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中国都市部に在住する中国人の母親の育児幸福感と結婚の"現実" 日本在住の日本人の母親との比較

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(1)

I.緒

言 1979年 か ら中 国で進 め られ て い る1人っ子 政 策 は

,急

激 な人口増加 を抑制す るため に大 きな黄 献 を もた ら した とい える。 こ う した 中で

,1人

っ 子 に よる子育 ての さまざまな問題 につ いて多 くの 研 究報告 が な されている。 なかで も親 の養育態 度 や 子 ど もの性 格 な どの育 ち に着 日 した もの が あ る。 1人 っ子 の子 ど もの知 能

,性

,社

会適応 で は

,依

存性 の高 さや社 会性 の低 さ

,知

的能 力の高 さにつ いて, また着衣重量が 多 く

,戸

外遊 び時 間 の短縮傾 向

,運

動 能力の低 さな どが指摘 されてい る1カ 。子育 てにおけ る親の養育態 度で は,過 保 護, 溺愛

,大

きな期 待 をかけ るな どの傾 向 にな りが ち で

,そ

れ に よ り 1人 っ子 にあ りが ちな子 ど もの性 格を形成 しているといわれている3)。 また

,子

育 てしている母親のイく安が高いにもかかわらず

,一

般 的 な辛 福 感 が 高 い な どの特 徴 が 認 め られ て い る1)。 一般的 な幸福感が高い こ とについては家族 のサ ポー トやお手伝 いな どの ソー シャルサ ポー ト の影響 や子育てに対す る社会の とらえ方が

,わ

が 日の状況 とは異 なってい るこ とが影響 している と 考 え られてい る5)。 中国で は

,子

どもを育 て なが ら働 いてい る母 親が大勢 を占めてい るが

,傍

系 も 含めた親族 間の家事 や 食事 の共 同が 日常 的で

,日

頃か ら世帯 の独 立性 が低 く、子 どものあず け合い も援助 とい うよ り当然 の こ とと して行 われ る。 ま た

,子

どもの面倒 をみ るの は祖 父母 とい う規範が あ る。 さらに

,社

会主義 政策の もと

,共

l〕Jき社会 が形成 されたため

,男

性 の家事 能力が高 く父親が 母親 と対 等 に近 い ケア役割 をはた してい る ことな どが あ る。 一方

,母

親 の育児 ス トレスのlこl際比較 にお いて

原 著

中 国都 市 部 に在 住 す る 中 国 人 の 母 親 の

育 児 幸 福 感 と結 婚 の “現 実

"

一 日本在住の 日本人の母親 との比較―

長野県看護大学

清 水

嘉 子

抄 録 本研究の 目的は

,中

国 と日本の母親の育児幸編感 と結婚の現実の違い

,中

国の母親の属姓要 因 と育児幸福感な らびに結婚の現実の関連性 を検討す ることにある。研究対象者は

,640名

の0 ∼

6歳

の子 どもをもつ中国の母親 と日本の母親 764名 である。研究方法は質問紙調査によ り

,8

つの下位尺度か らなるChndcare Happiness Scale(CHS)を 用い育児幸福感を測定 した。 また, 結婚生活の影響 を検討するため

,3つ

の下位尺度か らなる結婚の “現実

"尺

度 を用いて測定 した。 分析 は統計学的な分析 を行 った。中国 と日本の比較 において

,結

婚の “現実

"で

は中国の母親は 日本の母親に比べ3下位尺度項 目すべ てが高 く

,CHSに

おいて “夫への感謝の念

"な

らびに “子 どもに必要 とされることⅢが高い結果 となった。 また,中国の母親のフルタイム,パー トタイム, 専業主婦

,な

らびに核家族

,複

合家族

,単

身家族のそれぞれ3つの・グループに違いがみ られた。 母親の年齢 は

,CHSの

8つの下位尺度得点な らびに結婚の “現実

"の

下位尺度得点に全 く影響 を与えなかった。中国の母親にとってフルタイム勤務 または核家族であることが

,育

児中の母親 の精神的健康に効果があると考えられた。 キー ワー ド:中 国都市部

,母

,育

児幸福感

,結

婚の現実

(2)

ブ ラジル

,韓

国, 日本 に比 して中国の母 親が最 も 高 い こ とが 明 らか に され て い る°。1人っ子 に よ る育児 に不慣 れで あ る こ とか ら くるス トレス と考 え られ た。実際

,中

国の父母 の幼児 に対す る児童 虐待傾 向 において,母親が高 い傾 向 を示 してお り, 身体 的,心 理 的虐待 が高 い との研 究結果 もあ る°。 このように中国の母親の心理状態についてはい く つかの側面か ら明 らかにされているが, こうした 報告は十分 とはいえない。 とくに

,中

国の母親の 育児幸福感に関連 した要因 との分析 を試みた報告 は見当た らない。そこで

,本

研究では

,中

国の母 親の育児幸福感 と属性要因 との検討を行った。本 研究の仮説は

,中

国の母親の育児幸福感は

,母

親 が働 くことによって子 どもに対するかかわ りの意 義がはっ きりし

,育

児幸福感 を味わえるのではな いか と考 える。 また

,母

親の年齢や

,家

族形態, 就労形態 による育児幸福感にもた らす影響が推測 される。 これ らの仮説 を検証するために清水 ら° が開発 した尺度Childcare Happiness Scale(CHS) を用い

,育

児幸福感 を測定するために使用 した。 また

,結

婚生活が育児幸福感に影響すると考え られることか ら

,柏

木 ら

9に

よる結婚の “現実" 尺度 を用い

,CHSと

の検討 とともに属性要因 と の検討 を行 う。 とくに

,中

国における母親の特徴 を明確にする意味において 日本の育児幸福感な ら びに結婚の現実データとの比較を行っている。本 研究は中国の母親の理解 に直結 した課題の解明に あるが

,中

国在留邦人の母親や在 日中国人の母親 に対する援助への示唆を得 られるものと考える。 Ⅱ

.研

究方法

1.調

査対象 末子年齢が

6歳

以下の乳幼児 を育児 している母 親 を対象 とする。

2.調

査方法

1)調

査地域 ならびに調査施設 中国

T市

5幼稚 国に合計700部を配布 した。

T

市 は中国

4つ

の直轄市 の1つで

,人

口 は600万 人である。 この地域 は中国北部にある環渤海湾地 域の経済的中心地で

,中

国北方最大の対外開放港 である。中国首都 とは高速道路 と高速直通列車 に よって

2時

間以内で結ばれてお り中国の工業お よ び貿易の拠点 として発展 し現在に至っている。 日 本 にお いて は

3市

12保育 園

4幼

稚 園 に合計1,420 部 を配布 した。 東京近郊 にあ る県 に所在 す る人 口 3∼ 5万規模 の 中核 都 市 で あ る

A,E,L市

にお いて調査 を行 った。

2)調

査期 間 中国

2007年

8∼ 9月 日本

2005年

8∼ 9月

3)調

査方法 保 育 園の保 育士 よ リア ンケー ト用紙 を配布 し, 留 め置 いた後

,園

で回収 した。 中国 にお ける調査 依頼 文

,な

らびに調 査用紙 は

,す

べ て 日本語 を北 京語 に翻訳 した もの を用 いた。調査用紙の翻訳 は, 日本語 と北京語 に精通 してい る

,中

国在住 の 中国 人の大学教 員 に依頼 した。

3.調

査 内容

1)母

親 の属性 母 親 の年齢

,子

どもの数

,就

労状況 (フル タイ ム勤務・パー トタイム勤務・専業 主婦

),家

族 形 態 (核家族 ・複合 家族・ 単 身家族

)に

つ いて回答 を求 めた。

2)育

児幸福 感尺度Childcare Happiness Scale (CHS)

CHSの

項 目を選 定す るための予備 的 な研 究Ю) にお いて,育児 中 に感 じる幸せ な気持 ちにつ いて,

Lazarus理

論H鬱 )に基づ い た肯 定的 な情 動 で あ

る①安心

,②

希望

,③

愛情

,①

喜び

,⑤感謝

,⑤

同情

,⑦

誇りの情動を感じる際の場面についての

自由記述 に よって得 られ た場 面 を分 類

,整

理 し, 64項目が選 び出 され た。 これ らの64項目に対 し て,改 めて

5段

階評価(“あて は まる"を 5点∼ “あ ては ま らない

"を

1点

)に

よる回答 を求 め

,調

査 結果 に対 して 因子 分析 (最尤法

,プ

ロマ ックス回 転

)を

行 い8因子

,41項

目を採 用 した9。 各 因 子 は 、次 の とお りで あ る。41項 目全 体 の 内 的整 合性 を表 す α係 数 は0.95。 第 1因 子 は,「子 ど も の成長」

,第

2因子 は,「希望 と生 きがい」

,第

3 因子「親 としての成長」

,第

4因子 は,「子 どもに 必要 とされること」

,第

5因子 は,「夫への感謝の 念」

,第

6因子 は,「 新 たな人間関係」

,第

7因子 は「子 どもか らの感謝や癒 し」

,第

8因子は,「 出 産や子育 ての意義」である。 これ らの8因子 の α係数はすべ ての因子 において十分 な値 (0,867

(3)

∼ 0,768)が 得 られ

,各

項 目の内的整合性が認 め られている。 したがって

,各

因子の項 目を単純合 算 し

,下

位尺度 として分析 に使用す る。

3)結

婚の “現実

"尺

度 結婚生活 をとらえるために

,柏

木 ら

9に

よる3 下位尺度か らなる結婚の “現実"尺度を使用 した。

3下

位尺度項 目は「相思相愛」「夫への理解・支持」 「妻への理解・支持」か らなる12項目で構成 され てい る。オ リジナルでは,「夫へ の理解支持」の 項 目には妻が,「妻へ の理解・支持」 は夫が 回答 す る ものであったが

,本

研究では,「 妻への理解・ 支持」の

4項

目について「夫は

,∼

と思 う」 とい う質問に変え

,妻

(母親

)に

よる夫 (父親

)の

自 分への理解 。支持の度合いを予想 させ る回答 を求 めた。各下位尺度の α係数は,順 に0.89,0,80,0.88 である。本尺度を社会経済背景や家族構造の異 な る国で用いることの妥当性については課題が残 さ れている。今回は

,両

国の比較 において互いの夫 婦関係の認識 をとらえるツール として使用 してい る。

4

分析方法

CHSの

5段

階評価では,「あてはまらない」 を 1点,「 あ ま りあてはまらない」 を

2点

,「どち ら で もない」を3点,「少 しあてはまる」 を

4点

,「あ て は まる」 を5点 と した。結婚 の “現 実

"尺

度 において も同様に点数化 した。その後

SPSS統

計 ソフ トver17による t検 定

2検定

,相

関分析, 一変量 による一般線形モデル分析

,F検

定 を行 っ た。

5.倫

理的配慮 本研究 に取 り組むに当たって

,研

究者が所属す る大学 における平成17年度倫理委員会 の審査 に よる承認 を受けた (承認番号 #19)。 本研究の調 査 に先立ち施設長に研究 目的

,方

,意

,守

秘 義務

,研

究の協力および協 力拒否が可能であるこ となどを説明 し

,研

究の協力へ の承諾 を得た。そ の後保育士 より母親へ,本調査の 目的,方 法,意義, 守秘義務

,研

究の協力お よび協力拒否が可能であ ること

,特

定の個人的情報が遺漏 しない よう処理 す る旨 (コー ド化 し廃棄する),本研究以外にデー タを用いることはしないことを明記 した依頼文を もって説明 を行い

,本

調査 において調査に協力す る と意志表示 した者のみに調査 を依頼 した。質 問紙 の回答 は答 えた くない もの は回答 しな くて もよいな ど本 人の選択 に基づ いて記入 で きる よ っに した。 Ⅲ

.研

究結果

1

調査用紙の回J又率 中国において調査用紙 を回収で きたのは650件 (回収率 926%)。 その うち欠損 回答 などを除いた ため分析 の対象 となったの は640名 (有効 回答 率

914%)で

あった。 日本 において調査用紙 を回 収 で きたの は874名 (回収率 615%)。 欠損 回答 な どを除いたため分析の対象 となったのは764名 (有効 回答率53.8%)であった。

2

対象の属性 中国における母親の就労別人数は

,フ

ルタイム 勤務

808%,パ

ー ト″イム勤務

10%,専

業主婦

8%,母

親の平均年齢 30,9歳

(SD=37)で

あった。 子 どもの数は1人

(SD=0),家

族形態では

,核

家族

58.1%,複

合家族

39,4%,単

身家族2.5%で あった。 また,日本における母親の就労別人数は, フルタイム勤務28.2%,パ ー トタイム勤務29.5%, 専業主婦

39.4%,母

親の平均年齢

344歳

(SD=

45)で

あ った。子 どもの数 は

2人 (SD=0.8),

家族形態 では

,核

家族

66.2%,複

合家族 25.0%, 単身家族 5.6%で あった (表1)。

3.日

本の母親 との比較 中国における調査結果 と

,日

本の母親 を姑象 と した調査結果である

CHS,結

婚 の “現実

"の

比 較 を行 った。2国間による比較のため属性変数に 対す る差の検定を行 った結果

,す

べ ての項 目にお いて有意 な差が認め られた (表1)。 この こ とか ら, 日本 と中国の比較では

,一

変量 による分散分 析 を行 った。 国別要 因 を固定因子 とし

,CHSと

結婚の “現実

"の

下位尺度項 目を従属変数 とし, 母親 の年齢

,子

ども数

,家

族形態

,就

労形態 を 共変量 と して設定 したの ち回帰直線 の平行性 の 検 定 に よって有意で ない こ とを確 認 した。 その の ち一変量 による一般線形モデルによる分析 を 行 った。

CHS,結

婚の “現実

"の

結果では

,表

2 に示 されるように中国では日本に比べ結婚の “現 実

"に

おける “相思相愛",“ 夫への理解・支持", “妻へ の理解・支持

"の

すべ ての下位項 目に高値

(4)

1

母親の属性 母親の年齢

n=640

309■38 日本

n=872

344±45 t値 15748 どもの数 (人) 家族形態

%

581 1.0■0 39,4 族 20±08 33048 値 複合家族

単身家族 662 25 5.6 496.151 25 フルタイム パートタイム 専業主婦 フルタイム パートタイム 専業主婦 母親の就業

%

808 10 8 282 29.5 394 46147 2国間の属性のt, χ2検定はすべての項目において有意差あり (P<001) 表

2

母親 の育児幸福 感 と結婚 の現実 (日中比較) 下位尺度 中 国 日本 子 どもの成長 希望 と生 きがい 親 としての成長 子 どもに必要 とされること 夫への感謝の念 新たな人間関係 子 どもか らの感謝 と癒 し 出産 と子育ての意義 245*半 33 273 19.6手■ 192キ・ 14.3 10.1単キ 10.2半キ 25.4キ・ 327 27.4 17.7+* 171*孝 140 110奉* 10,7ホ半 相思相愛 夫への理解・支持 妻への理解・支持 142キ・ 136** 1414キ 124キⅢ l■ 7半本 12.4キ・ :一 変量による一般線形モデル分析 事奉

P<001

:表 中の値は下位尺度項 目の平均値である で有意 な差が認 め られて い る。また

,CHSで

は “子 どもに必要 とされ る

"と

夫へ の感謝 の念

"が

意 に高 く,“ 子 ど もの成 長",“ 子 どもか らの感謝 と癒 し",“ 出産 と子育 て の意義

"が

有意 に低 い結 果であ る。 と くに

,CHSと

結 婚 の “現 実

"の

関係 にお い ては, 日本 な らびに中国 において

,そ

れぞれ に相 関分析 を行 った結果

,す

べ ての下位項 目に有意 な 相 関が認 め られ た。 日本 で は “夫へ の感謝 の念" が結婚 の現実 の下位項 目すべ て にやや強 い相 関 を 示 して お り

,中

国 にお い て は,“子 ど もの成 長" や “出産 と子 育 ての意義

"と

結婚 の現実 の下位項 目すべ て に弱 い相 関が あ る (表3)。 次 に これ らの2国間 にお け る

CHSな

らびに結 婚 の “現 実

"の

分析結果 にみ られ る特徴 をふ まえ て

,

と くに 中 国 の母 親 の

CHSと

結 婚 の “現 実" 表

3

中国 と日本の母親の育児幸福感 と結婚の現実の相関 (Peason) 中 国 日本 下位尺度 相思相愛 夫への理解・支持 妻への理解 ・支持 相思相愛 夫への理解・支持 妻への理解・支持 子 どもの成長 希望と生 きがい 親としての成長 子どもに必要とされること 夫への感謝の念 新たな人間関係 子どもか らの感謝 と癒 し 出産と子育ての意義 0325 0264 0212 0188 0203 0195 0272 0303 0369 0276 0264 0232 0295 0287 0340 0352 0316 0267 0242 0219 0266 0255 0304 0355 0103 0299 0215 0145 0618 0249 0135 0201 011 0221 0277 0250 0416 0307 0156 0268 0106 0199 0202 0079 0575 0148 0140 すべての項目において有意差あり(P<001) 表中の値は相関係数である ,すべての項目において有意差あ り(P<001)

(5)

に影響 を及はす と考 え られる属性要因の検討 を 行 った。

4.中

国の母親の育児幸福感お よび結婚の “現実" と属性検討 本研 究で使 用 した2つの尺度

(CHS,結

婚 の 現実

)に

おいて母親の就労形態

,母

親の年齢

,家

族形態 によって違いを確認するための検討を行っ た。 まず

,中

国の母親の

CHS(8下

位尺度項 目) が母親の就労形態 (フルタイム勤務

,パ

ー トタイ ム勤務

,専

業主婦

),母

親の年齢 (20歳 代

,30∼

34歳

,35歳

以上),家族形態 (核家族

,複

合家族, 単身家族

)に

よる影響 を明 らかにするため

,一

元 配置分散分析 を行 った。その結果

,母

親 の年齢 と

CHSの

平均値 には

3群

間に有意差 はなかった。 また

,CHSの

8下

位尺度 において

,母

親 の就業 形態 において “子 どもの成長

"と

“出産 と子育て の意義

"に ,専

業主婦 とフル タイム勤務の群の間 に有意な差がみ られ, フル タイム勤務に比べ専業 主婦が平均値 は低かった。 さらに家族形態におい て,“ 子 どもか らの感謝 と癒 し

"と

“出産 と子育 ての意義

"に

おいて有意な差がみ られ

,核

家族が 単身家族 に比べ

,複

合家族が単身家族に比べて有 意に高い結果 となった (表4)。 同様 にフル タイム勤務

,パ

ー トタイム勤務

,専

業主婦, さ らに20歳代

,30∼

34歳

,35歳

以上 や核家族

,複

合家族

,単

身家族の3群において, 結婚の “現実

"の

3下位尺度の平均点の差の検定 を一元配置分散分析 により行った。その結果

,母

親の年齢 と結婚の “現実

"の

尺度の平均点には3 群間に有意差はなかった。 また

,母

親の就業形態 において “相思相愛

"と

“夫への理解・支持

"に

有意差 はなか ったが,“ 妻へ の理解・支持

"に

, 専業主婦 とフル タイム勤務の間に有意 な差がみ ら れ

,フ

ル タイム勤務に比べ専業主婦が平均値は低 か った。 さらに家族形態 において,“ オロ思相愛" と “夫への理解 。支持",“ 妻への理解・支持

"の

すべ ての項 目において有意な差がみ られ

,核

家族 が単身家族 に比べ

,複

合家族が単身家族に比べ有 意 に高い結果 となった (表5)。 Ⅳ

.考

察 本研究では探索 的因子分析°の結果得 られた, 41項目8因子構造か らなる

CHSお

よび結婚の“現 実

"の

中国 と日本の比較 を行った。中国の母親は 日本の母親に比べ夫 と妻の結婚生活の認識は高い といえる。 このことは, 日本に比べ結婚生活にお ける夫婦間の気持 ちは強 く互いの理解は得 られて いる との認識であ り

,CHSに

おいて も “夫 に姑 す る感謝の念

"や

1人っ子の育児による “子 ども に必要 とされている

"が

高い といえる。 このこと は,中国の子育て期において,夫婦共働 きであ り, 表

4

中国の母親の育児幸福感 と母親の年齢

/家

/就

業形態の関係 下位 尺 度 20歳 代 30∼ 34歳 35歳 以上n=232 n=288 n‐ 119 核家族 複合家族 単身家族 n=372 n‐252 n=16 フルタイム パートタイム 専業主婦n=516 n‐64 n i 51 F値 F値 F値 躍 解 2504 M 朋 剛 隅 42︲4 38 22 弼 9 85 38 0 94 24 m Z n ︲9 k ︲0 ︲0 M 阻 肥 鵬 朋 2359 価 3894 4 a ■ a 9 4 α 0 24 託 お E E ︲4 n ︲0 踏 弦 Z ︲9 n ︲4 n ︲0 3 0 0 6 1 2 ■ ■ 24 33 27 ︲9 ︲9 ︲4 ︲0 ︲0 242 2449 2698 0914 0378 0966 0551 0753 244 330 272 195 191 141 100 1004 238 327 254 196 18 140 90・ 95 246 326 268 196 194 144 102 102 子 どもの成長 希望 と生 きがい 親 としての成長 子 どもに必要 とされること 夫への感謝の念 新たな人間関係 子 どもか らの感謝 とな し 出産と子育ての意義 :F検定 ns :F検 定・P<OЮ5 ,表中の値 は下位 尺 度項 目の平均値 であ る F検定・P<005 表

5

中国の母親の結婚の現実 と母親の年齢

/家

/就

業形態の関係 下位尺度 20歳 代 30∼ 34歳 35歳 以上n=232 n=288 n‐119 F値 核家族 複合家族 単身家族n=372 n=252 n=16 F値 フルタイム パートタイム 専業主婦n i 516 n=64 n=51 F値 相思相愛 夫への理解・支持 妻への理解・支持 143 136 141 140 135 141 0917 a64 0624 143と 134・ 1434 142 136 142 オ 1■0芋 41114 41■ 4` 143 138 143 9687 7407 8151 142 137 143と 141 13B 137 138 0549 130 1473 134‡ 5■ 95 F検定 ns :F検 定・・P<005 表中の値 は下位 尺度項 目の平均 値であ る F検定 t・P<005

(6)

お互いが協力 して子育てと仕事の両立を図ること があた り前であ り, また

,子

どもは1人であるた め

,互

いが協力 して子 どもの教育費を稼 ぎ投資 し てぃ くという点においても同一の日標 をもってい ることが関係 していると考 え られる。 また

,夫

婦 関係 において も

,子

どもは1人であるという社会 全体の強制的規定のなかで

,夫

婦は早 くか ら自分 た ちの ライフスタイルを確立 していることか ら, 夫婦の関係 は結婚当初の関係 を維持 しやすいので はないか と考えられる。 また

,中

国の女性 は比較 的はっきりと自分の考えを表現す るため

,夫

婦間 のわだかまりなどは 日本におけるものほど残 らな い と考えられる。 しか し一方では

,男

尊女卑の根 強い思想 も残 ってお り, また結婚 において も愛情 がな くなった ら離婚 を選ぶ とい う女性が増 え

,離

婚率は地域 によつて差はあるもののlo∼

35%と

報告 され

,初

婚年齢が高 ま り

,同

棲や

DINKSも

あ らわれるなど結婚観の変化がみ られていること か ら

,時

代 を経 るに従 って中国の母親の認識 に変 化がみ られることが予測 される。 つ ぎに

,CHSに

おいては8下位尺度項 目では“夫 への感謝の念

"な

らびに “子 どもに必要 とされる こと

"に

ついての

CHSが

中国で高い結果 となっ た。 このことは

,結

婚の “現実

"の

結果において “相思相愛"や “妻へ の理解支持"が高いことか ら, “夫 に対す る感謝の念

"の

意識が子育て において も高 くな り

,ま

,1人

っ子であることが

,子

ど もの側か らよリー層親に頼 らざるをえない状況 と な り, 親 自身 も自分がいなけれtゴな らない とい う 気持 ちか ら子 どもに必要 とされているとい う意識 をもちやすいのではないか と考える。 さらに中国の母親の属性要因 との分析の結果に ついて考察する。中国の母親の就業形態 において はフル タイム勤務 において,専業主婦 に比べ,“妻 への理解・支持

"が

高 く, “子 どもの成長

"や

“出 産 と子育 ての意義

"が

有意 に高 く

,専

業 主婦 の 母親はすべての下位尺度項 目において低 い結果 と なった。中国の母親は

,出

産後 6カ 月には

8割

が 職場復帰す るなかで°, もともと正社員 として就 業 した経験がな くアルバ イ トなどの非正規就業の 形で働 く

,自

営業者 に雇われ

,露

天市場で商売を した り

,以

前勤 めた ことがあるが, リス トラされ た場合が含 まれる。いずれに して も大勢を占める フルタイム雇用に比べ立場上不安定であ り

,子

ど もの子育てに関す る幸福感 も低 い結果 となってい る。中国において よ りはっきりと

CHSに

違 いが み られている。 これは

,中

国の女性就業者 は就業 者全体の 46.5%と 世界的に高い レベ ルにあ り

,子

育て と両立 してフル タイムの就業 をしている母親 には

,高

学歴で専門職や現場労働職 などの職種が 多いことか ら, 自分の生 き方や子育てに封す る価 値観が形成 されていることが関係 しているか もし れない。中国の高学歴の母親の理想の子 ども像 は 「 自分で考 えて行動」「勤勉」 とされB),中国の 1人っ子政策の走 りの親世代 を迎 えていることか ら

,母

親 自らが同様の育 ちを経てお り子育てに対 す る迷いが少 な く

,む

しろ自信 をもっていること が考えられる。子育て期にもかかわ らず

,収

入を 得ていること

,仕

事 をとお して形成 されるキャリ アが 自信 と充実感 に大いに影響 していると考 えら れる。 また

,家

族形態 においては,“子 どもか らの感 謝 と癒 し

"や

“出産 と子育ての意義

"に

おいて単 身家族や複合家族に比べ核家族の母親が高い こと が明 らか となった。中国では,子育てのネッ トワー クが確立 してお り

),実

家や親族 ネッ トワークな どのインフォーマルな援助 と

,育

児休業

,保

育園 の協力などのフオーマルな援助が欠かせない。単 身による子育てはこうしたサポー トネッ トワー ク を十分受けることが難 しく, とくに親族のサポー トが得に くい という状況が生 じると推察 される。 中国における単身家族で子育て をしている母親 は少数ではあるが, さまざまな人の助けを得 るこ との重要性 を認識 し

,単

に自分1人だけで子育て を しているのではない

,1人

ではで きないことに 目を向ける働 きかけが必要 となる。近年

,中

国で は育児や子 どもの教育の素材 は

,テ

レビ

,新

聞, ラジオな どマスコ ミに多 く取 り上げ られ育児相談 や育児ホームペー ジな どもみ られ るようになっ た。 とくに

,3歳

になる前の子 どもは家庭で育て られるか

,保

育園で育て られるか家庭事情によっ て異 な り

,保

育や教育の形態 はさまざまであ り, 日常の保育上の問題は各地域の保健所で相談する か育児電話相談などがあるが系統化はなされてい

(7)

ないH酌。 こうした社会のバ ックアップ体制のよ リー層の充実が課題 といえる。 本研究 より, 中国の母親が フルタイム勤務で働 くことは

,育

児幸福感によい影響 を及は している と考えられる。 フルタイム勤務の仕事 をもつ母親 たちは “子 どもの成長",“ 出産 と子育ての意義" の喜びをより感 じ

,育

児中の母親の精神的健康 を 保 ち続ける要因 となっていると考えられる。

V.結

語 中国の母親 の育児幸福感 を測定す る尺度 とし て

,41項

,8下

位項 目か らな る

CHSを

用 い, 母親の就業,母親の年齢,家 族形態 との分析 を行 っ た。その結果 として母親の雇用形態が

,子

育ての 受 け止めに影響 していることが明 らか になった。 よ り充実 した子育てを行 うためにも

,母

親が仕事 をもち

,社

会 との関係 を保 ちなが ら生 きている1 人の人間としてあることが大切なことである。一 方

,中

国の母親の年齢による違いはすべての育児 幸福感お よび結婚の “現実

"に

影響 されない要因 と考えられた。 (謝辞 :本 研 究 にあた り

,質

問紙調査 にご協力 いただきましたお母様方

,お

よび各保育園長

,保

育士の皆様 に深 く感謝いた します。調査用紙の翻 訳 にあた り尽力いただいた天津中医薬大学 高健 氏 にお礼 申し上げます) (本研究 は平成

17-19年

度科学研究費補助金 (基盤

C

課題番号17592258)を受けて開発 され た尺度

(CHS)を

用いた研究である) 文 献

1)高

,郷

間英 世

,小

寺 沢 敬 子

,他.就

学 前 劫 児 の社 会生 活 能力 につ い て一 日本 と中国 の比 較 を通 して の 検 討 ―

.小

児 保 健 研 究 .1999,

58, 458-464.

2)高

健 中国の幼 児 にお け る着 衣 重量 ・戸 外 遊 び と運動能力 及 び関連要 因の検討

.民

族衛 生. 2004, 70, 146 - 160,

3)馬

,平

山宗 広

.ひ

と りっ子 の母 親 の養 育 態 度 に関す る研 究 日本 と中国 の比 較 を通 して の検討

.小

児保健研 究。

1989,48,353-358,

4)姜

波,佐 々木正美,人 重樫 牧子 ,他

.岡

山。上海・ 大 連 にお け る子 育 て に関す る比較 考察

.川

崎 医療福祉学 会誌

.2002,12,197-208.

5)落

合 恵美子

.グ

ローバ ル化 す る東 ア ジアの低 出生率

.学

術 の動 向

2008,4,27-34

6)清

水 嘉子

.母

親 の育 児 ス トレス 国際比 較一 韓 国 (京幾 道)。 中国 (北京)・ ブ ラジル (ブラ ジ リ ア)。 日本 (静 岡

)か

ら―

.母

性 衛 生. 2004, 45, 159 - 169,

7)唐

軟 斐

,矢

島裕樹

,桐

野 匡 史

,他

。 中国都市 部 にお け る父母 の幼 児 に姑 す るマ ル トリー ト メ ン ト傾 向

.日

保学誌

2006,9,16-23.

8)清

水 嘉子

,関

水 しのぶ

,遠

藤 俊 子

,他

母親 の 育児 幸福 感― 尺 度 の 開発 と妥 当性 の検 討 日本看護科学会誌

.2007,27,15-24.

9)柏

木 恵子

,平

山順 子 結婚 の “現 実

"と

夫婦 関係 満足 との 関連性― 妻 は なぜ 不満 か。心理 学研 究

.2003,74,122-130

10)清 水 嘉 子

,伊

勢 カ ンナ

.母

親 の育 児幸福 感 と 育 児 事 情 の 実 態

.母

性 衛 生

2006,75,3型

-351

11)Lazarus RS(ed).The stress and coping

paradigm.In lvlodels for Chnical Psycho― pathology New York, 1981.

12)Lazarus R,Folkman S.本

明寛他訳

.ス

トレ スの心理学 東京

,実

務教育 出版

.1991,269

-277. 13)日 偉 中国都市部 における子育ての特徴 に関す る調査研 究― 中学生 を持つ 親 を対象 として一, 立命館産業社会論集

2006,4,1,129-141

14)鄭 楊

,在

日中国 人家 庭 の育 児形 態 に関す る一 考 察― 関西 在住 中国 人家 庭 の育 児援助 の事 例 か ら一 都市 文化研 究

.2006,8,72-87.

15)劉 亜梅 。 中 国の育 児 と 日本 の育児 小 児保健 研 究

.2003,62,442-445.

(8)

ヽ江arital reality and childcare happiness fOr Chinese mOthers in urban areas of 13hina

一一A cOmparisOn with Japanese mothers in Japan― ―

Nagano Conege of Nursing Yoshiko Shirnizu

Abstract

The purpose of this study 、vas to cOmpare perceptions of chldcare happiness and marital reahty between Chinese and」 apanese mothers,and tO exanline the association Of demOgraphic variables with chJdcare happiness and marital realty in Chinese mothers A total of 640 Chinese and 764 Japanese mothers with a child between the ages Of o to 6 participated in the study A questionnaire survey was used to measure chldcare happiness with the childcare Happiness Scale(CHS)cOnsisting of 8

subscales.We further exanlined the innuence of rnarital life using a maritat rё ahty scale consisting of 3

subscales Statisticat analysis was performed For marital reanty,chinese mothers scOred higher on al 3 subscales compared tO Japanese mothers ln particular,scOres for 2 scale items,Wgratitude towards husband‖ and ‖feeling needed by children‖ were higher in Chinese mOthers. Furthermore, results differed depending On the motherts vorking status―ful―tirne wOrker, part一tiFne ヽVOrker, Or ful―tirne

homemaker― and On fa■lily structure― nuciear,extended,or single― InOther fanlily.Age of rnOthers did

not inoact the 8 subscales of the CHS and 3 subscales of the lnarital reality scale Our andings suggest

that being in a nuclear fanlily and working full― tirne are key factOrs that can promOte better mentai

health in Chinese mOthers during child_raising years

表 1  母親の属性 母親の年齢 n=640309■38 日本  n=872344±45 t値 15748 どもの数 (人 ) 家族形態 % 581 1.0■ 039,4 族 20± 08 33048 値複合家族  単身家族662255.6 496.15125 フルタイム   パートタイム   専業主婦   フルタイム   パートタイム   専業主婦 母親の就業 % 808 10 8 282 29.5 394       46147 2国 間の属性の t,  χ 2検 定はすべての項目において有意差あり (

参照

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