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STEP 1 検査値を使いこなすために 臨床検査の基礎知識 検査の目的は大きく 2 つ 基準範囲とは 95% ( 図 1) 図 1 基準範囲の考え方 2

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Academic year: 2021

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検査値を使いこなすために STEP

1

検査の目的は大きく2つ

 臨床検査は病気の診断や治療を目的とした検査の一つで,患者から採取し た血液や尿などを調べる検体検査と,心電図や脳波など患者を直接調べる生 理機能検査に大別されます。検体検査から得られる検査値は,検診などでの スクリーニング,病気の診断,重症度や進行度の確認,治療方針の決定や治 療効果の判定,投薬による副作用の確認などに用いられます。

基準範囲とは

 基準範囲は,一定の基準を満たす健常者から得られた検体を測定した検査 値分布の95%信頼区間に基づいて設定されています(図 1)。すなわち健康な 人でも100人中5人は範囲外となり,食事,運動,採血時間などの影響によっ ても基準範囲を外れることがあります。そのため,検査値が基準範囲を逸脱

臨床検査の基礎知識

基準範囲 95% 2.5% 2.5% 図 1 基準範囲の考え方

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血算

1

検査の特徴

白血球数

(WBC)

▶白血球は細菌やウイルスなどから身体を守る働きをしている細胞である。

▶白血球は好中球(Neut),リンパ球(LYMP),単球(MONO),好酸球(EOS),

好塩基球(BASO)などで構成される(表 1)。機能別には①細菌などを貪食 する好中球,単球,②免疫をつかさどるリンパ球,単球,③主にアレルギー 種類 構成比率(%) 好中球(Neut) 40.0 〜 75.0 リンパ球(LYMP) 18.0 〜 49.0 単球(MONO) 2.0 〜 10.0 好酸球(EOS) 0.0 〜 8.0 好塩基球(BASO) 0.0 〜 2.0 表 1 白血球の構成比 項目 略称 基準範囲 白血球数

(white blood cell count) WBC 3.3~8.6×103/μL

好中球数(neutrophil) Neut 40.0~70.0% ヘモグロビン(hemoglobin) Hb 男性:13.7~16.8g/dL女性:11.6~14.8g/dL 血小板数(platelet count) PLT 158~348×103/μL 押さえておきたい検査の特徴 STEP

2

血 算

1

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血算 1 押さえておきたい検査の特徴(小児) STEP

3

検査の特徴

白血球数

(WBC)

▶新生児期の白血球数は20×103/μL前後の高値をとるが,生後1週間で10× 103/μL前後まで低下する。 ▶幼児期までは,白血球数が10×103/μLを超すこともある。

好中球数

(Neut)

▶年齢により,好中球とリンパ球の割合や数が大きく変化する。生後1カ月 から2歳頃までは,リンパ球が60%程度,好中球は30%程度である。5 6歳では好中球が優位となる。

ヘモグロビン

(Hb)

▶生後数日で18g/dL前後となるが,その後急速に減少し,成人より低値となる。 ▶思春期年齢以降では,男子が女子より高値となる。

血小板数

(PLT)

▶乳幼児期は成人より高値を示す。 ▶ 1歳未満ではほとんどが50×104/μLを超し,45歳でも50×104/μLを超す。

血算をチェックするときのポイント

白血球数の異常で想定される疾患

 白血球数増加の機序は,腫瘍性または反応性に大別されます。腫瘍性の代 基準範囲はp.274 基準範囲はp.274 基準範囲はp.275

血 算

1

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腎機能 C ASE 24 項目 基準範囲 結果 項目 基準範囲 結果 WBC 3.3〜8.6 × 103/μL 3.89 T-Bil 0.4〜1.5mg/dL Neut 40.0〜70.0% 60.0 血清Cr 0.46〜0.79mg/dL 0.97 Hb 11.6〜14.8g/dL 11.9 eGFR 90〜110mL/分/1.73m2 43 PLT 158〜348×103/μL 186 CK 41〜153U/L PT-INR 0.9〜1.1 CRP 0.0〜0.14mg/dL 0.72

AST 13〜30U/L 19 K 3.6〜4.8mmol/L 4.0

ALT 7〜23U/L 17 HbA1c 4.9〜6.0%

カペシタビン投与中…適応症は? 

検査値のどこが問題?

ケースでわかる検査値の読み方と疑義照会 STEP

4

Rp. 1 ゼローダ®錠(カペシタビン)300mg 1回6錠(1日12錠) 1日2回 朝夕食後 14日分 Rp. 2 ヒルドイド®ローション(ヘパリン類似物質)0.3% 5本 1日3回程度,手足に塗布 Rp. 3 マイザー®軟膏(ジフルプレドナート)0.05% 3本 1日3回程度,手足に塗布 73歳女性 身長157cm 体重50kg 体表面積1.48m2

腎機能

C ASE 24

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STEP

4

ース で わ か る 検査値 の 読 み 方 と 疑義照会 C A S E 24  患者背景:結腸がんの手術後,注射抗がん薬の併用はなし  前回処方(21日前):ゼ ロ ー ダ®錠 300mg 1 回 6 錠(1 日 12 錠 ) 1 日 2 回 朝夕食後  患者からの情報:「皮膚の乾燥もあるから保湿剤は寝る前に塗っていますが,指先 にひび割れができて,ちょっと痛みが出てきました。先生からは『症状がひどく なってきたのでもう一種類塗り薬を処方する』と言われました」

検査値をどう見るか

 血清Cr値0.97mg/dLより,Ccrを算出すると40.8mL/分と中等度の腎機能 低下を認めています。Hb11.9g/dLとやや低い値になっていますが,基準範 囲内(11.6∼14.8g/dL)であるため引き続き経過を確認します。

処方薬をチェック

カペシタビン

 カペシタビンは代謝拮抗薬のフッ化ピリミジン系に分類される抗がん薬です。 肝臓に局在するカルボキシエステラーゼによって5-deoxy-5-fluorocytidineに 変換された後,肝臓および腫瘍組織で活性の高いシチジンデアミナーゼによ り5-deoxy-5-fluorouridineに変換されます。さらに,腫瘍組織内のチミジ ンホスホリラーゼにより活性体であるフルオロウラシル(5-FU)へと変換され ます。 1.適応症に応じた用法・用量  カペシタビンは適応によって異なる用法・用量で使用されるため,原疾患 さて,あなたはこの処方箋にどう対応しますか?

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腎機能 C ASE 24 や他剤併用の有無について確認が必要です(表 1)。また,用量は患者の体表 面積を参考に決まります。この症例では結腸がんの術後補助化学療法として カペシタビン単剤(B法)が用いられています。 2.Ccrに応じた用量調節  Ccrの低下はカペシタビンの活性代謝物である5-FUのAUC増大を招くた め,副作用に注意が必要です。また,カペシタビン適正使用ガイドでは,Ccr 50mL/分以下の患者において重篤な副作用の発現率が高かったことが報告1) されているため,中等度以上の腎機能障害のある患者には慎重投与となって います(表 2)2)。この患者のCcr40.8mL/分であり中等度の腎機能障害があ るため,1段階減量が推奨されます。 3.副作用の確認・生活指導  カペシタビンの特徴的な副作用として手足症候群が知られています(表 3) 手掌,足底を中心に,水疱,表皮剥離などを伴い,強い痛みを合併すること 投与スケジュール 体表面積(m2 1回用量(mg) 適応症 A 法 21 日間連日投与, 7 日間休薬 1.31 未満 900 ●手術不能または再発乳 がん 1.31 以上 1.64 未満 1,200 1.64 以上 1,500 B 法 14 日間連日投与,7 日間休薬 1.33 未満 1,500 ●手術不能または再発乳 がん ●結腸がんにおける術後 補助化学療法 1.33 以上 1.57 未満 1,800 1.57 以上 1.81 未満 2,100 1.81 以上 2,400 C 法 14 日間連日投与,7 日間休薬 1.36 未満 1,200 ●治癒切除不能な進行・ 再発の結腸・直腸がん (他の抗がん薬と併用) ●胃がん(白金製剤併用) 1.36 以上 1.66 未満 1,500 1.66 以上 1.96 未満 1,800 1.96 以上 2,100 いずれも 1 日 2 回朝夕食後に服用 表 1 カペシタビンの適応症と用法・用量

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STEP

4

ース で わ か る 検査値 の 読 み 方 と 疑義照会 C A S E 24 が多く,QOLの低下に結びつくこともあります。手足症候群の予防法として 治療開始時から保湿剤の塗布が推奨されており,症状の増悪に応じてステロ イドの外用剤を使用します。また,ビタミンB6製剤などを内服する場合もあ ります。治療継続のためには,適切な外用薬の使用や日常生活で物理的刺激 を避ける工夫についても説明が必要です。 腎機能が低下しているため,カペシタビンを減量すべきではない か? Aさんの検査値を確認したところ,中等度の腎機能低下がみられる ようです。ゼローダ®は,中等度の腎機能低下がある場合は1段階 減量が推奨されています。1回6錠から5錠への減量はいかがしま しょうか?

ここを疑義照会!

薬剤師 腎機能障害 投与開始前の Ccr(mL/分) 投与量 重度 30 未満 投与禁忌 中等度 30 ~ 50 75%用量(1 段階減量)で開始 軽度 51 ~ 80 初回減量は不要 〔中外製薬株式会社:ゼローダ, 適正使用ガイド(結腸・直腸癌)より〕 表 2 腎機能に応じたカペシタビンの用量調節 手足症候群(hand-footsyndrome;HFS) 手掌および足底に湿性落屑,皮膚潰瘍,水疱,疼痛,知覚不全,有痛性紅斑,腫脹な どの手足症候群があらわれることがあるので観察を十分に行い,異常が認められた場合 には,投与を中止し適切な処置を行うこと。 表 3 カペシタビンの添付文書「重大な副作用」

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腎機能 C ASE 24 そうでしたか。ゼローダ®の用量は見直したほうがよさそうですね。 今晩から1回5錠に減量しましょう。 カペシタビンは適応症によって用法・用量が異なるため,患者や 医師から情報を収集し,体表面積や腎機能に応じた適切な投与量 か確認する 手足症候群の対策として保湿剤で手足の乾燥を防ぎ,症状に応じ てステロイドの外用薬を使用する 外用薬の使用方法や物理的刺激を避ける生活上の工夫について指 導する

カペシタビンとS‐1併用は禁忌

 カペシタビンは初回服用時には7日以内にS-1の服用歴がないか確認する必 要があります。両薬剤はともに乳がん,胃がん,結腸・直腸がんに対して適 応をもっていますが,血中5-FU濃度の上昇が認められるため併用禁忌となっ ており,S-1から7日以上間隔を空けてカペシタビンを投与することが添付文 書に記載されています(表 4)医 師

この症例のポイント

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STEP

4

ース で わ か る 検査値 の 読 み 方 と 疑義照会 C A S E 24 ● 引用文献

1) Cassidy J, et al : First-line oral capecitabine therapy in metastatic colocrectal cancer : a favorable safety profile compared with intravenous 5-fluorouracil/ leucovorin. Ann Oncol, 13 : 566-575, 2002

2) 中外製薬株式会社:ゼローダ, 適正使用ガイド(結腸・直腸癌) 【重要な基本的注意】 テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中止後,本剤の投与を行う 場合は,少なくとも 7 日以上の間隔をあけること(「相互作用」の項参照)。 【併用禁忌】 薬剤名など テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(ティーエスワン® 臨床症状・措置方法 早期に重篤な血液障害や下痢,口内炎などの消化管障害などが発現するおそれがある ので,テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中および投与中止後 7 日以内は本剤を投与しないこと。 機序・危険因子 ギメラシルがフルオロウラシルの異化代謝を阻害し,血中フルオロウラシル濃度が著し く上昇する。 表 4 カペシタビンの添付文書「重要な基本的注意」と「併用禁忌」

参照

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