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日本糖尿病学会誌第58巻第2号

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Academic year: 2021

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地方会記録

第 52 回日本糖尿病学会

中国四国地方会

会期:2014 年 10 月 24 日(金),25 日(土)

会場:リーガロイヤルホテル広島

会長:山根 公則

(NTT 西日本中国健康管理センタ所長) 1-E-02 当院糖尿病教育入院患者における内因性インス リン分泌の検討 岡山ろうさい病院内科 余財亨介 【目的】治療別における内因性インスリン分泌を比較検討す る.【方法】平成 25 年 5 月から平成 26 年 4 月まで糖尿病教育 入院した 2 型糖尿病患者 68 例を対象とした.入院翌日に朝 食前,2 時間後の血糖,CPR 測定,尿中 CPR 測定を行い,CPR-index(CPI),CPR 増加量(Δ CPR)を求めて薬物治療別に比 較検討した.【結果】内服群では朝食前,2 時間後の CPR,CPI, Δ CPR,尿中 CPR はインスリン群より有意に高値だった.イ ンスリン群のうち BOT 療法や内服治療に変更できた減量群 では朝食前 CPI が増量群より高値だった.【総括】糖尿病治療 方針の決定に CPI が 1.2 以上で将来内服治療でコントロール 可能と報告されている.今回の検討により内服治療群とイン スリン治療群のうち BOT や内服治療に変更できた群では CPI 1.2 以上であることから,将来内服治療にてコントロール 可能となる 1 つの指標として CPI が有用と思われる. 1-E-03 2 型糖尿病患者における食後 2 時間インスリン 濃度の有用性 広島市立広島市民病院 内藤麻依子 水木一仁 望月久義 【目的】2 型糖尿病患者のインスリン分泌能評価方法におい て,外来で比較的簡便に評価できる食後 2 時間インスリン 濃度(2 時間 IRI)の有用性を検討する.【対象】2014 年 4 月∼7 月に当院に教育入院を行った 2 型糖尿病患者のう ち,インスリン導入を行っていない 31 名に対し,各種イン スリン分泌能評価項目について相関分析を行った.【結果】 24 時間蓄尿 C ペプチドと空腹時インスリン濃度(空腹時 IRI)・HOMA-β ・HOMA-IR はそれぞれ有意な相関を認め た.しかし,2 時間 IRI は C ペプチド・空腹時 IRI・HOMA-β ・HOMA-IR いずれとも相関を認めなかった.ただし,2 時間 IRI が 100 未満の患者(29 名)では,いずれとも相関 を認めた.【考察】インスリン分泌能の評価には,空腹時 IRI・HOMA-β ・HOMA-IR が 有 用 で あ る が,2 時 間 IRI が 100 未満の患者では,2 時間 IRI も有用である. 検討 高知記念病院糖尿病内科 久川奈緒子 池田幸雄 【目的】2 型糖尿病患者において空腹時グルカゴン濃度の意 義を検討する.【方法】対象はインスリン療法を行っていない 2 型糖尿病患者 177 名(男!女,103!74;平均年齢 63 歳).血 中グルカゴン濃度と IRI,CPR,プロインスリン,その他の 臨床指標との関連を検討した.【結果】グルカゴン濃度は女性 に比べ男性で高値であった.単回帰分析では,IRI,CPR,プ ロインスリンと有意な正相関を示した(すべて p<0.0001). また,HOMA-IR,HOMA-β ,BMI,FPG,HbA1c,TG,FFA, ALT,γ GTP と正相関,QUICKI,eGFR と負の相関を示し た.多変量解析では,性別と IRI が独立した寄与因子であっ た.糖尿病治療薬との関連はみられなかった.【結語】グルカ ゴン濃度がインスリン分泌や抵抗性指標と関連することが 示された.メタボリックシンドロームの構成因子と関連して おり,その病態形成にかかわる可能性も考えられる. 1-E-05 HbA1c 値と GTT 結果との解離例から職域にお ける糖尿病スクリーニングを考える NTT 西日本中国健康管理センタ 西田真理子 山根公則 森 浩 【背景】労働安全衛生法による定期健康診断では空腹時血糖 値と尿糖は必須だが, HbA1c は血糖検査に代替可とあり, 時に血糖値と HbA1c の解離例を経験する.【目的】HbA1c 6.5 %未満だが,GTT で糖尿病型となる集団の特徴を捉え, 糖尿病スクリーニングに活用する.【対象・方法】2005∼ 2013 年のドック受検例 4,036 名で,GTT 結果と HbA1c の 関連を検討した.【結果】GTT が糖尿病型の集団を HbA1c 6.5 %未満群と同以上群とに分けると,前者は有意に BMI と腹囲が低値であり,負荷後 2H 値のみ高値の糖尿病型が 多かった.一方,HbA1c6.5 %未満例を GTT が非糖尿病型 と糖尿病型に分けると,後者は有意に年齢と BMI が高値で あり,高血圧や脂質異常が多かった.【結論】HbA1c6.5 %未 満でも,高年齢で肥満があり,高血圧や脂質異常の合併例で は,積極的に GTT を施行する必要性が示唆された. 1-E-06 2 型糖尿病患者における eGFR の妥当性につい て 徳島大学医学部栄養学科1 徳島大学糖尿病臨床・研究開発センター2 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部生体情報内科学3 徳島大学病院糖尿病対策センター4 徳島大学藤井節郎記念医科学センター5 荒木迪子1 田蒔基行2 黒田暁生2 大黒由加里3 倉橋清衛3 近藤剛史3 粟飯原賢一3 遠藤逸朗3 安藝菜奈子4 松本俊夫5 松久宗英2 【背景・目的】糖尿病患者の腎機能を正確に評価することは重要である.われわれは eGFR の精度を悪化させる因子を検討した.【方法】対象は 2010 年 10 月から 2014 年 2 月に当科に入 院した 2 型糖尿病患者で腎症 3 期までの 65 例.eGFR と 24 時間畜尿によるクレアチニンクリ アランスを算出し,それぞれに影響を及ぼす因子を検討した.eGFR は,日本腎臓学会の推算 式に従った.【結果】対象は年齢 57.4±16.3 歳,BMI28.2±7.2 kg!m2,24 hrCCr103.4±44.7 ml!

min,eGFR74.3±22.6 ml!min!1.73 m2,HbA1c8.4 %±1.7 であった.24 hrCCr と BMI には有

意な正の相関を認めたが,BMI と eGFR には相関関係は認めなかった.24 hrCCr!eGFR 比と BMI では有意な正の相関を認め,肥満度が高いほど eGFR は過小評価されていた.【結論】2 型糖尿病患者において,BMI が増加すると eGFR は過小評価されることが示された.

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1-E-07 糖尿病腎症における尿試験紙による尿中アルブ ミン・クレアチニン比測定の性能に関する検討 広島市立安佐市民病院代謝内分泌科1 広島市立安佐市民病院臨床検査部2 志和亜華1 吉井陽子1 森田益子2 【目的】尿定性法にてアルブミン・クレアチニン比測定が可能であ り,その性能を検討した.【対象と方法】尿蛋白定性にて−もしく は±を示し,尿中微量アルブミン定量を施行した糖尿病患者 271 例を対象とした.尿アルブミンをクレアチニン補正した尿試験紙に よるアルブミン・クレアチニン比(A!C 比)の評価は希釈尿,正常 (<30 mg!g・Cre),1+(30,80,150 mg!g・Cre),2+(≧300 mg!g・Cre)の 4 段階にて行った.【結果】腎症 1 期 200 例,2 期 66 例,3 期 5 例.尿蛋白定性法の腎症 2 期以上に対する感度は 42.3 %, 特異度は 86.5 %, A!C 比の腎症 2 期以上に対する感度は 81.7 %, 特異度は 77.5 %であった.腎症 2 期以上に対する定性法および A! C 比の ROC 曲線下面積は,定性法 0.654,A!C 比 0.869 であり,A! C 比定性法の方が有用であった.【結論】尿試験紙による A!C 比測 定は尿蛋白定性法よりも有用な腎症スクリーニング法である. 1-E-08 産科医院と連携した妊娠糖尿病の管理 手納医院 手納信一 大国康子 金月由美子 高見志帆 服部 忍 熱田恭子 豊田夕子 松浦久美子 山本栄子 手納朋子 【背景】妊娠糖尿病の診断基準が変更されて糖代謝合併妊娠 は増加したため,軽度の糖代謝異常合併妊娠は市中の産科 医院も担わざるを得なくなっている.当院では近隣の産科 医院で分娩を希望する糖代謝合併妊婦の内科的・眼科的管 理を行っており,その患者像を報告する.【対象】H25 年 10 月から H26 年 8 月までに妊娠糖尿病が疑われると紹介さ れ分娩に至った 6 人.年齢は 35.2±4.7 歳(29-42),紹介時 妊娠週数 28.7±8.1 週(16-37)ブドウ糖負荷試験の血糖値 0 分 101±6 mg!dl(93-108),60 分 172±40(104-212),120 分 164±29(131-206)で 2.2±0.8(1-3)点異常であった.【結 果】3 例がインスリンを使用したが,インスリン使用群とイ ンスリン非使用群で臨床的に優位な差はなかった.最終的 に 5 例が紹介元の産科医院で分娩し 1 例が他病院で帝王切 開にて分娩した.重篤な周産期合併症は認めなかった. 1-E-09 妊娠糖尿病褥婦に「わたしと赤ちゃんの健康手 帳」を用いて指導を行った効果 医療法人社団井口会総合病院落合病院看護部1 同 産婦人科2 同 糖尿病内科3 岡山大学医学部歯学部付属病院腎臓・糖尿病・内分泌内科4 美甘由加里1 田中時江1 西田佐世子1 山下美保子1 宮本千春1 押目仁美1 近藤恒正2 広田大昌4 利根淳仁4 高橋 泰3 【背景】妊娠糖尿病の定義と診断基準の改訂に伴い,当院でも頻度が増加したこと 【目的】妊娠糖尿病の褥婦に,助産師が「わたしと赤ちゃんの健康手帳」を用いて 統一した指導を行うことで,産後の継続した健康管理(血糖管理)に効果的であっ たかどうかを明らかにする.【対象】妊娠糖尿病褥婦【結果】褥婦から手帳の内容を 理解出来ている言葉が聞かれた.面接により,妊娠糖尿の知識,体重増加,検査結 果上昇の原因,不安や疑問が引き出せた.【考察】褥婦本人の振り返りができた.家 庭環境などから個別に時期に合わせた指導も必要と感じた.助産師同士情報共 有・統一指導ができた.【結論】1.「経過表」により助産師同士情報共有でき統一し た個別性に応じた指導ができた.2.「手帳」により,産後も継続して受診ができた. 3.助産師が関わることで,安心感があり不安表出しやすく信頼関係が築けた. 1-E-10 妊娠糖尿病患者における妊婦,新生児の合併症に 関する検討 淀川キリスト教病院糖尿病・内分泌内科1 淀川キリスト教病院産婦人科2 原田万祐子1 前田ゆき1 阿部泰尚1 梶川道子1 丸尾伸之2 柱本 満1 【目的】妊娠糖尿病(GDM)患者において妊娠中・出産時の合併症 発症に影響を及ぼす因子を検討した.【方法】2012 年 2 月から 2014 年 7 月に当院産婦人科で出産した GDM 妊婦 55 例を対象に,妊婦, 新生児の合併症に関連する臨床指標を後ろ向きに検討した.また, インスリン使用群(A 群)と非使用妊婦(B 群),75 g-OGTT 新診 断基準 1 点陽性群(C 群)と 2 点以上陽性群(D 群)での群間比較 を行った.【結果】巨大児(LGA:出生時体重基準値の 90 %以上)を 出産した妊婦は,妊娠前後での体重増加率が有意に高く,新生児黄 疸を来たした例では初産が有意に多かった.B 群は A 群に比べて 妊娠高血圧症候群の合併が有意に高率であったが,C,D 群間では 合併症発症に有意差を認めなかった.【結論】新診断基準やインス リン使用の有無では,合併症を予測できない可能性が示唆された. 1-E-11 1 点陽性妊娠糖尿病(GDM)における産後耐糖能 異常に関する検討 地方独立行政法人広島市立病院機構広島市立安佐市民病院代謝 内分泌科1 地方独立行政法人広島市立病院機構広島市立安佐市民病院産婦 人科2 吉井陽子1 志和亜華1 寺本秀樹2 【目的】2010 年の GDM 診断基準改定により GDM は約 3 倍に増加しその半数以 上は 1 点陽性である.1 点陽性 GDM の産後管理について検討する.【対象と方法】 2010 年 7 月から 2014 年 3 月に GDM と診断し産後 75 gOGTT を行った 44 例. 陽性点数別にインスリン分泌の指標 Insulin Index(II),インスリン感受性の指標 MATSUDA index(IS),インスリン抵抗性の指標 HOMA-IR を用い検討した.【結 果】1 点陽性 33 例,2 点陽性 7 例,3 点陽性 4 例.二項目ロジスティック分析にお いて産後耐糖能異常の有意な予測因子は認めなかった.1 点陽性例のうち産後正 常耐糖能(NGT)23 例と産後耐糖能異常(IGT)10 例の比較では,NGT では IS と HOMA-IR は有意に改善,IGT では HOMA-IR は有意に改善したが,IS は改善 しなかった.【考察】産後 IGT の有意な予測出産前因子を認めないが,1 点陽性 IGT 群では産後 IS は改善せず.産後 OGTT による耐糖能評価が必要である. 1-E-12 妊娠糖尿病症例の産後の耐糖能についての検討 愛媛県立新居浜病院内科 南 尚佳 芝田直純 野中 卓 田鶴谷奈友 【目的】妊娠糖尿病と診断された母体の産後の耐糖能につい て検討した.【対象】対象は 2010 年 9 月から 2014 年 8 月に 当科で加療した妊娠糖尿病患者の中で,産後に 75 gOGTT にて耐糖能を評価できた 13 例で,うち 9 例は授乳終了後に 検査を実施した.平均年齢 33.6±6.0 歳,妊娠前平均 BMI は 22.7±4.1 kg!m2であった.10 例に糖尿病の家族歴を認め た.妊娠中のインスリン使用例は 9 例であった.【結果】妊娠 前出産後の体重変化は 2 例で増加し,4 例で減少した.75 gOGTT では 6 例は耐糖能異常(空腹時血糖異常 1 例,境界 型 4 例,糖尿病型 1 例)であった.Insulinogenic Index は 0.4 未満が 5 例,HOMA-R の上昇が 5 例に認められた.耐糖 能,インスリン分泌能,インスリン抵抗性について 3 例が正 常範囲であった.【結論】妊娠糖尿病で産後に耐糖能異常を 認める症例では,耐糖能の悪化に留意し経過をみる必要が ある.

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1-E-13 当院における妊娠糖尿病の治療介入による周産 期予後の検討 国立病院機構呉医療センター内分泌・糖尿病内科1 国立病院機構呉医療センター医療情報管理部2 国立病院機構呉医療センター産婦人科3 小川知子1 田中可奈子2 池田真知子2 小早川真未1 水之江知哉3 亀井 望1 【目的】1 点陽性 GDM(GDM1),2 点以上陽性 GDM(GDM2)の特徴を明らかに し,治療介入による新生児合併症の抑制効果を推測する.【方法】2008 年 4 月から 2013 年 7 月の間に 75 gOGTT を施行し,当院で出産を行った 229 例の妊婦を正 常群,GDM1,GDM2 に分類し検討した.【結果】正常群 146 例,GDM1 55 例,GDM 2 28 例であった.妊娠中の体重増加は GDM で有意に抑制されていた.分娩週数, 分娩方法,出生時体重はいずれも差を認めなかった.治療介入方法は,GDM1 と GDM2 で差を認めなかったが,BMI25 以上の肥満者においてインスリン療法 が多く行われていた.GDM に対して産後 75 gOGTT を施行し,GDM1,GDM2 ともに,数例の耐糖能異常を認め,インスリンの過剰分泌が疑われた.【考察】今 回の検討では,正常群,GDM1,GDM2 で周産期予後に差を認めなかった.GDM 1,2 ともに産後の耐糖能異常を認め,経過観察が重要と考えられた. 1-E-14 出生時の低体重はその後の耐糖能・肥満に影響 するか 広島共立病院産婦人科1 広島共立病院内科2 広島市立安佐市民病院臨床検査部3 三田尾賢1 森下尚明2 森田益子3 【目的】低出生体重児はその後の耐糖能異常・肥満の一因となる か検討した.【対象】2012 年 2 月から 2014 年 6 月まで当院成人病 検診にて受診,婦人科癌検診も実施,アンケートに同意された 1319 例を対象とした.1 群:出生時体重が 2500 g 以下又は小さ いと聞いていた群(134 例),2 群:出生時体重が 2501 g 以上 3800 g 未満又は普通と聞いていた群(1108 例),3 群:出生時体重が 3800 g 以上又は大きいと聞いていた群(77 例)に分けた.現在の 耐糖能異常,現在の BMI,妊娠前 BMI を検討した.【結果】1 群, 2 群,3 群で空腹時血糖 126 mg!dl 以上 and!or HbA1c6.5 %以上 の割合は 11.9 %,5.6 %,7.8 %であった.現在の BMI で肥満の割 合は 18.6 %,15.9 %,19.5 %であった.妊娠前 BMI で肥満の割合 は 3.0 %,3.5 %,7.8 %であった.【考察】低出生体重児は,成人で の耐糖能異常・肥満の一因となることが推測された. 1-E-15 抗 GAD 抗体強陽性であった妊娠糖尿病の 1 例 松江市立病院糖尿病・内分泌内科 佐々木基史 多田裕子 【症例】30 歳,女性【主訴】妊娠糖尿病の精査【既往歴】バ セドウ病【現病歴】過去に高血糖の指摘なし.妊娠 30 週で 行われた 75 gOGTT で 92!143!160!160 と妊娠糖尿病型を 指摘され紹介となった.GA 13.8 %,抗 GAD 抗体 330 U! ml,抗 IA-2 抗体 1.2 U!ml,抗インスリン抗体陰性.インス リン分泌能は U-CPR 106.2μ g!day と保たれていたが,今 後の低下リスクを考慮し,妊娠 33 週よりインスリン治療開 始.最終インスリン Q4-2-6,D0-0-2.妊娠 40 週で無事出産 した.出産後,血糖は正常化しインスリン離脱.産後 3 か月 の抗 GAD 抗体 390 U!ml と高値を持続,産後 7 か月で試行 した 75 gOGTT は 92!146!179!132 と正常型であった.1 型糖尿病疾患感受性 HLA DRB1 0405,DQB1 0401 を有し ていた.【考察】抗 GAD 抗体陽性の妊娠糖尿病患者は,10 % 程度存在するとの報告がある.本症例は産後に正常耐糖能 となっているが,厳重な経過観察の必要がある. 1-E-16 妊娠中に CGM を施行し CSII のインスリン量を 調節し得た 1 型糖尿病合併妊娠の 1 例 広島大学病院内分泌・糖尿病内科 粟井 遥 久保田益亘 岸本瑠衣 大久保博史 前田修作 大野晴也 沖 健司 米田真康 【症例】36 歳女性【現病歴】26 歳で 1 型糖尿病と診断され,インス リン頻回注射で加療していた.妊娠 10 週で妊娠が判明し,妊娠 17 週時に血糖コントロール目的に当科へ入院した.持続血糖モニ ター(CGM)を施行したところ,食後の著明な高血糖,就寝中の低 血糖を認めた.血糖変動を抑えるため分割食とし,CGM の血糖変 動に基づき持続皮下インスリン注入(CSII)のインスリン量を細や かに調整することで良好な血糖コントロールを得た.【考察】本症 例は,絶対的なインスリン欠乏に加え,妊娠に伴うインスリン抵抗 性の増大,食事摂取量の変動により,血糖コントロールに難渋し た.CGM で食後高血糖や夜間の無自覚性低血糖を把握することに より,CSII によるインスリン量調節を正確に施行し得た.CGM を施行し CSII のインスリン量を調節する方法は,1 型糖尿病合併 妊娠に有効な血糖コントロール法であると考えられる. 1-E-17 CSII 導入により,良好な血糖コントロールを得た 1 型糖尿病合併妊娠の 1 例 山口県立総合医療センター 石堂亜希 末廣泰子 富永貴元 井上 康 症例は,33 歳女性(BMI 24.4 kg!m2).16 歳発症の 1 型糖尿 病で,MDI(アスパルト 12-14-28-0 単位,中間型インスリン 0-0-0-12 単位)で加療し,HbA1c は 7 %前後で推移してい た.今回第 1 子を妊娠,妊娠第 5 週に血糖コントロール目的 に紹介入院した.尿中 C―ペプチドは 0.6μ g!day 以下であ り,インスリン分泌能は枯渇していた.食事療法 1800 kcal (炭水化物 60 %,分割食),中間型インスリンをデテミルへ 変更し,インスリン漸増(MDI)したが,血糖高値で推移し た.食事療法 1600 kcal(炭水化物 50 %,分割食)へ変更, CSII を導入したところ,血糖コントロールの改善を得た.妊 娠前は,炭水化物の摂取量が少なく,SMBG での食後血糖の 測定は未施行であり,食後高血糖の指摘は困難であった. CSII 導入により,暁現象や夜間の無自覚低血糖に対する対 応が可能となり,HbA1c は 5.4∼5.7 %に改善し推移した. 1-E-18 6 年ぶりに第 2 子出産となった 1 型糖尿病妊婦 の 1 例 愛媛県立中央病院糖尿病内分泌代謝内科1 愛媛県立中央病院総合診療科2 愛媛県立中央病院産婦人科3 大野敬三1 上田晃久1 徳永仁夫1 戎井 理1 明坂和幸2 玉木みずね2 阿部恵美子3 【症例】30 代女性【既往歴】2008 年 8 月第 1 子出産(緊急帝王切開)3275 g,アプガー指数 8!9,出産直前グリコアルブミン 16.6 %【現病歴】2000 年に検診で尿糖陽性を機に 1 型糖尿病と診断,以後インスリン治療開 始.2008 年に妊娠出産後も挙児希望あり翌年 CSII 導入.2013 年妊娠が 判明.妊娠後期に血糖調整入院.分割食を導入,CGM による血糖変動 の評価を行い厳格な血糖コントロールを行った.前置胎盤のため反復 帝王切開のうえ 37 週 4 日で出産.アプガー指数 7!8,2759 g,出産直前 グリコアルブミン 14.7 %【考察】1 型糖尿病合併妊娠,第 1 子,今回と も妊娠前期血糖コントロールは不良であった.それでも既往帝切後妊 娠,前置胎盤であり妊娠後期には入院による CGM による血糖評価, CSII プログラミング,分割食を行い,その後安定した経過をたどるこ とができた.当院 1 型糖尿病合併妊娠の現状などあわせて報告する.

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2-A-01 糖尿病地域連携パスの評価∼今後の療養指導に 向けて∼ 市立三次中央病院看護部1 市立三次中央病院診療部2 加井妻恵美1 福原真理1 森岡由希子1 池田直子1 根間明子1 重中奈緒子1 西田賀恵1 福島紀子1 杉廣貴史2 毛利 慧2 【目的】糖尿病地域連携パスがスムーズに運用できるよう取り組んで きた.約一年半が経過し,パスの評価と今後の療養指導について検討 する.【方法】パス適応患者 46 名に対し,パス最終日にアンケートを 実施し,集計した.糖尿病療養指導チーム会議で現状報告,改善点の 検討を行った.【倫理的配慮】文書によりアンケートの趣旨を説明し, 回答をもって同意とした.【結果】指導時間・指導回数は適切だった 91 %以上.待ち時間が長い 48 %.指導内容がわかりやすく,今後に 活かせそう 89 %以上.目標を達成できた 85 %,達成できなかった 15 %.パス総合的な評価は 85 %が満足と回答した.【考察】チーム会 議でパスの現状を報告し,指導場所の変更や予約時間の修正など,運 用改善に取り組むことができ,高い満足度が得られた.今後は,症例 カンファレンスを行い,より個別的な療養指導が必要と考える. 2-A-02 「岡山県糖尿病等生活習慣病医療連携事業」3 年 目の課題と今後の展開 岡山大学病院糖尿病センター1 岡山県糖尿病等生活習慣病医療連携推進事業2 利根淳仁1 四方賢一1 岡山県生活習慣病対策推進会議糖尿病対策専門部会2 岡山県では,糖尿病医療に関わる医師およびメディカルスタッフの資 質向上と県民への普及・啓発を推進する目的で,2012 年度より岡山県 糖尿病等生活習慣病医療連携事業がスタートし,医療機関を機能別に 総合管理,専門治療,慢性合併症治療,急性増悪時治療の 4 つに分けて 登録し,糖尿病医療連携ネットワークを構築している.平成 25 年度の 実績報告では,総合管理医療機関 262 施設,専門治療医療機関 28 施設 と登録件数は順調に増加し,総合管理医から専門施設への紹介件数も 増加しているが,総合管理施設の実績報告書の回答率は年々低下を認 めた(H23 年 82.8 %,H25 年 70.2 %).このため,本事業 HP 上での医 療機関情報の一般公開,「総合管理医ハンドブック」の作成,機関誌「お かやま DM ネットジャーナル」創刊等により,情報発信力の強化と登 録施設のメリットの明確化を今後の課題として取り組んでいる. 2-A-03 糖尿病と病態栄養を含めた亜広域にわたるカン ファレンスの取り組みの現状 社会福祉法人恩賜財団済生会今治病院看護部1 同 薬剤部2 同 栄養科3 同 検査部4 同 内科5 重松裕子1 村上比奈恵1 酒井美文2 石丸和幸3 平塚京子4 山口朋孝5 恩地森一5 【目的】平成 25 年度 7 月より糖尿病と病態栄養カンファレンスを開始 した.開始後 1 年間の取り組みを振り返り,カンファレンスの取り組み の現状・課題について報告する.【現状】平成 25 年 7 月から平成 26 年 7 月末まで 46 回開催 開催日時:毎週月曜日,18:00∼20:00 参加職 種:医師・検査技師・薬剤師・看護師・管理栄養士・理学療法士など 参加者数:約 15 名!回内容:症例検討(糖尿病と病態栄養)・臨床研 究・研修報告・最近の話題・糖尿病教室の企画運営など【まとめ】カン ファレンスは多職種が参加し,糖尿病と病態栄養に関する症例検討な どの取り組みが行われており,学習の場,情報共有,多職種連携,患者 支援,チーム医療として有用であると考える.カンファレンスを充実さ せ,個々が各職種の専門性を生かした支援,および質の高いチーム医 療,患者支援を提供できるチーム作りが今後の課題である. 2-A-04 多職種による糖尿病回診の取り組み∼評価と 2 年目の課題∼ 済生会今治病院看護部1 済生会今治病院栄養科2 済生会今治病院薬剤部3 済生会今治病院検査部4 済生会今治病院内科5 村上比奈恵1 重松裕子1 長野加奈子2 酒井美文3 平塚京子4 山口朋孝5 恩地森一5 【目的】入院中の糖尿病患者の糖尿病コントロールとチーム医療の向上を目 的に,平成 25 年 7 月より回診を開始.その取り組みと今後の課題を報告す る.【方法】回診は週 1 回.参加職種は,糖尿病チームの糖尿病専門医・内科 医師・看護師・検査技師・薬剤師・管理栄養士及び病棟看護師.回診では, 各職種が情報提供し,より良い治療方法や療養支援を提案している.【結果】 1 年間の回診者数は延べ 133 名.主に行った支援は,看護師面談 28 名,栄 養指導 35 名,服薬指導 45 名.退院後の継続支援は,看護師面談 2 名,栄養 指導 8 名.病棟看護師の回診への参加は少ないが,参加者からは,病態理解 や知識の向上・療養指導に繋がるという意見が聞かれた.【考察】糖尿病回 診を行うことで,支援が必要なより多くの患者にチームで関わることがで きた.今後は,外来への継続支援,病棟スタッフへのサポートが課題である. 2-A-05 SGLT-2 阻害薬導入による血糖コントロール改善 および体重,体脂肪減少効果の検討 広島赤十字・原爆病院内分泌・代謝内科 長野千尋 中西修平 宮原弥恵 澤野文夫 【目的】SGLT-2 阻害薬導入による血糖,体重,体脂肪量の 変化を肥満 2 型糖尿病入院患者で検討する.【対象】イプラ グリフロジン(2 例),トホグリフロジン(1 例)を導入した 3 例.年齢 55±21.0 歳,BMI 31.3±3.0 kg!m2,HbA1c 10.1± 2.3 %,全例他系統の糖尿病薬が処方されていた.【方法】厳 格な基礎治療のもと前薬に SGLT-2 阻害薬を追加導入し, 入退院時の体重,CT での体脂肪量を比較・検討した.【結 果】SGLT-2 阻害薬導入後 HbA1c は 7.7±0.93 %まで改善 し,全例で著明な体重減少(BMI 28.4±2.4 kg!m2)を認め た.内臓脂肪面積,皮下脂肪面積ともに減少したが,内臓脂 肪!皮下脂肪比に有意な変化を認めなかった. 【考察】SGLT-2 阻害薬は確実な血糖コントロール改善,体重減少作用を 有し,内臓脂肪,皮下脂肪ともに減少しうることが示され た. 2-A-06 イプラグリフロジンの血糖降下作用および In-BodyS20 を用いた体組成変化の検討 厚生連廣島総合病院糖尿病代謝内科・糖尿病センター 浅生貴子 堀江正和 木ノ原周平 石田和史 【目的】イプラグリフロジン(IF)の臨床効果を血糖降下作 用,体組成変化の観点で検討する.【方法】当院外来通院中の 2 型糖尿病患者ですでに薬物療法中の患者のうち,IF50 mg を追加開始した 8 症例を対象とした(男性 1 名,女性 7 名, 平均年齢 56.4±10.6 歳,HbA1c7.7±0.8 %).血糖降下作用 は HbA1c を指標とし,InBody S20 を用いた体組成分析を 継時的に行い評価した.【結果】1)すでに薬物療法中の患者 においても IF 開始により HbA1c は有意に低下した.2)体 重は有意に減少したが,その減少は体脂肪量の減少が主で あり,筋肉量は減じなかった.3)個別の服薬指導により, 脱水症や感染症の併発は回避できた.【結論】IF は相加的な 血糖降下作用を発揮し,体組成改善の観点からも有用と考 えられた.懸念されたサルコペニアの助長は見られなかっ た.

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2-A-07 CGM による SGLT2 阻害薬イプラグリフロジン 有用性の検討 岡山済生会総合病院糖尿病センター 庄島蘇音 松本美帆 前田英紀 浦上経子 武田昌也 北村卓也 渡辺恭子 中塔辰明 【目的】CGM を用いてイプラグリフロジンの有用性を検証する【方 法】2 型糖尿病患者 2 例に本剤 50 mg を 1 日 1 回投与,投与前およ び 2 週後に CGM で血糖変動を評価した.また投与前および投与 1 ヶ月後における HbA1c および体重の変化量,尿糖排泄量の推移お よび血中ケトン体の変動についても検討した.【結果】2 症例とも投 与前と比べ投与 2 週後において,夜間の平均血糖値は低下し,食後 の血糖最大値や血糖増加量にも低下がみられた.投与期間中の尿 糖排泄量はそれぞれ平均 64 g!日,41.5 g!日であった.血中ケトン 体は 2 例とも軽度の上昇が認められた.HbA1c はそれぞれ 7.2 % から 5.9 %,6.8 %から 6.0 %へと改善,体重も 91.5 kg から 85.8 kg, 66.2 kg から 62.2 kg へと改善がみられた.2 症例とも安全性および 忍容性に問題は認められなかった.【結論】CGM による解析により 夜間血糖および各食後の血糖に改善効果が確認できた. 2-A-08 SGLT2 阻害薬投与により,繰り返し失敗してい た減量に成功した,高度肥満 2 型糖尿病の 1 例 周南市立新南陽市民病院内科 中森芳宜 田上耕蔵 松谷 朗 【症例】39 歳,女性【主訴】減量を希望【現病歴】5 年前に 2 型糖尿病と診断された.初診時 BMI 47.8 kg!m2と高度肥 満を認め,当初から減量が課題であった.2009 年から 2012 年の間に,減量を目的とする入院を 3 度行ったが,十分な結 果は得られなかった.継続することが困難なカロリー制限 を加える一方,短期間では本人の意欲につながる程の成果 が得られないことが,失敗を繰り返す理由と思われた.今 回, 1400 kcal!日の食事療法(標準体重×27.3), 運動療法, 薬物療法(DPP4 阻害薬,ビグアナイド薬)に SGLT2 阻害 薬投与を追加した.過剰な精神的ストレスを伴うことなく, 3 ヶ月間で 10 kg の体重減少が得られ,血糖値も改善した. 【考察】食事療法,運動療法を継続して行える環境下での SGLT2 阻害薬投与は,肥満を伴う 2 型糖尿病患者の血糖! 体重管理に有用である. 2-A-09 イプラグリフロジン投与後の臨床効果と患者ア ンケートによる使用後調査 特定医療法人社団村上記念病院内科1 特定医療法人社団村上記念病院栄養課2 三玉康幸1 木下麻依2 川上志帆2 廣澤裕代1 山辺瑞穂1 【目的】SGLT2 阻害薬投与開始後の臨床効果や患者の使用感を検 討する.【方法】当院でイプラグリフロジン 50 mg の投与を開始し た 13 例(男性 5 例,女性 8 例,平均年齢 56.6 歳,平均 BMI28.1)に ついて開始から 3 か月後までの臨床データを比較した.また開始 3 か月後にアンケートを行い排尿回数,口渇,筋力低下などの自覚症 状を調査した.【結果】13 例のうち,治療中断は 3 例で便秘,尿路感 染,短期処方困難が原因であった.BMI は継時的な低下を認め,ヘ マトクリットは上昇した(いずれも P<0.05).HbA1c 値は変化が なかった.7 例が尿量増加と答えたが夜間頻尿はなく,筋力低下を 自覚する患者も認めなかった.【考察】イプラグリフロジン投与 3 か月間で BMI は減少するものの HbA1c 値に変化はなく,脱水に よる影響も示唆された.尿量は日中中心に増加したが,忍容性は保 たれていた.今後症例数を追加して報告する予定である.

2-A-10 SGLT2 阻害薬が著効した Prader-Willi syndrome 合併糖尿病の 1 例 寺沢病院1 徳島大学糖尿病臨床・研究開発センター2 徳島大学疾患酵素学研究センター3 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部生体情報内科学4 徳島大学藤井節夫記念医科学センター5 鶴尾美穂1 黒田暁生2 湯浅智之3 松本直也1 近藤剛史4 木内美瑞穂4 松本俊夫4,5 松久宗英2 寺澤敏秀1 症例は 30 歳女性.2 歳時に肥満が顕性化し,11 歳で糖尿病を発症.遺伝子検査で Prader-Willi syndrome と診断されメトホルミンを開始.16 歳よりインスリン治療を開 始したが,食欲,血糖のコントロールができず,平成 22 年 9 月に当院へ紹介.初診時 73.9 kg BMI32.5 で,インスリンは朝・夕に超速効型 30 単位,昼に速効型 35 単位,眠前 持効型 55 単位,メトホルミン 750 mg で HbA1c14.1 %であった.皮下硬結指導,栄養 指導,運動療法,シタグリプチンやリラグルチドの併用で HbA1c9.4 %となったが,体 重は 85 kg まで増加. 平成 26 年 4 月よりイプラグリフロジン 50 mg 朝食後に開始し, 空腹時血糖値が低下したためインスリングラルギンを中止した.追加インスリン量に 変化なし.3 か月後に HbA1c8.1 %となり体重も 81 kg と減少した.Prader-Willi syn-drome への新しい治療法として SGLT2 阻害薬の有用性が示唆されたので報告する. 2-A-11 イプラグリフロジン短期投与における有効性と 安全性の検討 済生会松山病院内科 一ノ宮奈美 稲田 暢 有友佳奈子 北畑翔吾 白石佳奈 砂金光太郎 宮本裕也 青野通子 中口博允 藤堂裕彦 梅岡二美 堀 和子 村上英広 沖田俊司 宮岡弘明 岡田武志 【目的】2 型糖尿病患者に対する SGLT2 阻害薬イプラグリフロジンの 有効性と安全性を明らかにする.【方法・対象】当院通院中の 2 型糖尿 病患者 7 名(平均 47.4 歳,37∼58 歳,男性 6 例,女性 1 例,体重 91.57 kg,HbA1c 7.471 %)にイプラグリフロジン 50 mg を投与し,1∼2 か月後の体重,HbA1c の推移,有害事象の有無を検討した.【結果】投 与 開 始 1∼2 ヶ 月 で 体 重 は 2.871 kg 減 少(p=0.0391),HbA1c は 0.357 %低下(p=0.0234)した.主な有害事象は,頻尿,多尿,尿中ケ トン体陽性,口渇,排尿時痛などであった.重度の低血糖はなく,臨床 上重大な問題となる有害事象は認めなかった.【考察】イプラグリフロ ジン 50 mg の短期投与において有意な体重減少,HbA1c 低下を認め, 有効性が確認された.また重度の低血糖はなく安全性も確認された. 2-A-12 SGLT2 阻害薬の臨床効果の検討 寺沢病院1 徳島大学糖尿病臨床・研究開発センター2 徳島大学疾患酵素学研究センター3 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部生体情報内科学4 徳島大学藤井節夫記念医科学センター5 浅井廣平1 鶴尾美穂1 黒田暁生2 湯浅智之3 伊澤真弓1 近藤剛史4 木内美瑞穂4 松本俊夫4,5 松久宗英2 寺澤敏秀1 【目的】肥満を伴う 2 型糖尿病患者に対する SGLT2 阻害薬の臨床 的効果を検討する.【方法】2014 年 4 月 30 日∼6 月 30 日に,同薬 剤が処方された 30∼60 歳代の患者 7 例(年齢:46.6±11.8 歳, HbA1c:8.6±0.9 %,BMI:35.2±4.5 kg!m2,eGFR:96.8±23.4

ml!min!1.73 m2)を対象に 8 週間後の HbA1c,体重と,インスリ ン併用者 6 例については併用インスリン量の変化を検討した. 【結果】8 週後の HbA1c は−0.7±0.9 %(p=0.037),BMI は−0.8± 0.8 kg!m2(p=0.021),併用インスリン量は約−16±18 単位!日 (p=0.027)となった.【結語】肥満傾向の強い 2 型糖尿病患者に対 する SGLT2 阻害薬の服用は HbA1c 低下のみならず併用インス リン量の減量, 体重コントロールにも有用であると考えられた.

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2-A-13 SGLT2 阻害薬投与数日後に尿路感染症による敗 血症性ショックをきたした 2 型糖尿病の 1 例 岡山済生会総合病院糖尿病センター 松本美帆 北村卓也 前田英紀 庄島蘇音 浦上経子 武田昌也 渡辺恭子 中塔辰明 【症例】71 歳 女性【現病歴】2 型糖尿病にて近医通院中,SU 剤, DPP-4 阻害薬にて HbA1c 8.9 %.SU 剤を中止,イプラグリフロジン 50 mg の開始 6 日後,嘔吐,下痢にて同医院受診,意識レベルが低下, 救急搬送された.【現症】JCSI-3 血圧 98!60 mmHg 体温 39.0 ℃ 155 cm 65 kg 【検査】WBC29880 CRP17.45 PG303 HbA1c8.8 %プロカ ルシトニン 38.09 ng!ml 尿:白血球(3+)細菌(4+)腹部 CT: 左腎盂尿管部に小結石・腎盂尿管の拡張【経過】尿路感染症として 加療を開始,搬送数時間後に血圧が 76!50 mmHg に低下,敗血症性 ショックと考えた.尿培養では大腸菌が検出.治療経過は良好で あった.【考察】血糖コントロール不良例での SU 剤中止後,SGLT-2 阻害薬による尿糖増加によって尿路感染症が発症,敗血症性 ショックに至った可能性を考えた.症例によっては SGLT2 阻害薬 の投与が重篤な尿路感染症に至る可能性があり注意が必要である. 2-A-14 当院で選択的 SGLT2 阻害薬を導入した 14 症例 の経過 医療法人社団おおつか内科医院 山田美紗子 山地恭子 髙木知子 江藤紀子 立川千裕 大塚章司 【背景】2014 年 4 月,国内初の選択的 SGLT2 阻害薬としてイ プラグリフロジンが発売された.当院では,長期に渡り食事運 動療法に複数の薬剤やインスリンを併用しているにも関わら ず,血糖コントロール不良の 2 型糖尿病患者にイプラグリフ ロジンを導入したところ,導入した 13 症例中 6 症例に,導入 開始 1 か月で HbA1c が 1 %前後の低下が見られた.【目的】イ プラグリフロジンの効果について検証する.【対象】イプラグ リフロジンを導入した 13 症例【方法】内服前後の身体の変化 や生活状況について聞き取り調査を行った.【結果】13 症例中 12 症例に尿量・尿回数・性状の変化が見られた.2 症例に下 肢浮腫の軽減が見られた.また,尿量の増加で効果を実感した ため,服薬コンプライアンスもよかった.【考察】長期血糖コン トロール不良例に選択的 SGLT2 阻害薬は有用である. 2-A-15 SGLT2 阻害薬トホグリフロジンの効果を入院中 に観察した 1 例 国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター内分泌・糖尿 病内科 弓場智雄 小川知子 小早川真未 亀井 望 症例は 47 歳男性.42 歳で糖尿病を指摘されるも放置.45 歳頃から 近医で加療されていたが血糖コントロールは不良であり,当科に 紹介.初診時,体重 101.5 kg(BMI 32.8 kg!m2)と肥満を認め,メ トホルミン 750 mg,グリメピリド 2 mg,ボグリボース 0.6 mg を内 服するも随時血糖 314 mg!dl,HbA1c 10.0 %であった.血糖管理目 的で入院し,第 3 病日よりトホグリフロジン 20 mg を開始しグリ メピリドを 1 mg に減量.急激な血糖値の改善を認めたためグリメ ピリドは第 4 病日より中止し,ミチグリニド 10 mg を追加して退 院した.SGLT2 阻害薬は重症低血糖の報告もあり,「適正使用に関 する Recommendation」では併用時にはグリメピリド 2 mg 以下に 減量する事がすすめられている.本例はトホグリフロジンの著効 例であり,血糖値の推移を観察できた.SGLT2 阻害薬と SU 薬の併 用では急激に血糖値が改善する例もあり注意が必要である. 2-A-16 SGLT2 阻害薬イプラグリフロジンの有効性と安 全性の検討 カメリア内科・糖尿病内科クリニック 井上靖浩 喜田ひとみ 相原早緒理 【目的】2 型糖尿病患者における SGLT2 阻害薬イプラグリフ ロジン(Ipra)の有効性と安全性の検討.【対象と方法】当院外 来通院中の 2 型糖尿病患者 55 例(年齢 51.1±11.7 才,男 25 例,女 30 例,体重 82.5±17.3 kg,HbA1c 7.5±1.1 %)に対し て Ipra25 mg!日を単独または追加投与し,Ipra 投与の有効 性と安全性を検討した.【結果】Ipra 投与開始後,体重は有意 に改善した(8 週後;78.9±13.9 kg).腹囲,収縮期血圧,血 中尿酸値も有意な減少を認めたが,8 週後の HbA1c は 8.1 % と有意に上昇していた.BUN,Ht の有意な上昇はなく,尿路 感染症,亀頭炎を認めたが,重大な副反応はなかった.8 週後 に体重,HbA1c ともに改善したのは全体の 27.8 %であった. 【総括】Ipra 投与による重大な副反応はなく,有意な体重減少 を認めたが,血糖コントロール悪化例がみられた.血糖への 影響を中心に Ipra の有効性,安全性について報告する. 2-B-01 2 型糖尿病患者における内臓脂肪面積と EPA! AA 比および DHA!AA 比の関係 広島赤十字・原爆病院内分泌・代謝内科1 呉医療センター内分泌・糖尿病内科2 土谷総合病院内分泌内科3 中村クリニック4 中西修平1 平野雅俊4 小早川真未2 赤木晴菜1 近藤拓馬1 渡邊 浩3 長野千尋1 宮原弥栄1 澤野文夫1 【目的】2 型糖尿病における血清エイコサペンタエン酸(EPA),ドコ サヘキサエン酸(DHA)濃度と内臓および皮下脂肪面積との関連を検 討する.【対象】2 型糖尿病で当科に入院し, 入院時血清 EPA,DHA, アラキドン酸(AA)および臍レベルの内臓脂肪 CT を実施した 168 名.【方法】空腹時 EPA!AA,DHA!AA 比と各面積を比較した.【結果】 EPA!AA 比(0.38±0.22:平均±標準偏差)は内臓脂肪(125±73 cm2 と負の相関を認めたが皮下脂肪(155±97 cm2)とは関連せず,その関

係は性,年齢,BMI で調整後も同様であった.一方 DHA!AA(0.77± 0.24)については両者とも関連を認めなかった.【考察・結論】内臓脂肪 に対する EPA と DHA の影響は異なり,EPA で認められる動脈硬化 性疾患抑制効果は内臓脂肪蓄積と関連する可能性がある. 2-B-02 食後血清を 用 い た 糖 尿 病 患 者 の LDL-C 評 価: nonHDL-C 応用の可否 三原市医師会病院内科1 土谷総合病院内科2 広島大学大学院分子内科3 江草玄太郎1 奥崎 健1 渡邊 浩2 米田真康3 (目的)2 型糖尿病(DM)患者の食後血清を用い,nonHDL-C から推 定 し た LDL-型糖尿病(DM)患者の食後血清を用い,nonHDL-C が 臨 床 応 用 可 能 か 検 討 し た.(方 法)114 名の DM 患者の食後血清を用い,超遠心法(U)で LDL-C を測定した.また別の 99 名の患者では臨床で汎用 される直接法(D)で測定した.(結果)① TG>400 では ULDL-C と nonHDL-C の相関直線からの偏位例が多く, TG<400 例 に 限 る と r=0.84 と 良 好 な 相 関 が 得 ら れ, ULDL-C=nonHDL-C−35 の関係がみられた.②別の DM 患者 99 名の検討において,DLDL-C と nonHDL-C から推 計した LDL-C の間には有意な関連が認められたが r=0.72 と低かった.(結語)食後血清でも TG<400 例であれば, nonHDL-C からおよその LDL-C 値を推測することは可能 であるが臨床応用には適さない.

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2-B-03 糖尿病治療を行っていない脂質異常症患者の血 糖コントロールの推移についての検討 町立奥出雲病院 和田昌幸 【目的】脂質異常症患者で,高コレステロール血症(以下高 コ症)をスタチンで是正すると血糖コントロールが改善す るという仮説を検討する.【方法】2005 年以降で高コ症に対 する投薬を行った患者 26 名を抽出,加療前と,加療後 2 年の間で HbA1c,体重の変化を検討する.なお,血糖に関 する治療を行っている患者,甲状腺機能異常患者は除いた. 【結果】HbA1c に関しては,投薬前と投与 2 年後で有意な変 化を認めなかった.また,全体を耐糖能異常の有無で区分す ると,耐糖能異常のない群では投薬前と比較して投薬 9 か 月後に HbA1c が増加傾向にあったが,その後減少し,投薬 9 か月後と比較して 1 年後,1.5 年後,2 年後の HbA1c は有 意に低下したが,投与前との有意差はなかった.【結論】スタ チン投与後 2 年では,血糖コントロールの有意な変化は認 められなかった. 2-B-04 脂質異常症を合併した 2 型糖尿病患者における エゼチミブの効果の検討 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科腎免疫内分泌代謝内科学1 医療法人愛善会由良病院2 畑中崇志1 小川大輔1 寺見直人1 西井尚子1 佐藤幹雄2 四方賢一1 槇野博史1 和田 淳1 【目的】2 型糖尿病患者におけるエゼチミブの効果を検討し た.【対象と方法】スタチン内服中で TG が高値であった 2 型糖尿病患者 10 名を対象にエゼチミブ 10 mg を追加し,4 ヵ月間観察した.(男性 3 名,女性 7 名,年齢 73.1±8.7 歳, HbA1c±0.6 %)【結果】HbA1c は有意な変動を認めなかっ た.TC(175.9±27.7→149.8±21.1 mg!dl),LDL-C(97.6± 5.6→77.5±5.6 mg!dl)は有意に減少した.TG,RLP-C(9.9± 5.8→8.6±4.3 mg!dl)も減少傾向であった.HDL-C は変動が なかったが,電気泳動法でリポ蛋白分画の HDL は有意に 増加した.small dense LDL の減少も示唆された.【結語】エ ゼチミブ投与により血清脂質の量だけでなく質の改善を認 め,冠動脈疾患のリスク軽減が期待された. 2-B-05 2 型糖尿病患者における合併症と脂肪酸(第 2 報) 倉敷中央病院糖尿病内科 松岡 孝 和田美輝 合田 悟 木村友香 中井志保 和田侑子 志井真和 藤原大介 武川 郷 鈴木貴博 高橋健二 【目的】2 型糖尿病患者の合併症と脂肪酸の関係を検討.【対象と方 法】EPA や DHA 製剤処方のない外来受診中の 2 型糖尿病患者で 脂肪酸分析を実施できた 259 例で,年齢,性別,HbA1c,細小血管 障害,大血管障害と各種脂肪酸との関係を調べた.【結果】①男女間 で差なし.②年齢と共に EPA,DHA,EPA!AA は高くなり後期高 齢者では低下,逆に AA は年齢と共に低下,後期高齢者で増加傾向 を示した.③ HbA1c は全ての脂肪酸と相関なし.④神経障害の有 無,腎症 1 期と 2 期,網膜症の有無についてはいずれの脂肪酸も相 関なし.⑤大血管障害群は非障害群と比較して,EPA,EAP!AA は差がなく,ω -6 系の AA やリノール酸,飽和脂肪酸のパルミチン 酸やステアリン酸が有意に低値を示した.【結論】他施設での報告 とは異なった結果であり,今後の更なる検討が必要である. 2-B-06 血中 GLP-2 は食後の脂質代謝と強く関連し,炎 症と負に関連する 愛媛大学医学部1 愛媛大学大学院糖尿病内科学2 秋田拓磨1 高田康徳2 長尾 優1 川村良一2 大沼 裕2 大澤春彦1 糖尿病患者(DM)42 名,非糖尿病患者(NDM)68 名にテストミー ルを用いた食事負荷を行い,食後 4 時間までの血中 glucagon-like peptide-2(GLP-2)と各代謝,炎症パラメーターとの関連を解析し た.その結果,空腹時及び食後の GLP-2 分泌は,DM および NDM 間で有意差を認めず,単回帰でも,空腹時及び食後の GLP-2 は,空 腹時血糖及び HbA1c と関連を認めなかった.一方,空腹時及び食 後の GLP-2 は,空腹時及び食後の中性脂肪,ApoB48,RLP-C,IRI と,また,食後の血糖および HOMA-IR と有意な正の相関を認め た.更に,年齢,性,BMI で調整した多変量解析の結果,空腹時の GLP-2 は,食後の血糖,TG,ApoB48,HOMA-IR と正に関連した. 更に,空腹時の GLP-2 は,炎症性サイトカインである IL-6,IL-8, TNFα と負に関連した.以上より,GLP-2 は糖代謝よりも脂質代謝 との関連が強い傾向にあり,炎症と負の関連が示唆された. 2-B-07 診療所外来における糖尿病患者の運動指導が運 動療法の実践に影響を及ぼす因子の検討 野島内科医院 野島秀樹 湯川博美 野島達也 【目的】DM 患者の運動療法の実践に影響を及ぼす因子を調べ る.【方法】当院に外来通院中の DM 患者 74 名(男性 49 名, 年齢 64.1±12.0 歳)に運動指導を行い,指導前,1 年後にアン ケートを施行した.【結果】指導前運動療法非実施者 23 名のう ち 1 年後運動療法実施者は 12 名であり,指導前運動療法非実 施者 51 名のうち 1 年後運動療法継続者は 49 名であった.指 導前運動療法非実施者の中で,1 年後運動療法実施者は非実 施者に比し指導前,運動する時間がないとした者が少なく,運 動する施設や設備がないとした者が多い傾向であった.1 年 後運動療法実施者は実施の理由として健康増進,ストレス解 消,医療スタッフの勧めの順に多かった.1 年後運動療法非実 施者は非実施の理由を運動する時間がないとした者が多かっ た.【結論】DM の運動療法の阻害因子として多忙が重要であ り多忙に配慮したきめの細かい運動処方が必要である. 2-B-08 摂食障害を有する 1 型糖尿病患者における活動 量計を用いた運動指導 香川大学医学部附属病院リハビリテーション部,糖尿病センタ ー1 香川大学医学部附属病院内分泌代謝内科,糖尿病センター2 香川大学医学部附属病院看護部,糖尿病センター3 香川大学医学部附属病院臨床栄養部,糖尿病センター4 香川大学医学部附属病院リハビリテーション部5 森田 伸1 井町仁美2 辻岡晃子3 大嶋球乃4 久米川知希4 人羅俊明5 山本哲司5 村尾孝児2 症例は 23 歳,女性.17 歳頃より過食や拒食があり摂食障害を認め,23 歳で糖尿病 ケトアシドーシス発症し 1 型糖尿病と診断,強化インスリン療法を行うも過食や拒 食,低血糖や高血糖を繰り返したため加療目的で紹介入院となった.入院時,HbA1c 12.6 %,BMI18.4 であった.食事量の増加と低血糖の頻度が減少したため運動指導 目的で主治医よりリハビリテーション依頼となった.評価として身体機能障害な し,運動習慣なし,運動意欲あり,体重や体形へのこだわりがあった.ストレッチ, 歩行(30 分以内程度)を指導し 1 日 2 回(食後)実施した.その後,運動量の確認 目的で活動量計を導入し評価した.測定結果は運動量過多となっており,歩行速度 は指導時と本人実施時で異なっていた.摂食障害を考慮し評価として用いた活動量 計が運動量の再確認に繋がり, 運動指導の有用な評価法となりうると考えられた.

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2-B-09 糖尿病患者への運動指導における活動量計の有 効性の検討 松山市民病院リハビリテーション科1 松山市民病院内科2 中田亮輔1 新谷哲司2 日野美佳1 菊池健蔵1 三津田容子2 渡部さやか2 仙波英徳2 坂尾ひとみ2 真鍋健一2 古川慎哉2 【背景】近年,活動量計による身体活動量の評価が注目されてい る.【目的】糖尿病患者への運動指導における活動量計の有効性を 検討する.【方法】2 型糖尿病患者 35 名を対象として活動量計で身 体活動量を測定した.3 METs 以上を中等度歩行強度と設定し,歩 数と中等度歩行時間との相関について検討した.平均歩数で 8000 歩未満(A 群)・8000∼10000 歩(B 群)・10000 歩以上(C 群)に 分類し,各群における中等度歩行時間 20 分以上の割合を比較し た.【結果】歩数と中等度歩行時間は有意に相関していた(r=0.5, P=0.0004).また,各群における中等度歩行時間 20 分以上の割合 は A 群 14 %,B 群 40 %,C 郡 100 %であった.【結論】歩数と中 等度歩行時間は相関していた.特に B 群においては歩行強度不足 を指摘することができる活動量計が有用であると考えられる. 2-B-10 心不全および変形性膝関節症を有する高齢 2 型 糖尿病に対する運動療法の経験 広島大学病院診療支援部リハビリテーション部門1 広島大学病院リハビリテーション科2 広島大学病院内分泌・糖尿病内科3 野島内科医院4 河江敏広1 岩城大介1 福原幸樹1 中島勇樹1 筆保健一1 伊藤義広1 米田真康3 三上幸夫2 木村浩彰2 野島秀樹4 心不全による労作時呼吸困難と変形性膝関節症による運動時膝関節痛を有し た高齢 2 型糖尿病患者に対して運動指導を行い運動の習慣化に至った症例を 経験した.対象は 80 歳代女性,心不全精査目的にて当院循環器内科に入院し, 血液検査にて空腹時血糖 345 mg!dl,HbA1c 9.5 %を認め,当院内分泌・糖尿 病内科に転科し運動療法開始となった.運動開始初期には労作時呼吸困難と 膝関節痛を認めたが,症状にあわせたトレッドミル歩行と膝関節に対する筋 力強化を実施,転科後 2 週間で退院となった.退院後は週一回外来での運動指 導を 7 ヶ月行い,指導期間中は身体活動量モニタリングを行った.その結果, 膝関節痛の軽快と食後血糖低下を認め,さらに経口糖尿病薬の内服終了に 至った.合併症複合例に対する運動指導には監視型運動療法が運動習慣獲得, そして血糖コントロール改善につながる一要因であることが推察された. 2-B-11 糖尿病合併冠動脈バイパス術後患者における運 動療法前後の血糖値変動に関連する要因の検討 心臓病センター榊原病院リハビリテーション室1 心臓病センター榊原病院糖尿病内科2 石原広大1 湯口 聡1 齋藤和也1 中島真治1 松尾知洋1 吉村香映1 氏川拓也1 大塚翔太1 河内友美1 清水一紀2 【目的】糖尿病(DM)合併冠動脈バイパス術後患者の運動療法前後の血 糖値変動と関連する要因について検討すること.【対象・方法】対象は DM 合併冠動脈バイパス術後患者 41 名(年齢:67.2±9.4 歳,性別:男性 33 例,女性 8 例,BMI:25.0±3.6 kg!m2,HbA1c:7.3±0.9 %,LVEF:

60.1±10.8 %).20 分の有酸素運動前後に POCT 機器にて血糖値を測定 した.また,血糖値変化率(Δ BS)を従属変数とし計 8 項目の独立変数 「年齢,性別,BMI,HbA1c,LVEF,運動前血糖値,時間帯,糖尿病治 療の種類」との関係を重回帰分析にて検討した.【結果】運動前の血糖値 は 157.5±40.5 mg!dl,直後の血糖値は 136.7±38.9 mg!dl で有意に低下 を認めた(p<0.01).また,Δ BS に関連する独立した項目は BMI,HbA1c であった(r=0.62,r2=0.39,p<0.01).【結論】DM 合併冠動脈バイパス 術後患者のΔ BS には BMI,HbA1c が関係している可能性が示された. 2-B-12 糖尿病に対する運動指導内容の検討 ∼運動時 間と血糖値をフィードバックした効果∼ 土谷総合病院リハビリテーション室1 土谷総合病院内分泌内科2 田中 優1 高村 剛1 大世渡渉1 佐々木優香1 小川洋一1 渡邉 浩2 【目的】糖尿病の運動指導を行う上で患者のモチベーションを高める ことは重要である.今回,運動時間と血糖値を毎日患者にフィード バックすることが患者の運動時間に変化を及ぼすかを検討した.【対 象】2014 年 4 月から 7 月に糖尿病教育目的で入院した 4 症例を対象 とした.【方法】従来の運動療法のみを実施した 2 例と運動時間および 空腹時血糖値を毎日フィードバックした 2 例の比較を行った.運動時 間はリハビリテーション室での運動時間と外出時間の合算とした. 【結果】4 例を比較し,運動時間と血糖値をフィードバックした 2 例で 運動時間が長かった.空腹時血糖においても改善を認めた.【考察】運 動時間及び血糖値のフィードバックを行うことは運動療法への動機 付けとなり運動時間を増加させ,血糖値の改善にも効果があると考え る.しかし,まだ小数例での結果であり今後の検討が必要である. 2-B-13 糖尿病教育入院患者に お け る 運 動 指 導 の 検 討 ―膝関節痛と歩行能の視点から― 広島市立安佐市民病院リハビリテーション科1 広島市立安佐市民病院代謝内分泌科2 広島市立安佐市民病院整形外科3 谷口亮治1 1 志和亜華2 吉井陽子2 西森 誠3 【背景】膝関節痛の有訴率は研究間で異なるが 10∼15 %程度と報告され ている.【目的】DM 教育を目的に入院され膝関節痛を有する患者の状況 を把握すること.【対象と方法】2006 年 4 月∼2014 年 7 月まで 2 型 DM の教育入院で運動療法の処方があった患者 251 名に対して,膝関節痛の 有無と歩行能別に年齢,BMI,JOA スコアで比較した.【結果】膝関節痛 のない方は 234 名(93.2 %),年齢 58±14 歳,BMI 26±5,歩行時に膝関 節痛を訴えた方は 17 名(6.8 %),年齢 65±8 歳,BMI 27±5,JOA スコ ア 84±13 点,その内,歩行困難な方は 6 名(2.4 %),年齢 72±3 歳,BMI 27±6,JOA スコア 73±16 点であった.JOA スコアは膝関節痛のない方 と比べ有意に低値であった.【考察】有訴率からみると,教育入院時に歩 行ができないほどの膝関節痛を有する方は多くない.手術が示唆される 値ではなく,歩行補助具や杖,足底板を提供する体制が必要である. 2-B-14 糖尿病療養における血糖降下作用による運動実 施のタイミングの検討―CGMS を用いた評価― JA 山口厚生連周東総合病院リハビリテーション科1 同 糖尿・血液・内分泌内科2 溝口 桂1 澄川泰弘1 河本真理子1 中森芳宜2 今回,糖尿病教育入院中の 2 型糖尿病患者 11 名を対象に運動す る最適なタイミングを明らかにする事を目的に CGMS を用いて, 朝食後・昼食後の血糖降下作用を比較した.研究デザインはクロ スーバー比較試験で測定期間中は血糖値に影響を及ぼす食事量 や投薬の種類や量の変更がない事を取り込み条件とした.有酸素 運動は自転車エルゴメータを 20 分,前後の準備運動と整理体操 を含む 40 分とした.血糖降下作用を比較した結果,有意差はなく 運動するタイミングによる血糖降下作用に違いは見られなかっ た.大きな血糖変動は心血管疾患発症のリスクを高くすると言わ れており,食後の運動は運動の急性効果による血糖値上昇を抑制 する目的で実施されている.今回の結果から運動は 2 型糖尿病患 者の食後血糖上昇を抑制することが明らかとなったが,運動する タイミングの違いによる血糖降下作用の違いは得られなかった.

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2-B-15 CGM による糖尿病患者のフルマラソンでの血糖 変動の検討 社会医療法人川島会川島病院1 医療法人慈成会寺沢病院2 医療法人栄寿会天満病院3 徳島大学糖尿病臨床・研究開発センター4 野間喜彦1 小松まち子1 宮 恵子1 鶴尾美穂2 天満 仁3 松久宗英4 島 健二1 【背景・目的】マラソンを楽しむ糖尿病患者が増加している.安全に参加で きるようマラソン前中後の血糖変動を検討した.【対象・方法】徳島マラソ ンに参加する糖尿病患者 6 名(1 型 3 名 2 型 3 名)と健常者 3 名に,マラソ ン前日から翌日まで CGM を装着した.当日のインスリン,投薬量の減量を 指示した.【結果】1 型の 1 名は,朝食後,血糖値が 400 mg!dl 以上に上昇後 ずっと高値で,ゴール時に 308 mg!dl であった.1 型の残り 2 名は朝食後血 糖が降下した後,スタート時まで再上昇した.1 型 2 型ともに,スタート後 1 時間弱は血糖値が下がり,その後おおむね横ばいとなり,低血糖はなかっ た.翌日午前 1 時台に,1 型 2 名 2 型 1 名で血糖低下を認めた.【考察】マラ ソン中の血糖は予想以上に安定している人が多かったが,投薬量調整の再 検討が必要な例もあった.翌日夜中の血糖低下を注意する必要がある. 2-B-16 糖尿病外来で睡眠時無呼吸症候群が疑われた 48 例の検討 麻田総合病院糖尿病センター 井垣俊郎 大西稚香 山田美佳 当センターに外来通院中の糖尿病患者(約 700 名)を対象に 睡眠時無呼吸症候群(SAS)に関する聞き取りを行い,疑い のある症例には検査による診断を試みた.48 例で SAS が 強く疑われ,16 例は精査を拒否,検査を受けた 32 例全員で 診断が確定した.発見の契機は同居者の指摘が最多で 19 例,36 例は自覚症状なしであった.男女比は 39:9 で男性 に多いかと思われたが,女性は症状を隠す傾向が強かった. BMI は 20.7 から 52.9 まで平均は 31.2 であったが,全く肥 満歴のない症例も存在した.HbA1c や罹病年数等との相関 は認めなかった.自宅で行える簡易検査では偽陰性の割合 が高く,費用が高額で入院も必要になる精密検査は拒否さ れ る 傾 向 が 強 か っ た.診 断 確 定 者 に は 持 続 陽 圧 呼 吸 (CPAP)による治療を勧めたが,拒否や中断が 11 例に達し 治療継続は 21 例である. 2-B-17 男性の短時間睡眠は NAFLD 発症に影響を及ぼ す 愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学1 愛媛大学大学院地域医療学2 愛媛大学大学院公衆衛生・健康医学3 松山市民病院内科4 愛媛県立中央病院糖尿病・内分泌内科5 市立宇和島病院糖尿病・内分泌内科6 愛媛県立新居浜病院内科7 市立八幡浜総合病院内科8 済生会松山病院内科9 市立大洲病院内科10 済生会今治病院内科11 愛媛大学大学院地域生活習慣病・内分泌学12 三宅映己1 熊木天児2 藤堂裕彦1 山本 晋1 古川慎哉3 新谷哲司4 上田晃久5 宮内省蔵6 南 尚佳7 酒井武則8 宮岡弘明9 谷口嘉康10 恩地森一11 松浦文三12 日浅陽一1 【背景】睡眠時間は,肥満や糖尿病・高血圧の病態に影響を及ぼすと考えられているが,NAFLD 発症との関係を検討し た研究はなく明らかでない.【目的】睡眠時間が NAFLD 発症に及ぼす影響を明らかにする.【方法】対象は,飲酒量 1 日 20 g 以下で,生活習慣病に対する治療や既知の肝疾患のない検診受診者 2429 名(男性 669 名,女性 1760 名,40.4±9 歳). 男女別に睡眠時間と NAFLD 発症との関連を検討した.【成績】296 名で NAFLD の発症を確認した(平均観察期間 1197± 671 日).多変量解析では,男性の短時間睡眠(6 時間以下)は NAFLD 発症を抑制する因子であった(Odds 比:0.551, 95 %信頼区間:0.365-0.832;P=0.005).【結語】男性における短時間睡眠は, NAFLD 発症のリスク低減と関連していた. 2-B-18 糖尿病教育入院患者における NAFLD fibrosiss-core と関連する因子について 松山市民病院内科(糖尿病・内分泌)1 愛媛大学大学院医学系研究科公衆衛生・健康医学2 仙波英徳1 新谷哲司1 三津田容子1 渡部さやか1 坂尾ひとみ1 眞鍋健一1 古川慎哉1,2 【背景】糖尿病患者では NAFLD の頻度が高く長期予後へ の影響が懸念されている.【目的】非侵襲的な肝線維化進展 の予測手法である NAFLD fibrosis score(以下 NFS)を用 い,糖尿病患者における肝線維化の頻度および関連する影 響について検討する.【対象】当院に教育入院した糖尿病患 者 335 名を対象とした.【結果】NFS の cut off 値を 0.676(感 度 51 %,特異度 98 %)としたとき,陽性群は教育入院患者 全体の 19.7 %であった.重回帰分析の結果,NFS 高値に影 響をおよぼす因子としては罹病期間,腎症の合併,内臓脂肪 面積,降圧薬の使用が挙げられた(各 p<0.05).【結論】長期 の罹病期間,腎症や内臓肥満の合併,降圧薬使用中であるこ とが肝線維化の進展と関連している可能性がある. 2-B-19 ジョギングを契機に両側踵骨骨折を認めた若年 2 型糖尿病男性の 1 例 松江市立病院糖尿病・内分泌内科 多田裕子 佐々木基史 【症例】34 歳,男性.【現病歴】22 歳発症の 2 型糖尿病.自己 中断を繰り返し,HbA1c8∼10 %と不良であった.BMI 32.5 kg!m2と高度肥満あり.X 年 Y 月,ジョギング後右踵部の 疼痛を主訴に,当院整形外科受診.骨折は認めず,足底腱鞘 炎と診断された.その後左足痛も認めていたが,自制内のた め 受 診 せ ず.2 ヶ 月 後,随 時 血 糖 値 403 mg!dl,HbA1c 11.7 %,尿ケトン陽性を認め当科入院.精査にて,左踵骨裂 離骨折・右踵骨不全骨折を認めた.骨密度正常,骨代謝異常 を伴う疾患の合併なし.【考察】踵骨裂離骨折は踵骨骨折全 体の約 3 %と比較的稀な骨折であり,糖尿病,慢性腎不全な ど合併した報告が多い.受傷機転としては軽微な外力によ るものが多く,骨脆弱性が関与していると考えられる.本症 例では糖尿病性神経障害も合併していたため,発見が遅れ たと考えられた. 2-B-20 糖尿病を合併した家族性若年性高尿酸血症性腎 症透析導入の 1 例 鳥取赤十字病院検査部 塩 宏 【症例】45 歳,男性【主訴】口渇,多飲【家族歴】母は痛風 腎不全で透析,糖尿病,高血圧あり.長女は高尿酸血症,高 血圧あり.【現病歴】25 歳頃初めて左足に痛風性関節炎を発 症.以後年に 1 回程度痛風発作が起こった.45 歳から頻回 に痛風発作,また口渇,多飲が起こり入院.現症:血圧 160! 104 mmHg,網膜症なし,アキレス腱反射正常,右第 2 指痛 風結節あり.検査成績:タンパク尿陽性,SUA 10.1 mg!dl, Cua 2.9 ml!min,Uua 500 mg!24 hr,空腹時血糖 187 mg! dl,HbA1c 11.0 %,Cr 1.1 mg!dl,Ccr 50.9 ml!min,Cua! Ccr 比 5.6 %腎 結 石 あ り,腎 生 検 像:Diabetic glomerulo-sclerosis と間質性腎炎の所見【経過】痛風,高血圧,糖尿病 の 3 疾患とも徐々に良好なコントロールとなった.以後は 腎機能障害も進展し 56 歳慢性腎不全で透析導入し 64 歳心 筋梗塞で死亡した.

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