〈論説〉二国間主義と脆弱性--適用に関する再検討
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(2) 近畿大学法学. 第61巻第4号. よ うな 多 国 間 主 義 は国 家 間 交 渉 に お け る取 引 コ ス トを 削 減 し,効 率 性(ef一 ficiency)を. 達 成 す る,い. わ ば 二 国 間 主 義 に 勝 る手 段 と し て 位 置 づ け ら れ,. さ らに戦 後 の 自 由主 義 規 範,す な わ ち無 差 別 原 則,自. 由化,互 恵 性 の 観 点. か らと き に規 範 的 にす ら論 じ られ て き たの で あ る④。 一 方 ,二 国 間 主 義 は戦 後 長 ら く理 論 的 に も実 体 的 に も さ ほ ど注 目 され る 対 象 で はな か っ た。 と こ ろが 冷 戦 終 結 後,米 国 の 一 極 構 造 が 出現 し,湾 岸 戦 争 や イ ラ ク戦 争 と い っ た安 全 保 障 分 野 に お いて ハ ブ ・ス ポ ー ク ス型 の 二 国 間 主 義(い. わ ゆ る 「有 志 連 合(CoalitionoftheWilling)」)が. よ う に な り(5),さ ら に 貿 易 分 野 で はFTAが. 推 進 さ れ る な ど,そ れ ま で 支 配. 的 で あ っ た多 国 間 主 義 か ら二 国 間 主 義 へ の 緩 や か な 回 帰,或 併 存 状 況 が 出現 した(6)。も っ と も,ア. み られ る. い は それ らの. ジア ・太 平 洋 地 域 に お け る二 国 間 主. \Unilateralism:ACriticalCommentaryontheEUsTriple-TrackApproach totheInternationalDimensionofCompetitionPolicy,"EuroρeanBusinessReview, Vo1.14,No.1,2002,pp。7-19. (4)た. と え ば,ThomasH.Oatley,"MultilateralizingTradeandPaymentsin. PostwarEurope,"InternationalOrganization,VoL55,No.4,Autumn2001,pp.949 -969;FrederickM. .Abbott,"ANewDominantTradeSpeciesEmerges:Is. BilateralismaThreat?"JournaloflnternationαlEconomicLaw,Vol.10,No.3, Sep.2007,pp.571-583;AnnaWr6bel,"MultilateralismorBilateralism:The EUTradePolicyinanAgeoftheWTOCrisis,"Ekonomika,Vo1。92,No.3,2013, pp.7-23. (5)「. 有 志 連 合 」 は 米 国 の 単 独 主 義,或. れ る こ と が あ る が,そ. い は 一 国 主 義 を 象 徴 す る も の と し て 捉 え ら. れ を 米 国 を 中 心 と し た 二 国 間 主 義 の 総 体 と し て の ハ ブ ・. ス ポ ー ク ス と 捉 え る こ と も 可 能 だ ろ う。. こ の 点,JamesChace,"Presentatthe. Destruction:TheDeathofAmericanInternationalism,"MorldPolicyJournal, Vo1.20,No.1,Spring2003,pp。1-5. (6)UlrichKrotzandJoachimSchild,ShapingEuroρe,France,Germany,αndEmbedded BilateralismfromtheElys乙eTreaりytoTi・venりy-FirstCentuりyPolitics,Oxford:Oxford UniversityPress,2012;WilliamA.KerrandJillE.Hobbs,"Bilateralism-A RadicalShiftinUSTradePolicy:WhatWillItMeanforAgricultural Trade?"JournalofMorldTrade,Vol.40,No.6,Dec.2006,pp.1049-1058;Maria Garcia,"ResourcesandTrade:LinkingthePacificthroughBilateralFree TradeAgreements(FTA),"JournalofMorldTrade,Vol.47,No。2,Apr.2013,/. 2.
(3) 二国間主義 と脆弱性. 適用 に関す る再検討. 義 は,戦 後 一 貫 して 米 国 の 同盟 政 策 や 海 外 基 地 政 策 を 牽 引 す る もの で あ っ た。よ く知 られ てい る よ うに米 国 は欧 州 にお け る多国 間主 義(例 え ばNATO) と は異 な り,日 本 や 韓 国,或. い は フ ィ リピ ン と い った 国 々 との 間 で ハ ブ ・. ス ポ ー ク ス型 の安 全 保 障 シス テ ムを 採 用 して き た(7>。そ して そ れ は 冷 戦 終 結 か ら20年 余 経 過 した現 在 も変 化 はみ られ ず,む. しろ 中東 や 中央 ア ジ ア,. そ して 北 ア フ リカへ と拡 大 す る傾 向 を み せ て い る。 そ の た め二 国 間 主 義 に 関 す る理 論 的 か つ 実 証 的 な 考 察 を 行 う こ と は,従 来 の りベ ラル 制 度 論 を 補 足 す るの み な らず,米 国 の 対 外 政 策,と. りわ け近 年 の グ ロー バ ル な 安 全 保. 障 政 策 を 理 解 す る うえ で 重 要 な 意 義 を 持 って い る と言 え る。 そ こで 本 稿 は 「パ ワ ー ・レバ レ ッジ」 と 「脆 弱 性 」 の 概 念 を 再 考 す る こ とで 国 際 政 治 に お け る二 国 間 主 義 の 理 論 的 特 質 を 整 理 す る。 二 国 間 主 義 は これ まで 大 別 す れ ば二 つ の 視 角 か ら議 論 され て きた 。 そ の 一 つ が,バ ル デ ブ ・ナ イ ヤル(BaldevRajNayar)に. 代 表 され る もの で あ り,二 国 間 主 義. を 国 家 の パ ワ ー ・レバ レ ッジを 最 も効 果 的 に対 外 政 策 に反 映 させ る手 段 と して 位 置 づ け よ う とす る もの で あ る(8)。そ の よ うな 見 方 に立 て ば,二. 国間. 主 義 に基 づ く対 外 政 策 の 帰 結 は,当 該 二 国 間 の 相 対 的 な 力 の 差 に依 存 す る こ と にな り,大 国 に と って は最 も都 合 の よ い手 段 と解 され る。 二 つ め は, 依 存 と脆 弱 性 の 観 点 か ら二 国 間 主 義 を 捉 え よ う とす る もの で あ り,こ の よ うな 視 点 か らは二 国 間 主 義 が 一 定 の 条 件 下 で は大 国 の パ ワー に制 約 を 加 え る もの,す な わ ち大 国 に と って の 取 引 コ ス トを 増 加 させ る もの と位 置 付 け. \pp.329-357. (7)PeterJ.Katzenstein,.4〃"orldofl∼(?gions,AsiaandEurope加theAmerican Imperium,IthacaandLondon:CornellUniversityPress,2005。 (8)BaldevRajNayar,"Regimes,Power,andInternationalAviation,"Intemational Organization,Vol.49,No.1,Winter1995,pp.139-170;PeterDrahos,"Weaving WebsofInfluence:TheUnitedStates,FreeTradeAgreementsandDispute Resolution,"ノburnalofMorldTrade,Vol。41,No。1,Feb.2007,pp.191-210。. 3.
(4) 近畿大学法学. 第61巻第4号. られ る(9)。 本 稿 は それ ら二 つ の 議 論 を 接 合 す る こ とで,試 論 的 にで は あ るが,二 国 間 主 義 が 大 国 の 力 に与 え る影 響 と その 条 件 を 考 察 す る。 以 下,第1節. では. 相 対 的 な 力 の 差 が 二 国 間 主 義 の 性 格 に与 え る影 響 を 考 察 す る。 第2節. と第. 3節 で は,脆 弱 性 の 概 念 を 再 検 討 した上 で,そ れ を 取 引 財 の 代 替 性,緊 要 性,特 殊 性 の3つ の 要 素 か ら再 構 成 す る。 第4節 で は,脆 弱 性 を8つ. に分. 類 し,個 々の 性 質 と その 度 合 いを 考 察 す る。 第5節 で は,大 国 が 脆 弱 性 を 克 服 す る た めの 手 段 と選 択 肢 を,米 国 の 海 外 基 地 政 策(海 外 基 地 は第4節 に お いて 最 も脆 弱 性 が 高 い財 の 一 つ と して 分 類 され る)を ケ ー ス に検 討 す る。 本 稿 の 結 論 を 先 取 りす れ ば次 の よ う にな る。 二 国 間 主 義 に基 づ く対 外 政 策 は,大 国 のパ ワー ・レバ レ ッ ジを効 果 的 に反 映 させ る手 段 とな り得 るが, 一 方 で 取 引 財 が 脆 弱 性 の 問 題 を 生 起 せ しめ る場 合 に は,力 の 差 は政 策 の 帰 結 に必 ず しも影 響 しな い。 大 国 の 力 を 拘 束 せ しめ る脆 弱 性 の 程 度 は,取 引 す る財 の 代 替 性,緊 要 性,特 殊 性 の3要 素 に依 存 す る もの で あ り,そ うで あ るが故 に大 国 は脆 弱 性 を 統 御 す る た め の手 段 と して,当 該 取 引 を 統合 し, 制 度 化 し,か つ 分 散 す る と い う政 策 オ プ シ ョンを もつ 。. 第1節. パ ワ ー ・レバ レ ッ ジ. 国 際 関 係 の 原 因 を 国 際 シ ス テ ム,或 い は国 家 間 の パ ワ ーバ ラ ン ス に求 め る見 方 に立 て ば,現 存 す る国 家 間 協 調 の 姿 は 「現 象 的(epiphenomenal)」 に過 ぎ ず,な. か で も多 国 間 主 義 は 「弱 小 国 の 武 器 」 と解 さ れ る傾 向 に あ. (9)RobertO.KeohaneandJosephS.Nye,1〕bwerandlnterdependence,3正dedition, NewYork:Longman,2001;AlvertO.Hirschman,NationalPowerandtheStructure (∼ ズ.ForeignTrade,expandededition,Berkeley:UniversityofCaliforniaPress, 1980。. 4.
(5) 二国間主義 と脆弱性. 適用 に関す る再検討. る(1① 。 な ぜ な ら,多 国 間 主 義 は国 家 の行 動 の 自由 を制 約 す る もの で あ り, しか もそ の影 響 は小 国 よ り も大 国 に と って 大 き い と考 え られ るか らで あ る(ll)。 ま た,多 国 間 主 義 は本 質 的 に 中小 国 に よ る 「た だ乗 り」や バ ックパ ッ シ ン グ,或 い は,緩 慢 な 意 思 決 定 等 の 問 題 を 抱 え て お り,決 定 の 柔 軟 性 と 迅 速 性 が 求 め られ る安 全 保 障 の 分 野 で は と りわ けそ の 弊 害 が 大 き い と され る。 その た め,こ の よ うな 立 場 を と る研 究 者 は,大 国 は単 独 主 義 を 志 向 す る傾 向 に あ る(或 い は そ うす べ きで あ る)と 指 摘 す る⑫。 ただ し,大 国 に と って 望 ま しい協 調 形 態 が 全 く存 在 しな い と され て い る わ けで はな い。 その 中で も,大 国 の パ ワ ー ・レバ レ ッジを 「最 も有 効 に行 使 す る手 段 ⑱」 とさ れ て い るの が 二 国 間 主 義 で あ る。 なぜ な ら多 国 間 主 義 の 場 合,協 調 に よ って 得 られ る利 益 は可 能 な 限 り均 等 に配 分 され な けれ ば な らな いが,二 国 間 主 義 に お いて は主 要 ア ク タ ー(力 の 強 い側 の 国 家)の 選 好 に沿 っ た利 益 配 分 が 実現 され 易 い と考 え られ るか らで あ る⑭。 た とえ ば,1980年. 代 後 半 か ら90年 代 前 半 にか けて み られ た,米 国 に よ る スー パ ー. 301条 の適 用 は,ル ー ル や手 続 き に縛 られ るGATTを. 忌 避 し,二 国 間 主 義. を 採 用 す る こ とで 相 手 の 態 度 変 更 を 迫 る典 型 例 で あ った 。 大 国 は煩 わ しい. ⑩MichaelReisman,"TheUnitedStatesandInternationalInstitutions," Survival,Vol.41,No.4,Winter1999-2000,pp.62-80;RobertKagan,OfParadise andPoi/ver:AmericaandEuropeinthe八lew〃"orldOrder,NewYork:AlfredA.Knopf, 2003,p.38. qDCondoleezzaRice,"PromotingtheNationalInterest,"ForeignAffairs,Vol.79, January/February2000,pp.45-62. ⑫CharlesKrauthammer,"TheBushDoctrine:ABM,Kyoto,andtheNew AmericanUnilateralism,"〃"eeklyStandard,June4,2001,pp.6-8;Krauthammer, "Th. eUnipolarMomentRevisited,"NationalInterest,Winter2002-2003,pp.5-. 17. q3>Nayar1995:156. q4)IshratAziz,"FlexibleandPragmaticBilateralismistheBestApproach," Indian、ForeignAffairs/burnal,Vol。7,No.4,0ct.-Dec.2012,pp.396-405.. 5.
(6) 近畿大学法学. 第61巻第4号. 多 国 間 主 義 を 避 け,柔 軟 な 二 国 間 主 義 を 採 用 す る こ とで 彼 らが 望 む 通 りの 結 果 を実 現 す る こ とが 可 能 にな る と考 え られ るの で あ る⑮。 例 え ば,既 述 の ナ イ ヤル は第 二 次 世 界 大 戦 後 の 国 際 的 な 民 間 航 空 シ ス テ ム の創 設 過 程 の 中 に二 国 間 主 義 の 論 理 を見 出 した⑯。 戦 後 の民 間航 空 シ ス テ ム は,当 時 その 相 対 的 地 位 を 大 き く後 退 させ て い た英 国 と,新 興 大 国 で あ る米 国 が 共 に主 導 す る形 で 形 成 され た。 そ こで は,そ れ まで の 優 越 的 な 立 場 を維 持 した い英 国 が よ り強 力 な 中央 集 権 的 シ ス テ ムで あ る多 国 間 制 度 の 創 設 を 主 張 したの に対 して,米 国 は民 間 航 空 会 社 の 自 由競 争 を 主 体 と し た二 国 間 制 度 の 採 用 を 主 張 した。 米 国 に と って 多 国 間 主 義 に よ って も た ら され る利 益 は,た とえ それ が 各 国 間 の 取 引 コ ス トを 削 減 す る もの で あ っ た と して も,二 国 間 主 義 に よ る米 国 の 「空 の支 配 」(バ ミュ ー ダ体 制)に よ っ て 得 られ る利 益 に劣 る とみ な され たの で あ る⑰。 ま た,冷 戦 期 に ア ジ ア ・太 平 洋 地 域 に お いて み られ た二 国 間 同盟 に基 づ く安 全 保 障 シ ス テ ム(ハ ブ ・ス ポ ー ク ス ・シ ス テ ム)も,パ. ワー ・レバ. レ ッジ の観 点 か ら説 明 され る こ とが あ るq8)。当該 地 域 に お け る米 国 の 二 国. ⑮StephenKrasner,"GlobalCommunicationsandNationalPower:Lifeon theParetoFrontier,"MorldPolitics,Vol.43,No.3,pp.336-366;JosefJoffe, "Bi smarckorBritain?:TowardanAmericanGrandStrategyafterBipolarity,"InternationalSecurity,Vol.19,No.4,Spring1995,pp.94-117. q6>Nayar1995. a7)こ. の 点,バ. ミ ュ ー ダ 体 制 を 制 度 の. 「効 率 性 」 の 観 点 か ら 論. じ た の が,John. E.Richards,"lnstitutionsforflying:HowStatesBuiltaMarketinInternationalAviationServices,"InternationalOrganization,Vol.55,No.4,Autumn2001, pp.993-1017.リ. チ ャ ー ズ は,二. 国 間 主 義 が う ま く 機 能 す る 一 つ の 理 由 と し て,. 二 国 間 で 利 益 配 分 を 決 定 す る 場 合 に 利 益 分 割 の 方 法 が 単 純 で,そ 際 の モ ニ タ リ ン グ が 容 易 で あ る 点 を 挙 げ て い る 。 aS)ChristopherHemmerandPeterJ.Katzenstein,"WhyisThereNoNATO inAsia?:CollectiveIdentity,Regionalism,andtheOriginsofmultilateralism," InternationalOrganization,VoL56,No.3,Summer2002,pp.575-607;DennisC.Blair andJohnT.HanleyJr.,"FromWheelstoWebs:ReconstructingAsia-Pacific/. 6. れ を 履 行 す る.
(7) 二国間主義 と脆弱性. 適用 に関す る再検討. 間 主 義 は,米 国 の 相 対 的 な 軍 事 的 優 越 を 当該 政 策 に直 接 に反 映 す る手 段 と な り,例 え ばベ トナ ム戦 争 時 に は,米 国 は折 々の 戦 略 環 境 に応 じて,柔 軟 に協 調 す るパ ー トナ ーを 組 み 換 え る こ とが 可 能 とな った 。 冷 戦 後 の 世 界 も 同様 で あ る。 た とえ ば,湾 岸 戦 争 や イ ラ ク戦 争 で み られ た 「有 志 連 合 」 は,米 国 が 多 国 間 主 義 よ りも二 国 間 主 義 を 好 む こ との 好 例 と して 理 解 され る⑲。 さ らに国 際 貿 易 の 分 野 で も米 国 はWTOの 国 間 主 義 を 避 けFTAを 後 で も触 れ るが,バ. よ うな 多. は じめ とす る二 国 間 主 義 を重 視 す る こ とが あ る⑳。 リー ・ブザ ン(BarryBuzan)は. その よ うな 米 国 の 行. 動 を 指 して,大 国 は 「二 国 間 協 議 に よ って パ ワ ーを 効 果 的 に行 使 す る こ と が 可 能 」 で あ り,ま た 「多 国 間 ル ール や 手 続 き に よ って 最 も損 」 を す る と 指 摘 し,さ らに 「超 大 国 は多 国 間 主 義 よ りも二 国 間 外 交 を 好 む 」 と論 じて い る⑳。. 第2節. 脆弱性. 二 国 間 主 義 の 特 質 を 国 家 間 の 相 対 的 な 力 の 差 に よ って で はな く,相 互 依. \SecurityArrangements,"TheMashingtoneuarterly,Vol.24,No.1,Winter2001, pp.7-17. ⑲. 有 志 連 合 に つ い て は,RichardHaass,"ForeignPolicybyPosse,"National Interest,No.41,Fall1995,pp.58-64.山. 本 吉 宣. 際 シ ス テ ム と ア メ リ カ 」 東 信 堂,2006年. 『帝 国 の 国 際 政 治 学 一 冷 戦 後 の 国. 。. ⑳NicolaPhillips,"U。S.PowerandthePoliticsofEconomicGovernancein theAmericas,"LatinAmericαnPoliticsαndSociety,Vol.47,No.4,Winter2005, pp.1-27. (2DBarryBuzan,TheunitedStatesandtheGreatPowers:MorldPoliticsintheTwentyFirstCentuT:y,Cambridge:PolityPress,2004,p.89.ま. た,そ. 展 開 す る も の と し て,PeterHedberg,"BilateralismandBargainingPower: BelligerentGermanyandtheSmallCountryofSwedenduringthe1930'," TheJournalofEuroρeanEconomieHistoi:y,Vol。38,No.3,Winter2009,pp。493-52L. 7. れ と は 逆 の 議 論 を.
(8) 近畿大学法学. 第61巻第4号. 存 と そ こか ら派 生 す る脆 弱 性 の 観 点 か ら論 じる こ と も可 能 で あ る。 そ して その よ うな 議 論 か らは,大 国 の パ ワ ー ・レバ レ ッジ は対 外 政 策 の 帰 結 に必 ず しも影 響 しな い,と の 見 方 が 示 され る。 国 家 間 の 相 互 依 存 に着 目す れ ば,国 家 の 力 は軍 事 力 や 経 済 力 に よ って ア プ リオ リに決 ま る もの で はな く,他 国 に対 す る政 治 的 ・経 済 的 或 い は安 全 保 障 上 の 「依 存 」 の 度 合 いや 履 行 す べ き 「義 務 」 の 問 題 な ど様 々な 要 素 に 規 定 され得 る⑳。 この 点,よ く知 られ て い る よ うに コヘ イ ン とナ イ はパ ワ ー を構 成 す る要 素 と して の 「脆 弱 性 」 に着 目 した。 脆 弱 性 は 「変 化 した環 境 に効 果 的 に適 応 す る た め に支 払 う費 用㈱」 と して 定 義 され る。 例 え ば,A が 何 らか の 行 動 を 取 っ た後 に,Bが. それ に よ って 新 た に生 じた環 境 に適 応. す るた め に支 払 う費 用 が 高 けれ ば高 い ほ ど,BはAに. 対 して 脆 弱 性 が 高 い。. この 脆 弱 性 の 大 き さが 二 国 間 で 相 対 的 に異 な る場 合,両 国 間 に は非 対 称 な 相 互 依 存 関 係 が 存 在 す る。 そ して それ は彼 らの パ ワ ーの 配 分 に影 響 を 与 え る。 つ ま り非 対 称 な 相 互 依 存 関 係 に お いて は 「よ り依 存 して い る ア ク タ ー は よ り損 害 を被 る⑳」 こ と にな り,物 質 的 なパ ワー ・レバ レ ッ ジの 如 何 に よ らず,よ. り脆 弱 性 の 高 い国 家 が,他 方 に対 して 弱 い立 場 に置 か れ 得 る。. これ らの こ とか ら,コ ヘ イ ン と ナ イ は 「非 対 称 な 脆 弱 性 はパ ワ ーの 重 要 な 源 泉 ㈱」 と論 じるの で あ る⑳。 ⑳KjellGoldmannandGunnarSjostedt,eds.,Power,Capabilities,Interdependence: 1)roblemsintheStudy(∼flnternationallnfluence,LondonandBeverlyHills:SAGE, 1979.ま は. た,ク. ー パ ー(RobertN.Cooper)は,相. 「パ ワ ー の 行 使 が よ り 微 少 で,間. 互 依 存 の 進 展 に よ っ て 国 家. 接 的 で,確. か な 効 果 が 喪 失 す る と い う 複 雑. な 制 約 の 中 に 埋 あ 込 ま れ る 」 と 指 摘 す る 。RobertN.Cooper,TheEconomicsof Interdependence,EconomiePolieyintheAtlanticCommunity,NewYork:McGrawHill,1968,p.4. ㈱KeohaneandNye2001:12. (24)Ibid.,p.16。 (25>Ibid.,p.15. ⑳. 一・ 方,非. 対 称 な 相 互 依 存 関 係 が あ っ た と し て も,依. 8. 存 の 度 合 い の 低 い 側 が 高/.
(9) 二国間主義 と脆弱性 も っ と も,こ. の よ う な 依 存 が も た らす 力 関 係 の 変 化 に つ い て は,従. ら広 く論 じ られ て き た 。 例 え ば,ア Hirschman)は,二. 適用 に関す る再検討 来か. ル バ ー ト ・ハ ー シ ュ マ ン(AivertO.. 国 間 貿 易 に お け る 機 会 主 義 行 動 に 着 目 し,国. ワ ー と 貿 易 と の 関 係 を 論 じ て い る⑳。 ハ ー シ ュ マ ン に よ れ ば,国. 家 のパ 家が貿易. か ら得 られ る 利 益 は 転 じて 当 該 貿 易 を 中 断 す る こ と に よ っ て 生 じ る 損 失 と な る 。 そ の た め 貿 易 に よ っ て 得 られ る 利 益 が 当 該 国 間 で 均 等 で な い 場 合, そ こ か ら よ り利 益 を 得 て い る 国 が,そ. う で な い 国 に 対 して 交 渉 上 弱 い 立 場. に 置 か れ る。 す な わ ち,当 該 貿 易 か ら相 対 的 に 小 さ な 利 益 を 得 て い る 国 は, 貿 易 の 中 断 を 脅 す こ とが. 「パ ワ ー を 希 求 す る た め の 効 果 的 な 武 器 ㈱」 に な. る 。 そ して そ の 効 果 の 大 き さ は,貿. 易 が 中断 され た と き に相 手 国 に課 せ ら. れ る 「適 応 プ ロ セ ス の 長 さ と 困 難 性(painfulness)」 こ の よ う な 観 点 か ら,ク. に よ っ て 測 られ るe9)。. ラ ウ ス ・ク ノ ー ル(KlausKnorr)は,特. 家 は 取 引 さ れ る 価 値 に 対 す る 統 制(control)の. 定の国. 度 合 い を 高 め る こ と,ま. 相 手 国 に よ る 自 国 へ の 依 存 度 を 高 め る こ と で,二. た. 国 間 主 義 にお け る力 の 優. 位 性 を 獲 得 す る こ とが 可 能 にな る と指 摘 す る㊤ ①。. 第3節. 代 替 性,緊 要 性,特 殊 性. 上 にみ た よ う に,脆 弱 性 に関 す る議 論 は二 国 間 主 義 にお け るパ ワー の 問. \. い 側 に 対. し て 必 ず し も 影 響 力 を 行 使 す る も の で は な い と 論 じ た も の と し て,R.. HarrsionWagner,"EconomicInterdependence,BargainingPower,and PoliticalInfluence,"InternαtionalOrganizαtion,Vol.42,No.3,Summer1988,pp.461 -483. .. ⑳Hirschman1980. ㈱. ハ ー シ ュ マ ン は そ れ を. 「影 響 効 果 」 と 呼 ん で い る 。(lbid.,p.17.). (29>Ibid.,p.18. ⑳KlausKnorrandFrankTrager,eds.,EconomicIssuesandNationalSecurity, Lawrence,Kans.:UniversityPressofKansas,1977.. 9.
(10) 近畿大学法学. 第61巻第4号. 題 に有 益 な 視 点 を 提 供 す る。 しか しな が ら概 念 と して の 脆 弱 性 は,80年 代 以 降,そ. の 精 緻 化 が ほ とん ど行 わ れ て こな か っ た⑳。 そ こで,以. 下で は ミ. ク ロ経 済 学 を 援 用 す る こ とで,脆 弱 性 の 概 念 を 二 国 間 で 取 引 され る財 の 特 質,す な わ ち代 替 性 と緊 要 性,そ. して 特 殊 性 の3つ の 観 点 か ら整 理 して い. く。. 1)代. 替性. 代 替 性 は特 定 の 財 の 取 引 が 中断 され た際 に,ア ク タ ーが そ こか ら得 て い た便 益 を(市 場 で)代 替 的 に得 る可 能 性 の こ とを 指 す 。 例 え ば,AがBか らは石 油 を,Cか BとCと. らは 自動 車 の タ イ ヤを 輸入 して い る ケ ー スを 考 え た場 合,. の 貿 易 を 同時 に切 断 され た と き に生 じる費 用 はBの ケ ー スの 方 が. 大 きい。石 油 と 自動車 の タ イ ヤ で は供 給 可 能 な 国 の数 が異 な るか らで あ る。 従 って,代 替 性 の 観 点 か ら言 え ば,AはCに. 対 す る脆 弱 性 よ りも,Bに. す る それ の 方 が 高 い(32。この 点,マ イ ケ ル ・ク レア(MichaelKlare)は. 対 米. 国 の 中東 へ の 石 油 依 存 につ いて 「外 国 へ の 石 油 依 存 は様 々な 形 で 米 国 の パ ワ ー を弱 体 化 す る。不 慮 の 原 因 に よ って で あ れ,人 為 的 な 原 因 か らで あ れ, 国 外 で供 給 が滞 れ ば そ の 影 響 は免 れ な い㈱」 と して,財. の代 替 性 と脆 弱 性. の 関 係 を 指 摘 して い る。 代 替 性 の 低 い財 と して は石 油 の 他 に もエ レク トロニ ク ス製 品 な どの 高 い 技 術 を必 要 とす る財,或. い は象 牙 や 貴 金 属 な どの 希 少 財 が 挙 げ られ る。 ま. た,安 全 保 障 の 分 野 で は,代 替 性 と相 関性 の 高 い 「可 動 性 」 が重 要 に な る。 地 理 的 な 属 性 が 財 の 価 値 に大 きな 影 響 を 与 え る防 空 用 レー ダ ーや 通 信 傍 受 ⑳. 例 え ば,コ. ヘ イ ン と ナ イ は 脆 弱 性 を 定 義 づ け た も の の そ の 費 用 が 如 何 に し て. 測 ら れ る か に つ い て は 明 ら か に し な か っ た 。 (32)Hirschman1980:17。 ㈹MichaelT.Klare,BloodandOil:TheDangersandConsequencesofAmericds GrowingPetroleumDependency,NewYork:MetropolitanBooks,2004,p.31.. 一10一.
(11) 二国間主義 と脆弱性. 適用 に関す る再検討. 施 設,戦 略 的 要 衝 に位 置 す る港 湾 や 飛 行 場 等 が それ で あ る。 た とえ ば,戦 闘 機 が 離 着 陸 可 能 な 飛 行 場 と い う財 は,脅 威 対 象 国 と地 理 的 に近 接 して い る こ とが その 価 値 に大 き く影 響 す る。 つ ま り,A国 した後 にBが その 使 用 を 拒 絶 した と して も,Aは. がB国. に飛 行 場 を 建 設. 第3国 で あ るCに 飛 行 場. を 即 座 に 「移 動 」 す る こ と は困 難 で あ り,ま た仮 にCに 同様 の 飛 行 場 を 建 設 で き た と して も,そ れ がBの 飛 行 場 と 同等 の 価 値 を もた らす と は限 らな い。 つ ま り,そ こで の 財 の 価 値 は地 理 的 属 性 に大 き く依 存 して お り,か よ うな 財 を 他 国 に移 動 す る こ と に よ って 生 じる費 用 は甚 大 で あ る鱒。. 2)緊. 要性. 財 が 緊 要 で あ る と は,当 該 財 が 特 定 の 国 家 の 生 存 や 繁 栄 に と り不 可 欠 で あ り,ま た そ れ に対 す る継 続 的 な 需 要 が 存 在 して い る状 態 を指 す 。例 え ば, 国 家 に と って の 安 全 保 障 や 通 信 ネ ッ トワ ー ク,天 然 資 源,鉄 鋼,労 働 力 と い っ た財 は生 存 や 繁 栄 に と って 不 可 欠 で あ り,し か もそ れ に対 す る継 続 的 な 需 要 が 存 在 す る。 他 方 で,宝 飾 品 や 嗜 好 品,或. い は戦 争 の 蓋 然 性 が 低 い. 国 に と って の 同盟 や 海 外 の 軍 事 基 地 は,た とえ それ が 無 くと も国 家 の 生 存 に深 刻 な 影 響 を 与 え る もの で はな い。 財 の 緊 要 性 が 脆 弱 性 の 計 測 に重 要 な 影 響 を 与 え る と考 え られ るの は その た めで あ る㈱。 も っ と も,同. じ財 の 取 引 を 行 う場 合 で も,国 家 が 抱 え る条 件 次 第 で そ の. 鋤OlavKnudsen,"MultinationalCorporationsandtheSmallIndustrialised State:SomeAspectsofDependencyandPotentialPower,"inGoldmannand Sjostedt,1979,PP.221-222. (3Dこ. の 点,KlausKnorr,"NationalPowerinanEconomicallyInterdependent. World,"inGoldmannandSjostedt1979,p.178.ま 代 の. ドイ ツ と ブ ル ガ. と の 貿 易 が 国 家 の 経 済 活 動 上,不 弱 性 は. た,ハ. ー シ ュ マ ン は1930年. リ ア と の 二 国 間 貿 易 関 係 を ケ ー ス に,ブ 可 欠 で あ っ た た め,彼. ら の. ル ガ. リア は ドイ ツ. ドイ ツ に 対 す る 脆. ドイ ツ の ブ ル ガ リ ア に 対 す る そ れ よ り も相 対 的 に 大 き か っ た と 論 じ て い. る(Hirschman1980:31.). 一11一.
(12) 近畿大学法学. 第61巻第4号. 緊 要 性 は 異 な る 。 た と え ば,こ. こ に 軍 事 的 な 大 国(greatpower)A,普. 通 の 国(middlepower)B,小. 国(smallpower)Cが. はBとCに. 対 して,そ. れ ぞ れ 二 国 間 同 盟 を 結 び 安 全 と い う 財 を 等 し く提 供. して い る も の と す る 。 こ こ で,BとCに る と す れ ば,Aか. あ る と し よ う 。A. は 各 々 に 外 的 な 脅 威 が 存 在 して い. ら供 給 さ れ る 財 は 彼 ら に と っ て 等 し く緊 要 性 が 高 い と 言. え る 。 しか しな が ら,BとCのAに. 対 す る 脆 弱 性 は,彼. らの 軍 事 的 能 力 に. 依 存 す る 。 当 然 な が ら,よ. り軍 事 的 に 弱 い 立 場 に あ るCの. に 対 す る 脆 弱 性 が 高 く,取. 引 を 中 止 さ れ る,す. (捨 て ら れ る)こ. 3)特. 方 がBよ. り もA. な わ ち 同盟 を 破 棄 され る. とで生 じる費 用 は大 き い。. 殊性. 財 の 特 殊 性 は 「あ る特 殊 な 状 況 や 関 係 の 上 に お いて の み 価 値 が 極 めて 高 くな る醐. こ とを意 味 す る もの で あ り,ミ ク ロ経 済 学 で は そ の よ うな 資 産. を 「特 殊 資 産(specificasset)」 と呼 ぶ。 特 殊 性 の概 念 は,契 約 当事 者 の 取 引 費 用 を 分 析 す る際 に用 い られ る概 念 で あ る。 特 殊 性 の 程 度 は,当 初 の 目 的 以 外 の 用 途 に 当該 資 産 を 使 用 した場 合 に生 じる価 値 の 下 落 率 に よ って 測 られ る もの で あ り,特 殊 性 の 高 い財 を 取 引 す る場 合,両 者 の 力 関 係 は取 引 後 に大 き く変 容 す る。 な ぜ な ら,特 殊 的 投 資 を 行 っ た側 の 国 は,も. し事 後. に相 手 国 に よ る機 会 主 義 行 動(例 え ば,契 約 料 の 増 額 や 利 益 配 分 の 修 正) に直 面 した と して も,当 該 投 資 は 既 に埋 没(sunk)し. て い る た め,相 手 国. の 要 求 を 受 け入 れ ざ るを 得 な いか らで あ る。 一 方 ,当 該 投 資 が 特 殊 的 で な い場 合,投 資 した資 産 は他 の 用 途 や 取 引 に よ って 回 収 可 能 で あ る た め,機 会 主 義 行 動 に対 して 毅 然 た る対 応 を 取 る こ とが で き る(こ の 場 合,相 手 国 も その よ うな 状 況 を 認 識 して い る た め,そ ㈲. ポ ー ル ・ ミル グ ロ ム,ジ NTT出. 版,2003年,144頁. ョ ン ・ロ バ ー ツ(奥. 野 正 寛,他. 。 或 い は,Hirschman1980:28.も 一12一. 訳)「 組 織 の 経 済 学 」 参照。.
(13) 二国間主義 と脆弱性. 適用 に関す る再検討. もそ も機 会 主義 行 動 は抑制 され る)。そ の ため,デ イ ビ ッ ト ・レイ ク(David A.Lake)は. 「資 産 が 特 殊 にな る ほ ど,相 手 国 に よ る機 会 主 義 行 動 に よ っ. て 生 じる 費 用 は 高 くな る⑳」 と 指 摘 す る。 ま た,セ (CelesteA.Wallander)も. レ ス ト ・ワ ラ ン ダー. 特 殊 的 取 引 は 「経 済 的,政 治 的 ア ク ター が 代 替. 戦 略 を採 用 す る 際 の 機 会 費 用 に影 響 を与 え る㈱」 と して,国 家 に と って リ ス クの 高 い政 策 と位 置 付 け る。 具 体 的 にみ て い こ う。 た とえ ば,い まエ ネ ル ギ ー の 安 定 供 給 を 目的 にA 国 が 資 源 国 で あ るB国 内 に,エ ネ ル ギ ー プ ラ ン トを 建 設(直 接 投 資)し た とす る。 この 場 合,Aの. 投 資 は特 殊 的 で あ る。 何 故 な ら,エ ネ ル ギ ー プ ラ. ン トはBに 存 在 す るエ ネ ル ギ ー資 源 を 採 掘,生 成,貯 蔵 す る と い う 目的 に の み 価 値 を 有 す る資 産 で あ り,そ の 他 の 用 途 は ほ とん ど存 在 しな い。 そ の た め,当 該 投 資 が サ ン ク した後 にBが 機 会 主 義 行 動 を 取 れ ば,そ れ に よ っ て 生 じるAの 費 用 は甚 大 で あ る。 従 って,AはBか. ら求 め られ る事 後 的 な. 要 求(例 え ば,土 地 借 料 の 値 上 げ,地 元 労 働 者 の 雇 用 増 大)を,Bと. の取. 引 の 中止 を 決 断 しな い限 りに お いて,受 託 せ ざ るを 得 な い。 他 方,投 資 す る資 産 が 特 殊 で な い場 合,機 会 主 義 行 動 が もた らす 費 用 は 小 さ い。た とえ ば,A国. がB国 に飛 行 機 用 の タ イ ヤ工 場 を 建 設 した とす る。. そ して 先 の 場 合 と 同様,投 資 後 にBが 機 会 主 義 行 動(例 え ば,飛 行 機 用 タ イ ヤの 生 産 禁 止 措 置)を 取 っ た とす る。 この 場 合,Aは 生 産 を 中止 した と して も,理 論 上,同. 飛 行 機 用 タ イ ヤの. じ生 産 ラ イ ンで す み や か に トラ ック. 用 タ イ ヤの 生 産 を 開 始 す る こ とが 可 能 で あ る。 つ ま り,特 殊 性 の 低 い財 の 取 引 を 行 う二 国 間 に お いて,脆 弱 性 の 問 題 は両 者 の 力 関 係 に大 きな 影 響 を ⑳DavidA.Lake,Entang伽g1∼elations,.4〃iericanR)画g刀 Jersey:PrincetonUniversityPress,1999,p.54. ㈱CelesteA。Wallandar,"lnternationalAssetsandAdaptability:NATOAfter theColdWar,"internationalOrganization,Vol.54,No.4,Autumn2000,pp.705735,at708.. 一13一. ∫b1∫(ッ加 傭Cθ. 配 〃αNew.
(14) 近畿大学法学. 第61巻 第4号. 与 え る こ と はな いの で あ る。. 第4節. 脆弱性の分類. こ こ まで 脆 弱 性 の 概 念 を,代 替 性,緊 要 性,特 殊 性 と い う3つ の 観 点 か ら整 理 して き た。 で は それ らの 要 因 と その 組 み 合 わ せ は,い か に して 脆 弱 性 の 性 質,或. い は その 強 弱 に影 響 す るの か 。 図1は. それ を整 理 した もの で. あ る。 図1脆. 弱性 に影響 を与 える3つ の要因 とその組 み合わせ. 鰍/. GH. 繋 要. / D. A 低 (出典. 低. . B. 〆o替 盤. 高. 筆者). Aは 代 替 性 と緊 要 性 が 共 に低 く,特 殊 性 が 高 い財 の 取 引 を行 うケ ー スで あ る。 この よ うな 財 と して は,例 え ば,直 接 投 資 を伴 う金 や ダ イ ヤの 採 掘 施 設,或. い は平 時 の 海 外 基 地 な どが 該 当す る。 それ らは国 家 の 生 存 に不 可. 欠 な もの で はな いが,相 手 国 の 機 会 主 義 行 動 に見 舞 わ れ た場 合 に,第3国 か らそれ と 同様 の 便 益 を得 る こ とが 難 し く,ま た 当該 資 産 を速 や か に他 の 一14一.
(15) 二国間主義 と脆弱性. 適用 に関す る再検討. 用 途 に用 い る こ とが 困 難 で あ る。 従 って,そ の よ うな 財 を 他 国 と取 引 す る 場 合,国 家 は それ ほ ど深 刻 で はな い脆 弱 性 の 問 題 に直 面 す る こ と にな る。 Bは 代替 性 と特 殊 性 が 高 く,緊 要 性 の 低 い財 の取 引 を行 うケ ー ス で あ る。 この よ うな 財 と して 考 え られ るの が,半 導 体 を は じめ と した 精 密 機 械 製 品 や その 他 の 重 工 業 製 品 に対 す る直 接 投 資 で あ る。 そ れ ら は,当 該 取 引 が 停 止 され た(輸 入 が 停 止 した)と. して も,短 期 的 に は国 家 の 生 存 や 繁 栄 に深. 刻 な 影 響 を 与 え る もの で はな い。 ま た,そ れ らの 製 品 を 他 国 か ら代 替 的 に 輸 入 す る こ と も さ ほ ど困 難 で はな い。 しか し,そ こで 行 わ れ た 工 場 建 設 な どの 直 接 投 資 は多 くの 場 合 サ ン ク して お り,相 手 国 が 機 会 主 義 行 動 を 取 っ た場 合 の コ ス トが 大 き い。 したが って,そ れ らの 財 の 取 引 を 行 う国 家 は脆 弱 性 の 問 題 に直 面 す る こ と とな るが,そ の 程 度 は大 き くな い Cは 代 替 性,緊 要 性,特 殊 性 の いず れ もが 低 い財 の 取 引 を 行 うケ ー スで あ る。 この よ うな 財 と して は,例 え ば,象 牙 や 金 な どを 輸 入 す る場 合 が 考 え られ る。 この ケ ー スで は,先 にみ たAと は異 な り,直 接 投 資 が 行 わ れ て いな いの で 取 引 その もの は特 殊 的 で はな く,ま た輸 入 を 停 止 され た と して も国 家 の 生 存 を 脅 か す もの で もな い。 その た め,こ の よ うな 財 を 取 引 す る 国 家 は相 手 国 に対 す る脆 弱 性 の 問 題 を ほ とん ど考 慮 す る必 要 はな い。 Dは 代 替 性 が 高 く,緊 要 性 及 び特 殊 性 が 低 い財 の 取 引 を 行 うケ ー スで あ る。 この よ うな 取 引 と して は,牛 肉や 野 菜 な どの 食 料 品 や 木 材,或 工 業 製 品 の 輸 入 が 挙 げ られ る。 この 場 合,仮. い は軽. に取 引 相 手 国 に よ る機 会 主 義. 行 動(禁 輸)に 直 面 した と して も,短 期 的 に は国 家 の 生 存 に深 刻 な 影 響 を 及 ぼす もの で はな く,ま た 当該 財 を 他 国 か ら代 替 的 に輸 入 す る こ と も容 易 で あ る。 その た め,こ の よ うな 財 の 取 引 に お いて 脆 弱 性 の 問 題 は生 じに く く,本 分 類 に お いて は最 も脆 弱 性 の 程 度 が 低 い。 Eは 緊要 性 と特 殊 性 が 高 く,代 替 性 が 低 い財 の取 引 を行 うケ ー ス で あ る。 この よ うな 財 と して は,例 え ば,有 事 の(戦 略 的 価 値 の 高 い)海 外 基 地 や 一15一.
(16) 近畿大学法学. 第61巻第4号. 直 接 投 資 を 伴 っ た石 油 プ ラ ン トな どが 考 え られ る。 それ らの 財 は国 家 の 生 存 に と り重 要 で あ り,ま た他 国 との 取 引 に よ って 容 易 に代 替 で き る もの で はな い。 さ らに,相 手 国 の 機 会 主 義 行 動 に見 舞 わ れ た場 合,そ れ らの 財 を 他 の 用 途 に用 い る こ と は困 難 で あ る。 従 って,こ の よ うな 取 引 関 係 に お い て 国 家 は最 も深 刻 な 脆 弱 性 の 問 題 に直 面 す る こ と にな る。 Fは 代 替 性,緊 要 性,特 殊 性 の その いず れ もが 高 い財 の 取 引 で あ る。 こ の よ うな ケ ー ス と して は,直 接 投 資 を 伴 う石 炭 や 水 な どの 資 源 の 輸 入 が 該 当す る。 それ らの 財 は国 家 の 生 存 に と り不 可 欠 な 財 で は あ る もの の,仮. に. 機 会 主 義 行 動 に直 面 した と して も比 較 的 容 易 に代 替 供 給 国 を み つ け る こ と が 可 能 で あ る。 ただ し,直 接 投 資(例 え ば,採 掘 施 設 な どの 建 設)は 特 殊 的 で あ り,こ の よ うな 財 の 取 引 を 行 う国 家 は深 刻 と は いえ な い まで も脆 弱 性 の 問 題 に直 面 す る。 Gは 代 替 性 と特 殊 性 が 低 く,緊 要 性 の 高 い財 を 取 引 す るケ ー スで あ る。 この よ うな 財 と して は,直 接 投 資 を 伴 わ な い天 然 ガ スの 輸 入 や,有 事 の 際 の 海 外 基 地 へ の ア クセ ス(港 湾 へ の 寄 港,領 空 通 過)な. どが 考 え られ る。. それ らは国 家 の 生 存 に と り大 きな 価 値 を 有 して お り,か つ 容 易 に代 替 で き る(第3国. と取 引 で き る)も の で はな い。 ただ し,先 のEの ケ ー ス と は異. な り特殊 的投 資 を伴 う もの で は な い た め,脆 弱性 の 問題 に直 面 す る もの の, Eの ケ ー ス よ りは その 程 度 が 小 さ い と言 え る。 Hは 代 替 性 と緊 要 性 が 高 く,特 殊 性 の 低 い財 を 取 引 す るケ ー スで あ る。 この よ うな ケ ー ス に は,直 接 投 資 を 伴 わ な い石 炭 や 水 の 輸 入 な どが 該 当す る。 取 引 対 象 とな る財 は,国 家 の 生 存 に と って 不 可 欠 な もの で は あ るが, 仮 に機 会 主 義 が 生 じた場 合 で も第3国 か ら比 較 的 容 易 に輸 入 す る こ とが 可 能 で あ る。 ま た,先 のFの ケ ー ス と は異 な り,特 殊 的 な 投 資 を 伴 う もの で もな い。 従 って,こ の よ うな 財 を 取 引 す る場 合,国 家 は脆 弱 性 の 問 題 に直 面 す る こ と にな るが,そ の 程 度 はFの ケ ー ス よ りも小 さ い と言 え る。 一16一.
(17) 二国間主義 と脆弱性. 適用 に関す る再検討. 以 上,脆 弱 性 の 計 測 に影 響 を 与 え 得 る3つ の 要 因 の 組 み 合 わ せ を み て き た。 も っ と も,そ れ らは排 他 的 な もの で はな く相 互 に連 関 して い る。 例 え ば,天 然 資 源 の パ イ プ ラ イ ンの よ う に,代 替 性(可 動 性)の 低 い財 は,同 時 に特 殊 性 が 高 い と い う傾 向 を 持 って い る。 ま た,脆 弱 性 の 程 度 は静 的 な もの で はな く動 的 で あ る。 例 え ば,海 外 の 陸 軍 基 地 は代 替 性 が 低 く,か つ 特 殊 性 が 高 い財 で あ る。 しか も その よ うな 条 件 は長 期 にわ た って 静 的 で あ る。 しか しその 緊 要 性 につ いて は,設 置 国 と接 受 国 の 戦 略 環 境(軍 事 的 脅 威 の 程 度)に 大 き く依 存 す る。 つ ま り,脆 弱 性 の 程 度 は,仮 に3つ の 何 れ か の 要 因 を 所 与 と仮 定 した場 合 で も,そ の 他 の 要 素 の 変 動 に よ って た ち ど こ ろ に変 化 す る。. 第5節. 統 合,分. 散,制 度 化. こ こ まで 二 国 間 主 義 が 大 国 の パ ワ ー ・レバ レ ッジを 対 外 政 策 の 帰 結 に効 果 的 に反 映 させ る手 段 とな り得 る一 方,取 引 財 が 脆 弱 性 の 問 題 を 生 起 せ し め る場 合 に は,パ ワ ーの 面 で 相 対 的 に劣 勢 に立 た され る可 能 性 が あ る こ と を み て き た。 で は,大 国 は その よ うな 制 約 を 如 何 に して 克 服 す るの か 。 国 家 を合 理 的 な ア ク タ ー と仮 定 す れ ば,(特. に力 の 強 い側 の)国 家 は二 国 間. 主 義 を 自 らの 優 位 性 を 維 持 し得 る形 に デザ イ ン しよ う とす る はず で あ る。 た とえ ば この 点,コ ヘ イ ン と ナ イ は 「エ ー ジ ェ ン トはそ れ らの 制 約(脆 弱 性)を 操 作 す る こ とが で き,そ うす る こ とで 当該 二 国 間 関 係 にお け る 自 ら の パ ワー を 高 め る こ とが で き るか も しれ な い㈹」(括 弧 内筆 者)と ㈲KeohaneandNye2001:238.な 点,国. お,ス. して い る。. コ ッ ト(AndrewM.Scott)は,こ. 家 は 他 国 と の 一・切 の 関 わ り を 絶 つ こ と に よ っ て し か 相 互 依 存 の. 面(flipside)」. か ら 逃 れ る こ と は で き な い と し て い る(AndrewM.Scott,The. Dynamicsoflnterdependence,ChapelHillandLondon:TheUniversityofNorth CarolinaPress,1982,p.150.). 一17一. の 「負 の 側.
(18) 近畿大学法学. 第61巻第4号. そ こで 本 節 で は,前 節 で 最 も脆 弱 性 が 高 い財 の 一 つ と して 分 類 され た大 国 の 海 外 基 地,具 体 的 に は第 二 次 世 界 大 戦 後 の 米 国 の 海 外 基 地 を ケ ー ス と して 扱 う。 戦 後 の 米 国 は海 外 に お け る軍 事 基 地 の 多 くを 接 受 国 との 二 国 間 主 義 に よ って 形 成 ・維 持 して き た(た だ し,NATOは ちNATO条. 多 国 間主 義,す な わ. 約 第3条 に基 地 の存 在 根 拠 を見 出 して い る⑳)。既 にみ た よ う. に,基 地 は その 性 質 上,地 理 的 な 属 性 が 財 の 価 値 に大 きな 影 響 を 与 え る。 す な わ ち多 くの 場 合 それ は,代 替 性 が 低 くま た(と. りわ け陸 軍 基 地 な ど は. 軍 事 目的 以 外 に用 い る こ とが 困 難 で あ る た め)特 殊 性 も高 い。 この こ とか ら,周 知 の よ う に米 国 は海 外 に基 地 を 設 置 す る際,接 受 国 に対 して 脆 弱 に な り得 るω。 で は,大 国 で あ る米 国 は基 地 の取 引 か ら生 じ る脆 弱 性 の 問 題 を如 何 に して 統 御 して き た と解 釈 され るの か 。 以 下,1)統 化,3)分. 合,2)制. 度. 散 の3つ の 観 点 か ら考 察 す る。. 1)統. 合. 二 国 間 主 義 の 下 で の 脆 弱 性 に対 処 し得 る一 つ の 方 策 と して,取 引 相 手 国 の 「統 合 」 が 挙 げ られ る。 す な わ ち,大 国 が 取 引 相 手 国 を 植 民 地,或. いは. 属 領 と して 所 有 し,政 治 的 支 配 下 に置 くと い う もの で あ る。 これ は取 引 相 手 国 に よ る機 会 主 義 行 動 を 財 の所 有 に よ っ て解 決 す る と い う もの で あ る (二 国 間主 義 の終 焉)。 よ く知 られ て い る よ う に,経 済 学 に お いて は機 会 主. (4①. た だ し,NATO加. 盟 国 は 米 国 と の 間 で 別 途,二. 国 間 の 基 地 使 用 協 定 を 締 結 し. て い る 。 (41)冷. 戦 期 の 米 国 と フ ィ リ ピ ン,ギ. リ シ ャ,ト. ル コ,ス. る 。(ChristopherT.Sandars,AmericdsOverseasGarrisons!TheLeaseholdEmpire, NewYork:OxfordUniversityPress,2000;ChalmersJohnson,TheSorrows ofEmpire!Militarism,Secrecy,andtheEndoftheRepublic,NewYork:Metropolitan Books,HenryHolt,2004;AmedeeBollee,"Djibouti:FromFrenchOutpost toU.S.Base,"ReviewofAfricanPoliticalEconomy,Vol.30,No.97,September2003, pp.483-484.). 一18一. ペ イ ン の 関 係 が そ れ で あ.
(19) 二国間主義 と脆弱性. 適用 に関す る再検討. 義 行 動 を 誘 発 す る属 性 を 伴 う財 を 取 引 す る際,当 該 財 はそ れ を 使 用 す る側 の ア ク タ ー に よ って 所 有 され る傾 向 に あ る と論 じられ る⑫。 レイ ク は そ れ を残 余 コ ン トロー ル 権 の 問 題 と して捉 え る⑱。 レイ ク に よ れ ば,国 家 間 関 係 は水 平 的 で はな く階 層 的 で あ る。 そ して そ の 階 層 構 造 は 二 国 間 の 残 余 コ ン トロ ール 権 の 配 分 状 況 に依 存 す る。 も し特 定 の 二 国 間 関 係 が 水 平 的 で あれ ば,残 余 コ ン トロ ール 権 は双 方 に均 等 に所 在 す る。 しか し両 者 の 関 係 が 階 層 的 で あれ ば,一 方 の 側 が 残 余 コ ン トロー ル 権 の 多 くを 所 有 し,他 方 は それ を ほ とん ど有 しな い。 レイ ク に よれ ば,機 会 主 義 行 動 は この残 余 コ ン トロー ル権 の不 均 等 な所 在 に よ って 可 能 に な る もの で あ る。 つ ま り,二 国 間 の 関 係 が 水 平 的 で 双 方 が 完 全 な 残 余 コ ン トロー ル 権 を 持 っ て い る場 合,各. 々 は将 来 の 行 動,す な わ ち機 会 主 義 につ いて の 十 分 な 裁 量. (政 策 オ プ シ ョ ン)を 有 して い る。 一 方,ア. ク ター の 残 余 コ ン トロー ル 権. が 小 さ けれ ば小 さ い ほ ど,機 会 主 義 的 行 動 を 取 る余 地 は小 さ くな る。 つ ま り,二 国 間 の 関 係 性 が 階 層 的 で あ る ほ ど,下 位 国 家 が 機 会 主 義 行 動 にで る 可 能 性,或. い は(上 位 国 家 に と って の 裏 切 られ る)リ ス ク は低 下 す る と考. え られ るの で あ る鱒。 この こ とか ら,レ イ ク は階 層 化(す な わ ち,力 の 強 い側 の 国 家 が 他 方 の 側 の 国 家 の 内外 政 に介 入 した り,直 接 統 治 を 行 う)が 相 手 国 の 機 会 主 義 行 動 を 回 避 す る た めの 手 段 にな る とみ る。 で は,海 外 基 地 の ケ ー スで は ど う か 。実 は 第 二 次 世 界 大 戦 以 前 の 大 国(例 え ば,英 国 や フ ラ ンス,ス ペ イ ン) は,海 外 基 地 を 植 民 地 や 属 領 に置 いて き た。 つ ま り,自 らの 「組 織 」 の 中 働OliverE.Williamson,MarketsandHierarchies!Ana!ysisandAntitrustlmplicαtions, NewYork:FreePress,1975,pp。16-19。 ㈹Lake1999:53-57. 幽. ま た,レ. イ クは と りわ け先 に触 れ た 資 産 の 特 殊 性 の 問 題 につ い て. 産 が 極 め て 特 殊 的 で あ れ ば,機. 「も し も 資. 会 主 義 に よ っ て 生 じ る 費 用 は 高 い 。 そ の 場 合,. 国 家 は階 層 的 な 関 係 性 が築 くこ と が で き る場 合 に お い て の み 協 調 す る こ とが 可 能 と な る か も しれ な い 」(Lake1999:56-57.)と 一19一. 述 べ て い る。.
(20) 近畿大学法学. 第61巻第4号. か ら基 地 と い う財 を 調 達 す る こ とで 取 引 相 手 の 機 会 主 義 行 動 を 統 御 して い た と いえ る。 そ こ にみ られ る ア ク タ ー間 の 関 係 は極 めて 階 層 的 で あ り,レ イ ク に従 って 言 え ば,植 民 地 の 側 に は残 余 コ ン トロ ール 権 は ほ とん ど存 在 しな か っ た。 で は,ポ ス ト植 民 地 時 代 は ど うか 。 実 は こ こ に も統 合 の 例 を み る こ とが で き る。 た とえ ば,戦 後 の 米 国 は戦 略 的 に重 要 で あ っ た マ ー シ ャル 諸 島共 和 国 を 信 託 統 治 や 自由 連 合 とい う形 で 一 時 的 に 政 治 的 支 配 下 に置 い て い た㈲。 米 国 は ソ連 の太 平 洋 進 出 を 防 ぐた め に 同地 域 に 基 地 を 建 設,兵 配 備 す る と共 に,同 地 域 を 核 兵 器 及 び ミサ イ ル の実 験 場(例. 力を. え ば,ク. ワ. ジ ャ リン基 地)に 指 定 した。 米 国 に と って は 同地 域 で の 基 地 使 用 を 拒 絶 さ れ る こ と,或 い は基 地 の 使 用 を ソ連 に取 って 代 わ られ る こ とで 生 じる取 引 費 用 は極 めて 高 か っ た。 その た め 当該 地 域 を 事 実 上,米 国 に編 入(統 合) す る こ とで,基 地 の 取 引 に よ って 生 じる脆 弱 性 を 回 避 して い た と考 え られ る。 同様 の 解 釈 は,1972年. まで の 米 国 の 沖 縄 統 治,或. い は デ ィエ ゴ ガル シ. ア に お け る米 軍 基 地 に も適 用 で き るか も しれ な い㈲。. 2)制. 度化. 脆 弱 性 を 克 服 し得 る二 つ めの 手 段 と して,取 引 関 係 の 制 度 化(二 国 間 主 義 の 制 度 化)が 挙 げ られ る。 それ は以 下 にみ る よ う に,取 引 関 係 を 制 度 や ル ール に よ って 管 理 す る こ とで,1)相 (長期 契 約),2)互. 手 国 との 関 係 性 に継 続 性 を 付 与 し. 恵 性 に基 づ く交 換 関 係 を 成 立 させ(脆 弱 性 の 対 称 化),. ㈲U.S.GovernmentAccountabilityOffice(GAO),IFb画g刀Relations,Better AccountabilityNeededOverU.S.AssistancetoMicronesiaandtheMarsha〃lslands, OfficeofPublicAffairs,GAO/RCED-00-67,May31,2000. ㈹. デ ィ エ ゴ ガ ル シ ア に つ い て は,た SecretHistoryoftheU.S.伍. と え ば,DavidVine,lslandofShame,The. 腕 αり・8α∫θonDiegoGarcia,Princeton,NewJersey:. princetonUniversityPress,2009。. 一20一.
(21) 二国間主義 と脆弱性 3)法. 適用 に関す る再検討. 的 根 拠 に基 づ いた 責 任 の 所 在 を 明 確 にす る(法 制 化legalization). 効果を持つ。 長期契約 取 引 関 係 に長 期 の 継 続 性 を 付 与 す る こ と は,二 国 間 関 係 の 構 造 を 変 容 さ せ 得 る。 実 は こ こ まで 本 稿 は二 国 間 主 義 を1回 限 りの 非 協 力 ゲ ー ム(ス ポ ッ ト取 引)に. よ く似 た構 造 を もつ もの と捉 え て きた 。 で は,取 引 関 係 が. 長 期 にわ た って 存 続 し,ま た それ が 繰 り返 され る(或 い は,お 互 いが そ の よ う に考 え て い る)場 合 は ど うか 。 この 場 合,仮. に一 方 が 機 会 主 義 行 動 に. 打 って 出て 初 期 の 条 件 を 改 善 した と して も,当 該 取 引 を 継 続 す る こ とで 得 られ た か も しれ な い よ り大 きな将 来 利 得 が 失 わ れ る可能 性 が生 じる。ま た, 当該 取 引 以 外 の 領 域 に お いて も両 者 の 関 係 性 が 存 在 して い る場 合 に は,相 手 国 に よ る報 復 の リス ク も生 じる。 つ ま り国 家 はそ の よ うな 将 来 の 事 態 を 予 測 す る こ と,或 い は繰 り返 しゲ ー ムの 構 造 を 理 解 して い るた め,機 会 主 義 に対 して抑 制 的 に な らざ る を得 な い㊨。 つ ま り,何 形 成 し長 期 的 な 取 引 関 係,或. らか の二 国 間 制 度 を. い は関 係 的 契 約 を 結 ぶ こ と は脆 弱 性 を 克 服 す. る一 つ の 手 段 にな り得 る。 脆弱性の対称化 相 互 に利 益 の あ る よ うな 反 復 的 な 交 換 関 係 を 制 度 的 につ く り出す こ とを 「脆 弱 性 の対 称 化 」 と よ ぶ こ とが あ る⑱。 そ れ は そ れ ま で一 方 的 に相 手 に 「人 質 」 を取 られ て い た(或 い は取 引前 に そ の よ うに 予測 さ れ る)状 態 を, 相 互 に人 質 を 取 り合 う状 態 に変 化 させ る もの で あ る。 そ の よ うな 二 国 間 構 造 を 制 度 的 に作 りだ す こ と に よ って,一 方 の 相 対 的 な 脆 弱 性 を 変 化 させ, (4DRobertO.Keohane,"NeoliberalInstitutionalism:APerspectiveonWorld Politics,"inRobertO.Keohane,eds.,InternationalInstitutionsandStatePower! EssaysinInternationalRelationsTheory,Boulder,Colorado:WestviewPress, 1989. ㈹. 山 本 吉 宣. 「国 際 的 相 互 依 存 」 東 京 大 学 出 版 会,1989年,111頁. 一21一. 。.
(22) 近畿大学法学. 第61巻第4号. 相 手 の 機 会 主 義 行 動 を 抑 制 しよ う とす る。 この よ うな 脆 弱 性 の 対 称 化 は, た とえ ば経 済 ・軍 事 援 助 や 二 国 間 貿 易 の 優 遇 措 置 と い っ たサ イ ドペ イ メ ン ト,あ る い は ポ ジ テ ィ ブ ・サ ン ク シ ョン と い っ た政 策 に よ って も た らされ 得 る㈲。 法 制 化(legalization) 二 国 間 取 引 を 法 や ル ール に よ って 規 定 し,責 任 の 所 在 と罰 則 を 明 確 にす る こ とで,相 手 国 の 機 会 主 義 行 動 を 躊 躇 させ る こ とが 可 能 にな る場 合 が あ る。 取 引 の 履 行 に法 的 な 責 任 が 付 与 され る こ とで,取 引 当事 国 は それ を 逸 脱 す る こ とに よ る国 際社 会 の評 判 や信 頼 の低 下 を 考 慮 しな けれ ばな らな い。 国 際 社 会 に お け る評 判 や 信 頼 の 低 下 は,当 該 国 の(将 来 負 担 しな けれ ばな らな い)コ ス トにな り得 る。 その た め,合 理 的 な 国 家 は その よ うな コ ス ト を予 測 す る限 りに お いて,法 か らの 逸 脱 を 躊 躇 し得 る。 つ ま り,二 国 間 主 義 が 法制 化 され,取 引 の履 行 が 手 続 きや ル ー ル に よ って規 定 され る こ とは, 取 引 の 予 測 可 能 性 を 高 め る もの とな る㈲。 さて,米 国 の 海 外 基 地 政 策 の な か に その よ うな 制 度 化 の 実 践 を 見 出す こ と は可 能 で あ ろ うか 。 実 は,戦 後 の 米 国 は多 くの 場 合,接 受 国 との 間 で 基 地 の 使 用 に関 す る長 期 的 な 制 度 を 形 成 して き た。 米 国 は(戦 前 の 大 国 が そ うで あ っ た よ う に)基 地 に関 す る軍 事 的 必 要 性 が 生 じた場 合 にの み 接 受 国 との 間 で ス ポ ッ ト取 引 を 行 うの で はな く,平 時 か ら,す な わ ち軍 事 的 な 必 要 性 が必 ず し も高 くな い時 期 に,或 い は当 初 の使 用 目的が 果 た され た 後 も, 長 期 にわ た って 基 地 の 二 国 間 取 引 を 行 う傾 向 に あ る(長 期 契 約)61)。ま た, ㈹H.RichardFriman,"SidePaymentsVersusSecurityCards:Domestic BargainigTacticsinInternationalEconomicNegotiations,"International Organization,Vol.47,No.3,Summer1993,pp.387-410. (5①RobertO.Keohane,1)owerandGovernanceina、Pαrtiaめ. ノGlobalized〃"orld,London. andNewYork:Routledge,2002,Chap。6. ⑳JohnWoodliffe,ThePeaceTimeuseForeignMili伽y伽'α InternαtionalLα. 毘Dordrecht:MartinusNijhoffPublishers,1992.. 一22一. 〃ationsunderルfodern.
(23) 二国間主義 と脆弱性. 適用 に関す る再検討. 基 地 設 置 の 見 返 りと して,接 受 国 に対 して 経 済 支 援 や 軍 事 援 助,或. い は安. 全 保 障 や政 治 的 承 認 とい った サ イ ドペ イ メ ン トを供 す る場 合 もあ る(「 脆 弱 性 の対 称 化 」,或 い は 「相 互 人 質 」)。そ して そ れ らは特 定 の接 受 国 を し て 米 軍 基 地 を積 極 的 に 受 け入 れ せ しめ る イ ンセ ンテ ィ ブを 形 成 す る働。 さ らに米 国 は,ほ ぼ全 て の 接 受 国 との 間 で 基 地 使 用 の ル ー ル を 法 制 化 して い る。 す な わ ち地 位 協 定 を 締 結 し,米 軍 や その 家 族 の 法 的 地 位,或. い は施 設. の 使 用 や撤 去 に 関 す る詳 細 な 手 続 き を明 確 に して い る㈹。 そ れ らの 法 的 枠 組 を 機 能 させ る こ とで,米 国 は接 受 国 に よ る予 告 な しの 撤 退 要 求 や 基 地 ・ 施 設 の 使 用 拒 絶 と い っ た機 会 主 義 行 動 を 抑 制 して い る と解 釈 で き る。. 3)分. 散. 脆 弱 性 に対 処 し得 る3つ め の手 段 は,取. 引相 手 国 の 分 散 で あ る64)。た と. え ば米 国 の エ ネ ル ギ ー政 策 に顕 著 にみ られ る よ う に,取 引 先 の 多 角 化 は機 会 主 義 行 動 を受 け た 際 の費 用 を低 減 す る効 果 を もつ ㈲。 た だ し,注 意 しな くて はな らな いの は,分 散 が 行 わ れ る際 に初 期 の 二 国 間 主 義 が 放 棄 され, 複 数 の 取 引 相 手 国 との 多 国 間 主 義 へ の 移 行 が み られ る場 合 と,あ. くまで も. 二 国 間 主 義 が 継 続 され る場 合 の 二 つ が 想 定 され る こ とで あ る。 前 者 は,第 二 次 世 界 大 戦 後 にみ られ た 二 国 間 貿 易 シ ステ ムか らGATTやWTOに. 代. 表 され る多 国 間 貿 易 シ ス テ ムへ の 移 行 で あ り,後 者 が 既 に触 れ た ハ ブ ・ス ポ ー ク ス型 の 戦 後 の 民 間 航 空 シ ス テ ムで あ る。 前 者 の 場 合,論 理 的 に は二 国 間 主 義 に基 づ く大 国 側 の 恩 恵,す な わ ちパ ワー ・レバ レ ッジ に基 づ く優 位 性 は消 滅 す る。 しか し,後 者 の ハ ブ ・ス ポ ー ク ス型 の 場 合 は(取 引 相 手 働. 川名晋史 2012年. 『基 地 の 政 治 学. 戦 後 米 国 の 海 外 基 地 拡 大 政 策 の 起 源 」 白 桃 書 房,. 。. 63)Woodliffe1992. (54DHirschman1980:31;山. 本1989:110-11L. 65>Knorr1979:186. 一23一.
(24) 近畿大学法学. 第61巻第4号. 国,す な わ ち ス ポ ー ク 同士 が 相 互 に連 携 す る こ とが な い限 りに お いて)二 国 間 主 義 の 構 造 は維 持 され る。 そ こで 以 下 で は,分 散 の 結 果 と して 出現 す るハ ブ ・ス ポ ー ク ス型 の 二 国 間 主 義 に焦 点 を 絞 って 議 論 を 進 め た い。 大 国 が 特 定 の 財 の 取 引 を 分 散 し,ハ ブ ・ス ポ ー ク ス型 の 二 国 間 主 義 を 構 築 す る こ と は脆 弱 性 を 克 服 す る効 果 的 な 手 法 にみ え る。 例 え ば,先 に触 れ た ブザ ン は大 国 が パ ワ ー ・レバ レ ッジの 観 点 か ら,多 国 間 主 義 よ りも二 国 間 主 義 を 好 む と した上 で,ハ 略(swingstrategy)6e」. ブ ・ス ポ ー ク ス型 の 二 国 間 主 義 を 「振 り子 戦. と よん だ 。 それ は大 国 が 他 国 との 何 らか の 協 力 関. 係 に よ って 対 外 行 動 を と る際 に,複 数 あ る協 力 候 補(国 家 や 地 域)の. 中か. ら,大 国 に と って 都 合 が 良 い と思 わ れ る候 補 を 選 択 す る と い う もの で,そ れ は 目的 や 条 件 に よ って 「振 り子 」 の よ う に変 化 す る。 さ らに,大 国 は協 力 を行 う際 に ア ドホ ック に国 や 地 域 を 選 択 す る可 能 性 が あ る こ とを 事 前 に 知 ら しめ る こ と に よ って,彼. らの パ ワ ー ・レバ レ ッジの 効 果 を 高 め よ う と. す る㈱。 つ ま り,米 国 は振 り子 戦 略 を採 用 す る こ とで特 定 の 国 や 地 域 へ の 依 存 を低 減 し,ま た脆 弱 性 を 克 服 して き た と解 釈 され るの で あ る。 さて,米 国 の 海 外 基 地 政 策 が ハ ブ ・ス ポ ー ク ス型 二 国 間 主 義 の 典 型 で あ る こ と は既 に指 摘 した。 冷 戦 後,米 国 は接 受 国 の 数 を 削 減 す る ど こ ろか, む しろ そ の増 大(分 散)に 努 め た鮒。 近 年 に お い て も,基 地 の ア クセ ス権 (accessright)を. 獲 得 す る こ とで 基 地,或. い は接 受 国 の 分 散 を 積 極 的 に進. めて い る㈲。 も っ と も それ は米 国 の 戦 略 的 要 請(例 え ば,対. テ ロ,リ バ ラ. ンス)に 基 づ くもの で あ るが,同 時 に それ は特 定 の 接 受 国 へ の 依 存,或. (56)Buzan2004:103. (57>Ibid.,pp.103-106. (5⑳RobertE.Harkavy,"ThinkingAboutBasing,"翫vα1〃"arCo〃. ¢gθReview,. Vol.58,No.3,Summer,2005,pp。12-42. ⑲LynnE.Davis,etal.,u.S.Overseas晒. 疏 απyPresence'maatAretheStrategic. Choices2,RAND2012.. 一24一. い.
(25) 二国間主義 と脆弱性. 適用 に関す る再検討. は脆 弱 性 を 低 下 させ る効 果 を 持 って い よ う。 米 国 は接 受 国 数 を 増 加 させ る (基地 の 代 替 性 を高 め る)こ とで,軍. 事 作 戦 の帰 趨 を 特 定 の 国 の安 全 保 障. 政 策(対 米 政 策)に 依 存 す る リス クを 低 下 させ て い る。 例 え ば,米. 国は. 1992年 に フ ィ リピ ンの ス ー ビ ック海 軍 基 地 か らの撤 退 を余儀 な くされ た が, 同基 地 が 担 って い た基 地 機 能 の 一 部 を シ ン ガ ポ ール に移 転 す る こ とで,戦 略 的 影 響 を 最 小 限 に食 い止 め た。 ま た,2003年. の イ ラ ク戦 争 時 に は,戦 略. 的 重 要 性 の 高 か っ た トル コ お よ びサ ウ ジ ア ラ ビア にお いて 基 地 の 使 用 を 拒 絶 され たが,そ の 機 能 を 新 た に獲 得 した 中央 ア ジ ア(ウ ズベ キ ス タ ン,キ ル ギ ス タ ン)の 基 地 で 代 替 した。 さ らに2014年 夏 まで の 撤 退 を 求 め られ て い る キル ギ ス タ ン に お け る基 地 機 能 は,新 た にル ー マ ニ アへ と移 転 され る 予 定 で あ り,そ れ に よ って 対 ア フ ガ ン政 策 の継 続 性 が 担 保 さ れ る こ と に な って い る(6① 。. お わ りに. 以 上,本 稿 は二 国 間 主 義 が もつ 理 論 的 な 特 質 を パ ワー ・レバ レ ッジ と脆 弱 性 の 観 点 か ら考 察 して き た。 そ こで 明 らか にな った の は次 の よ うな こ と で あ る。 二 国 間 主 義 は と き に大 国 の 物 理 的 な パ ワー ・レバ レ ッジを 対 外 政 策 の 帰 結 に効 果 的 に反 映 させ る手 段 とな る。 しか しな が ら,当 該 二 国 間 で 脆 弱 性 を 生 起 せ しめ る財 を 取 引 す る場 合 に は,大 国 が もつ 力 の 相 対 的 な 優 位 性 は失 わ れ る こ とが あ る。 大 国 の 力 を 制 約 せ しめ る脆 弱 性 の 性 質 は,取 引 す る財 の 代 替 性,緊 要 性,特 殊 性 の3つ の 要 因 に規 定 され る もの あ り, そ の強 弱 は動 的 で あ る。 た だ し,大 国 は 統 合,制 (そ の どれ か,或. い は組 み 合 わ せ)に. ⑳TheMa〃StreetJournal,Nov.19,2013.. 一25一. 度 化,分. 散 と い う手 段. よ って 脆 弱 性 を 制 御 す る こ とが 可 能.
(26) 近畿大学法学. 第61巻第4号. で あ り,そ れ に よ って 二 国 間 主 義 に基 づ く大 国 の 力 の 優 位 性 は維 持 され る 場 合 が あ る。 戦 後 の 米 国 の 海 外 基 地 政 策 は,限 定 的 な が ら上 記 の 議 論 の 妥 当性 を 窺 わ せ る もの で あ っ た。 海 外 基 地 は代 替 性,特 殊 性 の 観 点 か ら,そ して 有 事 の 際 に は緊 要 性 の 観 点 か らも,接 受 国 との 取 引 に お いて 脆 弱 性 を 生 起 せ しめ る財(資 産)で. あ る。 その た め戦 後 の 米 国 は軍 事 力 や 経 済 力 に お いて 接 受. 国 を圧 倒 しな が ら,幾 度 とな く基 地 の 使 用 を 巡 る問 題,或. い は基 地 交 渉 で. 劣 勢 に立 た され て きた(機 会 主 義 行 動 に直 面 して き た)。 そ の た め,米. 国. は と き に接 受 国 を 統 合 し,接 受 国 との 関 係 性 を 制 度 化 し,ま た接 受 国 を 分 散 す る こ とで 脆 弱 性 を 統 御 して き た と解 釈 され る。 ま た,冷 戦 後 の 海 外 基 地 政 策 の トレン ド,す な わ ち大 規 模 か つ 固 定 的 な 基 地 か らよ り可 動1生の 高 い小 規 模 施 設 や ア クセ ス権 の 確 保 へ の 移 行 も,基 地 が もつ 資 産 の 特 殊 性 を 低 下 させ る効 果 を 持 って い る と言 え るか も しれ な い(61)。 本 稿 が 展 開 した二 国 間 主 義 論 は,相 対 的 な 力 を 強 調 す る リア リズ ム的 な 議 論 と,一 方 で 相 互 依 存 に よ って 生 じる力 の 制 約 に着 目す る リベ ラ リズ ム 的 議 論 の 接 合 を 試 み た もの で あ る。 それ は試 論 的 な もの で あ っ たが,こ れ まで 蓄 積 され て き た リベ ラル 制 度 論 の 知 見 を,力 を 軸 に して 展 開 され る対 外 政 策,た 交,或. とえ ば90年 代 以 降 のFTAや,ロ. シア やBRICsに. よ る資 源 外. い は(従 来 その 適 用 が 進 ん で こな か っ た)安 全 保 障 分 野 に応 用 す る. た めの 一 つ の 契 機 とな り得 るで あ ろ う。. ㈹. こ の 点,米. 国 の 推 し 進 め る グ ロ ー バ ル な 民 主 化 政 策 と の 関 連 で 論 じ た も の と. し て,AlexanderCooleyandDanielH。Nixon,"Bahrain'sBasePolitics:The ArabSpringandAmerica'sMilitaryBases,"命. 画g刀4伽. 2011.. 一26一. π30nline,April5,.
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