- 95 - 孫 と の 関 わ り と 主 観 的 幸 福 感 の 関 連 に つ い て の 検 討 人 間 教 育 専 攻 臨 床 心 理 士 養 成 コ ー ス 佐 尾 山 美 咲 1.研究の背景左目的 本研究のテーマは、孫との関わりと主観的幸 福感との関連について検討することである。我 が国では、平成25年 の 高 齢 化 率 は25.1%と過 去最高となっている。このように、高齢者が増 えるにつれ、一人一人の「祖父母」である時期 が長期化するということが考えられるだろう。 中村ら(2007)は、「高齢者は社会全体の中で大 きな割合を占めるようになり、この層の活性化 が社会全体にも大きな影響となるj と述べてい る。今後も増加していくであろう「祖父母」世 代が、活気のある生活を送ることが重要となっ てくるのではないだろうか。 また近年、「ポジティブ心理学」といった新 しい考え方が展開されるようになってきた。伊 藤ら(2003)も「近年では人間心理の肯定的な側 面に焦点を当て、生涯発達の視点から、より充 実した生活を目指すことの重要性と、そこに至 る心理社会的要因の解明が、高齢者のみならず すべての世代で必要となってきた」としている ように、人間の・ポジティプな要素である主観的 幸福感についても考えられるようになった。さ らに、 Erikson(1982)によると、「異なる世代 が関わることが相互の発達を促し、人生におけ る時間的展望やライフサイクノレ継承の感覚に資 する」とされており、このことから祖父母世代 にとっては異なる世代である孫との関わりは、 主観的幸福感にとって良い影響となるのではな 指 導 教 員 中 津 郁 子 いかと推測することができる。 杉 井(2006)は、「祖父母と孫という関係性の 内実が加齢と成長とともに変化し、孫の年齢に よって異なることが明らかになった」と述べて おり、さらに旭化成ホームズの全国調査(1997) では、孫の存在意味として「家の継承者J I家 族を結び、つける存在」と、孫との同居、別居で 異なった意見が得られている。このように、孫 の年齢や孫と同居しているかどうかによっても 祖父母世代の主観的幸福感に与える影響を左右 するのではないかと推測することができるだろ う。よって本研究の目的は、「祖父母が孫との 関わりに満足しているほど、主観的幸福感を感 じているj ということを仮説とし、祖父母と孫 やその聞の親との関係性についても交えなが ら、祖父母世代にとっての主観的幸福感と孫と の関わりにおける関連について検討することで ある。
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研 究1
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質問紙調査) (1) 方 法 2015年 6月下旬から 2015年9月中旬の期 間において、A
県に在住する、孫と関わりのあ る60代 前 半 の 男 性2名 と 女 性4名 、 計6名の 方を対象に、「孫・祖父母関係評価尺度(田畑・ 星野・佐藤・坪井・橋本・遠藤、 1996)Jと 「主観的幸福感尺度(伊藤・相良・池田・川 浦、 2003)Jによって構成された質問紙調査を 実施した。- 96 - (2) 結 果 孫・祖父母関係評価尺度は、質問項目を因子 ごとに分け、全項目の得点を合計し、平均値を 算出した。また、主観的幸福感尺度において は、全項目の得点を合計し、平均値を算出し た。さらに、孫ー祖父母関係評価尺度の因子ご とと、主観的幸福感尺度との相関についての分 析を行った。以上の調査の結果から、孫から与 えられる機能への満足感は孫の年齢によって差 が生じる傾向.がみられるということ、孫を見て いるだけで受けとっていると実感することが出 来る機能への満足感にはあまり差が見られない ことが考えられた。さらに、孫ー祖父母関係評 価尺度の「時間的展望促進機能(r=.849)J、「道 具的、情緒的援助機能(r=.846)J、「存在受容機 能(r=.812)Jに強い正の相闘が認められ、それ ぞれ p<.05水準で有意差がみられた。「世代継 承性促進機能(r=.768)Jも強い正の相闘がみら れ、 p<0.1水準で有意傾向が認められた。