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キャンパス・ネットワークにおける資源の有効利用ケーススタディー(II) : ハードウェアおよび情報資源

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長野大学紀要 第16巻 第1・2号合併号 25-40頁 1994

キャンパス ・ネ ッ トワークにおける資源の有効利用

ケーススタデ ィー

(

)

ハー ドウェアおよび情報資源

Efficient Utilization of Resources in a Campus Network (II)

1

. は じめ に 1.1 本稿 の 目的 本稿 はケー スス タデ ィー3回シ り- ズの第2部 である0本 シ リー ズでは筆者が本学の教育研究用 情報 システムの構築お よび管理 に関わって きた経 緯の中で、実施 した実験的作業の概要 と、その経 験 を通 じて得 た知 見等 を報告 し、また、その知 見 の今後の情報 システムへ の活用の道につ いて考察 す るこ とを目的 としている。 第 1部 である前稿

[

1

]では、外部情報資源の活 用 と題 して、広域 ネ ッ トワー ク(インター ネ ッ ト) へ の接続につ いて、主 として技術 的な視 点か ら報 告 を行 ったO実はインター ネ ッ ト自体 は、 そこに ある情報資源 を活用す る とい う、情報受信者 の立 場か ら見た価値 だけ を持つ訳 ではな く、逆 にイン ターネ ッ ト (の向こ う側 にいる人達 )に向けて、 情報 を発信す るための道具 としての価値 も大 きい ものである。従 って、その後者の視点での議論 を 省略 した前稿 は、その意味 では片手落 ちだ った と も言える。 しか し、双方向チ ャンネル としてイン ターネ ッ トを論 じる場合 、改めて 「メデ ィア」 と しての視 点か ら、計算機 ネ ッ トワー クを (キャン パスネ ッ トワー クも含めて)見直す必要が ある。 これにつ いては、特 にインター ネ ッ ト関係 は最近 とみにホ ッ トな領域 で、前稿脱稿後の迫報の必要 のある事項 も多々生 じてい るこ とで もあ り、場 を 改めて報告 し直す こ とを∴筆者の今後の課題 とし て残 してお くこ とに したい。 従 って、本 シ 1)- ズでは、キャンパスネ ッ トワー クを、(情報処理装 置であ る ところの)計算機 シス テム 、の集合体 である と考 え、 その前提 に基いて 行 った作業や考察 につ いて、資源 とい う観点か ら 述べ る ものである。本稿 では、そのシ リ- ズの第

岡 信

Nobuyuki Hiraoka

2回 として、主 として-- ドウエア資源お よび情 報資源の活用に関 して述べ る。

1.2

資源 とは 計算機 の類の もの 1)が世 に現れて約半世 紀にな ろ うとしている。その歴史は資源確保 の努力の歴 史であ る ともいえる。当初最 も高価かつ重要 な資 源 であったCPU(中央処理装置)2)資源の処理能 力 向上 (つ ま り単位 時間あた りに得 られ るその資源 量の向上 )は、絶 えず技術的課題 であ り続けてい るし、主 なオペ レー テ ィング ・システムが土台 と してい るタイム シ手ア リングやマルチ プロセ ス と いった ソフ トウェア技術3)も、そのCPU資源の 有効 利用 を目的 として開発 された ものであ る。 ただ、昨今 の状況は、それ よ りもやや複雑 であ る。 「計算機 」 として の コンピュー タにおいては その様相 は今 もさほ ど変わ らないが 、現在我々の 身近 にあるコンピュー タ類 は、情報 を処理す るだ けでな く、蓄積 し、転送 し、さらにマ ンマ シンイ ンタラ クシ ョンを行 うとい う、八面六腎の機能 を 持つ機械 である(こ とを期待 されている)。その機 能毎 に (互 いに重複 しなが らも)個別 の資源 を要 求す る。例 えば単体マ シンの物理 的-- ドウェア 1)いわゆるフォン・ノイマン型ア-キテクチャは基本的 に今なお継承されてはいるが、その用途を考えると 「計 機」という "昔の名前''で呼ぶことを実はつい蹄曙して しまうoちなみに我々は会話では通常「ましん」「は-ど」 「の-ど」等の名称で呼ぶ。 2) 1チップ内に作り込まれるようになって以降のものは、 特に装置そのものの呼称としてはMPU或はプロセッサ 等の方が一般的であるが、資源としてその処理能力を論 じる時にはやはりCPUと呼ぶことが多い。 3)ソフトウェア上の変革は次の世代の-- ドウェアに反 映されることも多いため、これらをソフトウェア技術と 言い切ってしまうことは適切でないかも知れないが。 -2

(2)

5-26 長野大学 紀要 第16巻 第1 ・2号 合併号 1994 資源に限 って も、CPU以外に主記憶装置(メモ リ)、 補肋記憶装置(デ ィス ク等 )、転送路 (バ ス等 )が それぞれ適 量必要 となる。 これ らのいずれかが適 量 よ りも不 足 した場合 には、その部分が ボ トルネ ックとなって、必要 とす る機能 を実行 で きないか 、 実行のための別 の コス ト(大抵の場合 は余分 な「時 間」)を必要 とす るか 、とい う結果 になる。その場 合 、他の資源は活用 されずに 「遊ぶ」 こ とになる。 なお、これ らの資源の 「適量」は、その システム の用途等の様々な状況に依存 し、 どこにで も通用 す るワイル ドカー ド的数値 は存在 しない。 物理的-ー ドウェア資源以外に、無形の資源 も 考慮に入れ る必要がある。計算機 を動作 させ るた めに ソフ トウェアが必要 であ る4)し、その ソフ ト ウエア を含めたあ らゆ るデー タは重要 な情報資源 として扱 う必要がある。 ソフ トウェアに関 しては、 その使用権 (ライセ ンス) も場合に よっては資源 としての扱い を必要 とす るし、また、-- ドソフ トを問わない論理 的な資源 として、例 えばア ドレ ス空間の ような数字空間や名前空間 も貴重 な資源 である場合がある。なお、(言及す るのが遅 れた が )本稿 では 「資源」 とい う用語 を、有形の もの、 天然の もの といった一般 に使 われ る意味に限定 し ない広 い解釈 で、「有限の もの」「(何等かの)コス トのかか っている もの」 といった意味合 いで使用 しているO これに違和感 を覚 える読者 もいるか も しれないが、情報 システムの世 界の慣用語 として 理解 して頂 きたい。 ちなみに、情報 システムに関 して、一般 的な用語におけ る 「資源」に属す るも の としては、設備や消費財の材料物質や 、システ ム運用のための電 力、プ リンタ用紙等の消耗 品が あ り、これ も経済上 、或は道義上 、決 して無視 し てはいけない ものであろ う。 さらに、昨今 の計算機 は通常 は単体 で置かれ る のでな く、何等かの伝送線 で相互接続 されたネ ッ トワー クシステムの一部 として存在す ることが 多 い (本学の状況 も然 りである)5)。その場合 、ネ ッ トワー クを通 じて同種の資源 を相互融通す るこ と が技術 的に可能 とな り、資源の有効 利用の可能性 は広が る.ただ し、この場合 、そのネ ッ トワー ク 4)というより、ソフトウェアを実行することが計算機の 存在意義である (筈)という方が正しいのだが。 5)実は日本ではまだこれからという状況ではあるが。 自体が資源 としての性格 を持つ こ とにな り、話が さらに複雑 になる可能性があ る。 また、このネ ッ トワー ク技術 とは別 に、異種 の資源の可換性 を実 現す る技術 も存在す る6)。 さらに視 点 を拡大 して、 組織 内の情報 システム全体 をマ ンマ シンシステム として捉 えた場合 、それに関与す る入間 もまた資 源の1つ であることにな る7)0 こ ういった複雑 な状況において、真 に最適 な ソ リュー シ ョンを得 るこ とは至難の技8)であ り、さ らな る研究が必要 であるこ とは明 らか ではあるが 、 それに至 る道標 として、筆者の浅薄な見識 と経験 に基づ いて整理 し得 る部分 を、本 シ リー ズの第3 部 で報告 したい と考 えている。本稿 ではそれに先 立 って、前述の資源のネ ッ トワー ク内相互融通 と、 異種 の相互可換性実現 を中心に、技術的な視点 で の報告 を行 う。 2.出発点

2.1

2

次 システム 本学産業情報学科 (以下 、情報学科 と略記す る) の設立 は88年春 であるが 、それに先立 って、教育 研究 を目的 とす る情報 システムが導入設置 されて いる。 この システム を筆者は第

2

次 システム と呼 んでい る (但 しこの呼称は、筆者の便宜上の分類 であ り、公的に使われている ものではない)9)0 筆者が本学 に赴任 し、情報 システムに関わ り始 め た (本研究 に関す る作業 を開始 した)のはその3 年後 であ り、これが本稿の出発点 となる (以下 、 作業開始時点 と記す )。その3年間に若干の設備追 加等が行 われてはいるが、筆者に とっては先 史の 話 であ り、それ らを一括 して本稿 では第2次 シス テム として扱 う

[

2

]。 また、下記の分類 も、導 入 時の意図や名 目とは無関係 に、(用途等におけ る) 6)という大層な表現をしたが、例えば計算機を使わずに 全部手作業でやっつける、というのも異種の資源の可換 性実現の(わかりやすい)「テクノロジー」の1つである。 7)これらをひっくるめて組織の構造ごと再構成しようと いう試みが (リエンジニアリングと称して)行われつつ あるようだが、残念ながら筆者の研究はそこまでは手が 届かずにいる。 8)個別の状況毎に、最適解を得るためにさらに人的資源 を消費することを考慮すると、これは実質的には不可能 だと言えるだろうが、それに向かっての志は必要だろう 9)使っているうちに定着するであろうことを目論んでい ることは、ご推察の通りであるo ー2

(3)

6-平岡信之 キャンパス ・ネ ッ トワー クにおけ る資源の有効利用 ケー ススタデ ィー (ⅠⅠ) -- ドウェアお よび情報資源 その後の実態 をもとに筆者が再構成 した ものであ る。なお、この第 2次 システムは本稿執筆時点で も基本的にその用途 で継続 して (筆者は第2.5次 に分類 しているが )利用 されている。(但 し、94年 秋 を目標 に大幅更新 の計画 が進め られてお り、本 誌発行時点では第3次 と呼ぶべ きシステムが稼動 を始めている と思われ る。) 第2次 システムは概ね以下 のサ ブシステムか ら 構成 され、 2つ の建屋 に跨 る 1本のイーサ ネ ッ ト セ グメン ト10)に (部分的に)接続 されている。 a)ホス ト機

DEC

社製 スーパー ミニ コン

(

vAX8

6

0

0)

設置場所 :マ シンルーム (実習室隣 ) 用途 :集合教育 (主 として実習授業 )

b)

パ ソコン

NEC

社製パ ソコン 約

1

0

0

(

PC9

8

0

1

UV

;フロ ッピーモデル) 設置場所 :実 習室 、演習室 用途 :集合教育 (主 として実習授業 )におい て、 ・単体パ ソコン としての利用 ⇒環境

1

・a)に ロ グインす るための端末E*環境2 の2通 りの用途。 また、独 習用に も利用。 接続 :イーサ ネ ッ ト直結 でな く、シ リアルケ ーブル (RC232C)、 ター ミナ ルサ ー バ (Annex)を経 てイーサ ネ ッ トに接続。 C)EW S (ェ ン ジニ ア リン グワー クステー シ ョン11))頬 Sun等

1

6

台 設置場所 :各研究室 (主に情報 システム研究 所3、 4階 )に分散配備 用途 :ゼ ミにおけ る小 人数教育 と研究 Ej>環境3 d)その他

PC

(パー ソナル コンピュー タ)類 Mac等 約

1

0

台 (メー カ、機種 は様 々) 設置場所 ・用途 :C) と同様 j>環境4 接続 :スタングロンが殆 どだが、Macの一部 はlocaltalkで相互接続 10)3種類 (Thin,Thick.及び光 )、10本以上のケーブルか ら成 るが 、すべ て リピー タ接続 であ るため、機能的には 1本 と考 えるべ きものである。 ll)最近は必ず しもエ ンジニア リングが主用途 とは言 えな くなってお り、さらに

PC(

パ ソコン)との機能的差違 も 明確 でな くなって きているため、「マルチュ-ザ向けデス ク ト ン70機」 といったあた りが正確 な分類 とい うこ とに なるだろ う∩ 27

2.2

問題 と課題 情報 技術の世 界は、(規 格動 向や 製 品動 向に限 れば )1年先す ら予 測で きない程に、流れの速 い 世 界であ り、す でに構築 され稼動 し利用 されてい る (しか も自分が貢献 したのでない)システムに 関 して、後か ら批評めいたこ とを述べ るのは、単 なる後知 恵で しか ない反則行為 であるか も知 れな い。 また、前稿 で も触れたが 、この第2次 システ ムは、 ・(当時 まだ大 ・中型機や オフ コンに流れが ちだ った大学教育の世 界で)Unixを採 用 した こ と ・1つの設備群 (上記のb))でUnixと

MS-DOS

2

つ の プ ラ ッ トフ ォームの利用 を可 能 に したこと ・イーサ ネ ッ トの採用 といった、その先進性 において評価すべ き点 も多 々ある。が 、それで も構築後3年が経過 した、筆 者の作業開始時点では、様々な事情 (それ も別途 分析す る必要があるか も知れ ないが )で、その「時 代」 におけ る教育研究実施 に (少な くとも筆者に とって)不都合 を生 じていたこ とは、記録 に留め ておいて差 し支 えはなか ろ う。

8

0

年代か ら

9

0

年代 にかけて、計算機利用環境 に 大 きな変化が起 こったoその主要 なキー ワー ドを 挙 げ る と、 A)ネ ッ トワー ク化 B) 日本語処理 の普及 C)GUIの一般化 とい うこ とにな るだ ろう。筆者は、「計算機 システ ムの有効 な利用の道 を探 って行 こ う」 とい うよう な コンセプ トで授業 な りゼ ミな りを行 っているが、 その場面において、その題材 とな る計算機 システ ムが 旧態依然の ものでは、前に進むのが 困難にな る。少 な くとも、その 「時代」 におけ る、計算機 利用の 「スタイル」程度の ものは経験に よ り掴 ん でお く必要 はある。 ところが上記

A-C

の観点か ら第2次 システム を見た場合 、それに適 した環境 が用意 されていない。ゼ ミや小 グループ等の、あ る程度以上 の人数が同時に利用可能 な環境 は、前 述 の

1-3

であるが 、それ ぞれ 環境1:Bにつ いてはパ ソコンの機能 を用 いて 一応可能 だが

、A

C

はほぼ絶望 的 (シ リア -2

(4)

7-28 長野大学紀要 第16巻 第1 ・2号合併号 1994 ル ラインでは実用的な通信 プロ トコルは実行 不可能 だ し、 グラフ ィックデー タについては 蓄積 しておけ る外部記憶領域がない) 環境2 :Aは利用可能 だが、Bは利用不可、C は絶望 的 (1と同 じ理 由に よる) 環境3:Aは利用可能 だが、Bは利用不可 (D ECもSunも米拭製のマ シンお よびOSで動 作す る)

、C

は利用可能だが業界の実質的な標 準の方式は使 えない。 とい うように、いずれ も不完全 であ るこ とが分か る。そこで、この状態か ら、「時代」に取 り残 され ていない何等かの環境が存在す る状態に近づ け る こ とが 、当面の課題 となる。それ も、経済的に極 力慎 ましやか なソ リュー シ ョンを得 る とい うこ と も条件 となる (この条件 は特 に誰かが設定 した訳 ではな く、いわば 「場の雰囲気」及び筆者の性分 や 、これ までフ リー ソフ ト等に親 しんで きた筆者 の経験等か ら、 自動 的に醸 し出されて しまった も のだろ う。) さて、学 内の どこか に (比較的 )先進的な環境 を展開す るプランの、その対象 として、 とりあえ ず上記の環境

1-4

のいずれか を選ぶ必要がある。 この うちの環境1、2は、集合教育用の環境 であ り、基本的には常 に画一 的である必要があ る (撹 業時に、座 った机に よって使 い方が違 うとい うよ うな環境 だ と教員 も学生 も非常に困る) し、 また、 環境改善作業のために機器の運用が停 止す るこ と もまた望 まし くない。一万の環境3、 4につ いて は、統一性や運用継続性 に さほ どの厳 しい要求 は な く、 また、そのため管理 が行 き届かなか ったこ とも災い して、(幸 か不 幸 か ) 利用度 はか な り低 い (実 は何年 も眠 った ままのマ シ ン もあ った )0 さらに環境3につ いては、前述の分析に見た よう に、唯一 「絶望」の文字 のない環境 であ り、遊休 資源 を活用す る とい う点 を考 えて も、これが最 も 適 した環境 である と考 え られ る。か くして、前稿 のインターネ ッ ト接続 と並行 して、第

2

次 システ ムに対 して、 これが筆 者 の 当面 の課 題 とな った (これ も別 に誰 が 命令 した訳 で もないのだが 、や は り場 の雰 囲気 と、「必要 な こ とは 自分 でや る」 文化の中で育 って しまった筆者の、 自然な反応だ った と言 えるだろ う)0 3.EWS環 境 の 改 善 の必 要性

3.1

-- ドウェアの状況 さてその環境3、即 ちEWS環境 だが、前述の ように、主 としてSunワー クステー シ ョンで構成 されている。具体 的には、 Sun3/50(モ ノクロ)10台 4MB Sun3/60(カラー ) 4台 4-8MB Sun4/260(カラー ) 1台 8MB, デ ィス ク500MB News841(モ ノクロ 1台 8MB, デ ィス ク250MB とい う構成 である12)。 その大勢 を占め る機種 であ るSun3については、デ ィス ク容 量 を記述 してい ないが 、これ らに接続 して並べ て設置可能 な、「シ ュー ボ ックス」 と呼ばれ る外形寸法のデ ィス ク装 置 (殆 どがス トリーマテープ装置付 き)が合計12 台あ る。それぞれ容量は140MB(1台だけ280MB) である。 これ らのマ シンは、Sun3同士 を除 いて、バ イ ナ )) (プログラム等 )の互換性 はないc Lか し、 前述 のVAX8600を含めて、これ らのマ シンを制 御す るOSは、いずれ もBSD系UNIXに属す る ものであ り、ほぼ類似 の発想で管理 で きる もので あるこ とは幸いであった。ただ し、それで も各 メ ー カ毎 の独 自の拡張や方式があった り、 また、0 Sの版に よる大 きな差違 (BSDの4,2版か ら派 生 した もの と4.3版か ら派生の ものの間の差違 も 大 きい) もあ り、一筋縄 ではいか ない部分 もあるC いずれに して も、数 の点で優勢 であるSun3か ら、 その有効活用の試み を始め るこ とになる。 3.2 日本語表示 の方式 通常、EWSは コン ソー ル画 面では 日本語 は表 示 で きない。少な くとも上記の機種 はそ うだ し、 最近 で も状況は さほ ど変 わ らない。EWSにお い ては、マルチウ ィン ドウの利用が前提 となってお り、何 等かのウ ィン ドウシステム を実現す るソフ トウェア を通 じて、その窓に 日本語 を表示す るこ とが で きれば事 足 りるか らである。ではその ウ ィ 12)いずれも当時はエンジニアの憧れの的だった機種であ るが、今ではこのスペックはノー ト

PC

かと見紛う程度 のものである。いや、その感覚さえもあくまで本稿執筆 時点以降、すぐに陳腐化するのかも知れない。 ー2

(5)

8-平 岡信之 キャンパ ス ・ネ ッ トワー クにおけ る資源の有効 利用 ケー ススタデ ィ- (ⅠⅠ) -- ドウェアお よび情報資源 ン ドゥシステムでの 日本語処理 は とい うと、上記 機種 では、さすがに国産機 であるNewsは、すで に 日本語化 されていたが、Sunに関 しては、当時 (Sun3購入時点)標準でサ ポー トされてお らず13)、 当時の海外製 ソフ トウェアの多 くと同様 、 日本語 文字の表示 、入力や処理が出来ないだけでな く、 プログラムによっては、扱 うデー タの各バイ トの

MSB(

最上位 ビッ ト)を、特に必要 もな く0に落 として しまうこともあ り、デー タの中継、仲介的 な用途に も問題 を生 じる場合がある、 とい う状況 ではあった14)。勿論マニュアル も当然すべて英語 である。なお、これは

VAX

について もほぼ同様 だったc sun3の場合 、 日本語 を表示 させ る方法 として、 (筆者の調べた範囲で)3つの方法があった。 1.JNIX:OSお よび純正のウイン ドウシステ ム (Suntools)に対す る追加 ソフ トウェア群 として、サー ドパーテ ィに よって販売 されて いた もの[3]。本学 で も3台分購入 してあっ た。ただ し、SunOSのバー ジ ョン3にのみ 対応 している。 2.X-Window :汎用のウィン ドウシステム[4] (以下、Xと略記す る

)

。VIO(ヴァージョンテ ン)以降、ソースコー ドの形で一般に (フ リ ー )で入手可能 になってお り、Vllになって か らもリリースを重ね、当時(作業開始時点) すでに

R4

(リリースフォー)が出てか らか な り経過 していた。 3.JLE:SunOSバー ジ ョン4(以降)の 日本 語拡張 として標準サ ポー トされてい る (ただ し当時は別買だった)[5]。Xをベースに して お り

、X

との相互乗 り入れは可能 だが、機能 豊富のため、Sun3には若干重す ぎるとい う 難点がある。 上記の うち、1お よび3は表示に限 らず、入力や 13)米国の製造社 は まだ E]本法人を開設 してお らず 、商社 が製品 をその まま輸入 して販売 しているだけに近 い もの であった。 14)これ らのマ シンやOSの開発者に とっては、ASCIIコ ー ドでは到底表現 しえない何万種類 もの複雑 な文字セ ッ トを利用す るような民族が極東に存在 してい るこ とな ど 思い もよらない、といった ところだ ったのだ ろうQ ちな みに、最近のソフ トウェアの 「日米同時 リース」等 というニ ュー スを目にす る と、この時代の流れが恐 ろし くなる。 29 操作 、編集 といった機能 までサ ポー トされた、「こ れ1つでOK」型の ものであるのに対 し、2は、 Ⅹ 自体の入手お よび各マ シンに合わせ たコンパ イ ル、インス トールが必要 であるばか りでな く、表 示以外の部分 (入力、編集お よび諸 ツール)につ いては別途 ソフ トウェアの入手が必要15)であ り、 また、ベ ンダーによるサ ポー トも受け られない. とい うデ メリッ トもあるが、やは りここではXを 中心に据 えた解決策 を探 ってい くこ とに した。理 由 としては (言わず と知れた)経済的事情以外に、

Ⅹ独 自の資源融通の メカニ ズム(後述 )は有用 ・業界の実質標準の位置 を占めている ・今 のNews以外に も今後Sun以外の様々な機 械が導入され る可能性がある。 とい う点があげられる。勿論、当面のつな ぎとし て購入済のJNIXも使 って きているし、時期 を見 て予算確保 をお願い して

漸 次OSのバー ジ ョン ア ップ を図るとい うことも行 っている。

3.3

日本語の入力 と編集 コンピュー タを使 う人間 を (乱暴に)大別 して、 ・感性 で使 う人 ・論理 で使 う人 の

2

つに別け られるとす ると、情報学科の 目的は、 後者の育成が主体 である と筆者は考 えている16)。 論理 でコンピュー タを使 う限 りは、キーボー ドと 適切 なエデ ィタは必須の道具 であ り、それはタッ チ タイピングで操作 され るのがふ さわ しい。従 っ て、情報学科の最初の課程はタッチ タイピングで あるべ きだ し17)、(特にエデ ィタにおいて)タッチ 15)最近の リリー スになるほ ど、そ ういった問題 は解消 さ れて きて、Xの配布媒体 中に何 で も揃 うようになって き た。 さらに 日本語入力方式な どにつ いては、提唱 された 複数 の ソフ トが収め られていて、今度 は逆 に 「選ぶ」手 間 を生 じるようになっている.な どとい うのは賛沢な悩 みであるが。 16)誤解 のない ように注記 してお くが 、昨今 のいわゆ るマ ルチ メデ ィア化の動 きの中で、感性 で コンピュー タと関 わる人の層が (情報発信者 において も受信者において も) 増 えて くることを、筆者は否定 しているわけではないO 感性 でコンピュー タを使 うための枠組み を設定 した り提 供 した りす る人は、主 として論理 で コンピュー タに関る ことになる とい う考 えである。 17)もし出来 ることな ら、予科 の ような もので も設置 して、 予 め習得 しておければ、なお望 ましい とす ら思 うが、勿 論 これは暴論 であろう。 -291

(6)

30 長 野大学 紀要 第16巻 第1 ・2号合併号 1994 タイ ピン グの 習慣 化 を妨 げ な い 、 「筋 の い い」エ デ ィ タ を提 供 す るべ きで あ り、 これ を妨 げ る よ うな 無 神 経 な造 作 の もの (即 ち 、つ いつ い ホー ム ポ ジ シ ョンか ら離 れ た フ ァ ン クシ ョンキーや 矢 印 キー を使 って しまい た くな る もの )は 、未 来 あ る学 生 の 目か らは極 力 隠蔽 す るべ きで あ る、 とい うのが 筆 者 の基 本 的 な考 え で あ る。 その 「筋 の い い」 エ デ ィ タ と して、Unixの世 界 で は、 viとEmacs[6](お よび それ らの類似 品 や 派生 品 )が あ る18)。 この両 者 の優 劣 を こ こで論 じる こ とは避 け るが19)

、1

点 だ け根 本 的 な差 違 を こ こで挙 げ て お く。

vi:一 種 のmodefuleditor;以下 の2つ の モー ドを持 つ (第1図 )0 テ キ ス トモー ド :ユ ー ザ の キー 操作 は 入力 テ キス ト(即 ちデー タ)と して受 理 され る。 コマ ン ドモー ド :ユ ー ザ の キー 操 作 は何 等 か の編 集 操 作 の指 示 と解 釈 され る。 Emacs:一 種 のmodelesseditor;常 に以下 の 2つ の操 作 が 可 能 。通 常 の キー操 作 は常 に 入 力 テ キス トと して受 理 され る。 編 集 操 作 の指 示 等 の ため に は、Ctrl、Meta等 の修 飾 キー に よ り修 飾 され た キー 入 力 (お よび その組 み合 わせ ) を用 い る。 この違 い は 、表現 を換 えれ ば 、 第

2

図 (

a

)の よ うに デー タ用 及 び制 御 用 の

2

台の キー ボー ドを持 つ システム (これ だ と混乱 は 少 な いが 、勿 論 極 め て使 い に くいだ ろ う) を、 (b)の よ うに1台の キー ボー ドと して実 現 す る場 合 の 、 ス イ ッチ の遠 起動 第1図 viのモー ド遷移図 18)実際、これらは親切なメニューや ガイ ドは通常は出し て くれず、慣れないものにとっては敷居の高いツールで ある。が、新入生の時期(恐らく最 もテンションの高い時 期)にこれを乗 り越えるパワーを持っていないとすれば それ以降に遭遇する学業上の (或はそれに限らない)ど んな壁 も乗 り切れないのではないか と思 うのだが0 19)ネットニュース等ではたびたびvi対Emacs論争が起 こり、大抵は個人の趣味や主観に塞いた水かけ論に陥る ことが多いので、最近では 「宗教論争」扱いされている。 第2回(a) 2種頬のキーボー ド 仮想的切 り替 え 英数字入力用 日本 語 文 字 入 力用 第 3図 4種類のキー ボ ー ド い と して考 え る こ とも可能 で あ る20)0 さて 日本 語 の 入 力編集 を行 う場 合 を考 え る と、 入力 すべ きデー タは (単 純 化 す る と21)) 日本語 文 字 と英数 字 の

2

種 類 に な る。 それ に加 えて 、変 換 中 (勿 論 カナ 漢 字 変 換 方 式 で あ る こ とを前提 とす る)の文 節群 に 関 して の操 作 を行 うキー ボー ドも 必要 とな り、従 って 、第

2

図 (a)の代 わ りに 第 3図 の よ うな4台 の キー ボー ドを持 つ シス テ ム を 想定 す る必 要 が あ る こ とに な る。 これ を

1

台に ま とめ る よ うな ス イ ッチ (に相 当す る キー 操 作 ) を 設計 す るの は 、 なか なか 大変 な作 業 で あ る。 が 、実 は それ以 前 に 、 カナ 漢 字 変 換 (クラ イア ン ト) プ ロ グラム の動 作場 所 に起 因す る制 限 の方 20)データ用チャネルと制御用チャネルを1本の (論理的 な)線上に多重化する際の技術的問題点は、コミュニケ ーションのあらゆる場面で生 じ得る。例えば口述筆記し て (もらって)いる時に発せ られた 「じゃなくて」 とい う語句はどう解釈する (される)か、というような問題 とも共通 している。 21)実際には、英数字およびカタカナは1バイ ト文字 (い わゆる半角)と2バイ ト文字 (いわゆる全角)の 2種類 があり、話は複雑なのだが、ここではあまり本質的でな いので省略する。 13

(7)

0-平 岡信之 キャンパ ス ・ネ ッ トワー クにおけ る資源の有効 利用 ケー ススタデ ィー (ⅠⅠ) -- ドウェアお よび情報資源 第4図 フロン トエン ドプロセッサ が大 きい。通常、OS(を構成す るプログラム群 ) を日本語化す る場合 、その各プログラムにカナ漢 字変換機能 を組み込 む とい うこ とは行 わず、変換 機能つ きウ イン ドウ、或は変換機能つ きシェル、 とい うように、殆 どのアプ リケー シ ョン (応用 プ ログラム ;以下 、アプ リと略記す る)が共通 に利 用す る要衝部分 に変換機能 を組み込む (開発や管 理 の コス トを考 えれば当然の こ とだ し、通常 は こ れで充分 である)。この場合 、ユーザのキー操作 に よ り入力 された文字 コ- ドは、第 4図の ように、 い くつかのプロセ スを通過 して770)) (この場合 はvi)に届け られ るこ とになる。ユーザか ら見て、 カナ漢字変換のプロセスが 、アプ リよ りも手前側 にあ るため、この形 の ソフ トをフロン トエ ン ドプ ロセ ッサ (略 して

FEP)

と呼ぶ こ ともあ り、 さら には カナ漢字変換 プログラムその もの を総称 して

FEP

(フェ ップ と読む ) と呼ぶ コ ミュニテ ィもあ る22)。 ここでは誤解が生 じる必配はなさそ うなの でその呼称 を借用す る。英数字 入力時には、その

FEP

は完全に透 明な状態だが 、日本語文字 入力時 には

FEP

が入力列 を一時預 り23)し、変換 を行 い、 確定の後 、アプ リに送 られ る。 従 って、その

FEP

型の カナ漢字変換方式 とvi エデ ィタを組み合 わせ た場合 、第1図に代 わるモ ー ド図は、第

5

図の ようになる。ただ しカナ漢字 変換操作 中のモー ド遷移

(

FEP

に よ り違 う)はこ

2

2

)

この

FEP

とい う呼称には批判 もあるようだが、パ ソコ ンの世 界な どではこれで定着 して しまったような感があ るO勿論和製英語 であるO とい うよ りも、そ もそ も1バ イ トを越 える寸法の文字 コー ドセ ッ トを使 った り、その 入力に通常 の英数字鍵盤 を使 った r)、 とい う発想か らし て、すべ て和製 なのだが。

2

3

)

O

Sに よっては 「横取 り」と表現す る方がふ さわ しいメ カニ ズムで動 いている場合 もある。 31 第5図

FEP

付 きviのモー ド遷移 の図には組み入れていない。 ここで問題 となるの が 、左下 の

「???

」 モー ド (名前がつけ られな い24))である。 これは第3図の どの鍵盤 に も対応 しない。 このモー ドが 、「次に(viが )入力モー ド に移 る時には 自動 的に 日本語文字 入力モー ドに移 る (或は、最近 の入カモ- ドでの

FEP

の状態 を 記憶 している)こ とを除いては、通常 の コマ ン ド モー ドと同等 に振 る舞 う」 とい うようなモー ドで あれば、さほ ど害 はないのだが 、実際には、ここ ではviの コマン ドは使 えない。 これは独立 して動 く2つのプロセスのそれ ぞれ2つのモ- ドの掛け 合 わせ の結果生 まれて しまう邪魔者、で しかな く、 操 作 を著 し く繁雑 に し、ユ ー ザ を混乱 させ る。

「???

」 モー ドには簡単に落 ちて しまう反面 、

「???

」 モー ドか ら 日本語文字 モ- ド-の移行 には、順序正 し く

3

つ の操作 を行 うこ とを必要 と す る (しか も殆 どの

FEP

のオン ・オフ操作は同一 のキーに よる トグル動作 であ るため、それぞれ正 し く

1

回ずつ行 う必要が ある

)

0FEP

の種類 に よ っては、ESCキーは素通 りさせ るもの もあ り25) その場合 は図の点線の ように 日本語文字入力モー ドか ら

「???

」-の方向のみ

1

操作 で移行す る とい う非対称性 をもつ こ とにな り、ユーザの混乱 をさ らに増長す るO コンピュー タ嫌 いの育成 を 目 的 とす るのでなければ、この

FEP

(型 カナ漢字変 換プロ グラム)+vi」の組み合 わせ は避 け るべ きだ ろう。 とな ると、有望 なのは

Emac

s

とい うこ とになる。 24)計算機の動作等 を擬 人化 して表現す るよ うな文化に浸 って きてい る筆者 な どが これ を無理 に命名 した りす る と 放送 コー ド (の類の もの )に引っ掛か って しまいそ うで 恐いので避けた。 25)実は前述の(2.1節のb)パ ソコンに標準装備 させ たF

EP

もその タイプであった。 -31

(8)

-3

2

長 野大学 紀要 第16巻 第1I2号合併 号 1994 幸 い

、「

FEP+Ema

c

s

」では、上記の ような致命的 な落 とし穴はない し、第3区Iのキー ボー ドの仮想 的 な重ね合 わせ とい う見地か らも、さほ どの不整 合 はない。ただ し、使 い勝手の改善 において、方 式 その もの (即 ち

FEP

方式でカナ漢字変換 を行 う こ と)に起 因す る限界はある.ユ-ザの意志 を正 確 かつ速やかに伝達す るための言語 としてキー操 作 (列 )を考 えた場合 、ユーザ は (互 いに状況伝 達 を行 う手段 を持 たない)

2

つ のプロ グラム を相 手に しなければな らないか らである。 この解決策 としては、 ・カナ漢字変換プ ログラム をアプ リに内蔵 させ る ・アプ リと

FEP

間の伝達規約 を定め、双方に実 装す る とい った手段 が可能 であ り、現在ではす でにそ う いった方向での研究 ・開発の成果 は盛んに公表 さ れているが26)、当時 (作業開始時点 )この方向の もので我々が容易に入手可能 だった もの としては、 Wnn(後述 )のサーバ を利用す るクライア ン ト機 能 を

Ema

c

s

27)に組み込むための拡 張 として

EGG

な るものが知 られているのみだ った。いずれに し て も、ネ ッ トワー ク上 で 日本語 をタ ッチ タイピン グで使 う、 とい う目的のためには、エデ ィタとし ては

Ema

c

s

Lか考えられない とい う状況だった訳 である。 以上 は、基礎教育 を行 う視点か ら見た

Ema

c

s

の 必要性 に関す る議論 であったが、実は

、Ema

c

s

を 導 入す る理由は、それだけには終わ らない、何 と いって も

Ema

c

s

はエデ ィタと分類す るのが馬鹿げ て い るほ どの拡 張性 を持 った システムであ り、

Ema

c

s

上 に用意 された数 多 くの (勿論原則 として フ リーの )ツール群 の使用 を通 じて、計算機の用 途の無 限の可能性 (の少な くとも一部 は)を垣間見 るこ とが で きるし、 また、実際、朝か ら晩 まで28)

Ema

c

s

の中か ら出るこ とな しに、自分の仕事 のす べ て を行 っている技術者 も数 多 くいる29)ほ ど、身

2

6

)

かといって

Ema

c

s

を不要にするものには、まだお目に かかってはいないが。

2

7)正確に言うと

、Ema

c

s

の日本語対応版

(

NEma

c

s

)

又 は他国語対応版(Mule)である。 28)晩から朝まで、という場合も勿論ある。

2

9

)

実は筆者も

(

Ema

c

s

+EGG

がちゃんと動 く職場にいた 時は)そうだった。 体 に馴染みやす いシステムなのである。いずれの 分野において も、良い もの、優 れた ものに触れ る 機会 とい うものは、専 門家 を育成 してい く過程 に おいては必要性 の高い ものであろ う。但 し、残念 なが ら

Ema

c

s

はかな り重い (主 として メモ リ空間 と

CPU

資源 を派手に消費す る)プ ログラムであ り、 第

2

次 システムの

VAX8

6

0

0

は、集合教育の人数 分 (例 えば

3

0

人以上 )のプロセス を動かせ るパ ワ ーは持 っていない し、学内の他所か らその資源 を 融通す るこ とも不可能 である。当面は小人数用 と して使 うしか ない。 さらに難点 をあげる と、上 記のいずれの ソフ ト ウェア も、資源の 「大食漢」 である。特にデ ィス ク領域について顕著である。例 えば

Ema

c

s

の場合 、 ソースだけで約10MBを消費 とす る。それ をコン パイル し、実行可能 な状態にす るためには、 さら に約10MBを必要 とす る。Ⅹ-windowに至 っては、 それ よ りも

1

桁以上 も大 きな領域 を要求す る。 こ れ らは、 日本語 を扱 うための特殊事情 (辞書や フ ォン ト情報が大 きな領域 を占有す る)に よる もの であった り、多機能化 に伴 う様 々なライフう りや 関連 ソフ トウェアが添付 され るこ とに起因す る も のであった りす る。いずれに して も、これが

9

0

年 代の計算機 ソフ トウェアの傾 向である。

4.

デ ィス ク領 域 の 問題 上記の方向で整備 を進めてい くために、その ま までは、デ ィス クに関 して

2

つの点で絶対的資源 不 足の問題が生 じる。 1つは 、デ ィス ク装置の数 が少ないこ と。少な くとも

2

台の本体 に対 して、 デ ィス クが接続 で きないこ とになる。 もう

1

つは、 空 き領域 の量が少ないこ とである。140MBのスペ ースに

、O

Sをインス トール して、 ス ワ ップ領域 (仮想記憶領域 の うち、実記憶か らはみ出た部分 を 保持す るデ ィス ク領域 )や作業領域 な ど、定常 的 運用に必要 な領域 を確保す る と、それだけで約100 MB強 を消費す る。 と、ユーザ用空間は40MBし かない。 これでは、前述の ソフ ト整備 の作業に も 足 りない。当時のデ ィスクはまだ高価だったため30)、 これは小額の投資では解決 しない問題 である。 そ 30)大量生産によるディスク装置の価格低下が始まったば かりで、メガ1万 (1MBあたり約1万円)を割り始め た位の頃である。 - 321

(9)

平 岡信之 キャンパ ス ・ネ ッ トワ- クにおけ る資源の有効 利用 ケー ススタデ ィー (ⅠⅠ) -- ドウェアお よび情報資源 戎 I ) .,I ト クライアント 第6区l(a) クライアン トサーバ型ソフ トウェア

"%

6

(

b

) X-

wi

n

d

o

w

の場合のクライアン トと サーバの関係 第 6図(C) サーバでもありクライアン トでもあるソフ トウェア こで、本章の各項 に述べ るように、極力 「ソフ ト 的」 な解決 を図 るこ ととした。

4.1

クライア ン トサーバ型 ソフ トウェア31) 一般 的に クライア ン トサーバ型 (以下

C/S

型 と略 記す る)の ソフ トウェアは、第6図 (

a

)の ように2種類 (クライア ン ト側 にはさらに複数 の ものが存在す る場合がある)の ソフ トウェアか ら な り、ネ ッ トワー クを通 じて両者が連携 を行 いな が ら、ユーザの要求す る機能 を実行す るO但 し、 Ⅹの ようにユーザ インタフェー ス を司 るソフ トウ ェアの場合 、に関 しては、第6図 (b)の ように、 ユーザか ら見て クライア ン ト ・サーバ両 プロ グラ ムの位置関係が逆転 している場合 があ り、 また、 第6図 (C)の ようにフォーン トサーバ を利用す る 場合 、各 クライア ン トソフ トか らの描画要求等に 31)実際にはネ ッ トワー ク上 で動作す るソフ トウェアは殆 どが内部的にはC/S型の動作 をしているのだが、通常 の

Un

i

x

に標準装備の もので、ユ-ザが (クライア ン ト を)起動すればす ぐ使 えるものや 、本稿のテ-マである 資源の有効 利用への直接の関係の薄 い ものにつ いては、 ここでは触れないo 33 応 えるⅩサーバが 、サーバ である と同時に、フォ ン トサーバ に対 してデー タを要求す るクライア ン トとして も動作す る とい う複雑 な関係 も生 じる。 いずれに して も、 これ らの

C/S

型の ソフ トウ ェア を積極的に活用す るこ とに よ り、デ ィス クス ペー スへ の要求が緩和で きる。例 えば カナ漢字変 換 ソフ トウェアである

Wn

n[

7

〕は、その主要機能 を実現す るサーバ はネ ッ トワー ク内に

1

つ動 いて おれば足 りる (勿論 、性能的要求等 に よ り、複数 台に よる運用 を行 うこ ともで きるが)ため 、サー バ プログラムや辞書等のデー タを、全マ シンにイ ンス トールす る必要が ない訳 であ る。 また、ネ ッ トニ ュース を読むための (ニ ュー ス 1)- デ と呼ば れ る種類の)ソフ トウェアにつ いて も、NNTPと い うプロ トコルに対応 した版 (の クライア ン ト側 ソフ ト) と、それに応 えるサーバ を用意す るこ と に よ り、ニ ュー ス記事 の (前稿 で も触れたが膨大 な重の)デー タを、複数 のマ シンに保持 してお く 必要が な くなった。その他 、現 時点 では導入が未 完了であるが 、システムの ログ管理や 、電子 メー ルの読 み書 きにつ いて も

、C/S

型 運 用- の移行 - 33

(10)

-34 長野大学 紀要 第16巻 第1 ・2号合併号 1994 に よ り、デ ィス クスペー スや管理上 の手 間の軽減 が期待 され る。

4.2

デ ィスクレス運用 前述 の、デ ィス ク装置の数 の問題は、一部の

E

W Sにつ いてデ ィス クレス運用 を行 うこ とに よ り 解決す るこ とに した。 この ときデ ィス クレスEW sは、ネ ッ トワー ク内の32)他機 のデ ィス ク領域 の 一部 を 「間借 り」す ることになる33)。勿論 、「間貸 し」す る側 のマ シンで、予め そのための受 入れ準 備 (領域の確保やサーバ プログラムの起動 )は必 要 である。通常 、デ ィス クレス機 は、 自分 のMA Cア ドレス (ネ ッ トワー ク上 での物理 ア ドレス ;

ROM

の 中に保 持 されている)以外の情報 を持 た ないため、ブー ト時には、このMACア ドレス を 手掛か りに して

I

P

ア ドレスを決定 した り、さらに ソフ トウェア (ブー トコー ドや

OS

その もの )を ダウンロー ドした りとい う操作 を行 うための要求 をネ ッ トワー ク上 に送信す る。デ ィス クレス機 を サ ポー トす る親機 は、領域 の間貸 し以外に、これ らの要求に も応 える必要があ る。 領域の 「間貸 し」機能 は

、SunOS

においては、 バー ジ ョン

3

では

nd(

Ne

t

wo

r

kDi

s

k)

とい うプ ログラムで提供 され 、バー ジ ョン 4では

、 NFS

(後述 )機 能 の 中に統合 されて提供 され るQ後者 の方が、管理 の容易 さや柔軟性 において優れてお り、 また、サーバ側 (のマ シンまたは ソフ ト)が 短時間で もダウンす る と、前者 では クライア ン ト (デ ィス クレス機 ) も無条件 にダウンして しまう のに対 して、後者ではダウン中に クライア ン ト機 の

/

0要 求 が 発生 しなければ継続運用可能 であ るとい う機能的な差違 も大 きい。 しか し、ここで は一挙 に

OS

をバー ジ ョンア ップす るこ とは控 え、 両者 を混合す る形で、デ ィス クレス機 の運用 を行 ってい くこ とに した。なお 、実際には 、次章 に述 べ る理 由か ら

、1

部 のマ シン (主に

Su

n3/6

0)

にデ ィス ク装 置 を各

2

台ずつ接続す る一万 で、殆 どの

Su

n3/5

0

を (不 足分 の

2

機 だけでな く)チ ィス クレス運用す るこ とになった。 32)あらゆるマシンは電源に接続すると同時にネットワー クに接続する、ということを前提としている。 33)この機能は大抵のEWSが持っている。また、PCに おいても-ー ドウェアの追加により利用できることが最 近わかった。

4.3

フ ァイルの共有

Uni

x

のユニー クな34)機能 の

1

つ として、「マ ウ ン ト」がある

。 1

台のマ シンに接続 した複数 のデ ィス ク装置 (或はそれ を区分 したパーテ ィション) につ いて、それ ぞれの内部が木構造のフ ァイル シ ステム として組織化 されてお り、それ らの木構造 同士 を適 当な点 (一方の根 と一方の菓 )で接続 (マ ウン ト)す るこ とに よ り、仮想的に単一 の木構造 を構成す る とい うもの である。 これによ り

、Uni

x

では例 えば 「ドライブ」 とい う概 念な しに、デ ィ ス ク資源や情報資源にア クセスで きる。 さらにネ ッ トワー ク時代の

Uni

x

では 「リモー トマウント」が 可能 であ り、ネ ッ トワー クで接続 された別機 のフ ァイル システム をもマ ウン トし接続す るこ とに よ り、複数 のマ シンに跨 った (或はネ ッ トワー ク全 体 に広が った)単一 のフ ァイル システム を構成で きる。その機能の代表的 な ものが

、Su

n

に よ り提 供 され る

NFS

である

[

8

]。 これ を用 いる と、情報 の共有が容易であ り、また、デ ィス ク領域 も節約 で きる。その手順 は、概 ね以下 の通 りで あ った (第

7

区日。 1)共有すべ きファイル (或はフ ァイル群 )を マ シン

A

に置 くO

2

)そのファイル群 (を含む木構造 )を

e

xpo

r

t

(他機か らのマ ウン トを許可 )す る。 3)マ シンB、C、-か らその木構造 をマ ウン トす る。

4

)このファイルが

A、B、C

-か ら利用できる。 なお

、SunOS

(のバー ジ ョン

4

以降 )には、類似 の (或は関連 した)機能 として

、RFS

TFS

も イメージ 第7図 NFSマウン トの仕組み 34)Unixおよびその亜流の普及により、今やユニ-クでも なんでもないあたりまえの機能になっているのだが。 - 34一

(11)

平 岡信之 キャンパ ス ・ネ ッ トワー クにおけ る資源の有効 利用 ケー ススタデ ィー (II) -- ドウェアお よtJr情報資源 用意 されてお り

、NFS

との併用 も可能ではあるが 、

・NFS

が実質的に業界標準になっている ・複数 の方式の併用に よる管理 の複雑化は避 け たい。

・NFS

に関 る諸問題 は後述の万策により解決可 能

・TFS

RFS

を必要 とす る局面に (これ まで の所 )遭遇 して こなか った35) とい う理由に よ り、動作実験 を行 うに とどめ、導 入は していない。

OS

を構成す るファイル (や デ ィレク トリ)は、 大別す ると以下 の2種類 に別 れ る。

a

)参照のみ行 う (追加や変更 を行わない)フ ァイル b)参照、追加 、変更 を行 うフ ァイル さらにbは、その追加 、変更 を行 う主体が何 であ るかに よって、 3つに区分す るこ とが で き、これ らは最近の

Uni

x

では以 下の ようにファイルシス テムのサ ブツ リー (或はデ ィス ク装 置のパーテ ィ シ ョン)に別 けて置かれ る慣例 になっている。 a)/usr :(追加 、変更 な し) bl)/ :システム管理者が変更 b2)/∀ar:デー モン (バ ックグラウン ドで 動作 またはスタンバ イしているプログラム) b3)/home:一般ユーザ この うち、aとb3は共有が可能 である。blとb2 につ いては、マ シン毎に独立 した領域 を持つ必要 があ り、これにスワ ップ領域 を加 えて約

3

0-5

0

MB

程度 (章頭 で述べ た必要 量の2-3分の 1)が 、 マ シン1台あた りの必要領域 とい うこ とになる。 なお

、4.

2BSD

以前の

Uni

x(

SunOS

ではバー ジ ョン3以前 )では上記の区分が未分化 であるため 、

OS

のインス トール後に、ファイルの移動や シンボ リック リンクの作成 な どの、手作業の手間は必要 であった。

3

5

)

例 えば 1つの ソー スファイル (または ソー スデ ィレク トリ)か ら複数 の種類のマ シシ用の実行 ファイル を作成 す る場合 な どに

TFS

は有用 だ とされているが、シンボ リックリンクや新 しいmakeプ ログラムの活用に よ り代 替 できる。ただ

、RFS

にあって

NFS

にない機能 (デバ イスファイルの共有 )を利用 したい局面が 1度あった。 それはプ リンタ (を扱 うプログラム)の共有が 目的であ ったか 、そのためだけに

RFS

を導入す るの も大層である ので、代替 として利用 できる軽 いソフ トウェア を探す こ とに して、これにつ いては保留 してあるD

3

5

本章 で述べ た種 々の工夫 の併用に よ り、資源が 揃 わずに 「限って」 いたマ シンを 「起 こす」 こ と か ら始 まって、優 れたフ リー ソフ トを中心 とした、

OS

標準添付外の ソフ トウェアの導入による環境改 善 を行 うためのデ ィス ク領域 を確保す る所 まで、 実現す るこ とが で きた。勿論 、これ らの ソフ トウ ェア も、 どこか 1箇所 にインス トー ル した もの を

NFS

によ り各マ シンで共有す るこ とが で き、これ に よ り導入作業の簡略化 も行 える。 また、あ るマ シンの

CPU

資源が タイ トである場合な どに、一部 の作業 を別の (ヒマ な)マ シンに移転 して実行 さ せ る (一種のプロセスマ イ グレー シ ョン36))こ と も、これに よ り容易になる。

5

.管理 上 の 諸 問題

5.1 NFS

の利点 と限界

5.

1.

1

デ- タ共有におけ る得失

NFS

を用いてのデー タ共有につ いて前章 で述べ たO実際には

、NFS

以前か ら

、Uni

x

にはftpや rcpといったデー タ転送ツール (及びプロ トコル) が実装 されてお り、これ らを用 いてデー タを共有 す るこ とは可能 ではあったのだが、これ らに比べ て

、NFS

を使 った場合は、以下 の よ うな得失 を持 つ 。 △ 1 転 送先 にデ ィス ク領 域 を必要 としな い (仮 想 的 にデ ィス クが存在す るように見せ かけ る技術 であるため )

△ 2

ユーザが明示的に転送の指示 を出す必要 が ない。

△3 1

つのデー タに対 して、ネ ッ トワー ク内 に複数 の コピー を作 る必要が ない (複数 の コピーの一貫性 を維持 で きない、或は維持 す るための管理 コス トが大変 になる、 とい う心配がない) ▼ 1 プロ トコルの性質上 、転送効率 はやや低 く、その分 、ネ ッ ト- の負荷 も大 きい ▼ 2 要求がある度 にデー タが転送 され るため、 ネ ッ トに負荷 をかけ る 36)ただ し手動 での移転 であ り、これは誇大表現か も知 れ ない05.1.1で述べ るように、ユーザが資源 (ここでは CPU)の位置 を意識 しないでいい環境が理 想であ り、現 在、7qロセスマ イ グレー シ ョン と越 して行 われている研 究は、それ を目指 しての、「プロセスの 自動 (であるこ と を当然 とした)マ イグレー シ ョン」 である。 -3 5

(12)

-36 長野大学紀要 第16巻 第1 ・2号合併号 1994

▼3

信頼性の低 いネ ッ ト (例 えば広域綱 )で の頑強性 に欠ける 従 って、ネ ッ トワー クに帯域幅や信頼度の問題が なければ、この長所の部分が発揮 され る訳である。 特 にEWSやPCを用 いた分散型作業環境にお いては、諸資源が分散 して配備 されて しまい、全 体 として複雑 なシステムになって しまう傾 向があ る。その諸資源 を利用す るために、ユーザが様々 な工夫 (資源の配置 を調べた り覚 えた り指示 した り)を必要 とす るようでは、資源の有効利用は望 めない。理想的には、ネ ッ トワー ク内の (分散 し た)仝資源が、ユーザか ら見ると単一の計算機 で あるかの ように見えること (位置透過性 )が望 ま れる

。NFS(

お よびその同類のファイルシステム) は、デ ィス ク領域お よび情報資源に関 して、それ を (不完全なが らも)実現す る技術であると言え る。

5.

1.

2 C/S

型 システム としての

NFS

以上に述べ たように

、NFS

は非常に有用な機能 である

。NFS

自身 も

C/S

型の動作 をしてお り37)、 Unixの基本機能のレベルでの情報共有 を可能にす るため

、NFS

さえあれば他のネ ッ トワー クソフ ト は不要 であるかの ように思えるほ どである。 しか し、実際には、以下の ように、機能的お よび性能 的な限界が存在す る。 1)排他制御の問題 :1つのファイルに対す る 読み/書 きの リクエス トが複数 の クライア ン トか ら同時に発生す る場合

、NFS

自身ではそ れ を適切 に処理 できない場合がある。 2)効率 の問題 :例 えばマ シンSが保持す る大 きなファイ

ルF

の中か らある小 さな情報断片 Ⅰを抽 出してマ シン

C

で使 いたい場合

、NFS

に頼 った場合 、ファイル

F

全体 を

S

か ら

C

に 転送す る (検索はCで行 う)必要があ り、S 内で検索 を行 う場合 に比べ て必要 な転送量が 大 き く、従 って全体 として非効率 的である。 3)

NFS

自身が依存す る情報の共有 :例 えば他 のマ シンのア ドレス情報 な どの情報は

、NFS

自身の起動に必要 であ り、従 って

、NFS

で共 37)但 し、NFSはUnixの基本機能 と (見かけ上 )同等の 機能 を提供 し、あま りにUnixに同化 して しまっている ため

、C/S

型 ア プ リケー シ ョン とは見なされていない よ うであるo 有す ることはできない。 このための ソフ トウ ェア として

NI

S

(後述 )がある。 従 って、適宜 、他の (それぞれの用途に適 したプ ロ トコルを持つ

)C/S

型ソフ トウェア との併用 を 図ってい くことが必要 である。

5.2

運用上の問題 教育 、研究の場 において、資源は豊かであるに 越 したことはない。マ シンの数 は多いほ うがいい し、で きればその種類 も豊富である万が望 ましい。 また、マ シンを利用 しての教育 ・研究に、マ シン (や ソフ ト)を便 うまでの準備期間は短いほ うがい い38)。 とい うのがユーザの立場 であるが、マ シン 管理 、ネ ッ トワー ク管理の立場か らす ると、マ シ ンの数や種類が 多いことは、大 きな悩みの種 であ る。管理上の手間は、概 してマ シンの数お よび種 類に比例す るのだが、それ以外に、運用において 以下の ような問題が浮かび上が って来た。

5.

2.

1

パス名の一貫性の欠如

NFS

におけ るマ ウン トの指示は、クライア ン ト である各マ シン毎に、その管理者が 自由に設定 で きる。 これは利点 (柔軟性 )で もあるが、その結 果、マ シン毎に、ある情報資源にア クセスす るた めのパス名が違 って くることになる39)。参照すべ きファイル名 をプログラム内に-- ドコーデ ィン グされたソフ トウェアの場合 、必要 なファイルが 見つか らずに、実行が できないことになるし、第 一 、複数 のマ シンを共有 している (時によって空 いているマ シンを使 う)ユーザは、混乱す る0

5.

2.

2

共有可能範囲の 多様性 情報資源 として共有可能 な ものでも、その共有 範囲が種類によって違 う。本学の環境では、概ね 以下の ように分類で きる。 1)学内ネ ッ ト全体 (PCやMacも含む) 38)勿論 、その準備期間その もの も、教育や研究 としての 価値 はあるし、筆者のゼ ミで もそれ を重視 して来ている。 が 、皆が皆 それにかかず らわ され る必要はないだろ う。 39)話 のぶ り返 しにな るが、RFSを利用 した場合には この 間題 は生 じない(RFSではマ ウン ト点の集 中管理 を行 う ため )。 しか し、今後 Sun以外 のマ シンの導入の可能性 もあ り、すべ て のUnixに実装 されている訳ではない技 術 を使 うことは、危険が大 きい と考 え、RFSへの移行 は しなか った。 -3

(13)

6-平岡信之 キャンパ ス ・ネ ッ トワー クにおけ る資源の有効利用 ケ- ススタデ ィー (II) -- ドウェアお よび情報資源 2)Unix 3)同一バ イ トオー ダのマ シン (SunとNews な ど) 4)同一 メー カ機 (Sunな ど) 5)同一 アー キテ クチ ャ機 (Sun3) 6)同一OSバー ジ ョン(SunOSバー ジ ョン4 のマ シン) 情報 の種類に よって、適 当な範囲での共有が望 ま しいが 、厳密 にこれに従 って共有方式 を設計す る のは、徒 らに問題 を複雑化 させ るだけであ り、当 面は

6

)を主体 として、バ イナ リ (実行形式のプ ログラム)の共有 を図 り、徐 々に広 い共有範囲の 情報資源用の領域 を準備 してい くこ とにな るだろ

5.

2.

3

システム としての信頼性 の低下 ネ ッ トワー ク上 でのサー ビスでは、サーバ (の マ シンお よび ソフ ト)が稼動 していなければ、 ク ライア ン トはその機能 を利用す るこ とが で きないo NFSでマ ウン トして利用 しているファイルが ,そ の クライア ン ト機が動作す るために必要 なフ ァイ ルである場合 、サーバの ダウンが即 ち クライア ン トのダウンにつ なが るこ とになる0 1台の故障が 、 複数 台のマ シンに影響 を与 えることにな り、その 結果 、システム全体 としての安定稼働率 が低下 す る訳であ るO

5.

2.

4

依存関係のルー プ Unixマ シンは (例 えばNFSに関 して) クライ ア ン トで あ る と同 時 にサ ー バ で あ る こ とがで き る40)。前述の クライア ン トはサーバに依存 してい る訳 だが 、マ シンの起動や シャ ッ トダウンの際に は、その依存関係 を考慮 して、立 ち上 げはサーバ を先 に行 い、 クライア ン トか ら順 に落 としてい く ように しない と、途 中で引 っ掛か って二進 も三進 もいか な くなる場合が ある。 さらにその依 存関係 が複雑 に交錯 し、ルー プになって しまうと、厄介 である。

5.

2.

5

安 全性 との両立 例 えば/etc/termcapとい うファイルがある。様 々な端末の特性定義情報 を収めたファイルであ り、 画面への表示の際に、様 々なプログラムが このフ 40)最近 の用語 でい う、peertopeer型のLAN である。 37 アイル を参照す る、Unixでは基本的なファイルの

1

つ である。新 たな種類の端 末 (または擬似端末 ソフ ト)が導入 され る と、それに応 じた定義情報 を (望む らくはネ ッ ト内の全マ シンの)/etc/termcap ファイルに追加す る必要がある。か といって、こ れ をNFSで共有す ると、マシンが トラブルに陥っ た際の管理作業 (普通NFSマ ウン トせずに行 う) において、例 えば編集作業等に不都合が生 じる。便 利 さ と安 全性 との両立が 困難 とな るケー スである。

5.3

解決策 上記の問題は、以下の よ うな方策 で解決 を図 っ ている41)。

5.

3.

1

デ ィス クの偏 在化 例 えば各マ シンに接続 した

1

4

0MB

の領域の、 半分 をprivate(そのマ シン専用)に、半分 をpublic (ネ ッ ト内で共用 )にす るこ とは、上 記

5.

2.

4

の問 題 を引 き起 こしやす い。そこで、前章 に述べ たよ うに、デ ィス クを2台ずつ42)ペ アに して、各Sun3 (主 に性能のやや高 いモデル

6

0

の万 )に接続 し、残 ったマ シンをデ ィス クレスにす るこ とに よ り、主 にサ-バ として振 る舞 うマ シン と、 クライア ン ト 専 門のマ シンとに区別す るよ うに した。 この副作 用 として、デ ィス クレス機の電源は安 易に切 断す る43)こ とがで きるように もなった44)。

5.

3.

2

自動マ ウン トの利用 NFSマ ウン トは、通常 は静的に行 われ る。即 ち、 マ シン (クライア ン ト)の起動 時に一括 してマ ウ ン ト動作 を行 い、その まま常 時マ ウン トした まま 41)すでに稼動 している環境-の変更等 を伴 うため 、全マ シン一斉 にエイヤアで実施 とい う訳にはいかず 、今 なお 完了して お らず、問題は 多数残 っている。 42)SCSIの場合 は機能的に7台まで接続可能 ではあるが、 そ うした場合にはSCSIバ ス (でなければCPUか メモ リ)がボ トルネ ックになるこ とが予想 され るため、2台 とい うのが適 当な線 であろう。 43)デ ィスク装備機の電源の頻繁 な上 げ下 げは、デ ィスク の寿命 を縮め る とされてお り、サーバ機能 のフル タイム 動作 (夜間で も、 自宅等か ら電話 回線経由で利用 した り、 外部 ネ ッ トとの継続的通信 を行 った F)、 とい うニー ズは あるので)を可能 にす るために も、(電 力 は 浪費 に なる が )連続運転が普通 になっている。 44)とはいえ、電力資源に関 しては些細な改善 で しかない。 格段 の電力大食漢であるVAX8600の運用時間が短縮 して いないか ら。 13

(14)

7-38 長野大学紀要 第16巻 第 1 ・2号合併号 1994 マ シンが運用 され るものである。 これに対 して、 動的なマ ウイ トお よびアンマ ウン ト (マ ウン トの 解除)を行 うプログラムがある

。Su

nOS

バー ジョ ン

4

以降に付属す る

a

u

t

o

mou

nt

がそれである。こ れは、デーモンとして動作す るプログラムで、 リ モー トのファイルやデ ィレク トリを参照す る際に、 (マウン トされていなければ)自動的にマ ウン トを 行い、そのパスの利用が一定時間途切れれば、 自 動的にア ンマウン トを行 う。 これ を用いることに よ り

、5.

2.

4の問題はほぼ完全に回避 できる。 なお

、a

ut

o

mou

n

t

と同等 (今 なお改良が行 われ てお り、その結果、実際には

a

u

t

o

mou

n

t

よ りも高 機 能 に な ってい る) の機能 を持つ

a

md(

Aut

o

Mo

u

n

tDe

a

mo

n

の略)というフ リー ソフ トもあ り、 これは

Su

nOS

バー ジ ョン

3

で も動作す る。その ため、現在の ところは、マシンによって

a

u

t

o

mou

nt

a

md

を併用 しているが、両者の管理方式の違 い が管理 を複雑 にす る恐れ もあ り、今後は

a

md

に移 行 してい くことを考 えている。

5.

3.

3

複数サーバの (選択的)マウン ト

a

u

t

o

mou

n

t

では (以下特に書かないが

a

md

で も同様 である)あるパス名にマウン ト可能なサー バ を複数 指定す るこ とが で き、その場合

、a

u

t

0-mo

un

t

はその中か ら適 当なサーバ (通常は最 も早 くレスポンスを返 したマ シン)を選んでマウン ト す る。従 って、サーバ候補の うちの

1

台以上が動 作 しておればマ ウン トは成功す る。 これにより、

5.

2.

3

の信頼性の問題は軽減す ることができる。

5.

3.

4 NI

S

の利用 前述

(

5.

1.

2

3

)の ように

NFS

共有できない 情報 として、ホス ト名 と

I

P

ア ドレスの変換表や 、 ユーザ名の リス ト(単体マ シンでは

/

e

t

c

/

ho

s

t

s

お よび

/

e

t

c

/

pas

s

wd

に保持 される)などがある。 こ れ らを集 中管理 し、各マ シンか ら利用す るための、 一種の分散デー タベース として

、Su

n

では

NI

S

と い うシステムが用意 されている。勿論、管理の労 力軽減の道具 として、筆者 も積極的にこれ を利用 している。

a

u

t

o

mo

un

t

(お よび

a

md)

は、この

NI

S

により 管理 されたマ ップ (マ ウン トを行 うパス名やサー バ名の表 )情報に より、動作の指示 を与 えるこ と ができる。集 中管理 された (従 って基本的に同一 内容の)マ ップを各マ シンが利用す ることによ り、 同一の情報に対 してア クセスす るためのパス名の 一貫性が維持 され、5.1.1で述べた問題は回避 で きる。 また、マ ップの書 き方の工夫に よ り、単一 のマ ップで も、マウン トす る側のアー キテクチ ャ

や OS

の種類 を判断 して、違 う種類の実体 を選 ん でマウン トさせ ることもできる。例 えば、

/

u

s

r

/

l

oc

a

l

/

bi

n

として、 クライア ン トが

Sun30S3

な ら

s

e

r

ve

r:

/

pub/

l

o

c

al

/

bi

n.

s

un3o

s3

を クライアン ト

がSu

n30S4

な ら

s

e

r

ve

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/

p

ub/

l

o

c

al

/

bi

n.

s

u

n3o

s4

を 選んでマ ウン トす る とい うようなことが可能 とな り

、5.

2.

2

で述べ た アーキテ クチャや

OS

による共有範囲の限定 も比 較的容易に行 える。

5.

3.

5

共有 と分配の併用 前述

(

5.

2.

5)

/

e

t

c

/

t

e

m c

a

p

な どは、 共有す るのでな く、分配す るのが適切 であろう。つ ま り、 いずれかのマ シンをマスターに設定 し、マスター 機上の、このファイル を、ネ ッ ト内の各マ シンに、 適宜 (定期的に、或はマスターに変更があった際 に)コピーす る、 とい う方式である。この コピー 操作 を自動 的に行 うためのツール としては

、c

r

o

n,

r

di

s

t

,make

等が考 え られ、コピー実行の タイ ミ ングに関す る方針によって、選ぶ ことができる。 特に

r

di

s

t

は、この目的のために用意された、細や かな制御が可能 なコマ ン ドである45)0 また

、/

e

t

c

/

t

e

r

mc

a

p

以外のファイルにおいて も、 下記の条件 を満 たす場合 には

、NFS

による共有で な く、分配 を行 う方が適 していると考え られ る。 1)デ ィスク領域に余裕がある 2)ネ ッ トワー クが高負荷の傾 向がある 3)そのファイルに対 して全体の管理者以外の 者 (一般ユーザ等 )による変更が発生 しない

6.

ま とめ 6.1結果 以上に述べたように

、NFS

をは じめ とするネッ トワー クゾフ トウェア を組み合 わせ て利用す るこ 45)このあた り(お よびそれ以降)で未来形で記述 した部分 は、検討 だけ行 って、まだ実施 を行 っていない部分 である。 -3

参照

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