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「課題学習」の趣旨を生かした「世界の国々~様々な地域」の授業構成 : 「アメリカ合衆国の農業」の実践を通して

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(1)

社会系教

科教育学会

『社会

系教科教育学研究』第4号 1992

(pp.75

―80)

「課題学習」の趣旨を生かした

「世界の国々∼様々な地域

」の授業構成

−

「アメ

リカ合衆国の農

業」の実践

を通

して−

Organizing Lesson Plans

o

n

“Countries in the World

” based on the Project Study

:through the Practices on

the Lesson of

“Agriculture in the United States of America

”

は

じめに

平成5年度か

ら施行

され

る新

学習指導要領

に

お

いて

,

生徒の個性

を生か

し

,

関心一

意欲

を喚起

して主体性を

促す学習を実現す

るために

,

「適切な課題を設けて行

う学習

」

(以下

「課題学習」)の

充実

を図ることが明

示

された

。この

ことは,

中学校

における社会科

授

業が

,

これ

までの教師主導による知識注入的な教授学習シス

テム

からの脱却

を余儀な

くされた

ことを意

味

して

いる

。

同時に

,教師の個性を生か

した指導計画や授

業設計を

行

うことが

できることを意味

している

。

また

,

地理

的分野

「世界の諸地域∼様々な地域」

(以下

「 ̄

様々な地域

」)では,

世界の地域や国の中か

ら三つ程度

を取

り上げて学習させる

こととなった

。こ

の

ことは

,

世界の諸地域における地名物産に関する網

羅

的な内容構成の改善を余儀

な

くされ

たことを意味

し

ている

。同時に,

教師が

主体的に世界の国や地域を選

択

し

,

教材

化できることを意味

している

。

社会科は

,社会的見方

・考

え方を育成する教科であ

る

。したが

って,

「課題学習」では,

これ

まで以上に

生徒の社会

的見方

・考え方

を育成できる方向で授

業が

展

開され

るかが鍵となる

。また

,

「様々な地域

」では

,

学習する地域や

国を通

して

,現代の社会を認識させ,

現

代の社会が抱

える問題について考

えさせ

ることがで

きるかが鍵となる

。

そ

こで

,

本論では,

「アメ

リカ合衆

国の

農業」の授

業実践

を通

して

,

「課題

学習

」の

趣

旨を生か

した

「様

々

な地域」の授

業構成について提案する

。研究仮説一

研

究方法は

以下の

とお

りである

。

《研究仮説》

「様々な地域

」の

学習において,

生徒の

多様

な発想

や

調査活動

を十分に生か

した

[概念探究十価値分析]

の

学習指導過程

で授業を設計す

るならば

,

現代の社会

に

ついての

見方

・考

え方

を育成する

ことが

できる1

)

。

《研

究方法》

① 

研

究仮説を組み

込ん

で

「アメ

リカ合衆国の農業」

の授

業を設計

し,

実践する

。

猪 

野  

滋

(宮崎

県西臼杵郡

日之影町立鹿川中学校)

② 

授業記録に基づき

,

各段階における生徒の認識内

容を明らかにする。

③ 

内容を分析

知識の構造

し,

をフ

仮説の有効性

レ

ーム

ワーク

と課題

と

して,

を明

らか

生徒の認識

にす

る

。

I 

「課

題

学

習

」の

趣

旨を

生か

した

「ア

メ

リカ

合衆

国

の

農

業

」

の授

業構

成

生徒

の

多様

な発

想

や

調査

活

動

を十分

に

生

か

した

[概

念

探

究十

価値

分

析

]の

学

習

指

導過

程

で

,厂

ア

メ

リカ合

衆

国

の農

業

」の

授

業

を設

計

した

(15

時

間配

当

)

。単

元

目標

と

学

習指

導

過

程

を

以下

に

示す2

)

。

1 

単

元

目標

単

元

目標

を

知識一

理解

目標

と能

力

目標

にわ

け

て,

以

下

に

示す

。

《知識

・理解

目標

》

ア

メ

リカ合

衆

国の

農

業に

つい

ての

ミク

ロ

・マ

ク

ロな

分

析

を通

して

,

ア

メ

リカ合

衆

国

の農

業

生産

力が

高度に

発

展

し

,

世界

的な

農

業

生産

国

とな

っ

て

いるの

は

,

豊か

な

自然

条

件

を背

景

に

して

,

ア

メ

リカ合

衆

国が

資本

主義

的

な

農

業

を行

って

い

るか

らで

あ

る

こと

を理解

させ

る

。

ま

た

,

ア

メ

リ

カ合

衆

国が

資

本

主義

的

な農

業を行

ってい

る

結

果

,

資本

力の

乏

しい

小規

模

・中規

模

経

営農

場の

離

農

・小

作

化,

農

場

数の

減

少

によ

る農

村

の

過疎

化

・社会

機

能

の

低

下

と

いっ

た状

況が

生

じて

いる

こと

を理

解

させ

る

。

《能

力

目標

》

探

究

的

な学

習過

程

で授

業

を設計

す

る

こと

に

よ

り

,

社

会

事

象

間

の

関連

や

社会

事

象

に

内在

す

る

意

味

を

主体

的

に

追

究

して

い

く能

力

を育

てる

。また

,

意

図

的

に価

値選

択

の

場

面

を設

定す

る

こと

によ

り

,

探究

的な

プ

ロセ

ス

で習

得

され

た

知識

を生

か

して,

合

理

的

に

自分

の意

志

を決

定

す

る

能

力を養

う

。

- 75

-2 

学

習指

導

過

程

学

習

指

導過

程

を各段

階

ご

とに

主

な発

問

と

指

示で

以下

(2)

に示す。

《概念探究過程》

【情報収

集段階】

① 

日本の

豆腐の原料(=大豆)は

どこで生産

され

て

いるだろうか

。

② 

日本はア

メリカ合衆国か

らどんな農産物

を輸入

し

て

いるだろうか

。

③ 

アメ

リカ合衆

国では

日本人何人分の農畜産

物を生

産

しているだ

ろうか。

④ 

アメ

リカ合衆国ではどんな農産物

をどれ

くらい生

産

しているのだ

ろうか

。

⑤ 

ア

メリカ合衆国で生産

され

る農産物は世界の

どれ

くらいを占めているだ

ろうか

。

【学

習問題発見

・把握段階】

① 

これ

までの学習でわかった

こと

,

疑問に思ったこ

とをノー

トに書こう。

② 

これ

らの

事実をもとに

,

学習問題

を設定

しよう。

ア

メリカ合衆国は

なぜ

多くの種類の

農産物

を大

量に

生産できるの

だろうか

。

【予想

・仮説設定段階】

①・

理

由を予想

してみ

よう。

② 

予想

した内容をクルー

ピンク

して仮説へ

と高め

よ

う。

③ 

仮説

を再吟味

しよう。

④ 

アメ

リカ合衆

国の農場の様子

をビデオ

で視聴

して

,

仮説

を焦点化

しよう。

⑤ 

収集

した情報

をも

とに,

よ

り深まった仮説

を設定

しよう。

【資料収集

・調査活動

・検証段階

I】

① 

本

当に仮

説が

正しいか

どうか

,グルー

プにわかれ

て調べてみ

よう

。(

個

人の

興味

・関心に応

じて選

択)

② 

グルー

プごとに

どんなことを調べれ

ば

良いか話し

合お

う。

③ 

調査の視

点をも

とに

,

必要な資料

を収集

しよう。

④ 

収集

した

資料

をも

とに,。

仮説の

有効性

を検

証しよ

う。

⑤ 

調査

した結

果を整理

して

,

発表

しよう。(

発表会)

⑥ 

発表内容を検

討しよう。

【資料収集

一

調査活動

・検証段階II

】

① 

すべ

ての

農場が大規模に生産を行っているのだ

ろ

うか

。

②・ア

メリカ合衆国の農畜産物の大量生産

を担ってい

るのは

,

全体の10

%にも満た

ない大規模

な農場だろ

うか

。それ

とも,

それ

以外の90

%も占め

る中小規模

の

農場だ

ろうか

。

【仮説間の

関係考察

・ま

とめ段階

】

① 

学習問題の答

これ

までに明

えを整理

らか

にな

しよう

ったことを比較

。

・考

察

して

,

《価値分析過程》

【応用段階

】

① 

アメリカ合衆国の農

業はどんな

問題を抱えている

の

だろうか

。

② 

ア

メリカ合衆国の農業が大規模

化している

ことか

ら

,

どん

な問題が生

じて

いるだ

ろうか。

③ 

アメ

リカ合衆国の農業が大規模化せ

ざる

をえない

のは

なぜだ

ろうか

。

【価値分析段階

】

① 

これ

までの学習

を踏ま

えて,

次の問題について考

えてみ

よう

。

アメ

リカ合衆

国政府は

,

農産物

生産の競争力を強

める政策を取るべ

きか

。それ

とも,農村社会を保護

する政策を取るべ

きか。

② 

直観的にどち

らの

立場

をとるか

判断を

下そ

う。

③ 

各立場ごとに

,

それぞれ

の判断の

うらづけとなる

事実

を分析

し

,

判断の

有効性

を検

証

しよう。

④ 

各立場ごとに

,

それぞれの

判断が将来

どの

ような

影響をもた

らすかを予測

しよう。

⑤ 

各立場ごとに調査

した内容を発

表しよう

。

⑥ 

これまでの学習を踏まえて

,

自分の考えを整理

し,

再度判断を下そう。

⑦ 

二つの立場に分かれ

て

,

討論会

を行おう。

⑧ 

今後のアメ

リカ合衆国の農

業に

ついて

,

自分の考

えをま

とめよう。

II 

概

念

探

究過

程

に

お

ける

生徒

の

認

識

内容

とそ

の分

析

Iで

示

した

学

習指

導

過

程

に基

づ

い

て

,

授

業

を実施

し

た

(対象

生徒

6名

)

。概念

探

究

過

程

は

導入

段

階か

ら

ま

とめ

段

階

に

あた

る

。

この過

程

に

おけ

る

予想

段

階

とま

と

め

段

階で

の

生徒

の

認

識

内

容

を知

識の

構造

を分析

フ

レー

ム

ワ

ー

ク

と

して分

析

して

い

く。

予想

段

階

では

,

「ア

メ

リ

カ合

衆

国

は

なぜ

多

くの種

類

の

農

畜産

物

を

大量

に

生産

で

きる

のか

。」

とい

う学

習

問

題

に

対

して

,

6名の

生

徒か

らのべ52

の

予想

が

案

出され

て

い

る

。た

と

えば

,

「土地が

広

いた

め

。

」

「農

畜産

物

を

つ

くる

の

に

,

気候

が

適

して

いる

か

ら

。

」

「品種

改

良

が

進

ん

で

いるた

め

。」

「機

械

化が

進

ん

でいるため

。」

「み

ん

なが

協

力

して

いる

か

ら

。

」

「がん

ば

ろうと思

っ

て

いる

か

ら。

」

「農

業

を

して

い

る

人が

多いか

ら

。」

等

の

予想

が

出

され

て

いる

。

また

,

ま

とめ

段

階

では

,

学

習

問題

に

つ

いて次の

よ

う

な結

論

が

導か

れ

て

い

る

。す

なわ

ち,

「10

%

に

も満た

な

い大

規

模

農

場が

,

ア

メ

リカ合

衆

国

全農

場

の50

%

以上の

(3)

土地を所有

し

,

アメ

リカ合衆

国の全農場の60

%

以上を

占め

ているか

ら

。」

「日本

よりもは

るかに

面積が

広

く,

気候にも恵まれ

,

自然条件

を生か

した適

地適作が行わ

れ

てお

り,

昔から農業生産に力を入れ

ている

。

「アメリ

」

カ合衆

国の農業には,

大型の機械や品種改

良が加わっ

ている

。」

ところで

,概念探究過程における知識の構造

を示す

と図

1のよ

うになる

。

ア

メ

農

リカ合

業に

お

ける

衆

国=世界

生産

力の

的な

発展

農

の

業生

高

度

産

化

国

會

B少数

の

大

規

模経

営農

場へ

の

生産

の

集

中

化

C農産

物

生産

の

地

域

分

化の

進

展

D農

業

関連

産

業の

発

達

E農

業に

関

連す

る技

術

革新

の

進

展

図

1 

概念

探究

過

程

に

お

ける

知識

の

構造

図

1を分

析

フ

レ

ー

ム

ワー

ク

と

して

,

授

業の

予想段

階

とま

とめ

段

階

に

お

ける

生徒

の

認

識

内

容

を分

析

した

。そ

の

結

果

,

予想

段

階で

は

,

次の

2点が

明

らか

と

な

った

。

① 

学

習

問題

に

対

して

,

図

1のB,

C,

Dに関

する

予

想が

ま

った

く見

られ

な

い

。す

なわ

ち,

資本

主義

的な

農

業の

構

成

要

素

と

しての

少数

の

大

規

模経

営農

場へ

の

生産

の

集

中化

,

農

産

物

生

産の

地域

分

化

の進

展

,農

業

関連

産

業の

発

達

に

つ

いて

は

認識

され

て

い

な

い

。

② 

図

1の

A

,

Eに

関

して

は

,

出

され

て

いる

予想

が具

体性

に乏

しい

。例

え

ば

Aに

関

しては

,厂

ア

メ

リカ合

衆

国は

土地が

広

い

の

で

,

農

業に適

して

いるか

ら。」

「気候

が

あ

って

いるた

め

。」

等

。また,

Eに関

して

は

,厂

品種

改

良が

進

ん

で

い

るた

め

。」匚

日本

よ

りも

機

械

の

規模

が

大

き

くいっぺ

ん

に

おわ

ら

して

しま

うた

め

。

」

「 ̄

技

術

が

進ん

で

いるた

め

。

」等

。

次

に

,

ま

とめ

段

階に

つ

い

て

。ま

とめ

段

階

に

お

ける

生

徒

の

認

識

内容

を分

析

す

る

と次

頁の

図

2の

よ

うに

なる

。

図

2

を分析

した

結

果

,

次

の

2点が

明

らか

と

な

った

。

① 

豊

か

な

自然

条件

,

少

数の

大規

模

経

営

農

場へ

の

生産

の

集

中化

,

農

産

物

生産

の

地域

分

化

の

進

展,

農

業に関

連

す

る

技術

革

新の

進

展

に

つ

い

ては

具

体

的

な

内容

をも

とに

ま

とめ

られ

て

いる

。

77

② 

農

業

関連

産

業の

発

達

に

つい

て

は

,

不

十分

では

ある

が

,

具

体

例

が

示

され

て

いる

。

以

上の

分

析

か

ら

,

予想

段

階

よ

りも

ま

とめ

段

階のほ

う

が

,

よ

り具

体

性

に

富み

,

深

ま

りの

あ

る

認識

内容

となっ

て

い

る

こ

とが

明

らか

とな

っ

た

。

この

結

果

か

ら

明

らか

な

よ

う

に

,

Iで

示

した

概

念

探

究

過

程は

,

生徒

に資本

主義

生産

シス

テム

とい

う視

点か

らア

メ

リカ合

衆

国の

農

業に

つ

い

て認

識

させ

る

こ

とが

で

きた

の

で

ある

。同

時に

,

資

本

主

義

的

生産

活

動

を行

って

い

る

地域

や

国

に

つ

いて

,

よ

り深

ま

った

見

方

を

させ

る

こ

とが

で

きた

とい

え

よ

う

。

Ⅲ 

価

値

分析

過

程

に

お

ける

生徒

の

認

識

内

容

とそ

の分

析

価

値

分

析過

程

は

,

応

用

段

階か

ら価

値

分

析段

階

に

あた

る

。事

実

分析

,

未

来

予測

を各派

で

お

こな

った

後,

2時

間か

けて

討

論

を行

った

。討

論の

中か

ら,

両派

の

主張が

明確

に

述べ

て

ある

発

言

を

以

下に

示す

。

《大

規

模

化

推進

派

》

・ 

この

前の

ビデオ

を見た

と

き,

ブラ

ジル

の

農

業

生産

が

増

加

し

,

ア

メ

リカ

合

衆

国の

生産

高

が

落

ち込

んで

い

る

様

子

が

出

て

いま

した

が

,

他

の

国が

大

規模

化

を進め

て

生産

を増

や

して

い

け

ば

,

ア

メ

リ

カ合

衆

国の

経済

に

も影

響

が

出

て

くる

と思

い

,

大規

模

化

を推進

して

い

く

必要

が

ある

と思

います

。

それ

で,

中小

規模

の

農

場を

保

護

す

る

政

策

を進

め

て

い

くとア

メ

リカ

合

衆

国全

体が

危

機

に

陥

る

可能

性

が

ある

の

で

,

保

護

政

策

には

問題が

あ

る

と思

い

ます

。

・ 

中小

規

模の

農

場の

人が

農

業

をや

め

た

り,

自殺

した

りす

る

のは

,

ア

メ

リカ

合

衆

国

全体

と他

の

国の

生産高

が

増

えて

い

るか

らで

す

。

中

小規

模

の

農

場

も倒

産

しな

い

よ

うに考

えて

,

大

規

模

化

を進

め

て

い

け

ば

よい

。大

規

模

化

を進

め

る

こと

に

よ

って

,

農

業に

関す

る

様々な

不

況が

な

くなっ

て

い

き

自殺

者

も

減

っ

て

い

く

と思

いま

す

。

・ 

この

前の

ビデオ

の

中

で,

農

地

を売

った

場

所

で小作

人

と

して働

いて

いた

人が

いま

した

が

,

あの

人たちは

何

千万

かの

借

金

を抱

え

て

いて

,

それ

で

も農

業をや

り

た

くて

,

大規

模

農

場

で働

いて

お

り,

い

つかは

買い戻

そ

う

と頑

張

って

いま

した

。だ

か

ら,

他

の

仕

事

を

して

土地

を持

って

い

る人

も実

際

に

農

業

をす

る

人が

必

要

な

の

で

,

失

業

した

農

民

で

大規

模

農

場

の

小作

人

と

して働

けれ

ば

,

少

な

くとも収

入が

あるわ

けだ

し,

好きな農

業が

で

きるわ

けだ

か

ら収

入

が

少

な

くても

苦

には

な

ら

な

い

と思

い

ます

。

・ 

農

業の

こ

とだ

け考

えれ

ば,

中

小規

模の

農

場

がかわ

いそ

うにみ

える

けれ

ど

,

大規

模

化

して

生産

を増や

し

て

いか

なれ

ば

,

国全

体

の

貿

易が

減

って

,

経済

的な状

況が

悪

くな

るか

らで

す

。つ

ま

り,

競

争

しな

けれ

ばな

(4)

ア メ リカ 合 衆 国 の 農業 は生 産力 が 高 い 。 ア メ リ カ 合 衆 国 は 世 界 的 な 農業 生 産 国 で あ る。 1「 [豊 か な 自 然 条 件卜 一 一一一一一--一一 ○ 日 本 よ り も は る か に 面 積 が広 く, 気 候 に も恵 ま れ, ・ ・ ・ ・ ア メ リ カ合 衆 国 の農 地 面 積 は 4 億 1382 万ha ( ア メ リカ 合 衆 国 の 土 地 の 約46 % ) で 世 界 第 4 位 , 耕 地 面 積 は 希回-   1 億8788 万ha ( アメ リ カ合 衆 国 の土 地 の 約20 % ) で 世 界 第 2位 にな っ て い た。 等

資 本主義的な農業

………- ……… −[少 数 の 大 雛 経 鷦 業 へ の生 齟 蚪 化 ]…… ……… ○10 % に も満 た な い 大 規 模 農場 が,ア メ リ カ 合 衆 国 全 農 場 の50 %以 上 の土 地 を 所 有 し,ア メ リ か 合 衆 国 の 全 農 場 の売 り 上 げ の60 % 以 上 を 占 め て い る。 ・ 農 地 面 積400ha 以 上 の農 場 ∼ 約6% (1978) 。・ 売 り 上 げ10 万 ド ル以 上 の 農 場 ∼ 約9 % (1978) 。 ・ 農地 面 積400ha 以 上 の 農 場 ∼ 全 農 場 の 農 地 面 積 の約58 % を 所 有(1978) 。 ・ 売 り 上 げ10 万 ド ル以 上 の農 場 ∼ 全 農 場 の売 り 上 げ の約62 % を 占有(1978) 。 ・ 農 地 運 用 会 社 が 農 場 を 管 理 し , オ ー ナ ーは 他 の仕 事 を し て い る( 医 者 , 会 社 の 社 長 な ど ) 農 場 もあ る。 等 「 曲 十1 臨 心 十・-l 汕 岫 /り しxT、`迚g ¬ ○ ・ ‥ 自 然 条 件 を 生 か し た適 地 適 作 が 行 わ れ て お り , 昔 か ら農 業 生 産 に 力 を 入 れ て い る 。 ・ ア メ リカ 合 衆 国 で は自 然 条 件 を 生 か し た 適 地 適 作 が 行 わ れて い る。 ・ 潅 漑 農業 を 行 う こ と に よ っ て , 農 地 を 拡 大 し て い る。 等 「 曲 当 け 朋 壬 2 廿 余 岔 妬zr、 こ社 日i!1 ○ ア メ リ カ 合 衆 国 の 農 業 に は, 大 型 の機 械 や 品 種 改 良 が 加 わ って い る。 ・ 工940年 と80年 の1ha 当 たり の 収 穫 を 比 較 す る と ,た と え ば ,小 麦 で 2 ト ンか ら 3ト ンヘ , と う も ろ こ し で 3 ト ン か ら 6 ト ンに 増 え て い る 。 こ の よ う に 農 産物 の生 産 も年 々 増 え て い る こ と が わ か る 。 ・ 品 種 改良 の代 表 的 な も ので あ る ハ イ ブ リ ッ ド コ ー ン が1950 年 代 に と う も ろ こ し を 生 産 す る す べて の 農 家 に 導 入 さ れ た。 そ の結 果 , 生 産 が大 幅 に ア ッ プ し た 。 ・ 機 械 の 性 能 も向 上 し て い る。 た とえ ば, 小 麦 1ト ン 収 穫 す る の に か か る時 間 が1940 年 に は15 時 間 か か っ た の が,1980 年 に は 3 時 間 と短 縮 さ れて い る。 等 ………¨……… …[ 農類 連 麒 ( 麒 に 関 す る 分 業 体 制 )の 発達 ]……-… ……… ・ 種 子 を つ く る 会 社 が 数 社 あ り , こ れ ら の 会社 が 競 争 を し な が ら, 品 種 改 良 を 行 っ て い る。 ・ 小 麦 刈 り 取 り 業 者 が 存 在 し て い る。 図 2  図 1 を フ レ ー ムワ ー ク と し て 分 析 し た ま と め段 階 に お け る生 徒 の 認 識 内 容 らな い の は,貿 易 を 通 し て 国 を 豊 か に する た めで す。 もし 貿 易 で 他 の国 に 負 け れ ば ,国 が 貧 し く な っ て し ま う か ら で す 。 そ の こ と に つ い て は納 得 し ま す 。 資 料 に 載 っ て い る危 機 に 陥 っ て い る の は 中小 規 模 の農 場 が 集 ま っ て い る と こ ろ で ,そ こ に あ る お 店 を 守 っ てい こ う と し た ら ,中 小 規 模 の 農 場 か ら 守 っ て い か な け れ ば な ら な いと思い ます。 し かし,農業 をして いる人 た ちだ けを守 って いくこと はで きないか ら,これ以上 貿 易 を少 なくし てい った らアメリカ合衆国 の立場 は悪く な るば かり で,工業 の面 でも悪い影響 が出 るん じ ゃ な いかな と思 うので ,少 しでもいい から大規模 化 を 進 めてい く必 要があ ると思います。 そんなこ とはない と思 う。 今 まで中小 規模 の農場

(5)

とし て や っ て き た わ け で ,も し も 米 な ど 作 物 の 値 段 が 下 が らな け れ ば ,つ ぶ れ る こ と はな か っ た と 思 い ま す 。 そ し て 農 業 は 自 分 の身 につ い て い る わ け だ か ら,大 丈 夫 だ と 思 い ま す。 《 中 小 規 模 農 場 保 護 派 》 ・ し か し ,現 在 で も中 小 規 模 の農 場 の 農民 の中 か ら, 自 殺 す る人 が 出 て い る の だ か ら ,大 規 模化 を 進 め て い け ば ,自 殺 す る人 が増 え て い く ので は な い か 。 ・ な ぜ 保 護 政策 を 取 る の が良 い か と い う と ,こ の ま ま ア メ リカ 合 衆 国 の農 業 が大 規 模 化 し て い け ば ,中 小 規 模 農 場 の 倒 産 が 増 加 し ,さ き ぼ ど 述 べ た よ う に 自 殺 す る農 民 が 増 え て く る。 ま た ,離 農 す る 農 場 が 多 い 農 村 社 会 で は ,車 の デ ィ ー ラ ーや 家 具 店 ,洋 服 店 ,食料 品 店 の売 り上 げ が 減少 し ,店 を 閉 め る 人 が 後 を た た な い と い う こ と で あ る。 し た が っ て ,中 小 規 模 の 農場 を 保 護 す る政 策 を 打 ち 出 さ なけ れ ば , 農 村 社 会 の崩 壊 が 今 以 上 に 進 んで い く と考 え られ ます。 で も ,土 地 を 持 っ て い る の は ,農業 を し て い る 人 た ち だ けで な く ,他 の 仕 事 につ い て い る人 た ち も い る。 そ う い う人 た ち が ,農 業 を し て い る人 と一緒 に, 大 規 模 化 す ると な る と ,他 の仕 事 に つ い て 土 地 を 持 っ て い る人 は,二 つ の 収入 が あ る わ け で , そ ち ら の 方 が 有 利 に な る。 し た が っ て ,共 同 し て 大 規 模 化 す る の は難 し い と 思 い ま す。 さ っ き中 小 規 模 の農 場 が 共 同 し て大 規 模 化 を 進 め て い け ば 良 い と い っ た け ど ,現 在 の ア メ リ カ 合 衆 国 が 進 ん で い る大 規 模 化 の方 向 と は違 う と思 い ます が , そ の こ と に つ い て ど の よ う に 考 え て い る の で す か。 な ぜ 離 農 す る 農 家 や 自殺 す る 農 民 が 後 を立 た な い の に ,他 の 国 と 競 争 し なけ れ ば な ら な い の で す か 。 ス プ リ ン グ大 統 領 の方 は大 規 模 化 を 進 め て い か な い と ア メ リ カ合 衆 国 全 体 が 危 機 に 陥 る と い う 意 見 で す が 資 料 に よ る と ,現 に 店 がつ ぶ れ る な ど 農業 以 外 で も危 機 に 陥 っ て い ると こ ろ も あ る。 農 地 運 用 会社 は プ ロ の農 民 し か 雇 わ な い と い っ て い る わ け で, 一 度 農業 に 失 敗 し た 農 民 を 雇 っ て 経 営 を 行 っ て い っ た ら ,売 り 上 げ が落 ち る ので はな い か。 と こ ろ で ,価 値 分 析 過 程 に お け る知 識 の構 造 を 示 す と図 3 のよ う にな る。 79

匹│

呑  H 中 ・ 小 規 模 の 農 場 の離 農 ・ 経 営 悪 化 凸 農 村 社 会 の崩 壊 ・ 過 疎 化

兮

四

回 已

図 3  価 値 分 析 過 程 に お け る知 識 の構 造 ’図 3を 分 析 フ レ ー ム ワ ー クと して ,両 派 の生 徒 の 認 識 内 容 を 分 析 し た 結 果 ,そ れ ぞ れ図 4 ,5 のよ うに な っ た。

_I_

│ 大 規模 化 |

兮 m r…---ア メ リ カ 合 衆 国 の 経 済 へ の 影 響...….. | ア メ リ カ 合 衆 国 の 生 産 高 の落 ち 込 み | 兮 │--…他 の 国 ∼ 大 規 模 化 ⇒ 生 産 の増 加 イ |   ブ ラ ジ ル の 農 業 生 産 の 増 加   |

1,

大規模推進政策

図 4 大規模化 推進派 にお ける知識 の構造

(6)

匚百 石

凸 一 一 皿,- 一 一 中 ・小 規 模 の農 場 の 倒 産 自殺 す る農 民 の 増 加 凸 │… … ゛"' ゛'`¨‘"" ‘齟 社 会 の 崩 壊 … … … | .        l i  車 の デ ィ ー ラ ー や 家 具 店 , 洋 服 店 , | |  食 料 品 店 の 売 り 上 げ が 減 少 し , 店 を  | |  占 め る 人 が 後 を た た な い .      | 1...・・・---やー---゛-4----S`--・2

↓

中小規模農場保護政策

図 5 中小規 模農場保護 派における知識 の構造 図 4 , 5 を 分 析 す る と , 両 派 の 知 識 の 構 造 は , 《 [ 原 因 ⇒ 結 果 ]・ 争主 張 》 とい う 構造 に な って い る。 こ の 構 造 に示 さ れ る よ う に ,個 々 の 具 体 的 な事 象 に 関 わ る の も の で は な く ,よ り 説 明 力 の 広 い 概 念 化 さ れ た 事 実 を 根 拠 に し た主 張 と な っ て い る。 以 上 の分 析 か ら, 両 派 は そ れ ぞ れ大 規 模 化 の原 因 と 大 規 模 化 の 影 響 を 根 拠 と し て ,各 派 の立 場 の正 当 性 を 主 張 し て い る。 つ ま り,生 徒 は 厂大 規 模 化 」 に つ い て 調 査 し た 内容 を 十 分 に 生 か し て ,討 論 を 行 って い る の で あ る。 こ の 結 果 か ら 明 ら か な よ う に ,I で 示 し た 価 値 分 析 過程 は,アメリカ合衆国 の農業 が抱え る問題 につ いて 生徒 に合理 的な意志決定 を行 わせ ること がで きた ので あ る。同時 に,資本主義的生 産活動を行 って いる地 域 や国 が抱 える問題 につ いて,より深 く考えさ せる こ と が できたといえ よう。 お わり に 本論で は,「課 題学習」 の趣 旨を生か した 匚様 々な 地 域」 の授業 構成について 提案 した。 今回 の分析で,「様々 な地 域」の学習 にお け る生徒 の社会 的見 方・考え方 を育 成す る上 で,生徒 の多 様 な 発想や 調査活動を十分 に生 かし て[概念 探究 十価値 分 析] で学習指導過程を設 計す ることの有 効性 の一端 が 明 らかとなっ たといえよう。し かしな がら,仮説 に基 づ いて設計し ,実 践した授業 が一 つであ り,分 析結 果 として十分 とはい えない。今後 研究の蓄 積に よって仮 説 の有 効性を確か なものにして いく必要 があろ う。 < 注> 1) 生 徒 の多 様 な 発 想 や調 査活 動 を 十 分 に 生 か し た [概 念 探究 十 価 値 分 析 ] の 学 習 指 導 過 程 に つ い て は , 以 下 の 文 献 を参 考 に し た。 ・  岩 田 一 彦 他 編 著 『 中 学 校 社 会 個 を 生 か す 「 課 題 学 習 」 と は』 東 京 書 籍,1990. ・  岩 田 一 彦 編 著 「 小 学 校社 会 科 の 授 業 設 計 」 東 京 書 籍。1991. 2) 授 業 設 計 に お け る教 科 内容 及 び学 習 内 容 に つ い て は ,以 下 の論 文 に詳 し い 。 ・  拙 稿 「 内 田 義 彦 氏 の 経 済 認 識 の モ デ ル を 組 み込 ん だ 社 会 科 教 科 内 容 の研 究 」 社 会 系 教 科 教 育 学 会 『 社 会 系 教 科 教育 学 研 究 』 第2 号,1990, pp. 81-86.

参照

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