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壁面照明を用いたサーカディアン照明が快適性と集中度に与える影響の検証

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Academic year: 2021

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192回 月例発表会(201811月) 知的システムデザイン研究室

壁面照明を用いたサーカディアン照明が快適性と集中度に与える影響の検証

中本 絢景

Ayaka NAKAMOTO

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はじめに

執務者の生体リズムの乱れは,執務者の生産性や集中度 の低下を助長する. この生体リズムの乱れを改善するため に,天井照明の色温度を時間ごとに変更するサーカディア ン照明システム(以後,サーカディアン照明)が提案され ている.サーカディアン照明は執務者の作業時における快 適性や集中度を向上させるだけでなく,夜間の深い睡眠を 促すことで,疲労回復やストレスの軽減にも効果がある. 特に生体リズムの調整が弱体化している高齢者に対しサー カディアン照明の有効性が実証されている1) しかし,オフィスの天井照明には色温度や照度を変更で きないものが広く用いられているため,サーカディアン照 明を導入することは容易でない.また,天井照明をサーカ ディアン照明に変更するにはコストがかかるという問題が ある.そこで,安価で設置ができ,部屋の雰囲気を容易に 変更可能である壁面照明を用いてサーカディアン照明(以 下,サーカディアン壁面照明)を再現した.本研究では, 作業時にサーカディアン壁面照明が被験者の快適性と集中 度に与える影響を検証する.

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サーカディアンリズム

我々は,地球の自転周期に合った約24時間のリズムで 生活している.このリズムは昼は覚醒,夜は睡眠というサ イクルの繰り返しであり,サーカディアンリズムと呼ば れる.サーカディアンリズムは24時間より少し長いため 地球の自転周期とのずれが生じるが,光を用いることで周 期のずれをもとに戻すことができる2) .そのためサーカ ディアン照明では,午前中から正午にかけて色温度を上げ る.また,正午は最高色温度にし,夕方に向けて色温度を 下げる.

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サーカディアン壁面照明が快適性や集中度に

与える影響の検証

3.1 実験目的 本実験では,サーカディアン壁面照明がディスプレイ作 業時に被験者の快適性と集中度に与える影響を検証する. そのため,サーカディアン壁面照明点灯時と壁面照明一定 点灯時の2パターンの照明環境において,被験者の作業時 における快適性と集中度を比較する.また,一定時間ごと に被験者の選好色温度を検証する.これらの検証により, サーカディアン壁面照明の有効性を示す. 3.2 実験環境 被験者実験を行った環境をFig. 1に示す.実験室には 壁面照明としてPhilips Hueシングルランプ8灯を使用 した.また,天井照明は三菱電機製調光調色LED照明12 灯を使用した.本実験で使用する机は幅1200mm,奥行 700mm,高さ720mmである.机の配置として,被験者が ディスプレイ作業時に壁面全体が見渡せるよう壁面と机を 十分に離した.また机上面照度,色温度は500 lx,4000 K とした.集中度が高いほど瞬きの数が減少し,低いほど増 加するという相関関係がある3)ことから,実験中,被験者 の瞬きの数を計測するためにJINS MEMEを使用した. 7.2 6.2 ଠ࡛, ✃⾱≱ [m] 3.0 ,<Q ௜դ᪇Ꮐ ஘⹥᪇Ꮐ 3.6 Fig.1 実験環境平面図 3.3 実験手順 本実験は,1グループ2名,計4名に対して行う.1グ ループの内被験者1名はJINS MEMEを装着する.また, 被験者は机上面照度が500 lxの環境でサーカディアン壁 面照明点灯時と壁面照明一定点灯時それぞれ12時から18 時まで6時間ディスプレイ作業を行う.サーカディアン壁 面照明点灯時の実験開始時における色温度は6500 K,実 験終了時における色温度は2500 Kとする.また,壁面照 明一定点灯時の色温度は,3600 Kとする.これは,実験 の中間時刻の15時におけるサーカディアン壁面照明の色 温度である. 実験は以下の手順で行う.被験者は実験開始時刻である 12時に適した壁面照明の色温度を選択する.選択できる 壁面照明の色温度は,Philips Hueシングルランプで実現 できる2000 Kから6500 Kの範囲内から8段階である. その後ディスプレイ作業を行う.1時間のディスプレイ作 業後,被験者は作業の快適性と集中度について評価を行う. 評価は,7段階SD法を用いた主観的評価である.また, 主観的評価と同時にその時刻に適した壁面照明の色温度を 選択する.この手順を実験終了時刻である18時まで1時 間ごとに行う.本実験は実験時間が長いため,1時間以内 であれば退出可能とした.また,瞬きの数はJINS MEME を用いて主観的評価の前後30分間を計測し, 1分あたりの 瞬きの数を算出した.なお,1分あたりの瞬きの数は被験 者の退出時間を除いた平均である. 1

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実験結果および考察

4.1 作業時における快適性と集中度の評価の比較 サーカディアン壁面照明点灯時と壁面照明一定点灯時に おける被験者4名の快適性に関する評価の平均をFig. 2 に示す.Fig. 2の結果より,壁面照明一定点灯時と比較し サーカディアン壁面照明点灯時では快適性が向上する.そ のため,サーカディアン壁面照明は作業時においてサーカ ディアン照明と同様に快適性を向上させると考えられる. Fig.2 被験者4名の快適性の平均 サーカディアン壁面照明点灯時と壁面照明一定点灯時 における各被験者の集中度に関する評価をFig. 3に示 す.Fig. 3の結果より,壁面照明一定点灯時と比較しサー カディアン壁面照明点灯時では集中度が向上する傾向が ある. Fig.3 各被験者の集中度評価 また,JINS MEMEを用いた生体的評価における1分 あたりの瞬きの数に関する結果をFig. 4に示す.Fig. 4 より,サーカディアン壁面照明点灯時ではほとんどの時刻 において壁面照明一定点灯時より1分あたりの瞬きの数 が少ない.そのため,被験者は壁面照明一定点灯時と比較 しサーカディアン壁面照明点灯時では集中しているといえ る.Fig. 3とFig. 4より,主観的評価だけでなく生体的 評価においてもサーカディアン壁面照明は作業時において サーカディアン照明と同様に集中度を向上させると考えら れる.

Fig.4 JINS MEMEによる瞬き計測

4.2 壁面照明の選好色温度の比較 壁面照明一定点灯時において被験者4名が1時間ごとに 選好した色温度の平均をFig. 5に示す.Fig. 5の結果よ り,壁面照明一定点灯時において被験者4名が選好した色 温度は時間ごとに低くなる傾向がある.これは,正午は昼 食後の眠気を覚ますため高色温度を好み,夕方は屋外の色 温度が下がるため低色温度を好むと考えられる. Fig.5 被験者4名の選好色温度の平均

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結論と今後の展望

被験者実験を行った結果,被験者の選好する色温度は正 午から夕方になるにつれ低くなる.また,サーカディアン 壁面照明を利用することで作業時における被験者の快適性 と集中度が向上した.今後はデータの信頼性を向上させる ために,さらに被験者数を増やして検証を行いたいと考え ている. 色温度に関して本実験で用いたサーカディアン壁面照明 では正午から夕方にかけて色温度を下げた.今後は午前中 から正午にかけて色温度を上げるサーカディアン壁面照明 を用いて,同様の実験を行いたいと考えている.また,本 実験では壁面照明一定点灯時として3600 Kで実験を行っ た. 今後は,天井照明と同じ色温度である4000 Kや最高 色温度である6500 Kで壁面照明一定点灯した際に選好す る色温度に関する検証も行いたいと考えている.

参考文献

1) 久米功人,川瀬貴晴,吉岡陽介,大林史明,関川智,昼 光利用サーカディアン照明が人体に及ぼす影響,空気 調和・衛生工学会大会学術講演論文集(2006). 2) 西村唯史,生体リズムを考慮した照明制御,電気設備 学会誌(2013). 3) 田中裕,覚醒水準と瞬目活動,心理学研究,Vol. 70, No. 1, pp. 1–8 (1999). 2

参照

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