• 検索結果がありません。

昆虫嗅覚系全脳シミュレーションに向けて : スーパコンピュータによる大規模脳シミュレーションの現在とその展望(<特集>脳神経系シミュレーション)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "昆虫嗅覚系全脳シミュレーションに向けて : スーパコンピュータによる大規模脳シミュレーションの現在とその展望(<特集>脳神経系シミュレーション)"

Copied!
9
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1.は じ め に

1・1 昆虫全脳シミュレーションの立上げ 神経科学の発展に伴い,神経細胞を構成するチャネル やシナプスの働きについては多くのことが明らかになっ てきており,それらの動態について計算モデルを構築す ることも可能となっている.しかしながらそれらの集合 である,神経系の情報処理機構については,我々は極め て限られた理解しかできていない.不均質で複雑かつ非 線形な構造物について理解しようとすればシミュレー ションを行い,実験結果や自然の振舞いと比較していく 必要がある.このようなシミュレーションを構築し,そ の原理を理解するため,比較的単純な生物,すなわち線虫 や昆虫のような進化的に下等な動物から行う必要がある. 本稿では,次世代生命体統合シミュレーションソフ トウェア(ISLiM)において,我々(東京大学先端科学 技術研究センター神崎・高橋研究室ら)が「昆虫全脳シ ミュレーション」として行い,またその後 HPCI「京」 一般利用として 2015 年現在まで進めているカイコガ (Bombyx mori)の嗅覚─運動系シミュレーションについ て,研究開発の現状と今後の見通しについて解説する. 我々のスーパコンピューティングの世界への参入は ISLiM開始(2008)からであり,実際のところ,我々 のグループは 2007 年頃は計算機科学にも理論神経科学 にもそれほど通じてはいなかった.ただ,ニューロイン フォマティクス的な下地はあり,2000 年からカイコガ を対象とした脳の単一神経データを細胞内記録を通して 収集しており,1 500 を超える細胞のデータベースを構 築していたほか,嗅覚系 一次中枢である触角葉で複雑な 形態をもつ局所介在神経の単一神経細胞シミュレーショ ンについての試みは行っていた.このようなことが評価 され,京コンピュータにおける開発の機会をいただけた のだと考えている.カイコガ脳には,105個オーダの神 経細胞があるといわれており,1 500 細胞という数はカ イコガの脳全体のシミュレーションを行うためには十分 ではないが,およそ 104個の細胞からなると推定される 嗅覚─運動系に対してはかなりの量に相当し,匂い情報 入力から行動指令までの大域的な回路は当時からおおま かには判明していた [岩渕 07].そこで,我々はこの嗅覚 ─運動系に関わる神経回路をシミュレーションの対象と し,特に匂い源探索行動の行動指令信号を生成する前運 動中枢である,側副葉(LAL:Lateral Accessory Lobe) および前大脳腹部(VPC:Ventral ProtoCerebrum)か ら出力する運動指令信号は,フェロモン刺激をするた めに左右のオンオフが切り換わるフリップ─フロップパ ターンと呼ばれる特徴的な応答様式を示すことがわかっ ていた [Kanzaki 94, Mishima 99, Wada 05] ため,この 領域を中心にモデル構築を行うこととした(図 1). 1・2 昆 虫 の 脳 昆虫の脳は哺乳類などに比べ非常に小さいため,いわ

昆虫嗅覚系全脳シミュレーションに向けて

─スーパコンピュータによる大規模脳シミュレーションの

 現在とその展望─

Toward the Insect Olfactory Whole Brain Simulation

 ─ Present and Future of a Large Scale Brain Simulation with a Super

   Computer ─

宮本 大輔

東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻

Daisuke Miyamoto Department of Advanced Interdisciplinary Studies, Graduate School of Engineering, The University of Tokyo. [email protected]

加沢 知毅

東京大学先端科学技術研究センター

Tomoki Kazawa Research Center for Advanced Science and Technology, The University of Tokyo. [email protected]

神崎 亮平

(同   上)

Ryohei Kanzaki [email protected], http://www.brain.imi.i.u-tokyo.ac.jp

Keywords:

insect, brain, simulation, super computer, Hodgkin-Huxley. 「脳神経系シミュレーション」

(2)

ゆる知能のようなものをもっていないのではないかと考 える人もいるかもしれない.確かに神経細胞数において は,昆虫はおよそ 105∼ 106個であり,ヒトの 1 000 億 個に比べるとはるかに少ない.しかし実際には,昆虫の 行動には自然の中で不確定な環境に適応しようとする高 次な知能の特徴を多く有している.例をあげると,ショ 糖溶液と特定の匂いを連関させて与えることにより,匂 いだけで摂食行動を起こさせる味匂い連合学習 [Stopfer 97]はよく知られている.また,ミツバチにおける形状 の認識と学習 [Giurfa 01] や,コオロギの同種間での喧 嘩行動 [Stevenson 00] など,昆虫は多くの適応的な行動 を表すことがわかっている. その中でも我々の研究対象であるカイコガでよく知ら れているのは,雄カイコガが,メスに向かっていくフェ ロモン源探索行動である.空気中のフェロモンは乱流状 態にあるため,フェロモンの断片的な塊として存在して いる.そのような複雑かつ変化し続ける環境の中でフェ ロモン情報を手掛かりに,左右にジグザグのようにター ンを繰り返しながらメスの元に向かう匂い源探索行動 は,不確定環境のなかで情報を更新しながら匂いの源に 向かう高度な適応行動であるといえる [Kanzaki 94]. 1・3 IOSSIM の構築 本プロジェクトでは,カイコガにおける匂い(フェ ロモン)の情報を受容してから行動を引き起こすまでの 神経経路に関わる詳細な神経細胞情報を元に,機能的な 仮説よりも,細胞一つ一つの形状や特性を用いてシミュ レーションを構築するボトムアップ的な手法を重視し た.このような手法では細胞モデルを構築し,計算する ためにさまざまな種類のソフトウェアが必要となる. 我々は,神経細胞・回路モデルの構築に必要となる 多くの実験結果を集積するとともに,どのようなソフト ウェア環境があれば,実験結果を元に全脳に相当するよ うなシミュレーションが可能になるのか検討を行った [高嶋 09]. そ の 結 果, 図 2 の よ う な フ レ ー ム ワ ー ク を 考 え, IOSSIM(Insect Olfactory System SIMulator)と名付け,

開発を進めていくこととした.

このとき,モデルの構築法だけでなく,いかにこの ような大規模計算を行うか,についても検討を行った. コンピュータの性能向上について,“The free lunch is over”[Sutter 05] といわれて久しいように,CPU クロッ ク上昇による性能の向上のような,何もしなくても待っ ていれば同じ計算が速く動作するということはなくなっ てきている.そのため,大規模なシミュレーションを実 現可能にするには,増大していく並列数に対応した計算 手法の開発が必要である. 本稿では,このような全脳スケールでのシミュレー ションを構築し,計算するためのソフトウェア環境につ いて,特に大規模並列計算手法を中心に述べる.

2.神経細胞・回路モデル

2・1 モ デ ル の 検 討 神経細胞・回路を表現する数理モデルには,さまざま なものがあり,対象とする現象により多くの選択肢が存 在している.一般に神経細胞の形態とその機能には多く の関係があるといわれているが,特に昆虫においては, 哺乳類などに比べ神経細胞の数が少なく,それは逆に一 つ一つの神経細胞の果たす役割が,より複雑で高度であ るからだと考えられる.その根拠の一つとして,昆虫 において一つ一つの神経細胞の役割が大きい identified neuron[Comer 01]と呼ばれる個々に識別可能であり, 多くの場合巨大で特有の形態をもつ神経が多く存在して いることがあげられる.これには,ミツバチの匂い味連 合学習に関与する VUMmx-1 [Hammer 93],コオロギ で発見された風向きを脳に知らせる Giant Interneurons (GIs)[Bacon 84] などが知られている.同様にカイコガ においては,匂い源探索行動と同期してステアリング信 号を出すといわれる G1-G2 下降性神経が存在している [Kanzaki 96, Wada 05]. このような状況から,我々は,細胞での樹状突起中の 局所的な相互作用や,細胞内の電位伝播による信号の遅 れといったより詳細な情報処理に伴う物理現象を記述で

(3)

きるマルチコンパートメント Hodgkin-Huxley 型モデル (図 3)を採用することとした. そのためには神経細胞の三次元画像を元にマルチコン パートメント Hodgkin-Huxley 型モデルを構築する必要 があるが,我々はすでに,単一距離変換によって基本的 な細胞形態の抽出を試みた池野英利教授(兵庫県立大学) との共同研究 [山崎 05] や,画像ノイズの補完や G1 下 降性神経の形態に注目した淺間 一教授(東京大学)との 共同研究 [Nakajima 09] の経験があったため,このよう なモデリングを行うことは可能であろうと考えた. またこれらに加え,形態的効果を含んだシミュレー ションでは,神経細胞を一つの点として表現するような モデルに比べ計算量が莫大になるため,このような計算 量にどう取り組むべきかを示すことで,計算科学的側面 においても意義があると考えた. なお,マルチコンパートメント Hodgkin-Huxley 型モ デルの詳細については,本特集の北野勝則教授による解 説(pp. 607-615)を参照されたい. 2・2 神経細胞・回路シミュレータ マルチコンパートメント Hodgkin-Huxley 型モデルを 構築可能なプラットホームシミュレータとしては NEU-RON [Hines 01]と GENESIS [Wilson 89] が一般的に 用いられているが,NEURON では,2005 年より Blue Brain Project [Markram 06]が始まって以来いくつか の並列化実装 [Hines 08a] が試みられており,より我々 の目的に適していると考えた.また,さまざまなチャ ネルモデルが,ModelDB(https://senselab.med. yale.edu/ModelDB/)上で公開されていたことも選択 の理由となった.

3.データベースの構築

実際の神経細胞を元に大規模シミュレーションを構築 するためには,まず何よりも,形態情報や各種実験結果 が整理され,統一的なアクセス方法が提供されているこ とが重要となる. 我々は,2000 年より独自のデータベースシステムを 構築し,BoND(Bonbyx Neuron Database)という名 称で運用を行ってきた [Kazawa 08].その結果,多くの 人の協力により,共焦点レーザ走査型顕微鏡などによっ て得られた三次元画像や,細胞内記録,各種イメージン グの結果をまとめ,年間 100 ∼ 200 個のデータを継続 的に追加し,2015 年時点では約 1 600 件の神経細胞デー タを集積することができた. この BoND 自体は,研究室内での共有・公開を目的 としたものだが,その一部の情報は無脊椎動物の脳・ 神経画像などの教育向けコンテンツと合わせて IVBPF (Invertebrate Brain Platform,https://invbrain.

neuroinf.jp/)として一般に公開も行っている. しかし,BoND/IVBPF いずれも構築から相当の年月 が経過し,データをひたすら蓄積することが主だった時 代から,PC で複数の 3D データを扱い,ビッグデータ から統計量を気軽にとれる時代の到来とともに,データ の活用しやすさという面では,脳神経 3D データのオン タイムでの特徴抽出やマッピング,オントロジーの構造 化などさまざまな面で課題も見つかってきた. 現在では,INCF 日本ノード /NIJC の協力のもと,こ の分野での実績がある,XooNIps(http://xoonips. osdn.jp/)システム上への移行を進めている.また, 同時に日本比較生理生化学会(会長:神崎亮平)との協 力により,脊椎動物も含めたさまざまな生物の脳・神 経情報の集積も進めており,CNS-PF(Comaparative Neuroscience Platform)として大幅アップデートを行 う予定である.

4.神経細胞形態抽出

データベースには各神経細胞を共焦点レーザ走査型 顕微鏡などにより撮像した三次元画像が登録されている が,実際にシミュレーションを行うためにはこの三次元 画像を元にマルチコンパートメント Hodgkin-Huxley 型 モデルを構築する必要がある.これは,原理的には二つ の工程に分類することができる.一つ目は神経細胞の領 域かそれ以外の領域かを識別するセグメンテーションと 呼ばれる工程,もう一つは,抽出された領域をもとに, 擬一次元的な近似を行いグラフとして再構築する,ト レーシングと呼ばれる工程である. この分野は大規模脳シミュレーションを行うための基 盤ともいえるため,多くの注目を集めており,これまで も 2009 年から 2011 年に DIADEM Challenge(Digital Reconstruction of Axonal and Dendritic Morphology Challenge)と呼ばれる世界的なコンテストが開催され てきた.DIADEM Challenge では,$75,000 の賞金が 設けられ,多くのチームが形態抽出アルゴリズムの妥当 さや,必要な時間,ヒトがマニュアルで抽出した結果と の比較などの観点から競いあい [Gillette 11],最終的に は五つのチームが Finalist として選ばれた.この中でも 特に [Wang 11] では Snakes [Kass 88] による動的輪郭 モデルをベースに,三次元の神経細胞形態へのチューニ ングを行い,さまざまな種類の細胞に対して,良い成績 を収めた.

(4)

そのような中,我々は KNEWRiTE と呼ばれるソフト ウェアを開発し,細胞形態の抽出を行ってきた.このソ フトウェアでは,Rayburst 法 [Rodriguez 09] と呼ばれ る自動化手法と GUI によるインタラクティブな抽出結 果の確認や修正,部分的に抽出したもの同士の接続を組 み合わせたセミオートによる抽出を可能とした.これに より,すべてマニュアルで抽出した場合に比べ,約 1/5 の時間で終えることができるようになっただけでなく, 抽出結果を元にシミュレーションを行った際の,抽出者 によるばらつきも低減することに成功した [Ikeno 12].

5.カイコガ標準脳の構築とマッピング

データベースに登録されている三次元画像は,多くの 場合別々の個体から得られているため,それぞれが個体 差を含んでいる.そこで,これらを統一的に扱うため, 標準脳と呼ばれる共通座標系を事前に構築しておき,こ の座標系に線形や非線形の変換手法を用いて,マッピン グする必要がある [Rein 02]. 我々は,6 個体から得た高解像度のカイコガ脳全体の 三次元画像に対し,ランドマークとなる点を選び,剛体 変形を行い,さらに平均化することで,カイコガ標準脳 を作成した.そのうえで,各個体から得られた神経細胞 三次元画像についても,ランドマークの選択を行い,薄 板スプライン変換を用いて,マッピングを行った.この とき,マッピング情報を取り出し,形態抽出済み細胞に 適用する ImageJ プラグインの開発を行い,シミュレー ション可能な標準脳モデル(図 5)を構築することがで きた [Ikeno 12]. また,このような手法を応用し,形態情報をもとに シナプス位置を推定する手法の開発についても進めてい る.

6.大規模シミュレーション

6・1 大規模シミュレーションの目的 最初に述べたように,形態を考慮したモデルでのシ ミュレーションは,必要な計算量が膨大となる.我々 は,2012 年当時世界最高の性能を有していたスーパコ ンピュータである京コンピュータを用い,このような計 算量の問題に取り組んできた.また,このときの目標と して,1 秒間の神経回路シミュレーションを 1 秒間以内 で行うことのできる,リアルタイムシミュレーションを 目指した.これは,将来的に,外界の情報を取り入れな がらシミュレーションを行い,データ同化手法につなげ るということや,シミュレーションとロボットを接続し, 匂いセンサの情報をもとにロボットの動きを制御するよ うな閉ループ実験環境を構築したいということによる. そのため,汎用の神経細胞・回路シミュレータである, NEURONをもとに,京コンピュータ向けの移植や改良 を行い,これを NEURON K+と名付けた. 6・2 アムダールの法則 コンピュータの性能を表すのに一般的に用いられる指 標の一つとして,FLOPS(FLoating-point Operation Per Second)というものがあり,これは 1 秒間に行うこ との可能な浮動小数点演算回数を示している.この指標 を用いると,一般に購入可能な PC が,比較的上位のも の(Intel i7 5960X)でも約 400 GFLOPS(= 4 × 1011 FLOPS)なのに対し,京コンピュータは,10 PFLOPS (= 1016 FLOPS= 1 京 FLOPS)と,桁違いの性能を有 していることがわかる. この性能を達成するために,京コンピュータはさまざ まな階層での並列性を有している.まず,京コンピュー タは SPARC64fxVIII と呼ばれる CPU 約 80 000 個より 構成されており,この CPU は,それぞれ 8 個の CPU コアから構成されている.そのため,全体としては,約 640 000個の CPU コアという莫大な並列数となる.ま た そ れ だ け で な く, 各 CPU コ ア は,SIMD(Single Instruction Multiple Data)と呼ばれる機能をもってお り,これにより 四つの FMA(Fused Multiply-Add)演 算を並列に実行することが可能となっている.

図 5 標準脳マッピングした神経細胞(40 細胞) 図 4 KNEWRiTE の画面構成

(5)

しかし,この莫大な並列数は同時に大きな問題を発生 させる.これは,一般にアムダールの法則 [Amdahl 67] の拡張として表現される.アムダールの法則は,プログ ラムの中の一部(構成比率が p < 1)を S 倍高速化した 際に,全体の性能向上度(SpeedUp)を表したもので, 以下のように定式化される. (1) SpeedUp= 1 (1-p)+Sp このとき明らかなのは,部分的な高速化度 S がたとえ 無限大であっても,全体としての性能向上は 1/(1−p) にしかならないということである.並列計算において, 並列度の向上というのは S の上昇に相当するが,プロ グラムには,逐次的に処理しなければならない部分や通 信に関わる部分など,並列度の向上によっても速度が向 上しない部分(1−p)というのが存在してしまう.そ のため,大規模並列計算においては,この 1−p の部分 をいかに減らすかということが大きな課題となり,例え ば 10 000 並列時に 9 000 倍の性能向上を得るためには, p > 0.999989でなくてはならない.京コンピュータは 640 000 CPUコアを有しているため,p を極めて 1 に近 づける必要があることがわかる. 6・3 神経細胞・回路シミュレータ NEURON と その計算構成 マルチコンパートメント Hodgkin-Huxley 型モデ ルのシミュレーションを行うため,我々は,カイコガ 脳 LAL-VPC 領域の神経細胞モデル(3 889 コンパート メント)を用い,京コンピュータ上で NEURON のベ ンチマークを行った.しかし,単に京コンピュータ向 けの移植を行っただけの状態では,演算性能が約 340 MFLOPS/coreと,京コンピュータが採用している CPU である SPARC64VIIIfx の 1 コア当たりの理論性能 16 GFLOPS/coreに比べ,約 2%程度と非常に低い性能し か得られなかった.このとき,計算時間の内訳を見ると, Hodgkin-Huxley方程式において,各チャネルの活性化・ 不活性化状態を示す m,h,n についての微分方程式(m についての式を式(2)に表す.h,n についても同形) を Exponential Integration Method により計算してい る部分が計算時間全体の約 7 割を占めており,またこの 部分の演算効率が非常に低いということがわかった. dm dt =αm(V )(1-m)-βm(V)m (2) 6・4 単体性能の向上 Hodgkin-Huxley方程式の演算効率が低いのは,こ の式で SIMD 演算が全く活用されていないことによる. 我々はまず,各式がすべてのコンパートメントにおいて 独立に計算可能なことに注目し,すべてのコンパートメ ントに対するループを各式の単位に分割した.これによ り,同じ演算が連続的に行われることとなり,SIMD 演 算が活用されるようになった.さらに,NEURON 内部 において,各コンパートメントの Hodgkin-Huxley 方 程式に関する変数が,Array of Structure(AoS)とし て保持されていることに着目した.このとき,各構造体 がもっている変数は多いため,各変数に対するアクセス が非連続的になってしまっており,SIMD 演算を十分に 活用するためのデータ供給が追いつかない状況になって いることがわかった.そこで,連続的にアクセス可能な 変数については Structure of Array(SoA)としてまと め直すことでメモリバンド幅を有効活用できるようにし た.その結果,約 1 150 MFLOPS/core(実効効率約 7%) と大きな性能向上を得ることができた.また,これらの チューニングを他の領域にも適用したところ,最終的に 約 1 560 MFLOPS/core(実効効率約 10%)と 4 倍以上 の演算性能を達成した. 6・5 ハイブリッド並列手法と通信パターン最適化による 並列性能の向上 次に我々は並列計算時の性能に着目した.このと き,すべての CPU コアを同等に扱い,並列化に MPI (Message Passing Interface)のみを用いるフラット

MPIという手法では,98 304 細胞,49 152 CPU コア時 に,p=0.999979(1 CPU コア時に対して推定約 24 180 倍の速度)と,あまり高い性能を得ることができなかっ た.そこで,MPI 並列化に加え,OpenMP(http:// openmp.org/wp/)と呼ばれる,ディレクティブ(指 示行)によりループを自動的にスレッド並列化する手法 を用いた,ハイブリッド並列化を行うことで,同じ細胞 数,CPU コア数の条件下で,p=0.9999996(1 CPU コ ア時に対して推定約 48 200 倍の速度)と,より高い性 能を得ることができた.これは,同一ノード内のスレッ ド間であれば,メモリを経由して情報のやり取りが可能 になったことや,特に京コンピュータでは,スレッド同 期専用のハードウェアバリヤ機構が備わっており,これ が有効になることで,全体として通信時間が削減された ためと考えられる. また,さらに大きな並列数( >105 CPUコア)にお いては,シナプス情報の通信にかかる時間が増大し, 並列性能が大きく低下することがわかった.そこで, NEURONの元々の実装である全体通信方式(Allgather) から,シナプス前末端の情報を接続されている後末端 だけに送る Point-to-Point 方式(isend/recv)の通信 [Hines 11]に切り換えたが,通信時間はむしろ微増する 結果となった.これは,シナプス通信が,京コンピュー タ内の通信ネットワーク上で非常に長い距離にわたって 発生しているため,通信の遅延や衝突が発生しているた めではないかと考えた.そこで,我々はシミュレーショ ンの前に,京コンピュータの通信ネットワーク [Ajima 11]上での神経細胞の位置を最適化し,通信ネットワー

(6)

ク上の平均距離を短くすることで,Point-to-Point 方式 時の通信時間を約 1/2 にすることに成功した.これによ り,196 688 CPU コア使用時に,786 752 細胞用いるこ とで,187 TFLOPS(p=0.99999895)となる性能を達 成することができた [Miyamoto 12]. 6・6 細胞の分割計算によるリアルタイムシミュレーション への接近 ISLiMプロジェクトでは,196 688 CPU コアによる 並列計算性能の向上を達成したが,この環境下では,多 くの細胞を使用しているためリアルタイム性は良好では なく,実時間に比べおよそ 86 倍のシミュレーション時 間が必要となってしまった.そこで我々は,リアルタイ ムシミュレーションの実現に向け,その後さらに京コン ピュータの一般利用として本シミュレータの開発を継続 して行った. ここでは,ターゲットとしている,カイコガ嗅覚─運 動系神経細胞約 104個をリアルタイムでシミュレーショ ンするため,1 細胞を複数の CPU で分割して計算する こととした.細胞の分割計算を行う際に,同一の CPU チップ(8 CPU コア)上では OpenMP によるスレッド 並列化を拡張することにより達成可能だったが,チップ をまたいだ並列化では,ケーブル方程式計算部の MPI 化が必要となった.そこで,1 細胞を複数の領域に分割 して計算を行うことのできる NEURON の multisplit 実 装 [Hines 08b] をもとに,複数細胞の同時計算にも対応 できるように拡張を行った. その結果,京コンピュータのほぼ全体に相当する 663 552 CPUコア利用時に,10 368 神経細胞のシミュ レーションにおいて,336 TFLOPS の性能を得ること ができた.これは,1CPU コア当たりの性能では 6・5 節 で示した結果よりも低いが,より多くの CPU コアを使 いつつも,シミュレーションに必要となる細胞数を大 幅に減らすことが可能となったため(786 752 細胞から 10 368細胞),最終的にリアルタイムに比べ,約 2 倍程 度のシミュレーション時間まで迫ることができた(図 6).

7.細胞膜パラメータの推定

ここまでで細胞の形態モデルの構築やシミュレーショ ンを行うための大規模計算環境などについて解説してき たが,実際にシミュレーションを行うためには事前に各 コンパートメントが有しているパラメータ(膜容量 Cm, 各イオンチャネルの最大コンダクタンス g─ ,各イオンの 平衡電位 E,リーク特性など)を推定する必要がある. そのために我々は,進化的アルゴリズムの一種である RCGA(Real Coded Genetic Algorithm)[小林 09] や, CMA-ES(Covariance Matrix Adaptation Evolution Strategy)[Hansen 01] といった手法を用いて,各種パ ラメータを得るためのソフトウェアの開発を行った. ここでは,遺伝的アルゴリズム上の遺伝子がひと とおりのパラメータをもち,そのパラメータをもとに NEURONを用いてシミュレーションを行うことで,シ ミュレーションから得られた波形と,実際に神経細胞に 電流注入実験を行った際に得られた波形の比較が可能と なり,最終的に実験結果に近い波形を出力する遺伝子が 得られる仕組みとなっている. この推定は,各遺伝子が神経細胞シミュレーションを 必要とするため,必要な計算量は莫大なものとなるが, 同時に,同一世代内の各遺伝子の計算は相互に依存性が ないため,並列化も容易である.我々は,この推定プロ グラムを京コンピュータ上で実行し,32 768 CPU コア で p=0.9999903 と良好な並列性能を得た.またこのと き,各遺伝子によるシミュレーションに NEURON K+ を利用することで,全体で約 2 倍の性能を得ることがで きた. この推定器を,カイコガ脳触角葉で処理された情報 を前大脳に伝える役割を果たす投射神経細胞に,ホワイ トノイズ電流を注入した際の膜電位変化に適用し,パラ メータの推定を試みた.その際,すべてのコンパートメ ントにおいて独立に推定を行ったのではパラメータ数が 非常に膨大となり,推定が困難となるため,細胞を樹状 突起,軸索,スパイク起始部の三種の領域に分類し,領 図 6 細胞の分割計算によるリアルタイムへの接近

(7)

域内では同一のパラメータを有するものとした.その結 果,約 20 パラメータの推定問題となり,特に CMA-ES を採用した際に,実験的に得られた波形と近いものを得 ることができた(図 7).ただし,このとき得られたパ ラメータが,実際の細胞特性と一致しているという保証 はなく,ある種の「別解」の可能性もある.そのため, 複数種類の電流刺激パターンを用いた推定に拡張するな ど,現在さらに多方面からの検証を進めている.

8.将 来 へ の 展 望

本稿では,我々が ISLiM と HPCI で行った歩みにつ いて,昆虫脳を想定した神経回路マルチコンパートメン ト Hodgkin-Huxley 型シミュレーションの高速化・高 並列化を中心に解説した.結果的にこのタイプのシミュ レーションは京コンピュータなどの,汎用 CPU から構 成される大規模クラスタタイプのスーパコンピュータに はよく適合しており,現在のスーパコンピュータでのア プリケーションとしてはある程度評価できる実効性能を 得ることができた.また,このとき重要な要素技術となっ ている SIMD 重視の演算性能やマルチコア,メニーコア といった方向性は,今後科学技術計算一般に普及してい く計算環境を先取りしているものともいえる.将来的に

GPGPUや Intel MIC のようなアーキテクチャが一般化

していくにつれ,シミュレーションにおける,「いかに 計算するか」という問題の重要性が増していく可能性は 高く,これは我々のターゲットとする昆虫全脳のみなら ず,他の無脊椎動物や脊椎動物,哺乳類の局所回路につ いても同様だといえる.本研究ではそのような神経細胞・ 回路計算全般について一定の未来像を示すことができた と考えている. このように,詳細な脳シミュレーションを行うため の計算基盤については,ある程度実現のめどが立ちつつ あるが,実際の脳神経回路のモデリングについては,ま だ多くの課題が残積している.例えば,細胞内のイオン チャネル分布に対する実験的証拠は十分でなく,ショウ ジョウバエの Kenyon 細胞で示唆的なものがあるものの [Trunova 11],局所介在神経についてはほぼ不明確であ る.これについて,シミュレーション上では,軸索部, 樹状突起部,スパイク起始部などある程度領域を設定し た条件下で,実験の際に与える刺激パターンを工夫する ことで,細胞膜推定の効率が上がり,形態的な特徴量の 推定がしやすくなることを示唆する結果が得られてい る.実際の環境下での評価は今後進めていく必要がある が,今後はこのようなシミュレーションから得られた知 見を実験に生かしていくことが,重要になっていくと考 えている. 近年,カイコガのフェロモン・匂い情報処理につい ては,細胞形態,投射領域,神経応答から情報の流れに ついては単細胞レベルと細胞集団レベルを合わせて多 くの知見が集積されつつあり [Haupt 10, Namiki 14], 単一細胞としての膜の性質 [Tabuchi 12] や,局所回路 [Fujiwara 14, Iwano 10]などについても多くの情報が得 られ,これらをもとにして匂い情報処理の機能を調べる 研究も進められている [Kobayashi 13].しかし,シナプ スの結合パターンや強度分布,可塑性を大規模な神経回 路で明らかにすることはさらに困難な問題であり,この ような問題は現実の物理的,生物的条件と,機能的,情 報論的な目標値を考慮し推定で対処するよりほかはない のだろうとも考えている.我々はこれまで進化的アルゴ リズムと神経シミュレーションを組み合わせた推定器を つくり,発展させてきた.単一細胞に対する推定につい ては,現状でも十分活用できるものとなっているが,今 後はこれを回路レベルで適用していく必要がある.回路 推定については,これまでも我々は,西川郁子教授(立 命館大学)を中心に,本稿でも扱った LAL-VPC 領域の 構成神経の応答から 250 ms 単位での応答頻度を生成し, 運動指令生成部の McCulloch-Pitts モデルとしての神経 回路の結合パターンを推定してきた [Nishikawa 12].こ れをさらに発展させ,形態を考慮した神経細胞モデルに もち込むには Karl Friston の自由エネルギー最少化仮説 [Friston 10]のような全く別の視点も考慮し,注意深く 推定器を構築する必要があると考えている. さらに一歩進めて,何らかの意思決定を行う Func-tionalな神経回路をボトムアップに構築することはまだ 非常に難しい.現在のところ,感覚系であれば詳細モデ ルで複数の匂いに対する応答の分離を示した [Migliore 14]や,より大域的に大規模神経回路を再構成したとい える [Izhikevich 08] が存在しているが,後者も基本的に は脳波の再現に留まっている.また,トップダウンによ る構築法としては機械学習の手法を取り入れて spiking neuronを用いてワーキングメモリと行動出力を構築 した Spaun [Eliasmith 12] のような例もあるが,逆に Human Brain Projectのリーダである Henry Markram に“It is not a brain”と一言いわれてしまう程度には現 実を抽象化してしまっている [Eliasmith 14].

このように脳の機能の解明には,さまざまな面からの アプローチが必要であり,現在我々は嗅覚情報の一次感

図 7 電気生理学的実験結果に対する推定 ( I は注入電流,V は膜電位)

(8)

覚中枢である触角葉の性質とそれを再現するシミュレー ションや,実際の神経細胞形態を用いて連合学習を行う 神経回路を新規に構築する手法についても取り組んでい るが,これらについての解説は別の機会に譲りたい. 脳をコンピュータ上に再構築するという課題はまだま だ多くの問題を有しており,これらを一挙に解決できる ような銀の弾丸はおそらく存在しないであろう.だから こそ,昆虫脳のような比較的単純な系で,さまざまな実 験的結果や理論モデル,ソフトウェアを集積していくこ とが今後の研究においても,非常に重要だと考えられる. 謝 辞 本研究は 2008 ∼ 12 年,ISLiM よりサポートを受 け,さらに,2012 ∼ 15 年には HPCI「京」一般利用 [hp120263/hp140151/hp150074]として,継続的に京コ ンピュータ(RIKEN, AICS)を利用した結果によるも のである. 本稿については,3 名の著者で執筆することになった が,ISLiM プロジェクト自体は東京大学先端科学技術研 究センター神崎・高橋研究室の多くのメンバの協力,お よび,立命館大学西川研究室,兵庫県立大学池野研究室 の協力なしには進めることはできなかった.また,京 コンピュータでの活用については,ISLiM 高度化チー ム(2012 年当時)大野洋介博士,舛本 現博士のサポー トを受けた.データベースの開発については,INCF 日 本ノード /NIJC(山口陽子教授)から多くのサポートを 得ている.最後になるが,国立情報学研究所の小林亮太 博士には本解説を書く機会を与えていただいただけでな く,ISLiM のプロジェクト中にも,さまざまな面でお世 話になった.この場を借りてお礼を申し上げたい.

◇ 参 考 文 献 ◇

[Ajima 11] Ajima, Y., Takagi, Y., Inoue, T., Hiramoto, S. and Shimizu,T.: The tofu interconnect, High Performance Interconnects 2011, pp. 87-94, IEEE(2011)

[Amdahl 67] Amdahl, G. M.: Validity of the single processor approach to achieving large scale computing capabilities, Proc. Spring Joint Computer Conf., AFIPS’67(Spring),pp. 483-485, NewYork, NY, USA(April 18-20, 1967)

[Bacon 84] Bacon, J. P. and Murphey, R. K.: Receptive fields of cricket giant interneurones are related to their dendritic structure, J. Physiol.(Lond.),Vol. 352, pp. 601-623(1984) [Comer 01] Comer, C. M. and Robertson, R. M.: Identified nerve

cells and insect behavior, Prog. Neurobiol.,Vol. 63, No. 4, pp. 409-439(2001)

[Eliasmith 12] Eliasmith, C., Stewart, T. C., Choo, X., Bekolay, T., DeWolf, T., Tang, Y., Tang, C. and Rasmussen, D.: A large-scale model of the functioning brain, Science, Vol. 338, No. 6111, pp. 1202-1205(2012)

[Eliasmith 14] Eliasmith, C. and Trujillo, O.: The use and abuse of large-scale brain models, Current Opinion in Neurobiology, Vol. 25, pp. 1-6(2014)

[Friston 10] Friston, K.: The free-energy principle: A unified brain theory?, Nature Reviews Neuroscience, Vol. 11, No. 2, pp. 127-138(2010)

[Fujiwara14] Fujiwara, T., Kazawa, T., Haupt, S. S. and Kanzaki, R.: Postsynaptic odorant concentration dependent inhibition controls temporal properties of spike responses of projection neurons in the moth antennal lobe, PloS ONE, Vol. 9, No. 2 (2014)

[Gillette 11] Gillette, T. A., Brown, K. M. and Ascoli, G. A.: The DIADEM metric: Comparing multiple reconstructions of the same neuron, Neuroinformatics, Vol. 9, No. 2-3, pp. 233-245 (2011)

[Giurfa 01] Giurfa, M., Zhang, S., Jenett, A., Menzel, R. and Srinivasan, M. V.: The concepts of ‘sameness’ and ‘difference’ in an insect, Nature, Vol. 410, No. 6831, pp. 930-933(2001) [Hammer 93] Hammer, M.: An identified neuron mediates the

unconditioned stimulus in associative olfactory learning in honeybees, Nature, Vol. 366, pp. 59-63(1993)

[Hansen 01] Hansen, N. and Ostermeier, A.: Completely derandomized self-adaptation in evolution strategies, Evolutionary Computation, Vol. 9, No. 2, pp. 159-195(2001) [Haupt 10] Haupt, S., Sakurai,T., Namiki, S., Kazawa, T. and

Kanzaki, R.: Olfactory Information Processing in Moths, CRC Press(2010)

[Hines 01] Hines, M. L. and Carnevale, N. T.: NEURON: A tool for neuroscientists, Neuroscientist, Vol. 7, No. 2, pp. 123-135 (2001)

[Hines 08a] Hines, M. L. and Carnevale, N. T.: Translating network models to parallel hardware in NEURON, J. Neurosci. Methods, Vol. 169, No. 2, pp. 425-455(2008) [Hines 08b] Hines, M. L., Markram, H. and Schurmann, F.: Fully

implicit parallel simulation of single neurons, J. Comput. Neurosci., Vol. 25, No. 3, pp. 439-448(2008)

[Hines 11] Hines, M., Kumar, S. and Schürmann, F.: Comparison of neuronal spike exchange methods on a Blue Gene/P supercomputer, Front. Comput. Neurosci., Vol. 5, Issue 49 (2011)

[Ikeno 12] Ikeno, H., Kazawa, T., Namiki, S., Miyamoto, D., Sato, Y., Haupt, S. S., Nishikawa, I. and Kanzaki, R.: Development of a scheme and tools to construct a standard moth brain for neural network simulations, Comput. Intell. Neurosci., Vol. 2012, ID 795291(2012)

[岩渕 07] 岩渕 智,和田 賢,加沢知毅,神崎亮平:昆虫の行動指 令情報を生成する前運動中枢における神経回路の探索,日本動 物学会第 78 回大会(2007)

[Iwano 10] Iwano, M., Hill, E. S., Mori, A., Mishima, T., Mishima, T., Ito, K. and Kanzaki, R.: Neurons associated with the flip-flop activity in the lateral accessory lobe and ventral protocerebrum of the silkworm moth brain, J. Comp. Neurol., Vol. 518, No. 3, pp. 366-388(2010)

[Izhikevich 08] Izhikevich, E. M. and Edelman, G. M.: Large-scale model of mammalian thalamocortical systems, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.,Vol. 105, No. 9, pp. 3593-3598(2008) [Kanzaki 94] Kanzaki, R., Ikeda, A. and Shibuya, T.: Morphological

and physiological properties of pheromone-triggered flipflopping descending interneurons of the male silkworm moth, Bombyx mori, J. Comparative Physiology A, Vol. 175, No. 1, pp. 1-14(1994)

[Kanzaki 96] Kanzaki, R. and Mishima, T.: Pheromone-triggered ‘Fiipflopping’neural signals correlate with activities of neck motor neurons of a male moth, Bombyx mori, Zoological Science, Vol. 13, No. 1, pp. 79-87(1996)

[Kass 88] Kass, M., Witkin, A. and Terzopoulos, D.: Snakes: Active contour models, Int. J. Computer Vision, Vol. 1, No. 4, pp. 321-331(1988)

[Kazawa 08] Kazawa, T., Ikeno, H. and Kanzaki, R.: Development and application of a neuroinformatics environment for neuroscience and neuroethology, Neural Netw., Vol. 21, No. 8, pp. 1047-1055(2008)

[小林 09] 小林重信:実数値 GA のフロンティア,人工知能学会論 文誌,Vol. 24, No. 1, pp. 147-162(2009)

[Kobayashi 13] Kobayashi, R., Namiki, S., Kanzaki, R., Kitano, K., Nishikawa, I. and Lansky, P.: Population coding is essential for rapid information processing in the moth antennal lobe,

(9)

Brain Res., Vol. 1536, pp. 88-96(2013)

[Markram 06] Markram, H.: The blue brain project, Nat. Rev. Neurosci., Vol. 7, No. 2, pp. 153-160(2006)

[Migliore 14] Migliore, M., Cavarretta, F., Hines, M. L. and Shepherd, G. M.: Distributed organization of a brain microcircuit analyzed by three-dimensional modeling: The olfactory bulb, Front. Comput. Neurosci., Vol. 8, Issue 50(2014) [Mishima 99] Mishima, T. and Kanzaki, R.: Physiological and morphological characterization of olfactory descending interneurons of the male silkworm moth, Bombyx mori, J. Comparative Physiology A, Vol. 184, No. 2, pp. 143-160(1999) [Miyamoto 12] Miyamoto, D., Kazawa, T. and Kanzaki, R.: Neural circuit simulation of Hodgkin-Huxley type neurons toward peta scale computers, SC Companion, p. 1541, IEEE Computer Society(2012)

[Nakajima 09] Nakajima, K., Morishita, S., Asama, H., Kazawa,T., Kanzaki, R. and Mishima,T.: Structural comparison of premotor neurons in silkworm moths, Forma, Vol. 24, pp. 67-78(2009)

[Namiki 14] Namiki, S., Iwabuchi, S., PansophaKono, P. and Kanzaki, R.: Information flow through neural circuits for pheromone orientation, Nat. Commun., Vol. 5, p. 5919(2014) [Nishikawa 12] Nishikawa, I., Yamagishi, Y., Ikeno, H., Kazawa,

T., Namiki, S. and Kanzaki, R.: Estimation of the information pathway in an insect brain based on the physiological data, Information Science and Service Science and Data Mining (ISSDM),2012 6th Int. Conf. on New Trends in, pp. 463-465 (2012)

[Rein 02] Rein, K., Zockler, M., Mader, M. T., Grubel, C. and Heisenberg, M.: The Drosophila standard brain, Curr. Biol., Vol. 12, No. 3, pp. 227-231(2002)

[Rodriguez 09] Rodriguez, A., Ehlenberger, D. B., Hof, P. R. and Wearne, S. L.: Three-dimensional neuron tracing by voxel scooping, J. Neurosci. Methods, Vol. 184, No. 1, pp. 169-175 (2009)

[Stevenson 00] Stevenson, P. A., Hofmann, H. A., Schoch, K. and Schildberger, K.: The fight and flight responses of crickets depleted of biogenic amines, J. Neurobiol., Vol. 43, No. 2, pp. 107-120(2000)

[Stopfer 97] Stopfer, M., Bhagavan, S., Smith, B. H. and Laurent, G.: Impaired odour discrimination on desynchronization of odourencoding neural assemblies, Nature, Vol. 390, No. 6655, pp. 70-74(1997)

[Sutter 05] Sutter, H.: The free lunch is over: A fundamental turn toward concurrency in software, Dr. Dobb’s Journal, Vol. 30, No. 3, pp. 202-210(2005)

[Tabuchi 12] Tabuchi, M., Inoue, S., Kanzaki, R. and Nakatani, K.: Whole-cell recording from Kenyon cells in silkmoths, Neuroscience Lett., Vol. 528, No. 1, pp. 61-66(2012)

[高嶋 09] 高嶋 聰,加沢知毅,神崎亮平:昆虫の嗅覚系全脳シミュ レーション,電学誌,Vol. 129, No. 12, pp. 808-811(2009) [Trunova 11] Trunova, S., Baek, B. and Giniger, E.: Cdk5

regulates the size of an axon initial segment-like compartment in mushroom body neurons of the Drosophila central brain, J. Neuroscience, Vol. 31, No. 29, pp. 10451-10462(2011) [Wada 05] Wada, S. and Kanzaki, R.: Neural control mechanisms

of the pheromone-triggered programmed behavior in male silkmoths revealed by double-labeling of descending interneurons and a motor neuron, J. Comparative Neurology, Vol. 484, No.2, pp. 168-182(2005)

[Wang 11] Wang, Y., Narayanaswamy, A., Tsai, C. L. and Roysam, B.: Abroadly applicable 3-D neuron tracing method based on open-curve snake, Neuroinformatics, Vol. 9, No. 2-3, pp. 193-217(2011)

[Wilson 89] Wilson, M. A., Bhalla, U. S., Uhley, J. D. and Bower, J. M.: GENESIS: A System for simulating neural networks, Touretzky, D. ed., Advances in Neural Information Processing Systems 1, pp. 485-492, Morgan-Kaufmann(1989) [山崎 05] 山崎貴之,礒川悌次郎,松井伸之,池野英利,神崎亮平: 共焦点レーザ顕微鏡画像に基づく昆虫神経細胞モデルの再構 築,信学技報,NC, ニューロコンピューティング,Vol. 104, No. 760, pp. 19-24(2005) 2015年 7 月 23 日 受理

著 者 紹 介

宮本 大輔(学生会員) 2014年東京大学大学院情報理工学系研究科修士課程 修了,2015 年より同大学院工学系研究科先端学際工 学専攻博士課程所属.修士(情報理工学).日本比 較生理生化学会,日本神経回路学会,バイオスーパー コンピューティング研究会所属. 加沢 知毅 1989年名古屋大学理学部物理学科卒業.1995 年 同大学院理学研究科博士課程満了.修士(理学). 1995∼ 2003 年筑波大学生研機構派遣研究員.2005 年∼東京大学先端科学技術研究センター特任研究 員.現在に至る.ハエ味覚毛における情報変換電流 の揺らぎ解析,カイコガ触角葉カルシウムイメージ ング,ナノプロービングシステムの開発,神経形態 抽出,神経応答データベース構築,大規模詳細モデル昆虫神経回路シミュ レーション構築などに従事.日本比較生理生化学会,日本バイオイメー ジング学会,日本神経回路学会各会員.バイオスーパーコンピューティ ング研究会所属.昆虫嗅覚系全脳シミュレーション(HPCI 一般利用: hp120263,hp140151, hp150074)副代表. 神崎 亮平 1986年筑波大学大学院生物科学研究科博士課程修 了.1987 年アリゾナ大学神経生物学研究所博士研 究員.1991 年筑波大学生物科学系助手,講師,助 教授,教授.2004 年東京大学大学院情報理工学系 研究科教授.2006 年同先端科学技術研究センター 教授,2013 年より副所長.2003 年よりアリゾナ大 学 Dept. of Neurosci. Adjunct Professor.モデル生 物であるカイコガの感覚・脳・行動に関する神経行動学研究に従事.日 本比較生理生化学会会員(2011 年より会長).2008 年日本比較生理生化 学会学会賞受賞.理学博士.

図 3 マルチコンパートメント Hodgkin-Huelxy 型モデル
図 5 標準脳マッピングした神経細胞(40 細胞)

参照

関連したドキュメント

師ち米國に鞭てもEcOn。mo型畷炎が存在すると双倉

P1 and P2 membranes were resuspended in the binding assay buffer to a final protein concentration of 1 mg/ml and treated with combinations of increasing concentrations of CHAPS

NGF)ファミリー分子の総称で、NGF以外に脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフ

[r]

Standard domino tableaux have already been considered by many authors [33], [6], [34], [8], [1], but, to the best of our knowledge, the expression of the

前項では脳梗塞の治療適応について学びましたが,本項では脳梗塞の初診時投薬治療に

Amount of Remuneration, etc. The Company does not pay to Directors who concurrently serve as Executive Officer the remuneration paid to Directors. Therefore, “Number of Persons”

平成21年に全国規模の経済団体や大手企業などが中心となって、特定非営