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関口博報告くにたち住基ネット裁判 2 40 万円裁判 ( 切断経費裁判 ) ひとつめの 40 万円裁判 ( 切断経費裁判 ) ですが この 切断したための費用 には データのバックアップ-- 不接続にしていたためにデータをバックアップしていたのですが それに必要な費用 それから高齢者の方たちの年金の

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くにたち住基ネット裁判勉強会・学習会の記録

「元気な自治体」を押さえ込むための仕組み

関口博

まだやっている住基ネット裁判

「え? 住基ネットの裁判がまだあるの?」と思われた方が多くいらっしゃるのではないかと思いま す。ふつうなら「住基ネットは繋いじゃったのだから、何もないんじゃないの?」ということですが、 国立市では、鈴木雄一防衛大学教授ほかの住民が 2 つの裁判を起こしています。 ひとつめは、「不接続にしていたためにかかった費用」というのが問題だろうということで、関口に 40 万円1 払えという切断経費裁判(40 万円裁判)です。もうひとつは、不接続にしていたものを「接続」 したためにかかったお金は不要なものだったのだから、関口、上原に払わせろという再接続経費裁判 (3400 万円裁判)です。 ■共通番号制(総背番号制)のインフラ整備 この裁判のもっとも根本的なところは、住基ネットを切断--不接続にしていたことですね。2013 年 5 月 24 日、「共通番号法」が成立しました。この「共通番号制」--昔は「総背番号制」という言い方を しましたが、これが住基ネットの本来的な目的だったと私は思っています。 住基ネットというのは、個人個人の情報を結ぶコンピュータネットワークのインフラを整備するもの ですが、この住基ネットという費用ばかりかかって何の利便性もない、費用対効果からいえばまったく の赤字のシステムをわざわざ作ったのは、この共通番号制、総背番号制のシステムを作るためのインフ ラ整備だったと、私は思っています 1999 年に私が国立の市議会議員になったときの最初の質問は、この住基ネット切断についてでした。 その当時から、総背番号制、共通番号制を見据えた住基ネットだと思っていましたので、このシステム は非常に危険であると考えて、そのインフラとなる住基ネットについて「切ってほしい」ということを 述べたわけです。 その質問を受けて当時の上原市長が、弁護士さんと相談し、いろいろな人たちと相談し、市民にアン ケートし、総務省に質問をして総合的に判断して切断した。私は市長時代、この上原市長の政策を引き 継いで不接続を継続してきたわけです。 1 当初の住民監査請求では約700 万円(http://blog.goo.ne.jp/voice_of_kunitachi/e/b1b6887fe55bc0b2effa9e275879fdd2)。切断経費裁 判住民訴訟で東京地裁は、この一部について住民の請求を認める判決を出した。その認定額が40 万円。

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■40 万円裁判(切断経費裁判) ひとつめの 40 万円裁判(切断経費裁判)ですが、この「切断したための費用」には、データのバック アップ--不接続にしていたためにデータをバックアップしていたのですが、それに必要な費用、それ から高齢者の方たちの年金の本人確認をするためにハガキが来るのですが、住基ネットを繋いであれば それがいらないだろう。だけど本人確認のハガキを個人負担させてしまうのは忍びないということで、 これは国立市が一括してまとめて関係省庁に送っていたということがあります。そのハガキの郵送代が かかった。それらの合計が 40 万円かかってますということの裁判です。 ■3400 万円裁判(再接続経費裁判) もうひとつの 3400 万円裁判(再接続経費裁判)というのは、不接続にしていなければ、こんな接続す るためのお金はかからなかっただろうという主張だと思うのですが、「国立市はその 3400 万円の請求を、 私と上原さんに対してしろ」という裁判です。 住基ネットを繋いでいれば 1 年間に約 2000 万円くらいかかっていると考えられるので2、9 年間不接続 の状態だったので約 2 億円節約できたといえば節約できたという計算にもなるかとも思うのですが、そ のこととは関係なく、再接続したことによって費用がかかったというのが、この 2 番目の裁判です。 ■2 つの裁判の違い 切断経費裁判と再接続経費裁判は、流れがだいたい同じなんですね。さっきいわれたように、住民監 査が行なわれて、それが不調に終わり、それを不服とした住民が住民訴訟(原告は住民で、被告は市長) という形で行なう。その住民訴訟で私が控訴している間に、私と現在の佐藤市長が交代することになっ て、控訴を取り下げられてしまったので、この切断経費裁判の方の判決(交代した佐藤現市長に対して、 前市長関口個人への請求を命じた東京地裁判決)は確定します。確定してしまったから、私は「やです よ」ということで、今度は市が私を訴える。裁判で確定したのだから払いなさいということです。 再接続経費裁判の方は、現在は鈴木雄一さんたち原告が国立市長(佐藤現市長)を訴えています。そ して私と上原さんが補助参加人という形で裁判に参加しているので、この裁判では、国立市と私たちは 同じ被告側にいるということになります。 ですから切断経費裁判と接続経費裁判では、被告と原告がちょっと違っているという状況にあります。 ■「切断は違法」という判決と地方自治・住民自治 私は市長選挙の公約として「住基ネット不接続をやっていきます」ということで、それを標榜して当 選し、住民の付託を受けたわけです。しかし、「不接続(切断)は違法です」という最高裁の判決が出ま した。杉並区の判決を読むとそういうことになります3 すると、選挙の公約に掲げてた政策をやってきたことが「違法です」とされ、退職後に個人的に賠償 しなさいと請求されたら、地方自治・住民自治というものが否定されていくだろうと思います。 2 別のセッションで報告者は、国立市と類似の自治体ではおおむね年間2000 万円の経費が支出されていると指摘している。 3 東京・杉並区の行った裁判の判決を含む関連文書は、区の Web サイトで公開されている。 http://www2.city.suginami.tokyo.jp/library/library.asp?genre=4701++ そのほかの多くの住基ネット関連訴訟の地裁・高裁・最高裁判決は、以下のURL で参照できる(網羅されているわけではない)。 http://ws4chr-j.org/e-GovSec/SupremeCourt/SupremeCourtDoc.html

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■自治事務を遂行できなければ、自治体の意味がない 私は「不接続」を標榜してやってきたわけですけど、そのことをひるがえして、ひっくり返して、「接 続しますよ」ということにするのであれば、それは上原さんがやったようにアンケート調査あるいは住 民投票などをしてから、市民の意向等を聞きながら、それで「住民が接続を望む」というのであれば私 から皆さんに説明をして、接続します、ということはできるかとも思うのですね。そこでアンケート調 査などの予算を付けてほしいということを市議会に申し上げたのですが、その予算は議会の反対で付け ることができなかった。そういう形で市民の意見を聞くことができなかった。そのような状態の中では、 私は公約として掲げたことをひっくり返して接続することはできません。 これは、住民に一番近い自治体がやる自治事務ですから、市民の住みやすい街を作るために自治体が あるわけですから、その自治事務を遂行できないということになれば、自治体の意味がない。国の下請 けばかりやっているようであれば、自治体の存在意味がないと思います。

「国の暴走」を自治体が止める

■キリストの誕生と「住民登録」 住基ネットをインフラとする「共通番号制」は現在の法律では 93 項目の国の行政事務で利用するとい うことになっています。福祉、年金、資産…そういうもろもろのこと、いわゆる個人データを一気にネ ットワーク化し、そして管理、監視していくというシステムができあがるわけです。 為政者というのは、2000 年の昔から「住民」の個人データを把握したいという思いを持っていいまし た。イエス・キリストが生まれたというころの 2000 年前、キリストは「馬小屋で生まれた」といわれて います。なぜ馬小屋で生まれたのかというと、マリアが「住民登録」をするためにエルサレムにのぼっ て行った。で、宿屋がなくて馬小屋で生まれたという聖書の記述になっています。 ですから、2000 年も昔から、為政者というのは住民の個人データを把握したいという思いを持ってい たわけです。そういうことについてたいへん危惧を持っていましたので、国の政策にあらがってもとい うことで、私は市長時代、住基ネット切断を継続していたわけです。 今回の裁判の経過の中で私は、地方自治とか住民自治というものが破壊されていく、そういう過程を 今見ているのだなと思っています。ではその先に何があるのか? その先には「法とシステム」によって、為政者――国が住民を管理・監視する社会が到来するのでは ないか。そのような危惧を私はずっと持って来たのですね。 ■「切断を継続」した 2 つの理由 ――犯罪を起こさせない・監視社会を作らない 住基ネットを切っていた理由というのは、当然、自治体の長として市民の生命、財産を守るためでし た。 まず、データが漏れれば大きな被害につながるということです。最近アメリカ、イギリスで情報が漏 洩したということで騒いでます。私はシステムエンジニアだったので、データとか情報がどう扱われる

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のかはよく知っています。ハッキングなどが行なわれなくても、簡単に漏れます。犯罪が起こり被害を 受ける人が出て来ます。そのことをまず危惧したわけですね。 もうひとつは、管理社会・監視社会になって行くということです。住基ネットというものはその先に 「総背番号制」のシステムが作られる、そのインフラ整備だということはわかっていたことです。さま ざまな個人情報に共通の番号を付けてそれが整理できるようになれば、監視社会ができあがるわけです。 「総背番号制」によって国民ひとりひとりをコントロールすることができるようになる、監視するこ とができるようになる。いままで自治体が市民と直接接して、いろんな施策を実施してきたわけですね。 これからは自治体がなくても、「国のシステム」によって国民ひとりひとりに国が働きかけることができ る--そういうシステムを作る。 ですから、このふたつ--「犯罪を起こさせない」、そのためのデータをひとつにまとめさせないとい うこと、それから「監視社会を作らない」ということで、住基ネットを危惧して切断を継続していたわ けです。 ■「国の暴走を止める」のが自治体 国はちゃくちゃくと「国民ひとりひとりを直接コントロールする社会」を作ってきている--そうい う段階になっていると思います。 その社会が実現すれば、ほんとに窮屈な社会になって行くと思います。本来地方自治体というのは、 直接市民とやりとりするから、住民の福祉政策などいろんな仕事が「個人」に対してできるわけです。 それは自治体しかできなかった。 そしてもうひとつの自治体の意味というのは、「国の暴走を止める」ということですね。これは、たと えば各自治体に教育委員会があるということに現われていました。つまり、再び戦争を起こさせないた めに、そういう教育をさせないために、各自治体に「教育委員会」を置いたわけです。いっせいに挙国 一致にならないようにするためのシステムとしてあるわけです。 「自治体なし」で住民をコントロールする――それが国のやろうとしていることです。 よく言われるように、地方自治とか住民自治というのは、市民、住民に直接接する公共の機能です。 住民が必要としていること、住民の意思を的確に把握して施策を行なうということが、自治体の仕事と してまずあります。 それから、「国の暴走を止める」という意味合いがふたつめとしてあります。 「住基ネット」を切っているということは、この2 つの意味を持っていると思っています。 ■「元気な自治体」を押さえ込むための仕組み 先ほど申し上げましたように、住基ネットでは住民のデータを 1 か所に集めることの危険性、そして それを使ったシステムが構築される、「総背番号制」によって構築される--その危険性。 この2 つから住民の生命、財産を守るために、国立市は住基ネットを切っていたわけです。 つまり首長というのは選挙で選ばれるわけですね。で、元気な市民が選んだ首長が、「景観権」だとか 「住基ネット不接続」だとか、そういうことを実行するわけですが、国としてはそんな自治体があって は困る。とてもめんどうくさいのです。国はほんとは、全部を自分でコントロールしてやっていきたい。 自治体にそういううことををさせないために、国は元気な自治体を押さえ込む、あるいは元気な市民

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を押さえ込むための仕組みを考えています。「法で縛る」、それから「システムで縛る」ということです。 「システムで縛る」については、いままでお話ししました。 ■「法」で縛る・「憲法」で縛る そして、「法で縛る」ということは自治体の長を縛るということです。国が定めた法律で元気な自治体 の首長を縛る。 それから「憲法で縛る」というやり方も用意しています。憲法は、ほんとうは「為政者を縛る」もの ですね。それを憲法99 条で言っているわけです。だれがいちばん憲法を守らなければいけないのか。天 皇・国務大臣・公務員--この人たちが憲法を守らなければいけないのはなぜか。 それは、再び戦争を起こさせないため、基本的人権を守るため、主権在民を守るために、そういう人 たちは憲法を守りなさいということで、憲法99 条は書かれました。これは絶対守らなければならない「国 是」です。その「国是」をないがしろにして、反対に国民に押しつける憲法を作ろうというのが、今回 の自民党の「憲法改正草案」4 です。 ■自治体の長を「法で縛る」 「法で縛る」ということについてですが、民主党政権の発足当時はまだよかったんです。前の自民党 政権時代、住基ネットを切断している首長の首を切りたくて、国が自治体の首長を訴えることができる ようにする法律の制定(地方自治法の改定)を、東大の先生を中心にした研究会でずっと検討して報告 書を作りました。しかしこの報告書は、民主党政権に替わったとき、当時の原口総務大臣が「これはよ くない、地方自治の破壊につながる」ということで押さえたんです。ところが野田内閣になるとその報 告書が復活して法案になります。そして昨年8 月には国会を通ってしまったんですね5 そういうことを清水勉弁護士に聞いて非常に危惧しています。「国の法律」によって自治体の長を押さ えこむ、そして「憲法」によって国民を押さえ込む--という法体系を作っていく。 ■自治が萎縮するようなことのないように 最後になりますが、いま、憲法改定ということが言われています。自民党憲法改正草案で、「公の秩序 を乱してはならない」、公の秩序を乱したものは罰せられるということになるのかなぁと思います。自治 体の長が国の言うことを聞かなければ公の秩序を乱すということで罰せられるようになるのじゃないか。 そのような窮屈な国にしたくない、社会にしたくないというふうに思いますので、自治体が、自治が 萎縮するようなことのないように、ぜひこの裁判を知っていただいて、応援していただきたいなと思い ます。 「住基ネット」だけではありません。上原さんの「景観裁判」もそうですけど、皆さんに応援してい ただいて、管理・監視の社会にならないように、そういう法体系が、システムが構築できないようにし ていきたいと思います。 4 https://www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/kenpou_qa.pdf に Q&A 付きの全文。 5 「地方自治法の一部を改正する法律」(平成24 年法律第 72 号、平成 24 年 3 月 9 日国会提出、同 8 月 29 日成立、同 9 月 5 日施行)。 この改正法の全文は、http://www.soumu.go.jp/main_content/000174612.pdf を参照(条文:p.9「普通地方公共団体の不作為に関する国 の訴えの提起」以下、p.11「市町村の不作為に関する都道府県の訴えの提起」以下)。現行法条文では 251 条の 7 および 252 条。 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO067.html

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*この報告は、2013.5.30 の国立市民向け学習会および 2013.6.28 の一般向け勉強 会における関口博さんの 2 つの報告の記録を、くにたちキャンペーンが整理し てひとつにまとめ、関口さんの加筆修正を入れていただいたものです。

参照

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