導入により腎移植前後の血糖 コントロールが得られた糖尿病の 1 例 山口大学医学部附属病院第三内科1 山口県立総合医療センター内分泌・糖尿病内科2 徳山中央病院糖尿病・内分泌内科3 野見山隆太1 秋山 優1 末廣泰子2 鈴川宗弘3 竹田孔明1 谷澤幸生1 【症例】58 歳女性【現病歴】31 歳の妊娠時にケトアシドーシス を契機に糖尿病と診断され,インスリン導入がなされたが,コ ントロール不良で経過していた.腎機能障害の進行により,56 歳時に義理の妹をドナーとした生体腎移植を施行することと なったが移植前に HbA1c 9 %であったため厳格な血糖コント ロールを目指し,インスリン持続皮下注入療法(CSII)を導入 した.移植後は免疫抑制剤やステロイド剤を使用したが CSII 管理により HbA1c 6.4 %まで血糖コントロールは改善した. また CSII の基礎インスリン量は移植前 7.5 単位!日から,1 年 後 10.95 単位!日へ増加した.【考察】腎移植前に CSII を導入し, 血糖コントロールが得られた症例を経験したため報告する. 1-B-13 2 型糖尿病でのデクルデク使用成績∼6 か月の経 過∼ 特定医療法人社団啓卯会村上記念病院内科1 特定医療法人社団啓卯会村上記念病院栄養管理室2 山辺瑞穂1 廣澤裕代1 三玉康幸1 木下麻依2 川上志帆2 【目的】2 型糖尿病患者へのデクルデク(D)の効果を検討【対象】N= 32,前治療 Basal bolus27(前グラルギンン(G)24,デテミル(L)1, Mix2),BOT5(前 G3,L1,なし 1)(例),【対象】HbA1c,FPG(SMBG 3 日間の平均),BMI,D とボーラス(Q)の単位数!kg,低血糖発現 頻度(SMBG で FPG 1 月に 69 mg!dl 以下の回数),6 ヶ月間【結果】 HbA1c 前 7.83,3 ヶ月後 7.08(p<0.05*),6 ヶ月後 7.06((%),FPG 前 146.8,3 ヶ月後 130.8(*),6 ヶ月後 128.5(p<0.01**(mg!dl)と 有意に低下.D 単位数前 0.16,3 ヶ月後 0.16,6 ヶ月後 0.17 と有意差 なし.Q 単位数前 0.24,3 ヶ月後 0.22(*),6 ヶ月後 0.22((U!kg) と有意に低下.BMI 前 23.0,3 ヶ月後 22.8,6 ヶ月後 22.9(kg!m2), 低血糖発現頻度前 0.063,3 ヶ月後 0.0,6 ヶ月後 0.0(回!月)と有意差 なし.【結語】D への変更は HbA1c を 6 ヶ月にわたって有意に改善. Q の単位数の有意な減少,BMI,低血糖頻度は変化なく有用である. 1-B-14 既存の持効型インスリンからの切り替え症例に おけるデグルデクの長期有用性の検討と課題 厚生連廣島総合病院糖尿病代謝内科・糖尿病センター 木ノ原周平 堀江正和 浅生貴子 石田和史 【目的】既存の持効型インスリンからの切り替え症例におけ るデグルデク(DG)の長期有用性を評価する.【方法】イン スリン強化療法患者を対象に,基礎インスリンをグラルギ ン(G)・デテミルから DG に切り替え,インスリン投与量, HbA1c,SMBG 値での食前血糖値・低血糖頻度の推移を 1 年間追跡した.【結果】1)基礎・総インスリン投与量は有意 に減少し,平均 HbA1c は低下傾向を認めたが約 4 割の症 例で改善に至らなかった.2)朝食前に比し夕食前血糖値が より低下する傾向を認めた.3)G1 日 2 回→DG 切り替え例 では,朝食前血糖値の日較差拡大と昼の追加インスリン増 量を要する症例が高率傾向だった.【結論】既存の持効型イ ンスリンから DG への切り替えは 6 割の症例で優位性があ るが,G1 日 2 回投与を要するような顕著な内因性インスリ ン分泌能低下例では,個別的工夫を要する.

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1-B-15 インスリンデグルデクで血糖変動が改善したイ ンスリン抗体陽性緩徐進行 1 型糖尿病の 1 例 国立病院機構呉医療センター内分泌・糖尿病内科 前田雄洋 小川知子 小早川真未 亀井 望 【症例】88 歳男性【現病歴】82 歳で糖尿病を指摘され,経口血 糖 降 下 薬 で HbA1c 7.0 %前 後 で あ っ た.86 歳 時 に HbA1c 10.0 %と悪化し,抗 GAD 抗体 45.0 U!ml で緩徐進行 1 型糖 尿病と診断.インスリン療法を開始したが空腹時低血糖と日 中の高血糖を繰り返す Brittle 型で,インスリン抗体陽性で あった.デテミル,グラルギンを使うと頻回に低血糖を起こす ため,リスプロ朝夕注射,シダグリプチン 50 mg!日で低血糖 を回避しコントロール不良(HbA1c 12.0 %前後)のまま経過 観察していた.88 歳時に肺炎と高血糖高浸透圧症候群(HHS) で緊急入院.インスリン持続静注で HHS 改善後,リスプロ朝 昼夕としたが血糖コントロールは不良であった.入院中にデ グルデクを導入したところ,異常高血糖,低血糖なく経過して いる.【考察】インスリン抗体陽性の糖尿病患者で,デグルデク により血糖変動を少なく血糖コントロール可能な例がある. 1-B-16 2 型糖尿病における持効型インスリン製剤グラ ルギンとデグルデクについての検討 倉敷中央病院 合田 悟 志伊真和 武川 郷 和田美輝 木村友香 中井志保 和田侑子 藤原大介 鈴木貴博 松岡 孝 高橋健二 【目的】2 型糖尿病患者に対する持効型インスリン製剤グラ ルギン(以下 G)とデグルデク(以下 D)の臨床上の効果の 違いについて検討【対象】当科入院患者のうち退院時治療で G(退院日 2012 年 4 月∼2014 年 7 月)ま た は D(退 院 日 2013 年 6 月∼2014 年 7 月)を使用した 2 型糖尿病患者【方 法】G 群と D 群について,退院時の治療内容,インスリン 単位数,退院前 FPG などを比較した.【結果】G 群よりも D 群 の 方 が BOT の 割 合 が 増 加 し,イ ン ス リ ン 量 は G 群 16.0±7.7 単位,D 群 13.0±7.9 単位と D 群の方が少量のイ ンスリンで退院できる傾向であったが,退院時の FPG は G 群 108.8±21.3 mg!dl,D 群 111.1±26.0 mg!dl と,差はみら れなかった. 1-B-17 持効型インスリンアナログ製剤デグルデクによ る治療成績に影響を与える重要因子の検討 広島県済生会済生会広島病院 伊藤瑠美 玉理千晴 谷後友絵 高橋栄子 横田智美 藤本 綾 佐々木雄啓 【目的】インスリンデグルデクは,作用持続時間が非常に長く,血糖変 動幅の解消が期待されている.今回,効果に影響を与える要因の検討 を行った.【方法】12 週間以上投与された患者を対象とし,HbA1c 値が 0.9 %以上低下した群を「有効群」,0.9 %未満低下・増量群を「非有効 群」を目的変数とし,医療的介入状況 26 項目について調査した.重要 因子の抽出は多変量解析(数量化 II 類)で行った.【結果】平均年齢 66±12 歳, BMI22±4 kg!m2, 中性脂肪値 135±94 mg!dl であった. 投与前後の HbA1c 値は 8.2±1.2 %から 8.1±1.1 %に低下した.レン ジスコアで影響する重要因子は,投与のタイミング,BG 薬,血清 Cr 値の順に強く影響を与える因子であることが抽出された.(相関比: 0.9345).【考察】臨床試験で投与のタイミングで差は認められなかった との報告があるが,本研究で夕方以降の施行が非有効群になる結果 は,うち忘れの対応が影響しているものと推察された. 1-B-18 グラルギンからデグルデクに変更した 1 型糖尿 病患者の CGM を用いた血糖変動の解析 愛媛大学大学院医学系研究科糖尿病内科学 土居美沙季 川村良一 増田 藍 羽立登志美 松下由美 能美幸信 吉永佳代 高田康徳 大沼 裕 大澤春彦 【目的】インスリングラルギン(G)からデグルデク(D)に 変更した 1 型糖尿病の症例において,血糖変動を比較した. 【対象】1 型糖尿病で入院中の 5 例において,G 使用中と D に変更後に持続血糖モニタリング(CGM)を施行し,血糖変 動指標を解析した.【結果】高血糖が著明な透析中の 1 例で は,変更により,24 時間の血糖値の標準偏差は 80.1 から 70.8 に,M 値は 120.7 から 104.3 に,hyperglycemic index は 9.5 から 8.3 に改善した.夜間,重度の無自覚低血糖を起こして いた 1 例では,夜間の標準偏差は 54.5 から 41.1 に,M 値は 22.1 か ら 9.6 に,hypoglycemic index は 41.0 か ら 13.3 に 改 善した.5 例の平均では,これらの指標に有意差はなかった. 【結論】1 型糖尿病患者において,症例によっては,G から D への変更により血糖変動が改善する可能性が示唆された.

1-B-19 Basal Supported Oral Therapy におけるデグルデ クの使用経験

(医)一陽会原田病院糖尿病・代謝内科

武本知子 井上佳奈 永野良子 内藤則子 大下加代 重本憲一郎 水入苑生

【目的】デグルデクは作用時間が長く,Basal Supported Oral Therapy(BOT)に適している可能性があるが,使用経験 が少なく,実臨床における効果は明らかではない.【対象】当 院において,2013 年 5 月から 2014 年 5 月までにデグルデ クによる BOT を受けた 9 例の投与前後の臨床データを比 較検討した.【結果】対象の平均年齢は 63.2±13.5 歳(男性 4 例,女性 5 例)であった.グラルギンによる BOT からの 変更が 3 例,GLP-1 製剤からの切り替えが 1 例,経口血糖降 下薬に加えて新規にデグルデクを導入した症例が 5 例で あった.導入時の平均 HbA1c 9.7±0.8 %であり,3 カ月後 には平均 HbA1c 8.7±1.3 %と改善していた.中等症の低血 糖が 1 例に認められた.【結論】BOT におけるデグルデクの 使用は有用であると考えられた. 1-B-20 シタグリプチン投与により関節リウマチの改善 を認めた 2 型糖尿病の 1 例 高知赤十字病院内科 有井 薫 天野絵梨 辻 和也 吉本幸生 症例は 77 歳男性.X-2 年関節リウマチ(RA)発症,精査目的 に当科受診した際 2 型糖尿病(T2DM)と診断された.X 年 6 月,T2DM はミグリトール 150 mg にて HbA1c 6.8 %とコン トロール良好であったが,RA はアダリムマブ(X−1 年 2 月開 始),タクロリムス(X−1 年 6 月開始),ミゾリビン(X 年 4 月開始)にて CRP 8.13 mg!dl,DAS28-ESR 3.99(中疾患活動 性)とコントロール不良であった.X 年 9 月 HbA1c 7.2 %と T2DM 悪化を認めたためシタグリプチン 50 mg 開始,以後 HbA1c は 6.0 %前後で経過している.一方,RA については治 療薬変更することなく,DAS28-ESR が X 年 9 月 4.17,X+1 年 3 月 3.14,9 月 2.88 と次第に 低 下,X+2 年 3 月 に は CRP 0.16 mg!dl,DAS28-ESR 2.77(低疾患活動性)まで改善した. 今回,シタグリプチンにより T2DM のみならず RA の改善も 示唆された 1 例を経験したので文献的考察を加え報告する.

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1-B-21 シタグリプチン併用によるグルカゴン分泌抑制 を介した血糖低下作用が考えられた 1 例 国立病院機構岡山医療センター糖尿病・代謝内科1 国立病院機構岡山医療センター総合診療科2 梶谷展生1 林 恭加1 岡田早未1 森本栄作1 渡邉聡子2 寺見隆宏1 伊勢田泉1 肥田和之1 【症例】77 歳女性【現病歴】40 歳頃に糖尿病と診断.インスリン抗体に 伴う低血糖症に対し治療歴を有しステロイド維持療法中.強化インスリ ン療法(42 単位!日)を行うも高血糖が続き入院となる.入院時 HbA1c 8.9 %で血中インスリン抗体は低力価であり,尿中 C ペプチド(CPR) 11.5μ g!日,グルカゴン負荷試験で Δ CPR 0.5 ng!ml と内因性インスリ ン分泌の高度低下を認めた.CGMS では暁現象やステロイドの影響を疑 う高血糖を認めたが,シタグリプチン 50 mg の追加により抑制された. テストミールを用いた食事負荷試験では食後の血漿グルカゴン濃度は シタグリプチン投与により軽度低下を認めた.【考察】DPP4 阻害薬の抗 糖尿病作用にはグルカゴン抑制の関与が報告されているが,ステロイド 投与下かつ内因性インスリン分泌の低下した患者でも DPP4 阻害薬は グルカゴン分泌抑制を介して血糖低下作用を発揮すると考えられた. 1-B-22 強化インスリン療法中の 2 型糖尿病症例におけ るリナグリプチンの有用性の検討 医療法人社団幸正会岩本内科医院1 香川大学医学部附属病院卒後臨床研修センター2 キナシ大林病院3 岩本正博1 杉元由佳1 篠原尚典1 松原修司2 石田俊彦3 【目的】強化インスリン療法中の 2 型糖尿病におけるリナグ リプチン投与の有用性について検討した.【方法】強化イン スリン療法を行うも HbA1c7.5 %以上の症例 44 例にリナ グリプチンを追加投与した.投与前後で HbA1c,BMI,総 インスリン投与量(TDD)インスリン基礎比率等の変化に ついて検討した.【結果】追加時の HbA1c は 8.3±1.0 %.変 更 6 ヶ月後(7.5±0.8 %)12 ヶ月後(7.6±0.9 %)で有意に 改善を認めた.BMI,TDD,インスリン基礎比率は有意な 変化は認めなかった.また BMI 別の検討でも治療効果に差 を認めなかった.【結語】強化インスリン療法においてリナ グリプチンを併用することで体重の増加なく血糖管理が改 善する可能性が示唆された. 1-B-23 CKD 合併糖尿病患者における Linagliptin の有用 性・安全性の検討 徳島赤十字病院代謝内分泌科 井上広基 金崎淑子 中内佳奈子 岩 優 村上尚嗣 新谷保実 【目的】CKD 合併糖尿病患者での Linagliptin(Lina)の有用性・安 全性の検討.【方法】CKD A2 または G3 期以上の 2 型糖尿病患者 28 例(男 16!女 12,年齢 64.9±10.4[mean±SD],BMI 25.5±5.2 kg! m2,HbA1c 7.5±1.2 %,血清 Cr 1.58±1.26 mg!dl)に Lina 5 mg!日 を単剤(6 例)または併用(22 例;11 例は Insulin 併用)投与した. DPP-4 阻害薬として新規投与 11 例,他剤から切替え 17 例で,最大 12 ヵ月までの体重,血糖・HbA1c,腎機能を評価した.【結果】有意 な体重増加なく,HbA1c は 7.5→6.9 %(6M)と改善し,特に新規 例で改善幅(7.8→6.9 %)が大きかった.進行期腎不全例を含んだ 為,緩徐な血清 Cr 上昇(6M:1.82±1.48 mg!dl)が見られたが,有 害事象による中止はなかった.一部に蛋白尿の減少例もあった.【結 論】Lina は種々の段階の CKD 患者で安定した DPP-4 阻害作用を 期待でき,CKD 合併糖尿病患者の治療に安全かつ有用である. 1-B-24 当院におけるリナグリプチン使用症例の検討 岡山赤十字病院総合内科1 岡山赤十字病院糖尿病・内分泌科2 渡邉謙太郎1 宮下雄博1 重松照伸1 岡田震一2 早川信彦2 岡崎守宏1 目的:リナグリプチン(L)ビルダグリプチン(V)シタグリ プチン(S)使用例の背景と腎機能について検討を行った.対 象と方法:当院通院中の糖尿病患者のうち L,V,S 投与時の 年齢,HbA1c,クレアチニン(Cr),eGFR の比較検討を行っ た.次に L 投与 29 例のうち新規投与群 22 例と V,S からの 切り替え群 7 例に対し投与前後での腎機能の変化を検討し た.結果:L,V,S 投与時の年齢(歳)・Cr(mg!dl)・eGFR は L 群 70.6・1.29・48.8,V 群 68.2・0.89・66.7,S 群 64.6・ 0.76・77.1 と L 群では有意に高齢で腎機能障害例が多かっ た.L 投与 6 か月後の Cr と eGFR の変化は,切り替え群,新 規投与群でいずれも有意差はなかったが,切り替え群では 7 例中 6 例に Cr と eGFR の改善が認められた.考察:当院で は L は,V や S に比べより高齢で腎機能低下例に使用され ていた.また L の腎保護効果の可能性が示唆された. 1-B-25 インスリン療法中の 2 型糖尿病患者におけるビ ルダグリプチン追加投与が DTR-QOL に及ぼす 影響 松山市民病院臨床研修科1 松山市民病院内科2 愛媛大学医学部医学科3 來留島章太1 新谷哲司2 三津田容子2 仙波英徳2 渡部さやか2 坂尾ひとみ2 眞鍋健一2 古川慎哉2,3 【背景】インスリン療法は QOL を損ねる要因の一つであるとされる. 【目的】インスリン療法へのビルダグリプチン(VIL)の追加が QOL に及ぼす影響を明らかにする.【方法】当院外来にてインスリン療法を 行っている 2 型糖尿病患者 43 例を対象とした.VIL50 mg を 1 日 2 回朝夕食後に投与し,血糖コントロール改善後には血糖値が目標範囲 になるようインスリン量を調節した.投与前および 12 週後の HbA1c, BMI,インスリン投与量・投与回数,DTR-QOL の変化について検討し た.【結果】VIL 投与後に HbA1c は改善し(p<0.001),インスリン投与 量(p<0.001),インスリン投与回数(p<0.001)は減少した.DTR-QOL も改善した(p=0.042).【結語】インスリン療法を実施している 2 型糖尿病患者への VIL の追加投与は QOL を改善させる. 1-B-26 当院でインスリンと DPP4 阻害薬を併用した症 例についての後ろ向き検討 近森会近森病院糖尿病内分泌代謝内科 野島 滋 公文義雄 【背景】現在 2 型糖尿病治療のトレンドはインクレチン作用 の活用と増強であり,その効果の発現にはインスリンの補 充が必要である.【目的】当院においてより良い血糖コント ロールを目指してインスリンと DPP4 阻害薬を併用した症 例について,その併用効果を後ろ向きに実臨床で検証した. 【対象】インスリン治療中の 2 型糖尿病患者に新たに Sita-gliptin または VildaSita-gliptin 内服を追加した症例について, 内服開始後の HbA1c,随時血糖,体重の変化を 3 ヶ月毎に 9 ヶ月後まで後ろ向きに追跡した.【結果】インスリンと DPP4 阻害薬併用の治療効果は開始後 3 ヶ月の早い段階で 有意にみとめられた.【考察】併用 3 ヶ月の時点で十分な効 果が得られない際は,食事療法・運動療法の見直しのみな らず,併用薬の工夫など,より早期からの介入が必要である 可能性が考えられた.

参照

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