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Taro-3PEST分析

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Academic year: 2021

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淡路富男 行政経営総合研究所 1.政策形成での行政版PEST分析とは

-PEST分析:環境変化に対応した政策課題の決定と政策の立案を可能にする-

PEST分析は、マクロ環境分析の定番的な手法で、行政の政策形成で、環境変化 に対応した「政策課題の決定」「政策の立案」を可能にします。政治・法律(Politics)、 経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の頭文字をとって、PEST 分析と呼ばれ、その使用、期待できる効果、要点は下記のようになります。 使用 PEST分析は、政策形成過程の「政策課題の決定」「政策の立案」で行 う、マクロの外部環境分析で使用するフレームワークである。課題の発見 や政策の立案は、まずマクロ環境の分析からスタートする。 効果 使用することで、政策や事業に関するマクロの環境分析が的確になり、 環境の大きな変化にそった政策形成が可能になる。 要点 ・PEST分析は「政治・法律」「経済」「社会」「技術」の4つの要因で 実施する。4つの要因の細目は、分析対象にする政策によって異なる。 ・政策対象を取り巻くマクロの環境分析を、ダブリとモレのないものにし、 政策対象に関する「機会と脅威」の抽出を的確なものにする。 ・別の環境要因は4要因のそれぞれに、人口統計的要因は「社会」に含ま れるが、重要な場合は別にして6つの要因とする場合もある。

公務員の「戦略的政策形成」講座

これからの政策形成に必要な

戦略的思考に基づく

手法10

④手法(1)

行政版:PEST分析でマクロ環境を把握する

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2.行政版PEST分析の内容 分析では、次の4つの要因とその細目で環境の変化 や影響を分析・把握します。政策対象に関する過去か ら現在までの動向を分析し、これからの変化を推測し て「機会と脅威」を把握します。6つの要因で分析す る内容は、『コトラーに学ぶ公務員のためのマーケテ ィング教科書』(同友館)をP84 を参集下さい。 4つの要因 要因の内容と細目例 ①政治・法律 「政策対象に関する現在の政治・法律はどのようになって (Politics) いるか(促進する要因はあるか)」を分析する。政治の動向 諸活動のルールを と主要政治課題、法的規制、保護政策(人権、消費者保護) 変える規定的要因 などの変化とトレンドが、政策対象に与える影響を把握する。 この要因は、社会活動のルールを変える要因である。 ・政権の公約や政治の安定性 ・法律の緩和・規制動向、税制の方向 ② 経 済 「政策対象に関する経済はどのようになっているか(促進 (Economics) する要因はあるか)」を分析する。主要指標、消費、産業、 需要と供給に影響 財政金融、資源外交、地域、労働などの各政策や活動の変化 を与える活力的要 とトレンドが、政策対象に与える影響を把握する。社会活動 因 の活力を決める要因である。 ・経済成長率、公共投資、企業活動、為替・金利の変動 ・個人消費の動向、賃金の動向 ③社会(Society) 「政策対象に関する社会はどのようになっているか(受け 社会の行動や価値 入れるか)」を分析する。家計生活、就業条件、人口問題(健 観に影響を与える 康・医療、出生率)、社会動向(文化、流行)、価値観などの 内容的要因 変化とトレンドが政策対象に与える影響を把握する。社会活 動の内容に影響を与える要因である。 ・人口の動向、所得の増減、就職状況 ・生活や働く環境、医療や福祉、価値観の変化 ④ 技 術 「政策対象に関する技術はどのようになっているか(活用 ( Technology) できる新技術はあるか)」を分析する。情報、規格、素材、 生活の手段に影響 医療、産業などに関する技術革新などの変化とその方向が、 を与える革新的要 政策対象に与える影響を把握する。 因 ・新技術の登場可能性 ・各分野での技術革新の動向

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3.政策形成での行政版PEST分析の事例 政策形成における、主に政策課題の決定でのマクロ環境分析は、PEST分析を使 用して分析しその内容を記載します。また、成果のあがる政策は、社会の変化とその トレンドに着眼して「機会(促進する)と脅威(阻害する)」を把握して対応してい ます。潮流を外した政策は短命に終わります。 分析シートは、以下の様式を活用します(例は政治と経済のみ)。シートの記載に おいては下記に留意します。抽出した機会と脅威の内容は、この後のSWOT分析で 活用します。 ・4つの要因の細目である「項目」は適切か ・過去~現状の記載内容は明瞭で定量的か ・そこからトレンド(変化の方向)は適切か ・抽出してある機会と強みは適切か ・機会は課題を促進するか ※『コトラーに学ぶ公務員のためのマーケティング教科書』(同友館)P91 参照 4.政策形成での行政版PEST分析の活用ポイント

PEST分析での読み違いは行政の政策に致命的な影響を与える

PEST分析手法の活用では、下記のポイントを確認します。マクロ環境の読み違 いは、政策課題の決定と政策の立案に大きな影響を与えます。 ◆活用ポイント(1):4つの要因と相互の関連性で全体の網羅性を確認する 4つの要因は、お互いに関連して政策対象に影響を与えています。よって各要因を 細目に展開して分析すると同時に、4要因の関連性に注目し、政策対象に関するマク 項目 項目 過去~現状過去~現状 機会機会 各種 政策 各種 政策 バブル後は、構造改革や規制改革な ど、経済再生に重点を置いた政策が展 開。現在は財政出動と地方創生が中心。 バブル後は、構造改革や規制改革な ど、経済再生に重点を置いた政策が展 開。現在は財政出動と地方創生が中心。 ○金融緩和、財政出動、円 安誘導、株価アップ、地方 創生関連の拡充。 ○金融緩和、財政出動、円 安誘導、株価アップ、地方 創生関連の拡充。 成立 法令 成立 法令 「まち・ひと・しごと創生法」など、 地方創生を具体化する法律の制定があ る。 「まち・ひと・しごと創生法」など、 地方創生を具体化する法律の制定があ る。 ○経済活性化を具体化する ための関連法令等の制定が 継続される。 ○経済活性化を具体化する ための関連法令等の制定が 継続される。 経済 成長 経済 成長 バブル期から現在まで経済成長は低 下。しかし、平成○年度の我が国経済 は、改善の兆しもある。 バブル期から現在まで経済成長は低 下。しかし、平成○年度の我が国経済 は、改善の兆しもある。 ○平成○年の長期予測では、 消費及び設備投資は増加で 緩やかな回復に。 ○平成○年の長期予測では、 消費及び設備投資は増加で 緩やかな回復に。 産業 構造 産業 構造 生産拠点の海外移転や海外調達が進 み、中小製造業に対する仕事量減少や 単価引き下げが顕著。 生産拠点の海外移転や海外調達が進 み、中小製造業に対する仕事量減少や 単価引き下げが顕著。 脅威 脅威 ●競争志向の政策から倒産 等の発生と政策失敗から経 済停滞の危機もある。 ●競争志向の政策から倒産 等の発生と政策失敗から経 済停滞の危機もある。 ●旧来型の地域振興では成 果不足になり地域の荒廃が 進む。 ●旧来型の地域振興では成 果不足になり地域の荒廃が 進む。 ●金融緩和中心の政策から 失敗時のインフレへの副作 用リスクは大きい。 ●金融緩和中心の政策から 失敗時のインフレへの副作 用リスクは大きい。 ●第一次産業と○○中小企 業には大幅なテコ入れが必 要。 ●第一次産業と○○中小企 業には大幅なテコ入れが必 要。 分野 分野 政治法律 政治法律 経済 経済 Economic Political

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ロ環境の全体構造を「モレとダブリ」のない把握になっているかを確認します。マク ロの分析で、必要な要因が抜けていると分析と政策の効果は半減します。 ◆活用ポイント(2):変化することと変化しないことを確認する ある期間で環境すべてが変わるわけではありません。P EST分析で「変化したこと、変化しなかったこと」と「こ れから変化すること、これからも変わらないこと」を区別 して把握します。そこから政策を促進する要因である機会 と阻害する要因である脅威を抽出し、この後の手法である SWOT分析で活用します。 ◆活用ポイント(3):中長期的なトレンドから「機会と脅威」を抽出する PEST分析では、分析対象を点としてみるのではなく、過去~現在までの推移か らの変化から、現在への影響と将来への継続性について着目し、機会と脅威を抽出し ます。現在と3年後、5年後、10年後、どのように機会や脅威として変化するかを 把握します。統制することは不可能な要因ですが、その変化に対応することが主眼に なります。 ・機会:対課題や象政策に関する促進要因(機会)はどのようになるのか ・脅威:課題や対象政策に関する阻害要因(脅威)はどのようになるのか ペスト分析を使用することで、政策や事業に関するマクロの環境分析が的確になり、 環境の大きな変化にそった「政策課題の決定」と「政策の立案」が可能になります。 次回は、外部環境分析のミクロ環境分析の代表できな手法である「4C分析」を検 討します。 -本講座の動画版が完成- 本講座の動画版のYouTube への 掲載も開始しました。第 1 回「政 策形成を戦略的にする」、第 2 回の「政策形成に必 要な戦略的思考の本質とは」です。本誌の掲載と並 行して進めます。下記をご活用下さい。 https://www.youtube.com/watch?v=WybPEJoDzs4&t=26s

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【参考資料】 本文は、市長と職員が行政経営改革に続いて、行政マーケティ ングを活用して、地方と再生・創生を実践することを描いた『コ トラーに学ぶ公務員のためのマーケティング教科書』(同友館) を参考にして作成しています。本講座の学習とあわせてご活用下 さい。また、フェイスブックやYouTube にも行政経営や行政マー ケティングに関連した動画や資料を掲載しています。これも学習 の参考にして下さい。 https://www.facebook.com/tomio.awaji https://www.youtube.com/channel/UCKmN1mLRCoPAuSx7tnNgoVA -著者紹介-

淡路富男

(あわじとみお) 行政経営総合研究所代表 民間企業を勤務後、民間大手コンサルティング会社シニアコンサルタント (財)日本生産性本部主席経営コンサルタント、同自治体マネジメントセンター 主席コンサルタントを経て、現在は行政経営総合研究所代表。 ◆兼職 各自治体 長期総合計画審議学識委員 各自治体 行政改革推進学識委員 各自治体職員研修所 自治体経営研修講師、管理職向けマネジメント研修講師 各シンクタンクのコンサルティングと研修講師 ◆専門領域:総合計画、行政経営改革、マネジメント、公共マーケティング ◆主な著書:『コトラーに学ぶ公務員のためのマーケティング教科書』(同友館) 『ドラッカーに学ぶ公務員のためのマネジメント教科書』(同友館) 『突破する職員になる』(公職研)共著 『三鷹がひらく自治体の未来』(ぎょうせい) 『自治体マーケティング戦略』(学陽書房) 『民間を超える行政経営』(ぎょうせい) ◆コンサルティング、研修、講演のお問い合わせは下記に MAIL [email protected] URL http://awaji333.jimdo.com/

参照

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