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わが国における超音速輸送機実用化検討について

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Academic year: 2021

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(1)

わが国における超音速輸送機実用化検討について

平成21年8月6日

(財)日本航空機開発協会

(2)

1.

財団法人

日本航空機開発協会の概要

昭和48の設立以降現在まで、ボーイング社との国際共同開発の日本側中核として機体メーカーを取りまとめ、767お よび777開発事業を成功させ、平成16年より787開発事業を開始した。

この他に民間輸送機の市場調査を継続して行うとともに、小型民間輸送機(YSX)、超高速輸送機実用化(HSTP) 開 発調査について機体メーカーの行う要素研究を取りまとめ機体統合検討を行っている。

(3)

JADCでの世界の航空旅客輸送量の予測によると、 2009年は経済不況で減少するが、その後回復し、20年 後には現在の2.5倍となる。 航空旅客輸送量の増加に伴い、運航機数も一時的な調 整があるものの、20年後には現在の2.1倍になり、新規 需要は全体で約26,000機と予測される。 北米 欧州 アジア/太平洋 その他 (CIS含む) 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 9000 10000 11000 12000 1988 1993 1998 2003 2008 2013 2018 2023 2028 2885 2911 3477 2158 1441 1292 1130 727 予 測 実 績 4589 11431 2008年(シェア) 2028年(シェア) 1873 世界の航空旅客予測 有償旅客キロ (10億人・キロ) 年平均伸び率(%) 1989-2008 2009-2028 北米 3.3 3.5 欧州 5.5 4.1 アジア/太平洋 7.0 5.8 その他(CIS含む) 3.3 5.6 世界合計 4.6 4.7 世界合計 (31%) (28%) (25%) (15%) (25%) (25%) (30%) (19%) 1988年

2.

航空輸送の市場予測

2.5倍 2643 1805 1770 904 7168 6518 8137 4512 2301 3615 4082 5895 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 2008 2028 2008 2028 2008 2028 2008 2028 既存機 地域別ジェット機運航機数および需要予測 機数 新規需要 9811 北米 欧州 アジア/太平洋 その他の地域 8323 9907 5416 合計運航機数 2008年末: 15,893 機 2028年末:: 33,457 機 2009-2028年需要機数: 26,335 機 2.1倍

(4)

3.

超音速輸送機連絡協議会について

■参加機関等 (財)日本航空機開発協会(JADC)、(財)日本航空機エンジン協会(JAEC)、 (社)日本航空宇宙工業会(SJAC)、超音速輸送機用推進システム技術研究組合(ESPR)、 宇宙航空研究開発機構(JAXA) (オブザーバー) エアライン、大学有識者 (官庁オブザーバー) 経済産業省、文部科学省、国土交通省 超音速輸送機については、国際的にも研究開発が行われているが、我が国でも、実用化に向けて関係機関が様々 な取り組みを進めているところであり、超音速輸送機の分野において我が国の立場を確立するためには、各関係機 関が一丸となって、相乗効果を発揮しつつ各事業を推進する必要がある。 このため、「超音速輸送機実用化連絡協議会」を設け、平成20年1月31日に官民を含め我が国の関係機関が一同 に会し、役割分担、連携方法等について協議した。 ■超音速輸送機研究開発における基本的な役割分担 連絡協議会の参加各機関においては、以下のような役割分担を基本としつつ、有機的に連携しながら、 それ ぞれの事業を進めるものとすることを確認した。 ・我が国として念頭に置く機体の検討 JADC (需要予測、設計要求条件の検討を含む) ・実用化に必要な要素技術、統合化技術の研究開発 JADC、JAEC、ESPR (基礎的研究、基盤的研究開発を含む) ・基礎的研究・基盤的研究開発 JAXA -「静粛超音速研究機」の開発・飛行実験・技術研究 (ソニックブーム低減、空港騒音低減、低抵抗化、軽量化)

(5)

4.1

超音速輸送機研究開発の必要性

これまでジェット旅客機は大型化と長距離化により主として経済性を向上させてきた。 しかし、A380という800人乗りの超大型機が誕生し、大型化はほぼ上限に達している。 航続距離も16,000kmを超える機種も現れ、飛行時間は18時間を超え、乗客の疲労度も大きくなるため、今後 は航空機本来の高速性を飛躍的に向上させることにより、利便性の向上が望まれる。 コンコルドが開発されたものの、経済性と騒音の点で実用化にはほど遠い16機の生産で終わった。 次世代超音速機研究が1990年代に世界各国で行われたが、マッハ2~2.4で経済性と騒音基準をクリアする には更に研究期間が必要とされ中止された。 今後は、現実的で、より実現性の高いマッハ0.9~2の超高速輸送機の研究開発が必要。 1.0 2.0 飛行速度(マッハ数) 600 500 400 300 200 100 0 プロペラ機 機体 規 模(座 席数 ) 高マッハ数大型超音速機 3.0 今後の方向 超高速化

超高速機

大型化・長距離化 亜音速超大型ジェット機 大型化 高速化 ジェット機

(6)

①適合すべき要求 現在の成熟した亜音速ジェット輸送機と共存し得る超音速輸送機を実現するには安全性は勿論のこと、コンコル ドが為し得なかった経済性と環境適合性を満足する必要がある。

4.2

超高速輸送機の要求性能

環境性: SST用の環境基準は2013年を目処に制定しようと しているが、亜音速機と同等レベルと思われる。 ‹エンジンの低騒音化、低エミッション化。 ‹軽量な騒音低減用エジェクター実用化。 ‹機体・エンジンの軽量化。 ‹機体の低抵抗化。 経済性: 運賃は従来機の3割増し以下に抑える。 ‹エンジンの低燃費化 ‹機体・エンジンの低コスト化。 ‹機体・エンジンの軽量化。 ‹機体の低抵抗化。 超音速輸送機の騒音・運航費低減必要量 平均運賃倍率 1.0 2.0 3.0 4.0 Chapter 4 亜音速機並み コンコルド 次世代SST 20dB以上の 騒音低減必要 現状平均運賃の 1.3倍程度を目標 空港騒音基準 ICAO騒音基準

(7)

マッハ1.6でも十分な飛行時間の短縮 マッハ1.6ではマッハ2.2より飛行時間が長くなるが、それでも 亜音速機に比べ最大45%の飛行時間短縮が可能。 ニューヨーク-パリ等の大西洋線では1日2往復が可能であ り、東京-NYでも1日1往復が可能となり、亜音速機より運航 生産性が大きく向上する。

4.2

超高速輸送機の要求性能(つづき)

②巡航速度の選定 P AR 7 8 9 1 0 1 1 1 2 1 3 1 4 1 5 1 6 1 7 1 8 1 9 2 0 2 1 2 2 2 3 2 4 1 2 3 4 5 6 P AR N Y C 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0 1 1 1 2 1 3 1 4 1 5 1 6 1 7 1 8 1 9 2 0 2 1 2 2 2 3 2 4 N Y C P AR 7 8 9 1 0 1 1 1 2 1 3 1 4 1 5 1 6 1 7 1 8 1 9 2 0 2 1 2 2 2 3 2 4 1 2 3 4 5 6 P AR 超高速機(M1.6)=2 往復/日 1機で2機分の運航可能 亜音速機(M0.85)=1 往復/日 ニューヨーク-パリ間の飛行スケジュール 0 50 100 150 200 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2 2.4 アルミ、エポキシ 使用可能 M2.2 M1.6 機体表面 温度 (℃) 巡航速度(マッハ数) 0 50 100 150 200 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2 2.4 アルミ、エポキシ 使用可能 M2.2 M1.6 機体表面 温度 (℃) 巡航速度(マッハ数) マッハ1.6で軽量化、低コスト化 マッハ2.2に比べ空力加熱による機体表面温度低下により 通常の高強度で低コストな複合材料やアルミ合金が使用 可能 軽量化、低コスト化の可能性が高まり、機体の経済性が 向上する 巡航速度にマッハ1.6を選定 0.00 2.00 4.00 6.00 8.00 10.00 12.00 14.00 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 巡航速度 (マッハ数) 飛 行 時 間 マッハ 1.6 - 60% - 45% M0.85 亜音速機 M0.98 超高速機 M1.6 超音速機 M2.2 超音速機 ロス-東京(4,761nm) NY-パリ(3,247nm) 0.00 2.00 4.00 6.00 8.00 10.00 12.00 14.00 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0-60% -45%

(8)

SST全般: 経済性さえ良ければ利便性から将来性がある。 速度: マッハ1.6で良い。1機で亜音速機の2機分の運航ができ効率的。 航続距離: 6,000nm(11,120km)程度を直行便可能な航続距離が必要。 座席数: 100~300席が適当。 運賃: 平均運賃の30%アップ程度以内なら乗客は速度向上を選択するだろう。 環境性: 騒音、排ガス等の規制値を満足すること。 居住性: ビジネスクラスを中心とするべき。 エコノミークラスは不要。プレミアムエコノミーなら有り得る。 5時間程度以上の飛行ではビジネスクラスにフラットシートが必要。

③ エアラインの意見調査結果

4.2

超高速輸送機の要求性能(つづき)

(9)

航続距離も超音速機のメリットを活かすため、出来るだけ長い方が望ましいが、機体サイズ、重量、運航費の 増加を招く。 6,000nmであれば代表86路線中81路線、輸送量(RPK)の93%をカバー可能。東京-ニューヨーク直行を含め、 東京から欧州、北米のほとんどに運航できる。

4.2

超高速輸送機の要求性能(つづき)

④航続性能の選定 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% - 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000 航続距離 (nm) RP K cum u lati ve % Paris -S y d n e y LA -S y d n e y L A H ong Kong Tok y o – H ong Ko ng Paris -K u w a it NY -P ari s Chi c ago-P a ri s Tok y o -N Y Tok y o -P ar is Tok y o -C h ic a go Tok y o -L A Tok y o -S y d ne y London -L A 6,000nm 東京から欧州、北米のほとんどの ルートをカバー可能 Tokyo 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% - 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000 航続距離 (nm) RP K cum u lati ve % 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% - 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000 航続距離 (nm) RP K cum u lati ve % 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% - 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000 航続距離 (nm) RP K cum u lati ve % Paris -S y d n e y LA -S y d n e y L A H ong Kong Paris -S y d n e y LA -S y d n e y L A H ong Kong Tok y o – H ong Ko ng Paris -K u w a it Tok y o – H ong Ko ng Paris -K u w a it NY -P ari s Chi c ago-P a ri s NY -P ari s Chi c ago-P a ri s Tok y o -N Y Tok y o -P ar is Tok y o -C h ic a go Tok y o -N Y Tok y o -P ar is Tok y o -C h ic a go Tok y o -L A Tok y o -S y d ne y London -L A Tok y o -L A Tok y o -S y d ne y London -L A 6,000nm 東京から欧州、北米のほとんどの ルートをカバー可能 Tokyo 6,000nm 東京から欧州、北米のほとんどの ルートをカバー可能 6,000nm 6,000nm 東京から欧州、北米のほとんどの ルートをカバー可能 Tokyo

(10)

エアラインの要求する機体規模は100~300席程度の中、大型機 座席数が多いほど経済性は向上するが、多すぎると重量増、コスト増の問題を生じる 250席程度であれば現状の実勢平均運賃の約1.3倍程度の割り増し運賃で運航可能と推定 現在運航中の長距離機、国際線用旅客機のサイズにも適合

4.2

超高速輸送機の要求性能(つづき)

⑤ 座席数の選定 座席数と運賃上昇倍率 座席数 運賃倍率 SST 航続距離(海里) 座席数 現在の旅客機の座席数と航続距離の分布 その後の機体 10年前までに就航した機体 長距離化の 傾向 国際線用機体 国内線用機体 (SSJ)

(11)

4.3

超高速輸送機の需要機数の推定

613 209 282 268 91 171 0 100 200 300 400 500 600 700 大西 洋線 太平 洋線 欧州 -アジ ア /太 平洋 アジア /太平 洋域内 北米 /中南 米 アフリカ /中近 東 需要 機数 世界の主要航空路線からSST運航に適した545路線を抽出し、需要予測を 行った。 250席、航続距離6,000nmの超高速機の運賃(運航コスト)は現状平均値の 約1.3倍程度となると推定。 将来の需要機数は地域差があるが、合計では1,634 機となる。 亜音速機との運賃比較 地域ごとの需要機数 対象となる545路線の選定 0 0.5 1 1.5 亜音速機 超高速機 運 航 コ ス ト ($/席 ) 1.3倍 0 0.5 1 1.5 亜音速機 超高速機 運 航 コ ス ト ($/席 ) 0 0.5 1 1.5 亜音速機 超高速機 運 航 コ ス ト ($/席 ) 約1.3倍 0 0.5 1 1.5 亜音速機 超高速機 運 航 コ ス ト ($/席 ) 0 0.5 1 1.5 亜音速機 超高速機 運 航 コ ス ト ($/席 ) 0 0.5 1 1.5 亜音速機 超高速機 運 航 コ ス ト ($/席 ) 1.3倍 0 0.5 1 1.5 亜音速機 超高速機 運 航 コ ス ト ($/席 ) 0 0.5 1 1.5 亜音速機 超高速機 運 航 コ ス ト ($/席 ) 0 0.5 1 1.5 亜音速機 超高速機 運 航 コ ス ト ($/席 ) 0 0.5 1 1.5 亜音速機 超高速機 運 航 コ ス ト ($/席 ) 約1.3倍

(12)

4.4

超高速輸送機仕様案

39.4m 78.6m コンコルド コンコルド 超高速機 コンコルド 巡航速度 M 1.60 M 2.05 航続距離 6,000 nm (11,120 km) 3,550 nm (6,600 km) 座席数 226 (3 class) 128 (1 class) 最大離陸重量 278 ton 185 ton 推力 30 ton x 4 17 ton x 4 騒音レベル Stage 4 -全長 78.6 m 62.1 m 全幅 39.4 m 25.5 m 4.2の超高速輸送機の要求性能に基づき機体仕様案を策定

(13)

4.5

客室配置検討

エアラインに標準配置として提示した226席(3クラス)配置では、現在主流の長距離機用配置と比べ座席幅、ピッチとも狭いとの意 見が多く、超音速機といえども、亜音速機と同等の快適性が求められている。 5時間程度以上の長距離路線用にビジネスクラスで60インチピッチ(フルフラットシート) 5時間程度以下の中距離路線用にビジネスクラスで50インチピッチ の座席配置案を検討した。

(14)

低騒音化 低騒音化 低排出ガス 化 低排出ガス 化 低ソニックブーム 化 低ソニックブーム 化 高効率エンジン技術開発 高効率エンジン技術開発 環境影響を最小化 環境影響を最小化 低コスト製造技術開発 低コスト製造技術開発 低抵抗空力技術開発 低抵抗空力技術開発 軽量機体技術開発 軽量機体技術開発 経済的競争力 経済的競争力 低燃費化 低燃費化 低価格化 低価格化 騒音低減技術開発 騒音低減技術開発 低抵抗 化 低抵抗 化 軽量化 軽量化 低コスト 化 低コスト 化

5.

超高速輸送機

実現に必要な技術開発

亜音速機との経済的競争力を持ちつつ、厳しくなりつつある環境影響への要求を満足させるには、軽量化、低抵抗化、 低コスト化、低騒音化等の技術開発が必要である。 低ソニックブーム設計技術 超音速自然層流化設計技術 主翼平面形、翼型の最適化設計技術 超音速エリアルール設計技術 ナセル・インテークの最適化設計技術 空力技術 構造技術 軽量複合材構造設計技術 低コスト複合材構造製造技術 低コストチタン合金構造製造技術 軽量、耐フラッタ構造設計技術 新材料(軽量高強度、低コスト、耐熱性etc)開発 システム技術 小型・軽量・高効率システム設計技術 仮想視界システム設計技術 高速燃料移送システム設計技術 エンジン技術 低騒音化設計技術 低燃費化設計技術 低排出ガス化設計技術 高信頼性・低整備コスト化設計技術 ・各技術課題に対し、JAXAの得意とする革新 的な基礎的研究・基盤的研究の推進 (解析技術、試験技術、新材料等) ・JAXA研究成果の産業界への技術移転(共同 研究など) ・超音速機設計基準となるICAO国際環境基準 等策定への積極的貢献 また、それらは密接に関連しあい、かつ、相反する影響 を及ぼすことが多いので、それぞれの要素技術開発だ けでなく機体とエンジン、空力と構造等の統合的な技術 開発研究が必要。 ・超高速輸送機の実用 化には、更なる技術革 新が必要 ・技術的な実現性にも 配慮した環境基準等 の策定 JAXAへの期待

参照

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