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コロナ禍におけるイタリアのレッジョ・エミリア市の乳幼児教育が示唆すること : 参加・対話・連帯に着目して

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コロナ禍におけるイタリアのレッジョ・エミリア市の乳幼児教育

1)

が示唆すること

〜参加・対話・連帯に着目して〜

Exploring the Organization and Practice of Early Childhood Education of Reggio Emilia,

Italy in the crisis of COVID-19:

Focusing on Participation, Dialogue, and Solidarity

森   眞 理

MORI, Mari 要旨:2020 年に全世界にパンデミックをもたらした新型コロナ感染症により、私たちの社会的生活が制限 されることとなった。コロナ禍は、全世界の乳幼児の生活、特に教育保育施設における生活にも多大 な影響を及ぼしている。本稿は、子どもの権利の保障と街ぐるみで子どもを育てることを柱に、参加・ 対話・連帯を重視しているイタリアのレッジョ・エミリア市に焦点をあてて、ロックダウン期間にお ける幼児教育実践を概観し、参加・対話・連帯との関係性を考察した。自治体立の乳幼児教育施設機 構と協働して、国内外の専門性研修や国際ネットワークをするレッジョ・チルドレン主催の活動にお いて、子どもが参加し、子どもと大人が対話し、乳幼児教育施設をはじめとする自治体の様々なプロ ジェクトとの連帯が見られた。危機の中における乳幼児教育の柱について語り合い、共有する実践に 向けて示唆が与えられた。 Abstract

In 2020, COVID-19 became a pandemic and made people limit their social lives. The situation has also influenced the lives of young children, and facilities for early childhood education and care. This study focused on how Reggio Children, the organization working with infant-toddler centres and preschools (at a municipality level and internationally) to defend and promote the rights of children, has worked with children and their families during lockdown. The activities have revealed the strong bond between participation, dialogue, and solidarity with the municipality’s core philosophy. The study suggests the importance of sharing the core values of practice during a crisis.

キーワード: レッジョ・エミリア 参加 対話 連帯 乳幼児教育

神戸親和女子大学 発達教育学部 児童教育学科

1)本稿では、レッジョ・エミリア市自治体立の乳幼児教育施設について言及している。なお、乳幼児としたのは、同市自治体立の施 設に 0-6 歳の子どもが通園していることによる。英語訳では、0−3歳の施設を “Infant-toddler centre”,3-6 歳の施設を “Preschool” と表記していることから、本稿では、それぞれ「乳児保育所」「幼児学校」とした。 1.はじめに:背景と目的 2020 年 は、 新 型 コ ロ ナ 感 染 症(coronavirus disease 2019; COVID-19)の発症で幕が開き、未曾 有のパンデミックとなり幕を閉じた、と言っても 過言ではないだろう。日本では、2020 年 1 月 16 日に初の感染者が報道され、同年 4 月 16 日に全 国に緊急事態宣言が発令され、5 月 25 日に解除さ れるまで、社会的な行動を制限することになった。 2021 年 2 月現在、こうした社会的制約のある状況 は続いており、コロナ下における生活を「一時的 な緊急避難ではなく、中長期的な『常態』として 考えていくことを余儀なくされている2)」と捉え られている。当然ながら、こうした状況は幼い子 どもの生命と生活にも多大な危機状況(影響)を もたらしている。日本の幼児教育・保育機関にお いては、直接的な休園の要請や指示はなかったも

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のの、緊急事態宣言発令にあたり、自主的に休園 し、子どもの登園を自粛した施設が殆どであった。 さらに世界に目を向けると、国全体がロックダ ウンとなり、政府主導で乳幼児教育の場を閉鎖す る動きが見られた。近年、優れた乳幼児教育の 実践として世界中から注目されているイタリア のレッジョ・エミリア市(以下、レッジョ・エ ミリア、又はレッジョと表記)も例外ではない。 2020 年 2 月 24 日に乳幼児教育施設を含む全ての 学校、保育施設が閉鎖され、6 月から 8 月の夏期 は限定して実践した施設もあったが、全ての乳幼 児教育施設が再開したのは、イタリアの新年度の 9 月 7 日であった3)。では、閉鎖された期間、乳 幼児教育施設はどうしていたのだろうか。自治体 立の幼児学校と乳児保育所に通園する全家庭に配 布(配信)される『レッジョ・エミリア市 自治 体の幼児学校と乳児保育所の指針(以下『指針』 と表記:(図 1 参照))』(2014)の冒頭に「教育は、 すべての人、すべての子どもの権利であり、それ はコミュニティの責任である。教育は個人と集団 の成長と解放の場である、すなわち、知識を得る ことと生活するための学びの資源であり、自由と 民主主義とが実践され、平和の価値観が促進され る出会いの場である4)」と表明し、街ぐるみ(コ ミュニティ)で乳幼児教育に取り組むレッジョ・ エミリア市。社会的・身体的に閉じられた生活の 期間であったこの時期において、この表明がどの ように体現されていたのだろうか。本稿では、レッ ジョ・エミリア市の乳幼児教育組織とその教育哲 学、コロナ禍における乳幼児教育の実践を概観す ることを手がかりに、通園が困難な状況における 保育の場の可能性と課題について考察する。とい うのも、困難な時にこそ、乳幼児教育・保育の根 源について問うことが求められ、レッジョ・エミ リアから示唆が与えられると考えられるからであ る。なお、本稿では、レッジョ・エミリア市の日々 の乳幼児教育実践については言及していないこと を断っておく。 2 .レッジョ・エミリア市と乳幼児教育を概観する 2 − 1 .街の歴史・誓いと乳幼児教育の関係性: 街と乳幼児教育のアイデンティティである 「参加」「対話」「連帯」 レッジョ・エミリアは、イタリアの北部エミリ ア・ロマーニャ州の中に位置する人口約 17 万人 5)を有する中都市であり、イタリアの国旗(トリ コローレ)がうまれた街である。同市は肥沃な土 地に恵まれており、パルメジャーノ・レッジャー ノ(チーズ)やランブルスコ(ワイン)で世界的 に有名である。加えて、レジスタンス運動が盛ん であり、第二次世界大戦においてはファシズムに 対抗し続けた歴史がある。戦後、街の復興に「二 度と戦争を起こさない、起こさせない」と平和へ の教育を礎とした幼児学校の設立へと女性が尽力 したのである6)。その後、1963 年に自治体立の 幼児学校(3 − 6 歳)が開設され、1971 年に乳 児保育所(0 − 3 歳)が開設された。 レッジョ・エミリアの乳幼児教育が世界との繫 がりを持ったのは、1980 年代初期から開始され た「子どもたちの 100 の言葉」展覧会やスウェー デンとの研修7)であると認識されているが、世 界に周知されるようになった契機は、今から約 30 年前、米国の週刊誌『ニューズウィーク』の 1991 年 12 月2日号「世界の最も優れた 10 の学校」 特集号にて市内のディアーナ幼児学校が幼児教育 部門で取り上げられた、というのが国内外の認識 であろう8)。同誌で、「アート作品がいたるとこ ろに飾られている」ことやアトリエを中心に繰り 3)Reggio Children, Web conference “New challenges in education today.”(August 27, 2020).

4)レッジョ・エミリア市、森眞理訳・渡邊耕司監修(2014)『レッジョ・エミリア市自治体の幼児学校と乳児保育所の指針』ナチュラル・ スマイル・ジャパン。

5)2020 年 2 月「ローリス・マラグッツィ生誕 100 年祭」における市長ルカ・ヴェッキ(Luca Vecchi)のスピーチによる。 6)レッジョ・チルドレン主催の研修にて、アトリエリスタのヴェア・ヴェッキ(Vea Vecchi)をはじめ、スタッフからこうした話は

何度も語られている。

7)Reggio Children のホームページ(https://www.reggiochildren.it/en/reggio-emilia-approach/timeline-en/)最終閲覧日 2021 年 1 月 6 日; 浅井幸子「スウェーデンのレッジョ・インスピレーション」『発達』Vol. 39. ミネルヴァ書房 . PP. 62-67. を始め、国内外のレッジョ に関する論文や記事等にも明記されている。

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広げられた「葉っぱのプロジェクト」の様子が描 かれたことから、「秀逸なアート作品を生みだす 子どもたち」「アート活動が中心の実践」といっ たレッジョ=アートという狭義のアート観・保育 観が一人歩きしてしまった感がある。同市の教育 思想と実践の要であったローリス・マラグッツィ (Loris Malaguzzi)は、「私たちは、子どもたちをアー ティストにするためではなく、アート的感覚と美 しさを育むために尽力している9)」と、はっきり 語り、「美しさを定義することはとても難しい、醜 いことを定義する方が容易であろう10)」とも語っ た。また、アトリエリスタのヴェア・ヴェッキ(Vea Vecchi)は「美しさを知らない子どもは、劣悪な 環境を受け入れてしまう11)」と、アートと幼児教 育はよりよく生きるための営みであることを語 り、「悪いこと、醜さに対して見ないふりをしな いで向き合い、目をそらさないこと−常に「美」 を探索することです。人の間に生まれる連帯の 「美」を探し続けることです。12)」とも語った。周 囲の世界の美しさを主体的に探索し敬愛しケアす ること、そして、人と人が連帯し、よりよい生活 の創造を日々の実践に据え、そのありようを様々 な媒体により表現することを、アートとして捉え ているのである。 人としてよりよく生きようとすること、よりよ い社会を創造すること、そして、アートとしての 生活の営みに参加し対話しケアすることは、2020 年―2021 年度のレッジョ・エミリアの乳幼児教 育のアイデンティティとして公言されている。後 述するレッジョ・チルドレンの統括長であるクラ ウディア・ジュウディチ(Claudia Giudici)は、「参 加とケアが新学年度に向けて、私たちが大切にす ることのキーワードであり、それは、教育環境、 関係性、専門性、学びへのケアです13)」と述べて いる。乳幼児教育において参加・対話・連帯の重 要性については、『指針』(2014)と『レッジョ・ エミリア の自治体立幼児学校と乳児保育所の事 業憲章:大切にしていること(以下『憲章』と表記) (図 2 参照)』(2021 in press)にも表明されている。 参加とは子どもたち、教育者たち、そして保 護者たちが教育的プロジェクト運営の一員と して定義される価値であり、ストラテジーで ある。・・・参加は、連帯感、責任感とイン クルージョンといった感情や文化を生み出し 育む。14) (『レッジョ・エミリア市自治体の幼児学校と 乳児保育所の指針』より) としており、 教育事業は、対話、継続的で開かれた交流、 コラボレーションとコミュニケーションに よって、よりよいものとなり、誤解や無理解、 葛藤に繋がる想定外の事態というリスクを解 消することになる。幼児学校または乳児保育 所において、大人(職員と保護者)間の関係 性が、確かな教育的価値を持ち、子ども自身 の関係性や社会に対する考えを構築するため の子どもへの規範となる。15) (『レッジョ・エミリア の自治体立幼児学校 と乳児保育所の事業憲章:大切にしているこ と』より) 参加・対話・連帯が乳幼児教育のアイデンティ ティであり、同時に街(コミュニティ)のアイデ ンティであることは、街を歩くと体感する。私も レッジョ・エミリア訪問時に街並みに「自由へと 働く」「民主主義と解放」「連帯」という標語を見 つけること(図 3 参照)や、市民が “Gruppo di Lavoro”(直訳すると「ワーキンググループ」で 9)Moestrup, J. & Eskesen, K.(eds.).(2009)“Conversation with Loris Malaguzzi.” The Danish Reggio Emilia Network. P. 16. 10)上掲に同じ。

11)レッジョ・エミリア市でアトリエリスタのインターンを行なった津田純佳さんの話より。2020 年 11 月 24 日。 12)2017 年 11 月、レッジョ・エミリアでの研修におけるレクチャーから。

13)Reggio Children, Web conference “New challenges in education today.”(August 27, 2020).

14)レッジョ・エミリア市、森眞理訳,渡邊耕司監修(2014)『レッジョ・エミリア市自治体の幼児学校と乳児保育所の指針』ナチュラル・ スマイル・ジャパン .

15)レッジョ・エミリア市、森眞理・藤田寿伸訳(2021 刊行予定)『レッジョ・エミリア の自治体立幼児学校と乳児保育所の事業憲章: 大切にしていること』JIREA.P.未定.

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あり「協働」の意味)を発言するのをよく耳にし てきた。マラグッツィは、幼児学校草創期に、子 どもの姿が市民に見えること、学びのプロセスを 子どもと大人が共有することを重点に置き実践を 展開した16)。佐伯(2014)が、「マラグッツィにとっ て『幼児教育』は『幼児』の教育にとどまるべき ことではない。幼児教育は市民社会全体に『驚き』 と『感動』をもたらす文化的資源であり、社会の 人々みんなで育て、大切にし、味わい、喜び合う べきものだということを、生涯かけて社会に、世 界に、伝えようとした。17)」(P.196)と論じたよ うに、レッジョ・エミリアにおける乳幼児教育は、 閉じられた施設の中で繰り広げられる実践を超え た文化的政治的実践なのである。 2 − 2 .街のアイデンティティと乳幼児教育をめ ぐる組織(構成):自治体、レッジョ・チ ルドレン、レッジョ財団、市―幼児会議、 REMIDA、ジャンニ・ロダーリ実験劇場 演劇財団等 との関係性 レッジョ・エミリアが街(コミュニティ)=社 会の皆で乳幼児教育を育んでいること、参加・対 話・連帯を街のアイデンティティとしていること が、その組織の構成と働きからも知ることができ る。本稿では、自治体立の乳幼児教育機関に焦点 をあてているが、自治体立の乳幼児教育施設が街 のアイデンティティを反映した組織になっている ことは、『憲章』にも明示されている。 乳児保育所、幼児学校、街:0−6 歳のための 統合された公共システム レッジョ・エミリア市の乳幼児事業の組織は、 常に様々な運営提供者により特徴づけられてき た。 事業提供者:自治体、州政府       FISM(イタリアカトリック保育学校連盟) 教育共同体:Coopselios コープセリオ       Ambra アンブラ       Panta Rei パンタ レイ       Comunita educante コミュニタエデュカンテ       Solidarieta 90 ソリダリタ(連帯)9018) この統合された公共組織の構築は「様々なタイ プの特別な協定を通して19)」と『憲章』にあるよ うに、平坦な道のりでなかったことは、マラグッ ツィをはじめとするレッジョ・エミリアの乳幼 児教育に携わった人々から語られてきた20)。自治 体立の乳幼児教育としての独自性をより明確に するために、2003 年、レッジョ・エミリア市自 治体では、乳幼児教育事業の運営のための管理 組織として非営利事業機関の「自治体施設機構 (Istituzione)」を設立している21)。この施設機構は、 市長をはじめ行政に携わる人、実践に携わる人、 現在市内に 3322)ある自治体立乳児保育所・幼児 学校から選出された保護者も携わっている。さら に、乳幼児教育の活動及び組織のあり方について 討議する「市―幼児会議」を構成しており、3 年 毎に選挙によりメンバーを選出する。そこには上 記のメンバーに加えて、卒園児や後述するレッ ジョ・チルドレンの国際ネットワークのメンバー も加わり、「民主的構造を代表する」組織である としている23) 16)C. エドワーズ、L. ガンディーニ、G.フォアマン著、佐藤学・森眞理・塚田美紀訳(2001)『子どもたちの 100 の言葉−レッジョ・ エミリアの幼児教育』世織書房.を参照されたい。 17)佐伯胖(2104)『幼児教育へのいざない(増補改訂版)−円熟した保育者になるために−』東京大学出版会.P.196. 18)レッジョ・エミリア市、森眞理・藤田寿伸訳(2021 刊行予定)『レッジョ・エミリア の自治体立幼児学校と乳児保育所の事業憲章: 大切にしていること』JIREA.P.未定.なお、“Coopselios コープセリオ ” をはじめ提示されているのは、生活組合等共同体が組 織運営する乳幼児教育施設である。 19)上掲に同じ。 20)C. エドワーズ、L. ガンディーニ、G.フォアマン著、佐藤学・森眞理・塚田美紀訳(2001)『子どもたちの 100 の言葉−レッジョ・ エミリアの幼児教育』世織書房;カルラ・リナルディ(2019)『レッジョ・エミリアと対話しながら 知の紡ぎ手たちの町の学校』 ミネルヴァ書房.を参照されたい。

21)Reggio Children のホームページ(https://www.reggiochildren.it/en/reggio-emilia-approach/timeline-en/)最終閲覧日 2021 年 1 月 6 日. 22)2020 年 2 月現在。(レッジョ・エミリアにおける研修・講演資料記録に基づく)。

23)レッジョ・エミリア市、森眞理訳,渡邊耕司監修(2014)『レッジョ・エミリア市自治体の幼児学校と乳児保育所の指針』ナチュラル・ スマイル・ジャパン .

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レッジョ・エミリアにおいて、乳幼児教育施設 は、「地域コミュニティの財産であり、市の現在 と将来の生活の質への投資である」として位置づ けられていることと響き合っているのである。こ の考えは、創造的なリサイクルセンターとしての アイデンティティを有する「REMIDA(レミダ)」 (電気・ガスの企業である iren(イーレン)と提 携している自治体にある 600 余りの企業から素 材を供給され、現職と退職した教師、アトリエリ スタやボランティアが運営)24)や市民に素話や読 み聞かせ、演劇のパフォーマンスや研修を行う 「ジャンニ・ロダーリ実験劇場」(スタッフは自治 体職員・すなわち公務員である)25)との協働とし て反映され根づいている。 さらに、街の財産である乳幼児教育を事業とす る運営は、1994 年 1 月のマラグッツィの突然の 死後に設立された国際機関である有限会社レッ ジョ・チルドレン26)が担っている。レッジョ・ チルドレンの主旨は、「国際的な専門性の交流の 機会に対する要望に応え、マラグッツィの思想を 基底に子どもの権利と子どもが有する潜在性を保 護し促進することを通して、市民と行政従事者を 支えること」である。本稿のコロナ禍におけるレッ ジョ・エミリアの乳幼児教育の実践は、レッジョ・ チルドレンから発信されており、世界中から無償 でイタリア語、英語、アラビア語でアクセスが可 能である。こうしたことは、子どもの権利の保障 の具現化として乳幼児教育に価値を置き、世界と も連帯しようと専心していることが読み取れる。 そのことが誓いとして表明されているのが、『憲 章』にある一文である。 望ましい教育プロセスは、大人が共に生き共に 対話する仕方を分かっていること、尊敬と時には 批判眼的な能力を持ち、すべての子どもの調和的 で穏やかな発達を育む学びと、社会性の文脈を構 築するための異なった役割と機能に対して、共に 責任を担う環境が整ってのみ実践される27)(P. 未 定)(『レッジョ・エミリア の自治体立幼児学校 と乳児保育所の事業憲章:大切にしていること』 より) レッジョ・チルドレンに加えて、レッジョの乳 幼児教育の事業運営と世界への発信・交流を担っ ているのが、レッジョ・チルドレン財団とローリ ス・マラグッツィ国際センターにおける様々なプ ロジェクトである。国際センターには、研修室や 大講義室があり、国内外の保育従事者、研究者や 学生らに向けた研修や、モデナ大学レッジョ・エ ミリア校の講義が行われる。また、市民のアトリ エ、子どもの学びとプロジェクトの軌跡を辿れる ドキュメンテーションセンター、子どものプロ ジェクトの展示、本屋、カフェとレストランがあ り、幼児学校と小学校が併設されている。幼児学 校と小学校へのアクセスは関係者のみであるが、 他の施設には、市民をはじめ誰もが訪問して体験 することが可能である。センターという空間やア トリエにある素材、そこに集う人との関わりを通 して、「誰もが主人公である共―責任の分かち合 いのプロセス28)」を展開しているのである。 レッジョ・エミリア市の乳幼児教育は、現場と いわれる乳児保育所と幼児学校の中に限られてい るのではなく、市民が共有し生きている事業とし て展開していることが、組織のあり方とその価値・ 意味づけからも読み取れることだろう。 3 .コロナ禍におけるレッジョ・チルドレンの働 きと乳幼児教育実践 2020 年 2 月 24 日のイタリア全土に及ぶロック ダウン、そしてそのことに伴う学校・保育施設の 閉鎖により、子どもも大人も外出が困難となっ 24)REMIDA のホームページより(https://remida.reggiochildrenfoundation.org/?lang=en)最終閲覧日 2021 年 1 月 6 日 . 25)ジャンニ・ロダーリ実験劇場のホームページ(https://turismo.comune.re.it/it/contatti/laboratorio-teatrale-gianni-rodari)最終閲覧日 2021 年 1 月 6 日 .

26)Reggio Children のホームページ(https://www.reggiochildren.it/en/reggio-emilia-approach/timeline-en/)最終閲覧日 2021 年 1 月 6 日. 27)レッジョ・エミリア市、森眞理・藤田寿伸訳(2021 刊行予定)『レッジョ・エミリア の自治体立幼児学校と乳児保育所の事業憲章:

大切にしていること』JIREA.P.未定. 28)上掲に同じ。

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た。ロックダウンは、「ソーシャル・ディスタン ス(Social Distance)」の文字通り、社会との関 係に距離を置き、遮断することであった。そうし た中、レッジョ・チルドレンが発信元となり、「家 でレッジョ・エミリアアプローチを」と題して、家 庭で実践する活動をホームページに掲載した29) ここでは、その概要と主たる活動を描き表し、参 加・対話・連帯に着目して考察することとする。 3 − 1 .「 家 で レ ッ ジ ョ・ ア プ ロ ー チ を:At homewiththeReggioApproach」30) 「家でレッジョ・アプローチを」と題して、家 庭における活動の意義を次のように表している。 「ハッシュタグ・私は家にいます(# Istayhome)」 は、子どもたち、保護者、教師、と教育者、 私たち全ての日常の生活様式となっていま す。私たちは困難な時代に生きており、こう した困難な中であるゆえにコミュニティであ り続けたいのです。日々、レッジョ・チルド レンと幼児学校と乳児保育所、レッジョ・エ ミリア自治体の施設機構である私たちは一緒 におり、一緒に遊び、一緒に学校を作るアイ ディアと提案を出していきます。」 と、家での活動を発信し合うことがコミュニティ の連帯を保持することと提示している。「家でレッ ジョ・アプローチを」の活動は、以下 5 つのテー マで構成されている。 1 )「待っている間の物語」:休園期間にレッジョ・ エミリアの乳児保育所と幼児学校の教師と教育 者によって録音された物語選集です。すでに家 庭には届けられていますが、無償で皆さんに届 けます。なお、物語はイタリア語です。 2 )「家で一緒に遊ぼう」:家で発明して遊べるゲー ムの助言と提案です。『音のなぞなぞ』『描画か ら発明』『変容するアイデンティティ:豆の活 動から』『0 − 3 歳の子どもたちへの提案:紙 の多感覚のカーペットを体験しよう、日用品で 遊ぼう』。 3 )「学校を家庭へ」:教師、教育者と保護者のた めの数学、描画をより多くの子どもと一緒に行 う様々なテーマの小さなプロジェクト。『描画 からの調査:木は家族』『自然現象の調査』『数 と遊ぼう』。 4 )「天と地の幼児わらべ歌(ナーサリーライム) となぞなぞ」:このプロジェクトは、2020 年の 「おとぎ話の夜」に披露された様々な言語によ るわらべ歌の選集をレコードに作成した内容で す。このプロジェクトは子どもたちの投稿(貢 献)を引き続き歓迎します。ぜひ、メールや「ワッ ツアップ(チャットアプリ:WhatsApp)に送っ てください。」 5 )「家で本屋さん」:ローリス・マラグッツィ国 際センターのレッジョ・チルドレン本屋さんか ら選んだ本の中からの活動です。『食べものの ことば』からのレシピ、『グラフィックス、こ とば、素材のモザイク』からの異なった描き方、 異なる種類の紙、白と黒は実はたくさんの色、 『コンサート』世界の出版社と作者による児童 書選集。 5 種類の活動のテーマはさらに具体的な活動へ と子どもと大人(保護者)の参加、子ども同士、 子どもと大人の対話を招いているのである。対面 での活動が困難な中、投稿を分かち合うことや、 以前、乳児保育所と幼児学校で展開したプロジェ クトを振り返ったり、再度活動を奨励したりする ことで、コミュニティとして繋がっていることを 保障しているのである。以下、特に子どもの参加 を奨励している 3 つの活動を概観することとす る。 3 − 2 .「家で一緒に遊ぼう」の『音のなぞな ぞ』Playing,togetherathome:Sound riddles このテーマのもと、家で発明して遊べるゲーム 29)レッジョ・チルドレンのホームページ “At home with the Reggio Approach” より。3 の「家でレッジョ・アプローチ」についての出典は、

以下の URL である。https://www.reggiochildren.it/en/athomewiththereggioapproach/ 最終閲覧日 2021 年 1 月 6 日.

30)上掲に同じ。本項の和訳(意訳も含む)は、筆者が英文より行った。ここでの文章は語りかけているニュアンスを含むので、あえ て「です、ます調」を用いている。

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の助言と提案が具体的に提示されている。ここで は、『音のなぞなぞ』を取り上げることとする。 なぜならば、子どもの参加を促し、2021 年 1 月 現在も再生リストを更新しているからである。 この活動提案の背景にある意図は、「私たちが 耳と聴覚に集中する経験を通して、聴くこととい う概念に焦点をあてるためです。聴くことは、思 考と聴覚の素晴らしい組み合わせであり、好奇心 と発見への願いを取得することになるのです」と 明記されている。そして、保護者に向けて、子ど もたちと一緒に音を生み出し、他にどのようなこ とができるのかと想像するように、と奨励してい る。この活動に至ったのは、5 歳 4 ヶ月の女児カ タリーナの「ときどき、おとはあるもののように おもえるけど、ほんとうは、ほかのなにかかもし れないの」という刺激的な発言に感化されたとの ことである。活動の展開にあたり、以下の問いや 投げかけを、奨励している。 ・何の音? ・その音は何を思い起こす? ・その音を聞いたことがあるかな? ・あなたが持っている想像力と一緒にど こかに逃げてしまいましょう、たとえ家 に閉じ込められているとしても、どこか 別の場所にいるように感じることでしょ う。 『音のなぞなぞ』では、なぞなぞの問題の再生 リストの欄をクリックすると、子どもが家で作成 した音が流れてくる。そして、回答の欄をクリッ クすると、回答リストが提示されるのである。「再 生リスト 3」の回答欄をみると、 1 .頰にキスをした音(アダモ、6 歳、チェゼー ナ)、 2 .私の犬のマトリーが庭で犬のビスケッ トを食べている音(アデーレ、5 歳、ヴェローナ)、 3 .接続再生音(レオナルド、5 歳、ラヴェンナ)、 4 .鍵穴(ベアトレーチェ、ジェノバ) 5 .小さ な棒が落ちる音、 6 .ポップコーン(アデーレ、 5 歳とビアンカ、3 歳、レッジョ・エミリア) 7 . 水道管から水が落ちる音(ダニエーレ、7 歳とロ レンツォ、9 歳、ローマ) 8 .小鳥のさえずり(ア グネーゼ、6 歳、ラヴェンナ)、9 .猫のゴロゴロ(ア ダモ、6 歳、チェゼーナ)10.ノアがイースター・ エッグの殻をむいている音(ノア、4 歳、ベルガ モ)11.ノアのおじいちゃんの電動鋸(ノア、4 歳、 ベルガモ)12.ヘアードライヤー(イレーン、ジェ ノア)の音であったことがわかる仕組みになって いる。さらに、音のなぞなぞを投稿した子どもた ちの地名から、レッジョ・エミリアに限定されず、 イタリア全土からの発信であることがわかる。 3 − 3  「学校を家へ」の『木は家族』:School goeshome:Treesarefamily 「学校を家へ」は、教師、教育者と保護者と子 どもが、家庭においてもプロジェクトを展開でき るように、デザインされ提示されている。ここで は、『描画からの調査:木は家族』を取り上げる。 このプロジェクトは、自治体立乳児保育所と幼児 学校で 2019 年度に取り組んだ「森を想像しよう」 プロジェクトを土台に構成されており、木と森に 対して子どもの想像したことが、ビデオで視聴可 能となっている。「家でレッジョ・アプローチを」 として、乳幼児教育施設で展開したことを到達点 としてではなく、継続して前へと歩み続ける姿勢 は、レッジョ・エミリアの乳幼児教育実践の要で あるプロジェクト(イタリア語では、プロジェッ タツィオーネ)と共鳴していることが読み取れる。 『木は家族』プロジェクトの意図について、以 下のように提示されている。 木は知的な生き方を開発してきたのです。つ まり、一つの場に居ても、お互いに食べ物を 与え、繁殖させ、交流し、身を守り、一緒に 遊んできました。誰もの人生にとりわけ特別 な時に、木は知的で、私たちがいつものやり 方とは異なるやり方を持つことの重要性を教 えてくれています。「生きもの」は、レッジョ・ エミリアの自治体立乳児保育所と幼児学校の 学年の始まりのプロジェクトの中で、描画を 通して調査したトピックでした。木はとても 大切な存在であり、木が選ばれたのは、生命 力があり、私たちを含む生きものである家族 の一員で、私たちがよく知っていて、尊敬し なくてはならない兄弟姉妹のような存在だか らです。描画は、私たちの知識を得ることの

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手助けをします、というのも、描画は観察、 好奇心、共感を支える「言葉」であり、その すべての要素はものごとをより注意深く「見 ること」を招き、自分以外のことをよく知れ るように手助けをするからです。乳児保育所 と幼児学校で実践された初期の素材の一部が 収集されて、ビデオにまとめられています。 それは、子どもたちの有能な力と創造性の証 であり、確証なのです。 『木は家族』を家で展開するにあたり、子ども のための大人への助言が記されている。そこには、 「子どもの絵に介入しないこと。なぜならば、木 の構造や組織がどのようになっているのか、子ど もたちが調査する自由を与えたいからである」「し ばしば、大人はよかれと思い、子どもたちに、あ りふれた先入観に基づくステレオタイプ化された 模倣するための見本を与えるが、子どもたちの知 性や創造性を支えることにはならない」と表示さ れている。 また、子どもたちには、具体的な助言が提示さ れている。それらは、 ・ 窓の近くや外で見ることができ、面白いと思 う木を見つけてください。近くに木が見つか らない場合は、木の写真を探して、想像性を 働かせましょう。 ・可能であれば、木に触り、木の幹の樹皮を感 じ、匂いを嗅いで、枝を見て、空の中でどの ように動くのかよく観察して、木々の違いを 確認して、見上げて、木の枝が何であるのか 確認して、空に対してはどのように見えるの か見るのです。 ・木に葉っぱがある場合、触れて、注意深く見 ます。描画中のモデルとして一枚(ただひと つだけの)を選びます。 ・選んだ木が花を咲かせようとしている、また はすでに花が咲いているときは、その花を見 て、どのように異なっているのか発見します。 咲く準備が整っているもの、咲き始めている もの、もうすでに花びらのある部分が落ちて しまっているものもあります。触れますか? 香りがありますか?手が届くのでしたら、2、 3 枚取って、モデルにしようと覚えておきま す。 ・選んだ木が家の近くにある場合は、その木の 周りを歩き、携帯電話で写真を撮ります。木 があなたの想像の中に住んでいたら、その想 像の中で歩き回り、立ち止まり、枝について、 葉っぱについて、そして花について思いめぐ らしてみてください。 ・鳥になり、木を高い上から見ることができる と想像してみます。絵を一枚描く時であって も、場を動くことに親しんで、ある一つのと ころより多くのところから見ることが大切な のです。 さらに、具体的に描画する際に、子どもたちに 向けて、以下の助言を与えている。 ・ 可 能 な 限 り、 大 き な 紙(A3 サ イ ズ、 30X42cm のような)を探します。鉛筆、フェ ルトペン、色鉛筆、クレヨンを使用して木を 描きます。白黒でも、カラーでもどちらでも 好きなようにします。 ・ 間違えることを恐れないこと。大切なのは、 描画中、常に木は友だちだと思っていること です。 加えて、ホームページでは、実際の素材の写真 を示すことや、 ・例えば、根っこはどうなっているかな? ・木は根っこと何をしているのだろう? ・ 地下には他に何がいて、木とどのようにつな がっているのだろう? と、地下の見えない部分も想像するように問い かけている。影やその大きさ、太陽、雨、空気、 風、動物といった木とともにある現象や生きもの についても想いを馳せることへと招いているので ある。 活動の最後には、他の人が家の外から見ること ができるように、外側に向かって窓の一枚に描画 を置くことを提案。参加する子どもがより多くな ると、家の窓にたくさんの木が現れて、少しずつ、 近隣や街じゅうが、緑の森となると記しています。 『木は家族』に参加し、描画のプロセスで木を始

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め身の周りの環境と対話し、掲示することから街 (コミュニテイ)の連帯へと招く体験を促進して いるのである。 3 − 4 .「天と地の幼児わらべ歌(ナーサリーラ イム)となぞなぞ」RhymesandRiddles onheavenandearth 「天と地の幼児わらべ歌となぞなぞ」は、2020 年の自治体立の乳児保育所と幼児学校で開催され た「おとぎ話の夜」(毎年、ローリス・マラグッ ツィの誕生日である 2 月 23 日の前夜、「お話会」 が開催される)に披露された様々な言語によるわ らべ歌選集をレコード化した内容を掲載してい る。掲載されている URL をクリックすると、イ タリアに限定せず、世界のわらべ歌(手遊び)に アクセスすることができるような仕組みになって いる。たとえば、アルバニア、チュニジア、米国 の ”Eensy Weensy Spider”、中国、スウェーデン、 そして日本の「ひらいた、ひらいた」を楽しむこ とができる。このわらべ歌プロジェクトは、子ど もたちからの投稿を引き続き招いており、「ジャ ンニ・ロダーリ実験劇場」とも連動して、わらべ 歌の収集と共有活動を継続し展開している。 4 .まとめ:総合考察、今後の展望と課題 2020 年、全世界なパンデミックにより、子ど もも大人も社会的生活の制限を体験し、乳幼児教 育保育のあり方にも困難さをもたらした。本稿で は、子どもの権利の保障を乳幼児教育の根底に位 置づけ、街ぐるみで子どもを育てることを柱にし て参加・対話・連帯を重視しているイタリアのレッ ジョ・エミリア市に焦点をあてて、ロックダウン 期間における幼児教育実践を概観し、参加・対話・ 連帯との関係性を考察した。 参加については、まず、誰もがアクセスして活 動に参加できるような仕組みであることが示され た。「家で一緒に遊ぼう」の『音のなぞなぞ』の 活動においては常に最新なぞなぞを更新してい る。また、「天と地の幼児わらべ歌(ナーサリー ライム)となぞなぞ」では、イタリアに限定せず、 アルバニア、チュニジア、米国、中国、スウェー デン、日本のわらべ歌を掲載している。さらに、「家 でレッジョ・アプローチを」はイタリア語、英語、 アラビア語で掲載されている。ここには、自治体 立の乳児保育所や幼児学校を訪れると、イタリア 人化学者であり作家であったプリーモ・レーヴィ (Primo M. Levi)の “No matter where you come

from, you are no stranger here(あなたがどこの 出身であっても、ここでは知らない人ではありま せん)” の言葉が実践の価値である標語として掲 示されていることの意味、すなわち、誰もが当事 者であり参加者であることを保障する、という意 思表明であることを確信するのである。 対話については、活動の解説および助言の中 で、「一緒に」行うことが強調されていることが 明らかになった。それは、子ども同士、子どもと 大人という人の対話や、日用品や紙といったモノ や葉や木といった自然との対話を奨励する活動で ある。多様な対話を持つ関係性の中における生活 を重視していることは、レッジョ・エミリアの乳 幼児教育の要でもある。 連帯については、多様な言語や表現活動の提示、 そして、身体的・社会的に離れているが、活動を 通して、子どもも大人もコミュニティの一人とし て繋がっている意識を保持することに尽力してい ることが、活動に反映されていることから読み取 れる。「家でレッジョ・アプローチを」の中の「木 は家族」のプロジェクトは、自治体立乳児保育所 と幼児学校で 2019 年度に取り組んだ「森を想像 しよう」のプロジェクトを土台に構成されてい る。家にいても、子どもたちは前年度に仲間や教 職員と一緒に取り組んだプロジェクトを振り返り つつ、繋がっている、すなわち連帯していること を保障する活動であろう。 レッジョ・エミリアのコロナ禍における活動の 提示は、子どもと子どもの周りにいる人々、自然、 社会を繋ぐ政治的文化的実践に他ならないことが 明らかになった。そして、その根底に参加、対話、 連帯という柱を位置づけており、乳幼児教育が、 子どもととともに市民が育んでいく、という表明 の具現化であることが示されたのである。 本稿では、レッジョ・エミリア市、特にレッ ジョ・チルドレンの働きについて焦点をあてるこ ととした。日本においても 2021 年 1 月現在、コ

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ロナ禍における乳幼児の生命を守り生活するあり 方等に関して省庁、研究機関や団体から情報が掲 載されている。例えば、文部科学省のホームペー ジ31)では、「家庭での遊びや過ごし方の具体例等」 「幼児と一緒に遊ぶときの配慮について」等の事 例紹介、日本心理学会のホームページ32)では、「お 子さんとコロナウイルスについて話しましょう」 と助言と役立つ情報へのアクセス紹介、厚生労働 省のホームページ33)では、「保育所等における新 型コロナウイルス対応関連情報」、東京大学大学 院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター (Cedep)のホームページ34)では、「新型コロナウ イルス感染症(COVID-19)に関する保育・幼児 教育施設対象の国内・海外の先行研究」を掲載し ている。地方自治体においても同様である。本学 の所在地である兵庫県神戸市のこども家庭局幼保 事業課のホームページ35)においても「新型コロナウ イルス感染拡大防止の対応について」と情報を発 信している。今後の課題は、こうした情報と対話 しつつ、日本の中で各園、各地域がどのように困 難な生活の中で実践していたのか、また実践して いるのか探究することである。さらに、子どもの 権利を保障し、子どもと大人が当事者として乳幼 児教育保育に参加し対話し連帯する実践をコロナ 禍や人災・天災といった危機の状況に限らず、日 常の営みとして展開する可能性と潜在性について、 レッジョ・エミリア市の働きと対話しつつ、日本独 自のあり方を探り検討していきたい所存である。 31)文部科学省 「幼児教育について」https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/mext_00456.html 最終閲覧日 2021 年 1 月 6 日. 32)日本心理学会「特設ページ:お子さんとコロナウイルスについて話しましょう」https://psych.or.jp/special/covid19/ talking+to+children/ 最終閲覧日 2021 年 1 月 6 日. 33)厚生労働省 保育所等における新型コロナウイルス対応関連情報 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09762.html 最終閲覧日 2021 年 1 月 6 日. 34)東京大学大学院教育学研究科附属 発達保育実践政策学センター(cedep)「新型コロナウイルス感染症に関する保育幼児教育施設 対象の国内・海外の先行研究」http://www.cedep.p.u-tokyo.ac.jp/event/17963/ 最終閲覧日 2021 年 1 月 6 日. 35)神戸市こども家庭局幼保事業課 https://www.city.kobe.lg.jp/a65174/kosodate/yochien/koronauirusu.html 最終閲覧日 2021 年 1 月 6 日. (図1『指針』の表紙) (図2『憲章』の表紙) (図3街で見かける街の標語バナー:2017 年 10 月 27 日筆者撮影)

参照

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