調査報告十七’三
、 、 1 1 1 J鶯流狂言伝害﹃間之記﹄三
○ ○ ○ ○ ○
放 殺 巻 雲 国
間 下 牛 雀 之僧 石 絹 山 栖
記 '-7’五美
1−−JI
○ ○ ○ ○ ○檀 正 感 鉄 鉢
│ 場 ノ山本和加子
竹本幹夫
風 尊 宮 輪 木
− 1 −ヲモやる舞ぞ,I、アドのがすな,j、今の︿どち
へいた去︵今迄見へたが見失うた拠々口おし
尉ともい事をした。いや是に翁が居る。是に尋うそれがよ
かろういかに翁、清見原︿知らぬか
︵あの、力︶ 何清見払、きよミばらい成バあ川下へ行 耳が間へぬかしてこくうな事をいふ。清見原の天皇の行ゑ を知らぬかといふ事じやいやい 何清見原の天王とや。中略いづくをさして尋給ふべき。はや ︵、どノ、、雫〃︶ 是迄ぞ、と帰らしめ 実と是︿かうじや。この深山をどこをせうどニ尋う様もない。いざ戻ろう実と帰ろう
ト少し開、舟ヲ見テ、乍レ去あの舟の内が心元ない其通りじや
に翁、其舟︿何とて左様にして置たぞ 清見原の天王ノ供奉ニテ、ワキ出。 シテ老夫・ツレ老母出、調詞いるノー有。 など此魚も生ざらめと、中略帰るや国栖の占、頼母 ︵手、脱力︶敷思召れよ如何に肘、追が懸りて侯何事
も尉に御任せ候へ 早つ堂、、、二成・舟をうつぶせにして、シテ寄か坐り届 ルト出ル。国栖︵五ノー︶
、則 心、刀 今日の御狩︿一段と能天気なれ︵、定て御物数で有う程 に、御機嫌で有うずる。夫一一付、拙者年月心に存る様、あ われ何事成とも達者業のあれかし。人に抜んでを仕り、旦 是︿干舟ぞとよ たとへほす舟で有ふとま里ょ、其舟の下が心元ない。さがいて見う夫が能ろうそこをのけ,j、
トシテノ方へ鑓ヲ出ス。アドモ弓ヲ引・ 何此舟をさがそふとや。中略この狼籍人を打留候へj、 ア上かしましい、夫成需︿さがすまい。ハア去れ︵こそ山の内がさわぐ︿其通りじや早う返さしませ
心得た早う来いノ、心得た,J1
雲雀山︵五ノ2︶
シテ中入有。ワキ|一付テ出て、太.座二居ル。御前に候畏て候
声陸士︿一一 狂言上下、嶋物、腰帯、頭巾、小サ刀。 但、おくず頭巾也。小嶋、厚板、もぎ胴二而もよし。 きやはん・ ヲモ、鑓。 アド、弓矢。 アド、左りの肩ぬぐ。 − 2 −十七一三鷺流狂言伝調:『間之記』(二) 那の御詞一一預り度と思ふ処に、山膿ハぐわん石岩尾の中と もいわずしげミをかけ廻る物なれ。、︿、無達者で︿中々なら ︵ママ︶ ぬ物で御座る程に、此度︿随分情を出し下知を致ふと存る。 乍レ去大臣殿の御狩に出て、誰も由断仕ふと思ふ人は有ま いに、何と思召候やらむ、谷峰ともに草木を分て、よく念 を入て下狩を致ょふにと有て、某に仰付られたれども、諸 人の無念︿事の有時︿拙者一人の越度に成間、此由万民に 相触ふと存る。 やアノー皆々承り候へ。只今被二仰出一たる︿、今日の御 狩︿少思召子細有間、谷峰共に草木を分て、能念を入て下 狩を致せとの御事なり。相かまへて其分心得候へj、 御前一一候 触斗の時ハ ワキ出、座二付、せうぎ二か典る卜、直一一出ル。 とよなり ∼是︿横萩の右大臣豊成公に仕へ申 嶋物。狂言上下。腰帯、扇さして。杖二突か。 シテ柱へ出テ、シャ。ヘリテ座二付。 近年ハワキ呼出しなし。 ワキ|一付出て
巻絹︵五ノ3︶
畏て候 太.座一一居ル。太刀持。 ト笛ノ上一一居ル。 ツレ出、案内乞う。 誰にて渡り候ぞ 其由申さうずる間、夫に暫く御待候ヘ ト云テ、巻絹ヲ受取テ、 いかに申上候。都より巻絹を持て参りて候 ト巻絹を見せて、笛ノ上二置て、 最前の人の渡り候か直一一かこうj、通られ候ヘ ト太.座一一居・ ワキ詞有。謡ノ末一一、其身の科︿のがれじと、此内一一 ワキ呼。御まへ二候畏て候
卜云テ、立帰りて懐中より縄ヲ出し、ツレニ前よりか ける。後にシテ縄をとくゆへ、引とき結び一一スル。 かける時、後ろより がつきめ 卜云テ、前より繩ヲかけて後ろにて結ぶ。夫より太. 座二居。縄かけ様︿、シテニ間べし。後二縄、舜台に 捨有ヲ、シテ後見引。 叉日、縄ヲかける時の詞に、 概々おのれ今迄延引するといふ事が有物か。ひつくりと ︵ママ︶ も共さする事で︿無ぞ ︵ママ︶ 嶋物。狂言上下。太刀を持・腰帯、扇さして。布ヲ懐 d〕 一 − u ) 一 一 一殺生石︵五ノ4︶
狂言、払子ヲ持、右ノかたにかけ、ワキノ供して出ル。 ワキ、シテ柱ノ先一一テ太コノ方向、次第ヲうとふ内︿、 狂言払子ヲかたげて、かたひざ立テ太.座一一待テ居ル。 ワキ、那須の原に着一一けり、ト云時立テ、ワキノ後口 へ少シ出る。ワキ道行済ンデ、急候程に那須の上原に 着テ候、ト云時、ワキノ右ノ方へ少シ出テ、 誠二御急ぎ被し成たる故に、程なく下野国那須野の原に着 せられた 作り物の方ヲ見テ、アリャノーノ、又々jlj、ト云ト
ワキ何事を申ぞ いや、あれ成大石の上へ、鴫がくいやうて落申て候 ふしぎ成事を申。さりながら立越見うずるにて候御尤一一 候 ト云ト、シテ、なふj、、といふト、狂言シテノ方ヲ ︵ママ︶ 見テ、太.座へ行テ、払子を後ロへたけかけて置、其 所に下一一居ル。 叉、 あれ成大石の上へ鳫がくいやうて落まする。取って 参り、お非時の汁に仕うずる 実と鹿忽なる事を申て御座る、ともいふ。 中スル也。 シテ中入。作り物石ノ中へ入。大小の前ナリ。 狂言、シテ柱ノ先一一立テ、 やあら最前の女の有様︿、がてんが参らぬ。いや先あれ へ参う ト云、ワキノ方へ行。下一一居ながら、 何と御草臥ニテ候か下二居テ ちしき 狐も只今の女︿何となく風と出て、知識をもおそれず、 種々の事を申を、某の心を付て能々見参らする程、次第に かれが姿物すさまじく成り、殊二人に︿其石の辺えたち寄 らせられそといふて、其身︿大石のそばへ立よると見て、 姿の見へざる︿、なんぽう不思議なる事にて︿無二御座一候 か。 ワキ汝ハこざかしき者ニテ候川、殺生石のいわれ存たら︵語 り候へ 是︿思ひも寄らぬ事を被し仰る上物かな。左様の御事、我 等躰の者が存じたる事にて︿なく候へ共、併、旅のお慰の 岩﹂L 為、髪かしこを御物語申上うずる ト云テ矢張ワキノ方ヲ見テ居、語り出シ、夫より正面 ムク。 去程に殺生石の由来を委く尋るに、先天竺よりおこり初 とふど やかん し事なり。唐土におゐても数多帝を取奉り、野干︿神通を 得たるゆへ、我朝にては鳥羽の院の御宇に父母も出生も知 いつ ︵ママ︶ らぬ宮女の、何の程よりか来りてうへ童に宮付。容顔美麗 ︿宮中に井なけれ︵、一入君の叡盧にかなひ、君辺を片時 − 4 −十七一三鷺流狂言伝書『間之記』(二) も立去る事のなかりしが、有とぎ智恵を斗り諸色万物の起 いちじ り問給ふに、一事も無し滞明らかに申上ゲ、詩吾管弦琴碁 .可トノハ、、 きく 書画︿不し及レ申に、経論聖経和漢迄も遍人1大才に能極め、 少も心中に闇き事のなきゆへに、玉藻の前と名付給ひ、天 子の御龍愛浅からざりし折節、其頃︿晩秋の夜にて月も未 だ出ざるに、清涼殿にて管弦の御遊の有し時、俄にそらか き曇り風吹来って、玉殿の燈火一同に消る。其時玉もの前 が身より光りを出し、禁中を日月のごとく照す。夫より主 はかせ 上︿御脳とならせ給ふ二依て、急ぎ博士を召て占︿せらる ホバ、占を考へ申上る様、是︿遍二玉藻の前がしよいなり。 御祈祷なくては叶まじとて、調伏の祭を取行ハせらるれ↑︿、 ︵ママ︶ 彼玉藻の前︿正敷とうかと顕れ、此那須野の原へ逃て来る たいじ を、三浦の助・上総介へ勅使立って、かれを退治せよとの せんじをこうむり、家の面目是に過じと悦び、家の子郎等 引供し当国に下り、此野を狩けれども、化生の者にて射ら れざりしを、種々謀を以て彼を退治し、君も寿命長おんに 目出度御代と︿なれど、其野狐の執心大石と成って、か様 かつ に殺生いたすかと存る間、少と此石を渇して御通りあれか しと存る左有︵かつして通ふずる間、其払子参らせ候へ 畏て候 ト云テ太.座へ行、払子のゑ、中程を両手ニテ持、右 ノ手ノ方さきの方ウ、左りの方二下ノ方ヲ持テ、ワキ ノ前へ出・ さあら︵、払子参らせう 宝生流放下僧初り呼出し。一声前言葉。
御前一一候畏て候ト云テ、シテ柱先え出。
のふノー婚しや、頼ふだ人の御内二人多しといへど、某 壱人達者と思召し、御用被二仰付一るLl−依て、此やうな悦 こぱしい事︿なゐ ヤァノ、其許の賑かなく何事ぞ。何と放下が来るト申か。 夫︿面白からふ。其由申上う 如何二申上候。あれへ放下が参る由申候。少ト是へ呼申さふずるか畏て候ヤアノ、左様の者︿此方へ
︿無用二てある。其分心得候へI、跡常ノ通り
是︿誠二面倒にて、能々ワキニ尋留有し之。 ト云テ夫なりに置。扱跡え開キ、下一一居テ、 我等も是にて力をそへ申そふずる ト云テ又太.座より行、下二居ルト、ワキ払子を付、 立テいのり有。 出立 無地のし目、狂言袴く上り、脚半、水衣、腰帯、扇、 ごうし頭巾。払子かたげ出ル. 初メッレ出テ、シテヲ呼出シ、いる/、弧有。中入二 而ワキ出ル。狂言太刀持て供して、ワキ次第のうち太 .座一一片ひざ立て居ル。名乗済て呼出し。少し出テ下放下僧︵五ノ5︶
− 5 −|一居て、
御まへに候畏て候心得申候
トワキノ次に居。シテトッレト出、いるl、有。 ︵以下四行分、付菱一枚。︶ 朝の嵐夕べの雨、l、、けふ又明日のむかしぞと、夕 べの露の村時雨、定メ無キょニふる川の、水のうたか た我如何二、人を仇にや忠ふらん、j、。此謡の内立。 謡切卜直二言葉カヶル。 ワキ呼出ス・是一一候畏て候
ヤアノ、労々︿面白装束じゃが、いか様なる人ぞ 面々の名︿何と申ぞ 又夫成︿何と申ぞ ふうんりう あのそなたをも浮雲流水と申か。棚もj\かけがへもない つか 名を付しました 似︿其方がふうん、あちらがりうすいでおりやるか 夫でこそ間へたれ とねのぶとし あれの、あれこそ相模の国の住人利根の信俊と︿、いふな と仰せられた 去有︿其由申さふずる問、夫に卿く御待候へ あれへ参って承くって御座れ§︿、浮世を廻る放下にて御 座候が、名をぱ浮雲流水と申候さん候心得申候
ちと頼申人の御尋有度事のあれ令︿、此方へ御参り候へ ワキ次に居、いるj、弧有水に、ツレの持たる弓矢を ︵ママ︶ 問。其謡の末に、知らず︿物なのたまひそ、j、 ︵以下三行分、﹁知らず︿:::﹂の上に貼紙。︶ され。︿我等も是ヲ持、j、テ、引ぬ弓、はなさぬ矢一一 ︵加力︶ テいる時︿、あたらずしかも、はづさざりけりと、如 様二よむ吾もあり、しらずなものなの給いそ、j、。 此謡済と其惟、 そちが知らず︿、こちも知る舞ぞ 夫より又ワキ・シテ詞有。 ツレノ詞、斬ってさんだんとなす卜云時、 あ入是︿何事で御座る ︵以下六行分、﹁夫より叉﹂以下﹁あ些是︿何事で御座 る﹂までの上に貼紙。︶ ワキ抑座禅の功案何と心得候べきツレ入ては幽玄のそ︾亘透 し、出テハ三昧の門一一遊ふワキ自身自仏︿担いかにシテ白 雲深キ所金龍躍ルワキ生死に任せ等ハシテ輪廻の苦ワキ生 死にはなれ零ハシテ断決のとがワキ槻向上の一露︿如何一一 ツレ切って散断となすワキ切つテ散断となすと︿狂言是︿ 何事で御座る 何と只巾々︸一、いはねの川の岩つ上じ、色一昊川じ南無三 宝、おかしの人の心や。 其方がおかしく︿、こちもおかしい迄ょ 畏て候 くが近く参られ侯へトモ 猶を路次を語ふとの御事二て候・左様に御こ上ろへ候得 一 b十 七 一 三 鷺 流 狂 言 伝 吉 「 間 之 記 』 ( 二 ) 是へ御用有そふに罷出たる者を、御存じない人︿何者ぞ と思召れうずる。是︿恭も今天下を守護し給ふ鎌倉西明寺 殿の御内、去御方に使へ申者にて候。去程に珍らしからぬ 御事なれど、保元平治の頃より源平両家の内に天下を治め 宝生流、かっこ所望スル。 曲舞済で、かっこを打・ 所望スル事も有。 弧、心をさとり給へや。 ︵以下三行、﹁所望スル﹂以下﹁給へや﹂の二行の上に 貼紙。︶ 是ヲ象かれヲきく時︿、嶺のあらしや谷の声、夕べの 煙朝霞、皆是三界唯心の、理りなりと思し召、心をさ とり給へや。 とてもの事にかっこを打て御見せ候へ 又日、
労︿如何様の衆ぞ抑名を︵何と申ぞ是︿か
け替もない名じや。何しを浮雲何レを流水と申候ぞ 夫でこそ間へたれ 嶋物、狂言上下、腰帯、小サ刀、扇。鉢の木︵五ノ6︶
ワキニ付て、切戸口より入ル。 給ふ人多しといへ共、中にも此君西明寺殿︿、御先祖二も 弥まし文武二道に名を得、御法度正う被二仰付一るに依て、 国々在々所々迄も、吹風枝をなさらず、民戸指をさ上ぬ御 代にて候。され︵夫一一付、此程しのびノーに取沙汰仕る︿、 在鎌倉被し成る些諸大名の御出仕二も、又朝夕御前へ御伺 い 公の侍衆迄も、此間主君の御目見仕らんと有て、各御参会 の御座敷にても明暮是のミ御ふしん被し成る坐と承り、あ る若衆のふん別立テて申さる些様は、御内儀の御用被二仰 付一て表へ出させられぬか、若吾道か儒道を間させられて 御隙の入か、籾︿盤の上の勝負がてうじて御出なきかと、 老若迄も思ひI、にの給ふを、拙者のいち人進ミ出て申事 に︿、某の推量︿左様にて︿御座ない。是︿奥方の御遊山 アシ ども打つ■くか、但又御気合などの悪ふて出させられぬか など、種々に取沙汰申せ︵、左ハなくして、か様に御せい の どう正敷上にも、若ほうろくまいないにめで些非分をさば くか、又︿利を持ながら時のけんいに恐れて申も上ぬか、のうれ
万ねいじんをお聞被レ成諸人の患ひを除き給︿ん其ために、 忍びて御執行に御いで有たるを、能御存じ被し成た御一門 や御しゆつ頭の人々︿、一卜とせもニタとせも御帰りある まじきと思召、御心易う思給ふ所に、此一両日以前に、ふ と御帰国被し成、東八ヶ国の大名小名に至る迄、物の具を 用意し、早々御参りあれとの御じやう成れ寺︿、早諸国へ飛 脚を被し遣てあれど、其上にも上意を大事と御念の入られ、 重ねて我等ニ参れと被二仰付一た故、取物も取あへず罷出た。 ” 一 イ ー先急いで参う。実に頼ミ申人の御家中に人多しと︿云へど、 某を随分達者なと思召被二仰付一たれば、外聞かた人、恭い に、此度油断仕って︿如何な。早々参って御かんにあづか らうと存る。 叉世間に風聞いたすは、主君︿近頃御執行なされるとや らん申が、思ひの外早う御帰りさへふしんなに、此納つた 御代に御陣ぶれを被二仰出一たは、たそ上への事をかげ事に 悪敷申たか、但叉西明寺殿とも知らず、ろうぜぎ仕つたか を御せいぱい有うずると有儀か、いかさま能事で︿有まじ いと存る。是に付ても心中に少シもあやまりのある人︿、 大名小名に寄らず気造くる人事で御座る。去ながら拙者に 御念頃被し成る些御衆に、あやしい御方︿一人も御座ない 程に祝着な。先是より武蔵に掛り下総に出申そうずる・常 に武具をたしなまぬ若い衆︿、此度俄に迷惑仕られうと推 量致す。あれへ四五千斗り押出いたハ誰れの衆ぞ。何と上 州野州の軍兵じや。それ成需︿参るに及︿ぬ事じや、是より 戻う。去ながら若我等を尋る人あら録︿、はや是より罷帰り たる由御申あれ。相構へて其分心得候ヘノ、 早打 嶋物、狂言上下ク、リ、肩はだぬぎ、竹杖。 同後脇ノ供太刀不咳持。 厚板、狂言袴く入り、扇、そばつぎ、腰帯、小サ刀、
御前に候畏て候
是︿如何な事、此中御陣ぶれを被二仰出一たを如何成事ぞ と存たれ。︿、物の具を御吟味被し成れうとの御事じやと見 ︹事︺ へた。扱々きらびやかな出立哉。此内に被一一仰付一たやうなな︹そや︺︹そふな︺
仁︿壱人も見へぬが・いやらたがふ所もなひ、これそふな。 圭季へ いかに申上候。御前へ被し召候間、急いで御出候ヘ シテ詞 いや労の事にて候。また被二仰出一たる︿、ちぎれたる腹巻 を着、さびたる長刀を横たへ、やせたる馬を自身ひかへた る武者と被二仰出一たるが、かた人、程物の具のぶぎれいな る︿御座ない程に、うたがひなく御前へ被し出候へや ト云テ笛座ノ上、元ノ所居。鉄輪︵五ノ7︶
聯子方出ルト、口明に出ル。シテ柱一一テ、 か様に候者︿、貴船の明神に仕へ申社人にて候。去程に 某今夜不思議の夢を見申て候・女の当社へ丑の時詣ずる人 の候間、則叶へて参らせうずるとの御告二て候・其女に鉄 に 輪の三シの足にたいまつを立、頭にいた堂き、顔に︿丹を きぬ ぬり身に︿赤き衣を着し、いかる心を仕れと慥二申渡せと の御告にて候間、心がけて見申そふと存る ト笛ノ上一一居ル。 官人頭巾。蔓鼎立。 − 8 −鶯流狂言伝書『問之記』(二) 十 七 一 三 シテ出。次第・さし声。末に、貴舟の宮に着にけり ノノく、10 立テいふ。 去零︿こそ此御方にて御座有ふずる。先告の由を申さふず る。いかに申候。この程の御立願叶へて参らせふとの当社 よりの御告にて候。其様躰︿金輪の三シの足に明松を立、 頭にいた営き、顔にくにをぬり身に︿赤きぎぬを着し、い かる心を︹仕れと当社︺御持有れと、慥成御夢相二候間、 其分心得候へ 慥二其方の事にて候。見る内に面色かハリ、次第二おそ るしく成て候・御うたがひなく御用意候へや のふおそろしやj、、ト云テ、シテノうしろを通りて 入也。 観世︿道行過て、こし桶一一こしかけるといふ。 喜多︿同、して笠ぬぎ、下一一居ルトいふ也。
感陽宮︵五ノ8︶
雌子方出ルト台出ル。口明。 是︿秦の始皇に使へ申官人にて候。棚も此君賢王にまし ますにより、一天四海をたなご上るの内一一納め給へぱ、吹 厚板、水衣 扇持。 入り袴、こし帯、大臣ゑぼし前へ折、 風枝を鳴さず、民戸指をさ坐ぬ御代にて候。然守︿思召子細 ゑん さしづ の有間、燕の国の指図井にはんゑきがこふべを持て参内仕 らん者︸ス、おん賞︿望たるべきとの御事なれば、相かま へて其分心得候へI、 卜云テ太.座二付。 ライジョ’一テ、ツレ女二三人、シテ王、大臣出、座二 付。 ワキトッレ出テ謡有。ワキョリ掛ル。 案内と︿誰にて渡り候ぞ 其由申さふずる問、夫|一暫く御待候へ ワキッレ大臣目付柱一一居前へ出、 けいかしんぶよう いかに申上候。ゑんの国の片原に、刑舸・秦舞陽と申両 人の者、燕の国の指図の箱、ならび二はんゑきがこうべを 持て只今参内仕て候 シテ柱一一居。又ツレ呼。出テ諸テ、 畏て候 最前の人の渡り候か。只今の通り奏聞申て候へ、︿、急ぎ 庭上へ通し申せとの御事一一て候・又大法の事なれ︵、太刀 刀を預り申せとの御事にて候。此方へ御渡し候ヘ トニ人の腰の物請取て、 さん候、是より三里上り、三里下り、又三里上りて其づつ と奥にて候。心静に御参内有うずる ワキョリ請取し太刀・刀︿狂言座。 春藤方︿太刀・刀・差図の箱。 9 −’
正尊、中入スルト切幕一一テ出・シテ柱ニテ。 か様に候者︿、静御ぜんに召使くる上者にてさむらふ。 此度正尊熊野詣とたぱかり、我が君を打手に参られ候を、 武蔵殿御使にて正尊に参れと有︵、正尊︿風のこょちとい つわり申を、やにく︸一引立御前に被し参、色々とせんぎ被し 成る些二より、正尊当座の難をのがれんと存、恐敷起請を 認め君へさし上、御盃を下され帰られ候一一より、武蔵殿の 御申一ス、最前かぶろ二人造しけれど今一一かへらいま上、 童に参り正尊屋形を見て参れと仰せらる上。急で参ふずる。 惣じて女に︿心をゆるし申物なれゞ︿、夫故童に参れとの御 事にて候。是︿早正尊の屋形と見へた。是︿如何な事、二 人のかぶろをきりころして置た。抑々恐敷事を致た。殊に ︵墨滅・具力︶ 正尊屋形を見れ等︿、馬︹□︺物具をし、まさしう是︿夜打 の躰と見へた。急で帰り、此由を申さふ。扱もノ、こわい 事で御座る トワキノ前へ行。 正尊屋形を見て御座れ、︿、二人の者を切ころし、殊二馬 厚板、そばつぎ、く上り袴、官人頭巾、腰帯、髭、扇。正尊︵五ノ9︶
高安方ハヶン。 宝生︿指物。 奨於期ガ頭。 物具をいたし、たしかに夜打の躰と見へ申候。御用心被レ成 候へ 卜云テ入。 又日、 正尊中入すると、ワキ呼出ス。其前一一出テ、太.座一一 居。御前にさむらふ心得申候
是︿かりそめながら大事の御使を仰付られた。童が参る ︵ママ︶ おこり︿何事なれ︵、此間正尊熊野詣とたばかり 末ノ詞二、 ヤア/、其許のにぎやかな︿何事ぞ。何といふ、二人の ︹し︺ 禿をさしころいた。抑々おそるしい事かな。其上正尊のた ちに︿、馬・物具をし、かつちうをたいし、長刀をよこた え、おびた堂しいていじやが、是︿まさしう夜討と見へた。 急で此由申上う 入時、のふおそろしや、ト云テ幕へ入。 又、跡も無時︿、 急て申上う。のふおそろしやj、、と云テ、直に切幕 へ入。 始に判官・静・ワキ弁慶出ル。其未一一出テ太.座一一居・ 箔、女帯、びなん。 − 1 ( ) 一鶯流狂言伝耆『間之記』(二) 十 七 一 三 春藤流ワキノ仕方
御前に候ワキ番の堅く仕候得畏て候堅
く禁制成由申候へ心得申候
案内と︿誰にて渡り候ぞ囚人の御入候かさ
ゆかりん候引合せられて給り候へ囚人の所縁の者二御
対面︿、堅き法度一一て候得共、おさなき人を御同道なれば、御機嫌を以申上うずる二て候。夫一一暫く御待候へ待
候くし なぎ いかに申上候。都今鮨野梛の坊にそつのあじやりと申山 すけとも 臥の、資朝の卿の御子と申て幼き人を壱人同道被し申、則対 面有度よし被し申候 尤左様ニて候へ共、資朝の卿の御事︿、別て御いたわりと 見へ申て候間、かく申上候 畏て候。一段の御きげんに申合た。急で此由申さふずる いかに最前の人の渡り候か。其由申て候へぱ、則対面有 ふずるとの御事二て候。こうノ、御通り候へ池畔増五吋 御前に候ワキ、伏一戸二入て、臥ぅずる二て候 尤に候 掘シカノ、有て、後に浜へ供して行、 太刀を本間一一渡ス。 中入後 ラモーやる舞ぞj、アド何者成共のがすな/∼わごりよ︿何として是へおりやたそなたがあわた
檀風︵五ノ柏︶
里敷するに依て、何事かと思うて是迄ついて来た槻
は此度の様子を知ぬかい上や知いよ夫なら︵
語て間せう。ミぶす、けとも
此度都より生捕て下り給う、壬生の大納言祐朝之卿は、 佐渡の国此処へ流れ給ひ、則頼だ人の預て、余ノ囚人より も一入御念を被し入、昼夜朝暮二油断なくねずの番を仕と、 家中の者共に堅く仰付られた一一依て、皆を気をつめて此程 冊をした処に、都より俄に飛脚立て、祐朝の卿くきのふち うせられたれば、最早用じんもいらざる故、本馬殿よりの 御意には、此中皆々心労を致したる者共一一、今日より番を シン あけて休むように仕れと仰出され、則頼ミ申人︿御心所に いらせ給う程二、下々も是を嬉敷思い、我等も人も帯剣を とき、此間の草臥をなをそうずるとて、いかにも心安う思 ちかぎ︵﹁なぎ﹂ヵ︶ うていたれ嬢︿、都今熊野梛木の坊一一そつのあじや梨といふ ツレ 蓉僧、祐朝の子二て有とておさなき人を一人連て来り、今 宵忍び入、本馬殿を差殺し、その儘縁を飛おりのくと間て、 何かわ知らず、かのしれ者を某打留うと思て是迄出たるが、わごりよく夫をしらぬか面目も無事なれども、此中
内殊の外草臥︿する、何心ものふれていたれば、皆のさわ 、ミL ぐがね耳に風と入た二依て、いぜうとしたれ、︿、此道具が 足一一さハつた程に、其儘是をさげて︿出たれども、其子細は夢二も知らぬが、抑たにがj、敷事をしたな其事
じや。両人の者が是迄来た程に、連の事二追欠て見度︿思 へども、此やみの夜で足本も兇へぬに、いづくをさして行 − 1 1 −うともわきまへず、扱是︿何として能ろうぞ去バ某
も分別に及ぬが、わごりょ︿何と思ふぞ某の心中じ
やといふても別の事︿ないが・乍レ去大事の事を此ごとくに いふて時刻をうつしてくいか及な程に、某の思ふく、浦々 ふれの船を留たら︵ょかろふと思うは是ハ一段の分別じ
や。急で留さしませ去有︵某︿南浦を留う程に、そ
なた︿北浦をふれさしませ中々心得た。早う行しま
ワキ’一付て出、太.座二居ル。ワキ呼出シ。御前に候畏て候
ヤァノー社中の面を御間あれ。毎年のごとく御神事をと りおこなわれんとて神主殿御出にて候問、皆々其分心得候 へ/、常陸帯︵六ノー︶
○ ○ ○ ○ ○春 善 班 俊 常
面 日 知陸 旦
龍 番 之
神 烏 女 寛 帯 物
曾 記 右ノあしらい当時不し入。間合くし。 中入後 是︿常陸の国鹿嶋大明神一一使へ申神職の者二て候。去程 に珍敷からぬ御事なれど、先我朝︿天地開關より神国成静︿ 霊神国々二地を〆給ひ、威光様々成と︿申せども、中一一も 当社の御事︿、諸神一一弥増霊現あらた成御神成需︿、一入御 威光あらたに御座候。左有に依て年中二御神事数多御座候 せ アドハ幕へ入ル。ヲモハシテ柱一一て、 立テいう。 いかに南浦の船頭は承れ。都今熊野梛木の坊そつのあじ やりがこの処へ来り、今夜本馬殿をあやまって有程に、り やうじ一一船一一人をのせて拝出すなとの御事なれ︵、構て其 分心得候ヘノ、 ︹二十二︺ ︷ハ ○ ○ ○ ○ ○烏 巴 鉄 道 放
日目ア丁粁刈 l 0i1一一1斗﹄ 明 下輪 寺 僧
T n − 上 皇 一十七一三鷺流狂言伝書『間之記』(二) 中にも、今月今日の御神事を常陸帯の御神事と申て、妻をか たらい度と思ふ人︿貴賎によらず帯二牙を書付、神前にか け置申を、いか成女にても其寄ょ、、、たるを妻にかたらい申 により、常陸帯の御神事とハ名付給ふ。先是︿当社の目出 度子細、今日︿一段とよき天気なれ︵、殊の外の大参にて最 早御神事も済候へぱ、急ぎ社人達を呼出し、還御成申うず
るのふj、呰々いさし升か何事にて候ぞ
先今日御神事も首尾よく済で、何と目出度事で︿ないか誠に目出度事じや去︵還御成申さふ夫
が能ろうさアノ∼是へおりやれ心得た
夕、ヲモとも都合五人出テ、加膨此二並びて作り物 Qワシ誠一輌峠罐争輌一ア融雌抄ざ立テ居ル。 何と思ふぞ。例年の事と︿云ながら、今日の御神事︿何 おさめ 事ものう納た程に、いつものごとく拍子に掛り還御成申さふ夫がよかろうヲモゑいさら、ゑさらツレゑ
いさら、ゑさらヲモゑいともjl、、ゑい共なツレゑ
い共ノ、、ゑいともな ト如レ此、はやしてのりて廻りていふ。仕舞に、ヲモ千歳楽、万歳楽ツレ千歳楽、万歳楽ツレゑい
j︲、おう是︿如何な事、わごりょ達︿なぜに御こし
︵ママ︶を出さぬぞいや随分情を入たれども少しもうごく事
で︿ない是︿不思議な事じゃ。此由申上うずる間、
わごりよ達︿、いて休ましませ心得た
四人幕へ入。 ヲモ、ワキノ前へ行。 いかに申上候。還御成申せども、御輿が御上り無候。誠 に思い出したる事の候・最前若き男の帯へ吾を害、神ぜん へ備へ申を女の寄て彼の吾を詠じ候程に、男縁を結ぶと申 て御座れ︵、女はいなと申を男いるj、申て御座れ︵、女 ちかい ︿其所をしりぞき候を、男︿神の誓も空敷成たると申て立 隠レ候が、若左様の事二て御上り無かと思ひ当りて候 御尤二候 ワキニ付テ出ル。名乗済で呼出ス。御前に候畏て候
ワキ太.座二付。狂言も同断。 成経・康頼出、橋が入り二而弧有。二人舞台へ入。 シテーセイ’一而出、いろI、有。 謡ノ末一一 呑酒︿谷水の、流る坐も又泪川、水上︿我成物を、 物思ふ折節︿、今こそ限り成けれ 此謡の内二楽屋より船を出し、橋が入り二置卜のり、 船の中一一てワキニ向イ。 一段と順風が吹来って候。急御船に召れ候ヘ ワキ詞有。舟にのり、一セイ弧。 早船の、心に叶う追手ニテ、舟子やいとNいさむら ん俊寛︵六ノ2︶
− 1 q − L J初メワキ出、名乗過て幕へ入時︿、同付テ入。 物思ふ時しも︿、今こそ限り成けれ 卜いふ時出て、船を橋が上りへ置テ、 殊の外能天気一一なった ワキニ向。 いかに申上候。一段の追手が吹来りて候。急御舟に被し 召候へ 高安流ハワキ自身竿を持ゆへ、後見より舟出し、 ︵ママ︶ ワキ詞舟人ともずなをおし上、舟を深ミヘ出シ候へ 卜云時、こぐていをする。竿不レ持也。 此孤の内、こぐ躰して、謡終るといふ。 是︿早、鬼界が鴫に着て候・御上り候ヘ ワキ上ルト、舟を橋が上り板付ノ方へ寄て置、狂言康 二居ル。夫より曲舞過、未に 僧都とも俊寛とも、書ける文字︿更になし 此内、船を難台へ持て行、直ス。正面より四尺程、脇 正面より二尺程︿なし、筋違に置也。中のつなを真中 へ出し延して置也。是︿後に、俊寛取付綱也。舟頭花 間に果てイル。 ワキ謡の内、竿をふり上、打んとする。叉竿ヲ渡ス・ 夫を収テ置也。夫より皆々上ルト、其儘舟を持人也。 其跡よりシテ入ゆへ、早く入也。 舟の置所、其外の事、シテ・ワキニ間事。
班女︵六ノ3︶
口明ヶ、シテ柱ノ先一一テ。 是︿美濃の国野上の宿の長で御座る。棚もわれ花子と申 女郎をもち参らせて候が、扇をすぎ朝夕もて遊ぶとて、今 ︿皆の名をはん女と御付け候。髪に過にし春の頃、吉川の 少将殿とやらん申人、東へ御下り被し成るLとて此宿に御 泊り有、かの花子と深く御契りお︿しまして、互一一扇を取 替して御下り被し成し間、かの花子扇にのミ詠め入ぱ、今 ︿ね屋より外へ出る事なく候間、急ぎ呼出し追出さばやと 存る。 幕の方向テ、 いかに花子の渡り候か。申べき事のあれば急で参られ候 へ・扱もノーあのあるき様︿うきj、ともなひ、早う出さ しませ。あのあるきょふくらちの明ぬ、早うあるかしませ︿ シテ出ルト、間少し跡へ下り笛ノ方より寄。シテハシ 享保十九年四月十九日。西丸ニテ弓町被し勤候節、舟ヲ橘 が上りへ置、ワキ上ルト、舟ヲ板付へ寄て置・夫より舞 台へ出し、又橋が上りへ世てシテノ跡より入也。児
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− 1 4 −十 七 一 三 鷺 流 狂 言 伝 書 『 間 之 記 』 ( 二 ) ワキ出ル其ま旦跡より出、太.座二居ル。
誰にて渡り候ぞさん候、其猟師︿去年秋の頃身ま
かりたるが、一入罪も深からんと存る・則あれに見へたるが猟師の家一一て候間、御出有て御尋候へ御尤二候
テ柱ノ先下一一居ト、又シテノ右へ廻りテ云・ いかに花子。お事︿扇ばかり一一詠め入、今︿人の酌にめ せども参らず候程に、けふよりして︿此家の内に︿叶うま じ。急で何方へも参られ候へ 卜いふ卜、シテ扇の心持有と、 又あの扇さぱくり︿何事ぞ。此扇をやる程に何方へも出 て行しませ。のふ腹立やJ、 此詞をい皇ながら、シテノ扇ヲ取て下へつよくなげる、 但し、シテノ取よき処へ置也。右のごとくして、 のふ腹立やノ、 卜云テ幕へ入也。 抑々埒の明ぬ、童が直に呼さへ不せうらしい。きの ふも呼にやれ︵、何のかのといふておりやらぬ。我が ま些な人じや。ちとづか,J、と早うあるかしませ。の ふ、きのどくやノーー ト、シテ出ル時ノ詞、シテより好、、、テ、たんといふ事 もあり。其時、此詞かへしていふ。 一箔、女帯、びなん。善知烏︵六ノ4︶
春日龍神︵六ノ5︶
是︿和州南都に住者にテ候。去程に珍敷柄ぬ御事なれど 先我朝︿天地開關より神国なれば、霊神数多御座すとは申 ながら、中にも此春日大明神ハ、ぐちむちの輩をすぐひ玉 ︿ん御方便に、諸々の菩薩の和光の姿をかりにまゑへ、当 社と現じ玉ふと聞により、現世安をん後世善所の為に、当 ︵ママ︶ 国の者︿我等を初て渇仰す。国々在々所々よりも、老ひた ︵ママ︶ 若ひ男女共に袖をつらね首すをつひで、毎日毎夜歩をはこ 下掛り︿春の頃といふ。 又日、 さん候、其猟師︿去年秋の頃身まかりて候が、一入罪も 深く有うずると存る。夫を如何にと申に、此外が浜に烏頭 と申烏の候が、いさごをほりて巣をかけ申を、浜風はげしく て巣を吹こめ申せ︵、いづくの程に有おも知らで、親鳥が 烏頭/、と呼くれば、下よりも子が安方と答へ申をしるべ にゑをかけ候を、彼りやうし︿其真似を致し、鳥の子迄も 取申せば、一入罪も深く可し有と存問、あれに見へたる猟師 の家へ御出有、此よし御申あれかしと存る 又、誰一一て渡り候ぞ御出家の身にて猟師の家をお尋は、
︵ママ︶近頃ふしんにて候さん候、其猟師︿
のしめ、長上下、小サ刀、扇。 FD 1︵空白二字分︶ナラ
ぶ。□口神前の賑敷御座す御事、叉と並びたる神も無二御座 ︵ママ︶ |候・夫一一付是秋津洲に於て貴僧高僧大き内に、栂の尾の明 恵上人をば太郎と名付、かさぎの下だつ上人を︿次郎と頼 ︵ママ︶ 、、、、此両人の御方を当社の両眼の右左の手の如くに思召、 天下の御きとうをもまかせ御申なさる入。其中に取りても 明恵︿かこより殊勝に御座す故、明神のじきに御詞をかは さる上など坐申、誠は左様の御事も御座あるふずると存 ゆヘ ル。其故日外明恵御登山の例、俗在出家共に人間な申に及 ちく ︵ず、鳥類畜類に到る迄、奈良坂え御迎に出、上人を見付、 ちくるいはひざを折、鳥類は羽をたれ、草木の類ひ迄もま さしふイニョゥ渇仰の躰あれ︾︿、末の世迄もかよふに殊勝 ︵少、に力︶ なる御方︿、大唐の身にはいざしらず、他国に︿有るまじく と︹承ル︺の御事に︹て︺候。然者今日明恵御登山の由風聞い たす其子細は、入唐渡天の御心ざし有るにより、御暇乞の為 に当社へ御参りなさる上と申が、誠に我等躰の存ル︿、万里 のさぅはをしのぎ、入唐渡天をいか箕と存ル。殊に上人の御 ︵ママ︶ 身にて︿、経輪聖教の内にても御存じ有るべし。其上、人の 申なら︿す︿、天台山を望の人ハ比叡山へ御参り有れ、五 台山を拝度御方︿吉野筑波を拝し玉ふと間、又リャウジヱ サンの心ざす輩︿、則当社を御信仰有と申せ︿、日本二御 座有てもおなじ御事かと存ル所に、明神秀行と現じ、御留 被し成、仏跡を拝し度思召ぱ、今夜の内に三笠山へ五天竺を 移シ、拝せ御申有ルベきとの御事なれば、南都に於て心指 の輩︿、早々出て拝ミ被し申ょとの御事なり。構て其分心 ワキーいかに誰か有御前に候 ワキー瀬戸の三嶋へ参らうずる川、舟を用意仕り候へ。又存る 子細のある間、路次にて某が名字ぱし申な。汝壱人供仕り候へ 畏て候 トワキニ付、座一一着。太刀下置。 後シテ・ツレ出テ、掛合・謡有。 ︵ママ︶ 地朝のあらし夕部の雨、ノ、、けふまた明日の春ぞ △ と、夕べの露の村しぐれ、定めなき世に古川の、水 のうたかた我いかに、人をあだにや恩ふらん、ノー △此傍りより太刀ヲ取テ立、橋が上りの方へ行。 かた いや方人∼︿、いかやうな衆ぞシテー是︿放下にて候 似名を、︿何と申ぞシテー風雲流水と申候 又それなる︿何と申ぞツレー風雲流水と申候 是︿かけがゑも無い名かな。いづれをふうん、どれを流水 と︿申ぞシテ∼我等を風雲、かれを儒︿流水と申侯。又あれに 御座候御方の御名字を何と申候ぞ ︵ママ︶ あれ︿相模国の住人利根の信俊と︿ロヲ押へ名申そと被 得候へ/、 宝生流間 初メ、シテ・ツレ掛合過テ。 ワキ出ル。狂言跡一一ツキ出。太刀持ナリ。放下僧︵六ノ6︶
− 1 6 −十七一三蹴流狂言伝書『間之記』(二) 中々。うけたまくって候へぱ、風雲流水と申候 ワキ41︵一行空白。︶ 心得申候 シテノ方へ行。 最前の人の渡り候か 其由申て候へ︵、此方へ参れとの御事二て候ともいふ し仰た物を シテーいやノ、苦しからぬ事、いか様にも御申あって御前へ召
出されて給り候へ左あら︵其通り申そふずる間、夫に
暫く御待候へ いかに申上候。あれへ浮世をめぐる放下が参りて候・少 と是へ呼申そうずるかワキーいやj、左様の者をこの所へ ︿無用にて有 尤左様に︿候得ども御慰の事に候間、さて申上候 ワキ41︵一行空白。︶ 是へかけて そちが知らず︿、こちも知るまいぞ 又十四五くだりすんで、 左あら︵此方へ参られ候へ ト座二着。 シテ・ワキ掛合、二十二三行リ有。 地引ぬ弓、放さぬ矢にて射る時︿、 はずさざりけりと、か様に読吾も有、 たまひそ、j、 あたらずしかも、 しらずな物なの 又、 メグ 如何に申上候。あれへ浮世を廻る放下が参て候・ 風雲流水と申候。是へ少と呼申そうずるか候さあら︵此方へ参られ候へ
そちが知らず︿、こちも知るまいぞ ︵ママ︶ ワキーさて江上の一チ芦がいかにツレー切てさんだむ となす ワキ刀へ手ヲ掛ルト、狂言留ル。 先またせられい 地何とたざ中々に、いはでの山の岩つ坐じ、色に︿ 出じ南無三宝、おかしの人の心や けれ︵ そちがおかしく︿、こちもおかしいまでよ 人、︵二行空臼。︶ そちがおかしけれ︵、こちもおかしいまでよ 畏て候 猶々路次を語らうずるとの御事なれ︵、陸近く被し参候へ 叉二十くだり程過。 三界唯心の、ことわり成と思し召、こ上ろを語り給 へや とてもの事に、かっこをうって御見せ候へ 名を︵ 心得申 17道明寺︵六ノ7︶
か様に候者︿、河内の国道明寺の天神に仕へ申末社の神 にて候。先此所︿天神御在居の霊地として、其かミ天照す お上ん神を始め奉り、井に七社の御神を勧請の所なれば、誠 にたぐひすぐなき御てら一一て御座候。中にも天満天神と申な︵ママ︶しいかかんげん
奉る︿御名を菅相丞と申奉り、詩吾管絃十能七芸共に達し 給い、君臣の道明らなる所に、去子細有九州へ御下向被し成 る入きざミ、此道明寺に旅宿の折節、一切衆生現当二世の ・ごぷだいぜ。,きやうかきくよゞ。 其為一一五部の大乗経を害、供養してうづませたまいしに、 はたさず其じくより名木一本生出る。則此木をもくげんじ ﹄﹂︲坐 ︵ママ︶ ゆと名付申候。夫一一付、髪一一不しぎ成るの候ぞ。是より本 国相模の国田代と申所に、尊成といふ貴きひじりの候が、くれまとまい
明暮観念の窓に入てねむりをさまし、只一筋に念仏三昧の 定に入、往生のそくわいをとげんといのられけるが、此度 信濃の国善光寺に一七日の間参籠被レ申けれ︵、まんずる あかつきにいたって、恭も如来︿象ずしの戸を開かせたま ひ、白髪の老僧と御身を現じ、あらた成御声を出しのたま ふよう、汝念仏住生の志ざし神妙也。然者是より河内の国 もくげんrゆこ 道明寺へ行、木槌樹の木の実を収、珠数となし、念仏百万 猶々路次を語ろうずるとの御事なれ︵、陸近く被し参候へ 畏て候 卜太.座へ行也。後二切戸よりはずす。 道明寺末社︲ 尊成とやらんを、ちと見申そふずる脆蹄哨隷榊淀末社 三段舞・末社舞、常の通り。 又日、末二て跡舞。触斗一一てく、 重てく舞楽をそうして慰め給︿んとの御事也。相構て其 分心得候へ/∼ 末社同断出立。面、登り髭。鉄輪稲春滋判冠卦執︵六ノ8︶
か様に候者︿、貴布称の宮に仕へ申社人にて候。去程に某 今夜不思議の夢を見申て候戸都より女の当社へ丑の時詣ず る人の候間、則叶へて参らせうずるとの御告にて候。其女に 鉄輪の三シの足に炬松を立、頭に載、顔に︿丹を塗、身に ナスナラバ︵マ↓、︶ は赤き衣を着し、怒心仕れ宗︿、慥二申渡との御告二て候問、心がけて見申さばやと存ルハ轌蘓鯉、
かならい
くん申なら零︿、必ず極楽へゐんじゃううたがい有まじくと、 慥二仰らるLと見て、夢︿かつばとさめぬ。尊成心に思︿ る生よふ、元より夢︿逢ふ事︿まれ二て、大方︿合い物と ︿いへど、去共是︿まさしきずい夢なれ零︿とて、只今是へ 御出あるを、天神不し斜思召、髪かしこの霊地を拝ませ御 ︵ママ︶ 申有為が、重て舞楽をそうし慰めんとの御事なれ︵、先あ れへ参り、いかょふ成御方ぞ、参て見申さふずる 跡、常の末社のごとく也。三段。 此外にも右。 − 1 8 −十七一三鶯流狂言伝害「間之記』(二) 只今お尋被レ成る些巴と申︿、心どう一一して、つを弓の セイピヤウ アラムマノ咽ソ 精兵、打物取てく鬼神を︵恐れず、殊に荒馬乗の上手にて何 時も一方の大将を仕り候が、一度も不覚の名をとりたる事 ︵さればこそ力︶ それ︿こそ此御方の事にて御座ろうずる・先告の通を申 さばやと存ル。いかに申候。此程の御立願叶へて参らせう ずるとの当社より我等迄御告にて候。〃其様躰︿鉄輪の三シ ︵ママ︶ の足に松明をを立、頭に戴、顔に︿丹を塗、身に︿赤き衣 ︵ママ︶ を召被、いかる心を御持あれと、慥成御夢相にて候間、其 分御心得候へ 観世流一一而は貴船の宮一一着て候。心静一一拝ばやと存じ候、云テ 大小前一一而せうぎ一一腰カヶルト、狂言せりふ云・ いや、しかと其方の事にて候。早ヤか様二申内に、御顔 の気色替り、吹第におそろしく成て候間、御疑ひなく急ぎ 御用意なされうずる 装束 厚板。水衣。大臣烏帽子前ヲ折。袴括ル。扇。 宝生流、貴船の宮一一着一一けりj、、言葉無キ故、 謡の内、立。尤シテ立テイルゆへ、狂言も立テイル。
巴︵六ノ9︶
アわヅ 是︿粟津ヶ原に住者一一て候・今日︿明神の御神事なれど 彼是致て隙を得ずして今迄延引申て候・漸々暮に及候得共、 参詣仕ふと存る や夢ら なかりけると申。去共木曽殿、宇治瀬田を破れしより此方、 戦ひ一度も利なくして此辺へ御落被し成し時︿、わづか七騎 一一て有しかど、巴︿薄手をもおわず野の末山の奥迄も付そ ゐ、主君の御供と心がけ居たる所に、義仲仰られける様︿、 木曽が最後迄女をつれたると人のこうなんもいかごなり。 汝︿女なれゞ︿忍ぶ便りも有くし。急古郷一一帰り、此由語る ならば、最後の供に︿増うずると様々御いさめ有し間、巴 心に思ふ様、あつばれよからん敵もがな。名残の軍をし、木 曽殿二見せ奉らんと待所に、遠江の国の住人内田の三郎と 名乗て、三十騎斗り二てはせ来る。巴思ひまふけたる事な おシナラムヅ れぱ、敵の中え分て入、巴内田馬の頭を押並べ、無手と組 よせ で引寄、鞍の前輪に押付首かき切て、義仲の御目にかけ奉 り、鎧ぬぎ捨、御形見を持、忍びて木曽へ下着致されたる と申。先我等の存たる︿如レ此二候 言語同断奇特成事を仰候物かな。籾くうたがふ処もなき 巴の亡魂一一て御座有ふずると推量致。お僧も左様に思召候 は目、是に暫く御逗留有、彼跡を念頃に御弔有、重て奇特を御覧有かしと存ル御用の事有ぱ、重て仰られ候へ
心得申候烏帽子折︵六ノ㈹︶
ワキ、鏡の宿に着にけり、j、。急候程一一鏡の宿に着て 候、此処に御やすらい有ふずる二て候、ト云テ座二付。 − 1 9 −狂言出ル。 是︿平家方二使へ申者二て候・我等の是へ出ル事余の儀 ︹おさなきの にあらず。髪に源家の大将義朝の末子沙那王殿と申少人御 有しが︺ 座すが、平治の乱の後鞍馬の寺に学門被レ成御座候いしが、 ︹り︺ 此程人を順ミ東国へ御下向の由聞し召、誰一一てもあれ、告 知らする一一於て︿望之次第二御褒美可し有との御事なり・相 構へて其分心得候へノー シテ烏帽子ノ語の内出て、狂言座一一下二居ル。後に吉 次出て。 やつれ果たる美濃の国、赤坂の宿に着にけり、ノ、。 詞有て、宿かりにクル。 宿かし誰一一て渡り候ぞ安き間の事、こうj、御通り 候ヘ ト云テ元ノ座二居、ワキ・子方座二付ト、一ノ松へ立 て、 やあj、夫︿誠か。いかに申上候。皆々此処へ御着の由 此所の悪盗共承り、今夜夜討可レ致と申候。御用心候得 子方、おそしとこそ︿待居たり、j、。 早鼓二て両人左右へ立て、都合三人出ル・ か様に候者︿、青野が原の他りに居て人の物を取、世を渡
る者二て候わごりよ達は是へ何しに来たぞそ
なたが余りあわたざしふ出た二依て、何事かと恩ふて是迄ついて来たよ籾︿様子をしらぬかい坐や知ぬ
︵空白二字分、信高力・︶ 夫ならば語て聞せう。都三条に金売吉次□□とて毎年 五き内の宝物を買集め高荷を作り奥へ下る商人の有を、彼 が都を出る時より目付を付。則今夜樽井の宿二渡り候問、 彼高荷をとろうずるとの御事一一付、我等ごときの小盗人共 に参り荒ごなしを致せ、押付張奨殿を始めとうりう衆の御 出有うずるとの御事じやが、何と一手柄をせうと︿思︿ぬか此間不仕合で何がなと思ふ処じや。少しも早ふ参
ふ。さアノ、おりやれノー 一ぺん廻りて是じや。此垣を破う。のこぎりを持参したかい上
や持ぬ 某︿持て来た、といふて、垣を切ていをして、三人共 にこして入。担此大戸を︵、何として明うぞどうづきをかけい
夫で︿内へ知る夫なら︵、てこをかけてこて
はなそう夫が能う
さアノー、よいとな﹄、、ト三度して、こてはなすて いをする。狐、ヲモ先へ内へ入て、内のていを見、 殊の外くらい、先そこな松明をつけい 心得た、と云テ、末ノ者松明をつけはいり、牛若を見付、 松明をなげ付るト切て落す。其儘にげる。又一人行、 松明をふ、、、けさる坐。其ま入にげる。ヲモ行、松明を なげる。又なげかへし、夫を取に行と切る坐。両人尋 て行、是︿いかな事、切れた、ト云テ、肩へかける。 此事を皆々へ咄さしませ、某︿触れて帰る − 2 0 −十七一三踊流狂言伝害『間之記』(二) 太刀を持テ、ワキノ供して出ル。
御前に候畏て候
座一一付。宝生流︿此所一一テ触有。シテ柱ノ先二立テ。 ヤアノ、皆々承り候へ。今日︿当社へ源氏の君御参詣被し の 成候あいだ、神前をも清め、其外他りをも念を入、そうじ 仕れとの御事也。相かまへて其分心得候ヘノ、 夫より太.座二居。ワキニ付テ入。 嶋物。狂言上下、片はだぬぐ。小サ刀。杖ヲつき。 早打 宿かし住吉詣︵七ノー︶
○ ○ ○ ○ ○烏 呂 木 高 住
間 野 ゴニ [. 物 之追 后 賊 狂 詣
記 いかに申上候。此明月がた、春満殿の御ねやの内を見申 て候へぱ。春満どの︿見へ給︿ず、此御文の候。追手をも かけ申て候へども、先是を御覧候へ高野物狂︵セノ2︶
シテ、次第謡、詞有。其後出ル。 扱もJ1にがノー敷事かな。先此由申上う 段のしめ、長上下、扇持、小サ刀。 盗人 嶋物。狂言上下、袴く坐り。おくず頭巾。ひげ。 もぎどうか。 のしめ。掛素砲、袴く上り。折ゑぽし。小サ刀。扇さ し。 r一,七鳶
レーノ ○ ○ ○ ○ △ 室小原御
花ヱ 一三口西行
愛染
川 桜 法幸 君
− 2 1 −|’
御前に候畏て候御僧達︿何国に御座るぞ、
参て見申さふずる去︵こそ是に御座候ょ是︿
くるしからぬ者二て候間、御用の事有︵被し仰候へ。叉御 是︿平松殿の御子息春満殿に使へ申者成が、今朝余り久 敷御しんなると存、参りて見申たれ︵、若君︿無二御座一候て、 御枕元に此御文とつむりの髪と斗り御座候。承︿れぱ乳母 ︲くわん 高師の四郎殿︿観音寺へ御参詣被し成たる由申間、急ぎ持参仕り、此由申さうと存るいや是に候いかに
申上候。春満殿の見へ給︿ず、御枕元に此御文とつむりの髪斗り御座候。是を御覧候へ御尤に候
シテより前に狂言出ル事有。其時︿、 急ぎ参り申そふずる、未御参り無と見へて候。姜元に待 合せうと存る ト太.座二居ル。シテ出テ、 観音寺に着にけり、j、。 ト謡有。詞有。過て、立てシテノ前へ行。 いかに申上候 一、嶋物、狂言上下、腰帯、文ヲ持。木賊︵セノ3︶
叉日、と太.座へ付。つAなき事を御申候。左様に御心得候へ御尤二候
シテヘ文ヲ渡し、よむうち片ひざ立て居ル。よミ仕舞心得の為二て候間申上候。尉殿︿身に思ひの有により、う呂后︵セノ4︶
是︿何者ぞ汝がついた所が目と成、切た所が口と
成た程にいわれを語て聞せう。 ︵ママ︶ 是︿かんしん・ほうゑつが亡魂にて有。其事じや。呂后 に恨ミをいわん為に出らる入。其子細︿項羽・高祖の戦天 下二隠し無事也。先項羽の勢︿三十万騎、楚国の方より責 登り、既に高祖も討れ給︿んとせし時、此両人の者しのぎ をけづりつばをわり、防ギ戦きりくづし、夫のミならず、 うごうの野辺の戦も心に及びがたきを、此両人命を捨てた ちまち項羽の首をかき落し、高祖に奉りし時、高祖両人の 者に御手を合されし事、呂后もしるし召れずや。か様に大 剛の者を呂后のざんげんにより、ヤミノ、と生捕、縄をか 坐り切れし事、恨の中の恨ミなり。是非共此度︿、呂后の 命をとらいでは叶うまじくと恩ひ来りたり。則せき夫人も 只今来り給ふ間、ぜんあくとらいで︿叶うまいぞj、鳥追︵セノ5︶
御前に候畏て候。籾もノー是︿目出度御事にて候
島物、狂言上下、腰帯。 22鷺流狂言伝言「問之記』(二) 十 七 一 三
御前に候畏て候抑もj、目出度事にて候。
室君達を呼出し、はやし事にて御神事を可し被し成由御申あ る、急で遊女を呼出し申さふ。いかに室君達へ申候。とう j、御出候いて、御神事を御初め候へや ワキッレ大臣二付て出ル。御前に候畏て候やあj、皆々承り候へ。法
皇小原へ行幸なれば、道のほとりを清め候得。相構て其分 心得候へj、 卜云テ太.座二付。ワキ・ツレニ付て入。但し、口明 にいふ時︿直に幕へ入。 又日、間無てもよし。 のし目、長上下、小サ刀、扇持。畏て候ヤアI、其許の笛・太鼓の間ゆるく何事ぞ
ヤアjl、じやあれへ参て尋て候へぱ、鳥追舟
が参る由申候尤一一候
護法︵セノ8︶
ワキ出、名乗過て道行有て、 いかに在所の人の渡り候か 在所の者と︿、誰にて渡り候ぞ室君︵セノ6︶
小原御幸︵セノ7︶
ワキニ付て出テ、太.座二居。ワキ呼出ス。御前に候畏て候
シテ柱ノ先ニテ、. やア/、皆々承り候へ。当年︿花見禁制と仰出されて有 間、其分心得候へj、 元の座二居。ワキ・ツレ・立衆出、次第や道行有。橋 が上りより、案内を乞。誰にて渡り候ぞ御出尤一一てく候得共、当年︿花見
きんぜい︵ママ︶ 制禁と仰出されて候・乍レ去御機嫌を以て申上うずる二て 候○夫に暫く御待候へ・ ワキ ト元ノ座一一居。西行、さし謡ノ末一一、 ︲四の時二もすぐれたる︿、花見の折成ぺし。荒面白や候 ト云時、シテ柱の先立一Z 一段の御きげん成今︿、此由申上うずる和一建肌え行、 いかに申上候。都よりとて若衆是へ御出有、御庭の花を 見度由被し申候ワキ、シカー、︲さん候、在所︿あれに見へた
る所にて候。是二三熊野を勧請し奉り、毎日御参り候が、 今日︿未御参りなく候間、暫く御待候て是にて御逢候得 尤に候 熨斗目、長上下、小サ刀、扇持。西行桜︵セノ9︶
23−ワキ’一依て、何とて花見禁制と︿申さぬぞ、卜云時︿ 左様に申て候得共、はる人、都より御出にて候間、かく
申上候畏て候
荒面白や、といふ時分立テ、謡切ルト直一一いふ。口伝也。ワキ是迄皆々来り給ふと申かさん候
畏て候最前の人の渡り候か日本一の御きげん
に申合て候・皆々此方へ御出候へ 初めワキ、あの柴垣の戸ヲ開け、と見たる所を、常の ごとく扇開きて、あけるていをする。但、早くすべし。 さら,ノ、,j、 シテ柱ノ内也。太.座へ付く。 同 作り物、鼓の先二置也。ワキ西行出ル。其跡へ付て出、 狂言柱二居ル。花見の者三人、舞台二ているj、謡有。 道行有て、橋が坐りへ来て、案内乞。 案内と︿誰にて渡り候ぞ 安き事成ども堅く禁制の由に御座候間、なるまじく候 初メワキ、禁制、と有︵此詞いふ。い上付なく︿、い ス。合仕頭巾。 無地のしめ・水衣か。袴、へんてつか。こし帯。扇サ愛染川︵セノ扣︶
初メに出て居・夫よりシテ・ツレ、次第・道行有。左 近之丞掛ル・ いや案内いふ︿、左近之丞一一て有しか詞シヵノー神 主殿︿持仏堂にくわんきんをして居らる上が、其文︿何方へ参る文二て有ぞシヵノー左有︵童の持て参らせふず
るぞシヵノ、いやj、苦敷からず候。此方へ渡し候へ
文請取神主殿へ御目一一かけ申うずる間、夫に暫く わず。直に、さら︵、と云 さら︵御機嫌の以て伺イ申さうずる間、夫に暫く御待候 へ 見物の人、皆々下二居ル。狂言太.座一一居る。 ワキ謡有。あら面白の気色かな、ト弧。狂言、シテ柱 ノ先へ出、下二居テ、 いかに申上候。都方より若衆の御出有、庵室の花を見物 仕度由被レ申候 ︵ママ︶ ワキ詞有テ、あの柴垣を冊、内へい申せ 畏て候 ト云テ立・扇ニテ目付柱とシテ柱の問、一ノ松の方向 テ、さらノーノ、と、ひらくていをして、見物の者へ いふ。最前の人の渡り候かこふj、御通り候ヘ
ト狂言座へ付。 − 2 4 −十 七 一 三 鶯 流 狂 言 伝 言 『 間 之 記 』 ( 二 )
待候得シテ柱の先へ出て都より下りたる女房の文
と有︵、心元ない程に、そと開て見うと存る 云ながら下二居て、文ひらき、よぶながら立て、 のう腹立や、是︿一とせ神主殿御在京の時分、馴参らせ し女が髪へ梅千代とやらんいふ子迄つれて来りたる︿いか に。扱々腹の立事かな。いやj、是を御目にかけてくいか ごな程に、童返事を致ふずる 太﹁一座より新き紙を持て、シテ柱へ・下||て扇二て言 ていをする。但し、シテ・ツレ太.座へくつろぐ時︿ 笛の方より右ノ紙を持出て口書て笛ノ方より掛ル。 か様に候者︿渡辺の綱の御内に仕へ申者にて候。然、︿頼 、申綱︿、只今人と口論を致さる︲皇・其子細︿、源の頼光丹羅生門︵八ノー︶
龍 丹 籠 護 羅
間生門
摩祇王
後物狂
虎 之 記いかに左近之丞シヵノー京より下りたる女房︿、子
をぱし連て来て有かシヵノ、其名を梅千代と申かシ
ヵノ、神主殿以の外の御腹立二て、急ぎ其女を此所を追払へとの御事二て有ぞ文を渡ス早々女をも子をも
当所を追失ひ候得 文︿太夫方より受取、懐中して出る也。ツレより受取 くし。文ハ開見て、快へ入ル。 ,もの具ふ 州大江山の鬼神を随へ給ひしより此かた、武士を数多御集 メ被し成し故、武へんを心掛る程の輩︿日々に出仕いたさる 呉所に、此頃︿春雨の晴間も見へわかぬつれ人∼に、頼光を 初メとして其外保昌・綱・公時・定光・末武、何しも列座 女出立。箔、びなん、女帯。但し、打かけする事も有。 其時︿、黒骨中啓持也。 ノー司八#
L一己 〆 図 大 葛 三 大 現 『 − p 功% 在 うて蛇 狗 笑 会 鵺
、 「 一 4 , −に伺公いたし、種々様々の御相談のある折節、頼光の御意に ︿、この程都に何事にても珍敷事や有と御尋被し成る上・惣 じて貴人の前二てりやうじに物︿申間敷事なるぞ、保昌の 進ミ出て咄し給ふ様︿、此頃九条の羅生門には鬼神住んで、 日暮て通る者をゞ︿やらずすごさず取よし被し申しを、頼ミ 申人の仰らる上様︿、土も木も我大君の国なれ令︿いづくを 鬼の宿と定めんと聞時︿、さすがにかの羅生門︿、都の南 門なれば、たとひ鬼神の住ばとて任せて置るべきか。か上 る不思議成事を御申有物かなとのたまふ程に、夫が保昌の 耳に当り、狐︿御前二て我等の偽りを申と思召るLか。此 事都に隠れのなけれ今︿申。誠左様に思召さ零ハ、今夜の内に かの羅生門へ行て御覧ぜよと有を、叉頼ミ申人むかとされ、 か様に承り候︿某の得参る間敷者と思召るLか。其儀なら せ︾,せき 等︿今宵の内に彼所へ行、請跡を見届申さふずるといかり給 ふを、御座敷の人々去りとて︿御無用と御留有令︿、いや保 昌に対して意恨︿なけれども、王城に鬼神の住と有ぱ、一 シ︿君の御為なれ令︿、頼光の印の札を被レ下い立て参うず るとこわる上を、頼光も下心に︿留度思し召ど、左様に御 申有って︿御心おくれしと人に思くれて︿と思召、則印の 札を被し造けれ識︿、綱︿札を給くり其ま上宿へ御帰り有が、 ぢよう 定のこわいも事にこそよれ、なんぼうぶしあんな人で御座 る 其許の賑やかな︿何事じや。何と頼申人の御出と申か。 いや/、袰元に居て御目に掛り、若御供に参れと有てくこ
護摩︵八ノ2︶
か様に候者︿第六天の摩王のけんぞくにて候。去程に我 じゃうぽん 等の是へ出る事、別の儀にあらず。髪上梵大王の御子しつ わうきう だ太子︿、中天竺まかだ国の上梵王宮に誕生し給ひ、御年 ︵ママ︶づき 十九にて仏法にもと付給ひ、今︿はや金剛座にて釈尊ぜう とふを可し被し成と有って、数多の御弟子達不し残並居給ひ、 かの︵ママ︶ 既に説法初んとし給ふ折節、此事を上梵聞給ひて思召様 ︿、世尊説法をとき給ふにおゐてく、定メて衆生ども仏 果を得くし。其時は摩王の住家有間敷と、今度のじやうと ふを何とぞしてさまたげんと思召、兎角人︿形ちよぎ女に れうぜんゑ 心をなやます物成れ等︿とて、三人の美女と成り、霊然の会 だいせう 座へ近く参り居たるを、大聖釈尊御覧じの給ふ様は、汝︿ 第六天の摩王なり。我が仏法をさまたげんと思ひ来りたる さましやうげ 成らん。たとえ様々生化を成といふとも、心を移す事有べ きめん との︵ママ︶ からず。出々、汝等を鬼面に成さん辿、則御声の下よりも、 たちまち鬼面と成って、かきげす様に失給ふ。左有に依て 拙者一一参り、さまたげを致せと有に付、取物もとりあへず 是迄罷出た。先急で参らふずる。 誠に頼、、、申人の仰らるL通り、若仏法の国にも成った成 らぐ︿、我等ごとき者︿どこに居ょふぞ。何卒さまたげを致 度事じやが。去令︿こそ、是に居らる入があなん・かせうな ど上いわる入か知れぬ。さら令︿あれへ参う。いやj、参つ わものじや。急いで罷帰うと存る。只のけノく、︲ − 2 6 −十 七 一 三 鷺 流 言 狂 伝 凹 『間之記」(二) てりやうじに詞を掛られた成ら︵、請答へが成まい。只此 由を皆々へ触て、のかふと存る ヤァノ、皆々承り候へ。たとへ釈尊成とも、摩道へ引入 んとの御事也。然︵魔王の分︿、不し残罷出よとの御事也。 相構へて、其分心得候へj、
籠祇王︵八ノ3︶
太刀持嶋物、狂言上下、小サ刀、Ⅲ雌御前に候畏て候誰にて渡り候ぞかた
人∼禁制にて候程に、叶ひ候まじ然ら︵夫に御待候
へ 如何に申上候。籠者の人の息女に祗王御前と申人にて候が、父に対面あり度とて是迄参られて候其由申て候
得共、女の事||て平に申上てくれいと申され候問、扱申上侯畏て候
最前の人の渡り候か。其由申上て候へ︵、かう御通りあ れとの御事にて候御前に候畏て候
夫に御待候へ・引合せ申そふずるシヵノ、少うたい有。ぜん所に向ひ、たび給へ、
j、、卜いふ時、出ル。 さあら︵此方へ御出あって、父子の御対面被し成候へ シヵノ、中入有。 又、うたいあり。なミだの雨やまさるらん、トいふ時、 狂言上下、嶋物、小サ刀。御前二候夕部御下向にて候其御事で御座る。
殊の外の大酒にて酔せられて、前後も知らず御休被レ成候間、何とも不し申候如何に花松殿、ちやっと御座れ↑
おの 花松殿の御事︿各々御そうけうなれ︵、少の御酒ゑんの 折節は、花松どのひとさしとあれば、学問所へつっと入せ られ、かっこおつとって腰二付ヶ、さ入ら持せられ、しぼ ろほさらj、j、/、 花松殿ノー、なふj、戻らせられいなふj、。 掴々、あわれ成事にて候ぞ。女の身にて、はる人∼尋て 、小出ルO 参る事、痛敷事にて候。親子の心中を思ひやり候得︵、我 等ごときの心なき者迄もそごろに落涙仕候。先此由、粉川 殿に申候くし 、いかに申上候。只今の有様を見、我等も泪を流し申て候が、何と思召候ぞ畏て候
如何に申候。早く御舞候へや シカJ1うたい有。さめ人∼となき居たり、又さめ 人∼と泣居たり。 さいご 如何に尉殿、はや御最後に成りて候 シテニより連ひあり。 兎角、シテ・ワキヘ念を入、とくと云合せるが吉。丹後物狂︵八ノ4︶
− ワ フ ー [ア、言語同断の事かな。科なぎ花松殿をしからせ申たょ。 惣じて子と云物は、誰もかわゆひ物じやに、御気にあわふ とて召れた事もない事を申て、花松殿をしからせ申て候。 惣じて口といふ物︿わざわひの門、舌はわざわいの根、舌 三寸のさへずりにて、五尺の身を失ふと申事の有に、申ま い物をァ、にくの口や。引さいて。 何といふぞ、誠か。ヤレそふ︿あるまいぞ。誠じゃ。夫 成︵身共も花松殿の御供を申そう。 ア、たざ身をなぐる事︿ならず。元結を切、念仏申、花 松殿の御跡を弔ひ申そふ。ア、わるい事︿申まい物を ︵中入後︶ 中々、其岩井殿と申人︿、あれ成高もがりの内にて御座 候が、去年わが子にはなれさせ給ひ狂気し、今︿此所に︿ 無二御座一候 ヤア/、皆々承り候へ。橋立の文珠堂にて尊き人の御座 候て、御説ぽう被し成候間、心差の輩︿各々参られ候ヘノ、 是︿大唐に住者にて候。某︿唐人の内にとりても他国通 よ じを致て世を渡り申候。夫一一付何国の人か、唯今御着の由