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KEY WORDS:difficulty, daily life, women, rural China

Ⅰ.はじめに

 中国は近年目覚ましい経済社会的発展を遂げたが,発 展の不平衡によって農村部の貧困はいまだに深刻であ る。貧困農村部は巨大な出稼ぎ労働市場となっており, 農業経営や育児,介護など多重の役割が女性の肩にか かっている。また,中国4000年文明の歴史は,男性優先 の歴史とも言え,1949年新中国の成立により法律上「男 女平等」が実現し,女性の地位は社会的,経済的側面か ら家庭の役割まで大きく改善されたが,社会・経済的 に発展が遅れた農村部では,男尊女卑の伝統が根強く 残っており,女性が差別・抑圧されているのが現状であ る1)。こうした厳しい経済状況や抑圧された社会文化環 境のなか,中国農村部女性の間では,うつ病,自殺など のメンタルヘルス上の問題が表面化している2)3)。そし て,中国は,女性の自殺率が男性を上回っている極めて 稀な国であることが指摘されている4)  しかし,中国農村公衆衛生の枠にメンタルヘルスの概 念はなく,県レベルで精神医療が提供されることも少な く,また,精神看護学は専門分野として確立しておらず, 多くの人々が治療や看護を受けられない状況にある5)  中国農村部女性のメンタルヘルスについては,精神疾 患との関連から調査されているが,日常生活や社会的文 化的な文脈との関連から女性のメンタルヘルスを捉えた 研究はない。また,女性のメンタルヘルスに強い影響を 与えていると考えられる日常生活の中で直面する困難に ついては,今のところ,明らかにされていない。  そこで,本研究は,中国農村部女性の日常生活の中で 体験する困難に焦点を当て,農村部女性のメンタルヘル ス支援への看護上の示唆を得ることとした。

Ⅱ.研究目的

 本研究の目的は,中国農村部女性の日常生活における 困難を明らかにし,メンタルヘルス支援への看護上の示 唆を得ることである。  なお,本研究では,困難を「本人から語られた,日常 生活の中で体験する,個人の安寧に脅威を起こす潜在可 能性を持つ問題や悩み」と定義する。

Ⅲ.研究方法

1.対象とフィールド  対象とする農村部女性の年齢や家族構成,世帯経済状 況などの属性ができるだけ多様になるように選定条件を 緩やかにして,①農村部地域に常住し,農業の戸籍を有 し,②20歳以上,子どもを持つ既婚の者,③自分の意思 を言語的に表現できる,④本人から研究協力の同意が得 られる者の四つの条件を満たす者とした。  フィールドは,中国内陸農村部を代表できる大陸中部 に位置する農村地域とした。また,中国の方言の違いは

  原 著

中国農村部女性の日常生活における困難

李   従 紅

(千葉大学大学院看護学研究科博士後期課程)

岩   弥 生

(千葉大学大学院看護学研究科)        本研究の目的は,中国農村部女性の日常生活上の困難を明らかにし,メンタルヘルス支援への示唆を得ることである。対 象者は中国安徽省A県B村在住で子どもをもつ20歳以上の既婚女性10名であり,半構造化インタビュー,参加観察,資料調 査を用いて,女性の日常の暮らし方,日常生活上の困難,村の一般情報についてデータを収集し,質的帰納的に分析した。 分析の結果,農村部女性の日常生活上の困難として,①自分の肩にかかる労働が過重である,②生活に多くの費用がかかり 貧困をさらに圧迫する,③夫からの不受容と虐待に苦悩している,④家族との軋轢に悩む,⑤子供の教育と安寧が心配であ る,⑥貧困と避妊政策がもとで身体的にも精神的にも健康が損なわれている,⑦面子に束縛される,⑧世間で生きていくた めの知恵がない,⑨女性,貧困,農村人という三重に弱い立場にあり,差別されている,⑩村共同体の繋がりが薄くなり, 経済的・精神的に弱っている。の10のテーマが明らかになった。農村部女性の困難には,重労働や貧困,政策,差別,面子 といった社会文化的な側面が含まれており,身体的・精神的・社会的な健康が脅かされていることが示された。女性のメン タルヘルス支援には,女性個人や家族,及び社会文化的な側面から総合的に支援する必要がある。 受理:平成21年6月19日 Accepted : June. 19. 2009.

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現地調査を行う際に直面する難題の一つであるため6) 本研究は典型的な内陸の農業地域である安徽省A県の人 口2,100人程のB村と選定した。この村は研究者の出身 地の県にあることによって,研究者は言葉や風俗習慣な どに精通しており,村民たちと信頼関係を築きやすく, 女性たちのより内面的な生活にまで入り込むことを可能 にした。 2.人権の保護  研究を開始するにあたり,千葉大学看護学部倫理審査 委員会の承認と現地の村委員会の承諾を得た。対象募集 を行う前に村の責任者と,対象者の募集方法について相 談し,村の責任者の協力とアドバイスのもとに研究説明 会を開催し,女性たちに研究の趣旨を説明して参加者を 募った。対象候補者に,分かりやすい中国語文書と方言 にて研究の趣旨,目的と方法,予測される利益と不利益, 研究参加の自由意思の尊重,プライバシー・匿名・秘密 の保護,参加中断する権利など倫理的事項について説明 し,同意書へ署名をもって承諾を得た。そして,インタ ビューの場所や日時は,対象者の都合や体調に合わせて 設定し,一回あたりのインタビュー時間は30∼60分とし て,対象者の労働・家事・育児への支障を最低限にする ように配慮した。また,研究全般にわたって,対象者の 安寧・安全・家族関係・村での立場などを配慮し,対象 のもつ文化や風俗習慣を尊重することに努めた。 3.データ収集方法  本研究は対象者自身から生活の体験を明らかにするた め,データ収集は女性への半構造化インタビュー,参加 観察,文献・地域踏査,地域代表者への聞き取りなどを 通してデータを収集した。インタビューは自作のインタ ビューガイドを用いた。インタビューガイドは対象者 の日常生活と困難の体験を明らかにするためのインタ ビューガイドとデモグラフィックデータを収集するため のフェイスシートの2部分から構成した。インタビュー ガイドを用いて,対象者の日常生活で体験している問題 について具体的に質問し,対象者の許可を得てインタ ビュー内容を録音した。なお,参加観察は農村女性の生 活や文化的価値観をよりよく理解するために行い,女性 の語りの理解・分析に活用した。また,文献・地域踏査, 地域代表者への聞き取りによる収集した地域の地理・歴 史・気候,風土・文化習慣,社会構造などの情報は農村 女性を取り巻く社会文化的環境の理解に活用した。 4.データ分析方法  データ分析の対象は主に対象者のインタビューの語り であった。農村部女性が日常生活の中で体験している困 難はどのようなものか,を分析の視点とした。分析方法 は,McCracken7)により開発された“ロングーインタ ビュー”の方法を参考し,質的に分析した。ロングーイ ンタビューの方法は文化的なテーマや対象者に共通する 意味を出すことを目指し,対象者が世界を見る一般的 な視点や特定的なトピックを反映するテーマや関係及 び仮説を確定することを分析の目標としている。また, McCrackenは分析方法について5段階の手順を示してお り,段階ずつ一般化のレベルが高まっていく。本研究は 中国農村部女性が置かれた社会文化的な環境の中で,日 常生活上どのような困難を体験しているかを明らかにす るもので,この分析方法が役立つと考えた。McCracken に示された5段階の分析手順を参考しながら,本研究の 分析は以下の手順を踏まえた。  第1段階では,録音したインタビュー内容を逐語的に 記録したあと,逐語録を精読し,対象者ごとに日常生活 で体験する困難に関連する語りの内容をそのまま理解 し,一つのまとまりごとに抽出した。第2段階では,個 別の対象者ごとに,第1段階で得られた結果について, 語りの内容に基づいて発言の意味を確認し,困難の内容 間の論理的な関連性を調べ,個々の対象者ごとのテーマ を明らかにした。第3段階においては,第2段階で得ら れた個々の対象者ごとのテーマについて,全対象者間で 関連性を比較検討し,共通するテーマを明らかにし下位 テーマとした。第4,5段階において,第3段階で抽出 した下位テーマを詳細に吟味・集約し,段階を踏んで, テーマ,最終テーマを抽出した。

Ⅳ.結 果

1.フィールドの概要  安徽省は中国南東部に位置し,面積13.96万㎢,人口 6,593.5万人の農業が中心とした内陸省である。安徽省の 経済指標として,都市部家庭1人当たりの所得は9,771 元(約146,565円)/年,農村部家庭1人当たりの現金収 入は2,969元(約44,535円)/年であり,いずれも全国の 平均レベルより低かった8)。改革開放以来,安徽省農村 部は大都市の巨大な労働力輸出市場になっている。安徽 省は老子や荘子の出身地と言われ,中国古代伝統思想文 化からの影響も強いと言われている9)  A県は安徽省の中部に位置し,面積2,061㎢人口98万 人(うち農業人口87万)を有する山区貧困県である。B 村はA県の西南にあり,人口は2,100人(世帯545)の典 型的な山間部農村地域である10)。農林業による収入で生 活が成り立たないため,B村の主要収入源は出稼ぎであ り,調査をする時点で,B村の労働人口の半数以上が大 都市部に出稼ぎに出ていた。B村の家族構成については,

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他の中国農村地域と同様,宗族(父系出自集団)のつな がりが強く,住居は宗族によって集落を作って居住する ことが未だに多く見られる。昔は父系血族の大家族が望 まれたが,現在は,経済的に少人数の世帯の核家族が多 く見られる。しかし,息子は分家したとしても,親の近 くに居住していることが多く,日々の生活や作業の面で 密な関わりを持っている。 2.対象者の概要(表1)  B村の女性10名を対象とした。なお,本稿では,対象 者の氏名をアルファベットで表記する。対象者の年齢は 31歳から71歳まで分布し,平均年齢は47歳であった。30 代は3名,40代は4名,60代以上が3名であった。対象 の教育歴は,小学校卒が2名,小学校未卒(小学校2∼ 4年)が5名,60歳以上の3名は非識字であった。また, 婚姻歴については,全員が既婚で,かつ子どもを1人以 上持つ人であった。なお,B村では,20代の女性のほと んどは出稼ぎに行っているため,本研究の対象者の中 に,20代の女性は含まれていない。労働状況については, 対象者の全員が主婦の役割を持っており,乳児を持つ1 人の対象者を除く9名は,さらに農作業の主役をも担っ ていた。家族については,30代と40代の7名の女性のう ち,4名の夫が出稼ぎ中で,1年のうちに約2週間しか 同居できない状況である。60歳以上の3名のうち,2名 は息子と同居しており,そのうちの1人は息子達と分家 しているが,2人の息子夫婦が出稼ぎ中のため,3人の 孫の面倒を見ていた。もう1名は息子が出稼ぎ中であっ た。対象者のほぼ全員が夫や息子の出稼ぎ・副業の収入 で家計を維持しているが,そのうち4名は家計の補助と して地元の工場で働いていた。家計に関しては,「ゆと りがある」「普通」「やや苦しい」「苦しい」「とても苦し い」の5段階のうち,本人の主観により選択してもらっ たものである。 3.農村部女性の日常生活上の困難  日常生活の困難は,10名の対象者から得られた個別の 困難の内容を比較検討し,統合した結果,以下の10の最 終テーマが抽出された。以下に,各テーマの内容を説明 する。なお最終テーマの要約は【 】,テーマは[ ], 下位テーマは「 」,対象の語りの引用は“ ”で示す。 (1)自分の肩にかかる労働が過重である【過重労働】  この困難には,[生きるための労働がきつい],[農業・ 副業・子育て・介護・家事すべて自分の肩にかかってい る],[伝統儀礼行事で大変だ]というテーマが含まれる。  農作業は女性一人の責任となり,力の要る作業や,夏 の暑い時期の作業は辛くて大変である。さらに,“四季 の転換が早くて農作業が忙しい”ので,休むことが出来 ないという困難があった。また,農作業の他に,金を稼 ぐために近隣の露天の竹製品の工場で働くある対象者 は,“竹製品工場の作業は,夜は遅いし,手の怪我もす ごい。去年,私の手は全部アカギレになった。工場に 行ってもすぐに終ってほしいと思うし,次の日は行きた くない気持だった”と語り,体力や体の具合などの影響 で作業自体ができない状態であるが,“稲を作る作業が 大変だけど,死なない限り食べるから,作らないとどう しようもない”と生きるためにやらざるを得ないと語っ た。  また,対象者の夫が出稼ぎや副業などで不在のことが 多いため,対象者のほぼ全員が主婦をしながら,農作業 の主役となっていた。“夫が家にいないから,自分一人 で農作業をするのは心細い”,“農作業は全部自分で考え なければならないから,大変”,“子どもは女の子だから, 農業を手伝ってもらえないし,夫の両親は年をとってい るので,作業の協力が得られない”などが語られていた。 また,夫がいる場合でも,困った時や悩んだ時に夫に助 けてもらいたい,夫と相談しながら問題を解決していき たい時に,夫から協力してもらえない状況にあった。  対象者は冠婚葬祭や正月の準備や礼儀的な行事が多く て,辛い体験をしていた。60代以上の対象者では子ども の結婚式や孫の出産祝いなどの行事の負担を感じる者が 表1 対象者の概要 対象者 年代 教育背景 婚姻状況 職業 主な収入源及び家計 同居家族 出稼ぎ経験 A氏 30代後半 小学校卒 既婚 農業,主婦 夫婦両方/家計普通 3人(夫,息子) 10年間 B氏 60代前半 非識字 既婚 農業,主婦 自分と息子からの孫の養育費/家計苦しい 9人(夫,2人の息子世帯) なし C氏 40代前半 小学3年 既婚 農業,主婦 夫婦両方/節約必要 4人(夫,息子,姑) 4∼5年間 D氏 40代前半 小学校卒 既婚 農業,主婦 夫の副業/家計普通 4人(夫,息子,姑) 7年間 E氏 30代前半 小学校卒 既婚 主婦 夫の出稼ぎ/家計普通 4人(夫,娘2人,舅,姑) 7年間 F氏 40代前半 小学3年 既婚 農業,主婦 夫の副業/やや苦しい,借金あり 4人(夫,娘,息子) なし G氏 30代後半 小学4年 既婚 農業,主婦 夫の出稼ぎ/やや苦しい 借金あり 4人(夫,息子,舅,姑) 1年間 H氏 40代前半 小学2年 既婚 主婦 夫の工場労働収入と息子の出稼ぎ/やや苦しい 3人(夫,息子) なし I氏 70代前半 非識字 既婚 農業,主婦 息子一人の出稼ぎ/家計苦しい 6人(夫,息子世帯4人) なし J氏 60代前半 非識字 既婚 農業,主婦 自分の農業収入/家計普通 2人(夫) なし

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いた一方,30,40代の対象者では,義理の親の葬式や, 村の伝統風習のなかで嫁が行うべき儀式による辛さを経 験していた。“姑の葬式の数日間は,頭がぼんやりして いたの。忙しくて,子どもも泣くし,辛くて人間の暮ら しとは思えない”と経験を語った対象者もいた。 (2 )生活に大きな費用がかかり貧困をさらに圧迫する 【貧困の循環】  この困難には,[収入が少なく日常生活が維持できな い],[借金や,子育てで金を稼げないので不安だ],[行 事,付き合いで出費が重い],[教育,医療,農業に大き な費用がかかる]というテーマが含まれている。  対象者の一家の生計は,主に夫や息子の出稼ぎ収入に 頼っており,収入が少ないため,普段の生活を維持する のに困難があった。また,収入が少ないために,ほとん どの対象者は畑の野菜を中心とした,とても質素な食事 をしている。“農村だから,おやつは手に入らないよ。 子どもがどうしても欲しがって落ち着かない時に,たま に買うけど”と語った対象者もいた。また,“使う金が なくなったら,また他人から借りるしかないと思って, 焦る”,“借金を背負っているから,毎日浮かぬ顔で,楽 しいことがない”と借金を積み重ねて焦ったり,“子育 てで金を稼げないから,稼げる女性が妬ましくて不安に なる”と思うなど,自分の思うように金を稼げないこと に対する不安が語られた。そして,伝統行事,付き合い などによる出費が多く困っている対象者も多かった。 (3 )夫からの不受容と虐待に苦悩している【虐待の苦 痛】  この困難には,[夫からの虐待は苦しい],[夫から昔 受けた虐待に今でも苦しんでいる],[夫からさげすまれ ている]の3つのテーマが含まれている。  対象者は夫からの虐待を経験し苦痛を味わっていた り,夫との関係や付き合いに苦痛を感じたり,夫に心身 共に虐待されたり,無能扱いされたり,さげすまされた りしている。また,夫の乱暴な態度に傷つき,夫に対し て絶望した対象者もいた。“実際の困難より大変なのは, 夫からの精神的なストレスだ”,“今でも夫と話をする時 に,前に虐待されたことが気になる”と夫の虐待に苦悩 しており,昔の虐待に今でも苦しんでいる対象者もい た。また,夫から認められず,無能扱いされ,貶められ たりして,夫婦間でのコミュニケーションが全くできな い対象者もいた。 (4)家族との軋轢に悩む【家族との軋轢】  この困難には,[夫婦間に齟齬がある],[義理の両親 との関係に不満がある],[精神障害者の家族との付き合 いに悩む]の3つのテーマが含まれている。  対象女性には夫とコミュニケーションが取れないこ と,夫婦関係に不満を持って悩んでいることが語られ た。また,義理の両親との同居生活のなかで,両親に依 存され過ぎて負担感を感じることや,両親に誹謗された り非難されたりすることや,生活が姑にコントロールさ れ自己決定できないことなどの困難である。また,精神 障害を持った嫁に暴言や暴力を振るわれて,日々の生活 が保てずに悩んでおり,さらに結婚前から精神病を持っ ている夫の再発にも困っている対象者もいた。 (5)子どもの教育と安寧が心配だ【子どもの心配】  この困難には,[子どもの教育がとても気にかかる], [子どもの安寧を心配する]という下位テーマが含まれ る。  対象女性は子どもへのしつけの方法が分からないこと や,子どもの勉強や将来を心配することや,作業で不在 の時に一人っ子である子どもの安全面を心配していた。 小・中学校に在学中の子どもを持つ対象者には,子ども の将来と強く結びつく学校の成績を心配し,不安に思う 語りが多かった。“毎日子どもは宿題が出来ているどう かを心配している”,“将来子どもが体力的に少しでも楽 な仕事を見つけるために息子に高校までの教育を受けさ せたいけど,子どもが話を聞かなく,勉強に不真面目 だ”,“先生や他人から子どもの成績や点数が悪かったと 話を聞いたら,作業する時にも食べる時にも寝る時にも 落着かなくなる”と悩んでいる対象者もいた。 (6 )貧困と避妊政策がもとで身体的にも精神的にも健 康が損なわれている【貧困と政策による健康障害】  この困難には,[貧困のため医療を諦めざるを得な い],[体調が思わしくなく苦しい],[計画出産政策によ る避妊により健康を害して大きな苦痛を味わった],[過 酷な生活の農村では希望がもてない]のテーマが含まれ ている。  経済的な理由で医療を受けられない,“体調が思わし くなく苦しい”,“病気のために家事や入浴ができない” と身体的な不調や苦痛を我慢している対象者がいた。ま た,国の計画出産政策によって健康問題を生じ苦しんで いた対象者もいた。さらに,農民であることにより都市 部の人に蔑視されることで自分が置かれた境遇を悲観的 に思い,自分に対する希望を持てない対象者もいた。 (7)面子に束縛される【面子による束縛】  この困難には,[面子の為に夫婦関係のことは相談し ない],[面子を守りたいから他の人に相談できない], [村人や夫に嘲笑されることを心配する]というテーマ が含まれている。  対象者の中には,夫婦関係に関する悩みを姉妹以外の

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人に相談するのは恥ずかしいと感じていたり,相手に嘲 笑されるのを心配したり,面子のために悩みを隠したり 我慢したり,夫の虐待にも対抗できない者がいた。 (8)世間で生きていくための知恵がない【知恵の不足】  この困難には,[農作業や伝統行事の経験がなくて 困った],[自分の権利を守るための方法が分からない] というテーマが含まれている。  農業の知識や,葬式などの伝統行事の経験がない対象 者がいた。また,“避妊問題のために自己負担した治療 費は医療側に責任があると思うが,自分の家族や親戚は みんな農民だから,訴える方法が分からない”,“不妊手 術を受ける必要はないと思うが,それについて交渉する 道が分からない”などで自分の権利を守る方法が分から ない対象者がいた。 (9 )三重に弱い立場(女性,貧困,農村人)にあり差 別される【三重の差別】  この困難には,[女性への伝統固定観念により貶めら れる],[農村人は差別されている],[村共同体での弱い 立場と貧困のためにいじめられる]の3つのテーマが含 まれている。  対象者によってはすべての側面で差別を経験していな い者もあったが,三側面の差別は半数以上の対象者に共 通していた。“兄弟の嫁と喧嘩する時に嘲笑されないよ うに”と不妊症による周りからの軽蔑に悩んでいる対象 もおり,良い医者が都市部集中しているために,農村部 に質の良い医者がいないことや,診療所では病気を診ら れず,薬の販売が主であるが,薬の質が信用できないこ とや,医療従事者が農村人を軽蔑しているような態度で 接するので傷つけられた対象者もいた。また,農村地域 内での格差による貧困によって弱い立場になり,村共同 体内で同じ村人からのいじめを感じた対象者もいた。 (10 )村共同体のつながりが薄くなり,経済的・精神的 に弱っている【村共同体の脆弱化】  この困難には,[今の村は共同体のつながりが薄く なって孤独だ],[村の治安が悪くなって経済的精神的な ダメージを受けた]という2つのテーマが含まれてい る。  対象者は“村に人が少なく,共同行事もなく,皆は金 を中心に考えて,忙しくて,村での楽しみが減少してい る”と孤独を感じ,また,“今の農村は治安が悪くてな り,盗難が頻発で,農村は都市と同様に危なくなった” と治安の悪化に困った対象者もいた。

Ⅴ.考 察

1.農村部女性の日常生活上の困難の特徴  【過重労働】については,夫が出稼ぎに出て,農村に 残っている女性を対象とした中国のいくつかの社会学 調査でも,農業・介護・育児などの労働が過重で,女 性たちの心身的健康が損なわれていることが報告され た11)12)。本研究においても,過重な労働は女性たちが体 験している大きな困難の一つとしてあげられた。  1980年代の改革開放政策により,農民は土地に依存す るだけではなく,都市に移動したり,出稼ぎに行った り,農業以外の職業に従事することが可能になり,また, 工業化が遅れた農村では,農業に頼るだけでは生計が成 り立たないため,現在,B村のような農村部家庭の主な 収入源は出稼ぎである。中国国家統計局の調査によれ ば,2004年末の時点で全国出稼ぎ農民は11,823万人に達 し,そのうち,安徽省の出稼ぎ農民は1,000万人で,全 国3位にあった13)。本研究のフィールドとなったB村で は,労働人口の半分以上が出稼ぎに出ていた。このよう に,男性が不在で農業活動に参加せず,女性は伝統的な 家庭内での役割を果たすうえで農業の重責も女性の肩に かかっていると言える。また,貧困のため,多くの女性 は普段の農業や家事の他に,自分で副業をもち賃金を得 なければならないことも多い。これらの要因によって, 女性たちは日々の労働や生活の維持に疲労し,困難を感 じていると考えられる。  【貧困の循環】については,B村の山間部という地理 的な不利や工業化発展の不足などの環境要因,収入は出 稼ぎに多く頼っていることに関連していると考える。ア フリカで行った女性の調査14)にも,農村地域の女性は, 都市部の女性と比べると,深刻な貧困を体験し,高いレ ベルのストレッサーとうつ症状が報告され,そして,都 市部は社会経済発展の利益を受けている一方,農村部の 住民はその恩恵を受けていないとの結果が示された。現 代の中国でも,社会経済的発展は都市部や一部の人に恩 恵をもたらしているが,多くの農民の生活の状況が根本 的に変化していないと言える。本研究の対象の全員は農 業に従事する同時に育児・家事などの役割も果たさなけ ればならず,自分で仕事をもち収入を得ることが難し い。一方,家庭の主要な稼ぐ者である夫や息子は教育レ ベルが低く,専門技術を持っていない人が多く,出稼ぎ に行っても,建築現場や工場などの収入が少ない職種に 従事せざるを得ない。また,都市部住民とはっきり区別 されている「農民工」である彼らは都市人のような社会 保険や福祉政策を受けられない。WHOはメンタルヘル ス上の問題と関連する社会要因として,都会化,貧困,

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科学技術の変化,農村生活などを指摘している15)。本研 究の結果からも,貧困を伴う農村生活は女性のメンタル ヘルス面に影響を与えることが推察できる。  【虐待の苦痛】については,先行研究においても農村 部女性は,都市部女性と比較すると,家庭内暴力に遭遇 する機会は多く,暴力に対して自分で対応するのは難し いことが明らかにされた16)17)。また,農村地域の家庭暴 力の特徴と影響要因について,男尊女卑の思想観念,生 活態度,経済状況と密に関連し,そして,被害者の女性 は法律で自分を保護する意識がないことや,法律上の不 備や無視などが指摘されている16)  【家族との軋轢】については,夫婦関係における齟齬 や不和は,農村部以外の女性も体験していると考えられ るが,本研究においては,夫との性格の不一致やコミュ ニケーションがとれないなどが具体的な困難の内容で あった。このことは,農村で受け継がれてきた妻が夫や 義理の親への服従,婚姻は家同士の結びつきと家の存続 のためなどの伝統的な価値観6)と,改革開放以来,出 稼ぎの増加や農村部女性の外部との接触が増えることに より女性の自己決定や自己主張が増えたなど女性の意識 や地位が変化してきている新しい価値観の葛藤の表れと してとらえることができる。また,夫の出稼ぎなどで夫 婦が長期に別居することで夫婦間の交流に影響している とも考えられる。義理の両親との関係における困難に は,夫の家に嫁ぐという中国伝統の慣習が影響している と考えられる。農村部では,いまでも伝統的な父系家族 が中心で,女性が夫の家に嫁に来ることは夫だけとの共 同生活が始まることではなく,夫の家の拡大した親族の ネットワークとの付き合いが始まることを意味してい る6)。しかし,嫁は権威を象徴する姑に順従しなければ ならない伝統と違い,本研究の対象者の多くは義理の両 親に不満を持っていることは,作業の協力や経済的葛藤 によるものが主であった。この変化も現在の社会経済的 な変化に伴う農村部女性の意識や価値観の変化によるも のと考える。  【子どもの心配】については,中国人は子どもの教育 に投資する経費は食物に投資する金の額にほぼ相当する と言われており,「すべてのどの職業よりも知識人だ」 という昔から伝承されてきた職業の選択に関する名文が あり,中国人の親が子どもの教育に非常に期待する傾向 は昔の伝統・文化までさかのぼることが出来る。現在, グローバル化・都会化の進展や社会経済的発展によっ て,社会に進出することによる競争が高まっており,子 ども達の教育への関心も高まっていくと考えられる。ま た,今まで農村部と都市部の経済面・教育面・社会福祉 面などの格差のために,農村部の親たちは自分が置かれ た過酷な状況を子どもたちに味わわせないように,子ど もの教育に一層関心が高まると言えるだろう。そして, 「作業の困難より子どもの教育の問題だ」と悩んでおり, 子どもの教育を支える方法を知らず,無力感を感じてい る対象者がいた。これは夫が不在で母親は作業・家事な どに多くのエネルギーを消耗していること,また,女性 たち自身の教育レベルが低いため,子どもの成長や教育 に関する知識・情報が不足していることが考えられる。  【貧困と政策による健康障害】については,先行研究 よれば,乳幼児と妊産婦の死亡率に関する調査結果18) にも,農村部女性の婦人病の調査結果19)にも,都市部 と農村部の格差が拡大しており,農村地域や稼ぎ労働者 などの弱い立場にいる人々の状況が改善されていないこ とが報告された。これは,農村部の貧困と農村部医療保 険制度の遅れと不備に強く関連していると考えられる。 一方,農村部医療保健サービスの質が低いこと,機能が 整備されていないこと20)にも関連があると考えられる。  一方,計画出産政策の一環としての避妊により生じた 健康障害は他の文献でも紹介されている。計画出産政策 は中国の国策として,1970年代から実施し,1982年には 基本国策として制定され,2001年に法定化された。現在, 農村部の既婚且つ子どもを持つ女性のすべてに避妊や不 妊手術(2人の子どもがいる場合)が強制的に実施され ている。避妊が原因で体に不調や精神的に苦痛を感じて いる農村女性は少なくないことが先行研究にも報告され ている21)22)  【面子による束縛】については,中国人にとって面子 は他者との関係において重要な概念であり,面子を失う ことは,中国人の日常生活に大きな損害をもたらし,面 子は中国特有な文化であり23),中国人の生存原則とも言 われている。面子にはいろいろな意味合いが含まれ,人 付き合いの礼儀を大切にして自己犠牲をはらっても相手 のために尽くすことや,他人の面子に配慮すること,自 分の面子を守ることなどの意味がある。また,虚栄,他 人からの評価,人間としての尊厳に関連するとも言われ ている。伝統的な中国人は,面子に縛られ,負担を感じ るが,一生面子のために生き,面子を超越できないこ とが多いとされている。香港で行った先行研究24)では, 女性が婚姻問題や子育ての問題を自分個人の失敗や家庭 の恥と見なし,自分と家族の面子のために専門的サポー トを求めないことが明らかにされた。また,中国農村部 の自殺と文化の関連についての研究25)にも,自殺に関 連する要因として,面子を失うことは一番目にあげられ ていた。本研究においても,女性は面子のために,自分

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や家庭の問題や苦痛を自分の人生の失敗と見なし,自尊 が害されないように人に知られたくないことが示され た。この中国特有な面子文化は,周囲にサポートを求め ることや,問題や苦痛に対処する方法を制すると言え る。  【知恵の不足】については,本研究の対象者の女性は 小学校以下の教育背景しか持たないこと,不識字である ものもいることから,知識や情報を得る方法が限られて いることが考えられる。中国の9年義務教育が法律とし て定められたのは1980年代であったが,2006年から教育 費の免除が開始されたので,農村では高額の教育費で教 育を受けられないことが少なくなかった。また,男尊女 卑の伝統観念により女の子に教育を受けさせないことも 考えられる。現在義務教育の実施によって若者層での識 字率が高まっているが,小学校以下の教育しかなかった 農村の30代や40代以上の女性の教育レベルの向上は農村 女性の大きな課題だと言える。一方,農作業や伝統行事 の知識や経験が足りないこと,自分の権利を守るための 方法が分からないなど生活の知恵が不足していること は,近年出稼ぎなど農業以外の仕事に従事する女性の増 加,農業や農村の伝統的行事を行う経験が少ないことが 一つの影響要因として考えられる。また,以前と比べる と現在の農村部に残っている人が少なく,村人間のつな がりが薄くなっており,世帯間による知恵の伝達が不足 していることも考えられる。自分の義務や権利が分から ないことについては,中国の農村では,農民と政府の役 人の間に直接接する機会が少なく,政策や制度に関する 具体的な内容について,農民に詳しく説明されていない ことが考えられる。また,農村では,伝統的に一家の主 は男性であり,女性は表に出ることや,発言することは 望まれないことなども,女性の知識や情報の獲得にも影 響していると考えられる。  【三重の差別】については,本研究では,女性である こと,農村人であること,貧困であることから,貶めら れたり,差別されたりしていることが明らかになった。 先行研究26)では,女性のメンタルヘルスに影響を及ぼ す社会的因子として,社会の女性への固定観念,ジェン ダーに関連する女性の低い地位と差別を示唆した。ま た,本研究では,不妊で子どもができないこと,息子が いないこと,女性の自己決定など中国伝統的な女性に対 する固定観念に違反したことによって,周りに貶められ たり,非難されたりしていることが明らかになった。こ れは「子ども,特に男の子を生めば,自分の夫の家で の立場は強化される」と描いた70年前の農村調査発見6) と一致であった。このことから,中国数千年の伝統文化 が女性の尊厳を束縛する深刻さや,伝統そのものの根強 さが窺える。そして,農村人が経済的・社会的に弱い立 場に置かれることは,中国においては論争するまでもな い事実である。農業・農村・農民問題の研究者は農民に 平等な「国民権」を授けることを力強く提唱している。 農村人が弱い立場にある原因の一つは,今まで都市部と 農村部をはっきり区別している社会資源や福祉制度の利 用に差がある特有な戸籍制度があげられる。また,政府 の役人や都市人は優位意識をもちながら,農村人を低く 見ることが多い。本研究でも,医療従事者などの都市人 に蔑視されたり,無能扱いされたりして,「気持が傷つ けられる」と精神的損害を受け自分を卑屈に思ったりし たことが明らかになった。  また,本研究の対象者は,村で経済や他の面での弱い 立場に置かれたことにより,周囲からいじめを受けたり している。現在,都市と農村だけの格差ではなく,同じ 農村地域でも,過去にあらゆる面で平等であったが,現 在個人間での格差が拡大しつつしていると考えられる。  【村共同体の脆弱化】については,先行研究11)12)にも, 農村女性に利用できる娯楽活動が少なく,感情面から女 性たちを支える家族がいないことが指摘されている。村 での繋がりが薄くなったのは,農業労働力の都市部への 移動が増え,農村部に残っているのは女性以外に,老 人,子どもが多いため,村人間の交流が少なくなったた めと考えられる。また,夫の出稼ぎで夫婦間のコミュニ ケーションが少なくなり,良好な夫婦関係が維持できな くなって,女性の精神面に影響を与えていることが予想 される。  村の治安悪化については,中国は社会経済的に発展過 渡期にあることにより人の精神的面に不安定が起こり, 経済的な目標へ一義的に追求することによって道徳性を 軽視する傾向があるなどが考えられる。市場経済の導入 に伴う個人利益や個人価値を追求するなど新しい観念が 人々に受容される一方,社会道徳への軽視や奉仕観念の 弱まりなどのマイナスの面も出てきているため,経済的 発展に応じた社会道徳体制の再構築の必要性が求められ ている27) 2 .農村部女性の日常生活における困難の関連性及び看 護上の示唆  本研究で明らかになった農村部女性の日常生活におけ る困難は,さらに4種類に分類できる。  【過重労働】【貧困の循環】【虐待の苦痛】は,<女性 が身に受ける困難>として,【子どもの心配】と【家族 との軋轢】は,<家庭内の困難>として分類できる。【村 共同体の脆弱化】は心理社会的な問題を含んでおり,【貧

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困・政策による健康障害】と並び,<健康上の困難>と して分類できる。また,【知恵の不足】と【面子による 束縛】および【三重の差別】は,<社会文化的な困難> として分類できる。そして,<健康上の困難>は,<女 性が身に受ける困難>と<家庭内の困難>の帰結である と考えられる。また,<社会文化的な困難>は,他のす べての困難の影響要因として考えられる。女性の困難を 健康との関連から考えると,<女性が身に受ける困難> が<健康上の困難>に強く関連していると考えられる。 すなわち,【過重労働】は生きるために必要であるが, 身体的健康が損なうことに繋がり,【貧困の循環】は, 医療を受けることを阻害し健康障害を悪化させる。【虐 待の苦痛】は心身の健康を害することにつながる。次に, 家庭内の困難である【子どもの心配】と【家族との軋轢】 は,女性の精神的不安や苦痛を高めることがあり,これ らも女性の健康障害に直接に影響すると考えられる。以 上のことは,女性の健康が過重労働,貧困,虐待,政策, 村共同体のあり方,家庭のあり方に大きく影響されるこ とを示唆する。  四種類の困難の関係を吟味すると,<健康上の困難> に,<女性が身に受ける困難><家庭内の困難><社会 文化的な困難>が影響していると考えられる(図1)。 そして,<健康上の困難>は身体的・精神的・経済的な 問題を含んでいる。東洋哲学思想に影響を受けている中 国人に対するメンタルヘルス支援を行う際には,健康を 身体・精神・環境との統一体の視点からとらえる必要が あることがすでに指摘されている28)29)。したがって,本 研究から導き出された結果を加味すると,女性のメンタ ルヘルス支援には,女性個人や家族,及び社会文化的な 側面から総合的に支援する必要がある。しかし,社会文 化的な困難はすぐに改善することは難しい。女性が実際 に経験している困難や,家族との間で生じた困難に着目 し,直接女性に働きかける援助が優先である。また,社 会文化的な困難の中には,女性の社会文化的立場から生 じた困難として,【知恵の不足】が含まれており,これ については,女性への直接的な援助が可能である。すな わち,女性に知識や情報を提供することで,女性の困難 を緩和できるのではないかと考えられる。  本論文は,千葉大学大学院看護学研究科における修士 論文の一部を加筆修正したものである。

引用文献

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康服務現況調査.安徽医科大学学報,41(2),231−232, 2006. 21) 杜召雲,宋愛芹,魏曼莎,隋雲南他:農村節育婦女心理健 康状況調査.中国心理衛生雑誌,16(11),2002. 22) 童蓉,潘建良他:農村婦女輸卵管結扎術与神経症の三年随 訪.中国心理衛生雑誌,16(8),531−533,2002.

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DIFFICULTIES IN DAILY LIFE OF WOMEN IN RURAL CHINA Conghong Li*, Yayoi Iwasaki* 2

      * : Doctoral course, Graduate School of Nursing, Chiba University       * 2 : Graduate School of Nursing, Chiba University

  KEY WORDS :

difficulty, daily life, women, rural China

The purpose of this study was to identify difficulties in daily life of rural Chinese women and to gain nursing implications for mental health support. Data were collected from 10 married women living in village B of county A in Anhui Province via semi-structured interviews and participant observation. A qualitative analysis was used to identify difficulties in daily life of rural women. Ten themes were yielded: 1) excessive labor that falls upon women; 2) high living cost that accelerates poverty; 3) anguish about neglect and abuse by husband; 4) anxiety about conflict within a family; 5) anxiety about children’s education and wellbeing; 6) poor physical and mental health as a result of pov-erty and birth control policy; 7) to save “face”(mien-tzu); 8) Lack of knowledge for surviving the world; 9) triple discrimination against being female, farmer and poor; 10) diminishing community integrity that results in economical and mental health problems.

Difficulties of rural Chinese women include socio-cultural dimensions, such as hard labor, poverty, policy, discrimi-nation and mien-tzu. The results indicated the need for mental health support in adopting a holistic approach from the dimensions of the woman individual, family and the socio-cultural background.

参照

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