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新生児の気質的個人差の発達について

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新生児の気質的個 人差の発達 について

Development of lndividual Differences

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Allport,G.W.(1937)に よれは、気質 (tempera -ment)とは、個人の情動的性質の特徴 的現象であ って、そ こには情動的刺激に対す る感受性、反 応 の通常の強 さと速 さ、主要 な気分 の性質、気分 の 動揺 と強度 の全 てが含 まれ る。そ して、 こ うした 現象は体質的構造に依存 し、ほ とんど遺伝的 な も の とみなされ ている。 Cattell,R.B.(1946)は、パー ソナ リテ ィの階層 論 において気質特性(temperamentaltrait)とい う用語を用 いている。 これは力動特性 (dynamic trait)、能力特性(abilitytrait)と同一 の階層 に あ るものであ る。力動特性は、欲求、動因、態度 といった ものを含み、状況の誘因の変化に対応 し て変化す るものである。能力特性は、知能や記憶 を含み、 ゴールへの経路の複雑 さに応 じて変化す る。 これ らに対 し、気質特性は、興奮性、感受性、 固執性、衝動性を含み、場 の変化に対 す る反応 の 変化が最 も少 ない特性 とみ なされてい る。 また、Kretschmer,E.の分裂気質、操 うつ気質、 粘着気質 とい う気質 の類型論 もよく知 られ ている. ここでも気質は、情動 または情緒の傾向性で、人 の個性を総体的に特徴づけ、遺伝的基礎を有す る ものとみな されている。 このように気質の概念は、遺伝的基盤を有 し、 情動的特徴 を備えた体質的構造 に立脚す るものと み なす ことができ、状況の変化に対 しても変化 し に くい特徴がある。 こ うLT=体質的側面は成熟や 経験 によって影響 され るに して も、あ る程度の連 続性が予測 できる。 と りわけ新生児期 の行動特徴 は、家庭環境や社会化要因の影響を受け る前 の状 態 を示 し、その後の気質表 出的行動型の先駆者 と

Yasushi Ohyabu

しての行動 を現わ している可能性が強 い。 とすれ ば、新生児のいか なる行動がその後 の発達期 とも 連続性を有す る気質的行動 として抽出 しうるので あろ うか。 またそ うした新生児の気質的行動 は、 母親の養育行動 に どのような効果 を もち、それは 母子相互作用 の性質をどの ように変容す るのであ ろ うか。 こうした問題意識の もとで、新生児期 を研究の 出発点 とす る気質の縦断研究が活発化 してい る。 この拙論 では、 こうした研究の中か ら最新 のもの をい くつか取 り上げ、新生児期の気質研究 の現状 を紹介 してみたい。

乳児期の気質概念

1)ThomasaChessの気質概念 最初に、多 くの研究者に乳児の気質研究を開始 させ る有効 な引 き金 の役割を果 したTbomas,A.& Chess,S.の気質論 を少 し詳 し く紹介す る。 Thomas& Chessに よって乳児期 の気 質に関 す る最初の組織的な縦断研究が開始 された のは、 1956年 のことであった。 この有名なニュー ヨーク 縦断研究(NewYorkLongitudinalStudy,NYLS) で、彼 らが気質の研究に関心を抱いたのは、1950 年代 のは じめまで支配的 であった環境か らの受動 的効果 を偏重す る精神発達論に満足 できなか った ため であ る。 なぜ な ら、人 間は生 まれ た ときか ら環境 との相互作用 の過程 で、能動的 な行為 の主 体 として存在 し、人生のいずれの時期 にお いて も 個性的な気質特性が発達過程に重要 な影響 を及ぼ してお り、そ こには生物体 と環鼻 との力動 的な相

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互作用が仮定 されねばならないと考え られ るか ら である(Thomas&Chess,1980)0

子 どもの発達に関す るThomas&Chessのこう した観点の背景には、彼 ら自身の臨床体験がある。 それは親 のしつけの よ うな環境的影響 と子 どもの 精神発達 との問に、直線的 な一対一の対応関係が み られない とい う臨床体験 である。た とえは、問 題のない両親に育てられて も著 しい精神病理 を呈 す る子 どもがいる反面、親に様 々な性格上の問題 があ り、家庭崩壊や社会的 ス トレスに直面 して も 一貫 して健康 な精神発達を示す多 くの子 どもたち もみ られ るのである。 こ うした事実を説 明す るた めには、子 どもの生得的 な個体差が問題 とならざ るをえないと考え られ る。 さて、そ うした子 どもの個体差を問題にす ると き、子 どもの動機づけや能力 とい う側面が注 目さ れ ることが多い。 しか し、Thomas&Chessが指 摘す るように、子 どもの行動様式一気質が環境 と の相互作用 の もとに、その精神発達に大 き く影響 す る可能性を忘れ てはならないだろ う。以下に、 Thomas&Chess(1980)の言葉を引用 してみ よう。

2

人 の子 どもは、同 じくらい器用にひ と りで 洋服 を着た り、同 じくらい巧みに 自転車に乗 った り、 また こうした活動 につなが る動機づけ も同 じ くらい もっているか もしれ ない。 2人 の青年は、 同 じような学習能力 と知的興味を示 し、勉強の 目 標 も一致 しているか もしれ ない。 2人 の成人は、 自分たちの仕事に対 して同 じ技術的専門性を もち、 仕事に熱中す る理 由 も同 じであるか もしれない。 しか し、 この子 どもも、青年 も、成人 も、動作の 速 さ、新 しい場面-の接近 の容易 さ、気分 の表現 の強 さと特徴、ある活動に熱中 しているとき、他 の人が、彼 らの注意 を向け させ ようとす るのに要 す る努力などの点 をみ ると著 しく違 っているか も しれ ない。」 つ ま り、 2人の人物に同程度の動機づけや能力 があ って も、彼 らの動作 の速 さ、新 しい場面への 慣れやす さ、気分 の特徴、注意 の転換 の難易 とい った気質的要因の違 いに よって、その2人 の行動 の結果は異 った もの とな り、そ うした結果 の積み 重ねは精神発達に大 きく影響す ることになるもの と予想 され るのである。

ところでTl10ma

S&

Chessが使用 す る気質 と

い う用語は、行動 のスタイルあるいは様式 とい う 用語に等 しい。それは行動 のhowを問題 にす る用 語である。行動が 「どの ようであ るか」 とい う行 動様式あるいは行動 の仕方を取 り扱 うのであ る。 行動の他の2側面は、 「能力」 と 「動機づけ」 である

「能力」は、 「何が」で きるか、 「何を」 す るか とい うwhat と、 「どれ くらい上手 に」す るか とい うhowwell に関す る側面であ る。 また 「動機づけ」は、 「なぜ」す るか とい う行動 の理 由、whyに関す る側面 である。Thomas&Chess (1980)に よれば、動機づけは 「目的志向行動 の基 礎 となる生物体内の要因」 と定義 され る。明確 な 目的を有す る場合 とは、 目的 とその 目的 に結びつ いた行動 とが慎重に考 え られ、計 画 されてい ると きであ り、 目的が不 明確な場合 とは、適切に概念 化 された 目的がな く、 日的達成のための方略がな い ときとされている。 したが って、高度の緊張 とか、粘 り強 さとか、 睡眠や食欲の リズムの不規則性などの気質的特徴 は、 目的志向的行動に影響 して も、それ 自体 は決 して 日的志向性を有 さない とみなされ る。 こ うし た理 由に よ り、Thomas&Chessは気質を 「動機 づけできない もの」nonmotivationalな もの とみ な している。

またThomas&Chessは気質を生物学的に決定 された もの ともみな さない。気質は発達の経過 の 過程 で、その表われ方や特徴 さえ も環境要因の影 響を受けてい るとされ、気質 と養育スタイル との 相互作用、気質、能力、動機間 の相互作用は、気 質に大 きく影響す る。 とりわけ、乳児の気質的特 徴 とその環境 (主 として養育環境) との適合の良 さ (goodness-of-fit) を重要視 している。 Thomas&Chessは生後 2- 3カ月の乳児の親 と面接 し、児の行動特徴 を示す資料を収集 した。 そ してその資料 の分析か ら、次の9種類 の気 質 カ テゴ リーを抽出 したのである。周期性(rhythm)、 活動性(activity)、気分(mood)、接近性(approach)、 順応性(adaptability)、反応 の強 さ(intensity)、 反応 の閥値(threshold)、注意の持続性(attenti on-persistence)、気の散 りやす さ(distractibility)で ある。興味深いのは、NYLSの対象児が成人 に達 した現在 で も、 これ と同 じカテゴ リーで気質的特 徴が評価で きるとされ てい る点 である。

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さらにこうした気 質的特徴か ら、 Thomas& Chessは乳児の気質を次の3つに類型化 している。 第1は、気楽 で手 のかか らな い子 ども(Easy Child)で、機嫌が よ く、生理的機能の周期性は規 則的であ り、環境の変化に対す る高い適応性を も ち、新 しい刺激に対 して積極的に反応 し、反応 の 表現は穏やか とい う特徴 を有 している。NYLSの サ ンプルの約40%が該当す る。 第2は、気むずか し く取 り扱いのむずか しい子 ども(DifficultChild)で、機嫌が悪 いことが多 く、 周期性は不規則で、環境の変化には適応 しに くく、 強 い反 応を示す タイプである。NYLSのサ ンプル の約10車を占め る. 第3は、気お くれ し時間のかかる子ども(Sl ow-to-Warm UpChild)で、は じめての事態や環境 の変化には慣れに くいが、反応の表現 は穏やかで、 徐 々に適応す るタイプである。約15%の子 どもが このタイプに属 してい る。

さて、Thomas&Chessの ように気質をスタイ ル とみなす場合の問題点は、ある気質的特散が全 面的な ものであ り、子 どもの行動の全 ての側面に それが出現 す るとみ られやすい点 であ る。た とえ は Sroure,L.A.,&Waters,E.(1977)は、 スタイル としての気質を 「一貫 して、且つ、一律に援能す る諸行動のセ ット」であるとみなしている。 こう した見解 に従えば、引込み思案 な子 どもは、 どん な状況の もとで も引込み思案 であるとみなされ る ことになろ う。 しか し、家庭で慣れ親 しんだ人 とい るときと、新奇な状況で見慣れない人 といるときと では、引込み思案の程度は非常に異なることが予想

され ようO またRothbart,M.K.,&Derryberry, D.(1981)は、気質を敢密にスタイルとして定義す

ることは、ある反応特徴が全ての表出行動領域にわ たって一貫 しているとい う意味に理解され るとして いる。たとえば、distressな反応を強 く示す子 ども は、motoractivityの次元で も、pOSitiveな感情 表 出の次元で も強 い反応が期待 され よう。 しか し、 強 さとい う反 応特徴の一般性を示す証拠はない。 む しろ反応の強 さが どの反応 システムで も一定だ とす る見解 よ りも、反応 システムに よ り異 なるも の とす る見解が有力である(Rothbart,M.氏.,& Derryberry,D.1981)

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2)Rothbart良 Derryberryの気質概念 気質を行動のスタイル と定義す ることか ら生 じ る上記 の混乱や、行動だけに もとづいた気質モデ ルの限界を考慮 して、Rothbart,M.K.,& Derr y-berry,D.(1981)は、個人 の体質 と緊密 な結びつ きを もつ気質モデルを提供 している。 彼 らのモデルでは、気質は体質的 な基盤 を有す ると仮定 され る反応性お よび 自己調整におけ る個 体差 と定義 され る

「体質的」 (constitutional) とい う用語は、遺伝、成熟、そ して経験 に よって 長期 にわた る影響を受けた有機体の比較的永続す る生物学的構造をあらわ している。 「反 応性」 (reactivity)とは、有機体の行動お よび生理学的 システムの興奮性(excitability)、応答性 (re -sponsibity)、喚起性(arousability)を意味 してい るoそ して 「自己調整」(self-regulation)は、上 記 の反応性を調整するように機能す る神経 お よび 行動 の プロセスである。それは反応の′くター ンを、 増大、減少、維持 し、そ して再構成す るのに役立 つ多次元のプロセスであ り、接近お よび回避行動 (approachandavoidancebehaviors)、注意 (at -tention)、 自己刺激お よび 自己鎮静(selトstimu -1ationandselトsoothing)の働 きを含んでいる。 具体的 な気質的反応特徴 としては、強 さの性質 (intensivequality)と時 間の性質 (temporal quality)が設定 されている。強 さの性質には、反応 閉 (threshold)と反応強度(intensity)があ り、時 間の性質としては、反応潜時(latencyorresponse)、 反 応の立 ち上が り時間 (risetimeofresponse)、 回復時間(recovery)がある。 こうした気質的反応特赦が出現す る気 質反応系 としては、身体活動系(motoractivity, vocal activity,facialexpression,autonomic and endoerine activity) と情動系の2種類 があげ ら れ ている。 しか し、 5種類の気質的反応特徴はい ずれ も、 こうした気質反応系において必ず しも一 貫 した特徴を示す ことは期待 され ていな い。 このRothbart&Derryberryの気質モデルの長 所 は、 「反応性

「自己調整」 とい う概念 の柔軟 性 と一般性に もとめられ よう。 これ らの用語は、 気賀を神経 レベルで も行動 の レベルで も記述す る のに利用 で きる。 また 「反 応性」 と 「自己調整」 とい う用語は、成人におけ る気質研究の現代的 モ

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デルの中心的概念 であ り、 したが って乳児 と成人 の気質研究を結びつけ る可能性が大 きい。 さらに、 反応 プロセスと調整 プロセスとの均衡過程は発達 の重要 な側面であ り、 この意味で も気質の縦断的 研究の見落せ ない要因 となる可能性を強 く秘めて いると思われ る。 しか しその反面、神経生理学的側面 と表 出行動 との因果関係については未知 の領域が多 く、表 出 行動 レベルでの反応特徴 (た とえは反応の強 さ) が、神経 レベルでの同名の反応特徴 とどの ように 関連 しているのかは不明である。 3)Bussa Plominの気質概念

Buss,A.H.,& Plomin

,

氏.(1975)は、気質 としての妥当性を有す るためには、生物学的ある いは発達的性質を有す る次の5種叛 の基準を満た さねばならない としている。その基準は、(1)遺伝 性(heritable)、(2)安定性(stable)、 (3)成人 の/ く-ソナ リティの予測性(predictiveofadultpers on-ality),(4)進化論的順応性(adaptive)、(5)他の動 物におけ る存在可能性(perhapspresentinother animals)である。こうした基準に適切に関連 した 資料 を考察 して、彼 らは、情動性(emotionality)、 活動性(activity)、社会性(sociability)、 衝動性

(impulsiveness)とい う広範囲の気質次元を仮定 してい る。

このBuss&Plominの基準の問題点は、進化論 的順応性の基準が、実際 には観察 できない ことで ある。

4)GoldsmithaCamposの気質概念

Goldsmith,.H.H.,&Campos

,∫.J.

(1982)は、 乳児期の気賀現象を社会的 コ ミュニケーシ ョン機 能を有す るもの とみな し、乳児の行動をベースに した気質の定義を選択 している。神経生理学的そ して重化学的要因は気質の基盤 として重要だが、 それ らは社会的 コ ミュニケーシ ョンに有効性を も たない場合が多い。 しか し気質の分析は、他者に ょる信頼 できる検出が可能であ り、 また他者に と って意味がある レベルでなされねばならないo 事実、気質の行動指標は、生理学的指標 よ りも 検出 と量化が容易 である。そ して、仮に生理学的 指標を採用 し、測定がで きた として も、その指標 ほ 「何を表わ している指標」か とい う説明が さら に必要になる。 こ うした理 由か ら、Goldsmith&Camposは行 動 レベルの定義 を採用 しているが、その気質 の基 準は以下の4つであ る。 (1)気質は個体差 の概念 である。 (2)気質は素質的概念 である。 (3)乳児期におけ る気質の次元は、情動 と関連 し てい る。 (情 動(emotions)とは、本質的に 個体 を動機づけ、 また行動表出が阻止 され な ければ他者に社会的に重要 な情報 を コ ミュニ ケー トす る中枢神経系の状態を ともな うfee1 -ing statesと定義 され る。) (4)気質の個体差は、気質の次元におけ る表 出の 強 さと時間的パ ラメーターの個体差 である。 (Goldsmith& Camposは、Rothbart& Derryberryの時間的パ ラメーター(latency

,

risetime,recoverytime)と重 さのパ ラメー ター(threshold,intensity)を支持 している。 しか し、 こうしたパ ラメーターは行動 レベル にあてはまるもの として用 いられ てお り、神 経生理学的パ ラメ-クー との一 致は考慮 され る必要がない ものとみなされている。) 要約す ると、乳児の気質は情動 と関連 した状態 が行動 レベルで表 出 され る強 さと時 間のパ ラメー ターの個体差 のセ ットと定義 され る。 また気質は 刺激に対す る感受性 と行動の開始の両面で個体差 を生 じさせ る役割を演 じているとみ なされ ている。 また、ある気質次元(irritability,reactivityな ど) と特異的 な関連を有す る行動は ないとされ て お り、気質は身体運動系、顔面系、発声系 とい う 3種類 の行動表 出系 において出現す る。 以上の ように、乳児の気質概念については、い まだ一定 の確立 された観点がないのが現状 である ように思われ る。ただ し、それぞれ の気質概念 を み ると気質 として取 り上げ る行動特徴には、情動 性 とい う行動次元を中心 とした行動特徴が多 くみ られ ることがわか る。現在 の乳児期 の気質に関す る実験的研究 は、 こ うした情動的行動特徴のいず れが各月齢期を通 して安定 した行動特徴 であるの か とい う課題を中心に行われ ている。 次にこ うした行動特徴の中か ら、irritabilityと

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motoractivityを取 り上げ、 これ までの研究知 見 を概観 してお きた い。

乳児の気質的行動特徴 について

1)lrritabilityについて 乳児のirritability(cryingandfussing)の個体 差 は、新生児期か らその後 の生後1年間 にわた っ て顕著に存在す ることが知 られ てい る (Bell & Ainsworth 1972, Brazelton1973,Rebelsky&・ Black 1972な ど)。 しか し、生後1年 間の乳児 のcryingとfussing量 の一貫性に?いては、矛盾 したデー タが生み出 されている。 Moss,H.A.(1967)は、統計的 に低 いが有意 な レベルで生後3週 と3カ月の問のirritability(fuss -ing&crying)の連続 性 を報 告 してい・る。 また Rebelsky,F.&Black,R.(1972)も、crying の個人 内差 が個人間差 よ りも小さい とい うデータを示 し なが ら、 ある程度 のcrying量 の個人的一貫 性 を示 唆 してい る。 逆 に、Bell,S.M.&Ainswortb,M.D.S.(1972)は、 生後6カ月間 にお いてはfussingとcrying量 に一 貫性 を見 出 してお らず、母親行動 が生後1年 間の 乳児のirritabilityの根本的 な決定困であ ると結論 した。 なぜ な ら、乳 児のcrying量 は、母親 に よる cryingの無視(unresponsivenss)と有意 な相関がみ られたか らであ る。 またSamerofr.A,Krafcbuk, E.&Bakow.H.(1978)も、NeonatalBehavioral AssessmentScaleに よって測定 されたirritability と生後4カ月時 のfuss/cryとの問 に関連 を見 出 し ていない。 こうした矛盾した結果をみるとirritabilityを気質 変数 とみ なす ことに危快 の念が生 じるであろ う。 しか し、fussingとcryingの量 はirritabilityの測 度 としてはた して適切 な変数であろ うか。 russ/ cryの総量 は、母親が乳児のruss/cryに応答す るま での時間 の長 さに よって影響 されやす い測度 とい え よ う。つ ま り、母親 の養育行動 に依存す る変数 なのであ って、母親サ ンプルの違 いに よって乳児 のfuss/cryは非常 に異 な った ものにな るのである。 Be

l

l

&

Ainsworth(1972)は、す でに この問題点 を 認識 してお り、母親 のunresponsivenessと乳児の cryingを区別 している。母親のunresponsiveness は、母親が乳児 のruss/cryに応答 し介入す るまで の時間 の長 さであ り、乳児 のirritabilityは、母親 の介入後 のcrying量(timetocalm)とみな したの であ る。 しか し残念 なが ら、結果 の分析 には母親 のunresponsivenessと総fuss/cry量 だけが用 いら れ てお り、 このtimetocalmは考慮 され なか った のであ る。 もちろんtimetocalmも母親 のsooth -ingスキル に よって影響 されはす る。 しか し、 こ の測度 はruss/cryの総量 よ り母親行動 に よって影 響 され に くい といえ よ う。 なぜ な ら、総russ/cry 量 は、介入す るまでの時間 とsoothingスキル の両 者 に よって影 響 され るのに対 し、timetocalmは soothingスキルのみに影響 され るか らであ る。 そ こで次 に、 このtimetocalmをirritabilityの 変数 として利 用 した研究を見 てみ よ う。 (Crockenberg

,

S.a.,&Smith,P.(1982)の研究 〉 Crockenberg&Smithは、新生児のirritability が気質的変数 としての一貫性を生後3カ月にわたって 保持 され るか ど うかを検討 している。 被験 児は、男児28名、女児28名の健康 な満期産 児 で、51名 は経歴分娩、 5名は帝王切開 で誕生 し てい る。 母親 は、初産婦37名、経産婦2名 であ り、 年齢 は、19歳 か ら35歳 にまでわた ってい る。 中流 階層 と労働階層が半 々であ る。 実験 方法 は、 母親 に対 しては、 母親 の態 度、信 念、期待を評価す るため に作成 された34項 目か ら なる質 問紙 が実施 され ている。新生児のirrita -bilityの評価 は、生後5日と10日に家庭 でNe on-atalBehavioralAssessmentScaleが実施 され て 評価 され てい る。 また、生後1カ月 と3カ月の時 点 で、 母と子 の約3時間半 の行動観察 が行 われ て お り、 いずれ も乳児が覚醒 してお りやす く、少 な く とも1回 のreeding場面が生 じる時間帯が選択 さ れている。行動観察は、Table1.の行動 カテ ゴリ-につ いて な され、10秒 間の観察 と10秒間 の記録 が繰 り返 され るタイムサ ンプ リングが用 い られ て い るo そ の結果 、新生児期 のirritdbilityと有 意な相 関があ った1カ月児お よび3カ月児の行動 カテ ゴ リーは、timetocalm (fuss/cryに介入 してか ら 静かにな るまでの時 間)であ り、russ/cryの頻度 とは全 く相 関が なか ったのである。 つ ま り、新生

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児期にirritableであ った乳児は、 1カ月期 に も3

カ月期 に もtimetocalm が長か ったのであ る。

Crockenberg&Smithは、新生 児のirritability

はtimetocalm を基 準にした ときに明確 な一貫 性を保持 で き、少な くとも生後3カ月間はirri ta-bilityと連続 す る気 質的個体差 があるもの とみ な している。 一方 、従来 か ら気 質 的特 徴 とみ な され て きた fuss/cryの頻度は、母親 に応答性 と柔軟性が欠け る場合に有意 に多 く認め られ てお り、気質的特徴 とい うよ り母親行動 との関係 に依 存 している可能 性が強 い とみ なされ てい る。ただ し、 これは3カ 月 期 のfuss/cry の場 合 に該 当 し、 1カ月期 の fuss/cryの頻度を予 測す る変数は皆無であ った こ とに注意 してお きたい。 この1カ月期の fuss/cry

をCrockenberg&Smithは、 生後1- 2カ月に ょ く出現す る非飢餓性で原因不 明 のruss/cryであ ろ うとみ な してい る。

TABLE1

MotherBehaviorandlnfantStateCategories

Ⅹb s.d. Mother Behavior Description 1 mo. 3m0. 1m0. 3mo. Nocontacta Routine contacta Involved contact Eyecontacta Timeto intervene Nophysical,visualorvocalcontact betweenmotherandinfant Caretaking(bathing,feeding,etc.)

orholdingwithoutvocal,visual ortactilestimulation Allcaretakingandnon-caretaking contactwithadditionalvocal, visualortacti一estimulation Smiling/eyecontactbetweeninfant 41.29 96.59 38.83 58.97 22.39 24.71 22.43 18.71 116.09 178.93 57.13 55.07 36.51 58.34 22.67 28.48 andmother Averagenumberofsecondsfromonset 23.09 22.24 22_24 30.10 0fcryinguntilmotherresponds Infant State DescriptlOn Fuss/cry Frequencyof10-secondfussandcry 75.41 60.89 44.02 32.64 intervals Alert Frequencyof10-secondalert 193.57 327.25 88.36 63.84 intervals(infantisawakeand neitherfussingnordrowsy) Sleep/drowsya FrequencyoflOISeCOndsleep/drowsy 340.52 227.30 104.92 78.18 intervals

Timetocalm Averagetimetocalmafter 43.48 32.54 22.28 19.31 interventioninfussandcry

episodes

℃bservedbutnotincludedinsubsequentanalyses,

bFormothercontactcategories,meanrawfrequenciesareforbehaviorswhichoccurredwhilethe infantwasalert.

〔From Crockenberg&Smith1982〕

2)Motoractivityについて

Yarrow,LJ.(1964)は、 theCalifornia Guid-′ a

n ceStudy,the Berkeley Growt,h Study. the FelsStudyofHumanDevelopment,the M

enn-ingerCopingStudyか ら得 られ た発 達的変 化 と 連続性を レヴ ュー して、 「この4つの研究 の全 て で、連続 性が強か ったパ ー ソナ リテ ィの次元 は、

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生理学的 一心理学的特徴つ ま りエネルギー消費 の レベルであ る」 と結論 している。 また、Thomas &Chess(1977)も、行動 スタイルの9つ の次元 で、 生後1年か ら5年 にわた って最 も一貫性 のあ る領 域 は、aetivityレベルの領域 であることを見出 し ている。 さらに、Halverson.C.F.& Waldrop, M.F.(1976)や、Bu島s,D.M.,Block,J.H.,& Block,J.(1980)の研究は、幼児のactivityレベル は数年 にわた って安定 してお り、それは様 々なパ ー ソナ リテ ィ特 性 と関連 してい ることを証 明 して い る。 新生児を対象に したmotoractivity研 究 は 、 Wei£s,A.P.に よ り1929年に開始 され たが、1930 年 には1rwin,0.C.が ベ ッ ドの振 動 を記 録す る stabilimeterを用 いた実験的研究 を発表 している。

Fries,M.Eり&Woolr,P.∫.(1953)は、motor activityをcongenitalactivityと、 環境か らの 影響 を うけて変容 されたmotoractivityの 2種 類 に分類 した。 このcongenitalactivityは、 新 生児があ る刺激に反応 して示す活動量 の ことであ るが、Fries&Woolf(1953)は、新生児200名以 上 を用 いた研究か ら、①hypoactive

,

②quiet

,

③mOderatelyactive,④active,⑤hyperactive とい う5種類 のcongenitalactivityを記述 した。 congenitalactivityは、出生時 の影響が減 り、且 つ環境 の変容要因が著 し く働 く前の生後数 日の問 に最 もよ く出現す るとされた。 そ してmotorac -tivityは後年 まで認識 で きる形体 として持続 す る ・1- ソナ 1)テ ィ特 性であ るとみな されたのであ る。

このFries&Woolrの仮説は、Campbell,D. etal.(1971)に よって検討 されたが、生後 10週 ま でのmotoractivityの相関 は月齢 の隔た りが大 き くなるほ ど低下 し、motoractivityが後年 まで認 識 で きる形体 として持続 す るパー ソナ リテ ィ特性 であ るとい う仮説 は否定 されてい る。 しか し、 Korner,A.F.(1974) が指摘す るよ うに、乳 児の持続 的 な特徴をあ らわすには 、Cam-pbellらが用 いたcrying時 とnoncrying時を合せ た motoractivityよ りも、noncrying時 の motor activityの方がす ぐれ てい ることが知 られ ている。

次に、 このnoncrying時 のmotoractivityを用 いてmotoractivityの発達的安定 性を検討 した研 究を紹介 したい。

くKorner.A.F‥Zeanah.C.HりLinden,JりBer

-kowitz,R.l‥Kraemer.H.Cり&Agras.W,S. (1985)の研究 〉 Korneretal.は、 新生児 のmotoractivityと その後 のactivityとの間には、数年間にわたる環 境か らの影響にもかかわ らず、中度な正の相関 があ るだ ろ うとの仮説 を設けて実験計画をた ててい る。 被験児は、1974年か ら1977年 の問にactivityの モニターのために募集 され た112名の健康 な満期 産新生児であ る。 いずれ も中流階層 の家庭児であ る。1982年には、59家族が転居せずに居住 してお り、その うち研究- の参加 に同意 した のは53家族 であ ったO最 終的 には、23名 の男児 と27名 の女児 のデ ータが結果 の分析 に利用 され てい る。子 ども の年 齢は、 4歳6カ月か ら8歳6カ月 までの範囲 にあ った。

新生児のmotoractivityは、electronicactivity monitorを用 いて生後3日間測定 してい るが、結 果 の分析 では生後2日日の測定値が用 い られ てい る。 この 日が選 ばれた理 由は、最 も多 くの被験 児 のデ ータが得 られた 日だか らである。

electronicactivitymonitorは、 ベ ビーベ ッ ド の何層 もの フ ォームラバーの問に3枚 の アル ミ板 を挿入 した ものであり、乳児の動 きに よって生 じ た マ ットレスの歪みが電気的に変換 され、motor activityの カウン トが導出 され るように な ってい る。 この装置 では、定方向 マイクの使用 に より、 noncrying時 のmotor activityとcrying時の activityの カウン トが別 々に導 出され る こと、 ま た乳児の動 きの大 きさを 自動的 に3段階 に分けて、 各段階別 の カウン トが導 出され ることが で きる。 4歳6カ月か ら8歳6カ月 までの子 ど ものac -tivityは、学校 のない 日に24時間連続 して モニタ -された (入 浴 中、水泳 中は除 く) 0 2 × 2mの プラスチ ック製 のセ ンサーを、子 どもの利 き足 の 大腿 部に貼 り付けて、その動 きが カウン トされ る。 この装置 では、動 きの頻度 と大 きさの区別 はされ てお らず、子 どもの動 きが強ければ よ り多 くのカ ウン トがな され るようになってい る。 子 どもの気質 または行動 スタイルの評価 には, McDevitt,S.C.,&Carey,W.B.(1978)の Beh av-ioralStyleQuestionnaire(BSQ)を親に記入 させ てい る。BSQは、Thomasetal.の9種類 の気質

(8)

次元を評価す る質問紙である。

Table2.は、新生児のmotoractivityと、成長 後 のactivityお よび BSQの気質次元 との相関をみ た ものである。 なお、BSQの次元は因子分析に よ って抽出されたintensity,flexibility-rigidity

,

approach-Withdrawalの 3因子 と、この研究の中 心的要因であるactivity次元 の 4次元が、結果 の 分析 には用 いられている。 これを見 ると、新生児のmotoractivityの力強 さと日中のhighactivityとの問に有意 ではあるが 弱い正の相関があ り、motoractivityの力強 さが 最 も弱い新生児は、 日中のactivityが低い子 ども に多 い傾向がみ られた。またnoncrying時のmotor activityの頻度が多い新生児は、親の観察 に よれ は (BSQ)、新 しい経験 を回避す るよ り立 ち向 って い く子 どもになる傾向がみ られてし,-る. Korner,etal.は、 こ うした結果 か ら、新生児 のmotoractivityは、少な くとも弱い程度にはそ の後 のactivityと行動 スタイルを予 測す るとい う 仮説が支持 された とみな してい る。 その相関の程 度が弱か った理 由 としてほ、 2つの年齢群 で使用 したactivityモニターが異 ったactivity特性を測 定 している可能性 と、 4- 8年にわた る環境効果 の 2つを考えてい る。そ して、 もしも最 もmotor activityの高い新生児 と最 も低い新生児 とを十分 な人数 フ ォローア ップすれば、 より強 い相関がみ られたであろ うと推測 している。 TABLE2

RELAT10NBETWEENNEONATALANDLATERACTNITYANDBEHAVJORAL STYLE Neonatal Noncrylng Movements perHour Neonatal MedianAmplitude ofMovements perDay Percentagehighactivity(day) =- -・ Percentagelowactivity(day)----・ Percentagehighactivity(night) percentagelowactivity(night) BSQactivity --- -i---・ --BSQintensity BSQflexibility-rigidity ・-・--・・-・・ BSQapproach-Withdrawal 0 2 7 3 6 5 4 0 1 0 0 2 1 0 0 3 二 . . ● ■ 9 8 3 2 9 7 2 1 2 2 1 2 0 0 0 0 二 . 一 . ●p<.05,one-tailed. Hp<・025,one-tailed. 〔FromKomeretal.1985〕 次に、数種類 の気質的行動 カテ ゴ リーを用 いて、 新生児期か らの縦断的研究の成果 を次 々と発表 し て きている Riese,M.L.etal.の最新 のデータを 紹介 してお きたい。

m Ri

e

s

e

,M.L.

e

ta

l

.の気質の縦断研究

(a)新生児期 と 9カ月期 との関連 (Matheny,A.P.,

Jr.,Riese.M.L.,aW i)son,R.S.1985) Riese(1983)は、新生児行動 の詳細 な評価を行

い、irritability,resistancetosoothing,activity, reactivityなどを気質を表現 する行動 とみな して お り、 こうした気質的行動特徴を、約3時間の観 察期間中に観察 され るreeding、睡眠、定位行動、 有害刺激 とsooting刺激に対処す る応答性の評価 か ら探究 している。

また、Matbeny,etal.(1984)と、 Wilson& Matheny(1983)は、双生乳児の縦断的研究で、気 質を詳 し く調べ るために構成 された実験室 での評 価バ ッテ リーを考察 してい る。

(9)

今か ら紹介す るMathenyetal.(1985)は、 この 両 者 の実験 手続 きを用 い て、新 生 児 の気 質特徴 が9カ月期 にまで一貫性 を有 してい るか ど うか を 検討 した ものであ る。 9カ月児が比較対象 として選択 された理 由は、 ①prematurityの影響がおお よそ生後9カ月 まで に弱 くな る、②運動 スキルが一層Competentにな り、広 い活動分野が利用 できる、③母親か らの分 離が有効 な課題 になる、④過去 の研究か ら、 この 月齢において気質 の明確 さを増 した変数が確立 さ れ ることに よる。 被験児 は、23組 の男の双生児、21組 の女 の双生 児、11組 の異性 の双生児、計110名 であ り、全て の社会経済階層 に属す る家族か ら選 ばれ ている。 新生児 の評価 は、生後1日か ら4日の問に行わ れ、評価 の時間はあるreedingか ら次のfeeding までの約3時間 である。 評価 の内容は、次の5種類 であ る。 ①feeding前、中、後 のbehavioralstate,irri -tability,activity

②feeding後 の state organizationと-state changesの記録、 また睡眠中のspontaneous behaviorsとactivityの記録。 ③feedingとreedingの中間 で乳児は覚醒 され、 大 脳皮 質処理 が関与 してい る と思わ れ る maturationallevel,sensorimotor status

,

orienting behaviorsの評定 、 また実験者に 対す るreinforcementvalueの評定。 ④乳児の大腿部にcolddiscを押 しつけ るとい うス トレッサ一に対す る反 応性、behavioral responsivity,irritability,soothabilityの 記録。

⑤ 評価期間の全体にわたる、spontaneousirrit a-bility,とconsolabilityの評定。soothingtec h-niqueとしてほ様 々なタイプの もの(pacifier, vocalstimulation, manual stimulation, placementinthe proneposition,lifting toshoulder,cradlinglnarm,SWaddlingln_ blanket)が用 い られ た。こ うした soothing techniqueに対する反応性の個体差 とsoothing に必要なinterventionの程度の評定。 これ らの評定項 目が組合 され、以下の6種類の 気質 カテ ゴ リー として再分類 され ている。 ∽ Irritability:様 々な状況 の もとでのirrit a-bilityの評定 の総 計。 ㈹Resistanceto soothing:様 々なsoothing手 続 きに対す る反応 の評定 の総 計。 (ク)Reactivity:様 々な状況 の もとでの応答性 と 定位能力 の評定 の総計 。 何 Activity awake:覚醒 し刺激が提示 され て いるときのactivity levelの評定。

帥Reinforcementvalue:乳児に対 す る実験者 の態度に及 ぼす乳 児行動 の効果 の評定。 (A)Response to manipulation:おむつの交換

とい った世話行動 中のfussiness あ るいは irritabilityの評定。 9カ月児 の気質の評価は実験室 で行われ てい る。 その評価場面 は次の とお りであ る。短 時間 の ウ ォ ームア ップの後 で、母親 の面 接中に双生児が2人 とも実験 スタ ッフと一緒に され る。その後 、双生 児の一方 が母親 と一緒 にmentaltestを受 け るが、 その時に もう一方が次の ような一連の活動 に従事 させ られ る。そ の活動 が終了す ると双生児 の役割 が交 代 させ られ ることになる。 ① Imitation game(2分 間) ジ ェスチ ャー と活気に満 ちた表 情や発声を 組合せ なが ら、実験者は ゲーム(patTa-Cake, waving bye-bye,peek-a-boo)をや らせ よ

うとす る。乳児がそのゲームに熱 中 し、 自発 的 に続 け られ るよ う、実験者 の活動 が リズ ミ カルに繰 り返 され る。 ② Visiblebarrier (2分 間) 乳児は座 らされ、魅力的 な小 さな玩具が与 え られ る。乳児がその玩具を手 に取 り、遊 び 続け てい るときに、その玩具が取 りあげ られ 、 乳児 の手 の届 く範囲に置 かれ る。乳児 がその 玩具に手を仲はそ うとしているときに、透明な プ レクシグラスが乳児 と玩具 との問に置かれ る。 この活動期 間の ビデオテー プか ら、次 の4種類 の行動 カテゴ リーの評定が試み られ てい る。

の Emotionaltone:評定期間中の基本的 な情 動状態 の次元。

仔)Attentiveness:alertで、 ものや出来 事 に注 意 を持続 す る程度 の次元。

(10)

場 合、全身運動の場合、部分的 な身体運動 の 場 合 のいずれ を も含む) の次元。

巨)Socialorientation:スタ ッフに対 す るオ リエ ンテーシ ョンの次元。

各行動 カテゴ リーの評定 は、上記 した2種類 の 活動 の結果 を合計 した総合 ス コア として算 出され

TABLE3

CorrelationsBetweenNeonatalAssessmentScores

た。 また身体計測時 のEmotionaltoneも評定 され てい る。 結果 をみ ると、新生児期 の 6種類 の行動 カテゴ リー問の内部相関 では、全 ての カテ ゴ リーでいず れか の カテ ゴ リー と中程度 の相関が見 出され てい る(Table3)

0

Firstfactor Variable 1 2 3 4 5 6 loadings_ 1.Ⅰ汀itability 2.Resistancetosoothing 3.Activityawake 4.Reactivity 5.Reinforcementvalue 6.Responsetomanipulation - .63

.35

-.38

-.

4

7

.50

.51日 -.18 -.

4

3日 .

4

2

- -.06 -.32

.27

+

.50

1.35

+

+

1.62

+

+

Note.N=110. 'p<.05,Hp<.01. 〔FromMathenyetal.1985〕

と りわけ、irritability,resistancetosoothing

,

responsetomanlpulation,reinforcementvalue

は、新生児の気質の基本的成分 として気質の核を 形成す るもの とみなされ てい る。新生 児の気質の 両極 を描写すれば、一方にはirritabilityが高 く、 soothingLに くく、世話を して もfussyで、実験 者にnegativeなreinrorceをす る新生児がお り、他 方にはirritabilityが低 く、soothing Lやす く、 世話 に順応 しやす く、実験者にpositiveなrei n-rorceをす る新生 児がい るのであ る。 次に、新生児と9カ月児との相関をみ ると(Table4)、 新生児期にirritableでsoothingLに くか った者は、

9カ月児期 にはemotionaltoneのス コアが低 い、 つ ま りupsetとdistressの程度が強 く、新生児期 にpositiv_eなreinforcementの程度が高かった者は、

9カ月児期にはemotionaltone,activity,atte n-tivenessのス コアが高 く、positiveで機嫌が よか

った。

TABLE4

PredictiveCorrelationsBetweenNeonataland9-MonthAssessments 9-monthvariable

Neonatalvariable 1:Emo. 2:Act. 3:Atn. 4:Soc. 5:Em:P.

1.Ⅰ汀itability 2.Resistancetosoothing 3.Activltyawake 4.Reactivity I.24

+

-.10 -.21

'

-.17 -.22● -.13 .09 -.l

l

5.Reinforcementvalue .28

.24

6.Responsetomanlpulation -.27

-.26日

Note.N-110.For91mOnthvariables,Emo.-emotionaltone,Act.-activity,Atn.-attentiveness,Soc.-social orientationtostaff,Em:P.-emotionaltoneinphysicalmeasurements.

●p<.05.Hp<.01.

(11)

また9カ月児期 におけ る実験 室での評価 では、 emotionaltoneが気質 クラスターにおけ る中心変 数 としてきわだ ?てお り、他の全ての次元 と関連 性を有 している. このemotional toneの上位 1A

と下位 lA の両 グループの新生児期の特徴 を検討 してみ ると、 9カ月期にdistressであ った乳児は、 新 生児期にはirritabilityが高 く、nonreinrorcing であ り、世 話 され るときにfusSyであ り、ー逆 に distressでなか った乳児はhappyでoutgoingであ ることが見 出され ている。

こうした結果か らMathenyetal.ほ、 この時期 の乳児ではemotionaltoneが中程度の場合には 新生児期の情報 に意味がないが、両極 のグループ の場合には新生児 のirritabilityやrussinessの指 標 と一貫 した関連性がみ られた としてい る。 もち ′ ろん全てのirritableな新生児が、 9カ月期 にお いて もirritableであ り続 けるもので も、全ての穏 やか な新生児が穏やかであ り続け るわけで もない。 しか し、新生児期 と9カ月期 との問でemotional toneの次元 である程度の安定性が見 出された こと は、乳児期早期 の気質基盤がemotionalな もので ある可能性 を示唆 しているように思われ る。

(

b)満期産 および早期産新生児の気質 と24カ月期 の気質 との関連(Riese,M.

L.

19878.b) 満期産児 と早期産児 とを受胎後年齢40週 の時点 で比較すると、行動的および神経生理学的 per -forma‡lCeに類 似 性 と差 異が認め られ ることが報 告 されている。た とえは、EEGの パターンは母休 外生活 の長 さではな く、受胎後年齢に依存 してい るけれ ども、受胎後年齢40-41週の早期産児 の睡 眠サイ クルは、満期産児の もの よ りは組織化の程 度が劣 るとされている。 満期産児 と早期産児の気質を比較 した研究 は多 くはないが、最近 この問題が検討 され始めている。 それ らの研究 では、新生児期においては早期産児 が満期産児 よ りもirritabilityが低いと報告 され ている(DiVitto,B.,&Goldberg,5.1979,Lester,

B.M.,&Zeskind,P.S.1979,Michaelis.R.et al,1973,Sostek,A.M.etal,1979, Zeskind,

P.S.,&Lester,B.M.1978)

0

Rieseは、1987a.bの両研究において、満期産 新生児 と早期産新生児の気質的行動特徴 の差異を 検討 し、 さらに両群の気質的行動が生後2年間 の うちにいか なる変化をみせ るのかを追跡研究 して いるO ここでは、両研究を一緒 に して紹介す るこ とに したい。 満期産新生児は、14組 の男の双生児、14組 の女 の双生児、7組 の異性 の双生児の計67名 (3名は データ不備のため除外)であ り、誕生時の在胎遇 数は平均40遇 で、妊娠期に も周産期 に も異常がな い健康 な新生児である。全ての社会経済階層 の児 が含 まれている。評価の時期は、生後1日か ら4 日までの間であ り、あるfeedingか ら次のreeding までの3- 4時間の中で評価 され ている。 早期産新生児は、同性26組、異性6組 の双生児 であ り、男児33名、女児30名 (1名はデータ不備 のため除外) である。誕生時の在胎遇数は、2 9-37遇 (平均34週)であ り、評価の時期は、退院す る直 前の医学的 に安定 した時点 (生後 日数 の レン ジ :2日∼53日、平均14日) で行われ てい る。 満期産児の母親 と早期産児の母親 には、差がな いよ うに コン トロール されている。 新生児期の評価内容は、上記のMathenyetal. (1985)の もの とほぼ同 じであるが、次 の項 目が追 加 されてい る。 ・嘱乳能力(rooting,sucking,spittingな ど)の 評定。 ・観察開始後、最初 に出現 したactivesleepに おいて、15秒間のタイムサ ンプ リング記録が 10分間実施。評定 内容は、四肢の自発 的活動 の運動数 とその強 さ。

さらにMathenyetal.(1985)と同様に、次の6

種類 の気質 カテゴ 1)-に再分類 されてい る。 の

.

Irritability

,

㈹ Resistanceto soothing (ラ)Reactivity巨)Reinforcementvalue帥Acti -vity asleep (新 し く追加 された カテ ゴ リー) eb)Activityawake(Responsetomanipulation は削除)

24カ月期の実験室での評価手続 きも、Matheny etel,(1985)と同様であるが、子 どもの活動内容 の例 として以下 の2種類 のものが紹介 され てい る。

(DMechanicaltoy (2分間)

吠えて動 く電動製 の犬の玩具を子 ど もの正面 に置 く。実験者が操作器 を用 いてその犬 を動か してみせ る。操作の仕方を見せ た後、操作器 を

(12)

子 どもに渡 し、犬 を吠 えさせ た・り、動か した り す るようにすすめ た。 ② Mirror (4分 間) 大 きな鏡の前に乳 児を置 き、実験者は子 ども に気 づかれないよ うに、その鼻の先に色のつい た小 さな丸い形 の ものを貼 り付けた。実験者は 鏡 に映 った姿を見 なが ら子 どもとや りと りした (e.冒.実験者 と子 ど もは、鏡像 を媒介 に して、互 いに手 を振 った り、話 しかけた りす る)0 こ うした活動期間 の ビデオテープか ら、Mat h-enyetal.(1985)と同 じ以下 の 4種類 の行動 カテ ゴ リーの評定が行われ ている。

∽ Emotionaltone,(nAttentiveness,(9)Ac -tivity.冒 Socialorientation

また、評価期 間を2分毎に分け、相互に比較す ることに よって、EmotionaltoneとActivityの

変動 の程度 も測定 され てい る (Emotionaトtone variability;Activity-variability)

o

新生児期 のカテ ゴ リー問の内部相関 をみ ると、 (Table5)、 満期産児 と早期産児 の もの とは、非 常に類似 した結果 を示 してい ることが知 られ る。 いずれにおいて も、 6種類 の カテ ゴ リーの うち、 activity asleep を除 く5種類 が他 のい くつかの カテゴ リーと中程度 の相関 をみせ てい る.特 に、 irritabilityは他 の 4つのカテ ゴ リーと有 意 な相 関を もち、中心的 な気質 カテ ゴ リー とい って よい であろ う。irritability が高 い新生児は、満期産 、 早期産にかかわ りな く、sootheLに くく、覚醒時 の活動性が高 く、視覚刺激や聴覚刺激に対す る反 応が低 く、実験者をpositiveに 強 化 す る力が弱 い傾向にあるといえ る。 TABLE5

]ntercorrelationsforNeonatalAssessmentScoresforPretermand Fu‖一丁erm InfantsSeparately

Variables IRR SOO AWK ASL REA RFV PretermCorrelations I汀itability ResistancetoSoothing ActivityAwake ActivityAsleep Reactivity ReinforcementValue Full-TermCorrelationsa I汀itability ResistancetoSoothing ActivityAwake ActivityAsleep ReactlVlty ReinforcementValue .66

.48日 .35

.04 -.46日 -.54日 A6日 .07 1.14 1.32日 .04 .02 -.16 - 1.02 .ll .57日 .28

'

.18 -.52日 -.57日 .43日 .05 -.31日 -.29暮 .11 -.21 -.16 - - .19 .09 .53日 aFrom Riese(1987a). 'p<.05,Hp<.01. 〔FromRiese1987b〕 24カ月期 の ものをみ ると(Table6)、満期産児 と 早期産児の結果 は、や は り全体的に類似 した もの になってい る。両群 に共通 して、他 のカテゴ リー との相関が多か った のは、emotionaltone であ り、 この気質 カテゴ リーが この年齢時に実験室 で 示 され る気質の中心的 変数 とみて よいだろ う。 し か し、満期産新生児 の結果 をみ ると、 attentive一 nessは他 の 4つ の カテ ゴ リー とも有意 な相関を もち、重要なカテゴ リーであろ うO このatt,entive -nessは、満期産児で も早期産児 で も、emotional toneと最 も高 い相関を示 してい ることも注 目され

る。24カ月期にpositiveな emotionaltoneを示 す子 どもは、刺激 に対 す る注意力がす ぐれ、 スタ ッフに対す る社会的 オ リエ ンテーシ ョンが強 く、

(13)

活動的で、活動 の動揺が少い特徴 を もつ子 どもで 期産児のほ うが早期産児 よ りもirritableな傾 向が ある可能性が高 い といえ よう。 み られている。 この満期産児のほ うがirritable 新生児 と24カ月児の各行動 力テ ゴ 1)-の平均 ス であ るとい う結果 は、従来の研究知見 と一致す る コアを満期産児 と早期産児で比較す ると、 (Table ものである。 7)、新生児のiriitabilityにだけ有意差があ り、溝 TABLE6

lntercorrelationsfor24-MonthLaboratoryRatingsofTemperamentforPreterm and FuIL-Term LnfantsSeparately

Variables EM0 EM:V ACT AC:V ATT SOC Pretem Correlations EmotionalTone EmotionalTone-Var Activity Activity-Var Attentiveness SocialOrientation:Staff - -.08 .30● 1.56日 .76日 .76日 I.21 -.18 .17 -.16 .04 .24 .09 -.47日 一.57日 .59日 Full-TermCorTelationsa EmotionalTone - -.22 .36

1.47H .76

.69日

EmotionalTone-Var Activity Activity・Var Attentiveness SocialOrientation:Staff .05 -.01 .01 一.31

-.ll .26 .08 -.33

-_50++ .54

Note.Var-Variability aFromRiese(1987a) .p<.05,Hp<.01. 〔FromRiese1987b〕 TABLE7

MeansandStandardDeviationsfortNeonataland24-MonthVariablesforFull-Term andPreterm lnfants Full・Tem Preterm Variables M SD M SD Neonatal I汀itability ResistancetoSoothing ActivityAwake ActivityAsleep ReactlVlty ReinforcementValue 24Months EmotionalTone Activity Attentveness SocialOrientation:Staff 1 3 8 5 7 6 6 1 3 ハU 8 9 5 8 5 3 6 9 4 0 4 4 4 6 4 7 6 5 2 9 9 0 9 9 7 0 = 日日 6 3 6 9 4 2 7 9 9 9 7 9 〔From Riese1987b〕

(14)

新生児期 と24カ月期 との関連をみ ると(Table8)、 満期産児の場合には、新生児期のirritability は 24カ月期 の 4つのカテゴ リーと有意 な相関がみ ら れてい る。 この相関か ら、irritabilityの高 い 満 期産新生児は、24カ月期になるとemotionaltone のupsetが高 く、 刺激に対す る注意力 とスタ ッフ に対す る社会的 オ リエ ンテーシ ョンが少な く、 activityの変動が多 きい子 どもになる傾向がある

ことが指摘できる。

早期産児で有意 な相関がみ られたのは、新生児 期の睡眠中の activityと24カ月期 の emotional -tonevariability だけである。満期産児では、 こ の両 カテ ゴ リー問の相関 と同時 に、新生児期 の覚 醒時のactivityと24カ月期のactivity-variability

との問に も有意 な相関がみ られ ている。

したが って、新生児期 と24カ月期 の気質 カテゴ リーの予測的パ ター ンは、満期産児 と早期産児 と では異なっている。

TABLE8

PredictiveRe一ationsBetweenNeonataland24-MonthAssessmentsforFun-Termand PretermInfantsSeparately

24-MonthVariablesb

NeonatalVariables EMO EMO:V AC:V ATT SOC Full-TermCorrelationsa Irritability -.36日 ActivityAwake ActivityAsleep PretermCorrelations I汀itability ActivityAwake ActivityAsleep .08 .28● .29* .30

-.31日 -.38日 .32

一.04 .03 .03 -.15

Note.Onlythosevariablesforwhichthereweresignificantrelationsarepresented. aFromRiese(1987a).

らEMO-Emotionaltone,Ⅴ-variability,AC-activity,ATT-attentiveness.SOC-social orientationtostaff.

■p<.05. ‥ pく01 〔FromRiese1987b〕

Rieseは こうした結果か ら、早期産児ではirri -tabilityが初期に抑制 され るが、24カ月期にな る

と満期産児 とemotionaltoneの評価に差がな くな る理由 として、prematurityと関連 した要因が気 質特徴 の十分 な表現を早期産児では抑制 している のだろ うと推測 している。つ ま り、誕生時の成熟 の程度が、新生児期の気質を よ り正確 に測定 させ るのに必要 なのだ と考 えるのであ る。 しか し、 このprematurityが、新生児期 と24カ 月期 の気質 カテゴ リーの内部相関 に影響せず、両 群 で穎似 した結果 を示 し、新生児の irritability

と24カ月期の emotionaltoneは両群で中心的変 数 であった ことは注 目すべ き点 である。

最後 に、早期産児で新生児期 と24カ月期 とで唯 一み られた有意 な相関に触れておこう。それは、 新生児期の睡眠中のactivityと24カ月期のemotion一

altone-variabilityである。先に も指摘 した よう に、 この相関は満期産児でもみられている.Table 5にみ られ るように、睡眠中のactivityは満期産 児で も早期産児でも、他のカテゴ リーのいずれ と

も有意 な有閑がない。

また、emotionaltone-variabilityもTable6に あ るように、早期産児ではいずれ のカテゴ リーと も有意な相関がな く、満期産児では、attentiveness とだけ有意 な相関がみられている。 この結果か らRieseは、 この両 カテ ゴ リーが他 のカテゴ リーとは独立 した行動次元を反映 してい る可能性を示唆 している。そ して、 この独立 した 行動次元 の存在は、気質の評価 で従来 まで常識的 に取 り扱われ てきた もの以外 に も、気 質的行動次 元が存在す る可能性を示唆 してい ると述べている; (受理 1988・8.10)

(15)

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