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胚(受精卵)移植をお受けの方へ

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Academic year: 2021

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胚(受精卵)・卵子の凍結保存及び融解胚移植に関する説明書

乾マタニティクリニック TEL:024-925-0705 説明者( )

はじめに

生殖補助医療技術の進歩により、体外受精(顕微授精)‐胚移植時に得られた胚(受精卵)の凍結保存をおこなうことがで きます。『胚の凍結保存の原理は、細胞の生存性を保持し、凍害を生じないようにするため、細胞内氷晶形成を起こさず、か つ溶液効果を起こさない範囲で、細胞を十分に脱水しながら冷却し、最終的には超低温(-196℃)の液体窒素中に凍結保 存することである。』と記されています。(新しい生殖医療技術のガイドラインより)手技的には、緩慢凍結法や超急速ガラス化 法が広く臨床応用されています。当院では、卵子(未受精卵)、前核期、分割期、胚盤胞期の全てのステージで凍結保存が 可能で、日本国内の多くの施設においても良好な臨床成績が報告されている超急速ガラス化法を採用しています。

適応

 体外受精(顕微授精)‐胚移植周期において、排卵誘発剤の使用により卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発症をきたす恐 れがある場合。  採卵周期において子宮内膜の厚さが不足して着床に適さないと判断された場合  採卵日に血中プロゲステロン値が高く早期黄体化であると判断された場合  胚移植時に余剰胚(受精卵)が得られた場合 生殖補助医療における多胎妊娠防止に関する見解 日本産科婦人科学会会告(2008年4月)では、 『生殖補助医療の胚移植において、移植する胚は原則として単一とする。ただし、35 歳以上の女性、または 2 回以上続け て妊娠不成立であった女性などについては、2 胚移植を許容する。治療を受ける夫婦に対しては、移植しない胚を後の治 療周期で利用するために凍結保存する技術のあることを、必ず提示しなければならない。』と定められています。 ※1個の胚(受精卵)から双子になることもあります。(一卵性双胎)  反復した体外受精(顕微授精)‐胚移植周期において妊娠が成立せず、自然周期またはホルモン補充による人工周期での 胚移植が適していると判断された場合  卵子(未受精卵)の凍結は体外受精の採卵後、やむを得ない事情により媒精することが出来ない場合行います。 (採卵日、 御主人様が採精することが出来ないとき/採卵日提出された精子が不良な状態でありかつ凍結精子がないとき/御主人様 がアクシデントにより来院出来ないとき などです。) 凍結卵子(未受精卵)の融解後の治療方法は顕微授精となります。 以上のいずれかにあてはまる場合、インフォームド・コンセントの得られたご夫婦に対して胚(受精卵)・卵子の凍結保存をおこ なっています。

胚(受精卵)・卵子の凍結保存ができない状況

 胚(受精卵)・卵子の状態(不均等な割球、フラグメントが多い)が思わしくないとき  B型肝炎、C型肝炎、梅毒、HIVなどの慢性疾患や感染症を疑うとき

胚(受精卵)を凍結保存するメリット

 胚移植した胚のほかに余剰胚を凍結保存することにより、再び採卵せずに凍結胚を用いて胚移植することができます。こ れにより採卵操作における身体の負担(排卵誘発剤の使用、麻酔、採卵針の穿刺)、その費用を軽減することができます。  胚移植の数を制限することにより、多胎妊娠の危険性を下げることができます。  採卵周期での胚移植をキャンセルすることで、卵巣過剰刺激症候群の症状を軽減、または回避することができます。  採卵時に排卵誘発剤を使用することにより、自然周期とは異なるホルモン環境、子宮環境になる場合があります。胚(受精 卵)を凍結保存することにより、着床環境の整った別の周期に移植することができます。

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胚(受精卵)・卵子凍結保存における問題点および注意事項

 胚を凍結保存後に融解したときの生存率は約95%以上です。 ※凍害によるダメージを受けた胚は着床環境に影響を与える可能性があり移植できません。  融解後の前核期または分割期胚を 1 日以上培養したにも関わらず分割が進まないときは、その胚を移植できないときがあり ます。  凍結保存技術料金、保存料金が発生し経済的負担が増加します。  卵子(未受精卵)においては、細胞体積が大きく、球形であるため浸透圧変化による物理的影響を受けやすいなどの特徴 があり胚(受精卵)より生存率が低く、受精率も低いのが現状です。(当院では臨床数が少ないためデータがありません)

方法

 卵子(未受精卵)、前核期胚、分割胚、胚盤胞が凍結保存可能です。  ガラス化液とは凍結保護物質を含む培養液のことです。  原則として卵子(未受精卵)、前核期胚、分割胚、胚盤胞の凍結の際には、1個に1本の胚(受精卵)・卵子収納コンテナを使 用します。ただし、前核期胚、分割胚の場合は融解胚移植時の予定を確認し、最高 2 個まで1本の収納コンテナに保存し ます。  胚(受精卵)の個数が非常に多い場合、全部を保存するか個数を制限して保存するのか確認させていただくことがあります。  融解した胚(受精卵)・卵子が凍結融解操作後にダメージを受けていた場合、他の凍結胚(受精卵)・卵を使用します。 胚の凍結保存法(超急速ガラス化保存法) 卵子の凍結保存法(超急速ガラス化保存法) ガラス化(凍結) 融解 ガラス化(凍結) 融解

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成績と予後

※日本における2014年度の凍結胚を用いた治療成績(2016年日本産科婦人科学会報告)  移植総回数 153,868回  移植あたりの妊娠率 33.4%  妊娠あたりの流産率 26.8%  胎嚢数多胎率 3.2%  先天異常率(先天異常/生産+死産+人工流産) 全年齢平均では2.2% ※日本における2014年度の凍結融解未受精卵(卵子)を用いた治療成績(2016年日本産科婦人科学会報告)  移植総回数 109回  移植あたりの妊娠率 19.3%  妊娠あたりの流産率 23.8%  胎嚢数多胎率 14.3%  日本産科婦人科学会の2014年度の統計結果では、新鮮胚移植の先天異常率(先天異常/生産+死産+人工流産)は全 体で2.4%です。凍結胚と新鮮胚を用いた胚移植周期に明確な差を認めませんでした。  小森らは、『生殖補助医療自体により染色体異常が増加したといった明確な報告はない。また、流産児における染色体異 常をみた場合でも,早期の自然流産では、一般に50%で染色体異常があるといわれていたが、IVF後の自然流産におい ても、特に染色体異常の発生率が有意に増加したとはいわれていない。さらに、出生児における染色体異常に関しては、 IVF後と自然妊娠後での染色体異常の発生率に有意な差は報告されていない。』と日産婦誌54巻9号において報告して います。  今後も凍結融解(解凍)胚移植の治療で出生した児の長期フォローアップが必要と思われます。

凍結胚(受精卵)を用いた胚移植を希望する周期が決定したら

 採卵後 1~2 ヶ月は、排卵誘発剤や麻酔などの使用による副作用から身体を休めていただきます。  胚移植を希望される前の周期に1度来院していただき、医師と治療方法についてご相談していただきます。  卵巣刺激をおこなった採卵後の周期から生理不順になられた場合は来院していただくことをお勧め致します。

融解胚(受精卵)移植時の治療方法

①貼り薬を用いて子宮内膜を整えるホルモン補充周期法→ 移植日を計画的に設定することができます。 ②自然排卵または排卵誘発剤を用いて周期を整える方法→ 卵胞発育を確認しながら移植日を決定致します。  自然排卵の有無、体質、ホルモン状態、子宮内膜環境などにより、治療方法を選択します。来院予定日のご都合が合わな い場合などもスタッフまでご相談ください。  いずれかの方法も何度か診察のため来院していただく必要があります。  血中ホルモン値、子宮内膜の厚さによっては、胚移植を延期または中止することがあります。  使用している薬、注射が体に合わないもしくは苦痛であると感じたら医師へご相談ください。  融解胚移植当日までに、「凍結胚(受精卵)・卵子融解及び融解胚移植に関する同意書」に必要事項を記入し提出してくだ さい。 ※胚移植については別紙の『胚(受精卵)移植をお受けの方へ』 をご参照ください。

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凍結・融解料金

 胚(受精卵)・卵子凍結基本料金 30,000円(税込32,400円)2個までの料金です。  3個目以降は、追加凍結料金として1個に付き 3,000円(税込3,240円)ずつ加算されます。  保存料金は、1年間 24,000円(税込25,920円)(保存料金は前納でお願いします)です。  凍結保存期間は日本産科婦人科学会・当院規定範囲内において延長することができます。  融解胚(受精卵)移植料金は 80,000円(税込86,400円)です。  追加融解(3 個目から)料金は 2,500円(税込2,700円)加算されます。  アシステッドハッチング(孵化促進法)料金は 15,000円(税込16,200円)です。 受精卵の殻(透明帯)を薄くする、または穴を開ける技術です。 当院ではレーザーまたはPZD法を用いた手法を採用しています。 操作前 操作後 約3時間後

胚(受精卵)移植後の注意点は

 胚移植当日の入浴はシャワーを浴びる程度にしていただきます。  激しい全身運動(エアロビクス、水泳等)は、しばらく避けてください。  夫婦生活も子宮に刺激を与えるので、しばらく避けていただきます。

妊娠反応検査と経過報告

 胚移植後14日目に尿による妊娠反応検査をおこないます。陽性の時は血液中のホルモン値も測定しています。  妊娠反応が陽性になった場合は、ひき続き黄体補充をおこなうことがあります。  当院は日本産科婦人科学会による生殖補助医療実施医療機関の登録施設です。登録施設は、体外受精‐胚移植の治療 結果を日本産科婦人科学会へ報告する義務があります。また学会などで当院の治療成績を発表することがあります。 成績の発表や学会への報告の際、御夫婦および出生児の個人情報は保護されます。  他施設または市販薬等で妊娠判定をされた場合、必ずその結果をご報告ください。他施設で分娩される場合は、後日当院 まで、分娩時の週数、男女、体重、分娩様式、その後の経過について必ずご報告ください。

助成金事業

 最近では体外受精関連の治療費用を助成する制度があります。お住まいの地域、ご夫婦の収入、治療内容などにより申 請できないことがあります。手続きの仕方などご不明な点がありましたらスタッフにご相談ください。

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胚(受精卵)・卵子凍結保存に関しての付帯説明

①凍結保存期間・保存期間更新について

□日本産科婦人科学会の倫理に関する見解にて、胚(受精卵)の凍結保存期間は夫婦として継続している期間であり、 かつ卵子を採取した女性の生殖年齢を超えないこととなっています。 □凍結保存期間内にご夫婦が胚(受精卵)・卵子の所有権・使用権を放棄する場合、「凍結胚(受精卵)・卵子の廃棄同 意書」の書類をもって廃棄処分手続きをとるものといたします。 *凍結保存期間満了日までに、「凍結胚(受精卵)・卵子の廃棄同意書」に必要事項を記入し当院まで持参または郵 送ください。郵送の際は、事前に電話にて当院へ「凍結胚(受精卵)・卵子の廃棄同意書」を郵送したことをお伝 えください。 *保存期間の途中において廃棄しても、残余期間分の費用は返還しません。 □凍結胚(受精卵)・卵子保存期間内にご夫婦のどちらか一方が死亡あるいは行方不明になった場合、夫婦のどちらか 一方が意思表示のできない心身の状況になった場合、夫婦両方ともに死亡した場合は保存中の胚(受精卵)・卵子を 使用することはできません。凍結胚(受精卵)・卵子は廃棄処分されます。 □凍結胚(受精卵)・卵子保存期間内にご夫婦が離婚した場合、どちらか一方が保存中の胚(受精卵)・卵子を使用する ことはできません。胚(受精卵)・卵子の所有権・使用権に関して問題が生じた場合は法的機関(裁判所など)の判 断に委ねこれに従うことといたします。 □凍結胚(受精卵)・卵子の保存期間は凍結開始日より 1 年間とし、保存期間満了日までに「保存継続」または「廃棄」 の手続きをお願いいたします。 *当院から患者様に連絡し、保存継続をするか否かの確認をする義務はありません。 *「保存継続」または「廃棄」の手続きは保存期間満了日の3 ヶ月前から凍結保存満了日当日までの間、患者様 自身から行って頂いております。忘れずに手続きを行ってください。 *「保存継続」または「廃棄」の手続きが行われないままに、保存期間満了日より1年を経過した場合、凍結胚(受 精卵)・卵子の利用意思がなく所有権を放棄したものとみなし凍結胚(受精卵)・卵子は当院の責任において廃棄 致します。 □保存更新期間 更新期間は1 年間です。(原則 1 か月単位、半年単位での更新はいたしません。) □保存更新費用と継続同意書を別々にお受けすることはできません。 保存更新費用、継続同意書の両方を当院にて確認後手続き完了となります。 □保存更新の際、継続同意書提出後でも、凍結胚(受精卵)・卵子の保存期間満了日前であれば同意を取消すことがで きます。 □当院で定める保存費用や保存期間に改定があった場合は、保存期間の継続手続き時から改定された最新の保存費 用と保存期間が適用されます。

②保存期間中のトラブルについて

□凍結保存タンクは厳重に管理されています。※東日本大震災(2011.3.11)の時も凍結保存中の胚(受精 卵)・卵子・精子に問題はありませんでした。しかし、今後凍結胚(受精卵)・卵子保存期間内に不慮の事故(天災、 火事、事故など)で保存胚(受精卵)・卵子を損壊もしくは損失した場合の補償はいたしかねます。 □当院が診療を続けられない状況(医師の死亡、閉院)になった場合、当院に登録されている住所へ個別に状況報 告の手紙を郵送いたします。凍結胚(受精卵)・卵子の他施設への移動を希望される時は、搬送方法をご指導いたし ます。

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③患者様が連絡先を変更される場合

□凍結保存期間中に転居、避難などでご連絡先(住所、電話番号)に変更があれば、必ず 1 ヶ月以内にお知らせ下さい。

④当院の「ヒト生殖補助医療のための研究」について

当院では研究所をもうけ、少子化と高齢化の問題解決のため、不妊治療の成功率向上のための研究に日夜取り組 んでおります。そこで、今後の不妊治療の発展のため、貴殿の廃棄処分となる凍結胚(受精卵)・卵子、融解後に受 精しなかった卵子、異常受精卵、胚移植に適さない不良胚を研究に使用させていただきたく、お願い申し上げます。 なお、個人情報については固く守らせていただきますのでご心配いりません。 つきましては、「胚(受精卵)・卵子の凍結保存及び凍結保存継続に関する同意書」、「融解胚(受精卵)・卵子の融解及 び融胚移植に関する同意書」、「凍結胚(受精卵)・卵子の廃棄同意書」の≪研究使用の選択事項≫にあります □研究 使用に同意します または □研究使用に同意しません の欄のどちらかに☑を必ず入れてください。 研究使用に同意しなくても、何ら不利益を受けることはございません。 *研究使用に同意した後でも、自由に取りやめることが可能です。 *プライバシ-の保護、秘密保持 ・研究に使用した凍結胚(受精卵)・卵子の母親・父親を特定できるような情報は、院長乾裕昭と当該研究に関わ る研究者のみが知りえるものとし、それ以外の外部には公表致しません。 ・研究成果の公表時(学会や論文)にも、母親・父親を特定できる情報は公表致しません。 *研究使用に同意いただきました「凍結胚(受精卵)・卵子、融解後に受精しなかった卵子、異常受精卵、胚移植に 適さない不良胚」に対し、遺伝子操作等の人為的操作は加えません。 *研究使用後はただちに責任をもって廃棄処分し、他者への胚移植などには使用致しません。

カウンセリングと説明会

 生殖補助医療に関する疑問、ご要望等がありましたら医師へご相談ください。  毎月第 2 土曜日•第 4 土曜日午後2時から当院4階多目的室にて一般不妊治療~体外受精の説明会を開催しております。 参加される際は事前にご予約ください。 今後、規定・料金が変更されることがあります。2017.01.01

参照

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