14ユ． 第7巻 第2ぢ（1956）
数樺鋳病擢病部における窒素含有量について
谷
利 一・，内 藤 中 人
On the nitrogen content of plantsinfected with severalrust fungl，
Toshikazu TANIand Nakato NAITO（Laboratory of Phytopathology） （Received OctoberlO，1955．Accepted October26，1955r）
Ⅰ緒 言 小麦鋳病愕病部の窒素含鼠が剣犬に多くなることについては，古くから知られているところで （3） ある．例えばGASSNERは，正博な小麦茎の蛋白贋含騒が244％であるのに．対し，鋳柄に．おかされたものでほフ164 （3） ％であると報告しているまたBoLLEYによると，タ加d戒αf7血よにおかされた小麦の柴の窒素含鼠は，滋初ほ 健全菓よりも少いが，接種後21日になると健全柴に．比べて蛋白貿において21倍，可溶性空茶闇ユ○倍．全窒試で10僧 3） 増加し，これほ鋲歯菌糸の窒素のみに由来するものとは考えられないという・PoRTUGAlも，無窒素放で栽培し た博満小麦の窒素合憲が，同一・方法で育成された健全小麦よりも著しく多いこと．から，鋸歯は空中の窒素を固定す ること．ができるのでほなかろうかとの見解をのべている・しかるにこれらとやや反対の傾向のものとしては，誘病 （1 蘭を接種したMarquis，Vernalなどの小麦の葉からninhydrin反応陽性の物質が消失するという FucHS等 の最近の報告がみうけられる程度である もし曙病部における寄主の異状な窒素増加が，鋳蘭特有のものであるとすると，純寄生歯の一つである虜歯の特 異な生活瀾象の一・端がうかがえることと．なるlそこで筆者等は，数種庚病繭におかされた躍病部佗或ほ催病葉の糞 素含巌を測魔すると．ともに，誘歯以外の植物疾病の場合と．の比較を試みたその結果，上述のような傾向が誘歯に 共通の現象であると．は認めがたいことがわかったので，ここにその大要を辛絶することとする 本稿を草するにあたり，彿酎閉経瀾傾計馴易った本学果樹園森正義講臥実験の一−・部を援助された本研究室専 攻塊根田昭七讃に深甚の謝意を表する Ⅱ 実験材料及び実験方法 黒松コプ病菌（Cγ〃月αγf∠〟∽ヴ〟￠γc〟〝椚MIYABE）．ササゲ坊病蘭（こか0椚．γ（β1Sむな邦αβ BERK（Ⅱ，Ⅱ）），梨赤岸病菌（Gγ∽〝05♪0′α〝g壱〝椚カαγ■αβα，7〝∽SYD），トマト疫病薗（タカ．γわ♪ゐ〟わ7−α蕪舛・Sね研・S
de BARY），胡瓜露蘭柄蘭（PSeudobeYOnOSbora cubenlSis（Bh et C”）RosIOW），大豆露蔚病菌（PeYOnOSPora manshurica（NAOUM）SYD）及びムクゲ葉煤嫡儀（CeY・cOSbor’a hibisciTRACY et EARLE）におかされた碍満
都位或ほ雁病柴の窒素含量を測定した 野外で1］然感染している膵病部を供試したのであるが，採取にあたってほ， 雑菌の二次的に繁殖した病斑をなるべくさけるために，比較的新鮮な曜病部をと．・′つたlまた，個体間差異による誤 差を少くするために多くの試料をとり，且つできるだけ発育のStageの均一・なもののみを集めた・供試材料は第 1衷に．示す通りである採取彼の試料ほ満ちに水洗して附着物並びに表面に形成されている胞子，鋳子靡を除き， 10∼12時間賽涼で乾燥後，1050Cの通風乾燥器に1時間保ってから，故に・00OCで2日間乾燥し，次いで乳鉢で全 体を磨砕して粉末とした一 松コプ病の試料のみほ粉砕機にかけた試料はよく混和してから，デジグ・一夕ー・で保存 した
栄泰の定鼠はSemimicro Gunning変法によったが，梨赤l勘丙のみは，air coolerをつけて3時間熱水抽出
し，溶出液中の栄素をもって可溶性窒素とした また3％HClで加水分解後，溶出された還元枇遥を Fehling・ 4 （） Lehman−School法で定：景し，gl11COSe として百分率を出し，炭水イヒ物として表わしたなお，Semimicro Kjeldahl法によって赤剰丙の架索を是二旨妄とし，前法の値との差から硝酸態肇碧…の含鼠を明らかにしようと試みたが， 画法による定二鼠他聞に．殆んど差異を見出だせなか′）たので，本報告にはかかげなかった Ⅱ 実験結果及び考察 定崖ほ同一一試料について2回行ったが，その平均をみるのに（第2衣），曜病部における 窒素が増加したのほ，松コプ病におかされた辺材郵及び心材部のみであ一つて，ササゲ顔病では健全部と殆んど差異
がなく，梨赤婦柄でほ逆に健全部の準・分に減少している鱗病以外のものでは，健全部と罷病部との間に大差がな （5）（6）
い．梨柴の健全部に．おける皐談合置ほ，佐藤等の報莞とノく／附一▲‖致しているが，黒松抑こおける当箋者等の分析佃が辻 の報告したものより幾分少くなっているのは，分析に供した個体iて日の差異によるものであろう 梨赤里病砿ついて吏に縮かく分析を行ってみたが（第3嚢），全章甘の減少することほ第2衷と同じであって！≒OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
142 香川麿h’／農科大学学痴軸舎 第1毒メ之 伏 試 材 料 病害の種
可採 取 目
■ 松 コ プ病flOⅣ−1−ト1955 ササゲ矧丙用）l8▲一・Ⅶ†1955 採取枚数 戎ほ個体 採 取 部 位 採 取 地 と 備 考】 垂］二重車重垂亘
讐聖J⊥
−−… 300枚 ∃ 全 香川県木田郡 三木町白山︼一il⊥
黒 松 要琵讐竺［車コ三逐 ′・ ■■ ‥ ササゲ一発柄（m） 21一−Ⅵ托−ユ．955梨 赤猪瀬汗 9一一ヤト1955う 3∞枚i病 斑 部…
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2W十2 菜 本学果樹園 1′ 秀楚 赤 軍 病 梨 赤 賢！病 300枚l病 斑 部鴇Y汁 9−1Ⅰ▼【・1955 31＼J−−ユ．955 蹟子脛のある病斑部 妨子J控のない病斑部 菊 水 （節3衷） 一】￣ 亮干訴 （第3衷） 一 撃 一一【1■＿＿【＿トマト削畑憲二畏蒜17−，
． 、 1、−、∵ Ⅴ汀ユ955 病斑部及び射場 い病斑部 本学農場j新世界一■ 〝 落 合 病 斑 邦柊絶絡 − 火し吏露菌痛】2プ1Ⅲ］955 j 300枚 ま く、て 央彗■せ ムクグ葉牒兢2フ Ⅷ−−1955 3CO枚】ノ全 椚 ヰ：抜に発病↓たもので，健全部ほ周山一職木の膵病枝に最も接近した鰹企紋よりとった 揚場：健全葉ほ同じ圃場よりと、′つた 鞘￥ぺ：鯉全都ほ同じ閉場の健全葉の「い肋を除く部位をと／〕た・ くに践子躍の形成されてい る病斑においてその傾向が 著しい・しかし，健全部と 曜病部との間における熱水 可溶性の窒素には大差が認 められないので，金堂紫の 減少は主として蛋白質の減 少によるものと推測せられ る・炭水化物は，全窒素の 場合とは逆に雁病部のカが 多くまた罷病部問でほ，鎌 手腔の形成されていない病 斑よりも形成されているも ののカが多い一・したがって C／N率も隈病部の方が健 軍2衷 各種棉物疾病掛南部における寄主体の窒素含遅（絶乾率） D／Hヰ 健 全 部 t 曜 病 部 病 害 の 稗 顆 松 コ プ 柄（辺材） 松 コ プ 病（心材） サ サ ゲ 錆 病（Ⅱ） サ サ ゲ 鋳 病（Ⅱ） 梨 赤 屋 病（菊水） 梨 赤 屋 病（長十郎） ト マ ト 疫 病 胡 瓜 露 菌 病 欠 扇 露 蘭 病 ム ク ゲ 柴 煤 病 埠D／H二膵病郡含昂ノ健全都合畳 2＼ 全部よりも大きくなっているGASSNER等は，冬小麦の赤鏡病罷病薬では還元粒，路地，澱粉が減少すると∵報 じているが，梨の赤星病の場合は全くその逆であったい寄主内部における菌糸の伸長が大きいほずの即ち務子粋が すでiこ形成されている病斑の方が，形成されていない病斑よりも窒素合扱が低下し，炭水化物が多くなっているこ とからし・て，梨集中における本跨両々糸の窒素合憲が，本分析値に著しい影響を与えたと考えねほならないはと．多 いよう紅は思われないり 以，卜の結果から，間柄部の璧累増加ほ鋸南の一腰的傾向とほいえないもののようである・OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
1∴】、1 節7巻 郡2・写 往956） 節3喪 秀誓亦購ノ、瀾眈懐湛ぶけるづ≡ギ糸附こ炭水化物合，Ji；（純化ヰ） 長 十 郎 】
右京義1彗軒町彗雷頂
調 査 菊 項ロ ミ健全葉f病
（2）胡埠 ≒2056 弓 2902 163：31 2030
全 発 案 熱水研削！二ぞ絹三 3．158 023ユ 4 ︵D 3 9 ∩し 4一 、∠ フ 9 7▲ O l ︸ 3 2 ﹁⊥；喜三≡璽2喜≡≡≦；．雲≡冒
不溶性賓素斗鞘1292ブ 24“69 ≡ 3′389 85ユ；20フ5炭 水 イヒ 物i2053135102
303【〕 ユ867 C／N−−率 L 650 種子腔の形成されていない柄斑 鴇：鎮子j控の形成されている病定 則欄：：不溶性窒素こ＝全窒素一熱水可溶性登素 摘 要 1首然感染による各種植物疾病硲病部の全窒素成分を分析此較しで・苧素成分の増加が誘菌に共通する特異現象 であるかどうかを明らかにするため木天蓼を行うた・ 2．梶病部における封衆成分の増血服∴コプ膳確酵おかされた黒松辺材並に心桐酎に潤められただけで，ササゲ蹟 間でほ健全葉と催病菓との問に人差がなく，知梢病の病斑酢でほ健全部の約半分に減少していた・ 3胡瓜鼠鋸南，大豆濃蘭線，トマト疫病及びムクゲ敷煤病栗では，健全，篠病部間に殆んど差異を認めない・ 4梨赤劉再愕病其の病斑部における窄素の紋如ま，熱水不溶性駕素の減少によるもので，また病克郎の炭水化物 は著しく士別＝していた 引 用 （l）FucHS，W，H∴ RoHRINGER，R： 肋ね￡㌢紺去−S√5♂〝一SCゐα／fβ紹，42（1），20（1955） （2）L］野巌：柿物疾病診断学，222，凍京，朝倉＝書 店（1948） （3）HAWKER，LE・：Physiology of Flユngi， 6l∼6．2，Univh London Press Ltd．（195C））文 献 （4）野中福次：九州大学農学部学芸雑誌，15（2）， 1フ1一一1フフ（〕＿955） （5）佐藤公一・，石原正義，若林∬−・：農業妓術研究 所報嘗 E（園芸），ユ，3へ′．23（ユ952） （6）辻チ丁堆：林学会発話，10，2：24（ユ928）． Rる s u m 色
There are seveIalIepOItS that the nitrogen content of wheat plantsis much highe工in the rustedleaves than healthy onesThe present studies were mainly performedin order to make
cleaてWhether the tendencyis a genelalphenomenonin the rtlSt diseases or not （l）The sap and heart wood of the pine（“Kuromatsu”）infected with Crotla7Jiium qwrcuu7” MIYABE COntain more nitrogenous compoundsthan healthy ones，While the rustedleavesof peaI
infected with Gymno坤Orangium haraea7mm SYD．COntained about ha‖ as much七Otainitrogen as healthy controIsJIn the case of cowpea rust（tルOnV］CeS Vignae BERK）thereis no significant dif fe工enCe between the diseased and healthyleaves
（2）Experimentsin other4plant diseases，thatis downy mildew of soy bean（mro7WS♪ora ma？iSh3EYicG（NAOUM）SYD），downymildewofcucumber（PseudoPeタOnOSPora cube〝Sis（B」et Ch）RosIOW），
1eaf blight of tomato（Ph．γtO♪hthorai鱒／eslans de BARY）andleaf spot of“Mukuge”（Cercos♪ora
hibi．sciTRACYet EARLE），Showed that theinfected plants werelittle different from healthy ones in the nitIogen content
（3）Decreasein totalr）itrogen of the rustedleaves of pearis due to the decrease of hot WateIinsoluble nitrogenMoreove‡，in this disease the与qrb9n・rlitro鱒en ratio of theinfeQt9d Part WaS higher than tbat of healthy part，
