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コナラ二次林の林分構造

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Academic year: 2021

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(1)

厘:蕩き}豆『石肝多e  Nα4 :263∼270(1987) (263) 〈研究資料〉

    コナラニ次林の林分構造

小笠原隆三*・佐々木英義**・古田修一*糺 Stand Strじctじre of the Konara(Quercus serraf∂)Secondary Stand Ryuzo OGAsAwARA串, Hideyoshi SAsAKI**alコd Shuichi HuRuTA***       1 緒       言 林分の構造上の特性を知ることは,生産目標に合った合理的施業法を行っていく場合の基礎資料と して重要なことである。 本報告は,コナラニ次林における直径と樹高の分布および生産構造等にっいて調べたものである。        II 調査地および調査方法  岡山県真庭郡川上村に所在する鳥取大学蒜山演習林に生育するコナラニ次林を調査対象とした。  1983年の7月∼8月に17ヵ所の標準地(20m×20m,一部15m×15m)をもうけ,その中の全立木 について胸高直径,樹高,枝下高等の測定を行った。  生産構造図の作成には,1981∼1982年に行った層別刈取の結果を用いた。  葉層図および樹高一枝下高関係図は,標準地調査の結果をもとにして作成した。

      田 結果および考察

i 直径および樹高の度数分布  17林分における直径および樹高の度数分布を示すと図1∼2のようである。  直径の分布についてみると,立木本数の多い段階では顕著なL型をしているが,相対密度が高まり 立木本数が少なくなっていくにっれL型がくずれ,1800∼2000本/ha以下になると正規型又はJ型へ変 っていく。このことは歪度が1.0であったものが減少していきマイナスの値を示すようになることから もうかがわれることである。 ・鳥取大学農学部森林司画学研究室:L功ωη/oノ}’(ゾ∫初ぴ/〃〃〃1?∼WIW〃的’↓1〆Agノんw〃∼〃セ,7Wωイ   uη↓z戊(∼ノs∼∼v  ・・鳥取県中部森林組合:乃∫力〃凡刀セs/0∼{り∼ω ***ジャスコKK:ノZ∼sんo∫輻ノぐ. ’1況ssθc∼αr∼θr2∼パれ,〃oノゴPハ’舵c1推

(2)

(264) /1、2空原1隆三三・∫左々イく英義・夢ぎ[日形多一一 表1 標準地概況 コ  ナ ラ プロツト 全立木本 本  数 平均直径 平均樹高

舗比

数体/ha> (本/ha) (cm) (m> (%) 1 3880 3820 8.] 8.0 55 2 3570 3100 9.1 8.7 55 3 3250 3050 8.6 8.1 4 3150 2930 9.1 8.7 5 2630 2630 8.7 9.6 6 2870 2490 9.4 7.9 51 7 2760 2170 10.8 10.2 53 8 2160 2160 9.9 8.6 9 1770 1770 9.2 8.9 10 1450 1420 16.3 12.9 58 11 1370 1370 16.7 14.5 57 12 1250 1250 18.9 13.7 13 ]210 1210 19.5 14.0 14 1300 1210 15.1 13.9 64 15 1270 1100 17.9 12.9 55 16 900 900 18.6 15.9 52 17 800 800 16.7 11.9 52

度/

数l

  N:3820

、 、 、 N:3100 Sく’1.0   N:3050  Sk:0.9

  N:2930   Sk:0,7

N:2630 Sk“10 N:2490 S《.1.0 Nl2170 Sk:1.0 ,ノ、.へ、 N:2160 Sk:LO

一_一  巨一一」

N’1770   .0,7 N:1420 Sk:−0.5

N:1370 Sk:0,6

N:1250 Sk:0.5

  5  13 21 29cm    直   径   N:1210   Sk:−0.7

ρ

  N:1210   Sk:−0.8

ノ∩

7 N:1100 Sk:−0.5    N:900    Sk:0,7

5 13 21 29cm 5 ]3 2] 29cm   N:800  Sk:−0.5

一一山__ 一一」__

  5  13 21 29cm     5 13 21 29cm 図1 月旬i誘道〔径の良三数フトZ菖

(3)

コナラニ次林の林分構造 (265)

。1

数l

N:3820 Sk:0.7

N:3100 Sk:0.7

 N:3050  Sk:−0.5

N:2930 Sk:−0.8

/\

3.5?.511.5n1 N:2630 Sk:−0.2

N:2490 Sk:0.9 N:2170 Sk:−0.8 N:2160 Sk:−0.5  3.5 7.511介515.5n1 N:1770 Sk:−0.8

ノ㊦

N:1420 Sk:−LO Nl1370 Sk:−LO

N:1250 Sk:∼1.o

N:1210 Sk:−0,9

ノへ

N:1210 Sk:−1,0

N:1100 Sk:一|.0 N:900 Sk:−0.9 N:800 Sk:−0,9

一.一」」」一L」」」_」」__一」」一一」」」一3.5 7、511,515,519,5ln 3,5 7.511.515、519,5n1    3.5 7,511.515.51n 図2 樹商の度数分布  樹高の分布は直径の場合と多少異なり,本数の多い段階でよわいL型であるものが,次第に正規型 又はよわい∫型へ変っていき,立木本数が 1800∼2000本/ha以下になると顕著なJ型を 示すようになる。  一般に,一斉人工林では生育がすすむにつ れ,直径分布はL型へ,樹高分布は正規型又 は」型になりやすいとされている3}。  天然林であるコナラ林の場合,これと大き く異なっており,例えば,直径分布は顕著な L型であるものが相対密度の高まりとともに L型がくずれ正規型又はJ型へ変っていく傾 向がみられる。  天然林の場合は,人工林と異なり,稚樹の 発生時期に大きな巾があるため大小さまざま の個体が存在しており,はじめの段階は,小 さい個体(小直径,低樹高)のものが多く存 在し,分布はL型を示しているとみられる。 それが生育がすすみ相対密度が高まっていく

 1048121620ton/11a

t()11/1、a 同化器官 11.2m 同化器官口幹

ォ枝

z z /  0 4 8 12 16 20 tOn/ha 図3 生産構造図    tOI訂ha

(4)

(266) 小笠原隆三・佐々木英義・古田修一 につれ,小さい個体のものほど被圧され枯死するものが多くなり,その結果,L型分布が次第にくず れていくものとみられる。この場合,人工林の場合ほどでないにしても,相対密度の影響のうけ方に 直径と樹高とで若干の差があるため,分布の推移に多少の差が生じたものと思われる。 ii 生産構造図  コナラ林の標準的な2つの林分について,その生産構造図を作成したものが図3のようである。  最高樹高が6.2mのごく若い林分では葉層は上から下まで存在し,その最大葉鮭は中ごろにある。そ れが最大樹高が11.2mと高い林分になると,葉層は下方までみられるとしてもその量は少なく,葉意 の最大値は上方になる。樹高の低い林分ではイネ型に近い構造を示しているが,一般に若い林分では 陽樹林であっても下方まで葉をもつのが普通であり,これが生育がすすみ相対密度が高まっていくに っれ下方から枯れていくものである。従って,生産構造の型の半碇にはある程度生育のすすんだ林分 爾 芭 厨 遡

m

15 10 15 ●コナラ κ他樹種. 10 5 (枝下高) N:3880  (3820)   積〃;樹高曲線、 10  m 100 N:3570  (3100) 50 (%) 0   10   20   (本 数)          100   5    10  m   (枝下高) (樹高一枝下高関係図) 50 (%) O   ]0   2⑪   (本 数) (菊図) 図4−(1)葉層図および樹高一枝下筒関係図

(5)

      コナラニ次林の林分構造       (267) について行わなければならない。  本コナラ林の生産構造は樹高11.2mの林分のものからみてソバ型とすることができる。  iii葉層図および樹高一枝下高関係図  幹と葉層(樹冠)の配置状態を示した葉層図および樹高と枝下高の関係した樹高一枝下高関係図 には,生産構造図ではできない個体に関する層構造を解析できる長所がある。  コナラ林についての葉膳図および樹高一枝下高関係図を作成したものが【茎14(1)∼4(5)である。  葉層曲線は,比較的なめらかに連続しており.,樹高一一枝下関係図においても層の分化はみとめら れない。  このことは,他の樹種が一部混交しているとしても,層のグループ分けが存在していないことを示 している。 θ 芭 爾 芭   ●コナラ   メ他樹種

m

15 10 1η 15 10 5 0 5 (枝下高) N:2870  (2490) 10  m 100 N:2760  (2170) 50 (%) 0   10   20   (本数)

5101n 1005001020

(枝下高)        (%)    (本数)  図4−(2)葉層図および樹高一枝…ド高関係図

(6)

(268) 小笠原隆三・佐々木英義・古臼1修∼ 爾 芭

m

15 10 5 (枝下高) N:1450 ]O  m IOO 50 (%) 0   10   20   (本 数) 街 蓮 n] 15 10 5 (枝下高) N:1370     100 10   m (%)50 0   10   20   (本 数) 図4一③ 葉層図および樹高一枝下高関係図  葉層が連続的であっても,その形は立木本数によって異なることがみとめられる。立木本数の多い 段階では葉層の最大値は比較的下方にみられるが,相対密度が高まり立木本数が少なくなると,葉層 の最大値は上方に移っていく。すなわち,複層林型から一斉林型へ変っていく傾向がみられる。  立木本数の多い林分では,小さい個体が比較的多く存在し,複層林型を呈しているため葉層が下方 まで多く存在している。それが相対密度が高まっていくにつれ,小さい個体で被圧され,枯死してい くものができ立木本数が減少していく。その結果,葉1閤の最大値が上方に移っていき一斉林型を呈す るようになるとみられる。  このことは,立木本数が少なくなっていく場合の樹高分布の変化によく対応している。

(7)

コナラニ次林の林分構造 (269) 厨 巴 n〕 15 10 5 (枝下高) 10  m IOO 50 (%) 0   10   20   (本 数) 厨 芭 In 15 10 5 (枝下高) 10 N:1270  (nOO) m 100 50 (%) 0   10   20   (本 数) 図4−(4)葉層図および樹高一枝下商関係図

IV 要

旨  コナラニ次林における林分の構造について調べたが,その結果は次のようである。  1.直径の分布は,はじめ顕著なL型を示しているが,生育がすすみ立木本数が減少していくにつ れ正規型又はJ型に近くなっていく。 2.樹高の分布は,よわいL型であるものが次第に顕著な」型へ変っていく。 3.林分の生産構造はソバ型である。 4.葉層曲線は,なめらかで連続しており,層の分化はみとめられない。しかし,立木本数によって 形がかわり,相対密度が高まり立木本数が減少していくにつれ,葉層の最大値が上方に移り,複層林 型から一斉林型へ変る傾向がみられる。

(8)

(270)

m

20 15 爾  ]o 琶 穣 亘 nユ 15 10 5 小笠原隆三・佐々木英義・古田修一 5 (枝下高) N:900     100 ]O   m 50 (%) 0   10   20   体 数〉 5        10     nコ  100       50        0      10      20 (枝下高ジ)@        (%)      (本 数) 図4−(5)葉1轡図および樹高一枝下iら関係図       文         献 1.小笠原隆三・山本知治・有田智郎:コナラニ次林の現存量および生産量.広葉樹研究 4,257∼262   (1987) 2.小川房人:個体群落の構造と機i能.朝倉書店,東京 pp31∼46(1980) 3.四手井網英編:アカマツ林の造成.地球出版,東京 pp.81∼96(1963)

参照

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