ネットワーク設定の変更にあたっては、ESX ホスト、ServerView Appliance (以下、SVA)、 および Virtual Storage Appliance (以下、VSA) の 3 つの OS の間でネットワークの整合性 を維持しながら変更手順を進める必要があります。 本文書では、その変更手順を示します。
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概要
1.1 変更対象
VSX960 のネットワーク設定変更では、以下の IP アドレスを変更できます。 ESX ホスト・SVA・VSA の IP アドレスESX ホスト・SVA・VSA の Netmask の IP アドレス ESX ホスト・SVA・VSA の Gateway の IP アドレス ESX ホスト・SVA の Name server の IP アドレス MMB の IP アドレス また、以下の 3 つのホスト名を変更できます。 ESX ホストのホスト名 SVA のホスト名 VSA のホスト名
1.2 本書の表記
以下の記号は、コマンドがどのコンソールで実行するかを示しています。 “ESX>” ESX ホストで実行するコマンドを示します。“SVA>” ServerView Appliance で実行するコマンドを示します。 “VSA>” Virtual Storage Appliance で実行するコマンドを示します。
PRIMERGY VSX960
※
ネットワーク設定変更手順
本文書では、VSX960※のネットワーク設定(IP アドレスなど)の変更手順を示します。
(※ VSX960 という名称はサーバブレードとストレージブレードを組み合わせたソリューションの総称を示しています) 富士通株式会社 2012 年 2 月 本書の手順には、ESX 上のファイルを編集することが含まれ、vi などのエディタ操作を熟知していることが前提となります。2
移行手順
2.1 設定値の準備
以下のパラメータについて、変更する設定値を用意してください。 パラメータ 設定値 ESX IP アドレス Network mask アドレス Gateway IP アドレス Name Server IP アドレス ホスト名 SVA IP アドレス Network mask アドレス Gateway IP アドレス Name Server IP アドレス ホスト名 MMB IP アドレス VSA IP アドレス Network mask アドレス Gateway IP アドレス ホスト名2.2 VSX960 の構成ファイル(serstartbatch.xml)の編集
1. 管理者ユーザ名 root で ESX ホストにログインしてください。 VSX960 構成ファイル (serstartbatch.xml) に変更内容を記載します。
2. /svim ディレクトリに移動します。黄色部 を入力してください。 3. serstartbatch.xml ファイルのバックアップを作成してください。 4. エディタ (vi など) を使用して、serstartbatch.xml ファイル中のパラメータを、新しいネットワーク環境に合わせて編集してください。 この XML ファイルには多数の項目が記載されていますが、「ipaddr」 の文字列を検索することで編集箇所を見つけやすくなります。 詳細は、serstartbatch.xml 変更例 (2.2.1 章) を参照してください。 5. 変更後、serstartbatch.xml ファイルを保存します。 ESX> cp serstartbatch.xml serstartbatch.xml.backup ESX> cd /svim
2.2.1 serstartbatch.xml の変更例:
以下の IP アドレスに変更する例を示します。 パラメータ 設定値 ESX IP アドレス 172.19.144.22 Network mask アドレス 255.255.255.0 Gateway IP アドレス 172.19.144.1 Name Server IP アドレス 172.19.128.3 ホスト名 BX920-S2-vsa7 SVA IP アドレス 172.19.144.23 Network mask アドレス 255.255.255.0 Gateway IP アドレス 172.19.144.1 Name Server IP アドレス 172.19.128.3 ホスト名 svahost4 MMB IP アドレス 172.19.144.20 VSA IP アドレス 172.19.144.24 Network mask アドレス 255.255.255.0 Gateway IP アドレス 172.19.144.1 ホスト名 vsahost7 <networking>セクションを検索してください。ESX ホストの情報を変更 (編集) します。 黄色部 が変更可能な箇所です。 ホスト名<hostname>、IP アドレス<ipaddr>、サブネットマスク<netmask>、ゲートウェイアドレス<gateway>、および DNS サーバ<nameserver>のフィールドを変更することができます。それ以外は変更しないでください。 <networking> <addvmportgroup>true</addvmportgroup> <dns> <dhcp_resolv>false</dhcp_resolv> <dhcp_hostname>false</dhcp_hostname> <hostname>BX920-S2-vsa7</hostname> </dns> <addvmportgroup>true</addvmportgroup> <vlanid>0</vlanid> <interfaces><interface><device>vmnic0</device> <bootproto>static</bootproto> <ipaddr>172.19.144.22</ipaddr> <netmask>255.255.255.0</netmask> <gateway>172.19.144.1</gateway> <nameserver>172.19.128.3</nameserver> </interface>SVA パラメータと VSA パラメータ (<svappliance>と<vsappliance>を検索する) に関しても同じ手順で変更してください。 変更を戻す場合は、予めバックアップを取った XML ファイル (serstartbatch.xml.backup) をコピーしてください。 <svappliance>セクションの場所を検索してください。SVA の情報を変更します: 黄色部 が変更可能な箇所です。 <vsappliance>セクションの場所を検索してください。Data ONTAP-v の情報を変更します: 黄色部 が変更可能な箇所です。 <vsappliance> <hostname>vsahost7</hostname> <vmname>vm7</vmname> <poolname>vm7</poolname> <LicKey1/> <users> <user><encrypted>false</encrypted> <user_password>y1y1y1y1</user_password> </user> </users> <poolvmfs>storage1</poolvmfs> <nvpoolvmfs>storage1</nvpoolvmfs> <licence1>aaaa-bbbb-cccc-dddd-eeee-ffff</licence1> <interfaces><interface><device>eth0</device>
ホスト名<hostname>、MMB の IP アドレス<mmb_ipaddr>、IP アドレス<ipaddr>、サブネットマスク<netmask>、ゲ ートウェイアドレス<gateway>、および DNS サーバ<nameserver>のフィールドを変更することができます。それ以外 は変更しないでください。 <svappliance> <hostname>svahost4</hostname> <vmname>vm7</vmname> <mmb_ipaddr>172.19.144.20</mmb_ipaddr> <users> <user><encrypted>false</encrypted> <user_password>x1x1x1x1x</user_password> </user> </users> <licence1></licence1> <onvmfs>storage1</onvmfs> <interfaces><interface><device>eth0</device> <ipaddr>172.19.144.23</ipaddr> <netmask>255.255.255.0</netmask> <gateway>172.19.144.1</gateway> <nameserver>172.19.128.3</nameserver> </interface> </interfaces> <accepted>true</accepted> </svappliance>
2.3
vm-properties ファイルのバックアップ
1. SVA の /root/.dvadmin/vm-properties ファイルを ESX ホストにバックアップをとります。
以下は、ESX へバックアップファイルを作成する場合の例を示しています。黄色部 を入力してください。
2. ESX の /root ディレクトリにバックアップ (vm-properties) が作成されたことを確認してください。
2.4 VSA のネットワーク設定ファイルの編集
1. VSA の/vol/vol0 ボリュームを ESX の任意のディレクトリ (例:vsa_mnt) に一時的にマウントし、
/etc/hosts の IP Address や /etc/rc の Gateway などをエディタ (vi など) を使用して編集してください。 以下は ESX で VSA/volume/vol0 をマウントする場合の例を示しています。
2. マウントされたディレクトリ (例:vsa_mnt) に移動し、etc/hosts、etc/rc、および etc/dgateway を編集します。
黄色部 が変更可能な箇所です。
● etc/rc
hostname 行の VSA ホスト名、ifconfig 行の netmask パラメータ直後のサブネットマスク、route add default 行のゲートウェイアド レスを編集します。
以下は、etc/rc ファイルに VSA ホスト名として 「vsahost7」、サブネットマスクとして 「255.255.255.0」、ゲートウェイアドレスとして 「172.19.144.1」 を設定した場合の例を示しています。
ifconfig の行にサブネットマスクとして 「255.255.255.0」、ゲートウェイアドレスとして 「172.19.144.1」 を設定した場合の例を示し ています。
● etc/hosts
VSA の IP アドレスと VSA ホスト名を編集します。
以下は、etc/hosts ファイルに VSA の IP アドレスとして 「172.19.144.24」、VSA ホスト名として 「vsahost7」 (5 ヶ所) を設定した 場合の例を記載しています。
#Auto-generated by setup Fri Mar 4 09:11:27 GMT 2011 127.0.0.1 localhost localhost-stack
127.0.10.1 localhost-10 localhost-bsd 127.0.20.1 localhost-20 localhost-sk 172.19.144.24 vsahost7 vsahost7-e0a
#Auto-generated by setup Fri Mar 4 09:11:27 GMT 2011 hostname vsahost7
ifconfig e0a `hostname`-e0a mediatype auto netmask 255.255.255.0 mtusize 1500 route add default 172.19.144.1 1
routed on
options dns.enable off options nis.enable off savecore
ESX> mkdir /vsa_mnt ESX> service portmap start ESX> esxcfg-firewall –e nfsClient
ESX> mount –t nfs <変更前の VSA の IP アドレス>:/vol/vol0 /vsa_mnt ESX> cd /root
ESX> ls
ESX> scp root@<変更前の SVA の IP アドレス>:/root/.dvadmin/vm-properties /root/ Password: (SVA のパスワード)
3. 編集が終了したら、VSA の /vol/vol0 ボリュームをアンマウントします。
以下は ESX で VSA の /vol/vol0 をアンマウントする場合の例を示しています。黄色部 を入力してください。
4. (vSphere Client などを使用して)、VSA の再起動をします。
2.5 ESX ホストに接続
1. iRMC video redirection を介して ESX ホストに接続し、root でログインします。
2. Remote Management で ESX に接続し、root でログインします。
以下に ESX に接続する例を示します。
ESX に接続するには、Internet Explorer から 「http://<マネジメントブレードの IP アドレス>」 でアクセスし、Console のアイコンをクリ ックします。
2.6 “console-setup”コマンドを使用したアドレス変更
1. console-setup コマンドを実行します。黄色部 を入力してください。
2. メニュー項目 「5. Configure Service Console Network Interface」 を選択してください。サブメニュー5 が開きます。
1. Show Current vswif 2. Show Network Adapters 3. Show vSwitch/vDS Information ESX> console-setup
セキュアシェル(SSH)セッションを使用して、ESX ホストに接続しないでください。 ESX> cd
ESX> umount /vsa_mnt
ESX> esxcfg-firewall –d nfsClient ESX> service portmap stop ESX> rmdir /vsa_mnt
3. メニュー項目“5.4”~“5.6”と“5.8”に値を入力します。 以下の画面は、ESX の IP アドレスに 「172.19.44.22」、サブネットマスクに 「255.255.255.0」、ゲートウェイアドレスに 「172.19.144.1」、vmnic に 「vmnic0」 を入力した場合の例を示しています。各入力値は括弧内に表示されています。 4. 変更を保存するため、”5.9 Save Changes” を実行します。 設定値が正しい場合は、ESX のネットワークが初期化され、新しい設定値が有効になります。 設定値が妥当でない場合には、以下のような警告が表示されます。(表示は以下の例とは異なることがあります) 5. 「5.10 Return to Menu」 を実行してメインメニューに戻ります。 6. 「6. Exit」 を実行して console-setup コマンドを終了します。
設定結果は、“console-setup” または、ESX CLI コマンドで確認できます。 Gateway は、ping を使用して、通信を確認することができます。 また、esxcfg-vswitch -l と esxcfg-vswif -l コマンドを使用して設定を確認することができます。 デフォルト Gateway を確認するために、現在の経路を表示するコマンド (”route -N” コマンド) を使用してください。 正しくネットワークに接続されている場合、ESX ホストをリブートする必要はありません。
2.7 DNS サーバアドレスの変更
ESX の /etc/resolv.conf ファイルに DNS サーバの IP アドレスを入力します。 6. ExitEnter your choice (1-6): 6 5.10 Return to Menu Enter your choice (1-10): 10
設定されていないパラメータがある場合、consol-setup コマンドでは、何も実行されません。 Enter your choice (1-10): 9
Invalid ip address. Invalid subnet mask. Enter your choice (1-10): 9
上記(赤字部)以外は変更しないでください。
IP Address 、Subnet mask、および Default gateway だけでなく、IP の割り当てを行う 「5.8 vmnic」 の情報が必 要です。(デフォルト設定は、vmnic0 が使用されています)
5.1 vswif ID [0]
5.2 Name of service port group [Service Console] 5.3 vSwitch for service console [0]
5.4 IP Address [172.19.144.22] 5.5 Subnet mask [255.255.255.0] 5.6 Default gateway [172.19.144.1]
5.7 VLAN ID [0]
5.8 vmnic to use with service console [vmnic0]
5.9 Save Changes 5.10 Return to Menu Enter your choice (1-10):
2.9 仮想アプライアンス(SVA, VSA) ネットワーク設定
最初に、稼働中のアプライアンスの電源をオフにしてください。
2.9.1 SVA のネットワーク設定変更
1. vm-properties ファイルのバックアップを作成します。
(2.3 章で実施していない場合のみ実施してください。)
2. ”sva_recovery - -OverwriteSVABackup” スクリプトを実行し、SVA のネットワークパラメータを変更します。
(必要に応じて、SVOM のサーバのリストを更新してください)
3. バックアップされた vm-properties ファイルを SVA の /root/.dvadmin/ にリストアします。
以下は、vm-properties ファイルを SVA の /root/.dvadmin/ にリストアする場合の例を示しています。
4. vm-properties ファイルを編集して、以下の行の設定内容をそれぞれ変更します。 vsphere_hostname=(ESX ホスト名) gateway=(ゲートウェイアドレス) netmask=(サブネットマスク) ipaddr=(変更後の VSA の IP アドレス) 以下は、vm-properties ファイルに ESX ホスト名として 「172.19.144.22」、ゲートウェイアドレスとして 「172.19.144.1」、 サブネットマスクとして 「255.255.255.0」、VSA の IP アドレスとして 「172.19.144.24」 を設定した場合の例を示しています。 黄色部 が変更可能な箇所です。 VM=DataONTAP-v-vm vsphere_username=root ontap_version=8.0.2 vsphere_hostname=172.19.144.22 gateway=172.19.144.1 vm_version=1.0 sk_process_timeout_override=15 raidtype=RAID0 hostname=vsahost license=AAAA-BBBB-CCCC-DDDD-EEEE password=********* vsphere_password=********* config=ready netmask=255.255.255.0
ESX> scp /root/vm-properties root@(変更後の SVA の IP アドレス):/root/.dvadmin/ Password: (input SVA password)
ESX> sva_recovery - -OverwriteSVABackup
仮想アプライアンス(SVA, VSA)間でネットワークアドレスがお互いに疎通している必要があります。 VSA のネットワークしか変更しなかった場合も、”sva_recovery”を実行する必要があります。
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トラブルシューティング
1. リカバリ スクリプトに関するログファイル
sva_recovery を実行した場合、/opt/fujitsu/ServerViewSuite/Rollout/rollout.log に詳細なログを出力します。 “tail -f rollout.log” を実行すると、リカバリスクリプトの出力結果を確認することができます。
2. IP 設定の確認
“Ifconfig –a”、または “ping” を仮想マシン上で使用し、IP が正しく設定されたことを確認してください。 常にトップダウン (ESX ホスト、SVA、VSA の順) で実施してください。
ゲートウェイの構成を確認するには、“netstat –rn” を使用してください。
3. 仮想アプライアンスの状態確認
vSphere Client を使用すると、仮想アプライアンス (VSA、SVA) の状態 (online、offline など) を確認することができます。
4. VSA の状態確認
VSA が正常に開始されていない場合、状態を確認するために “dvadmin vm log” 機能を使用してください。
VSA が正常に開始されているのに、接続できない場合は、/etc/hosts ファイルが間違って設定されている可能性があります。 以下の方法で /etc/hosts ファイルの設定内容に誤りがないか確認してください。
・ SVA に接続し、”dvadmin vm connect” で VSA に接続します。
・ “rdfile /etc/hosts“ を使用してファイルが間違っていないか確認してください。
内容に誤りがあった場合は、以下を実行してください。(”dvadmin vm connect” で接続した後)
・“ifconfig vif0 <正しい IP アドレス> netmask <正しいサブネットマスク> broadcast <ブロードキャストアドレス> up” ・「2.4 VSA のネットワーク設定ファイルの編集」を再度実施して /etc/hosts ファイルを変更してください。
5. SNMP トラップ
ServerView のログにエラーメッセージが表示された場合、VSA で正しく SNMP trap アドレスを設定してください。 詳細はリファレンスを参考にしてください。