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遺伝性パーキンソン病の臨床分子遺伝学的研究 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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(1)

学 位 論 文 内 容 の 要 約

氏名 一瀬 佑太

論文題目

遺伝性パーキンソン病の臨床分子遺伝学的研究

(Familial Parkinson’s disease:a clinical and genetics study)

学位論文内容の要約 ( 研 究 の目 的 )家 族 性パ ー キ ンソ ン 病( PD) 12家 系 の 原 因遺 伝 子の 同定 を 目 的に 遺 伝子 解 析 を 行 った .さら に ,GBA遺 伝 子の 長 大欠 失 変異 を 有 した 1家 系 にお いて ,GBA遺 伝 子 変 異に よ る PD発 症 機 序 の解 明 のた め , 変異 の 有無 に よる ド パ ミン 神 経細 胞 脱落 , 脳 血流 分 布, 遺 伝子 発 現 量 の違 い を親 族 内で 比 較 検討 し た . (方法 )家 族 性パ ー キン ソン 病 12家 系 に おい て ,GBA 遺 伝 子 のサ ン ガー 解 析, エ ク ソー ム 解析 , エク ソ ー ム解 析 のデ ー タを 用 い た構 造 変異 解 析を 行 い ,既知 の PD原 因 遺伝 子 変 異を ス クリ ー ニン グ し た.さ らにGBA遺 伝 子 の 長大 欠 失変 異 を有 し た 1家 系 には ,サン ガー 法 に よる 変 異の 確 認,mRNA発 現 量 解析 ,ドパ ミ ン トラ ン スポ ー ター シ ン チ グラ フ ィ( DAT scan),脳 血流 SPECT,グ ル コ セレ ブ ロシ ダ ーゼ 酵 素 活性 測 定を 行 なっ た .( 結果 )対象 家 系の 発 症 者は 1家 系 を除 き皆 40歳 以 上 で の発 症 であ り ,典型 的 な臨 床 像を 呈 し て いた .GBA遺 伝 子の サ ン ガー 解 析に よ り,2 家 系 にGBA遺 伝 子の ヘテ ロ 接 合変 異( p.L444P と p.G430V) を 見 出し た. エ ク ソー ム 解析 で は, 上 記 2家 系 にお い てGBA遺 伝 子解 析 で見 出 し た 変 異 が検 出 され た 他,構 造 変異 と してPARK2遺 伝 子 の複 合 ヘテ ロ 接合 性 長 大重 複 変異( Exon2 〜 5の 長 大 重複 と Exon5の 長 大 重複 ) を1 家 系, PARK2遺 伝 子 の 複合ヘ テ ロ 接合 性 長大 欠 失変 異( Exon3の 長 大 欠 失とExon6の 長 大欠 失 )を 1家 系 ,GBA遺 伝 子 の ヘテロ 接 合 性長 大 欠失( Exon3 〜 11と 隣 接 す る偽 遺 伝子 の Exon1〜 2ま で の 長大 欠 失 )変 異 を 1家系 見出 し た .PARK2遺 伝 子 の 複 合 ヘ テロ 接 合性 長 大重 複 変 異の 家 系で は 発端 者 以 外の 若 年性 PD発 症 者 に 変異 を 認め た が, 発 端 者 では 認 めな か った .GBA遺 伝 子 の ヘテ ロ接 合 性 長大 欠 失を 有 する 家 系 では , PD発 症 者 2 名 を 含 む親 族 6名 に変 異を 認 め , 4名は 未 発症 変異 キ ャ リア で ある と 考え ら れ た. 本 家系 に お け るGBA遺 伝 子 の mRNA発 現 量 は ,有 意 差は な かっ た も のの 変 異の な い健 常 者 に比 べ て変 異 キャ リ ア に おい て 低い 傾 向に あ っ た( P=0.087).DAT scanで は ,PD発 症2 名に お い て SBR( Specific binding ratio)が 1.57,0.94と 著 明 な集 積 低下 を 認 めた .非発 症 変異 キ ャ リア は 全例 と も集 積 が 保 たれ て いた が ,う ち 2名 で は年 齢 に比 して 集 積 が低 い 傾向 に あっ た . 脳血 流 SPECTで は PD発 症 者 1名で ,頭 頂 葉,後 部 帯 状 回と 楔 前部,後 頭 葉 外 側面 ,後 頭葉 内 側 面の 血 流低 下 を認 め た . 血清 グ ルコ セ レブ ロ シ ダー ゼ 酵素 活 性は , PD発 症 者 2名 と非 発症 変 異 キャ リ ア 1名が 正 常 基 準 値下 限 ( 4.1nmol/mg protein/hour) を 下 回 っ た.

(2)

学 位 論 文 内 容 の 要 約 ( 続 紙 ) 氏名 一瀬 佑太 (考察)PARK2 は遺伝性 PD の中で最も頻度が高い若年性 PD である.発端者以外の若年性 PD 発症 者に変異が検出された家系では,発端者のみ高齢発症で進行が早い点で臨床像がPARK2 とは大きく 異なっており,他の発症者とは原因が異なると考えられた.本邦の孤発性PD 患者の 9.4%がGBA遺 伝子のヘテロ接合変異を有するとされるが,本解析では対象12 家系中 3 家系(25%)にGBA遺伝 子変異を認め,遺伝性PD 例においては,孤発性 PD よりも高頻度にGBA遺伝子変異を有する可能 性が示唆された.GBA遺伝子の長大欠失変異を有した家系では,年齢に比してDAT scan の集積が低 かった非発症変異キャリア2 名は,PD の発症早期の特徴とされる被殻外側後部の集積低下が伺われ, 今後数年の経過で臨床的にPD を発症する可能性が高いと考えた.一方,集積が保たれていた非発症 変異キャリアはPD を発症する可能性が低いと考えた.本解析により遺伝子変異を有する者全てがド パミン神経細胞の変性脱落を生じるわけではないことが確認された.また,本家系の血清中グルコセ レブロシダーゼ酵素活性と末梢血中のGBA遺伝子のmRNA の発現量は,共に発症者において低い傾 向にあったが,ヘテロ接合性変異の有無と酵素活性や遺伝子発現量が単純に相関するわけではないこ とがわかった.以上より,GBA遺伝子関連PD の発症にはGBA遺伝子変異以外の因子が複数関わっ ている可能性が高いと考えられる.今後はGBA遺伝子関連PD の発症に関与する他の因子を探すた め,グルコシルセラミドの代謝系に関わる酵素をコードする遺伝子やGBA遺伝子のプロモーター領 域のSNPs, PD との関連が見出されている SNPs などの解析を行う.(結論)遺伝性 PD の 12 家系 の解析から,PARK2 を 2 家系,GBA遺伝子関連PD を 3 家系見出した.GBA遺伝子関連PD では 変異の有無と遺伝子発現量,グルコセレブロシダーゼ酵素活性量,ドパミン神経細胞の脱落の程度に 一定の相関はなく,発症メカニズムにはGBA遺伝子変異以外の因子の関与があると考えられた.

参照

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