社会の変化や数多くの教育課題に適切に対応できる高度な
専門性と豊かな人間性・社会性を備えた教員の育成が求められ
ています。このため、本学では、高度専門職業人養成としての教
員養成に特化した専門職大学院の枠組みとして、平成29年度に
教職大学院を設置することになりました。本学の教職大学院で
は、学校経営力開発コースと教育実践力開発コースの2コース
があります(図1)。授業科目としては、共通科目として11科目
(22単位)、実習科目として19科目(44単位)、コース別選択科目
としては、学校経営力開発コースに13科目(22単位)、教育実践
力開発コースに12科目(20単位)が設けられ、合計で55科目
(108単位)による教育課程としています。
筆者はこれまで教育学部に所属し、メディア情報学およびそ
の教育分野において授業や卒論指導を担当するとともに、大学
院修士課程では、情報教育専修、および、技術教育専修の両講座
において、授業と修士論文指導を担当してきました。高度教職実
践専攻(教職大学院)では、専任教授として、「メディア活用実践
研究」、および、「カリキュラム開発と授業実践の最先端」の授業
などを担当することとなりました。
文部科学省※1によれば、教育の情報化は、①情報教育の推進、
②教科指導におけるICT(情報通信技術)活用、③校務の情報化
の推進、の3つに分類されます。①については、初等中等教育に
おける一貫した文理融合の「情報学教育」の研究活動が主に関
係し、その成果は情報学教育研究会のサイト(図2)にて公開し
ています※2。②については、教科指導としての新しい教育方法開
発として、ICT活用、アクティブ・ラーニング、および、21世紀型スキ
ルなどの研究を進めています。この成果は、教育情報化推進研
究会のサイト(図3)にて公開しています※3。③については、情報
環境の整備や情報学全体の問題として捉えて研究を進めている
ので、情報学教育ポータルサイト(図4)を参照してください※4。
教育の情報化の推進に関わり、上記の情報学教育研究会が運
営母体となり、情報学教育フォーラムを発足させ運営を行ってい
ます。第1回は、平成27年5月31日(日)に早稲田大学理工学部
(東京)にて開催しました。文部科学省からは教科調査官が参加
されるとともに、情報教育に関わるとされる各学会(日本教育工
学会、教育システム情報学会、情報処理学会、情報システム学
会、社会情報学会など)の学会長、委員長、事務局長などの参加
を仰ぎ、情報学教育に関わる諸問題について公開懇談会を開催
しました。その後は、第2回を東京で、第3回を大阪にて開催し
懇談協議を進め、第4回を滋賀大学教育学部にて行いました
(図5)。参加申込は募集から2週間で定員に達しました。詳細
は、情報学教育フォーラムのサイトを参照願います※5。
ICTの初心者教員に「まずICTを使ってみよう」とアドバイスす
る場合もよくあることでしょう。初心者教員にとっては、授業が始
まってまもなく「あれ、動きませんね…」いう場面を想像して授業
展開ができないまま終了することを心配するかもしれません。専
門家とされる支援員が常駐している場合でも、フリーズした機器
を回復できないこともあります。そう考えれば、授業にてICT活用
を伴う場合、教員は授業者のプロであるという姿勢に無理があ
るのでしょうか。またその一方で、ICTなどの新しい教育手段の利
用に対してあまり努力せず、今までの教具をそのまま利用して展
開する授業において、どのような問題があるのでしょうか。
教職大学院では、理論と実践の往還を重要なコンセプトとし
ています。当たり前とでもいえるICT活用であっても、教職実践と
いう視点で捉えて教員研修や教員養成の視点で再考すれば、上
記の課題は看過できない重要な関門といえます。これは授業設
計(デザイン)にかかわるとともに、いわゆる学習指導に際して、
正確な知識に基づいて十分な検討を行っておく必要がありま
す。したがって、①ICTの種類や特徴・機能などを視野にその本質
を理解することで、自身の授業の中でどのように利用・活用した
いかを明確にし、②学習の手段・方法としてICT活用を適切に実
践に生かすとともに、③学習者が利用するコンテンツをICTにて
提供できる力量に加え、学習環境の改善に寄与できる能力が求
められているのです。
10
教職大学院と情報学教育
教育学研究科高度教職実践専攻 教授 松原 伸一
教職大学院が新設
情報学教育フォーラム
教職大学院におけるICT活用
11
初等中等教育に一貫した文理融合の
「情報学教育」
図1:教職大学院の各コース
高度教職実践専攻
・学校経営力開発コース
学校マネジメントの向上に焦点をあてたコース
・教育実践力開発コース
授業力・学級経営力等を含む実践力の向上に焦点をあてたコース
日 時:平成29年5月28日(日)13時∼17時
場 所:滋賀大学教育学部(大津市平津2-5-1)
対 象:教育研究者、現職教員、その他関心のある者
テーマ:次世代を視野に入れたinnovativeな情報学教育
図2:情報学教育研究会(SIG_ISE)
図3:教育情報化推進研究会(SIG_EEP)
図4:情報学教育ポータルサイト(ISEPS) 図5:第4回情報学教育フォーラムの概要
第4回情報学教育フォーラム プログラム(概要)
開会 齋藤 実 実行委員長(司会)
挨拶 位田 一 滋賀大学 学長
鹿野 利春 文部科学省 教科調査官
松原 伸一 情報学教育フォーラム 議長
講演 小玉 重夫 東京大学大学院教育学研究科 教授
演題:カリキュラム・イノベーション
講演 竹村 彰通 滋賀大学データサイエンス学部 学部長
演題:データサイエンスと情報学教育
課題 岡本 敏雄 日本情報科教育学会 会長 ※ビデオ出演
演題:次世代を視野に入れた情報教育
説明 松原 伸一 情報学教育フォーラム議長
St-1 初等中等教育で育む情報学的素養
鹿野 利春 文部科学省 教科調査官(メインキャスト)
St-2 次世代を視野に入れたinnovativeな情報学教育
西端 律子 畿央大学教育学部 教授(メインキャスト)
閉会 音野 吉俊 情報学教育研究会 副代表
13:00
講演と課題設定(13:15∼14:50)
13:15
14:10
14:50
公開懇談会(15:10∼17:00)
15:10
17:00
※1 文部科学省の「教育の情報化の推進」のサイト[平成29年4月24日確認]
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1369591.htm
※2 情報学教育研究会(SIG_ISE) http://www.mlab.sue.shiga-u.ac.jp/sig_ise/
※3 教育情報化推進研究会(SIG_EEP)
http://www.mlab.sue.shiga-u.ac.jp/sig_eep/
※4 情報学教育ポータルサイト(ISEPS)
http://www.mlab.sue.shiga-u.ac.jp/iseps/
※5 情報学教育フォーラム(ISEF) http://www.mlab.sue.shiga-u.ac.jp/isef/
特 集 | 滋 賀 大 学 の い ま 情 報 社 会 に 生 き る 若 い 人 へ
教 育 学 部
社会の変化や数多くの教育課題に適切に対応できる高度な
専門性と豊かな人間性・社会性を備えた教員の育成が求められ
ています。このため、本学では、高度専門職業人養成としての教
員養成に特化した専門職大学院の枠組みとして、平成29年度に
教職大学院を設置することになりました。本学の教職大学院で
は、学校経営力開発コースと教育実践力開発コースの2コース
があります(図1)。授業科目としては、共通科目として11科目
(22単位)、実習科目として19科目(44単位)、コース別選択科目
としては、学校経営力開発コースに13科目(22単位)、教育実践
力開発コースに12科目(20単位)が設けられ、合計で55科目
(108単位)による教育課程としています。
筆者はこれまで教育学部に所属し、メディア情報学およびそ
の教育分野において授業や卒論指導を担当するとともに、大学
院修士課程では、情報教育専修、および、技術教育専修の両講座
において、授業と修士論文指導を担当してきました。高度教職実
践専攻(教職大学院)では、専任教授として、「メディア活用実践
研究」、および、「カリキュラム開発と授業実践の最先端」の授業
などを担当することとなりました。
文部科学省※1
によれば、教育の情報化は、①情報教育の推進、
②教科指導におけるICT(情報通信技術)活用、③校務の情報化
の推進、の3つに分類されます。①については、初等中等教育に
おける一貫した文理融合の「情報学教育」の研究活動が主に関
係し、その成果は情報学教育研究会のサイト(図2)にて公開し
ています※2
。②については、教科指導としての新しい教育方法開
発として、ICT活用、アクティブ・ラーニング、および、21世紀型スキ
ルなどの研究を進めています。この成果は、教育情報化推進研
究会のサイト(図3)にて公開しています※3
。③については、情報
環境の整備や情報学全体の問題として捉えて研究を進めている
ので、情報学教育ポータルサイト(図4)を参照してください※4
。
教育の情報化の推進に関わり、上記の情報学教育研究会が運
営母体となり、情報学教育フォーラムを発足させ運営を行ってい
ます。第1回は、平成27年5月31日(日)に早稲田大学理工学部
(東京)にて開催しました。文部科学省からは教科調査官が参加
されるとともに、情報教育に関わるとされる各学会(日本教育工
学会、教育システム情報学会、情報処理学会、情報システム学
会、社会情報学会など)の学会長、委員長、事務局長などの参加
を仰ぎ、情報学教育に関わる諸問題について公開懇談会を開催
しました。その後は、第2回を東京で、第3回を大阪にて開催し
懇談協議を進め、第4回を滋賀大学教育学部にて行いました
(図5)。参加申込は募集から2週間で定員に達しました。詳細
は、情報学教育フォーラムのサイトを参照願います※5
。
ICTの初心者教員に「まずICTを使ってみよう」とアドバイスす
る場合もよくあることでしょう。初心者教員にとっては、授業が始
まってまもなく「あれ、動きませんね…」いう場面を想像して授業
展開ができないまま終了することを心配するかもしれません。専
門家とされる支援員が常駐している場合でも、フリーズした機器
を回復できないこともあります。そう考えれば、授業にてICT活用
を伴う場合、教員は授業者のプロであるという姿勢に無理があ
るのでしょうか。またその一方で、ICTなどの新しい教育手段の利
用に対してあまり努力せず、今までの教具をそのまま利用して展
開する授業において、どのような問題があるのでしょうか。
教職大学院では、理論と実践の往還を重要なコンセプトとし
ています。当たり前とでもいえるICT活用であっても、教職実践と
いう視点で捉えて教員研修や教員養成の視点で再考すれば、上
記の課題は看過できない重要な関門といえます。これは授業設
計(デザイン)にかかわるとともに、いわゆる学習指導に際して、
正確な知識に基づいて十分な検討を行っておく必要がありま
す。したがって、①ICTの種類や特徴・機能などを視野にその本質
を理解することで、自身の授業の中でどのように利用・活用した
いかを明確にし、②学習の手段・方法としてICT活用を適切に実
践に生かすとともに、③学習者が利用するコンテンツをICTにて
提供できる力量に加え、学習環境の改善に寄与できる能力が求
められているのです。
10
教職大学院と情報学教育
教育学研究科高度教職実践専攻 教授 松原 伸一
教職大学院が新設
情報学教育フォーラム
教職大学院におけるICT活用
11
初等中等教育に一貫した文理融合の
「情報学教育」
図1:教職大学院の各コース
高度教職実践専攻
・学校経営力開発コース
学校マネジメントの向上に焦点をあてたコース
・教育実践力開発コース
授業力・学級経営力等を含む実践力の向上に焦点をあてたコース
日 時:平成29年5月28日(日)13時∼17時
場 所:滋賀大学教育学部(大津市平津2-5-1)
対 象:教育研究者、現職教員、その他関心のある者
テーマ:次世代を視野に入れたinnovativeな情報学教育
図2:情報学教育研究会(SIG_ISE)
図3:教育情報化推進研究会(SIG_EEP)
図4:情報学教育ポータルサイト(ISEPS) 図5:第4回情報学教育フォーラムの概要
第4回情報学教育フォーラム プログラム(概要)
開会 齋藤 実 実行委員長(司会)
挨拶 位田 一 滋賀大学 学長
鹿野 利春 文部科学省 教科調査官
松原 伸一 情報学教育フォーラム 議長
講演 小玉 重夫 東京大学大学院教育学研究科 教授
演題:カリキュラム・イノベーション
講演 竹村 彰通 滋賀大学データサイエンス学部 学部長
演題:データサイエンスと情報学教育
課題 岡本 敏雄 日本情報科教育学会 会長 ※ビデオ出演
演題:次世代を視野に入れた情報教育
説明 松原 伸一 情報学教育フォーラム議長
St-1 初等中等教育で育む情報学的素養
鹿野 利春 文部科学省 教科調査官(メインキャスト)
St-2 次世代を視野に入れたinnovativeな情報学教育
西端 律子 畿央大学教育学部 教授(メインキャスト)
閉会 音野 吉俊 情報学教育研究会 副代表
13:00
講演と課題設定(13:15∼14:50)
13:15
14:10
14:50
公開懇談会(15:10∼17:00)
15:10
17:00
※1 文部科学省の「教育の情報化の推進」のサイト[平成29年4月24日確認]
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1369591.htm
※2 情報学教育研究会(SIG_ISE) http://www.mlab.sue.shiga-u.ac.jp/sig_ise/
※3 教育情報化推進研究会(SIG_EEP)
http://www.mlab.sue.shiga-u.ac.jp/sig_eep/
※4 情報学教育ポータルサイト(ISEPS)
http://www.mlab.sue.shiga-u.ac.jp/iseps/
※5 情報学教育フォーラム(ISEF) http://www.mlab.sue.shiga-u.ac.jp/isef/
特 集 | 滋 賀 大 学 の い ま 情 報 社 会 に 生 き る 若 い 人 へ
教 育 学 部