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茶道における「型」の教育~身体と精神の統一~

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Academic year: 2021

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(1)茶道における「型」の教育  ∼身体と精神の統一∼ 専攻  学校教育学専攻 コース  教育コミュニケ】ション. 学籍番号  M06009J. 氏名    小林新 とr形」概念の著しい混同があり、本研究. 【研究目的】.  本研究は、日本の伝統的茶道の世界にお. では、r型」の定義の必要性があること。②. ける教育を身体と精神の統一たる「型」と. 西洋的パラダイムの援用や、西洋・東洋の. して捉え、その内実・詳細を考察しようと. 二項対立式思考法では語り尽くせない日本. するものである。. 文化の特質が確かに存在することから、日. 本的パラダイム(芸道稽古論)の精緻な理. 【目次】. 序章  研究の日的と先行研究. 解が不可欠であること。③稽古諭を学校教. 第一章 茶道の歴史. 育の枠組みの中で論じることの愚鈍さを指.  第一節  茶道の発展. 摘し、改めて稽古諭を間い直すことの本来.  第二節 千利休による統一と千家の成立・変遷. の意義。④自然観の違いから生じたであろ.  第三節  大名茶道の創造と展開. う、伝統的な同本人(東洋)の身体観と西.  第四節  近代茶道への展開. 洋思想・哲学者の身体観との問に存する大. 第二章 茶道における「型」の教育の思想. きな差異、の四点を指摘した。.  第一節  r型」と「形」.  第一章では、偽書でありながら「利休の.  第二節  「型」の喪失. 茶の集大成」と価値づけられている『南方.  第三節  「型」と「身体」. 録』をはじめ、茶道研究の成果から、茶道. 第三章 裏千家茶道における「型」の教育. の歴史を通観した。村田珠光・武野紹鴎の.  第一節  割稽古. 流れを汲む「俺び茶」の系譜と、能阿弥・.  第二節  盆暗点前. 北向道陣の流れを汲むr書院台子の茶」の.  第三節  薄茶点前. 系譜を統一した千利休の茶を取り上げると. 終章  茶道におけるr型」の教育の意義. ともに、利休の子孫たちによる三千家(表.  第一節   r型」とr場」. 千家・裏千家・武者小路千家)の成立とそ.  第二節  「型」と「創造」. の変遷から、利休流茶道の系譜を明らかに. 【研究概要1. した。その際、茶道史における千家再興の.  序章ではまず、明治以降、徹底して軽視・. 意義と、茶道千家流における大衆化現象に. 排除の傾向にある日本人、特に子どもたち. 対応した「千家七事式」の創案にも触れた。. のr身体」が置かれている危機的状況への. 次いで、古田織部・小堀遠州・片桐石州・. アンチテーゼとして、茶道におけるr型」. 松平不昧など、武家社会における代表的茶. の教育の意義を間い直す必要性を指摘した。. 人たちを中心に、大名茶道の創造と展開を. 「型」の先行研究から、①論者によって「型」. 順に概説した。最後に、明治期茶の湯が復. 一6一.

(2) 興する起点となった、箒庵高橋義雄(1861. た。最後に、『薄茶点前」の手順を示し、『形」. −1937)や鈍翁益田孝(1848−1938)な. の模倣から「型」の習得へという「型」が. どの新興数寄者たちを中心として展開した. 身体化される構造について分析した。. 「財閥の茶」をはじめとして、田中仙樵.  終章では、r型」の教育の前提となる諸問. (1875−1960)の提唱により、近代茶道の. 題(座・師弟関係・間)の相互関係を総括. 復興を目指して創立された大目本茶道学会. しながら、茶道におけるr場」の形成につ. による改革運動をそれぞれ通観することで、. いて考察した。第一に、「座」の問題を取り. 茶道の歴史を締め括った。. 上げ、その前身とも言える中世封建社会に.  第二章では、茶道におけるr型」の教育. おける「茶寄合」の歴史的意義を明らかに. の思想について検討した。まず、現実場面. した。さらに、「形」を模倣する段階と『型」. において混同されやすいr型」と「形」と. を習得する段階を連結する役割を担った、. いう二つの概念を明確に規定した。その際、. 芸道師匠たちが生み出した「時」と「機」. マルセル・モース(Marce1Ma㎎8)の「ハ. という教育的思惟こそが、芸道における. ビタス」概念や、パターン・タイプ・スタ. 「場」を形成したことを指摘した。第二に、. イル・フォーム(「型」の原語)概念などの. こうしたr場」の形成に決定的な役割を果. 西洋的パラダイムの中で、「型」の問題を捉. たす「師弟関係」について論じた。ここで. えようとする試み自体の限界と、「芸道稽古. は、師匠と弟子のインターパーソナルな関. 論」という日本的パラダイムの中で、『型」. 係性を基盤として、鋭い人間観察能力を具. の問題を実証する妥当性についても検証し. 備した芸道師匠の口から発せられる、特殊. た。角界や将棋界のような特殊世界のみな. なrわざ」言語が果たす役割の重要性を指. らず現代社会に顕著なr型」の喪失が、家. 摘した。第三に、r間」の問題を取り上げ、. 元、芸道師範制度が強固に構築された千家. 『型」と不即不離の「間」を体得する為に. 流茶道においては、ほとんど起こらなかっ. は、学習者の「身体」を通じ・た「形」の模. た。最後に、西欧芸術における技術の習得. 倣によって、茶道におけるr場」全体の意. 過程と比較しながら、茶道を事例として、. 味連関を濃密に構築していく必要性を指摘. 「形」の模倣、「非段階性」、「評価の非透明. した。結論として、茶道において「型」が. 性」といった、伝統的な「わざ」の習得過. 設定されていることの教育的意義を考察し. 程における三つの特徴を指摘した。. た。r稽古(諭)」とr練習」との比較を通.  第三章では、r型」の教育の思想と照らし. して、学校教育の枠組みをその根本から間. 合わせて、r型」の形成の事例研究として、. い直すために、「独特な人間形成諭」たる「稽. 裏千家茶道におけるr型」の教育の実際を. 古諭」に着目することの生産性を再確認し. 探った。r割稽古」では、r島紗の扱い方」、. た。そして、近代教授学にはない、r身体」. 「喪・茶杓の清め方」、「茶突通し」、「茶巾. と『精神」が統一されることを主眼とする. の扱い方」、r茶碗の拭き方」、r茶杓の扱い. r型」の教育に内在する人問形成の観点に、. 方」の手順を示し、その習得過程における. 意義を見出した。. 「形」の模倣を中心に分析した。次に、r盆. 暗点前」の手順を示し、個々の「形」と点. 主任指導教員  安部崇慶. 前全体の流れとの位置づけについて分析し. 指導教員    安部崇慶. 一7一.

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