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予測微生物学入門 Predictive Microbiology 1 予測微生物学の定義 食品中における病原菌や腐敗菌などの有害微生物の反応 すなわち増殖 生残 あるいは死滅の時間的経過と 対象とする微生物の存在する環境の要因 すなわち温度 水分活性または食塩濃度 phなどとの関係を実測してデータベ

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1

予測微生物学

入門

Predictive Microbiology

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予測微生物学の定義

食品中における病原菌や腐敗菌などの有害微生物の反応、 すなわち増殖、生残、あるいは死滅の時間的経過と、 対象とする微生物の存在する環境の要因、 すなわち温度、水分活性または食塩濃度、pHなどとの関係を 実測してデータベースとし、 コンピュータを利用して最も適切なモデルの数式を作成する。 さらに他の文献値や新たにデータセットを作り モデル式で与えられる値と比較して数式の実用性を確認し、 このモデル式によって 食品の品質と安全性についての保証期間 いわゆる“shelf-life”を予測できるようにすることを目的 とする学際的な研究分野

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予測微生物学研究の背景

① 食の様式の変化

② 新たな食品媒介病原菌危害の出現

③ 食品の国際化および食品の安全性確保と

品質保持のためのHACCPシステムの開発

④ コンピュータおよび情報科学の発達

予測微生物学と迅速微生物測定法 ① 予測微生物学 ・ 食品中での微生物の挙動を定量化し数学モデルで予測 → HACCPツールからリスクアセスメントの要素の一つへ展開 ② 迅速微生物測定法 ・ 従来の培養検査法ではHACCP のモニターに間に合わない →短時間/リアルタイムで食品製造 工程の衛生管理を行うツール として発展 出典:JAFIC HP/HACCP関連情報データベース 食総研『予測微生物学研究の最近の動向/小関成樹氏』 より

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生物における予測-predictionとは

Prediction

=観測、経験、あるいは科学的な根拠に基づいて

将来の事象を予報あるいは予言すること。

物理化学的領域:

系の単純化による法則性の把握が比較的容易 因果律ないしは確率論に基づく正確な予測が可能

生物

複雑なシステムで構成されているので

予測が難しい

点が多い。

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生物における予測の例-

ロジスティック式

ロジスティック式 =個体群生態学において、個体群成長のモデルとして考案された。 現在では、生態学のみならず、多くの分野で応用が行われている。 個体群増加のモデル(連続的増殖モデル)

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生物における予測の例-

ゴンペルツ式

ゴンペルツ式(ゴンペルツ関数) ロジスティック式と同様、生物の成長過程を示すモデル式の基礎として 用いられることが多い。 dy/dx = Ay×e-Bx ・・・微分方程式 から得られたもの。 dy/dx は、yの増加率を示す。 すなわち、yの増加率は、 直前のyに比例して増加する要因 時間xに伴い指数的に減少する要因 に関係することを表す。 8

1980年代後半以降,欧米

食品中での微生物の増殖, 死滅などの

挙動を数学モデルを用いて予測しようと

する研究

目的:

食品の製造から流通、消費までの全過程で病原お

よび腐敗微生物の挙動を定量的に解析し,さらに予

測することによって,製品中の微生物を制御すること

また,予測微生物学では理論よりもいかに実際の微生物の 挙動を数学モデルによってフィットするかが鍵となる. 要するに,予測微生物学では基礎的研究も重要視されてい るが,実用面が優先している研究分野であり,1つの技術とし て考えられるべき.

予測微生物モデル-

研究・目的

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9 WhitingとBuchanan 3つのモデル群に分類 第1段階 直接菌数の時問的変化を表す基本的な増殖 あるいは死滅モデル 第2段階 各種の環境条件によって 基本モデルの各パラメーターがどのように変化するの か、を表すモデル, 第3段階 第1,第2段階モデルを統合したモデル, すなわちエキスパートモデル

予測微生物モデル-

3つのモデル群 10 エキスパートモデルは 専門家以外の一般ユーザーを考えた最終的なプログラム ユーザーは対象とする食品の種類,微生物の種類とその初期菌数, 各種環境要因の初期値,観測時間,また得ようとする出力項目など を入力すれば,グラフや数値の形で微生物挙動に関する予測値が 得られる. 現在,入手できる代表的なもの アメリカ農務省東部研究所の病原菌モデルプログラム Pathogen Modeling Program (PMP)

(http://pmp.arserrc.gov/PMPHome.aspx) 以前は,イギリスのフードマイクロモデルFoodMicromodel(FMM)も 入手できた. また,両者を統合した国際的なデータベースとして現在 Combase(http://wyndmoor.arserrc.gov/com-base/)がある.

予測微生物モデル-

エキスパートモデル

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【予測微生物データベース】

①Combase:Combined Database for Predictive Microbiology / 英 →http://www.combase.cc/default.html

→多くの細菌(群)の各所環境下での増殖・死滅挙動に関する論文検索 ②Growth Predictor:Growth Predictor & Perfringens Predictor / 英

→http://www.ifr.ac.uk/Safety/GrowthPredictor/ →多くの細菌(群)の各所環境下での増殖モデルを予測 ③PMP:Pathogen Modeling Program / USDA(米農業省)

→http://ars.usda.gov/Services/docs.htm?docid=6786 →多くの細菌(群)の各所環境下での増殖モデルを予測 出典:JAFIC HP/HACCP関連情報データベースより 12

予測微生物モデル-

エキスパートモデル使用について エキスパートモデルを使用に当たり注意点 さまざまな条件下での微生物の挙動が シミュレーションできるが,これはあくまでも推定値である。 予測値がユーザーの対象とする食品の微生物に対して正 確にその挙動を予測できる保証はない。 ただし,実際に測定を行う場合でも,予測モデルによる推定 値によっておおよその測定条件が設定できるため時間,労力, 資金が節約できる。 また,対象とする菌種の数が多くなく,保存温度も一定で、 変動する温度には適用できない。温度,食塩濃度などの環境 要因には上限,下限があり,それを超えた予測はできない.

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食品産業センター

HACCP関連情報データベース

HACCPとは

食品安全のための施策

予測微生物モデル

エクセルマクロプログラム(大腸菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ版:温度) エクセルマクロプログラム(腸炎ビブリオ版:温度、塩分濃度、pH) エクセルマクロプログラム(サルモネラ版(鶏肉、液卵):温度) エクセルマクロプログラム(サルモネラ版(牛肉):温度)

微生物増殖解析プログラム

微生物増殖解析エクセルマクロプログラム 13 【新ロジスティックモデルプログラム】 ・東京農工大学農学部 藤川浩 教授 作成 ・新ロジスティックモデル エクセルマクロプログラム(大腸菌、黄色ブドウ球菌 、 腸炎ビブリオ版:温度)→ new_logistic_model.xls ・新ロジスティックモデル エクセルマクロプログラム(腸炎ビブリオ版:温度、塩分濃度、 pH)→ new_logistic_model2.xls →温度,塩分濃度,pH等の環境因子、初期菌数および保存時間を入力 →増殖予測曲線,指定時間の予測菌数,指定菌数までの予測時間を表示 →予測値は客観的だが参考値,食品を用いた実証試験の省力化が可能 出典:JAFIC HP/HACCP関連情報データベースより http://www.shokusan.or.jp/haccp/yosoku/1_1_yosoku2.html 予測微生物モデル

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【新ロジスティックモデルプログラム/new_logistic_model2.xls】

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USDA Pathogen Modeling Programへようこそ。 このソフトウェアは食品由来 の病原菌の増殖,生残及び 不活化を予測する調査・教育 用ツールとして設計されまし た。モデルの多く は液体培地 中での微生物の挙動に関す る広範囲の実験データに基 づいています。

PMP:Pathogen Modeling Program

アメリカ農務省東部研究所の病原菌モデルプログラム (http://pmp.arserrc.gov/PMPHome.aspx)

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17 使用上の注意:(概要) この予測モデルによる予測 値が特定の食品のシステ ムにおける予測値に合うと いう保証はありません。 ユーザはそれぞれの特定 の食品のためにモデルを 使用するためには,該当す る食品に対する適用モデ ルの妥当性の確認をする 必要があります。

海外における予測微生物学ツール

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1. 予測微生物学データベース

(Predictive Microbiology software) 1)ComBase (http://www.combase.cc/)

2)Microbial Responses Viewer, MRV (http://mrviewer.info)

3)Food Spoilage and Safety Predictor (FSSP, http://fssp.food.dtu.dk) 4)Sym'Previus (www.symprevius.org)

5)GroPIN (www.aua.gr/psomas/gropin)

2.増殖/死滅曲線フィッティングツール

1)ComBase DMFit(http://www.combase.cc/)

2)Integrated Pathogen Modeling Program (IPMP 2013) 3)Sym'Previus (www.symprevius.org)

4)GInaFiT(http://cit.kuleuven.be/biotec/ginafit.php)

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海外における予測微生物学ツール-2

3.増殖/死滅予測シミュレーションツール

1)ComBase Predictor (http://www.combase.cc/)

2)Prediction of Microbial Safety in Meat Products (http://dmripredict.dk) 3)Food Spoilage and Safety Predictor (FSSP, http://fssp.food.dtu.dk) 4)GroPIN (www.aua.gr/psomas/gropin)

5)Integrated Pathogen Modeling Program (IPMP 2013) 6)MicroHibro (www.microhibro.com)

7)Pathogen Modeling Program(http://www.ars.usda.gov/Services/docs.htm?docid=11550)

8)Sym'Previus (www.symprevius.org)

4.定量的微生物学的リスク評価ツール

1)FDA iRisk (https://irisk.foodrisk.org) 2)Risk Ranger

(http://www.utas.edu.au/tia/centres/food-systems/fact-sheets-and-tools/fact-sheets-and-tools/risk-assessment/risk-ranger)

3)Baseline (www.baselineapp.com) 4)TriMiCri (DTU, )

5)sQMRA (RIVM, Netherland) 19

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予測微生物学モデルはHACCPシステムに活用できる。

(1)重要(または必須)管理点Critical Control Point(CCP)の決定 (2)CCPにおける許容限界値Critical Limit(CL)の設定 (3)逸脱した製造条件の製品の処分 (4)HACCPシステムの同等性(等価性) の4点が考えられる。

予測微生物学の応用

1.HACCPシステムヘの応用

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21 予測プログラムを適用するに当たリ注意すること HACCPシステム開発者がCCPなど管理すべき工程でそ の微生物挙動に対して判断の基準値,すなわち工程水準 を持たなければならないこと 工程水準とはある工程での微生物学的な基準値 例えば,ある食品の加熱工程において その危害要因(例:サルモネラ)の菌数, あるいは菌濃度をどれだけ減少させるべきか (例:5桁以上の菌数減少), あるいは保存工程でどれだけの増殖に抑制するのか (例:11桁以下の菌数増加)などが 工程水準として考えられる。 このような基準値なしでは いくら予測モデルを使ってシミュレーション結果を出しても それを実際に役立てることができない.

予測微生物学の応用

1.HACCPシステムヘの応用 22 予測モデルはある食品製造工程においてCCPの決定に 適用できる CCPにおいてはその工程管理が非常に重要でありそこ でのパラメーターが設定した許容限界を超えるとその食 品の安全性が確保できなくなると考えられる. 一方,現在のHACCPシステムにおいてはこのCCPの決 定が必ずしも定量的ではない. このCCP決定の際に予測モデルを用いたシミュレーショ ンを行うことによって,その製造工程がどれほど微生物の 増殖または死滅に重要なポイントであるかが定量的に判 断できる.したがって,決定判断図のような定性性的な手法 と予測モデルを用いたシミュレーション結果を組み合わせ ることによって,CCPが決定できる.

予測微生物学の応用

1.HACCPシステムヘの応用 1-1CCPの決定

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23 例) ある食品原材料の加熱工程(ブランチング) その工程がある病原性微生物をどの程度熱死滅させる かを予測モデルを用いて評価 ここで危害要因は大腸菌0157:H7 加熱条件は温度60℃,時間5分, 食品の条件としてはpH5.2,食塩濃度2.5% FMMを用いたシミュレーションの結果, この工程で菌数は1/102に減少することが分かる. もしこの工程以降に加熱工程があれば,この程度の菌数 減少率ではこの工程はCCPではないと考えられる. 逆に,この工程以降に加熱工程がなければこの工程が CCPと考えられ,さらに厳しい衛生的条件が必要になるか もしれない.

予測微生物学の応用

1.HACCPシステムヘの応用 1-1CCPの決定 24 製造工程中のあるCCPの許容限界値CLを設定 一般に加熱工程で製造者は製品の味,香り,栄養などを保つため,で きるだけ加熱処理を抑えようとする. しかし,食品の微生物学的安全性を確保するうえではある基準以上 の加熱殺菌処理が必要である したがって,両者の相反する要求を満たす適切な加熱条件を求める ことが重要となる ただし,食品の安全性が優先することは自明. そこである加熱工程(CCP)において殺菌の基準値(工程水準)を決 めておき,その値を達成するための加熱条件(温度,時間)あるいは 食品組成(食塩濃度など)を設定することが予測モデルで可能 また,ある殺菌加熱工程の工程水準を満たすCCPでのCLの組み 合わせ,例えば温度と時間は1種類ではなく,いろいろな組み合わせ がある.例:65Cで10分,62℃で25分など. この各パラメーターの組み合わせが予測モデルを活用しで設定可

予測微生物学の応用

1.HACCPシステムヘの応用 1-2 許容限界値の設定

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予測微生物学の応用(その他)

2. 微生物学的リスクアセスメントへの応用

3. 教育・研究

参照

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