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聴覚障害幼児による訂正方略の有効性

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(1)Title. 聴覚障害幼児による訂正方略の有効性. Author(s). 三浦, 哲. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 52(1): 69-76. Issue Date. 2001-09. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/256. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 北海道教育大学紀要 (教育科学編) 第52巻 第 1号 i l iぢofEduca錠on (Educa t JournalofHo地 頭doUDi on) Vo vers ‐52 .1 , No. 平成 1 3年 9 月 Septe 1mber , 2001. 聴覚障害幼児による訂正方略の有効性. 浦. 哲. 北海道教育大学札幌校障害児教育方法研究室. 1. は じ め に. 訂正方略は, 相互交渉中に生じる聴取・理解困難な状況を相手に伝え, 相手の表出を言い換えたり反復し たり しても らう こ と によ り, 聞き 間違 えや 誤解 な どの コミ ュ ニ ケー シ ョ ン障害 を避 ける ため に活用 さ れる.. 三浦 ( 2000a ) は, 聾学校幼稚部に在籍する先天性の聴覚障害幼児が相互交渉中に目発した訂正方略を, 非 特定的方略, 特定的方略, 確認の方略の3つに大きく分類し, 3~5歳児の方略活用の実態について報告し ている. 非特定的方略とは, 「え?」 , 「なに?」 , 「聞こえない」 , 「もう一度言っ て」 など, 聴取・理解困難 な部分を指定しない方略である‐ これに対し特定的方略は 「00って何?」 など, 特定の情報提供を相手に 求める方略である. また確認の方略は, 相手の表出の部分的な反復などにより, 自らの聴取・理解の正しさ を確かめる方略である. 円滑な相互交渉の維持・継続のためには, 一度の方略活用で聴取・理解が可能 になる ことが望ましいと思 われる. 方略を何度も反復して活用しなければ聴取・理解に至ることができない方略は, 非効率的で有効性 が低い方略だと言えよう‐ そのため, 方略の種類や活用方法によって有効性に差があるのか どうか, もし差 があるのであれば, いかなる方略が有効なのかを知ることは, 指導上有益な情報となると思われる. こ の 点 につ い て, owens & Te l ) は19歳 の 後 天 性 の最 重度 聴 覚 障害 者 の会 話 にお い て, 相 手 話 leen ( 1981. 者の発話を聴取・理解できなかっ た場合, 反復を直接的に要求する方略 (直接方略) , 分かっ た部分を言う ことで分からなかった部分の反復を間接的に要求する方略 (間接方略) , 指文字を要求する方略 (指文字方 略) のいずれかを活用するよう求めた. その結果, 間接方略と直接方略が多用されており, 1回の方略活用 で問題が解決された割合は, 間接方略が89 .3%, 直接方略は68 ‐3%であり, 間接的な反復要求の方が有効性 が高 か っ たと して いる. Ca i i bson ( 1997 ) は, 中途失 聴 者25名 が健聴 者 と 1 対 1 で会話 を して いる 場 面 を15分 間分 析 し, ss e & Gi. 自然に生じた訂正方略の有効性を検討したところ, 聴覚障害者が活用した非特定的な方略と特定的な方略, そして確認要求の3つの方略の間には, 有効性に関する差は認められなかったとしている. しかし, 聴覚障 害者からの訂正方略に対する健聴者の応答の種類によって, 有効性に差が認められた‐ そのため, 訂正方略 の有効性を検討する場合, 活用された有効性の種類だけではなく, 相手からの応答と関連づけて考察する必 要があると思われる. 聴覚障害児についてはCa ) の報告がある‐ 彼らは学齢期の聴覚障害児1名と, 聴覚 i i l 1995 s s e&Wi s on ( 障害児が在籍している通常学級の健常児3名がグループ学習をしている場面で, 自発された訂正方略の有効 性を報告している. その結果, 聴覚障害児が特定的な方略を活用した場合には, 全て1回の応答でコミ ュニ 69.

(3) . 三 浦. 哲. ケーション障害が解消されていたが, 非特定的な方略を活用 した場合には, その割合は7 2%と低く, 特定的 方略の方が有効性が高いことが示唆された. 上記 の研 究 で は, 訂 正 方 略の活用 に よ り, コミ ュ ニケ ー シ ョ ンの 中 断 が速 や か に解 決さ れる か否 か を指 標 と して, 方 略の有効 性 が検 討 さ れてい た. しか し Ga鱒i 1991 ) は, 相 互交 渉 lmacov i t i ・d警ove ch ( ch al e ,Ste. の相手の健聴者による主観的判断について検討している. 聴覚障害者役の俳優と健聴者役の俳優の会話場面 をビデオに録画し, 聴覚障害者役の俳優に対する人格および自らの感情に関する評定を, 健聴な学生に依頼 した. その結果, 訂正方略が活用される頻度が高いほど否定的な評価となること, そして概して非特定的な 方略よりも特定的な方略の方が肯定的な評定がなされることが示された. 一方, 方略の活用頻度が低い場合 には非特定的な方略と特定的方略に対する評定には差がなく, また中程度の頻度であっても特定的な方略を 活用 していれば, 評価は低下しないことも見いだされた. この研究では, 訂正方略の有効性を, 相手の健聴 者の立場から評価した点で独創的であり, また重要な視点を提供していると思われる. そしてこれらの結果 は, 聴覚障害児者の聴取・理解困難をいかに速やかに解決できるのかという点を測度とした上記の研究結果 とも一 致 している 点 で興 味深 い‐ 一 方, Ma ) は, 補聴器を装用 した健聴の大学院生が, 街頭で健聴者に質問をし, 相 199 4 ・d Ro 1翁鴎 az s s(. 手の答えに対して反復を要求した場合の健聴者の応答を分析した‐ その結果, 多くの場合, 健聴者は最初の 発話よりも大きな声で話していた. また発話の省略や追加, 同義語への言い換え, 発話速度の低下な ども認 められ, 聴覚障害者にとって反復要求は有効な手段である可能性が示唆された. ただしこの研究では, 特定 的方略を行っ た場合の健聴者の反応は検討されていないため, 非特定的方略と特定的方略の相対的な有効性 の比較は困難である. 以上, 聴覚障害者や学齢期の聴覚障害児を対象とした検討の結果, 聴取・理解困難な部分を指定しない非 特定的な方略に比べて, 特定の情報を相手に求める特定的な方略の方が概して有効性が高いことが示唆され ている‐ しかしながら, 上記の先行研究では, 活用された訂正方略の種類 だけが検討されており, 相互交渉 の相手がいかなる応答をしたのかという点については分析の対象とされていない. また, 1回の訂正方略の 活用で問題が解決される割合が高い方略を 「有効性が高い方略」 としているが, 即座に問題 が解決されな かっ た場合, その後の相互交渉の中で, 最終的に対象児者の聴取・理解困難が解決されたのかどうかという 点 につ い て は検 討 さ れて い ない.. そこで本研究では, 聴覚障害幼児が相互交渉中に訂正方略を目発した際, 相手はどの様に応答したのか, その後いかなる相互交渉が展開されたのか, そして聴取・理解困難は解決されたのかどうかという点につい 20ooa;20oo b ) で収集さ れた ビ デオ資料 をさ らに詳細 に分析 し, 検 討する こ とと した. な て, 三浦 ( 00a ) お, 3~4歳時点では訂正方略の活用頻度が低いことが報告されているため (三浦, 20 , 方略活用が 活発化する5歳児を検討の対象とした. =. 方. 法. ( 1 } 対象児 A 聾学校幼稚部の5歳児クラスに在籍する幼児7名のうち, 先天性の両側感音性聴覚障害であり, 聴覚障 害以外に精神発達遅滞等の重複する障害が認められない幼児6名 (男児4名, 女児2名) である. 対象児の C旧H ] し以上である. 常時両耳に補 年齢は5歳4カ月から5歳10カ月, 良聴耳の平均聴力 レベルは全員が10O 聴器を装用 しており, 6名とも音声言語を中心としたコミュニケーショ ン態度が認められる. 表1は各対象児のS-M 社会生活能力検査による社会生活指数と, その下位項目である 「意志交換」 の 70.

(4) . 聴覚障害幼児による訂正方略の有効性. 8 ) による単語了解度, 絵画語い発達検査による絵画語 社会生活年齢, 絵指示式単語了解度検査 (鷲尾, 197 い年齢である. 絵指示式単語了解度検査は, 通常の補聴器装用状態で検者が単語を読み上げ, 6枚の絵の中 8 ) の原法では2~4モーラ語が25語提示される が, 対象児の実態 197 から1枚を選択させた‐ なお, 鷲尾 ( を考慮 し, 2 ~3 モ ー ラ 語10語 を選 択 して提 示 した‐. 表2は, 30分間の 「話し合い」 活動中に観察された対象児の発話数, 平均発話長, 最長発話長である. 発 話数は, 自発的発話数と応答的発話数の合計であり, 発話長は自発的発話の平均発話長および最長発話長で ある.. 表1. 対象児. 社会生活指数. 対象児の特性. 意志交換. 単語了解度. 語い年齢. A児. 89. 4:3. 60. 3:O. B児. 87. 4:9. 70. 3:4. C児. 85. 4:3. 30. 3:4. D児. 98. 4:9. 20. <2:O. B児. 94. 4:9. 70. 5:O. F児. 106. 5:8. 70. 4:5. (「単語了解度」 の単位は%). 表2 対象児の発話状況 対象児. 発話数. 平均発話長. 最長発話長. A児. 116. 2・ 2. 7. B児. 75. 2 1 ・. 4. C児. 111. 1 5 .. 9. D児. 147. 8 1 ‐. 5. E児. 173. 2 1 ・. 9. F児. 115. 2 8 ・. 11. 2 ) 手続き ( 「話し合い」 活動 (北海道札幌聾学校幼稚部, 199 ) に参加している対象児と担任教師を, 広角レンズを 3 装着したビデオカメラ2台を用いてビデオ録画した‐ ビデオ録画は 「話し合い」 活動が始まる数分前から終 了数分後まで行ったが, 分析対象としたのは 「話し合い」 活動の開始数分後からの45分間であった‐ なお ビ デオ録画は日を変えて2回ずつ実施したため, 分析対象時間は90分間である. 分析は ビデオ画像を再生しながら, 対象児が訂正方略を活用するきっ かけとなった他者の最初の表出と, 対象児による訂正方略, そしてそれに対する相手の応答, さらに対象児の聴取・理解困難が解決されたかど うかを判断できる部分までの全ての表出を転記し, 訂正方略とそれに対する応答を分類した. なお訂正方略 は, 「他者の表出を聴取・理解できなかっ たことを意図的もしくは無意図的に表出したと判断される行動」 とした (三浦, 1997 ) ‐ こ の場合の 「他者」 は, 対象児 だ けでなく担任教師も含 むこととした‐ また 「表 出」 は, 音声言語, 非音声言語, 音声言語と非音声言語の同時的使用のいずれの場合も含むこととした. 訂 ) を 参照 し, 「非 l l i-Ra 1990 正方 略 の 分類 は以 下 の と おり である‐ ま ず, Tomase t( o ぱnsden & Ewer ,Cont. 特定的」 , 「特定的」 , 「確認」 の3つの大項目に分類した‐ また対象が聴覚障害幼児である点を考慮し, 非特 71.

(5) . 三. 浦. 哲. 定的な方略の中に 「非音声」 , 「間投詞」 , 「困難表明」 , 「反復要求」 の4つの下位分類を設けた. これらの訂 正方略の分類と定義を表3に示した. 表3. 訂正方略の分類. 非特定的 非 音 声. 非音声行動による方略 (首を傾げる, 聴取・理解が困難であることを示す表情). 間 投 詞. 間投詞による方略 (「え?」, 「なに?」). 困難表明 自らの聴取・理解が困難な状況を表明する方略 (「分からない」, 「聞こえない」) 反復要求 相手に反復を求める方略 (「もういっぺん言って」) 特 定 的 特定の情報を要求する方略 (他児 の 「車 の 中 で絵 日記 を 読 ん だよ」 に対 して 「車 の中 で な に?」). 認. 確. 自らの聴取・理解を確認する方略 (他児の 「ブレーメンのお話しはあさって」 に対して 「あさっ て?」). 相手の応答については, 三浦 ( 2000a ) の分類を改変して表4のように設定した. まず訂正方略の意図に 応じた応答があっ たかどうかを判断し, 意図に応じた応答があったものの中で 最初の表出と応答が異なる , 場合を 「変更」 , 同じ場合を 「反復」 , 確認の方略に対する肯定もしくは否定の返事を 「返答」 と した. また 「変更」 については, 「モー ドの変更」 , 「発話内容の変更」 , 「音韻.韻律の変更」 , 「非音声の変更」 の4種 類の下位項目を設定した. 上記の応答の他に, 訂正方略を活用 した対象児の発話が不明瞭だったり声が小さ い等の理由により, 訂正方略に対して訂正方略を活用された場合や, 非特定的方略に対して聴取・理解困難 な部分の表明を求められた場合などは 「その他」 に分類した. 上記は全て訂正方略に対して何らかの応答が 認められた場合だが, 提示された訂正方略に対して反応しなかったり別の話を始めた場合を 「無反応」 とし た. さらに, 方略に応答すべき相手の応答が他者の表出によって妨げられ, 応答の機会がなかったと判断さ れた場合を 「応答機会なし」 とした. 表4 応答の分類 変更 発話内容 :品質 レベルでの言い替え, 追加, 削除. 音韻.韻律:音韻レベルの変更 (明瞭度の向上, 発声から発話への変化, 等) もしくは韻律レベ 非音声 モー ド. ルの変更 (声が大きくなる, ゆっくり話す, 抑揚の強調, 等). :身振りや手話などの変化, 追加, 一部削 除.. 反復. :表出形態 (音声, 非音声, 音声十非音声) :発話の内容や音韻, 韻律, 非音声行動に変化がなく, 自らの最初の表出が繰り返さ れた場合.. 返答. :確認の方略に対する肯定もしく は否定を表す返事.. その他. :訂正方略に対して訂正方略を活用する等, 方略には直接応答していないが, 相手の 聴取.理解困難を解決するために相互交渉を継続する意図は認められる場合.. 無反応. :他者からの訂正方略に応答しなかった場合. または応答は認められたが, 最初の表 出よりも音韻や韻律の面で不明瞭になったり, 応答が中断した場合. こ応答の機会が与えられなかっ た場合. :他者の表出な どにより, 応答すべき対象児も. 応答機会なし. 以上, 訂正方略と応答を分類した後, 訂正方略に対する応答の直後に聴取・理解困難が解決されたかどう かを判断した. そして問題が即座に解決されなかった場合には, その後の相互交渉を分析し, 最終的な解決 72.

(6) . 聴覚障害幼児による訂正方略の有効性. に至ったかどうか, また解決に至るまでの表出数を算出した. なお, 対象児が訂正方略を活用した際, 応答すべき相手 が他児と話しをしているな ど, 明らかに方略に気 づいていないと判断された場合には, 分析対象から除外した. m. 結. 果. 表5は, 訂正方略の各分類 ごとに観察された応答の出現頻度である. まず分析の対象となったのは63の訂 は 正方略であり, 非特定的方略が40 , 特定的方略が2であっ た. 非特定的方略の内訳で , 間投詞 , 確認が21 た 一方, 訂正方略に対す が17と最も多く, 次いで非音声 が10 , 困難表明が8で, 反復要求は5と少なかっ . 3の 訂 正 方 略 の31 る 応 答 の 内 訳 は, 無 反 応 が20と 最 も 多 く, 6 .7%を 占 め て い た. 次 い で 変 更 が17 14 ( 27 .3%) であ っ た. .0%), そ の他 が9 (. 37 次に各訂正方略に対する応答の内訳について述べる. まず40の非特定的方略に対 して, 15( .5%) が変 0 1 27 更であり, 次いで11( .0%) と少なかっ た. 確認の方略は21回観察 .5%) が無反応であり, 反復は4 ( 38 されたが, そのうち返答と無反応がいずれも8回 ( .1%) と最も多かっ た. 特定的方略は2 回と出現頻度 が低いため, 以下の考察から除外した. 表5. 訂正方略と応答の出現傾向 応. 訂正方略. 変更. 反復. 答 返答. その他. 無 反応. 機 会無. 計. 2 ( 8 ) 11 .. ( 100 0 ) 10 . 0 ) 17 ( 100 .. 非特定的 非音声. ) 3 ( 30 0 .. 1 ( 10 0 ) .. 間 投詞. 9 ( 52 9 ) .. (5.9) 1. 困難表明. ( ) 3 37 5 .. 反復 要 求 37 ) 15 ( 5 .. 計 確. 認. 6 ( 60 0 ) . (5 1 ) 9 .. 0 4 ( 50 ) . 2 ) ( 40 0 . ( 17 ) 7 5 ‐. 2 0 ) ( 40 . 0 4 ( 10 ) . 8 38 ( 1 ) .. 2 (9 ) 5 .. 特 定 的 合. 計. 27 ( 0 ) 17 .. 4 3 ) (6 .. 8 ( 12 7 ) .. (4 8 ) 1 . ( 0 ) 1 50 . ( ) 9 3 14 .. ( 23 ) 4 5 . ) ( 5 1 12 .. ) ( 0 8 100 . ) 0 5 ( 100 .. ( 27 ) 11 5 .. ( 20 0 ) 1 . (5 0 ) 2 .. ) 8 ( 38 1 .. 3 ( 14 3 ) ‐. ) ( 0 40 100 . ( ) 21 100 0 .. ) (7 9 5 .. 2 0 ( ) 100 . 63 ( 0 ) 100 .. 0 ) 1 ( 50 . 20 ( ) 31 7 .. 表6は, 表5に示した訂正方略と応答の出現頻度と, そのうち1回の訂正方略の活用 と応答 で即座に聴取 30 ・理解困難が解消された場合を示した. 訂正方略の合計では63回の方略活用中19回 ( .2%) が1回の訂正 42 方略で問題が解決されていた. また方略の種類別では確認の方略が21回中9回 ( .9%) と最も高く, 次い 29 40 で反復要求が5回中2回 ( .4%) と続いている. 非特定的方略の合計で .0%) , 間投詞が17回中5回 ( は40回 中10回 ( 25 .0%) であ っ た.. 0回 非特定的方略の下位項目も含めて, 無反応の割合を比較すると, 非特定的方略の非音声による方略が1 中6回 ( 60 .5% .0%) と最 も高 い割 合 であ っ た. 応 答 の種 類別 の 有効 性 につ い て は, 返 答 が8 回中 7 回で87. 2 と最も高かっ た. 次いで反復が4回中3回 ( 5 7 5 .9%) であった. .0%) , 変更が17回中9回 (. 73.

(7) . 三 浦. 哲. 表6 訂正方略と応答の有効性 応 訂正方略. 変更. 反復. 非音声. 1/ 3. 1/ 1. 間投詞. 5/ 9. 0/ 1. 困難 表 明. 1/ 3. 返答. (解決/出現頻度). 答 その他. 無 反応. 機 会無. 計. 非特定的. 反復 要求 計. 確. 7月5. 認. 計. 9/17. 0/ 4. 0/ 4. 0/ 1. 0/ 2. 3/ 4. 0/ 7 7/ 8. 特 定 的. 合. 0/ 1. 2/ 2. 2/ 2. 3/4. 2/10 ( 2QO ). 0/ 6. 7/ 8. 0/ 2. ( 29 4 ) 5/17 . 1/ 8 ( 2 ) 1 5 ‐. 0/1. 2/ 5 ( ) 40 0 .. 0月1. 0/ 2. 25 0 ) 10/40 ( .. 0/ 1. 0/ 8. 0/ 3. ) 9/21 ( 9 42 .. 0/ 1. 0/ 1. 0/ 9. 0/20. 0/ 2 0 ) (0 .. 0/ 5. ( 2 ) 19 /63 30 .. 以上の結果に加えて, 1度の訂正方略の活用では聴取・理解困難な状況が解決されなかったが その後の , 相 互交 渉 の過程 でコミ ュ ニケ ー シ ョ ン 障害 が 解消 さ れた場 合 は10回 であ っ た. その ため 63回の 訂 正方 略 の , う ち, 最 終的 にコミ ュ ニ ケー シ ョ ン障害 が 解 決さ れた の は29回 ( 46 54 ‐0%) であ り, 残 る34回 ( .0%) は,. 聴取・理解困難な状況が解決されなかっ た. y. 考. 察. 分析の対象となっ た訂正方略は合計6 3であったが, そのうち特定的方略は2回のみであるため, 有効性に つ い て は検 討 でき な か っ た. 三 浦 ( 2000a ) によ る と, 5 歳 時 点でも6名の対象児のうち特定的方略を活用 していたのは2名に過ぎず, 活用頻度も低いことが報告されている. そのため, 就学前の幼児段階では 特 , 定的方略の有効性について検討することは困難であり, 年長の聴覚障害児についてのデータ収集が必要であ る と思 わ れる.. 表5と表6に示した訂正方略と応答の種類別の頻度と有効性について, 最も特徴的だと思われる点は, 無 反応が20回と最多であり, 全体の31 .7%を占めていたことであろう. 本研究の対象児は, 全員3歳時点から 聾学校幼稚部に在籍し, 継続して聴能言語指導を受けている. そのため, 音声による活発な相互交渉が可能 となっているが, 各対象児の訂正方略と, それに対する応答の状況を詳細に分析すると 表出された訂正方 , 略の多くが応答されていないことが示された‐ 訂正方略は, 自らの聴取・理解困難な状況を自覚し, 相手に 伝達し, 相互交渉に積極的に参加しようとする能動的な態度の現れと して捉えることが可能であろう. その ため, 表出した訂正方略に対して相手からの応答が得られない場面が多発すると, 相互交渉における表出意 欲が低下する可能性が危倶される‐ 従って, 聴能言語指導の際にはこの点に留意し, 相互交渉中に生起する 聴取・理解困難な状況に対して適切に対応する必要があると思われる. 特に訂正方略の種別による無反応の 割合を比較したところ, 非特定的方略の中の非音声による方略が活用された場合, 60 .0%となっ ていた‐ こ の点については, 非音声による方略が他の方略に比べて暖昧であり, 方略活用の意図 が相手に伝わりにくい ことがその理由として推測される. そのため自らの聴取・理解困難な状況を相手に明確に伝達するために は, 非音声以外の方略活用を促す指導が必要ではないかと思われる. 訂正方略の種類による有効性の比較では, 確認が4 2 ‐9%, 非特定的方略の総計が25 .0%であり, 非特定的 方略に比べて確認の方略の方が有効性が高い傾向が示された‐ この点 については, 19歳の後天性の聴覚障害 者 と 健 聴 者 と の 会話 を 分析 した owens & Te ) や, 学 齢児童 を対 象 と した Ca l l 1981 i i l een ( ss e & Wi son 74.

(8) . 聴覚障害幼児による訂正方略の有効性. ) の結果と一致している. ただし先行研究で即座に問題が解決された割合は, 非特定的方略の場合で ( 1 995 も7 0% となっ ており, 本研究の結果とは大きな差異が認められる. その要因の一つとして, 対象児の相互交 渉能力の差 が考えられるため, 今後さらに年長児の実態について検討を加える必要があると 思 わ れる‐ 有効性が高 かっ た確認の方略は自らの聴取・理解の正しさを相手に確かめる方略であり, 方略を活用され た相手が最低限 「はい・いいえ」 で答えてくれれば, 相互交渉を継続することができる. 実際, 表5による と, 確認の方略に対して反復で応答した例 はなく, 変更は2回と少なく, 返答が8回と最多であっ た. ただ 38 し, 確認の方略に対して無反応であっ た割合が高い ( ‐1%) という特徴も認められた. 確認の方略は非特 定的方略に比べ, 方略が長い発話となる傾向 が認められるため, 方略の表出が終了する前に相手が表出を開 始したり, また方略に対する聴取・理解が困難になり応答できなくなる場合 が観察されている. そのため, 聴取‐理解能力や語い, 相互交渉能力全般が高度になる学齢児では, より有効性が向上する可能性が考えら れるため, 今後さらに検討すべき課題だといえよう. 非 特 定的 方 略 の中 の下 位 分類 につ い て は, 反復 要 求 が40 .0% であ り, .4%, 非 音 声 が20 .0%, 間投詞 が29. を依頼する方略であり, 意図が 2 困難表明が1 ‐5%と最も有効性が低かっ た. 反復要求は, 相手に表出の反復 明確である上に, 方略を活用された相手も自らの表出を単に反復すれ ばよいため, 有効性が高い結果となっ た の で はな い かと思 わ れる‐ た だ し, 反復 要求 が表 出 さ れたの は5 回の みであ る ため, 今 後 更 に多く の デー. タを収集し, 上記の結果を確認する必要があると思われる. 反復要求の次に有効性が高 かったのは間投詞による方略である. この方略は, 本研究においても, また三 ) においても, 確認の方略に次いで多用される方略であり, 対象児にとっ て は馴染み深い方略で 浦( 2000a ある と言えよう‐ またこの方略が活用 されると, 相手は自らの表出 を変更して応答するこ とが最も多いた め, 新たな情報が追加されたり, 別の語に置き換えられることにより, 聴取・理解が可能になる割合が高 か っ た の で はな い かと推 測 さ れる‐. 非特定的方略の中で有効性が低い傾向が示されたのは, 非音声による方略と困難表明であった‐ 非音声の 方略は, 既に述べたとおり, 無反応が6割を占めており, 相手からの応答を誘発しにくい特徴があるように 思われる‐ 一方, 困難表明は, その半数に対して 「その他」 の応答がなされており, 訂正方略としての意図 が伝わりにくい方略である ことが推測される. 例えば間投詞による方略が活用されると, 相手は自らの最初 の表出を変更して応答する場合が多いため, 間投詞による方略は, 「あなたの最初の表出 を変更してほ し い」 という意図の表明として受け取られていると言えよう‐ しかしながら困難表明が活用された場合には, 聴取・理解に困難があるという意図は伝わるが, 相手に何を求めているのかが不明確である ため, 逆に相手 から聴取・理解困難な理由を尋ねられるな ど, 問題解 決までに時間を要する場合が観察されている‐ 3回の方略活用のう ち, 20回が無反応であっ たことは既に 次に, 応答の種類別の有効性について述べる. 6 述べた. また応答すべき相手に応答の機会がなかったと判断されたケースが5回あり, その他の応答が9回 4回 ( 5 4 あっ たため, 63回の方略に対して半数以上の3 .0%) は, 聴取・理解困難な状況の解決を直接的に意 図した応答がなされず, 最重度聴覚障害幼児が相互交渉を維持する ことの困難さが伺われる結果 だと言えよ う. しかし, 確認の方略に対して返答で応答された場合や, 非特定的方略に対して反復で応答された場合の 有効性は7 0% を越えており, 方略活用の意図に沿っ た応答がなされた場合には, 即座に聴取・理解困難な状 況が解決され, 円滑な相互交渉が継続されていると言えよう. 2 5%であり, 変更の5 なお, 本研究の結果では, 反復の有効性は7 .9%よりも高い傾向が示されており, 先. 行研究と矛 盾 する 結 果 と な っ ている が. ), 反復 が4 回 し i l l l i (osens & Te son, 1995 ss e & Wi een, 1981;Ca. か観察されていないため, 今後さらに多くのデータを収集し, 本研究結果を確認する必要がある と思われ る‐ 75.

(9) . 三. 浦. 哲. なお, 上記の分析では, 訂正方略が活用され それに対して相手が応答した時点で 即座に聴取.理解困 , , 難が解決された場合を分析の対象としたところ, 6 3回の方略のうち19回が該当し, その割合は30 .2%であっ た. しかし, 即座に問題は解決しなかっ たが その後の相互交渉で問題が解決した場合も観察されたため , , それらの例を算出したところ10回であった. そのため結果的に問題が解決しないまま放置された例 は6 3回中 34回 ( 54 .0%) であっ た. このことから, 最重度の聴覚障害幼児同士の相互交渉場面では, 指導者が適切に 介入し, 聴取・理解困難な状況が確実に解決されるよう 配慮する必要があると 思わ れる. 文. 献. Cai ie )ee街ec甑venessofrepai ss 9 9 1 7 ) TI trate暫esusedbypeopl thhe印r i口gl rs irconversを e Wi osseszmdthe ,R‐Gibson,C,L. (. lpa立tners 1 beVo 甑ona l i taRev ew, 99 (4) .T . , 203一218 CZ us i ) Com・ 1995 s e r ing coopera錠ve lea1口ing ac錠直ties by mmロ nwmca観on breE直do▽vn maI ・agement dは ー ,R. Wason ,E‐ ( tudentsWi thhe印r inglosses strea imeds ta]故キdew, 97 .四〕eVol ‐ , 105一121 GaきmeJーP stelmacovi )&≧ac 1991 ch,P 玄ove錠ch,W.( i l額r t i賃ca t i t r ing-imp証redind onst i idu‐ oreques s発rc onusedbyhea , v. l I コ l taRedew, 93 a s eVo ‐T ‐ , 129一143. 北海道札幌聾学校幼稚部( 9 1 9 3 )本校幼稚部における話し合い活動の考え方‐ 話し合い活動の実践的研究, 北海道札幌聾学校 27 , 一42.. M印中山,B.A ROSS 9 9 4 ) 四1ee飯ectofrepetitionrequestsonthe mtensiぢ oft縦kergspeech.AmericamーJournalofAudi‐ 1 ,M‐ ( l o o きけ, 3 (3), 69一72 .. 三浦 哲 ( 9 9 ) 聴覚障害幼児による訂正方略の活用. 聴能言語学研究, 1 1 7 4(1) 4一1 8 ‐ ,1 三浦 哲 ( 2 0 o oa ) 聴覚障害幼児の訂正方略の活用に関する縦断的検討. 聴能言語学研究, 1 7(1) , 1-7. 三浦 哲 ( 2 0 o o b ) 訂正方略に対する聴覚障害幼児の応答 (1 1) -4歳から5歳までの縦断的検討. 北海道教育大学紀要 (教 育科学編), 51(1), 91一101 . owensE‐T 鴎ごackmg asan awalrehab通tai l l C C ( 1 9 8 1 ) e e e n l ive Audi on process o - , .JounQalofAcademy ofRehab通tat ,. , 3 ogy . , 14 , 259一27 Tomase l l C 士通dredsconversat o i ththe i .gc ons- wi r mothers 鑓ld 魚thers: Dゴ細er ‐ ,M‐ , on悦-Raはnsden,G‐ ,Ewe光,B‐(1990)暫otu i 虚 ences 無 breakdownamdrepa ‐JChadLamg. 17 , 115-130-. 鷲尾純一 (1978) 絵指示式単語了解度検査 のろう 学校幼児, 生徒への適用. Audio l 44. o zm, 21:637-6 きけJap (本 学 助 教 授. 76. 札 幌 校).

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参照

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