• 検索結果がありません。

第19回日本助産学会学術集会集録 一般演題 (ポスター)(その12)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "第19回日本助産学会学術集会集録 一般演題 (ポスター)(その12)"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

一 般 演 題 〈研 究 〉 ポ ス タ ー12ハ イ リス ク周 産 期 ケ ア3 123

リス ク を 持 ち な が ら通 院 して い る妊 婦 の 出 産 に 向 け て の 思 い

金沢大学医学部保健学科

○亀田 幸枝

島田 啓子

田淵

紀子

関塚

真美

坂井

明美

I緒 言 近 年 、医学 の発 達 による不 妊 治 療 後 の妊 娠 や 多胎 妊 娠 、晩 婚 化 に 伴 う妊 娠 年 齢 の 高 齢 化 や 子 宮 筋 腫 等 の 産科 的 合 併症 の リスクを持 ちなが ら妊 娠 ・出 産 す る女性 が 増 加 して い る。こうした リスク を持 つ 女 性 は 必 ず しも入 院 管理 が必 要 で は なく、外 来 通 院 をしなが ら妊 娠 生 活 をす ごす ことも多 い。 先 行 研 究 で は 、入 院 中の ハ イリスク妊 婦 の思 いや ケアに 関 す る調 査 は み られ るが 、リスクを持 ちな が ら通 院 して い る妊 婦 の 思 いは 明 らか に され て いるとは 言 い 難 い。そ こで今 回 、リスクを持 っ 妊 婦 の 出 産 まで の思 い を探 ることを 目的 とした。 II方 法 対 象 は、A総 合 病 院 に リス クを持 ちな が ら通 院 して い る妊 娠37週 か ら40週 の妊 婦7名(初 産6名 、経 産1名 、子 宮 筋 腫 、双胎 、高 齢 初 産 、 不妊 治療 後 の妊 娠)で あ る。 デ ー タ収 集 は 2003年6∼12月 の 期 間 に 、研 究 の主 旨を説 明 し同意 が 得 られ た 方 に 半 構 成 的 面接 調 査 を行 っ た。面接 内容 は 、対 象 者 の許 可 を得 て録 音 し逐語 録 に した。得 られ た デ ー タ を 内容 分析 し、 リスクを持 つ 妊 婦 の 出 産 まで の思 い を抽 出 した。 倫 理 的 配 慮 と して 、 デ ー タ は研 究 目的 以 外 に は使 用 しな い こ と、 プ ライバ シー の守 秘 、 中 断 に よ る看 護 へ の 影 響 は ない こ とを保 証 した。 III結 果 図1に 示 す ように,リスクを持 ちなが ら通 院 して いる妊 婦 は、〈壁 をこえる〉 とい う作 業 をして いた。 そ の〈 壁 をこえる 〉とい うことは、胎 児 が健 全 にうまれ てくるとい う見 込 み をもつ ことで ある。壁 になる もの に は 、生 まれ ても安 全 と思 える〈在 胎 週 数 〉 、〈胎 児 の 体 重 〉があ った 。〈壁 をこえる 〉まで の 思 い は〈 胎 児 が生 きて いることの確 認 と安 心 感 〉で あり、逆 に く壁 をこえ た 〉後 で は 、〈健 在 で あり続 けることの安 定 した保 証 〉を基 盤 にして、出 産 様 式 へ の 思 いや 医療 者 に託 す とい う気 持 ちを 抱 い て いた。さらに 、〈壁 をこえる、こえない 〉に 関 わ らず 、リスクを持 つ ことにつ い てまわる思 い が 明 らか になった。 1)〈 壁 をこえる〉まで の思 い 児 の 生 存 と成 長 につ い ての 思 い を寄せ ることが 中 心 で 、「胎 動 がある」、「超 音 波 で み える」、「児 が標 準 の 大 きさであった 」と、胎 児 が生 きて いることの サ インを確 認 して安 心 感 を得 て いた。同様 に 母 親 は 、「どこまで動 いて い いか わ か らな い 」、「そ っとす ごす 」な ど、流 早 産 しない で 育 つ の か どう 日本 助 産 学 会 誌 第18巻 第3号(2005.3) 324

(2)

母 親 が 目指 して いた児 の 成 長 、つ まり胎 外 生 活 可 能 な時 期 に至 った ことが 壁 をこえた と思 えるこ とで あった。〈壁 をこえた 〉後 の 思 い につ いて は 、児 が 元 気 にうまれて くる見 込 み を感 じて くるよう にな った母 親 は 、「積 極 的 に動 く」、「これ か ら少 し歩 か ない と」と、そ れ まで の 加 減 した 生 活 か ら一 歩 でるような思 いで 出産 にむ けて行 動 してい た。また 、それ までの 生 活 や 年 齢 か ら出 産 時 の 体 力 へ の 自信 の なさを感 じて お り、出 産 に向 けては 「自分 にで きることはや った 、後は医療者の言うとお り」と、最 後 は 医療 者 に託 す という思 いを抱 い てい た。児 が元 気 に生 まれ て くることが 最 重 要 で ある ため 、健 診 をうけることで児 の健 在 性 を確 認 し、近 づ く出産 に対 しては 、「自然 分 娩 で きれ ば い いが だ めな ら帝 王切 開 」、「経 過 は どうで あれ 最 後 は 産 まれ る」と、出 産 様 式 には 必 ず しもこだ わっ てい なかった。そういった帝 王切 開 になる可能 性 を頭 の片 隅 にお き、「大 きな病 院 な ら大 丈 夫jと緊 急 時 の体 制 が 整 った施 設 で 出 産 す るという思 い が 、元 気 な 児を得 るた めの保 証 にな って いた 。そ して 、 外 来 健診 や 妊 婦教 室な どを通 して、元気 な児 の 出 産 を託 す といった 医療 者 に信 頼 感 を持 ちっ つ 、 出産 に 向 けて 「消 えな い不 安 と大丈 夫 」とい う気 持 ちの ゆれ が あった。 3)〈 壁 をこえ る、こえない 〉に 関係 なく継続 す る妊 婦 の 思 い 出 産 に向 け て順 調 に経 過 して い ても、「予 想 外 の トラブ ル が お こらな いように 」、「(今は順 調 だ けど)最後 まで安 心 で きな い 」と児 の誕 生 まで 気 を抜 けな い思 い が続 い ていた。 IV 考察 入 院 してい る妊 婦 の 思 い につ い て名 取(2002)は 、胎 児 の 健 全 性 と自分 の 日常 性 へ の 回 復 を願 い、入 院 生 活 の効 果 をは か りなが らゴール の修 正 を行 っていると報 告 してい る。これ は 、今 回 の〈 壁 を こえ る 〉作 業 と類 似 して い る と考 え られ 、外 来 で リス ク管 理 を行 い な が ら妊 娠 生 活 を送 って い る妊 婦 に 対 して も、1つ の 目標 である〈く壁 をこえる 〉ことに意識 して関 わ って いくことの 重 要 性 が示 唆 され た。しか しなが ら、壁 の設 定 は、主 に医療 者 や ピアグル ー プ の情 報か らと推 察 され 、 壁 のあ りようによって は 、希 望 をもてたり落 ち込ん だ りという妊 婦 の 思 い があると考 え られる。妊 婦の 壁 のあ りようを察 知 し、妊 婦 の 思 いを理解 して 関わ ることの 重 要性 が 示唆 される。 V結 論 リスクを持 ちなが ら通 院 をしてい る妊 婦 の 思 い は 、胎 児 が 健 全 であるとい う見 込 み をもて るとい う 〈 壁 をこえ る〉作 業 で あった。そ の壁 になるもの には 、生 まれ ても安 全 と思 える〈在 胎 週 数 〉 、〈 胎児 の体 重 〉があった。 文献:名取初美 、マタニティサイクルにおける長期入院の意味-妊 婦の体験世界と意味付け-、金沢大学大学院 医学系研 究科保 健学専攻修士論文、2002. 図1リ スクを持ちな がら通 院している妊 婦の 出産 に向 けての思 い

(3)

一 般 演 題 〈研 究 〉 ポ ス タ ー12ハ イ リ ス ク周 産 期 ケ ア3 124

母 体搬送 とな った女 性が周 囲 の人 に よ りお よぼ され た心理 的影 響

新潟県立看護大学 ○ 西 方 真 弓 I.緒 言 近 年 の周 産 期 医 療 は,早 産 児 の初 期 治 療 を充 実 させ るた め,新 生児 搬 送 よ り母 体 搬 送 が重 視 され て い る.し か し,母 体搬 送 され た 女 性 は,突 然 の 出来 事 の た め に家 庭 や 自 らが 選 択 し た 出産 場 所 か ら切 り離 され,救 命 の た め搬 送 先 の病 院 に入 院 し出産 を迎 え る.切 迫 早 産 妊婦 の入 院初 期 の不 安 は,児 の 予 後や 分 娩 へ の 意識 な どが報 告 され て い る.母 体 搬 送 とな っ た女 性 は,切 迫 早 産 妊 婦 の 不 安 に加 え,新 しい 医療 環 境 に適 応 して い く上 で の 不安 や 緊 張感,児 を 思 い な が らも制 約 の あ る入 院生 活 か ら解 放 され た い と望 む 葛 藤 な ど,よ り複 雑 な 心理 状 態 で あ り,女 性 を と りま く環境 か ら影 響 を受 けや す い状 態 と言 え る.そ こ で本 研 究 で は,母 体 搬 送 とな った 女 性 が 周 囲 の 人 に よ りお よぼ され た 心理 的影 響 につ いて 明 らか に し,対 象 の理 解 へ の示 唆 を得 た の で 報 告す る. II.方 法 1.対 象:新 潟 県 内のN病 院産 婦 人 科 病棟 に母体 搬 送 とな った 妊 婦 で,搬 送 後 か ら分 娩 ま で 入 院 し,研 究 の 同 意 が得 られ た 妊 産 褥 婦6名. 2.方 法:半 構 成 的面 接 法 に よ る聞 き取 り調 査.面 接 内容 は,対 象 者 の許 可 を得 て,ICレ コ ー ダー で録 音 を行 っ た .面 接 は,対 象者 の状況 に合 わせ 回数 を設定 した. 4.分 析:逐 語 録 を読 み,母 体搬 送 とな った 女性 が周 囲 の 人 に よ りお よ ぼ され た 心理 的影 響 につ いて 抽 出 し,内 容 分 析 を行 った. 5.倫 理 的 配 慮 は,研 究 の趣 旨を説 明 した 上 で,デ ー タ は 目的 以 外 に は使 用 しな い こ と,プ ライ バ シー の 厳 守,面 接 の 中断 ・中止 の 自 由の保 障,面 接 を 断 る こ とに よっ て 不 利 益 が 生 じな い こ とに つ い て 同 意書 を取 り交 わ した 後,面 接 を 実施 した. III.結果 お よび考 察 1.対 象 者 の 属性:表1. 2.周 囲 の人 に よ りお よぼ され た心 理 的 影 響 (1)家 族 が 与 え た影 響 に は,〈 夫(家 族)が いる ことで得 られ る心 強 さ〉 が あ り,児 の 予 後 に対 す る不 安 や 新 しい 医療 環 境 に対 す る緊 張 感 の 中で,一 緒 に過 ご して き た 家 族 の存 在 は , “一 緒 にい る とホ ッ とす る” や “毎 日面 会 に来 て くれ た の で心 強 か った” とい う言 葉 で 日本 助 産 学 会 誌 第18巻 第3号(2005.3) 326

(4)

入 院生 活 を送 るだ け しか で き な い状 態 に 苛 立 ち を感 じ,そ の こ とが か え っ て“ プ レッシ ャー だ っ た ” と語 っ て い た.夫 や 家 族 の支 えは,妊 娠 中の 女性 の 心 の安 定 を は か っ て い く上 で基 本 に な る と言 え る.夫 や 家族 の存 在 は,母 体搬 送 とな っ た 女性 の情 緒 面 で の サ ポー ター と して 重 要 な役 割 を担 っ て い る.し か しケー ス に よって は,1日 で も長 い妊 娠 継 続 を切 望 す る家 族 の 思 い が重 荷 とな り,不 安 で 余 裕 が 無 い状 況 に 更 な る負 担 を掛 け る こ と もあ り,個 々 の状 況 に合 わ せ た援 助 が 重 要 と言 える. (2)同 室者 が 与 え た影 響 に は,〈 自分 だ けで はな いと思 える安 心 感 〉が あ っ た.そ れ には,母 体搬 送 とな り入 院 とな った こ とが,自 分 だ け に起 きた 思 い も拠 らな い 出 来事 だ と思 っ て い た が,“ 同 じ境 遇 の人 が い て,(妊 娠 中 に入 院 す る妊 婦 が)自分 だ け じゃな い ” と知 り, 入 院 生 活 を “互 い に励 ま しあ い” “楽 し く過 ごす こ とがで きた ” と語 っ て い た.同 じ状 況 の 同室者 の 存 在 が,母 体搬 送 後 の 不安 な気 持 ち を共 有 し,現 在 の状 態 を受 容 す る助 け に な った と考 え られ る. (3)医 療者 が 与 えた影 響 に は,〈 情 況 に合 わ せ た医 療 者 の 対 応 で得 られ る安心 感 〉 が あ っ た. 医療 者 の 関 わ りが,緊 張や 不 安 を抱 えて い る対 象 者 に とっ て“ ず っ と側 に い て,わ か り や す い言 葉 で 話 しか けて くれ た ” “何 気 な い” 関 わ りや “親 切 な ” “優 しい” 対 応 が安 心 感 を与 え,入 院 生活 へ の励 み とな っ た.ま た,〈 適 切な情 報 提 供 に よる安 心 感 〉 に は,母 体 搬 送 直 後 か ら医師 や 看 護 ス タ ッ フの状 況 説 明や 今 後 の 予 測(NICUの 説 明)が,子 ど もの予 後 や 自分 の状 態 の把 握 に な っ た と語 っ て いた.医 療者 の 適切 で わ か りや す い 情 報 提 供 や,相 手 の 状 況 に合 わ せ た エ モ ー シ ョナ ル サ ポー トは,母 体搬 送 とな っ た女 性 の 現在 の状 況 把握 や 新 しい 医療 環 境 に適応 して い く上 で 重 要 な援 助 で あ る と考 え る. IV.結 論 母 体搬 送 とな った 女 性 が周 囲 の人 に よ りお よぼ され た 心 理 的影 響 は,新 しい 医 療 環境 に適 応 して い く上 で必 要 なサ ポ ー ター 的存 在 と,共 感 しあ え る 同士 の存 在 で あ り,そ の 存在 が 自 分 と子 ど もの現 在 の 状 況 を受 容 して い く上 で 重 要 で あ る こ とが 明 らか にな った 。 今 回 は,対 象者 が6名 で あ り,得 られ た 結果 を 一般 化 す るに は 限界 が あ る.今 後 は,さ らに対 象 者 を増 や し,母 体搬 送 とな った 女性 の理 解 とそ の 援 助 に つ な げて い きた い と考 え る. 表1:対象の属性

(5)

一 般 演 題 〈研 究 〉 ポ ス タ ー12ハ イ リス ク周 産 期 ケ ア3 125

双 子 の 一 児 を 亡 く した 母 親 の 経 験

―流 産 後 約2年

経 過 した1事

例 か ら―

宮城大学

○塩野 悦子

I緒 言 周 産期 にお いて子 どもを亡 くす経 験 は 、 とて つ もな く悲 しくつ らい ことで あ るが 、流 産 ・ 死産 ・新生 児死 亡 と、そ の時期 に よって も悲 しみ の質 は微 妙 に異な るもの と思 われ る。ま た、 そ の 中で も単胎 と多 胎児 の一 児 の死 もそれ ぞれ に特有 な もの と して認 識 して い く必要 が ある と考 え る。 双子 を妊 娠 した時 点です で に二人 の胎児へ の思 い はス ター トしてい るた め、看護 者 として 、生 と死 とい う全 く異な った現象 を同時 に経験 して い る双 子 の母 親 の思 いに十分 に 耳 を傾 け、 一人一 人の心 の奥 に潜 み が ちな周 産期 の悲 しみ に少 しで も寄 り添 って い きたい と 考 える。 そ こで本研究 で は、双子 の一児 を流 産 した1事 例 の母 親 の経 験 を記 述的 に 明 らか に し、今 後 の看護 ケア のあ り方 を検討 した。 II方 法 研 究方 法 は事例 研究 であ る。 事 例は妊娠20週 で双 子 の一児 が流 産 とな ったCさ ん。研 究 者 との接点 は、 流産 ・死産等 を経験 した母親 の 自主 グルー プ の会 で の出会 い であ る。Cさ ん とグルー プ 責任 者 に 口頭 お よび書面 で研究 主 旨等 の説 明 を行 い承諾 を得 た。 家 庭訪 問 にて約 1時 間 の半構 成的 面接 を2回 実施 してデ ー タを収集 し、面接 は許 可 を得 て録 音し逐 語録 を作 成 した。 これ ま での双子 の一児 を亡 くされ た思 い を中心 に語 って もらい、 その特 徴 を分 類 し 見 出 しをつ けそ の語 りを記述 した。 記述 した結 果 は事例本 人 に確 認 し、了承 を得 た。 なお 倫理 的配 慮 と して、研 究 の同意 は 自由意 思 に基 づ き、 匿名性 の遵 守 、 中途撤 回お よび 質問へ の拒 否の 自由につい て保 証 し、記 載 内容 を公 表す る こ とに関 して承諾 を得 た。 III結 果 1)事 例:Cさ ん は夫 とB児(2歳)の3人 暮 ら し。 結婚2年 目に不妊 治療(排 卵 誘発 剤) で双子 を妊 娠。妊 娠20週 にA児 を流 産。31週 に妊 娠 中毒症 と心 音低 下 のた め緊急 帝 王切 開 とな り、B児 を出産 し、保 育器収容 で約2ヶ 月 入院 。退 院後 は順 調 に成 長 し、現在 に至 る。 2)双 子 の一児 が流産 とな ったCさ んの経験(2年 の経 過 の 中で) “状 況がの み こめ ない” :茶色いお りものが出たので病院 に行 った ら、片方が心臓 動 いてないっ て。 自分では何 が起 こったのか状況 がのみ こめず 、何 が起 こったのか理解す るまで1日 ぐらいか かった。頭 の中が混乱 して いて 、あ一そ うです か って。それか ら夫 に迎 えにきて も らった。 その 日本助 産学 会誌 第18巻 第3号(2005.3) 328

(6)

人死んだ らど うしよ う、 ちゃん と生 きてるかな と、寝 ている以外は四六時中不安だった。 動かな いとも しか してって。エ コーで元気で も、明 日に心臓 が止 まっちゃ うのでは とす ごく不安だった。 “も う1人 い るか らいい じゃな い” :病院 の健診で一人いな くなって悲 しい ことや不安 な ことを 言って も忙 しくて誰 も感 じて くれず、 も う1人 は元気ですよ とい うことばか り言 う。職場では、 「一人い るか らいい じゃない」 と言われ た。 “触 れち ゃい けな いこ と”:夫の前では言 っちゃいけない、泣 いちゃいけない と思い、悲 しいこ とは話 さなか った。A児 のこ とを考 えす ぎる とB児 に悪 いので、暗い ことは考えちゃだめだ と思 った。義 父は、双子 の一 人は必ず障害児 とい う昔の考 え方なので、双子の話 を言 っちゃいけない のかなって。A児 の母子手帳 はたんす の奥に しまい こみ、ず っ と考 えない振 りを していた。 “A児の証 しが な い” :帝王切開の とき、あ―これ ‘残 りのやつ’(A児)ね って言 われ たけど、 挿管 していて何 も言 えなかった。お墓 もない し、何 かちが う形はないかな と思 っていた ら、去年 やっ と母子手帳 を開 くことができて、やっぱ りA児 のために残 してお こ うと思 った。 “私 の気持 ちがわ か らな い くせ に ” :1歳 になる頃、主人 と喧嘩 した拍子 にそ うぶつ けた ら、 「い や俺だって思ってた よ」つて。 「二人だった ら騒が しかっただろ うなあ」つて。少 し主人 と話 せて 楽 にな りま した。 最初に双子 だってわかった ときは ツインズか あって ウキ ウキだ ったんです。 “A児とB児 の つな が り”:B児はも しか した ら 、覚えていないけ ど、A児が溶 けてい く姿 をみ て いたのかな あとか考 えた りす る。B児は1歳 くらいにな ってか ら、とて もは しゃいでい ることがあ って、Aちゃん きて るの?と 聞 くと、ニコ ツと笑 うんです。いたず らした りす る とAち ゃんが見て るよって。 “流 産死産 仲間 との 出会 い”:この会には去年か ら行 ってるんです けど、す ごく元気が もらえる んです。用事でい けない とす ごく疲れ がた まって しま う。変 な話 、行か ない と生理が止まっちゃ うんですよ。亡 くな った子 どもの ことをこん なふ うに思っていいんだ って。母子手帳 を残 してい いんだって。A児 も一緒 に天国で遊 んでい るのかなあって。 IV考 察お よび今後 の課 題 Cさ ん の体 験 か ら、 双子の 一児 を亡 く した母 親 には 、片方 の死 の悲嘆 と片方 の生へ の不安 が 同時に存在 して いた と思 われ る。 亡 くな った子 どものこ とば か り考 え る と生 き残 った子 ど もに悪 い とい う双子 故の悩 みや 、双子 とい う楽 しい未 来 への期待 を失 う喪失 で もあ った。 ま た周 囲は 、生存 した子 どもの存 在 を強 調 し、母親 の心 の中の子 どもを亡 くした悲 しみ に 目を 向 ける もの はお らず 、周 囲の無理解 や 喪失 の悲 嘆 を閉 じ込 めた まま持 ちっづ け る。 子 どもを 亡 くした仲 間 との交 流 に よって、子 どもの死を悲 しむ 自分 の居 場所 を得 る こ とが 大 きな支 え とな ってい る。 看護 ケア と しては、死別 の喪 失 と生存 へ の不安 を 同時に持 ち合 わせ て い るこ とを理 解 し関わ る こ とが重 要 であ る。 今回 は一例 の語 りか らの分析 で あ り、一般 化 はで きな い。 さ らに他 の事例 か らも分析 を深 め、看 護 の方 策を構築す る こ とが課 題 で ある。

(7)

一 般 演 題 〈研 究 〉 ポ ス タ ー12ハ イ リ ス ク 周 産 期 ケ ア3 126

18ト リソ ミー児 の母親 の分 娩時 のケ ア

ー子 宮 内また は出生直後 死 亡 となった母親 の分析 か ら一

神戸市看護大学 ○谷 川 裕 子 I提 言 18ト リソ ミー は約6000人 に1人 出生 す る染 色 体 異 常 症 で あ る が 、 自然 歴 や こ こ ろ の ケ ア の 報 告 は 十 分 とは い え な い た め 、 全 国 規 模 で 実 態 調 査 を行 っ た 。 本 疾 患 は 子 宮 内胎 児 発 育 遅 延 や 心 奇 形 な ど の 合 併 症 を 有 し、 子 宮 内胎 児 死 亡 に な る場 合 も あ る。 胎 児 が 本 疾 患 の 可 能 性 を告 げ られ た 場 合 、 母 親 は 不 安 な 状 況 で 出 産 と な る た め 、 十 分 な精 神 的 ケ ア が 必 要 で あ る。 本 発 表 で は 、 子 ど もが 子 宮 内 ま た は 出 生 直 後 に 死 亡 とな っ た 母 親 が 、 分 娩 時 に受 け た こ こ ろ の ケ ア の 現 状 を 明 らか に し、 分 娩 時 の 看 護 の 示 唆 を得 る事 を 目的 と した 。 II方 法 「18ト リソ ミー の 会 」 の 会 員 に ア ン ケ ー トを郵 送 し、125通 の うち88通 の 回 答 が 得 られ た(回 収 率70%)。 本 発 表 で は 、 子 宮 内 ま た は 出 生 当 日に 亡 くな っ た 子 ど も の 母 親 11名 を 対 象 と し た。 調 査 内 容 は 、 確 定 診 断 の 時 期 と説 明 内 容 、分 娩 時 に受 けた ケア を “とて も支 え に な っ た ” か ら “か え っ て つ らか っ た ” の5段 階 で評 価 し た。 さ らに 、 こ こ ろ の ケ ア 内 容 とつ ら か っ た 体 験 に つ い て の 記 述 を 、類 似 した 内 容 ご と に 質 的 に 分 析 し た 。 倫 理 的 配 慮 と して 、 ア ン ケ ー トは 無 記 名 で 返 送 は 自 由 で あ る こ と、結 果 の公 表 時 に は プ ライ バ シ ー に 配 慮 す る こ とを 文 書 に記 しア ン ケ ー ト用 紙 に 同 封 した 。 III結果 対象 者 の 分 娩 時 の 年 齢23か ら38歳(平 均31歳)、 分 娩 週 数 は30週 か ら42週(平 均 37週)、 分 娩 様 式 は 経 膣 分 娩9名 、 緊 急 帝 王 切 開1名 、 記 載 な し1名 で あ っ た 。確 定診 断 の 時 期 は、8名 が 出生 前 で妊 娠29週 か ら39週(平 均31週) 、1名 は 出 生 当 日、2名 は 出 生 後 の 診 断 で あ っ た 。 子 ど もの 転 帰 は子 宮 内 胎 児 死 亡4名 、 分 娩 中死 亡2名 、 出生 後 死 亡4名、 記 載 な し1名 で あ った 。 異 常 の 指 摘 また は 診 断 時 の 説 明 内容 で は 、長 く生 き られ な い こ とや 妊 娠 中 に 死 亡 す る 可 能 性 を6名 が 告 げ られ て お り、母 体優 先で 分娩様 式 を選 択 す る と説 明 を受 け た母 親 もい た 。 分 娩 中 に 受 け た こ こ ろ の ケ ア の 内 容 は 次 の5 日 本 助 産 学 会 誌 第18巻 第3号(2005 .3) 330

(8)

許 可 され る こ と、 上 の 子 や 実 母 と過 ごせ る 部 屋 を整 え る な どの〈 環 境 の 調 整 〉 、 か わ い い 、綺 麗 な赤 ち ゃ ん と子 ど もを 誉 め られ る〈 子 ど も に 関 心 を 示 す 〉、親 の 会 の 紹 介 や18 トリ ソ ミー の 他 の 子 ど も の 状 況 を聞 くな どの〈 仲 間 の 存 在 を伝 え る 〉 とい う内 容 で あ っ た。 不 快 に感 じた こ と は 、 生 き られ な い 子 ど もで あ る と い う医療 者 側 の あ き らめ の 態 度 を感 じ る こ とや 、 他 の 子 ど も の 泣 き 声 が 聞 こ え る な ど環 境 へ の 配 慮 不 足 で あ っ た 。 ケ ア の評 価 で とて も 支 え に な っ た 、 ま た は 支 え に な っ た の は 、子 ど もに 丁 寧 に接 して も ら う 9名 、子 ど も との 面 会8名 、 写 真 を とる8名 な ど、子 ど も を大 切 に され た 対応 や 子 ど も が存 在 した証 を残 す こ とで あ っ た 。 IV考 察 18ト リソ ミー 児 の 母 親 が 分 娩 時 に こ こ ろ の ケ ア と感 じた こ と は 、 子 ど も を 大 切 に 扱 われ 、1人 の 人 格 あ る個 人 と して 子 ど も に関 心 を示 され る こ とで あ っ た。母 親 の 半 数 は 、 子 ど も が長 く生 き られ な い こ とや 子 宮 内 胎 児 死 亡 の 可 能 性 を告 げ られ て お り、 母 体 優 先 な ど子 ど もの命 が 軽 視 され て い る と感 じる 母 親 もい た。 亡 くな る 可 能 性 の 高 い 子 ど も で も、 亡 くな りゆ く子 ど も で も 、 人 と して 大 切 に され る こ と は 当 然 で あ る が 、 子 ど もの 人 権 が そ こな わ れ て い る現 状 が あ る と推 察 され る。 した が っ て 、 子 ど も の存 在 を 大 切 に し て い く こ とが 、母 親 へ の重 要 な ケ ア で あ る と考 え る。 さ ら に 、 頑 張 っ て 生 き て い る他 の 子 ど も の情 報 は 、 わ が 子 の 生 存 へ の 望 み と して 分 娩 の 活 力 に な っ た と推 察 され 、 分 娩 時 に必 要 な ケ ア で あ る と考 え る。 子 ど も が 死 亡 した 母 親 は 、 北 村1)ら が 述 べ て い る の と 同 様 に 気 持 を理 解 した 関 わ りや 、 子 ど もが 存 在 した 証 を 残 す 体 験 が こ こ ろ を支 え て い た こ とが 明 らか に な っ た。 V結 論 18ト リ ソ ミー 児 を 出 産 す る母 親 へ の ケ ア は 、 気 持 に 理 解 を示 し、 子 ど もの 存 在 を 尊 重 した 関 わ り、 同 じ仲 間 の 存 在 を伝 え る こ とが 重 要 で あ る。 子 ど も を 亡 く した 母 親 は 、 子 ど もが存 在 した 証 を残 す 体 験 が こ こ ろ を支 え る こ とで あ った 。 文 献 1) 北 村 俊 則 他: 児 を 亡 く し た 家 族 は ど の よ う な ケ ア を 望 ん で い る か, 助 産 婦 雑 誌, 56(9), 709-713, 2002. [18ト リ ソ ミー 実 態 調 査 係 メ ン バ ー:橋 本 洋 子 (山 王 教 育 研 究 所)、 国 場 英 雄 (聖 バ ル ナ バ 病 院 小 児 科)、 古 庄 知 己 (信 州 大 学 医 学 部 附 属 病 院 遺 伝 子 診 療 部)、 櫻 井 浩 子 ・大 谷 か お り ・ 星 山 園子 (18ト リ ソ ミー の 会)]

参照

関連したドキュメント

The Development and the Using of Web Site for Supporting the Students to Assist in the Classes 加藤 隆弘 松能 誠仁 松原 道男.. Takahiro KATO Nobuhito MATSUNO

現在、当院では妊娠 38 週 0 日以降に COVID-19 に感染した妊婦は、計画的に帝王切開術を 行っている。 2021 年 8 月から 2022 年 8 月までに当院での

えて リア 会を設 したのです そして、 リア で 会を開 して、そこに 者を 込 ような仕 けをしました そして 会を必 開 して、オブザーバーにも必 の けをし ます

子どもたちは、全5回のプログラムで学習したこと を思い出しながら、 「昔の人は霧ヶ峰に何をしにきてい

『いくさと愛と』(監修,東京新聞出版局, 1997 年),『木更津の女たち』(共

を育成することを使命としており、その実現に向けて、すべての学生が卒業時に学部の区別なく共通に

を育成することを使命としており、その実現に向けて、すべての学生が卒業時に学部の区別なく共通に

 活動回数は毎年増加傾向にあるが,今年度も同じ大学 の他の学科からの依頼が増え,同じ大学に 2 回, 3 回と 通うことが多くなっている (表 1 ・図 1