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脳梗塞後の機能代償における健常半球の役割

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Academic year: 2021

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奨励賞受賞講演

ABO式血液型の転写調節機構の解明と血液型亜型の解析

群馬大学大学院医学系研究科法医学 佐 野 利 恵 ABO式血液型は個人識別に重要な指標として法医学, 犯罪鑑識において利用されている. しかしながら, 細胞 特異的発現, コード領域に変異を伴わない亜型等の原因 は, 未だ解明されていない.これらを解明するため,ABO 式血液型遺伝子の転写調節機構を調べて来た. 近年, 転 写調節領域を示唆する DNase I hypersensitive site (DHS) やクロマチン修飾がゲノムワイドに示されてい た. 今回我々は, DHSを基に検索を行い, ABO式血液型 遺伝子のエンハンサー領域を新規に見出した. これに基 づき, 赤血球表面上の B抗原量に減少があり, 泌液中 の B抗原量に減少がない, 血液型亜型 B 型の遺伝子解 析を行い,新たな知見を得た.ABO遺伝子の周辺約 35kb に存在する DHS 6箇所の領域をプロモーター上流に組 み込んだレポータープラスミドを作製した. 赤白血病細 胞 K562, 胃がん細胞 KATO III, 胚線維芽細胞OUMS-36T-1を用いてそれらの転写活性を調べた.B 及び AB 型 112名及び通常 ABO型 1005名から DNA を採取 し PCR を用いた DNA 解析を行った. プロモーターアッセ イにより ABO遺伝子第 1イントロン内に赤血球系細胞 特異的転写活性化領域 (+5.8kb site)を見出した.この結 果に基づき B 型及び AB 型 112名について+5.8kb site 周辺を PCR 増幅し調べたところ, 111名において第 1イ ントロン内の+5.8kb siteを含む約 5.8kbが欠損してい た. 通常の血液型ではその欠損は認められず, その欠損 は B 遺伝子特異的と推測された. 一方, 欠失が認められ なかった B 型一個人において+5.8kb site内の GATA 結合部位に一塩基置換を同定し, これにより転写因子 GATA は+5.8kb siteへの結合を阻害され, 転写活性が 完 全 に 消 失 す る こ と を 証 明 し た. 以 上 の 結 果 よ り, +5.8kb siteが赤血球系細胞において ABO式血液型遺 伝子の組織特異的エンハンサーとして機能し, その欠損 や塩基置換によるエンハンサー活性消失, それに伴う転 写産物減少に基づく抗原合成量の低下が B 型の原因で あると えられた.

脳梗塞後の機能代償における 常半球の役割

群馬大学大学院医学系研究科応用生理学 高 鶴 裕 介 高齢社会を迎え, 脳梗塞後の機能回復をより良いもの にすることが,患者の quality of lifeを向上させるのみな らず,医療経済・社会の活性度にも大きく貢献する.筆者 らはこれまで, 脳梗塞後の機能代償における 常半球 (脳梗塞により障害を受けていない半球) の役割につい て研究してきた. マウスの体性感覚野脳梗塞モデルにお いて, 脳梗塞発症後 2-7日の間は脳全体の活動性が亢進 しており (Takatsuru et al.,J.Neurosci.,2009),この期間 においてグリア細胞 (アストロサイト)の機能亢進,およ びそれに伴うグルタミン酸回収の増加が, その後の機能 代償に重要であることがわかった (Takatsuru et al., J. Neurosci., 2013). 機能代償に必要な神経回路の再編成は, 脳梗塞後 7日目で特異的に起こっており (Takatsuru et al., J. Neurosci., 2009 ; Takatsuru et al., Neurosci. Lett., 2011), 再編成された神経回路により, 脳梗塞後 2-4週間 後では 常半球の脳が両側の体性感覚情報を処理できる ようになることがわかった (Takatsuru et al., J. Neuros-ci., 2009). 本研究も含め, 近年, 脳梗塞からの機能回復に おいてグリア細胞が重要な役割をはたしている報告が増 えている (Rossi et al.,Nat.Neurosci.,2007; Carmichael, Stroke, 2010; Zhao and Rempe, Neurotherapeutics, 2010). 今後は, グリア細胞の働きを活性化することがで きる薬物の探索・開発に取り組んでいく予定である.

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