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動物臨床医学 Jou r na l of A n i ma l Cl i n ica l Med ici ne 動物臨床医学 Jou r na l of A n i ma l Cl i n ica l Med ici ne 119

動物看護観察の視点としての歩行荷重測定の有用性の検討

~ 膝蓋骨内方脱臼術後と退院前の荷重の変化 ~

銀 梓₁)☆,松本 みのり₁),原田 恭治₂),左向 敏紀₁),松原 孝子₁) ₁) 日本獣医生命科学大学 獣医学部 獣医保健看護学科(〒 ₁₈₀-₈₆₀₂ 東京都武蔵野市境南町 ₁-₇-₁) ₂) 日本獣医生命科学大学 獣医学部 獣医学科(〒 ₁₈₀-₈₆₀₂ 東京都武蔵野市境南町 ₁-₇-₁) ☆連絡担当者:銀 梓(日本獣医生命科学大学 獣医学部 獣医保健看護学科 獣医保健看護学臨床部門) 〒 ₁₈₀-₈₆₀₂ 東京都武蔵野市境南町 ₁-₇-₁ TEL:₀₄₂₂-₃₁-₄₁₅₁ ㈹

Usefulness of Walking Load Measurement in Veterinary Nursing :

~ Changes in the Load Before Hospital Discharge and Medial Patellar Luxation After Surgery ~

Azusa GIN₁) ☆, Minori MATSUMOTO ₁), Yasuji HARADA₂), Toshinori SAKO₁), Takako MATSUBARA₁)

1) School of Veterinary Nursing and Technology, Faculty of Veterinary Science, Nippon Veterinary and Life Science University, 1-7-1 Kyonan-cho, Musashino-shi, Tokyo 180-8602, Japan

2) School of Veterinary Medicine, Faculty of Veterinary Science, Nippon Veterinary and Life Science University, 1-7-1 Kyonan-cho, Musashino-shi, Tokyo 180-8602, Japan

( Received 3 January 2015 / Accepted 30 April 2015)

SUMMARY : The purpose of this study was to examine the usefulness of walking pressure measurements in veterinary nursing to evaluate postoperative functional recovery after surgery for medial patellar luxation. We measured the load applied to the limb during walking in 3 postoperative dogs and 3 healthy dogs. In addition, we investigated the rate of change of the load during the post-operative recovery period until the time of discharge. We monitored the individual features of the recovery and found differences related to the surgical site (either both sides or one side) and age at the time of the surgery. Measurement of the load during walking can be performed relatively easily to objectively monitor the recovery process and to evaluate the outcome of surgery.

KEY WORDS : Individuality, load measurement, medial patellar luxation, postoperative nursing, veterinary nursing

(J Anim Clin Med. 24(3)119-123, 2015)

要約:本研究の目的は,歩行時の荷重測定を用いて術後機能回復の経過を把握することの有用性を動物看護の視点か ら検討することである。研究方法は,健常犬 ₃ 事例と膝蓋骨内方脱臼の手術を行った犬 ₃ 事例の術後歩行における肢 にかかる荷重の測定結果を比較した。さらに,術後と退院前の荷重の変化を比較した。その結果,個別性のある機能 回復の経過を把握することができた。手術部位が両側か片側か,手術時の年齢などの違いによって回復の経過が異な ること,さらに,視診と異なり客観的に評価出来た。よって,比較的簡易に測定できる荷重の測定は,術後の経過や リハビリの成果など個別の回復を把握するために,動物看護師の観察の客観的なツールの ₁ つとして有用である。 キーワード:個別性,荷重測定,膝蓋骨内方脱臼,術後看護,動物看護師 (動物臨床医学 ₂₄(₃)₁₁₉-₁₂₃, ₂₀₁₅) は じ め に 犬の膝蓋骨内方脱臼は,小動物臨床の場において頻 繁に認められる整形外科疾患の ₁ つである。本疾患は 特にトイ犬種およびミニチュア犬種に頻発するため, 小型犬が人気犬種である現代では,動物看護師が多く

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遭遇する疾患である[₁]。 犬の膝蓋骨内方脱臼の臨床症状は,膝蓋骨の脱臼の 程度により著しく異なる。そのため,ほとんどの場合 において,膝蓋骨内方脱臼に応用される外科的治療は 複数の手技を組み合わせることによって,解剖学的に 正確に正常に動く関節を形成することとなる[₂]。し かし,膝蓋骨内方脱臼に伴って生じる大腿骨や脛骨の 変形の程度は事例によって異なるため,整復術の術式 は全て同じではない[₃]。そのため,術後機能回復期 にある看護動物には個別性を踏まえた動物看護が重要 となる。人の運動器疾患の看護と同様に,この時期の 動物看護は看護動物が日常生活になるべく早く復帰で きるよう,機能回復から自立の獲得にむけての一端を 担うことである。そのため,個々の看護動物の経過に 応じた退院後の運動療法まで含めた長期的な動物看護 介入が必要となる[₄]。 そこで,我々は ₂₀₁₃ 年より犬の膝蓋骨内方脱臼の術 後の看護について研究を行っている。先行研究におい て,術後の動物看護としては,術後創部回復期と術後 機能回復期では,観察の視点や援助の内容が異なって いた。なかでも,術後機能回復期における運動療法の 開始時期は同じではなかった。 下肢の整形外科疾患の運動療法は大きく分類すると, 関節可動域,筋力強化,体重負荷歩行訓練の ₃ つがあ る。とくに部分体重負荷歩行をはじめると,それと前 後して筋力の増強,関節可動域の改善が急速に見られ る。よって,体重負荷歩行訓練は運動療法を進めてい くなかでもっとも重要な方法である[₅]。 しかしながら,現在,犬の各肢にかかる歩行時の荷 重についての動物看護研究は少ない。さらに,人とは 異なり,疼痛や自覚症状を確認しながら歩行支援を行 うことができない。よって,動物看護において,その 看護動物の術後の回復経過に則した歩行訓練に取り組 むには困難を伴う。したがって術後の歩様の経過を客 観的に把握できる方法がないか,動物看護師の視点と なるべく評価方法を課題とした。 人の歩行分析において,臨床現場で最も活用されて いるものは視診である。視診は簡便で,即時性が高い という利点があるが,異常像や重症度の判断基準が評 価者の主観に依存しているため,信頼性などの問題が あり,正確な状態が把握できない[₆]。それに対して 歩行時の各肢にかかる荷重の測定は,視診に比べると やや煩雑ではあるが,ありのままの正確な荷重が把握 でき,患肢にかかる荷重の変化などを見ることで,誰 でも状態を把握することができる。 そこで,本研究では,犬の膝蓋骨内方脱臼の術後機 能回復の経過を把握するため,健常犬 ₃ 事例と膝蓋骨 内方脱臼の手術を行った看護動物 ₃ 事例の術後歩行に おける肢にかかる荷重の測定結果を比較した。さらに, 荷重の変化の割合を把握し,現状を知るとともに,こ の方法が術後の動物看護師の客観的評価の視点として 用いることが可能かどうかを検討した。 対象動物および方法 1)対象動物 健常犬 ₃ 事例および本大学付属動物医療センターに て膝蓋骨内方脱臼の手術を受けた犬 ₃ 事例である。健 常犬 ₃ 事例の犬種はともにトイ・プードルであり,そ の概要は Table ₁-a に示した。膝蓋骨内方脱臼の手術を 受けた ₃ 事例については,事例 A の犬種はトイ・プー ドル,₁ 歳,両側膝蓋骨内方脱臼の Grade Ⅲ,発症時期 は ₈ カ月齢,両後肢同時に手術を行った。運動療法開 始時期は術後 ₃ 日目,入院期間は ₁₃ 日間。事例 B の犬 種はトイ・プードル,₁₃ 歳左膝蓋骨内方脱臼の Grade Ⅲ,発症時期は ₁₂ 歳 ₁₁ カ月齢,左後肢のみ手術を行っ た。運動療法開始時期は術後 ₇ 日目,入院期間は ₁₄ 日 間。事例 C の犬種はマルチーズ,₂ 歳,左膝蓋骨内方 脱臼 Grade Ⅲ,発症時期は ₁ 歳,左後肢のみ手術を行っ た。運動療法開始時期は術後 ₈ 日目,入院期間は ₁₅ 日 間であった。(Table ₁-a.b) Table 1-a 健常犬のプロフィール 健常犬 1 健常犬 2 健常犬 3 犬種 トイ・プードル トイ・プードル トイ・プードル 年齢 5 歳 7 歳 7 歳 体重 (kg) 2.9 4.58 2.2 性別 雌 避妊雌 去勢雄 Table 1-b 対象事例動物のプロフィール   事例 A 事例 B 事例 C 犬種 トイ・プードル トイ・プードル マルチーズ 年齢 1 歳 13 歳 2 歳 体重 (kg) 3.4 3.3 2.25 性別 避妊雌 去勢雄 避妊雌 疾患 両側膝蓋骨内方脱臼 左膝蓋骨内方脱臼 左膝蓋骨内方脱臼 グレード 両後肢 Grade Ⅲ Grade Ⅲ Grade Ⅲ 症状 左後肢のみ挙上 左後肢挙上 左後肢拳上 発症時期 8 カ月齢 12 歳 11 カ月齢 1 歳 術式 ラテラルスーチャー滑車溝形成術 ラテラルスーチャー滑車溝形成術 ラテラルスーチャー滑車溝形成術 手術部位 両後肢 左後肢のみ 左後肢のみ  入院期間 13 日間 14 日間 15 日間 包帯除去 リハビリ 開始時期 術後 3 日目 術後 7 日目 術後 8 日目 2)研究方法 荷重の測定時期として,膝蓋骨内方脱臼の手術を受 けた ₃ 事例においては,術部包帯が除去され,主治医 の判断のもと,歩行荷重測定を開始した。事例 A では 術後 ₃ 日目,事例 B では術後 ₇ 日目,事例 C では術後

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動物臨床医学 Jou r na l of A n i ma l Cl i n ica l Med ici ne 動物臨床医学 Jou r na l of A n i ma l Cl i n ica l Med ici ne 121 19 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 荷 重 kg 時間(秒) 右前肢 左後肢 右前肢 左後肢 立脚相 遊脚相 1 F i g . 1 - a 2 健 常 犬 1 の 1 回 の 歩 行 に お け る 右 前 肢 と 左 後 肢 の 動 3 き ・ 荷 重 の 変 動 4 5 6 7 8 9 1 0 1 1 1 2 1 3 20 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 荷 重 kg 時間(秒) 右前肢 左後肢 右前肢 左後肢 立脚相 遊脚相 1 F i g . 1 - b 2 健 常 犬 2 の 1 回 の 歩 行 に お け る 右 前 肢 と 左 後 肢 の 動 き ・ 3 荷 重 の 変 動 4 5 6 7 8 9 1 0 1 1 1 2 21 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 荷 重 kg 時間(秒) 右前肢 左後肢 右前肢 左後肢 立脚相 遊脚相 1 F i g . 1 - c 2 健 常 犬 3 の 1 回 の 歩 行 に お け る 右 前 肢 と 左 後 肢 の 動 3 き ・ 荷 重 の 変 動 4 5 6 7 8 9 1 0 1 1 1 2 1 3 ₈ 日目とそれぞれの退院日前に,センサシートを使用 して術後歩行時の各肢にかかる荷重を測定した。₁ 日 に ₃ 回測定し,測定結果の解析を行った。健常犬では, 計 ₃ 回の測定を行い,測定結果の解析を行った。 測定用具は,タクタイルセンサ BIG-MAT₂₀₀₀(ニッ タ株式会社 , 大阪,以下センサシートと記す)を使用 した。センサシート寸法:縦 ₅₈₀ mm ×横 ₅₃₄ mm 本 研究では ₂ 枚並べて測定を行っているため,マット上 の距離は約 ₁₀₀ cm。測定方法は,平らな床にセンサシー トを設置し,その上にペットシーツを重ねた。測定値 は単位 kg に設定し,カメラは ₁ 秒間に ₁₀ フレーム撮 影するよう設定を行い,測定を実施した。測定は,犬 をリードで導き,センサシート上を自ら真っ直ぐ歩行 させ,横からカメラを用いて歩行時の様子を撮影しな がら約 ₀.₁ 秒ごとの荷重を測定し,四肢全てがセンサ シート上に入った時点から測定を開始した。肢が ₁ 本 でもセンサシートより外に出た時点で測定を終了とし た。 分析方法は,真横からカメラで撮影した動画をもと に,荷重のかかっている肢を判断した。フレームごと に表示された荷重値の結果と照らし合わせることで, 各肢にかかる荷重の分析を行った。術後の経過ととも に,各肢にかかる荷重の変化,一回の歩行における各 肢の動きを健常犬と比較した。 リハビリ方法は,処置時に合わせて行い,₁ 日 ₂ ~ ₃ 回。事例 A では,屈伸運動を ₂₀ 回行い,入院犬舎内 散歩を ₅ 分行った。事例 B では,屈伸運動 ₁₀ 回行い, 入院犬舎内散歩 ₅ ~ ₁₀ 分を行った。事例 C では,術 後にリハビリを行わなかった。 結     果 ₁ 回の歩行における各肢の動き・荷重の変動を健常 犬 ₃ 頭と事例犬 ₃ 頭で比較を行った。測定結果は,健 常犬の測定 ₁ 回と事例犬の測定初日と,測定最終日で 比較を行った。カメラにより撮影した実際の歩行時の 様子を波グラフ上に表した。波グラフの下には,肢が 接地している立脚相,地面から離れている遊脚相のそ れぞれの割合を表した。グラフの左側が歩き始め,右 側が歩き終わりとなり,今回は ₃ 事例に共通する患肢 である左後肢と,その対側の右前肢に着目してグラフ 化した。縦軸が各肢にかかる体重 ₁ kg あたりで割った 時の荷重を,横軸は経過時間をそれぞれ示し,各肢に かかる荷重の変動を波形のグラフで表した。 健常犬 ₃ 頭では,右前肢とその対側である左後肢が 同時に接地し,接地回数はそれぞれ健常犬 ₁ では ₂ 回, 健常犬 ₂ と ₃ では ₁ 回という結果となった。接地時の タイミングも前肢と後肢はほぼ同時という結果となっ た(Fig. ₁-a.b.c)。 Fig. 1-a  健常犬 1 の 1 回の歩行における右前肢と左後肢の動き・ 荷重の変動 Fig. 1-b  健常犬 2 の 1 回の歩行における右前肢と左後肢の動き・ 荷重の変動 Fig. 1-c  健常犬 3 の 1 回の歩行における右前肢と左後肢の動き・ 荷重の変動 事例 A の測定初日(術後 ₃ 日目)では,両肢の接地 するタイミングが不均一であり,接地回数は右前肢が ₅ 回,左後肢が ₄ 回であった。歩行時にはうつむき,頭 が下がった状態のまま歩く様子が見られた(Fig. ₂-a)。 測定最終日(術後 ₁₂ 日目)では,初日に比べると両肢 の接地するタイミングのずれが少なくなった。接地回 数はともに ₂ 回で,初日とは異なりまっすぐ前を見て, 頭を上げて歩行する様子がみられた(Fig. ₂-b)。 事例 B の測定初日(術後 ₇ 日目)では,事例 A と同 様に両肢の接地するタイミングが不均一であり,接地 回数はともに ₂ 回,左後肢には荷重がほとんどかかっ ていなかった(Fig. ₃-a)。測定最終日(術後 ₁₃ 日目) では,事例 A と同様に両肢の接地するタイミングのず れが少なくなり,接地回数はともに ₂ 回であった。視

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動物臨床医学 Jou r na l of A n i ma l Cl i n ica l Med ici ne 動物臨床医学 Jou r na l of A n i ma l Cl i n ica l Med ici ne 122 判明した(Fig. ₃-b)。 事例 C の測定初日(術後 ₈ 日目)では,前 ₂ 事例同 様接地のタイミングが不均一であり,前肢と後肢にか かる荷重はほぼ同じであり,なかなか歩かず,尾を丸め, 腰を引いてゆっくり歩く様子が見られた(Fig. ₄-a)。測 定最終日(術後 ₁₂ 日目)では,接地タイミングにまだ 多少のずれは見られるが,前肢と後肢の荷重のかかり 方が正常犬に近づき,初日とは異なりまっすぐ前を見 て,頭を上げ,尾を振りながら進んで歩く様子が見ら れた(Fig. ₄-b)。 22 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0 0.5 1 1.5 2 2.5 荷 重( kg ) 時間(秒) 右前肢 左後肢 右前肢 左後肢 立脚相 遊脚相 1 F i g . 2 - a 2 事 例 A の 1 回 の 歩 行 に お け る 右 前 肢 と 左 後 肢 の 動 き ・ 荷 3 重 の 変 動 術 後 3 日 目 4 5 6 7 8 9 23 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0 0.5 1 1.5 2 2.5 荷 重( kg) 時間(秒) 右前肢 左後肢 右前肢 左後肢 立脚相 遊脚相 1 F i g . 2 - b 2 事 例 A の 1 回 の 歩 行 に お け る 右 前 肢 と 左 後 肢 の 動 き ・ 荷 3 重 の 変 動 術 後 1 2 日 目 4 5 6 7 8 9 0 1 1 1 2 1 3 1 24 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 荷 重( kg ) 時間(秒) 右前肢 左後肢 右前肢 左後肢 立脚相 遊脚相 1 F i g . 3 - a 2 事 例 B の 1 回 の 歩 行 に お け る 右 前 肢 と 左 後 肢 の 動 き ・ 3 荷 重 の 変 動 術 後 7 日 目 4 5 6 7 8 9 1 0 1 1 1 2 1 3 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 荷 重( kg ) 時間(秒) 右前肢 左後肢 右前肢 左後肢 立脚相 遊脚相 1 F i g . 3 - b 2 事 例 B の 1 回 の 歩 行 に お け る 右 前 肢 と 左 後 肢 の 動 き ・ 3 荷 重 の 変 動 術 後 1 3 日 目 4 解 析 の 都 合 上 、 写 真 は 左 右 反 転 と な っ て い る 5 6 7 8 9 1 0 26 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 荷 重 kg 時間(秒) 右前肢 左後肢 右前肢 左後肢 立脚相 遊脚相 1 2 F i g . 4 - a 3 事 例 C の 1 回 の 歩 行 に お け る 右 前 肢 と 左 後 肢 の 動 き ・ 荷 4 重 の 変 動 術 後 8 日 目 5 6 7 8 9 1 0 1 1 1 2 1 3 27 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 荷 重 あ kg 時間(秒) 右前肢 左後肢 右前肢 左後肢 立脚相 遊脚相 1 F i g . 4 - b 2 事 例 C の 1 回 の 歩 行 に お け る 右 前 肢 と 左 後 肢 の 動 き ・ 荷 3 重 の 変 動 術 後 1 2 日 目 4 5 Fig. 2-a  事例 A の 1 回の歩行における右前肢と左後肢の動き・ 荷重の変動 術後 3 日目 Fig. 2-b  事例 A の 1 回の歩行における右前肢と左後肢の動き・ 荷重の変動 術後 12 日目 Fig. 3-a  事例 B の 1 回の歩行における右前肢と左後肢の動き・ 荷重の変動 術後 7 日目 Fig. 3-b  事例 B の 1 回の歩行における右前肢と左後肢の動き・ 荷重の変動 術後 13 日目 解析の都合上,写真は左右反転となっている Fig. 4-a  事例 C の 1 回の歩行における右前肢と左後肢の動き・ 荷重の変動 術後 8 日目 Fig. 4-b  事例 C の 1 回の歩行における右前肢と左後肢の動き・ 荷重の変動 術後 12 日目 考     察 結果より,₃ 事例ともに健常犬より接地回数が多い ことと,測定最終日よりも測定初日の方の接地回数が 多かったことから,術後の違和感・疼痛,関節可動域 が狭い,膝が上がらないなどの理由で術後は歩幅が狭 くなっていたと考えられる。 しかし,₃ 事例とも測定初日に比べて測定最終日で は,不均一であった肢の接地タイミングも均一に近づ き,健常犬のグラフに似た波形となったことから,日 数が経過すると肢の接地タイミングが均一に近づいた と考えられる。 さらに,事例 A の測定初日の結果が事例 B,C と比 べて,接地回数,接地時のタイミングがともに大きく 乱れていた理由として,両側ともに手術を行ったこと 診では,左後肢に荷重がかかり歩様が安定し,正常犬 に近づいたように見えたが,解析の結果では左後肢に かかる荷重はまだ低く,安定した歩様ではないことが

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動物臨床医学 Jou r na l of A n i ma l Cl i n ica l Med ici ne 動物臨床医学 Jou r na l of A n i ma l Cl i n ica l Med ici ne 123 により,術後しばらくは患肢である両後肢をかばおう と前方に重心をかけているため,頭の位置が下がって いたことが考えられる。事例 A が測定初日ではうつむ き,頭を下げたまま腰を曲げて歩行していたのに対し, 事例 B,C は片側の左後肢のみの手術を行ったため, 右後肢が本来左後肢にかかる荷重を担ったのではない かと考えられる。 最後に,事例 A と C では術後の早い段階で荷重があ る程度正常犬に近づいたのに対し,事例 B では回復の 経過がゆるやかであり,退院までに健常犬と同程度の 荷重がかかることはなかった。この理由として,事例 B は左後肢のみの手術をしたため,術後しばらくは患 肢を拳上しあまり使っていなかったこと,手術時の年 齢が ₁₃ 歳と高齢だったことが考えられる。一般的に高 齢になると,身体機能の低下が見られる[₇]。それに 伴い筋力の低下なども見られるため,回復に遅れが生 じ,他の ₂ 事例と比べて術後の機能回復に時間がかかっ ていたと考えられる。身体機能を使わないでいると, いわゆる廃用症候群による身体の機能低下が生じ,筋 肉の委縮による筋力の低下や,関節の拘縮が発生する [₈]。これらのことから,術後日数の経過とともに歩容 は安定してくるが,しかし,手術時の年齢や手術部位 が両側か片側か,などの違いによって回復の経過が異 なると考えられる。また,歩幅や足取りなどの状態が 健常犬に近づき,回復したように見えても,荷重のか け方はまだ不均一であり,安定した歩行と言えるほど 回復はしていない場合もあることが考えられた。 今回健常犬 ₃ 事例と膝蓋骨内方脱臼の手術を受けた ₃ 事例に対し,センサシートを用いて術後歩行時の各 肢にかかる荷重を測定し,歩様の観察に併せて評価す ることによって,機能回復の経過を把握することがで きた。機能回復の指標として視診による患肢の接地の 有無を良く観察するだけでなく,今回のように荷重の 測定や,頭の位置による重心のかけ方,歩幅などの外 観の観察も回復の経過を見る指標となる可能性があり, それらを自宅でのリハビリや回復の指標として用いる ことができるのではないかと考えられた。 今回行った荷重の測定は,比較的簡易に測定できる ため,術後の経過やリハビリの成果など動物看護師の 観察の視点としてのツールの ₁ つとして有用であると 考えた。 引 用 文 献 ₁) Brinker WO(加藤元監訳):完全図解 小動物の整 形外科,₃₂₇-₃₃₁,文永堂出版株式会社,東京 (₁₉₈₈) ₂) Whittick WG(高橋貢監訳):犬と猫の整形外科臨床, 第 ₂ 版,₁₅₇-₁₆₃,医歯薬出版株式会社,東京 (₁₉₈₆) ₃) 村枝一弥:犬の膝蓋骨内方脱臼整復術における周 術期の疼痛管理と理学療法.動物臨床医学,₂₁, ₄₂-₄₆ (₂₀₁₂) ₄) 加藤光宝:系統看護学講座 専門分野Ⅱ 成人看 護学 ₁₀,第 ₁ 版第 ₁ 刷発行,第 ₂ 章 ₄-₁₀,医学書院, 東京 (₁₉₆₈) ₅) 中野裕之,細田多穂:部分体重負荷歩行の一考察, 日本義肢装具研究会会報,東京医科歯科大学附属 病院リハビリテーション部,₁₉₈₀ ₁₇,₂₆-₃₈ (₂₀₁₀) ₆) 谷川広樹,大塚圭:視診による歩行分析における 評価者間信頼性の検討,医学書院,総合リハビリ テーション,₃₈,₁₁₇₅-₁₁₈₁ (₂₀₁₀) ₇) 奥野茂代,大西和子編集:老年看護学 概論と看護 の実践,第 ₄ 版,₃₂-₅₂,ヌーヴェルヒロカワ(₂₀₁₁) ₈) 陰山敏昭:膝蓋骨脱臼とリハビリテーション,獣 医麻酔外科学雑誌,₄₁,₁₆₀-₁₆₂ (₂₀₁₀)

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