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第4章
自 然 環 境 の 保 全
1.森林の保全
本市の森林面積は 4,503.6ha
※1で、市域の 50%近くを占めていますが、緩やかに減少しています。その
うち約 70%は私有林であり、森林所有面積が小さい林家が多いことが判っています。また、シデコブシや
ハナノキなど、世界でもこの地域にしか生息しない希少な植物が市内各所に自生しています。
※1:都市計画基礎調査における樹林地面積のうち、市街化区域内を除く面積。ただし、笠原地区については、平成 19 年度調査 時、市街化区域と市街化調整区域が未線引きであったため、当該面積相当分を想定して計上。(1) 保安林
★本市には 3 種類の保安林があり、平成 23 年度現在、市域の約 17%にあたる 1,581ha が保安林として指
定されています。
表 4-1-1:本市の保安林種別面積 保安林の種類 保安林の役割 面積(ha) 土砂流出防備保安林 樹木の根と地面を覆う落ち葉や下草が、雨などによる表土の侵 食、土砂の流出、崩壊による土石流などを防ぎます。 1,518 土砂崩壊防備保安林 山崩れを防ぎ、住宅、農地、道路などを守ります。 29 保健保安林 森林レクリエーション活動の場として、生活にゆとりを提供します。 また、空気の浄化や騒音の緩和に役立ち、生活環境を守ります。 159 注:兼種保安林(2 種類以上に指定されている保安林)があるため、合計値が 1,581ha に一致しない。 資料:平成 21 年度岐阜県森林・林業統計書(2) 風致地区
風致地区とは、都市の風致を維持するため都市計画法に基づき定められる地域地区をいい、都市にお
いて自然的な要素に富んだ土地における良好な自然的景観を「都市の風致」といいます。
本市では、岐阜県風致地区条例、多治見市風致地区条例に基づき、建築物の建築等に対する規制を
行うことにより、地区内の自然的環境の維持保全を図る土地利用を誘導しています。平成 23 年度現在、市
内で 4 箇所(75.2ha)が風致地区に指定されています。
表 4-1-2:多治見市内の風致地区の指定状況 風致地区名称 面積(ha) 指定年月日 許可を要する行為 虎渓山風致地区 40.9 S58.3.31(H16.5.18 変更) 窯洞風致地区 18.6 S58.3.31(H16.5.18 変更) 岐阜県決定 高根山風致地区 14.1 S58.3.31(H16.5.18 変更) 多治見市決定 中峰谷風致地区 1.6 H19.11.1 1. 建築物、工作物の新築、改築、 増築、移転 2. 土地の形質の変更 3. 木竹の伐採 4. 土石類の採取 5. 水面の埋立て又は干拓 6. 建築物等の色彩の変更 7. 屋外での土石、廃棄物等の堆積★用語解説:「保安林」
森林は、木材を供給するだけではなく、災害を防ぎ、人の心に安らぎや潤いを与えるなど重要な働きを担っています。こう した森林の中で、特に重要な役割を果たしている森林を、森林法に基づき保安林として指定しています。保安林は、その機 能別に 17 種に分類されており、保安林に指定された森林は、その区域内での立木の伐採や土地の形質の変更等が規制 されます。(3)
森づくり活動
本市では、国土交通省多治見砂防国道事務所が進める土岐川流域グリーンベルト構想に基づき、市民
と協働で7つの森づくり活動を行っています。土岐川流域グリーンベルト構想は、はげ山から再生したまち
をとりまく丘陵を、より安全で豊かな都市山麓につくりあげていくことを目標に、①山麓斜面を樹林地とし、
土砂災害を防止する、 ②土砂災害の恐れのある地域に対し、適正な土地利用に誘導する、 ③防災機
能が高く、種の多様性に富む樹林地を保全・創出する、 ④生活に憩いをもたらす自然景観を保全する、
⑤身近な自然体験(環境学習や森林レクリエーション)の場を提供する、 という
5 つの基本方針を掲げ市
民と行政(市、国)が協働しながら樹林地の保全、整備、維持管理等の活動を行っています。
表 4-1-3:グリーンベルト構想に基づく7つの森づくり 森の名前 所在地 活動団体名 どんぐりの森 市之倉森づくり合同部会 どんぐりの森部会 おりべの森 市之倉森づくり合同部会 おりべの森部会 やすらぎの森 市之倉森づくり合同部会 やすらぎの森部会 筒小屋の森 市之倉町地内 市之倉森づくり合同部会 筒小屋の森部会 笠原の森 笠原町地内 笠原中学校・奉賛会 虎渓山 虎渓山町地内 桜再生協議会 三ツ池の森 星ヶ台地内 多治見中学校、「三ツ池の森」整備の会 図 4-1-1:グリーンベルト構想に基づく7つの森 どんぐりの森 おりべの森 やすらぎの森 筒小屋の森 笠原の森 虎渓山 三ツ池の森1-28
(1) ビオトープの整備
本市では、失われつつある水辺環境を守り、子どもからおとなまで水辺で憩い安らげるようなまちづくりを
目指して、地域や学校にビオトープ
★を整備しています。
ビオトープの手法にも多種多様ありますが、本市では、素足や素手にこだわる体験型ビオトープとして効
果のある「メダカ」に着目し、この「メダカ」とふれあうことにより、水辺に安らぎと静かなにぎわいを生み出す
ことを想定して「メダカの学校構想」を策定し、地域住民が中心となって整備を進めてきました。
平成 23 年度時点では、構想に基づいて作られたビオトープは市内に 8 箇所存在し、いずれも地域住民
が中心となって、維持修繕が行われています。
図 4-2-1:メダカの学校構想に基づくビオトープ整備の状況 ※( )内は整備された年度2.身近な自然環境の保全
太平メダカ通り(H12・13) 農業用水路の多自然化。地元小学校 や地域住民により構想を作成。 姫っこ川(H14) 農業用水路の改修。地 元住民、南姫小学校が 中心となって整備。 市之倉自然トープ(H15) 沢の跡地に多自然型の水辺を 復活。市之倉小学校の総合学習 で計画案を作成。地元ボランテ ィアによる維持管理。 ホタルとメダカの郷 諏訪(H15) 農業用水路の多自然化。地元住民 などによる整備。岐阜県の「ぎ ふ・ふるさとの水辺」に登録され ている。 共栄ビオトープいのちの水辺(H16) 埋め立てられていたため池の復活。 地元住民、共栄小学校などによる整 備。 三の倉棚田ビオトープ(H17) 休耕田の多自然化。地元住民に よる整備。 北栄小ビオトープ(H18) 校内の 観察池を 多自然化。 PTA 役員を中心とした実行委 員会で整備。 生き物の泉(H13) 小泉小学校の総合学習で計画案 を作成。3 面張りの河川(大波佐 川)のコンクリート護岸を取り除 き、自然に近い形に整備。★用語解説:「ビオトープ」
ビオトープとは、ドイツ語の生命(Bio)の場所(Top)という意味の造語です。本来、生物が互いにつながりを持ちながら生 息している空間を示す言葉ですが、特に、開発事業等によって環境の損なわれた土地や都市内の空き地、校庭等に造成さ れた生物の生息・生育環境空間を指していう場合もあります。近年、都市的な土地利用が急速に進行し、池沼、湿地、草 地、雑木林等の身近な自然が消失していることから、各地にビオトープ整備が導入されています。 写真 4-2-2:共栄ビオトープいのちの泉 写真 4-2-1:ホタルとメダカの郷 諏訪 (平成 23 年 9 月の台風で崩れたビオトープを、地元 住民が中心となって補修しました。) 写真 4-2-3:市之倉自然トープ (古くなった橋や土留めを地元住民が中心となって 交換・補修しました。) 写真 4-2-4:太平メダカ通り1-30
(2)自然体験施設
1)土岐川観察館
土岐川観察館は、安全で親しみのある水辺づくりを目指し、多治見市が行う「土岐川水辺の楽校」のひと
つとして、市民団体や国土交通省の協力を得て平成 14 年に開設しました。土岐川に関する自然学習や情
報提供を行う自然展示室や河川資料室、ビオトープなどを備え、館内の水槽には土岐川に生息する魚が
展示されています。毎年市内外から多くの来館者があります。
平成 21 年 10 月には、河川体験学習の場や自然団体等の活動拠点として充実を図るため、土岐川沿い
の前畑町から現在の平和町へ移転しました。新館の建設にあたっては、室内温度の上昇を防ぐために外
壁にクールアイランドタイルを使用したり、旧館で使用していた設備を再使用したりするなど、環境に配慮し
た建物を目指しました。
主な実施事業
【主な事業】
「館内自然展示」や「自然講座」、「うながっぱ土岐川あそび・りばーぴあ2011」、「自然観察会」、「子ども
ガサガサ探険隊」、「多治見六名山多治見の山が呼んでいる」、「チャレンジ散策」、「土岐川源流・河口探
険隊」、「お楽しみバードウォッチ」、「土岐川千匹調査」、「親子釣り教室」、「子ども釣り大会」などの企画、
総合学習への講師派遣、関係行政との魚類保護活動
2)三の倉市民の里 「地球村」
三の倉市民の里「地球村」は、多治見市街より約7km西方の丘陵地に位置し、広大な自然に囲まれてい
ます。「自然」をテーマにした宿泊研修施設で、季節ごとに自然体験イベントやレクリエーションを開催して
おり、市内外から多くの利用者が訪れています。
写真 4-2-5:土岐川観察館(外観) 写真 4-2-6:土岐川観察館(展示室) 写真 4-2-7:地球村(外観) 写真 4-2-8:地球村(展示スペース)【主な実施事業】
「自然観察会 ネイチャーツアー」(山野草、昆虫)、「天体観察会」(月例、出張、春、秋、特別)、「各種展示」
(星、昆虫、野鳥、植物)、「親子自然体験教室 地球子家
て ら こ やどんぐりくらぶ」、「50 歳以上の自然体験 地球村人の
くらし」、「収穫体験」(じゃがいも、さつまいも、しいたけ)、「「レクリエーション体験」(木工教室)、「里山ウォーキ
ング」(春・秋)、「秋の地球村まつり」、「フリークライミング」(人口壁)
(1) 植物の状況
本市には、県あるいは市の天然記念物に指定されている動植物が 13 件ありま
す。また、緑の育成及び保護に関する条例に基づき、歴史のある樹や珍しい樹な
ど 45 件が保存樹に、14 箇所が保護地区に指定されています。なお、本市の植物
の生息状況は、多治見市教育委員会によって取りまとめられた「多治見の植物」
に詳しく掲載されており、市内で見ることのできる植物のうち約 550 種について写
真やイラスト付きで解説されています。
表 4-3-1:県・市の天然記念物に指定されている動植物 資料:多治見市文化財保護 センター3.野生動植物の生態の保全
名称 所在地 概要 廿原のカキ 廿原町水口 個人所有 樹高 9.9m 枝張り 11.9m 幹周 2.3m 永保寺イチョウの木 虎渓山町1 永 保 寺 樹高 25.5m 枝張 21.2m 幹周 4.4m 虎渓山自然林 虎渓山町1 - 面積.約 32,000 ㎡ 永泉寺イチョウの木 池田町7-3 永 泉 寺 樹高 27m 枝張 19m 幹周 3.9m 虎渓山シデコブシ群生地 虎渓山町2 - 約 820 株 約 2,350 本 面積約 28,000 ㎡ 高田のハナノキ 高田町8 個人所有 樹高 20.5m 枝張 15m 幹周 2.8m 高田のケヤキ 高田町7 個人所有 樹高 21.5m 枝張 20.1m 幹周 3.5m 池田のエノキ 池田町8 個人所有 樹高 15.5m 枝張 16.4m 幹周 3.7m 平野のケヤキ 平野町2 個人所有 樹高 12.8m 枝張 17.5m 幹周 3.4m 北小木のホタル 北小木町 ― ゲンジボタル ヘイケボタル 大藪のシダレザクラ 大藪町山下 大藪神明神社 樹高 7.3m 枝張 12.9m 幹周 1.9m サクライソウ自生地 - - 面積 6,280 ㎡ 北小木のヤマモモ 北小木町 - 樹高 18.2m 枝張 15.6m 幹周 3.6m 写真 4-3-1:大藪のシダレザクラ 写真 4-3-2:廿原のカキ1-32
表 4-3-2:市の保存樹一覧 資料:多治見市緑化公園課 指定 番号 樹種 所在地 指定 番号 樹種 所在地 1 ツブラジイ 大薮町山下1386-1 神明神社境内 30 イチョウ 平和町6-142 二福寺境内 3 ケヤキ 高田町6-64 高田神社境内 31 ケヤキ 大畑町1-33 北野神社境内 5 ツバキ 根本町9-157 元昌寺境内 32 ヒトツバタゴ 滝呂町3-1-73 個人所有地 6 スギ 東栄町4-14 白山神社境内 33 シデコブシ 大畑町2-165-1 総合体育館南側 7 アベマキ 東栄町4-14 白山神社境内 34 アベマキ 市之倉町11-59 八幡神社境内 9 サザンカ 小泉町5-68 個人所有地 35 シダレザクラ 市之倉町12-48 熊野神社参道 10 タラヨウ 大原町9-32 普賢寺境内 36 ハナノキ 市之倉町2-51-2 個人所有地 12 メタセコイヤ 小泉町7-70 小泉中学校校庭 38 ギンモクセイ 根本町4-19 個人所有地 13 ヒイラギ 大原町6-51 個人所有地 40 ヒメコマツ 北小木町471 個人所有地 15 ツクバネガシ 小田町1-21-1 本土神社境内 43 エノキ 小泉町4-207-1 個人所有地 16 エノキ 田代町1-66 個人所有地 45 エドヒガン 白山町2-44 安養寺境内 17 ヒノキ 廿原町中之洞228-1 神明神社境内 46 タラヨウ 白山町2-44 安養寺境内 18 アカシデ 廿原町中之洞228-1 神明神社参道 48 イチョウ 坂上町1-28 個人所有地 20 イチョウ 諏訪町北ノ洞106-2 児童遊園地地内 49 ハリギリ 滝呂町6-217 個人所有地 21 アベマキ 諏訪町柳84 薬師堂境内 50 ナツメ 市之倉町4-58 個人所有地 22 オニグルミ 諏訪町柳155 個人所有地 51 タマミズキ 月見町2-54-1 池田稲荷神社 奥の院 23 ジャヤナギ 諏訪町柳 個人所有地 52 シャシャンボ 笠原町3241-1 陶ヶ丘公園 24 クスノキ 御幸町3-5 明治天皇行在所蹟 53 クスノキ 笠原町2151 神戸公民館 25 クロガネモチ 御幸町3-5 明治天皇行在所蹟 54 シンジュ 笠原町1967-2 笠原中央公民館 26 ナギノキ 御幸町3-5 明治天皇行在所蹟 55 キンモクセイ 笠原町3387-9 笠原小学校 27 ムクノキ 平野町1-6 個人所有地 56 スギ 笠原町992-1 方月山中 28 キンモクセイ 美坂町8-60 県道沿い 64 エノキ 大畑町3-1 TYK 工場内 65 ヤブツバキ 大畑町3-1 TYK 工場内 写真 4-3-5:小田町のツクバネガシ(指定番号 15) 写真 4-3-6:白山町のエドヒガン(指定番号 45) 写真 4-3-3: 虎渓山自然林 写真 4-3-4: 池田のエノキ表 4-3-3:市の保護地区一覧 指定番号 樹種 所在地 1 大日如来の社叢 大日町27 大日如来 2 シイの森 池田町6-18-1 神明神社 3 鎮守の森 上町4-21 神明公園 5 イチョウ並木 坂上町9-141 多治見高校庭 6 ナツツバキの森 東町3-46-1 塩之権現 7 サクラの森 平和町1-120 宗吾郎桜 8 ナツツバキ 東栄町1-50・51 個人所有地 9 ソメイヨシノ 上山町2-8-36 個人所有地 10 ケヤキ 市之倉町11-32 個人所有地 11 シデコブシ 大沢町2-6-1・18 大原山林会所有 12 シデコブシ 諏訪町天ヶ峰14 個人所有地 13 雑木林 小名田町3-4・5 個人所有地 14 コバノミツバツツジ 笠原町1264-1 森下公園 15 ショウジョウバカマ 笠原町71-1 方月山中 ※指定番号4は指定取消。 資料:多治見市緑化公園課 シデコブシは、昭和57年8月に多治見市の木に指定されました。少し紅色を帯びた白色の花を咲かせ ます。シデコブシという名は、花びらの開いたようすが、玉串などに下げる四手(しで)に似ているところか らつけられました。自生地は伊勢湾を中心とする東海地方の湿地等のわずかな範囲です。 なお、旧笠原町の木に指定されていたイチョウは、平成 18 年 1 月の合併に伴い、現在は多治見市の木 となっています。