1 平成2X 年 X 月 X 日 ○○様 保護者様
アセスメントのご報告
東京未来大学こどもみらい園 臨床心理士 ○○ ○○ 1.アセスメント対象児 T・A様 利き手:右 生年月日:○○年○月 10 歳 X ヶ月 在籍校:A小学校 4 年生 2.主訴 ①動きまわることが多く集団行動ができない。 ②自分に自信がなく、人と関わることが苦手。 ③学校生活に対する不安が強く、登校しぶりがある。 2-1.主訴の始まりと経過 4 才ごろから友だちと上手に関わることができず、小学校入学後は加配の先生がつかないと集団活動 に参加できない。5 歳で発達障がい疑い診断され、小 1 になり顕著に集団内で不適応が見られるように なった。本児の思った通りにならないとパニックをおこすこともしばしばあった。入学後も離席、対人 トラブルが目立ち4 年生になってからは、ほとんど授業を受けられない状態。 2-2.相談・検査歴 医療/相談機関名 主訴 利用期間 ① Aクリニック ことばの遅れ 20XX 年 X 月~20XX 年 X 月 ② Bメンタルクリニック 多動、コミュニケーション 20XX 年 X 月~現在に至る がうまくできない ③ C総合医療センター 検査の結果、書き障がい 20XX 年 X 月 といわれた 3.検査目的 Aくんの認知(知的)能力を精査し、Aくんの発達(認知スタイル)に沿った指導・支援の工夫につ いて考えるための資料とすることを検査目的としました。 4.アセスメントリスト(実施した検査・質問紙) ① KABC-Ⅱ 認知検査:H2X 年 X 月 X 日(○:○~○:○ ○分) 習得検査:H2X 年 X 月 X( ○:○~ ○:○ ○分) ② S-M社会生活能力検査:H2X 年 X 月 X 日 保護者様記入 ③ SCQ(対人コミュニケーション質問紙):H2X 年 X 月 X 日 保護者様記入 ④ LDI-R(LD判断のための調査票):H2X 年 X 月 X 日 ⑤ 投映法HTPPテスト:H2X 年 X 月 X 日 5.背景となる情報(大まかな生育暦、家族構成・家族暦) 相談票で確認させていただいています。2 6.検査場面の行動観察と検査結果 6-1.検査中の行動観察 Aくんと検査者は検査当日が初対面でした。待合室(みらい園カフェ)で検査者から挨拶をしました が、Aくんは検査者をチラッと見ただけでことばでの挨拶はありませんでした。検査者がこれからやっ てもらうことはクイズ(検査)みたいなことだよと説明すると、何をするのか見通しが持てたようで少 し表情を緩め検査者の方を見ました。検査者が「Aくんは一人でも(検査)大丈夫かな?」と聞くと、 首を縦に振り検査に応じてくれました。 検査室入室後、Aくんと検査者の関係を築くことも含め少し絵を描いてもらってから検査を実施しま した。認知検査を始める頃には、一定の信頼関係が築かれていたものと思われます。 【認知検査】 M1[語の学習]:問題には集中して取り組むことができ全問実施。問 30 以降、絵の選択に迷い始めると、 「こんな絵あった?」と聞いてくることが何度かありました。検査者は「ありましたよ」と応答しま した。問24 で初めての 0 点、問 26 が 1 点、問 29 が 0 点、以後問 30~42 の間で 0 点 2 つ、1 点 4 つ。問43~54 の間で 0 点 2 つ、1 点が 6 つありました。 M3[物語の完成]:問題全体を通して必要ないと判断したカードを外しながら作業を行いました。カード を並べる際にストーリーを言語化していました。問題は全問実施、0 点が問 12、14、16、17 の 4 つ。 他は全て満点でした。 M4[数唱]:集中して取り組むことができました。数唱が 5 桁になると混乱していました。6 桁で中止と なりました。 M5[絵の統合]:問 15 までは安定して正答できましたが、問 16 以降アニメのキャラクターの名前を強 く意識した応答のため誤答が目立ちました。問21 が最終通過問題でした。 M6[語の学習遅延]:初めは集中して取り組むことができ問 7 までは全て 2 点。問 8 で混乱があり 0 点、 以後応答に自信が持てない様子で問9 が 1 点、以後 0 点が 2 問続き中止となりました。 M7[近道さがし]:課題性を適切に理解し、先ず図版全体を見て、指で一度なぞってから作業を始めてい ました。問12 までは全問正答。以後、問 15、17(最終通過問題)が正答。不注意による誤答はあり ませんでした。 M8[模様の構成]:問 20 まで全問正答。以後、4 問連続誤答で中止条件となりましたが、すべての問題 を制限時間いっぱい(120 秒以上)かけて作業を行ってくれました。問 22 のみ模様を完成させるこ とができました。 M10[パターン推理]:問題全体を通して、ややばらつき(ばらつき=簡単な問題で間違えたのにもかか わらず、難しい問題ができたということです)がありました。最初の誤答が問14、最終通過問題は問 33 でした。問 14~30 の間の正答率は 7/20 でした。 M11[手の動作]:検査にやや飽きが感じられました。問 7 が最初の誤答、最終通過問題は問 18 でした。 やや不注意のため間違えたと思われる問題がありました。問7~18 の間の正答率は 6/12 でした
3 【習得検査】 検査2 回目ということもあり、検査・検査者慣れが確認でき、各問題に対して、「これは簡単!」「こ れは面倒くさいな」と検査者に話してきたり、検査者に学校の話を振ってきたりすることがありまし た。信頼関係を壊さない程度に話を聞き、検査を実施しました。 M1[表現語彙]:問題が難しくなっても忍耐強く取り組んでくれました。問 23 まで全て正答。最終通過 問題が問 36 でした。中止条件にいたるまでほぼ正答で最初の誤答も、正答扱いして良いような反応 でした。評価点は14 点でした。 A2[数的推論]:問題内にばらつきがあり、最初の誤答が問 21 続けて問 22 が誤答、問 23 以後 29 問目 まで正答。問30 の誤答から問 45 の最終通過問題までの通過率は 7/16 でした。難しい問題でも忍耐 強く取り組んでくれました。 A3[なぞなぞ]:自信を持って取り組み、問題が難しくなると検査者に反応の正誤を尋ねてくることがあ りました。問29 までは全問正答。問 30 から最終通過問題、問 42 の間の通過 9/13 でした。分からな い問題の中には「むり!」と即答するものもありました。 A4[計算]:問題が難しくなると、「面倒くさい!」、「筆算むりだ!」と拒否する問題があり、取り組み が非協力的でした。このため、先のA2[数的推論]の評価点 XX 点、本問題A4[計算]:評価点 X 点と 大きな開きがありました。A2 年齢相当以上、A4 年齢相応(平均内)です。行動観察の様子から、 学習に対しては強い苦手意識があるものと思われます。 A6[ことばの書き]:基点が(9-0~9-11)となりました。「漢字は書きたくない」と、嫌々問題を解いて いる様子が確認できました。問29 以降全く分からなくなると「もうダメ!」と問題を解くことを諦 めてしまいました。 A7[文の理解]:先の問題で自信を失ってしまっていたので、少し休憩を取りAくんが再び自信を取り戻 せるよう配慮し検査を続行しました。検査者とカードゲームの話をしているときはとても嬉しそうで した。問題文をしっかり読み反応してくれました。問題文の中に読めない漢字があっても前後の文脈 から想像し反応していました。 A8[文の構成]:問題を提示するとすぐ「こういうの嫌い!」と言い投げ出しそうになりましたが、検査 者が励ましを行うことで、何とか頑張ってくれました。しかし、A6[ことばの書き]同様、本問題でも 書くことにはとても抵抗がありました。A6 の評価点 X 点、本問題A8[文の構成]:評価点 X 点であ り診断(書字障がい)を裏付ける結果となりました。 A9[理解語彙]:基点が(8-0~12-11 問 10~)となりました。集中し正誤を確かめながら取り組んで くれました。問10~17 までは全問正答。問 18 が最初の誤答で最終通過問題は 27 でした。問 18~27 の正答率は5/10 でした。
4 6-2.KABC-Ⅱ検査結果 ※用語解説は資料ページにのせてあります。 ※標準得点は100 を平均とし、プロフィールのブルーの部分が同年齢での平均を示しています。 カウフマンモデル プロフィール 知的能力とこれまで獲得してきた知識を分けて考える能力の見方 CHCモデル プロフィール 知的能力と知識を総合して考える能力の見方 ※上記の数値は絶対的な数値ではありません。プロフィールを見ていただけると分かるように、数値には±5 ~10 程度の誤差がもうけられています。また検査対象児の性格特徴、検査時のコンディションなども数値の 上下に影響します。 ※PS、PWの表記について。PS=Aくん個人内の得意、PW=Aくん個人内の不得意を示しています。 ※検査結果の数値の公開範囲は最小限にすることをお勧めします。
5 6-3. S-M社会生活能力検査 ※CAの記号は、質問紙実施時のお子さまの年齢を示しています。→仮想事例のため書いてありません。 生活年齢 :10 歳 X ヶ月 社会生活年齢:7 歳 9 ヶ月 社会生活指数: 8X 身辺自立:7 歳 8 ヶ月 移 動:5 歳 9 ヶ月 作 業:7 歳 6 ヶ月 意思交換:8 歳 6 ヶ月 集団参加:5 歳 3 ヶ月 自己統制:8 歳 6 ヶ月 S-M社会生活能力検査プロフィール 6-4.LDI-R (LD判断のための調査票) プロフィール 6-5.SCQ(対人コミュニケーション質問紙) ・全体の得点 19 点 質問項目1~19 7 点 質問項目 20~40(4 歳~5 歳に焦点を当てた質問) 12 点 全体の得点からは、対人コミュニケーション面において生得的な困難さ(発達障がい:5 歳で診断有) を抱えているものと考えられます。※本質問紙の結果は診断ではありません。
6 6-6.HTPP(家、木、人、人(先に描いた人と反対の性))テスト 4 枚の絵の特徴:男性の絵は大きく描かれていましたが、家は他の 3 枚に比べるととても小さく、女 性は用紙の上部に上半身顔のみ表現でした。家と木は細部まで表現されましたが人の絵では細部の表現 が困難な様子でした。しかし、描画後の質問では、男女ともにAくんのイメージする人物像が語られま した。女性の絵は筆圧がとても薄かったです。 家:家の絵は、「山の奥にあるため天災に強い家。ここに住む村民が村の住人の集まる集会場として 使われている。植込みの木はかざり」とのことでした。絵と絵についての語りから、Aくんにとって家 は、学校など社会からの圧力から身を守り、避難できる場所であるという気持ちがうかがえます。しか し、サイズの小ささや基線(家の底辺)の傾きといったサインは、家でもっと落ち着きたいといった気 持ちがあり、同時に今の落ちつきや安らぎ感が今後も続くのかといった将来に対する不安の気持ちが表 現されているのかもしれません。 木 : 木の絵の特徴として、樹冠がとても大きく描かれ樹冠からは何本もの枝が伸びています。木に表 現された枝は、描画後の質問時に描き足されたものです。この木は、「アニメの世界の木、宇宙人が目 印にしている。切ろうとした人には必ず嫌な思いをする!」。描き足した枝は、「枝がないといけない! 根は見えていないとダメ!枝にとまった鳥は骨になってしまう」とのことでした。これらのことから、 現実世界との接触に曖昧さや不安を感じていて、自分の力何とかしようとしてもどうにもならない力が 働いていると感じている様子がうかがえます。現実に働きかけるとつらい思いばかりしてしまうAくん の気持ちの表現であると思われます。そのため、社会との交流抑止の気持ちを強く感じているものと思 われます。 男性:絵の人物は“とりあえず男性”とのことでしたが、語りでは「宇宙人で男でも女でもない、攻 撃ばかりしてくるけど、一緒に楽しい話をすると友達になれる。話がつまらないと倒されて溶けてしま う」とのことでした。木の絵と重ねて人物画を解釈すると、社会と関わりたい気持ちと関わりを持ちた くて不安になってしまう葛藤があると思われます。これまでのAくんの行動に対する関わりは、Aくん らしさを否定された(=溶けてしまう)と見ることもできます。同時にその行動は自己顕示欲とも解釈 でき、もっと自分を見てほしいといった気持ちをAくんが持っていると思われます。 女性: 絵の印象から女性らしさは感じられますが、描かれた絵は「足のない宇宙人、話しかけると 睨まれて動けなくなる!」とのことでした。これらのことからAくんは、女性に対して強い不安や緊張 感を持っている様子がうかがえます。現実場面では性差を意識することができても、気持ちの面ではし っかりとした女性像が確立されていない可能性が考えられます。
7 7.総合所見 Aくんの発達(発達の凸凹)の理解について ①知的能力面の発達について KABC-Ⅱ認知総合尺度の結果から、Aくんは知的発達水準は平均より下(ボーダーライン知能)で あることが考えられます。 能力区分別にみてみると発達の凸凹(統計的に有意な)があり、この発達の凸凹をAくんに関わる大 人の方々が理解してあげると、Aくんが“生活しやすくなる、学びやすくなる”ことが期待できます。 1)Aくんは、普段の生活で一般に期待される適切な振る舞い・対応はほぼ年齢相応に理解しているも のと思われます。また、そのことをことばとして理解できているものと思われます(注意:理解はでき るけど言語化が困難。2)に説明があります)。しかし、短期記憶(見聞きしたことをしばらくの時間の 覚えている力)の弱さがあり、周囲の大人や友達から誤解を受けてしまっていることが想像できます。 同年齢の子どもは仕方ないとして、周囲の大人から見ると、“Aくんは色々な事が分かっているのに、 どうしてしっかり聞くことができないんだ?”、“しっかり聞いていないからできないんだよ”といった 誤解が生じてしまうくらい短期記憶は凹んでいます。この誤解の連続がAくんの社会生活能力および情 動面の発達に影響してきたと考えられます。 2)また、上記 1)の能力間の凸凹から生じる誤解に対して、Aくんは自分の意図を相手に“上手に伝え ることが苦手”であることも考えられます。CHC 総合尺度では、[読み書き尺度]の数値が年齢平均を大 きく下回っていました(他の能力は年齢相応もしくはやや平均より低め)。さらに[読み書き尺度]を構成 する問題(下位検査)を詳細に見ると、文章構成能力はAくんのもっとも苦手と考えられる能力でした。 一方で、語彙量や文章理解力はほぼ年齢相応に沿って発達していると考えられるので、指導を受けたこ とはほぼ理解でき、Aくんが訴えたいことはたくさんあっても、その状況下で即座に“表現することが 困難”ため、“人と関わることが苦手”であると考えられます。 ②情動(心理)面の発達について S-M社会生活能力検査、SCQ(対人コミュニケーション質問紙)の結果とKABC-Ⅱの結果を総 合して考えると、知的発達の部分的弱さ(短期記憶の弱さと表現力の苦手さ)とコミュニケーション能 力(発達障がい傾向)の双方がAくんの生活を困難にし、社会参加に必要な情動発達を妨げている可能 性が考えられます。 Aくんは生得的に1)一般に期待される場面変化に対する柔軟な対応が困難さ、2)Aくんの意図と違 った他者の反応に直面すると一般のお子さん以上に混乱し、強い不安を感じてしまう傾向が強いと考え られます。このためAくんが“自分の意図”で他者と関わろうとしたとき、柔軟に対応できず指導を受 けてしまったり、同級生とスムーズな対人関係を構築したりすることが困難であると考えられます。 ③全体的な理解として、これまでにみられたAくんの不適応状態は、上記①・②で述べさせていただい たような、知的能力・情動面の発達の凸凹に強く影響されているものと思われます。今後の子育て・支 援におかれましては、Aくんの“知的・情動発達の特徴”を理解し、指導・支援することが大切です。 年齢てきに知的発達の凸凹は、今後大きな変化は期待できないものと思われますが、社会適応・情動面 の発達は今後の関わり方次第で十分改善が期待できると思われます。
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総合所見とは別に、以下のような保育・幼稚園、学校向けの報告書を希望
される場合は文章料として、別途
3000 円が必要になります(A4 用紙 1 枚~
1 枚半ていど)。
平成 年 月 日 保護者 様 東京未来大学 こどもみらい園 臨床心理士 ○○ ○○ Aくんの知的発達と情動(心理)面の理解と支援の方向性について ①Aくんの知的発達の理解と支援について 認知(知能)検査(KABC-Ⅱ)の結果よりAくんの全体的な知的発達は、平均よりした(ボーダー ライン知能)であると考えられます。しかし、各能力間において(統計的に有意な)発達の凸凹がある ものと考えられ、その凸凹のためAくんに関わる大人(保護者様・先生方)がAくんを誤解してしまっ ている可能性が考えられます。 1)Aくんは、状況(生活場面など)をほぼ年齢相応に理解することができ、理解した状況に対する適 切な対応も理解していると考えられます。しかし、その理解を生活場面で上手に活かすことができない のは、発達の凸凹が影響している可能性が考えられます。 Aくんの能力的な困難さとして、短期記憶(見聞きしたことをしばらくの時間の覚えている力)の弱 さが考えられます。検査結果からは、ほぼ年齢相応の口頭指示は“大まかに理解することはできる”と 考えられますが、その理解した指示を状況に合わせ順序立てて実行していくことが困難であると考えら れます。 指示が理解できていないな?と思われたときは、“しっかり聞いていないから!”と指導するのでは なく、“聞いてはいるけど、どのように行動したらいいのか整理が難しいんだな”と理解し対応するこ とが大切です。Aくんに指示理解を求めるときは、先ずAくんが活動内容・目的の全体をイメージでき るような声掛けをしてあげ全体を分割する形で指示を出してあげると、Aくんが活動内容を適切に理解 し易くなりなると考えられます。ただ、Aくんが理解できたからと言ってAくんが周囲の期待通りに行 動できるかというと一概にそう言えないのがAくんへの関わり方の難しさであると思われます。このこ とは、これまでのAくんの生育歴・情動(心理)発達、性格特徴も影響していると考えられます。この ことについては、②の“情動発達の理解と支援について”で述べさせていただきます。 2)書字・表現力の苦手さについて:Aくんの語い(単語)の発達(獲得)、文章理解は年齢相応である と考えられます。しかし、抽象的なことの理解はやや苦手であり、表現に至ってはとても苦手であると 考えられます。このことは1)の弱さと絡み合いAくんの“生活のしにくさ”になっていると考えられま す。具体的には、1)で述べさせていただいた誤解場面で、上手に応答できずに不適応な行動をしてしま っている可能性が考えられます。また、授業への参加意欲の低下もこのためかもしれません。9 文章表現の苦手さについて、作文などでは、年齢相応に期待される内容を意識し過ぎず、先ずAくん が“少しでも頑張ったことを褒めて・認めてあげる”ことを重視した気持ちの面への支援が有効である と思われます。 書字・表現力の数値の低さは、“苦手意識”も含まれている可能性があるので、今後の支援では、A くんが遅くても、下手でも字を書こうとすること、上手に伝えられなくても自分の意図を伝えようとす る気持ちを認めてあげることが大切です。 ②情動・性格特徴の理解と支援について Aくんは、生得的に一般に期待される場面に対する柔軟な対応が困難であると思われ、Aくんの見通 しから外れると一般のお子さん以上に混乱したり、不安になったりしてしまう傾向が強いものと考えら れます。Aくんが自分の“やり方”で他者と関わろうとしたとき、柔軟に対応できず指導されてしまっ たり、同級生とスムーズな対人関係を構築することに困難を示したりすることがあると思われます。 今後の支援では、Aくんが情緒的に不安定なときは“クールダウン”する時間を作り、Aくんの気持 を尊重してお話を聞くことがとても重要です。このことは、“コミュニケーションが苦手”と考えられ るAくんにとって、思春期を迎えるうえでとても大切なことです。 現時点では、Aくんの対人関係における考え方が、一般に期待されるものとはズレていても、先ずA くんの意図や気持ちを尊重して話をきいてあげることで、今後Y くんがスムーズな社会参加をしていく ための情動発達の支えとなることが期待できます。 注意点として、支援者側の“Aくん尊重のためのうなずき・傾聴”を、Aくんが先生(大人)の同意 (先生が良いといったから)と受け止めてしまわないような話の聞き方・対応を心がけて下さい。 社会生活能力の全般的な“幼さ”にも知的能力・情動面の発達の凸凹が影響している可能性が考えら れます。日常生活の中で一つひとつに対し上記のことを心がけての子育て支援・指導することは困難で す。よって、関わる大人の人たちが、“Y くんは、こんな困難さ(発達の凸凹)を抱えているんだ!”、 “こんな性格特徴をしているんだ”と意識・理解して関わっていくことが大切です。 7.みらい園でのコース選択について 先ず、みらい園では、お子さんが興味・関心を持ったコースを選択することをお勧めしています。本 アセスメント結果は授業を行う際に活用させていただきます。 コース選択に迷われている保護者様へ アセスメント結果を総合すると、Aくんはあたまの体操コースが良いと思われます。Aくんの発達に 沿った課題を用意し、Aくんが楽しみながら知識を積み重ねていける授業にすることが良いと思われま す。また、他者との共同作業を通して社会性を伸ばすこともできると思われます。 さいごに:今回行ったアセスメントの結果を“現在のAくんの発達”として理解していただき、今後 の子育ての中で、Aくんの健やかな心身の発達を目指すための“ヒント”として活用していただくこと ができましたら幸いです。