認知症アセスメントシートの紹介
∼認知症高齢者へ使用してみて∼
セージュ新ことに
リハビリテーション課 大羅 佳代
認知症アセスメントシート
・日本作業療法士協会にて作成
・在宅で生活している認知症高齢者、その家族
にとってよりよい生活を行うためのケアプランに
つなげる目的
・第3版まで完成
使用方法
各項目について、4段階の評価をする
①IADL
②基本動作・移動能力
③他者への迷惑行為
④不安感
⑤異食・不潔行為
⑥物盗られ・つじつまの合わない話
⑦日内リズムの障害
⑧飲み込み
2 全介助 半介助 一部介助 自立 食事動作 ③ 1 ペースト 極キザミ キザミ 普通食 食事形態 ② 3 0 いつもある しばしば 時々 なし 嚥下障害 ① 飲み込み 8 0 いつもある しばしば 時々 なし 幻覚 ③ 1 いつもある しばしば 時々 なし せん妄 ② 3 2 いつもある しばしば 時々 なし 日内リズムの障害 ① せん妄 ・ 昼夜逆転 7 1 いつもある しばしば 時々 なし 物隠し ③ 1 いつもある しばしば 時々 なし 作話(つじつまの合わない話) ② 3 1 いつもある しばしば 時々 なし 盗られ妄想 ① 物盗られ、 つじつまの 合わない話 6 2 いつもある しばしば 時々 なし 収集癖 ③ 1 いつもある しばしば 時々 なし 放尿・放便・弄便 ② 3 0 いつもある しばしば 時々 なし 異食 ① 異食 ・ 不潔行為 5 2 いつもある しばしば 時々 なし まとわりついたり、同じ質問を何度も繰り返す ③ 1 いつもある しばしば 時々 なし 徘徊 ② 5 2 いつもある しばしば 時々 なし 不安感がある ① 不安感 4 2 いつもある しばしば 時々 なし 言いがかりや説明に対する否定・ゆがんだ解 釈 ③ 1 いつもある しばしば 時々 なし 暴力・暴言・破壊行為 ② 4 1 いつもある しばしば 時々 なし 他者とのトラブル ① 他者への 迷惑行為 3 2 全介助 半介助 一部介助 自立 移動 □独歩 □杖 □歩行器 □平行棒 ③ 1 できない 他者介助で可能 掴まって自立 できる 立ち上がり ② 4 1 できない 他者介助で可能 掴まって自立 できる 立位保持 ① 基本動作 および 移動能力 2 3 全介助 半介助 一部介助 自立 火の取り扱い ③ 3 全介助 半介助 一部介助 自立 買い物 ② 9 3 全介助 半介助 一部介助 自立 洗濯 ① 日常生活 関連動作 1 3点 2点 1点 0点 合 計 小 計 程 度 項 目
認知症の類型化
0
5
10
日常生活関連動作 基本動作及び移動能力 他者への迷惑行為 不安感 異食・不潔行為 物盗られ・つじつまの合わない 話 せん妄・昼夜逆転 飲み込み系列1
B:とりつくろい・穏やかタイプ
IADLの低下が目立つ。身体機能面もほとんど問題
ないが、時折杖歩行・介助歩行など不安定な方もい
る。コミュニケーションもさほど問題なく行なえること
が多い。
ただ、記憶障害、見当識障害、遂行機能などの低
下が次第に見られてきており、それらの機能を求め
られる場面以外では特に問題なく穏やかに過ごして
いるが、在宅やデイケア場面などで必要以上に能
力を求められたりすることで、不安が強くなったり、う
ろうろと動き回ることもある。
しかしトラブルに発展することは少ない。
MMSEは10点台∼20点台が半数以上。
A:
ちょっとした
物忘れタイプ
認知症の類型化 0 5 10 日常生活関連動作 基本動作及び移動能力 他者への迷惑行為 不安感 異食・不潔行為 物盗られ・つじつまの合わない 話 せん妄・昼夜逆転 飲み込み 系列1 境界認知症のタイプ。ADLはほと んどの方が自立しているが、IADL の自立度には個人差がある。作業 活動や、レクなどにはほぼ興味を持っ て参加している。特に問題があるわ けではないが、よく分かっている分、 周囲の状況で不安になることもある。 MMSEも20点以上が半数以上を 占める。要介護度は未申請∼要支 援1レベルが多くを占める。基本方針:本人の希望・興味を把握しできることはどんどんして
もらう 。生活リズムの整備、調整に重点を置く 。
C:体は元気、不安の強いタイプ
認知症の類型化 0 5 10 日常生活関連動作 基本動作及び移動能力 他者への迷惑行為 不安感 異食・不潔行為 物盗られ・つじつまの合わない 話 せん妄・昼夜逆転 飲み込み 系列1 IADLの低下は著明。ADLも食事と 移動以外は中等度に障害されている。 不安感が強く、それに伴う落ち着きの なさや何度も同じことを確認してくるな どの行為が目立つ。自分なりに色々と 考え事を巡らせている様子だがまとま らず、さらに不安感を強めている。生 活リズムの崩れは少ない。落ち着い ている時はコミュニケーションも取れる。 MMSEは10点台前後が半数を占 める。基本方針:介護拒否・帰宅要求などの問題行動への対処をチーム
で話し合う。 対応のコツを捉え、関わる物全て統一し
てあたる。事故の予防策も必要。
D:周囲との摩擦が多いタイプ
認知症の類型化 0 5 10 日常生活関連動作 基本動作及び移動能力 他者への迷惑行為 不安感 異食・不潔行為 物盗られ・つじつまの合わない 話 せん妄・昼夜逆転 飲み込み 系列1 認知症で最も頻繁に現れるタイプ。 周囲の関心はかなり低下しており、コミュ ニケーションも取りにくいことが多い。そ の為トラブルは頻発。体は元気な事が 多いので徘徊は多く、精神世界をイメー ジする事が難しい。異食やトイレ以外で の排泄も見られる事がある。ケアへの拒 否も強い。ADLは移動と食事以外は介 助の度合いが大きい。MMSEは一桁が ほとんど。基本方針:理屈が通らない事が多いので、刺激になる人・物 ・
声などは極力なくす。集団への拒否がある場合は
E:体も弱って、混乱も強いタイプ
認知症の類型化 0 5 10 日常生活関連動作 基本動作及び移動能力 他者への迷惑行為 不安感 異食・不潔行為 物盗られ・つじつまの合わない 話 せん妄・昼夜逆転 飲み込み 系列1 Cタイプから認知症状が進行し、さ らに生活リズムの崩れが出現し始め ている状態。せん妄や昼夜逆転によ る覚醒度の変動があるが、じっとし ているということもなく、ぼやーっとし た意識状態で動くことで転倒も増え てくる。不安感から来る訴えもあるが、 よほど本人の理解が得られないとコ ミュニケーションも取れないことが多 くなってくる。昼夜に不安定な歩行で 歩くことなどもあり、介護者の心身の 負担感も大きくなることが予想される。 MMSEは0∼10点半ばと範囲が広 い。基本方針:転倒への人的・環境的配慮が必要。
F:ひっそり・ごそごそタイプ
認知症の類型化 0 5 10 日常生活関連動作 基本動作及び移動能力 他者への迷惑行為 不安感 異食・不潔行為 物盗られ・つじつまの合わない 話 せん妄・昼夜逆転 飲み込み 系列1 ADL、IADL関連は食事は若干自 立している方もいるが、ほぼ全ての 動作において半介助、全介助が必 要。車椅子使用者も多い。しかし、 寝たきりではないので動こうとしたり、 知らない間に動いているということも ある。飲み込みが悪く、食形態の配 慮や食事介助のときに注意を要する 方もいる。自発性が低下しており、 関わりが少ないとウトウトしているこ とも多い。 MMSEは一桁がほとんど。基本方針:精神機能低下に対する関わり・ベッド周囲の環境
調整が必要。認知症以外の疾患に注意。特に廃
用症候群に陥りやすい状況なので注意。
症例1
主病名:アルコール依存症、晩発性アルツハイマー型
認知症
年齢:68歳
現病歴:H21年3月4日、太田病院より当施設へ入所。
短期記憶、見当識が著明に低下しているが身体面・
日常生活において大きな問題は見られない。徐々
に認知面は低下してきており、徘徊やトイレ以外で
の排泄、他者とのトラブルなども増えてきている。薬
物コントロールが必要。
HDS−Rは5点(入所時は12点)
0 全介助 半介助 一部介助 自立 食事動作 ③ 0 ペースト 極キザミ キザミ 普通食 食事形態 ② 0 0 いつもある しばしば 時々 なし 嚥下障害 ① 飲み込み 8 0 いつもある しばしば 時々 なし 幻覚 ③ 0 いつもある しばしば 時々 なし せん妄 ② 0 0 いつもある しばしば 時々 なし 日内リズムの障害 ① せん妄 ・ 昼夜逆転 7 0 いつもある しばしば 時々 なし 物隠し ③ 2 いつもある しばしば 時々 なし 作話(つじつまの合わない話) ② 2 0 いつもある しばしば 時々 なし 盗られ妄想 ① 物盗られ、 つじつまの 合わない話 6 0 いつもある しばしば 時々 なし 収集癖 ③ 2 いつもある しばしば 時々 なし 放尿・放便・弄便 ② 2 0 いつもある しばしば 時々 なし 異食 ① 異食 ・ 不潔行為 5 2 いつもある しばしば 時々 なし まとわりついたり、同じ質問を何度も繰り返す ③ 3 いつもある しばしば 時々 なし 徘徊 ② 7 2 いつもある しばしば 時々 なし 不安感がある ① 不安感 4 1 いつもある しばしば 時々 なし 言いがかりや説明に対する否定・ゆがんだ解 釈 ③ 1 いつもある しばしば 時々 なし 暴力・暴言・破壊行為 ② 4 2 いつもある しばしば 時々 なし 他者とのトラブル ① 他者への 迷惑行為 3 1 全介助 半介助 一部介助 自立 移動 □独歩 □杖 □歩行器 □平行棒 ③ 0 できない 他者介助で可能 掴まって自立 できる 立ち上がり ② 1 0 できない 他者介助で可能 掴まって自立 できる 立位保持 ① 基本動作 および 移動能力 2 3 全介助 半介助 一部介助 自立 火の取り扱い ③ 2 全介助 半介助 一部介助 自立 買い物 ② 8 3 全介助 半介助 一部介助 自立 洗濯 ① 日常生活 関連動作 1 3点 2点 1点 0点 合 計 小 計 程 度 項 目
認知症の類型化 0 5 10 日常生活関連動作 基本動作及び移動能力 他者への迷惑行為 不安感 異食・不潔行為 物盗られ・つじつまの合わない 話 せん妄・昼夜逆転 飲み込み 系列1 IADL、他者への迷惑行為、 不安感で突出した傾向 移動能力は保たれており、 日内リズムの崩れはない
→Cの「体は元気、不
安の強いタイプ」
ケアのポイント
⇒周囲の状況の変化や出来ないことへの混
乱が強まる。本人の納得のいかない制止は
不安感・思い込みを強めることも。個人で対
応すると負担が。皆で統一したケアを。
活動のポイント
⇒活動に落ち着いて参加することが難しくなっ
てくる。安心感や居場所作りを心がけ、さりげ
なく隣で得意作業をしていると意欲を見せる
こともある。活動提供方法の工夫をする。
症例2
主病名:老年性認知症
年齢:97歳
現病歴:平成18年12月26日、一般病院より当施設入
所。すでに認知症の進行あり、不穏・奇声・暴言・暴
力がみられた。穏やかな時は日常会話レベルも可
能だが、事実と異なることが多い。歩行は困難にて
車椅子使用、他ADLも全介助から部分介助レベル。
肺炎で入院後さらに身体機能の低下がみられ、排
泄は二人介助レベルとなっている。
HDS−Rは実施困難。
0 全介助 半介助 一部介助 自立 食事動作 ③ 1 ペースト 極キザミ キザミ 普通食 食事形態 ② 1 0 いつもある しばしば 時々 なし 嚥下障害 ① 飲み込み 8 0 いつもある しばしば 時々 なし 幻覚 ③ 0 いつもある しばしば 時々 なし せん妄 ② 0 0 いつもある しばしば 時々 なし 日内リズムの障害 ① せん妄 ・ 昼夜逆転 7 0 いつもある しばしば 時々 なし 物隠し ③ 2 いつもある しばしば 時々 なし 作話(つじつまの合わない話) ② 3 1 いつもある しばしば 時々 なし 盗られ妄想 ① 物盗られ、 つじつま の 合わない 話 6 0 いつもある しばしば 時々 なし 収集癖 ③ 1 いつもある しばしば 時々 なし 放尿・放便・弄便 ② 1 0 いつもある しばしば 時々 なし 異食 ① 異食 ・ 不潔行為 5 2 いつもある しばしば 時々 なし まとわりついたり、同じ質問を何度も繰り返す ③ 0 いつもある しばしば 時々 なし 徘徊 ② 4 2 いつもある しばしば 時々 なし 不安感がある ① 不安感 4 2 いつもある しばしば 時々 なし 言いがかりや説明に対する否定・ゆがんだ解釈 ③ 2 いつもある しばしば 時々 なし 暴力・暴言・破壊行為 ② 6 2 いつもある しばしば 時々 なし 他者とのトラブル ① 他者への 迷惑行為 3 3 全介助 半介助 一部介助 自立 移動 □独歩 □杖 □歩行器 □平行棒 ③ 2 できない 他者介助で可能 掴まって自立 できる 立ち上がり ② 7 2 できない 他者介助で可能 掴まって自立 できる 立位保持 ① 基本動作 および 移動能力 2 3 全介助 半介助 一部介助 自立 火の取り扱い ③ 3 全介助 半介助 一部介助 自立 買い物 ② 9 3 全介助 半介助 一部介助 自立 洗濯 ① 日常生活 関連動作 1 3点 2点 1点 0点 小計 合計 程 度 項 目
認知症の類型化 0 5 10 日常生活関連動作 基本動作及び移動能力 他者への迷惑行為 不安感 異食・不潔行為 物盗られ・つじつまの合わない 話 せん妄・昼夜逆転 飲み込み 系列1 IADL、基本動作および移動能 力、他者への迷惑行為、不安感 の項目でやや突出した傾向。