理学療 法 学 第35巻第3考 104
一
一
109頁 (2008年)症
例 研 究
生
活
変
化
と
ク
ッ
シ
ョ
ン
の
変 更
を
期
に
褥 瘡
を
発
生
し た
脊
髄 損
傷
の
一
症 例
発
生
要 因
に
関 す
る
臨床 的推 論
と
理 学
療
法 介 入
のあ り方
*一
森 田 智 之
⊥)#前 田 淳
一
2)伊 藤 良 介
3)佐 久 間 藤 子
3)要 旨
退 職
を は じ め とす
る 生活
の変 化
をき
っ かけ
に褥 瘡
を発
生 し た と思 わ れ る脊 髄 損 傷 者
に対
し,
褥 瘡
の理学
療 法 評価
と介 入
を実 施
し た、 症例
は37
年 前
に受 傷
し た63
歳
の男 性 脊 髄 損 傷 者
,
残 存 機 能
レベ ルは第
6
胸
髄 節
,
ASIA
impairment
scale はB
であっ た。
症 例 は体
重コ ン トロー
ルと健 康 管
理 教育
の た めに当
院に人院 し
た とこ ろ,
褥 瘡
の存 在 が 発 覚 し
た。症 例
の約
2
ヶ月 間 経 過 し
た褥 瘡
に対 し
,
理 学 療 法 評 価
を実 施
し,
そ
れに基
づいて原 因
を推 論
し た。理 学療 法 評 価
は,
問 診
お よ び情 報 収 集
,
局所 視 診
,
車
いす
上 座位 評 価
,
携 帯 型
圧力
舜1
測器
に よ る座 面
の接 触
圧 〔以下 座圧) 測 定
を行
っ た。評 価
より褥 瘡 発
生要 因
を 生活
の変 化
と クッ ショ ン の変 更
と推 論
した
。ま
た褥 瘡 治 癒 遷 延 要 因 を
日常 的
に使 用 し
ていたク ッ シ ョ ンの圧力 分 散 性 能
が不 十 分
と考 え た
。介 入
と し て,
より低
い座 圧
と安 定 性 を提 供 す
る ことを 目 的
に,
空 気 室 を
四分 割
でき
る空 気 室構
造ク ッ シ ョ ンに変
更 した。
その結
果,
介
入後
ユ5
日 凵で褥 瘡
が治 癒
し た。
本 症 例
の経 過
か ら,
褥
瘡
に 関与 す
る 際 に重 要 だ
っ たこと
は,視 診
,問診
,
座
圧計測 と
いう理 学 療 法 評 価 と
,
その評 価
に某
つく臨
床 的推 論
およ び介
人であ
っ た。本 症 例
において は圧力 分 散 性 能
の高
い ク ッ シ ョ ン の使 用
が褥 瘡 治 癒
に効 果
的
であ
っ た。キ
ー
ワー
ド脊 髄 損 傷
,
褥 瘡
,
理学 療 法 評 価
は じ め に脊髄 損 傷 者
に とっ て,
褥 瘡
は重 大 な合 併 症
の・
つ であ
る。褥 瘡
は・
度発
生す
る とそ の治 療
に は疼 痛
や苦 痛
を伴
う
だ けでなく
,
時
問 と費
用 が か かるD。ま
た再 発 を繰 り
返 す褥 瘡 が社 会復 帰
を妨 げ
る重 大 な
娑因
であ
るとも述
べ ら れ てい る 2)。
褥 瘡
の 予防
や,
発
生し た場 合
の早 期 治 癒
は脊髄 損 傷 者
にと
っ て重要 な課 題
といえ
る。*
A Case Study oi a Spi[1al Cord hljurン 〔SCI) Patient who
De、eloped a PressLLre L
.
lcer afLer Changing his Wbedchair Cushio「】 and Llf巳.
STyle−
Ph}sical The「aPy Inle「vention of the1
’
reatnlellt of Prt/ssure 〔∫1〔:er ill SCI−
1〕 神 奈川 リハ ビ リ テ
ー
ショ ン病 院 理 学 療 法 科 〔〒 243−
Ol21神 奈 川 県厚 木ili−
t
}H516
)Tomoyuki Mor[1a
,
RI〕
T,
MS:DeparT/ment of Physical Thcrapy.
KとLllagawa RehubMtation Hospital2〕国際 福 祉 医 療 大 学 付 属 熱 海 病 院 理学 療 法 室
junichi
Maeda,
RPT: Department of Physical Th(lrapy,
Int
.
ernaT.
ionnl HeaLth and WcLfarc UnTvcrsity Atanli Ilospit.
nl 3) 神奈川 リハ ビ リ テー
シ ョン病 院 リハ ビ リ テー
シ ョン科Fujiko Sとしkuma
,
MD,
Ryosuke lto、
MD : Dcpar 亡ment ofRehnbilit:{tion iXledlcine
,
Ka【1agawa Rehabi】itat[nn Hospital #E
.
maH :kanap吐@kanagawa−
rehab.
or.
jp
〔受付日 2005年9月7H
/
受 理日 2008年3月7口)褥 瘡 発
生の直 接
原因
は長 時 間
の 圧迫である が,
褥 瘡
発 生に至
るま
で には他
の要 因 が
いく
つも絡
み合 う
3)。 その た め予 防
や治 療
に は多 職 種
が その専 門性
を活
か して関 与
す
る こ とが重要
とい われ て い る4 )E)。
褥 瘡 対 策
に関 す
る理 学 療 法
士の役 割
は施 設
によっ て様
々 であ
る が6),
当 院
の褥 瘡
に対
す る 理学 療 法
十の役 割
は,
主に車
いす
上 座位
が褥 瘡
の原因
と なっ た と 推 測 さ れ る脊 髄 損 傷 者
に対 す
る理 学 療 法 評 価
と介
入であ
る。
当院
に褥 瘡 治 療
で入 院 す
る脊 髄 損 傷 者
は褥 瘡
重 症例
が多
く
,
観
血的 治療 後
の介
入が主 と なっ て い るtt
その た めこれ ま では理 学 療 法
士の評 価
や介 入 効 果
を短 期 間
で確 認
で き る機 会
が少
な かっ た。
今
回,
保 存
的加 療
と なっ た 症 例に対 し理 学療 法 介
入を
行
っ た結 果
,
比較 的短 期 間
で治
癒に至っ た。
本
症 例 を 通 じて,
褥 瘡
に対 す
る 理学 療 法
評 価 と,
そ れ に 基づ く臨 床
的推 論
お よ び介
人の重 要 性 を改
めて実感
し たの で,
褥 瘡
に対 す
る理学 療 法
の実 践 例
と して以 卜.
に報 告
す る.
、
生活 変化とク ッ ショ ン の変 更 を期に褥 瘡 を 発生し た脊 髄 損
傷
の.
・
症 例lor
コ症 例
症 例 は
63
歳 男 性,
37
年 前
に受 傷
し た脊髄 損 傷 者
,
損
傷
レベ ルは第
6
胸
髄 で,ASIA
impairment
scalc はB
と一
部 感覚
が残 存
していた。
合 併 症 と して高 血 圧,
糖 尿 病
,
心 房 細 動 を認
め た。
身
長173Cln
,
体
重103
kg
,
単 身 独
居 で 日常 生 活 活 動 はす
べ て自 立 してい た。
車
いす
は オー
ダー
メイ ド車
い す,
クッショ ンは厚
さ10Cln
の ラ テ ッ ク ス 製 クッ ショ ン(
以下
ラ テ ック ス10Cln
ク ッシ ョ ン) を
使 用 し てい た。
現 病
歴平
成16
年
7
月 頃
より尾 骨 左 側
に褥 瘡 が 発
生し
た が,
症 例 は医 療 機 関
を受 診
しなか っ た。 同年
9
月
,
体 重
コ ン トロー
ル と健 康 管 理
の教 育
のた
め当 院
に入 院
した と
こ ろ,
褥 瘡
の存 在
が発 覚
し た。入 院後
,
褥瘡
は保 存 的
に治
療 す
る方 針
と なり
,
減量
お よび褥 瘡
の評価
と対 応 を
凵 的 に理 学療 法 が処 方
さ れ た。 理学療
法評
価
1
) 問診
および情 報 収 集
初 回 お
よ び3
回目
の問 診
で得
ら れ た情 報 を表
1
に 示 す。
初
回の問診
で は主に 生活 習 慣 に 関 す る 情 報 を 得 た。
3
回目
の問 診
で クッ シ ョ ン の変
更 や疼 痛
に 関 す る 情 報 を得
た。 クッ ショ ン の変 更
は座 面
の高
さを低 くす
るこ と を目的
に自
主的
に行
っ た との こ とだっ た。
栄 養 状 態
の指 標 と
な る 血清
アルブ ミンは,3.
5
g, ’d
],
糖 尿 病
の指標
とな
るHbAlc
は6
.
9
%であっ た。
2
) 局所 視 診
.
人院 時
の褥 瘡
は.
尾骨
の左
側約
二横 指
の位
置 に, 大 き さ約
4x2cm
,
真 皮 ま
での浅
い潰瘍
であ
っ た。
DESIGN
重 症度 分 類
5)7)で はdlels2i292Nl
と計9
点
で あっ た。
ま
た褥 瘡
の左 側
に痂 皮
11
彡成 を
認 め た(
図1
)
。
褥瘡
周 囲 の衛
生状 態
は良 好
であ
っ た が,
褥 瘡
か ら悪臭 を
認 め た。
こ こ で
DESIGN
につ い て説
明す
る。
DESIGN
は 褥瘡
の重症 度
を分 類 す
る と とも
に,
治癒
過程 を 数量 化
す るこ と がで き る褥 瘡 状 態 判 定
ス ケー
ル で,
日本 褥 瘡 学 会
が2001
年
に作
成 し た。評 価 項
目はD
(
Dcpth
深 さ)
,
E
(
Exudate
浸 出 液 )
,
S
(
Size
大 き
さ ),
1
(
lnflammationf
’
Infection
炎 症・
感染 )
,
G
(
Granulation
tissue肉芽 組 織 )
,
N
(Necrotic
tissue壊
死組 織 )
,
ポ ケッ トが ある場 合 は一
P
を付 記 す
る。重 度
はア ル フ ァ ベ ッ ト大 文字
で,
軽
度 は 小文 字
で重症 度
を分類 す
る。経 過 評 価 用
は各
々 の項
目 に 異 な る 電み をつけ
,
合 計
0
〜
28
点
で高 得 点
ほ ど重
症 で あ ること を表
してい る.3
) 車
いす
上 座位 評 価
車
い す ヒ座 位姿勢
は矢 状面
で は骨 盤 後 傾 位
,
体 幹 経 度
屈 曲 位であっ た。
車
いす
の前 後 差
は5
セ ンチであ
っ た。表
1
初同 お よ び
3
同 目の問診で得
ら れ た情 報 初 回 問 診 車いす 乗 車は1日Ie時 間以 ヒ 褥瘡発 生後,
在宅,
人 院 後 と も に1
司様の時 間 乗 車してい る 平成 ユ6
年3
月 末 (褥 瘡発 生約’
t
ヶ月前) で仕事
を 退職し た 退 職後は外出 する機会 が 減っ た 趣 味が囲 碁,
囲 碁を打っ てい る ときは体 幹が左に傾 斜して い る姿 勢が多い3
回 冂問 診 平 成16年6月ごろ シー
トクッ ショ ンを ラテック ス10Cln クッ ショ ンか らラ テックス7cm
クッ ショ ンに変 更 した ラ テックス7cm
クッ ショ ンは大 きさ が小さい 褥 瘡 発 生 後シー
トクッ ショ ンをラ テッ クス製10cm
に戻した が,
褥瘡は改 善し てい ない 褥 瘡 発 生 後ラ テッ クス10cm
クッ ショ ンを使用 し て車い すに 座っ てい る と数時 間 で 褥瘡部位に 疼痛が 生 じ る 図1
理 学療 法開 始 後3
[.
i
目の褥瘡 尾 骨 左側 に褥瘡
がある (図中)
.
褥瘡
の近く
に痂
皮形成を認 め る (図 中 ) 静 止 時の座 位姿
勢 や 駆動 す
る と き に, シー
ト クッショ ン 上で骨 盤 が前 方
へ すべ る 場 面 は 少 な かっ た。
移 乗 能 力 は 十 分 高 く,
殿 部 を 車いす 等 にぶ つ け る 場 面 は 認 め な かっ た。
前額
面 で は極
端 な 左右
差 や脊 柱
の側弯
は観 察
さ れ な かっ た。
日常
的にと る 座 位姿勢
におい て殿部
を触
診 し た ところ,
褥 瘡 部 位 が 圧 追 さ れてい た。
4
) 携 帯 型 圧 力 計 測 器 に よ る 座 面の接 触 圧(
以 ド座 圧)
測
定
携 帯 型 圧 力 計 測 器 (ケ
ー
プ 社 製セ ロつ を 使 用 して,
褥 瘡 部 位の座 圧 を 計 測 し た。
携
帯 型 圧 力計
測 器 は センサー
部 分
が直径
3
〜
5cm
で,
その範
囲の圧力
を 計 ること がで き る 計 測 器で,.
単 位 はmmHg で表 示 さ れ る。
計 測対
象
は 現在 使
用 し てい る ラテ ッ クス ユOcm
クッ ションと
,
空 気 室 を
4
分 割
で き る機 能
を 持つ空
気
室構
造 型クッシ ョ ン
(
ROHO
Quadtro
SelectTM
,
以 下ロホ クア ド トロ
)
を 選 択 し た。
ロ ホ クア ド トロ を 選 択 し た 理 由 は,
圧力
分散 性
能 に 優 れてい るこ と9:,10),
左 傾 斜姿
勢 を とって もシ
ー
トクッショ ンが4
分 割 さ れてい ることで姿 勢の106
理 学療 法学 第35
巻 第3
号 表2
褥 瘡 部位の座圧 の比 較(
単位
:mmHg)
体 幹 中 間 位
体 幹左傾 斜‡ ラ テッ クスユ
Ocm
ロホク ア ド トロ100
.
0
107.
7* * 66.
ユ 69.
4 * 注 :体幹
左傾斜姿 勢
で あ るこ と,
褥瘡
が 尾骨 左側 に あ ること か ら,
休 幹 中 間 位のほ か に 左 傾斜 姿 勢を計測 し た.
* * 注:ラ テ ッ クス 10cm クッ ショ ン の 体 幹 左傾 斜 姿 勢 の計 測は1回のみ.
他の各 計 測 値は2回 計 測し た’
卜均 値 と体 幹
左傾 斜 位
で行
っ た、、
ラ テッ ク ス10cm
クッ シ ョ ン の体 幹
左傾 余
1
・
姿勢
の計 測
は ⊥回の み で,
他
の各 計
測値
は2
回ず
つ計
測 し平 均 値
を求
めた。
いず
れの構
えにおい ても
ロ ホ ク アド ト
ロを 使 川 し
た方 が 座 圧
は低 か
っ た(
表
2
)
c’
wv響
韓
羅
誓 夢’
「
ド
「
r 寮繋
劉 霧 羅 轍 韃
’
’
.
/tt
th’
’
’
’tt’
Pt
en
’
emun
’
nde
mawn
褥
瘡
発 生 要 因 の 臨 床 的 推 論 と 介 入 方 法以
k
の理 学療 法 評 価
よ り,
褥 瘡 発
生要
因を推 測
した。
まず 褥 瘡
が尾 骨
に発
生し てい る ことか ら,
褥瘡 発
生 と車
いす 上 座 位
につ い て検 討
し た。本 症 例
は車
いす
ト座 位 姿
勢
において褥瘡
部位
を 圧迫
してい る こ と,
問診
よ り車
いす
で の座 位 時
間が一・
ロユ0
時
間以 上 と長 時
間にわたっ て い ること
か ら,
褥 瘡
は車
いす 上
で発 生
し たも
のと考 え た
。37
年 も
の 問,
褥 瘡
を 罹患
し な かっ た にもか か わ らず
,
今
回褥 瘡
が発
生し た原 因につ いて は,
発 症 約
4
ヶ月 前
の退 職
に よ る牛活 状 況 変 化
が関 与
してい ると推 測 し
た。症
例は仕 事
を してい ると きはH
常 的
に車 を
運転 す
るな ど活
動 的
に生活
し てい た。 し か し退 職
を期
に移 乗 動 作
や車
いす 駆 動 を行 う機 会
が少 な くな り
,
除
圧動 作
や全 身 活 動 量
が減 少
し た。
その よう
な 状 況で シー
ト クッ ショ ンを 小さな
ラテ ッ ク ス7cm
ク ッ シ ョ ン に変
更したこと が決 定 的
な褥 瘡 発
生の原 因
にな
っ た と考 え
た。車
いす
上座 位 姿 勢 評 価
で は極 端
な左 右 差
がな
い にも
か か わ らず
左 だ けに褥 瘡
が生 じ た原 因 とし て,
趣味
である囲碁 を打
つ とき
の姿 勢
に着 目 し
た、,囲 碁 を打
つ姿 勢
を と ると褥 瘡 部位
に更
に高
い圧迫
が加
わ る こと を触 診
と 座 圧計 測
で確 認
した。以 上に よ
り
,
生活 習 慣
の変 化
が褥 瘡 発
生の間 接 的 原 因
と なり
,
シー
トクッ シ ョ ン の変 更
が直 接 的 原 因
と なっ た と推 測
し た、
次
に,
褥瘡 治癒 が 遷 延 し
てい る原 因
につい て推 測
し た。車
いす.
k
の姿 勢 観 察
よ り,
剪 断力
の影響
は少 な
い と考
え,
座圧 と圧力
が か か る時
間 を巾
心に考
え た。
褥 瘡
発 生後
,
症 例
は シー
トク ッ シ ョ ンを
ラ テッ ク ス ユOCm
クッ ショ ン に戻
し た が,
それ でも約
2
ヶ月 も
の問 褥 瘡
が治
癒に向
か わ なか っ たこ とか ら,
ラ テ ッ ク ス10cm
ク ッシ ョ ンで は圧 力 分 散
が不 卜分
だっ た と推 測
した
、
そこ で ラ テ ッ ク スth
婁; 韓 鞠 歸
雛
1
鰻
胆
暇
群
嚇
,
。
fi 灘 esmニ
’
郵 瀛 轟 難;忌
.
;蒹
讐
罍
鑿
鑿
鼕
{
灘嬲
畢
轡鬱鯵羈 鞍 灘騨難
難
灘
1
靉
翻
瀦
齶
縛
翻 齢 囎 鰻轡 彰 轄 駐翻
覇
瀞
曝
融
鰾
鰤緲
鞠
鞭
齪
図2 褥 瘡の変 化理学 療 法 開始 後3 口 目
.
同
9
日 目,
褥瘡
が 縮 小化し てい る.
(諦同15 日 目,
ほ ぼ治癒 して い る.
10cm
クッ シ ョ ン使 用 時
の座 圧 を計 測
し,
そ れ を参 考
に現 状
の シー
ト クッ ショ ン より も相 対 的
に座 圧 が低
い クッ シ ョ ン を試
用 する こ と と し た。
今
回 は 圧力
分散 性 能
と姿
勢 保 持 性 能
を考 慮
し て ロ ホ ク ア ド トロを 選択
し た。
そ
の ほかの項目
と して衛
生状 態
は良好
で,
栄 養状 態
も 正常
下 限であ
っ た、
、
こ の段 階
で は主 たる原 因
と考
え た 座 圧 を減
圧 した ため,
こ れ らにつ い ては経
過観 察
と し た。
以 上の
理 学療 法 評 価
と推 論
に より
,
治癒
遷 延の閤
題点
を褥 瘡 部 位
の座圧 が高
い こと とし.
介
入方 法
とし てロ ホ ク ア ド トロ を使
川 する こと と し た。
経 過介
入後
,
クッ シ ョ ンの使
用 感に関 して 自 覚 的 な 印象
を毎 囗問 診
し た。 ま た週
2
回
の頻 度
で褥 瘡
の局 所
視 診 を行
い,
経
過観 察
を行
っ た。
介 人 か ら
2
日 後,
介 入 前に感 じていた 長11
寺間 連 続 座 位保 持 時
の疼 痛
が 牛 じ なく
なっ た。
9
目後
に は 褥 瘡 が 縮 小し
,
DESIGN
で はdlels
]ilglnO
と 計5
点 と なっ た(
図2
一
)
、
創 治 癒に向 かっ てい るこ とが 確 認 で き たこ と か ら,
ロホ クァ ド トロの使
用 を継 続
し た。
その結 果,介
入後
15
日 目に は褥 瘡
は ほ ぼ 治 癒 し,
DESIGN
は0
点 と
なっ た (図2
一
)
。
ア ルブ ミン値 はこ の 間 変 化 が 無 か っk ,
、
退職
か ら褥 瘡 治
癒 ま での 経 過 を 図3
に 示 す。
褥 瘡
治 癒 後 も 減 量 を 目 的 に 運動 療 法
と食 事 制
限を継 続
し た.
その結 果,
体 重 は88
kg
となっ て平 成 17年
1
月26
凵 に 退 院 し た。
生 活 変 化と クッ ショ ンの変 更を期に褥 瘡を発生 し た脊 髄 損 傷の
一
症 例 /o7
入
院
3
日後
介入9日後 時 期不明 介 入15日後 平成16
年3
月 末6
月頃7
月 頃9
月D
↑
國
薗
退 職 褥 瘡 発 症 DESIGN5 点 小さなクッション 〔ラテックス7セ ンチ )使用開 始 元 の クッション (ラテ ックス10 セ ンチ)に戻 すPT
開 始 DESIGN9 点 図3 退 職か ら褥 瘡 治 癒 まで の時問経過考
察
今
回の介
入で 重要 だっ たこと を ま とめ ると,
評 価
で は 「問 診 」 「座 圧 計 測 」「
視診 」
で あっ た。
ま た介
入は評 価
に 基づ い て クッ ショ ンを変 頁
し たこ と が効 果 的
だっ た。 これ らにつ いて以 卜.
に考 察す
る。ま ず 褥
瘡
発 生 要因
を推 察
し ていく
にあたっ て, 問診
の 重要
さ と難
しさ を実 感 し
た。今
回,
退 職 と
いう生 活 変 化
と,
ク ッ シ ョ ン の変 更
という
情報
を 得 る ま で に3
回の 問 診 が 必要
だっ た、
こ れ は理学 療 法
[rが 症 例の生 活 全 体 に つ い て把 握 し
,
必 要 な情 報 を得
る た め に は 数 回 に わ た る詳 細
かつ適 切
な 問診
が 必 要であっ たこ と を 表 してい る。
褥 瘡
の原因
と なっ た姿 勢
, 場 面 を 想 定 して問 診す
るこ と が重 要
8)と考 え
る。座
圧計
測は,
治 癒 遷 延 要 因 を推 察 す る 際 に 有 用で あっ た。
座 圧 は低 値
であ
る ほど褥 瘡
予防
に は有 効
で あ る が,
症例
によっ て状 態 が 異 な
るために,
ど
の程 度
の値
が適
切 かの判
[析
は難
しい。
Fergus
〔}n−
Pell
は対 象 者の 有 して い る リスク別に座位
で の解 剖 学 的部 位
ご との推
奨 最 大受
容接 触
圧力
を示
している9:1。 これ によると
尾骨 部
は高
リス ク群で は20mrnHg
以 ドとしてい る。
その後 にヨー
ロ ッ パ 褥瘡
諮問 委 員 会
が作 成
し た接 触
圧力
測定
に 関 す るガ イ ドラインで は 座 圧計 測
の利 用方 法
と して,
相 対 値
の使
用 を 雑 奨 して い る 10本
症例
に お い て は絶 対値
をFerguson−
PelL
の推 奨値
より
も 座圧 を低 くす
る こと がで き な かっ た。
しか し2
つ の シー
ト
ク ッ シ ョ ン の圧力分 散
性 能
を 比 較 する上で,
圧力 値
を用いて相
対的
に比 較 する こと は 有 効であっ た。
本
症 例の経 験
か ら,
クッ シ ョ ン の 圧 力 分散 性 能
を 座 圧計測
の絶 対 値
で判 断 す
るだ
け で は な く,
複 数クッ ショ ンの 圧力 分 散 性 能
比較
の た め に,
座 圧 計 測 値 を相 対 値 と して利 川 する こと も有 効
であると考
え る。
圧
力 計
測 器 は 大 き く分 けて2
種 類 あ
る、
、
・
つ は座
画全
体
の圧力
を 計 測 す るシス テムであり
,
も う
一
つ は携 帯 型
で局所
の圧力
を直i
測 す る もの であ
る。近 年
で は座 面 全 体
の圧力
を計 測 す
る シ ス テ ムを用
いて,
症例 報 告
か ら調 査
報 告 ま
で多 様 な 利 用
が行
わ れ てい る11L’
1)。
こ の タ イプ の計
測 器は,
目に見 える形で座 圧 分布
を 示 すこ とがで き,
セ ラピス トと車
いす
利 用者
で座
圧 分布
の状 況 を 共 有で き る という利 点 を持
つが,
その反面
,
機
器の金
額 が高価
な こと,
計 測 準 備 が 必 要であ ること,
計 測 す る た め に は 何 度 も 移 乗 動 作 を 行 う 必要
が あ り,
対 象 者
へ の負 担
が大
き く な る場
合 が あ る こ と な どの臨床
で手 軽
に使 用 す
る に は 困 難 な 場 合 が あ る という
欠 点 も ある。
方
,
携 帯
型 圧力
計
測器
は小
型・
軽
量で どこに でも持
ち運
ぶ こ と ができ
,
使 用方 法
を習 熟
す る とユー
一
一
2
分
で座 圧 を計 測
でき
る とい う 利 点 を 持つ が,
こ の タイ プの計
測器
は,
基本 的
に局所
の圧力
を測 定 す
る た めのも
ので,
奈体
の座 圧 分布
を観 察
す
るこ と がで き ない ⊥5〕 こ と,
セ ンサー
部 分
が確 実
に最
高 値
を示 す 部 分
に当
たるとは限
ら ない ことか ら,
計 測値
に誤
差 を 生 じ る 叮能 性 も
あ る,
とい っ た而
では不 利
であ
る、
、
今
回 は筆 者
が 携帯
型計
測器
で の計
測 に習 熟
してい た こと と 計 測の 簡 便 性 か ら 後 者の携 帯 型 圧 力計
測器
を使
川 し,
一
.
・
定
の成果
を得
た。
しか し使 用 機 器
の選 択
につ い て は ヒ述 し た よう
な機 器 特 性
を 理学 療 法
士 が 理解
し,
状 況
に応 じて使い 分 ける必 要 が ある と考
える。
初 回
評 価
か ら介
入後
に かけ
て継 続 的
に行
っ てい た局 所
視 診 に よ る 創 部 観察
は,
介 入の正否
を判 断 す
る た めに有
効 だっ た。
局 所 視 診 は 理 学 療 法 上 が 自 分のfr
/感 を 用い て 褥瘡
の重 症 度 や周 囲
の 状 態 を実 感 す
ること ができ
る、局
所
視 診 か ら得
られ る 情 報 と し て は,
褥 瘡
の場 所
,
深
さ,
色,
周 囲の発 赤,
臭 気の有 無,
湿潤
や衛
生 状 態 な ど が挙
げ ら れ る。
これ ら に より私
た ち は褥 瘡
の 重 症度
,
感 染
の 叮 能 性,
褥瘡
周 囲の状 態 を把
握す
ること がで き る,本
症 例の 褥 瘡 は,
評 価の時 点では真
皮 まで の浅い傷
であっ た こ と,
湿 潤 や 衛 生 状 態 は良好
で あっ たこ と が確 認
でき
た。 局所
視診
の際 に は 同 時 に 臭 気 を と ら え る事
に よっ て,
創
部の 状 態 を よ り総 含 的 に 判 断で き る。
本 症 例の場 合
,
臭
気
の所
見 か ら表
面の感 染
が疑
わ れ た が,
局所 視 診
を続 け
た ところ褥 瘡
周 囲 に 発 赤 や 熱 感 が 生 じてい な かっ たこ と108 理 学 療 法 学 第
35
巻 第3
号 が わ か り,
感 染
は 深 部 や 周 囲には 及 んでいない こと
が推
測で き た。
さ ら に 場 所 を確 認 す ることで,
車い す 座 位 時 にIE
迫 が加
わっ ている場 所
と褥 瘡
の位 置 関係
を確 認
す る こと がで き た。
以 上の よう
に創 部
を多
角
的に把
握 し たこ と が,
介
入後
に創 部
の変 化
を と ら え ることにつ な がっ た。
褥 瘡
へ の介
入におい て,
局 所 視 診
に よ る創 部
の観 察
は不
可
欠であ
る こと を実 感
し た。
殿 部
に発 生す
る褥 瘡
の局 所
視 診
は難
しい が,
褥 瘡 評 価
の際
には 必 須の実
施項
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Tomoyuki
MORITA,
RPT,
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Department
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Kdn(rgawa
Rehabilitation
Hbspttal
Junichi
MAEDA.
RPT
Department
ofPh),sicalTherop,y,
International
Hlealth
andWZilflrre
Universdy
Atami
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